オーストラリアにおけるカリキュラム問題 : 『オーストラリアの学校のためのコア・カリキュラム』をめぐって
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(2) . オ ース トラ リ ア に お けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題 - 『オ ー ス ト ラ リ ア の 学 校 の た め の コ ア リ カ リ キ ュ ラ ム』 を め ぐ っ て -. 佐. 0. は. じ. め. 藤. 有. に. 1980 年 代 に 入 っ て, オ ース ト ラ リ ア で も っ と も 活 発 に 議 論 さ れ てし・る 教 育 テ ー マ の ひ と つ は,. コ ア リカ リ キ ュ ラ ム を め ぐる も の であ る,. この議論は1 970年代からなされてし・たものの, その白熱化は, 19 80年6月 に国家レヴェル機関. i lum Development Cent であ るカ リ キ ュ ラ ム 開 発 セ ンタ ー (Curr cu re , 以下 CDC) によ っ て 提 出 さ れ た パ ンフ レ ッ ト 『オ ー ス トラ リ ア の 学 校 の た め の コ ア o カ リ キ ュ ラ ム』① を契 機 と して い る. こ の パ ンフ レ ッ ト は3 ヵ年かけて用意され, 今後, オース トラリアの学校がとるべき教育課程の. 道標を示し, そうすることを通して広く 国民に議論をよ びおこし, 提案内容の充実をより計るとと もに国民の理解をも得ようとするものであった, したがって, このパ ンフ レッ トは広く配布され た,② そ の 反 響 は CDC の 予 想 を は る か に 越 え, コ ア o カリキュラムの賛否をめ ぐって議論百出と な っ た.. こ の 小 論 で CDC の 提 出す る コ ア o カ リ キ ュ ラ ム を と り あ げ る の は つ ぎ の 理 由 か ら で あ る. ( 1 ) . 我 国 で は CDC の コ ア o カ リ キ ュ ラ ム そ の も の, な ら び に そ の 議 論 の 内 容 が, オ ー ス ト ラ リ ア の 教. 育文脈との関連で触れられていない,( 2 ) , 現在のところ, コア o カ リ キ ュ ラ ム に つ い て の 幅広 い 共 l i l 通理解ということにはほ ど遠い状況 にある が, CDC 案の基本は, 多文化複合民族社会 (mu t cu ‐ turals i t )への模索という, この国の現在の最大テーマ と関連し, 狩余曲折をた どりながらも, oc e y 今後のオーストラリアの教育へと浸透していくであろうと, 筆者は考えるからである,( 3 ) , 伝統的 に, オーストラリアでは小学校・中学校の知育課程に関する責任・権限は各州 (の教育省) にある と さ れ, こ れま で 国 家 が 関 与 す る と い う こ と は な か っ た, し か し, 今 回 の CDC の コ ア ・ カ リ キ ュ. ラム案は, 教育に対する国家の関与 (国家基準設定への動き) という意味で, オース トラリア教育 史上, 注目すべきことであると, 筆者は考えるからである, 1. パ ンフ レ ッ ト 『オ ー ス トラ リ ア の 学 校 の た め の コ ア oカリキュ ラム』 の内容. CDC は19 75年のカリキュラム開発センター法により設立され, 法定の公共事業機関として目 ざ ましい活躍を続けた. その任務は 「カリキュラム開発業務の企画, 各学校内で使用するための教授. 用o学習用教材の開発, カリキュラムおよび教材機関の委託・援助, そして教材の印刷とマ ーケティ ングの調整」③ であった. (現在は, 1 984年の連邦学校委員会修正法に伴いカリキュラ ム開発セ ン. 63.
(3) . 佐 藤. 有. タ一法が無効となり, 連邦学校委員会の四部門の中の一つに位置づ けられている が, その名称には 変わりがない. また, その機能の面では権限と多様性をより広めている)④. ian Sc i t ral た と え ば, 1980 年 ま で に CDC は, オ ー ス トラ リ ア 科 学 教 育 プ ロ ジ ェ ク ト (Aus ence. Educat ion Pr t j ) ……1969年設立の プロ ジェク トで連邦教育大臣, 連邦科学大臣そ して6つの ec o. 976年 には 各州の教育大臣の構成から成る……をさらに開発するための責 任の譲渡をう けたり, 1 i iaI Pr iaI Educat t j ) を指導し完成させたりし, 社 会 科 教 育 の 比 較 プ ロ ジ ェ ク ト (Soc on Mater o ec. 大規模な業務にたずさわ ってきた.. こつ な が っ て い る CDC か ら, オ ー ス ト ラ リ ア の 公 立 ・ 私 立 の そ う し た 国 家 的 努 力 と ス ト レ ー トひ. 小学校・中学校のすべての生徒を対象とするコア・カリキ ュラム (全国共通教育課程) 案が提出さ れたのである, a. パ ン フ レ ッ ト 『オ ー ス トラ リ ア の 学 校 の た め の コ ア リ カ リ キ ュ ラ ム』 の 目 次. パ ン フ レ ッ トの 内 容 構 成 はつ ぎ の と お り で あ る. オ ー ス トラリ ア の 学 校 の た め の コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム …… コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム と は何 か, な ぜそ れ が必要と さ れ る の. . ページ セ ンタ ー長 の こ と ば. 2. 目次. 3. 序文. 4. な ぜ, い まコ ア ・カ リ キ ュ ラ ム か. 6. 社会の変化. 6. コ ミ ュ ニテ ィ の 教 育 に 対 す る 関 心. 6. 国 民す べて の た め の 教 育. 6. 教 育 分 野 での 改 革. 7. 限 られ た 教 育 資源. 7. 時 代 おく れの 教 科 中 心 主 義. 7. 展望. 7. オ ース トラ リア に お ける 学 校 教育 の 目的. 8. 学 校教 育. 8. 教育. 8. 教 育の 普 遍 的 目 的. 9. オ ース トラ リア の 学校 に と っ て の 目的. 10. カ リ キ ュ ラ ム へ の 実 際の 反 応. 12. コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム 定 義 の 従 来 の 試 み オ ース トラ リ ア の 学 校 の た め のコ ア ・カ リ キ ュ ラ ム コ ア 学 習の 経 験 枠 組 の 作成. 13 14 14 14. コ ア 学 習に お ける 学 生 の 評 価. 15. コ ア 学 習 - そ の プロ セ ス. 16. 知識を系統化する方法, 気質と価値観, 対人及び集団関係, 学習及び思考技術, 技能ないし能力, 表現形式, 実践 コア学習 - 知識と経験の範囲 美術と工芸, 環境学習, 数学的技能と推論, その応用, 社会, 文化, 公民教育, 保健教育科学・技術的思考方 法と実社会への応用, コミュニケーション, 道徳的推論と行動 - 価値体系と信仰体系, 仕事, レジャー, 生 64.
(4) . オ ース トラ リア に お けるカ リ キ ュ ラ ム 問題. 活様式 学校その他機関が果たす役割 学校 学校外の支援機関 カリキュラム作成機関 教員養成と専門技能の開発 研究機関 コ ミ ュ ニ テ ィ ・イ ンタ レス ト・ グ ルー プ カ リ キ ュ ラ ム 開発セ ンタ ー. b. 21 21 22 22 22 22 22 23. CDC の コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム の 特 色. CDC の パ ン フ レ ッ ト の 内 容 は 多 岐 に 及 ん で い る が, 「な ぜ, い ま コ アoカ リ キ ュ ラ ム か」 と い う こ. とを煎じ詰めると, それは 「社会のニー ズ」 と 「個人のニーズ」 の双方を最大限に満たすため, と. し・う こ と に な る, し た が っ て, こ の 双 方 の 課 題 解 決 認 識 か ら CDC 固 有 の コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム の 考. え方 がうちださ れてくるのである.. ま ず, CDC の コ ア o カ リ キ ュ ラ ム の 定 義 に つ い て み る, CDC はコ ア・カ リ キ ュ ラ ム を 「我々 の 学 校 で 学 ぶ す べ て の 子 ども た ち が, 身 につ けて 当 然 な こ と. i i l t と して 期待される, 基礎的 (ba ) で不可欠 ( ) な学習と経験のセッ ト」⑥であると定義 し s c es s en a. ‘ i ia1と い う 冗 漫 な 表 現 で あ る, し か し CDC に よ れ ば「 て い る. こ こ で 気 に な る の は bas c ,essent ,. i bas c. ings は, 他 の 学 習 を お こ な う た め に 必 要 な 基 礎(base)ない し は基 本(foundat ion) な earn ,. i らびに個人 が発達をとげ続けていくために必要とされる基礎 (bas ) ない し は基本 (foundat on) e. iaP1 ings and exper i を準 備 す る 学 習」⑦ と い う こ と で あ り, 一 方, ressent earn ences は, 文 化・経. 済・政治集団, 家族, そして社会での人間関係がスムーズにいくように, すべての者に求められる 学習ならびに経験」⑧ ということになる, 別のいい方をすれば, 前者は「初期の読みの技能ない し能 力, そして集団の中での学習を喜んでする態度」⑨ を培うための学習であり, 後者は「政治過程につ いての知識, 簡単な科学データ を読 み とる技能, または環境問題の理解」⑩ を培うための学習とい う こ と に な る.. i それに して も basic と essent alの 用 語 を 設 定 し て の コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム の 定 義 ならびに説明に. i i は, ひ っ か か り を 感 じ る, と い う の は, bas c と essent alの 内 容 は, 実 際 に は 複 雑 に 相 関 連 し て. おり, 両者の間に明確な一線を引くことが難しいからである,. i ial しか しそ の こ と は, そ の 2 つ の用 語 に よ っ て … … つ ま り bas c に よ っ て 個 人 の 発 達 に, essent. によ っ て 社 会 参 加 に 焦 点 を絞 る こ と に よ っ て … … コ ア ・カ リ キ ュ ラ ム は 「個 人 の ニ ー ズ」 と 「社 会. の ニ ー ズ」 の 双 方 に か か わ っ て い る の だ, と い う CDC の意図が理解 できないということではない.. では, 現在の時点で,CDC はどちらに重きをおいているのかとなると, そ れは後者ということ. i に な る, CDC はつ ぎの よう にも 述 べて い る か ら で あ る, 「コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム は‘the bas cs’と 呼 ‘ ’ ⑪ ば れ る, い わ ゆ る ス リ ーoア ー ル ズ に 緩 小 化 さ れ え る も の で はな い」 , オ ー ス トラ リ ア の 「社 会. は, 読み・書き o 算によって教育された市民よりも, 共通かつ普遍的な理解と共通かつ普遍的技能 ・は筆者) によ って教育された市民をより必要としている ( , さらには, 現代生活への効 果 的な参. 加は, すべての個人の権利でもありまた責任でもある, そうした効果的な社会参加は, 幅広い学習 と経験, 複雑な学習と経験, そして相互に関連した学習と経験とい ったもの が一 体となってうまく ⑫ i いく の で あ っ て, 一 般 的 な‘bas cs’の 考 え を は る か に 越 えた も の で あ る」 . と,. 65.
(5) . 佐 藤. 有. つぎに, カリキュラムの編成ならびに教育方法に関して CDC は総合学習主義の立場をとってい る. これは, 教科中心主義は時代おくれであり, 学習者の興味・関心を尊重するものではないとい う 認 識 か らと られ て い る. し た が っ て, コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム を, 単 に項 目 的 シラ バ ス と して 示 す の. ではなく, 学習者の経験や活動や過程として表現することに力をそそし・でいる⑫. たとえば図表① ⑭ にみられるように 諸教科とは一致しなし・7つの学習過程 つまり技能・態度・手続きについての , , グループと, 児童・生徒によって獲得されるべき知識・経験の元となる9つの分野の提示がそうで ある. しかし, こうした学習者中心のカリキュラム編成ならびに教育方法も, 9つの知識・経験の分野. の設定というこ とからもうかがえるように, 一方 では常に社会のニー ズとの結合 が意図されている こ と は い う ま でも な い. CDC に は 「単 に 教 科 目 を 羅 列す る だ け で は, コ アoカ リ キ ュ ラ ム に と っ て. 必須要件のひとつを欠くことになる, 即ち, 教材, 教授学習過程, 学習環境を, 現代社会ならびに 学習者の双方の特徴とニーズとに結 びついている, 一連の目的o原理o価値を中核にして組織する ことが必要である」⑮という認識があるからである. さらに, CDC のコア・カリキュラム案は, 全国共通教育課程設定への動きとも考えられる, 確か に, CDC は「知識と経験に関する9 つの分野は, いろいろなやり方でグルー プ化したり, 相互に関 コア学習環境. 育の目的 オースト 育 的1 び学校 の目 よ 教 オ ー射ラリアの教育および学校教 そ F『. 図1. 学習 プロセス. 楚 学 亀 護 秀. 憲厳. な L 表現形式 実践 い 努 齢養護 議事鷺 捷. 1 、 :、 ・ 美 . 日. も. 社会・文化・ 公民教育 ′. ョ. 知識と経験の分野. 6. 1. 6. 校が選択L , 鳩- コア・カリキュ ラム すべての生徒 66. 拶 β. .
(6) . オ ース トラリア にお けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題. 連づ けることができる, 教授に向けて, それらをどのように組織するかは本論文の主たる 関心事で はないが, すべての学校にと っては自分たちのカリキュラムを編む際には関心事となるであ ろう」. ⑮ と し 学 校 (やコ ミ ュ ニ テ ィ) が 自 分 た ち の コ ア・カ リ キ ュ ラ ム を 作 成 す る 自 由 を 認 め て い る が , ,. それはあくまで CDC が設定す る9つの分野の媒介変数内という一定枠内での自由だからである,. 11 オ ー ス ト ラ リ ア に お ける コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム の 流 れ … … <教 科 中 心 主 義〉 か ら 〈総 合 学 習. 主義十全国共通教育課程〉 へ 第2次大戦後のオーストラリアの教育課程は, コア化への道をた どって進行しつつある, といえ ion) leducat る. ここでコア化という場合, それは( 1 )教育課程の内容としては, 一般教育(gene ra 2 )教育課程の編成ならびに教育方法として は総合学習主義,( の性格,( 3 )教育課程の基準ということ では国家基準設定の動き, といったそれぞれの性格を合わせもとうとする流れを意味する,. ク リ ッ テ ソ デ ソ は, 戦 後 の オ ー ス ト ラ リ ア 教 育 の 理 念 の 変 遷 につし・て 整 理 を お こ な っ て い る.⑰. それは, 上述した視点か ら戦後オース トラリアの教育課程の提言の流れを押えようとする場合, 参 考となる, そこで, 以下は氏に学びながら戦後オーストラリアのコア化の流れについて素描する, ま ず, 1957 年 に 『ニ ュ ー・ サ ウ ス o ウェルズ中等教育調査委員会報告』(委員会の議長名をとり. , ワインダム報告とも呼ばれる) が, ニュ ー o サ ウ ス o ウ ェ ル ズ 州 か ら提 出 さ れ て い る, こ れ は, 戦 後のベビー・ ブームと計画的移民政策に伴い, 中等教育へと進む者の数が増大し, それまでの高等. 教育機関への進学者向 けの学問的カリキュラムでは, 多様な生徒の興味o関心・能力に応じきれな い, また他方では, 産業の発展は職業構造の多様性と労働者の高度な教育を要請する, とし・った現 実を反映したものであ った, 同報告書は一般教育 の共通学習を提唱している. しかし, その共通学習は, 諸教科の論理を重視. す る も の で あ り, 実 質 的 コ ア の ア ウ トラ イ ン を つ ぎの よ う に 描 い て い る,. ①英語. ②社会 ③科学 ④数学 ⑤音楽, 美術, 工芸 ⑥保健 ・体育 ⑦宗教教育 こうした共通科目は, 自己の能力や後の進路の如何にかかわりなく, すべての者にとって無視で きない思考や経験の領域から成りた っているのだ, という認識がこの報告書にはみられる.. 1977年と1 97 8年には, タスマニア州からそれぞれ報告書が提出されている, 『タスマニア にお ける中等教育報告(RSET)』(タスマニア中等教育委員会)と『タスマニアの教育 -- 次の10年間 (NETD)』(NETD 委員会) がそうである. 前者の委員会のねらいは, 学校の プログラムならびに組織, とりわけ中等教育の前期4年間 は将 来どうあるべきか -- 一般教育 に力点をおくべきか, 職業教育に力点をおくべきか 一一 について. コメ ントすることであ った, その報告書は, ワインダム報告に比べ, 総合ないしは統合的な領域に おける共通学習を, より位置 づ けている, すなわち, 教科学習の他に活動と経験の共通カリキュラ ム を 提 言 し, ト ピ ッ ク 学 習 を も と り 入 れ よ う と し て い る, そ の ア ウ ト ラ イ ン は つ ぎの と お り で あ る.. ①言語. ②数学. ③自然環境の調査・研究. ④社会o文化環境の調査・研究. ⑤芸術 (美術, 音. 楽, ドラマ)o工芸 ⑥青年問題 ⑦体育 また, 後者の報告書でも, ワイ ンダム報告, RSET 同様, 中等教育の任務 は生徒に一般教育 を. 与 え る こ と であ る こ と を 承認 して お り, し か も そ の トー ン は 一 段 と 高 ま っ て い る. コ ア o カ リ キ ュ. ラムについても, 一般教育の中心部分であり, オーストラリア文化に生きるすべての者が経験し学 67.
(7) . 佐 藤. 有. ぶべき観念, 技能, 価値である, と定義を下し, 教科枠を取りはずし, 初等学校, 中等学校双方に お け る コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム の た め の, つ ぎの 三 つ の 広 い 学 習 領 域 を さ し 出 し て い る.. ②効果的にコミ ュニケイ トする ③人間の高貴さの水準を高める D C 案では, すでにみたように, 9つの 「知識と経験の分野」 ということにな C これが1980年の ①効果的に考える. る. CDC 案 は, 統 合 性 な い し は 総 合 性 に おし・て, NETD の も の よ り も 後 退 し て い る. し か し そ れ. は, CDC が国民の反応を考慮に入れて現実的対応をしたためと, 筆者には考えられる.. ワイ ン ダ ム 報 告, RSET, NETD は, い ず れ も 州 レ ヴ ェ ル で の 勧 告 だ が, CDC 案 は 国 家 レ ヴ ェ. ルの勧告である. 高等教育は別として, 国家の小学校・中学校教育のあり方への関与は, この国で は み られ な か っ た こ と で あ る.. 111 コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム 議 論 を 刺 激 す る 要 因 … … そ の. け. CDC の コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム 案 は 現 代 オ ース トラ リ ア の 課 題 に 応 ず る た め に 提 出 さ れ た わ けだ が,. その提出によ って, 現代の課題をめぐる議論はコア・カリキュラムと結 びつけられてより激しくな されるようになった. そうした課題の代表的なものとして, 若者の失業問題と 「学校に基づくカリ キ ュ ラ ム 開 発・編 成」 (school. lopment based curriculum deve ) が あ げ ら れ る, こ の 両 者 は, 相. 異なる性質のものであるが, これらの問題解決のために社会から要請される教育努力は, とも に基 礎学力の充実ということで共通している,. 若者の失業問題 ⑩ 図表②⑩ , ③ はオーストラリアの失業に関する データ である, 前者の図表 が示すように, オー ス トラリアの 失業率 は1 974年 と1975年 を境 にして 急激 な高まり を示 して い る, とり わ け若者. (15 ‐-19歳) の場合は顕著である. 図表③にみられるように, そうした失業率の高さは今日でも継 続 して い る.. ここで注目されるのは, 10代の青少年の失業率 の際立ちである, というのは, この国では前期 中等教育修了で技術訓練 (学校教育には含まれていない) へ進む者 が多い上 に, たとえ進学したと. しても, 後期中等教育修了証書取得試験を受験することなく途中で学校を離れる者も職を見つ けよ うとするため, 青少年の失業問題を どう受けとめ, どう解決しようとするのかということは, 大き な議論となるのである. そうした議論のひとつの立場は, 若者の失業率の高さの原因は, 教育なら. l i 図② (Unemployed as Percentage of Civi ) an Labour For ce Aus l i t ra a. Age Year. l965. 15一19. 1975. 2.8 4.2 10.I. 1979. 17.0. 1974. 20-24. 25 and over. AI 1 ages. Source; Aus l ian data are taken f t l ian Bureau of Stat ra t i i rom Aus t ra s cs , The Labour Force , Canberra: ious dat Var es . 68.
(8) . オ ース トラ リア に お けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題. 図 3 UNEMPLOYMENT RATES (THEUNEMPLOYMENTIN EACH GROUPASA PERCENTAGE ) IAN LABOURFORCEIN THESAMEGROUP OFTHECIVIL Pe t rcen. M I S D M J S D M J S D M J S D M J S D M J ・ 1 1 9 3 1 9 8 4 1 81 9 82 8 9 1 98 0 I 97 9. びに訓練の質の低下, すなわち, 教育や訓練が生産労働 が必要とする技能の水準に応じきれていな いとする立場であり, いまひとつは, 若者の失業問題は教育問題と直接に関係 がないとする立場で. ある, 9年には教育, 訓練およ び雇用 に関する報告書 が若者の失業問題に対処 前者の立場からは, 197 するための諸提言を盛り込んで連邦議会に上程されている, また, 1981年には言語o数理技能の習. 得に重点をおいたコア o カリキ ュラムの全国導入の提案を盛り込んだ報告書 が上程されてし・る, こ れらの報告書は, 基礎学力の充実, 質のよい労働力の供給ということにス トレス がおかれている.. 2 )雇用者は若年労働者 1 )教育の少ない者ほど失業状態 が高い,( こうした主張 がなされる背景には,( という議論が多く存在する 教育水準が低下している パ だいている ( 3 ) ーマンスに不満をい フ の ォ , , ということが考えられる, こうした見解に対し, 後者の立場からは, 逆の見解が出されている. レヴィ ソに代表させるなら ばつ ぎのようになる,⑳ 教育期間の長い者が短い者よりも, 失業 に直面することが少ないという ことは一 般にいえるこ とである, また, 現代社会の労働 が複雑となり, これまでにも増して高い技 能 を 要 求 して い る こ と も 確 か なこ と で あ る, しか し, そ れ ら二 つ の こ と が い っ し ょ に して 語 られ る. となると, 青少年の失業の原因は, 増加する知的労働の場にあっての労働教育に欠ける若者の増 加 にあると結論 が出されるためのスモールステ ッ プと なる, そ して多くの仕事 があ るにも かかわ ら ず, それを満たす質の高い者が少ない, ということになる, しかし実際には仕事の数の方が少ない のである. また, 最初の仕事のレヴェル が青少年にと って果して高度かどうかも疑わしい, という の は, オ ー トメ ー シ ョ ン の 効 用 の ひ と つ は 仕 事 につ い て の 非 技 能 化 と い う こ と で あ り, 多 く の 場 面. で人間の判断にとって代るようになっている, 青少年の仕事への熱心さの欠如や職を辞める率の高 の さ は, ル ー テ ィ ー ン 化 と 出 世 の 展 望 が 見 い だ せ な い こ と によ る, チ ャ レ ン ジ 精 神 の 欠 如 に よ る も 、. かもしれないのである. 要するに, 失業問題には教育的要因よりもより本質的諸要因 -- 青少年 69.
(9) . 佐 藤. 有. の人口膨張, 経済状況など -- が横たわっているのだ, と. 筆者も, レヴィ ソがいうよう に, 青少年の失業問題 を教育問題と短絡的に結びつけることにはう な ず け な い, とし・う の は, オ ース ト ラ リ ア の 場 合 失 業 爆 発 は1975 年 に 突 如 と し て 始 ま っ た の で ,. あり, 長期にわたる教育の質の低下に伴 って発展してきたと は考えにくいからである , しかし, 失業 問題と結びついたコア・カリキュラムの議論で重要なことは 中等教育はも っと職 , 業教育を深めるべきか, それとも一般教養面 を深めるべきかとし・う 教育の根本問題と結びつし、て , い る こ と であ る.. また, 近年, オース トラリアでは第11~12学年に進む生徒が増 えつつある. それに伴し・ 中等 , 教育の内容を どのよう に編成していくのかということ は まさに今日的な議論なのである⑮ , . b 「学校に基礎をおくカリキュラム開発・編成」 問題 「学 校 に 基 礎 を お く カ リ キ ュ ラ ム 開 発・編 成」 (school i lopment -based curr )に つ い て culum deve の 定 ま っ た 定 義 と い う も の はま だ な い.⑩ こ こ で は カ リ キ ュ ラ ム の 開 発・編 成 は 教 える 者 が 教 , , ,. わる者ならびに教わる者の環境とを十分 に熟知しておこなわれね ばならな い 言い方を変えれ ば , , 教える者と教わる者とが居合わせて いる地域 (空間) でおこなわれねばならない という考え方 の , もと におこなわれるカリキュラム開発・編成ということにしておく, この 「学校に基礎をおくカリ キ ュ ラ ム 開 発 ・ 編 成」 に か か わ るコ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム 問 題 は オ ー ス トラ リ ア の こ れ ま で の 教 育 行 ,. 政の性格と 不可分に結 びついている,. いうま でもなく, オース トラリアの教育行政 は, 各州教育局の中央集 権的な官僚統制 を伝統と し, またそれを最大の特徴としてきた, 広大な領土と地域 によ っての人口疎密の著しい 異なりを共 有とするこの国で, 教育の機会均等, 教育の水準 の維持が保たれてきたのは そうした中央集権的 , 性格のたまものである, とこ ろが, 197 0年代に, それまでの前期中等教育修了証書授与 のための外部試験(州の試験機関 コミユニテイ が実施する統一的な学外試験)廃止に伴 い 州の権限の一 部を各学校(地 域)へと移譲す る現象が ,. お こ っ た, そ れ は, 1970 年 代 オ ー ス ト ラ リ ア 教 育 の 顕 著 な 特 徴 の ひ と つ で あ る こ の 移 譲 に よ り , ,. この十数年の間に, 小学校・中学校で は目をみはる変化がおこっている ,. 小学校において は, オー プン教育等 の進歩的な考え方の刺激 により カリキュラムの広域化 教 , , 科の統合, 教師と生徒間の統合 (ティ ーム・ティ ーチング) さらには様々な教育資料・教材の配置 とそ の利用 が なされるよう になった,⑳ 中学校において は ア ジア メ ディ ア研究 ならびに環境 , , , などを学ぶ新 しい教科, 学校外活動(日本でいう勤労体験学習 キャ ン プ 演奏) 個人差に応ずる , , , 活動を主とす る探究・発見学習などが幅広 く用意され 学校間の特色がめだつようになった , , こうした自主編成 は小学校ではまだ板 についていないものの 中学校では自 分たちの プログラム , を自由 に決定する実績をある程度つく ってきている, これは オーストラリア教育史上 注目に値 , , すべきことであ る. そ う し た 「学 校 に 基 づ く カ リ キ ュ ラ ム 開 発 ・ 編 成」 に 対 し い ま ひ と つ の カ リ キ ュ ラ ム ・ デ ザイ ,. ン の モ デ ル が1970 年 代 に 出 現 して い る. そ れ が コ ア ・ カ リ キ ュ ラ ム で あ る こ の 両 者 の モ デ ル は . ,. 当初は, 多くの解説者 によって相対立するもの, すなわち デザインの理念ならびにア プローチの , 方 法 が 対 立・す る も の と して と ら え られ て い た. そ う し た い き さ つ を ス キ ル ベ ッ ク はつ ぎの よ う に述 べ て い る⑩.. コア・カリキ ュラムは, 教育行政にかかわ る者の立場からは蔓延す る「学校に基礎をおくカリキュ. 70.
(10) . オ ース トラリ ア にお けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題. ラム開発o編成」 の解毒剤ならびに教師や学校を支配下 に置くための手段として出された. それは こうし・うことである, 高度に中央集権的で規範的な州やカ ソリックが支配的な地域での移譲は比較 的急速であっ た. そのためカリキュラム決定についての移譲が急速 におこなわれ, それが急激 に拡 大していくことに対する懸念は, 実際に問題となる明白な事実が実在する以前に, すでに教育行政 に携わる者によって抱かれていた, というのは, 自主編成を進めて いく上での教師の力量ならびに. 熱意が欠如しているよう に思われたからである, また, 「学校に基礎をおくカリキュラム」の提案者 たちの多くの要求に対し, サーヴィ スや支援をしたり, 主導を発揮することが求められ, もし事が. うまくいかなかったりした場合には政治的責任 をとらね ばならないからである, こうしたことが過 敏な対応をとらせる引き金となり, 組合批判がおこなわれた, さらには児童o生徒の学力低下の傾 向 に 対 す る 一 般 か らの 批 判 の 声 も 加 わ り, カ リ キ ュ ラ ム を 学 校 の オ ー ト ノ ミ ー にま かせ る べ き か ど. うかということは, 1970年代末にあっては深刻な社会問題であった.. こ う し た 状 況 の 中 で, 新 し い コ アoカ リ キ ュ ラ ム の 考 え が,ス キ ル ベ ッ ク を セ ンタ ー 長と す る CDC や州 レ ヴ ェ ル の カ リ キ ュ ラ ムoブ ラ ン チ によ っ て 打 ち だ さ れ る よ う に な っ た. そ れ はコ アoカ リ キ ュ. ラムと 「学校に基礎をおくカリキュラム開発o編成」 を対立関係としてと らえるのではなく, 相互 依 存 的 な も の と して と ら えよ う と す る 考 え で あ り, 『オ ー ス トラ リ ア の 学 校 の た め のコ ア・カ リ キ ュ. ラム』 にも反映されている, 具体的には, 国家的レヴェルの一定の枠を設 けつつも (しかも, CDC は, その内部の「学校に基づくカリキュラム開発o編成」 援助システム研究グループに, 学校内, お よび地域でのワークシ ョッ プで用いるための教師用および地域教育用 の多様な教材を開発させたり し, 指導性を発揮して いる) , 各学校 (地域) に自分たちのコアoカリキュラムを決定する自由を委. ねようという考えである.. こ・ う し た CDC の 案 を め ぐ っ て, - - そ れ は 国 家 統 制 を 強 め る も の で あ る な い を め ぐ っ て ,. --新しい 議論 が展開されるのである,. IV. コ ア o カリキュ ラム議論を刺激する要因……その ( コ. コ ア 9 カリキュラムをめぐっての議論は 前章で述べた要 因とは別の要因によっても活発化され , ている. そして, この別の要因こそが先に述べた諸要 因の要因となっている側面もあり, しかも , 今後のオース トラリア社会のあり方との関連で, も っとも重要なことである, と私は考える, それ l i l lsociety) 模 索 と い う 要 因 で あ る, t t は多文化複合民族社会 (mu cu ur a. オ ー ス トラ リ ア の 移 民 の 流 れ の 変 化. ⑳ 図④⑮ , ⑤ は移民国家として大きく躍動する若い 国, オーストラリアを伝えている, 前者は移 民者でオース トラリアに定住を決めた者の数と出身国を示している, 近年の著しい特色は (東南). アジア諸国からの移民が急増していることである, また, この図表には示されて いない が, 移民の 出身国は1 00ヵ国以上に及んでいるのが現実である. 後者は大都市メルボルンにお ける人種地図で テリトリー ある, Age紙の見出しが表わすように, 種々の人種がモザイ ク 的にそれぞれの地 域を構成してい テリトリー る, こ の 地 図 に は 示 さ れ て は い な い も の の, 他 に も ベ ト ナ ム 系 ユ ダ ヤ 系 イ ギ リ ス 系 等 の 地 域 , ,. も存在していることは確かである,. 今 日 の オ ース トラ リ ア は, ア ン グ ロニケ ル テ ィ ッ ク (Anglo-Ce l i t c) 文 化 を 主 流 と し な が▲らも 確 実 71.
(11) . 佐 藤. 有. 図④ SETTLERS ARRIVING BY COUSTRY OF LAST R1SIDENCE Per cent. Number Sounth Af i r ca....,.........,....,...............,.. 0ther Af i r ca ..,....,..,........,..,............... TotaI Af i r ca .....,.....,..,....,....,..... Canada..,......,......,.......”.....”,.......,,. U. S.A,..,........,......,......,........”.....=. i 0ther Amer ca ...” ””.” =,..,..,.....”,.,,.,,. TotaI Amer i ca ...,,..,.,,.,,.”,.” ””,,. Bang ladesh l d i P i Lanka ”” ”,. tan and Sr s , n a , aki 1ndones ia ”.””,.”.”,.”.” ”,“,” ”,.”.”.”. Lebanon M 【 lays i a ngapore a and S1 Ph i l i ines = ” ”.”.”,..,” =.,,...,..,.” ””... pp Thai l and ,..,.,,..,...,,..,.,,..” ” ”.,,.”..,..,. Turkey 0ther As i a. 1,440 2,630. 2,650 1,860. 1.4 2.5. 3.4 2.4. 4,070 1,930 3,240. 4,510 1,220 1,960. 3.9 1.8. 5.8 1.6 2.5. 4,660 9,830. 1,600 4,780. 3,710. 2,070 2,620. 80 3,130 i,660 480 110 2,570 3,250. 3.1 4.4 9.4. 2.O 6.I 2.6. 700. 3.5 0.1 3.0. 5,620 3,750 6,030. 1.6 0.5 0,1. 550. 2,4 3. 1. 7.7 0.7 8.5. 3.3 0,9 7,2 4,8. i Tota I As a ” ”.,,.=....,...”,..,...,,.., U.K.and l l re and .”..”.”.”....” ” ”......”..,. 14,990. 6,640 17,980. 14,3. 35.7. 19,580. 43,9. Aus i t r a.,,.”.,,...,..,...”,,.,..,.,”,......,..., Germany ,.” ”,,.”..,..,..,..,“,.”...,.”..,.... 46,100 1,550 2,160. 1,380 3,840. 1.5 2.1. 25.○ 1.8. 3,220 2,890. 630 610. 3.8 2.8. 4,550 9,170. 1,470 5,990. 4.3 8.7. 69,640. 33,500. 66.3. 4,700. 6,170 1,440. 4.5. Greece ,...,...,..,,..,,..,..,.....,.,....=..,.... 工 l ta y .,.=.........,...,...........,......,..,..,., Yugos l ia ....,..,....,...........,..........,..., av other Europe..........,..,..,.....,...,..,...,..., TotaI Europe.”..,..,.”.”.,,,”,...,,... Jew Zea land other ocean la. ,. Total ocean ia .”..,.”,.” ”.“.”,.”.... 1,780 6,480 lo. 7,610 lo. Total,.=.,,..,.”..,..,..,”,.,” ”” ””. 105 000 ,. 78,390. Not Stat ed. 4.9 0.8 0.8 1,9 7.6 42.7. 1.7 6.2. 7.9 1.8 9.7. 100.0. 100,0. に多彩な文化をもち合わせるようになりつつある, かつての 「白豪」 政策からの移民政策の 転換と そ れに伴 う移 民の質 的構成の 変化 は1960年代 に顕著 となった, つま り移 民政策 は同化 (Anglo. Con formi t ) から統合 (移民民族集団の文化的貢 献を認め, それらを加えて新しし・オーストラリア y 文化を創 ってし・こうとする試み) へとアクセントが移された. これが70年代になると, 「白豪」 政 l i l i l t t 策の撤廃と多文化主義 (mu ra u sm)◎ が唱えられるようになる. cu こうして, 多文化複合民族社会を どう つくり上げていくのかということは, 今日のオーストラリ. アの最大重要課題であり, そのために貢献すべき学校の役割り が, 当然, 要請されるということに な る.. 72.
(12) . . オ ース トラ リア にお けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題 図 5. IS ETHNIC MIX MELBOURNE. 圏瞳 臓 鵬 - -. 霞 翻雛祭 瞳翻圃鷹圃 ・瞳園饗 . …L - D. 鰯灘膿臓蟻圃慶圃瞳警醒髭当 L E E Y 圭 ぎ 美 嚢 滋 養 激震 瞳 瞳 霊 園圃麗 曝 露駿選 ≧ A 1 L Y D L E 豪L … 講 捷繊麗 謙蔑 掌 蓋灘s 騒 擾溺愛馨 PLBSTOW← E----一--. 選瞳離郷一 圃臓臓 犠i 薯 瞥 …. 圏 MALTEsE. 圏 GREEKs. 図 mm。 -目 WG 。鮎. ≠ FRANKSTON≠ ・ ′ - ‘ ≠ ≠CRANBOURNE. I NG 流Nヂ ド M器N 考 驚 喜 1 董 圭 i l 主 義 1 霧 ,. A s G s T 1 N …* 棚 日 量 =… b. 多文化複合民族社会模索としてのコア o カ リ キ ュ ラ ム. パ ン フ レ ッ ト 『オ ー ス トラ リ ア の 学 校 の た め の コ アoカ リ キ ュ ラ ム』 が 提 出 さ れ た 当 時, CDC の. センター長であ ったスキルベックは, 激動する社会への学校の積極的な参加を強調し, つ ぎのよう. に言し・き っ て い る, 「… … 我々 の 関 心 は, カ リ キ ュ ラ ム そ の も の を 社 会変 化 と して み る こ と で あ る,. つ ま り, カ リ キ ュ ラ ム を 学校 内 に 与 えるイ ン パ ク ト と 社 会 に 対 す るイ ン パ ク トの 両方 で み る こ と で あ る, 社 会 変 化 がカ リ キ ュ ラ ム そ の も の に 対 し て 与 え る イ ン パ ク ト を 述 べ る こ と で は な い」⑭ と, io - cul l map) と い っ たメ タ フ ァ ー tura ま た ス キ ル ベ ッ ク は, カ リ キ ュ ラ ム を 社 会・文 化 地 図 (soc. で説明しようとしている, つまり, そうした用語で 「カリキュラムの定義, 企画, 開発は, 社会的 かつ文化的秩 序の分析, 解釈そして実に改造を意味する」⑳ とし・うことを表わそうとしている. で は, ス キ ル ベ ッ ク は ど の よ う な 社 会 改 造 を 考 えて い る の か と な る と, そ れ は, オ ー ス トラ リ ア の 文. 化エトスを多民族社会の混合の中から練り上げていくこと -- 遠い見通し -- を保障するための まずは「共通化した知識の 生成」-- 近い見通し -- ということである. ここには, まとまりなく しては国家はやっていけない, という認識がある. そうした 「共通化した知識の生成」 のため (の 73.
(13) . 佐 藤. 有. 枠づくり) への努力ということは, 主要教科を核とする共通カリキュラム (コア・カリキュラム) をつつみ込んでの, 広い意味での共通カリキュラム (コア o カ リ キ ュ ラ ム) へ の 努力 と い う こ と に な る の であ る.. 実 際, CDC の パ ン フ レ ッ ト で は, コ ア に 求 め られ る 要 件 の ひ と つ と して 「わ が 国 社 会 の 多 元 的・. 複合文化的性格を認め, 各種の集団や下位文化 (サ ブ・カルチャ ー) 間の相互作用や自由なコミ ュ ニケーションを尊重する文化社会的な統合体系を追求すべきである -- 共通の複合文化」⑳と述べ ているのである, つまり, CDC のコア・カリキュラムは今後の多文化複合民族社会の深化というこ との前提に立ち, その前提を成立させるための条件 (共通化した知識の生成) を求めているのであ る, i こ う し た 文 脈 か ら, 第 一 章 で み た 「コ ア・カ リ キ ュ ラ ム は‘the bas c’と 呼 ば れ る, い わ ゆ る‘ス ’ ⑩ リ ーoマ ー ル ズ に 緩 小 化 さ れ える も の で は な い」 , オ ー ス トラ リ ア の 「社 会 は, 読 み.書 き。算 に. よって教育された市民よりも, 共通かつ普遍的な理解と共通かつ普遍的な技能によって教育された ⑩ 市民をより必要としている (oは筆者)」 , と言うパ ンフレッ トの文をいまいち ど読むとき, 多文化. 民族社会への脱皮のための教育的努力としてのその内容が浮きあがってくるのである,. しかし, こうした共通枠への考えは, 1970年代末ころから -- 移民にたいする配慮の欠如とい う反省から --一 重要な教育政策のひとつとして位置づけられている, 多文化主義(ないしは多文 i l t turaledu i 化 教 育 = mul t cu ) に相通じる部分を内包しており, それ故に, それを支持する者 ca on にとっても反対する者にとっても, 議論の対象となるのである. つまり, 共通知識なるものがはた して存在するのか, そうした枠を設定すること自体が多文化主義を否定すること ではないかという. ことをめ ぐって賛否の議論が展開されるのである.. V. 結 びにかえて. CDC か ら 提 出 さ れ た コ ア・カ リ キ ュ ラ ム 案 は, 現 代 オ ー ス トラ リ ア 社 会 の ニ ー ズと 学 習 者 の ニ ー. ズ に積極的に応じようとするものである.. 後者にかかわ って は, 学習者の興味・関心を重んじ, 発見学習, 総合学習な どの教育方法 の採用, 教育内容の多様化ということである. 前者にかかわ っては, ①教育と雇用, ②学校 (地域) に基礎 をおくカリキュラム開発o編成, ③複合文化社会への模索, とい った諸問題とのとりく みである. 上の諸問題の中で最も重大なものは③である. ①, ②の問題の由来は, 急激な移民にも求めること が できるからである. また, そうした移民政策に多くの批判があるものの⑩ , 多文化複合社会への ベク トルの向きが変わる可能性はまず薄いと考えられるからである. 移民とそれに伴う労働力の獲 得 と い う こ と を 抜 き に して, こ の 国 の 発 展 は考 え に く い の で あ る.. 多文化複合社会への脱皮という試みに教育の レヴェルで深くかかわるのがコア・カリキ ュラムで. ある, すなわち, オース トラリアの文化ェ, トスを多民族社会の混渚の中から練 りあげていく際に, 国家の分断・分裂を防く た め にナ シ ョ ナ ル ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ も 要 請 さ れ る の であ り, そ れ に 応 じ よ う と す る も の な の で あ る,. で は, CDC の コ ア・カ リ キ ュ ラ ム 案 が オ ー ス トラ リ ア の 小 学 校, 中 学 校 に 実 際 に は ど の 程 度 浸 透. しているのかとなると, さほ ど浸透していないのが現実のようである. 昨年1月, 東京にてジェイ. ム ス ・ エ ドワ ー ド・タ ンス タ ー ル 氏 (ク イ ソ ズラ ソ ド州 教 育 主 任 教 育 官) にう か が っ た 折 の 話 で は. 「全国にわた って具体的に調べてみないとわからないが, CDC の提案は強制力を持たぬため, 広く 74.
(14) . オ ース トラリ ア に お けるカ リ キ ュ ラ ム 問 題. 受け入れられていることを期待できない」 とのことであ った, にもかかわらず, 移民を承認し, 多文化複合社会への模索を続けるかぎりは, コア o カ リ キ ュ ラ. ム の 問 題 は, 1980 年 代 オ ー ス ト ラ リ ア の 中 心 テ ー マ と い う こ と に と ど ま ら ず, 永 続 す る テ ー マ で. あると著者には思われるのである.. 本研究ノートの作成にあたり, 加藤幸次先生 (国立教育研究所) ならびにオーストラリア図書館には資料の面でお 世話 にな っ た. この 場 を借 りて 感 謝 の 意 を 表 し たい,. (1986 .5 , 7). 〈注〉 ① CDC自身は, このパンフレットを論文 (Pape ) として扱っている, r ② このパンフレットは国外にも広く配布された.. ⑨. Cur i lopment Cent i ia I Program l979/i980一1981/82 enn r cul um Deve r e ra .1 . , Tr , Canber , CDC,1980 ,P i Cur lopment Cent R l d o i C b CDC 1 9 8 5 t r um Deve cul r r r r n e o e a n e a o n s a e a p , , , , , i lum for S 『オ ース トラ リア の 学校 の ため の コ ア・カ リ キ ュ ラ ム』 (“Cor l r e Cur cu ) は 『海外教科書 choo s”. ⑥. Cur i lopment Cent i lum for Aus ian Schoo l t r cul um Deve r r ral e cu s , ,Core Cur ,Canberra ,CDC,1980 ,P,4. ③. ④. , 事情視察団報告書 オーストラリア ニュージーランド』財団法人 教科書研究センター ( 1 98 1 )年 において, ほんの一部を除いて翻訳されている, しかし, 本小論の作業を進める際, それらの省略部分は無視できない内容 を含んでいる, したがって, 以下, 省略部分の引用にあたっては原文のタイトルで註を記入している. また, 翻 訳されている部分については, 引用の際, 読み易くするために修正を加えている,. b i d ⑦ i . i b d ⑧ i .. i b d ⑨ i , bi d ⑩ i . bi d ⑪ i ,. i b d ⑫ i , ⑩ と な り の ニュージーラ ン ド で は198 i lum for 4年3月 に, 文 部 省 か ら”A Review ofthe Core Curr cu l Schoo s“ が 出 さ れ, カ リ キ ュ ラ ム の 検 討 な ら び に 新 提 案 が お こ な わ れ て い る. ま た イ ギ リ ス に あ っ て も 1976. 年以来, 教育科学省, スクールズ・カウンセルによって, コア・カリキュラムは一貫して議論の的となっている, しかし両国の提案は, シラバス, 時間割りを盛ったもので項目的である. ⑭ 『海外教科書事情視察団報告書 オーストラリア ニュージーランド』 財団法人 教科書研究センター (1981 i l 年) 69頁 (”Core Curriculum for Austral ). an Schoo s” P,20 i b i d 13 ⑮ 同上 64頁 ( ) .P . . i i d b 7 ⑯ 同上 68頁 ( ) .P .1 ,. Br ian Cr i t t ian Educat ion, Austral t ian Counc i I For Educat ion enden ral s Aus , Changing ldeasi Research 1 9 8 1 P P 2 9 ÷ 5 3 , , . ‐ . Br i i l I P1 i t t i tura l [ lbourne Un i i ty Pres an Cr enden ural sm and Common Cur r cu un ・ e ver s s , Cu ,肘 ,1982 , P. 3 .. ⑰. in Henry M,Lev ionaI Consequencesin Pe t くarme l (ed), ter l oyment and l s Educat , Youth Unempl Educat ion C h d S A i l i C i lf t t E d i I R h ( 1 9 8 1 P 2 0 8 n t a e a n o c e u r s a a n o u n c r ) 原 g o u c a o n a e s e a r c y , , . 資料で , , .. ⑬. はアメリカ合衆国の失業率とを比較した図表となっているが, ここではオーストラリアの部分のみを抜き出し. ⑲. た, Year Book Aus i t ral a . ,1985 , P,127. Henry M, Lev i i t n ,c , , ,op , P.207-226 i Educat ion th Depar on News tment of Educat ,Journal ofthe Commonweal , Volume l9 Number 4 l Ju y l985, P.44 参 照.. ⑳ ⑪. 75.
(15) . 佐 藤. 有. i lum Deve l l- Based Curr opment ⑫ Schoo cu , , P.11 , OECD,1979 ” “ i i i l i l i A l i i ÷ ÷ ÷1990:cont t k i l b k C l l lm s ec , urrcuum ssues n ustra a, 970 ext e c esand Prac ces〔1〕, ⑩ Ma co ,o. Compare ume ll . ,1981 , P,68 , Vol , Number l P ih T i 小 学 校 で ⑩ 下の写真はJamson own , オ ー プ ン・ ス ペ ース を 有 して い る, enrt, 外 に 位 置 し, 450名 の 児 童 と 20名 の ス タ ッ フ か ら 構 成 さ れ て い る. (写 真 は ニ ュ ー ・ サ ウ ス ・ ウ ェ ル ズ 教 育 出 版 の‘Jami son Town Pub l i l’ cS choo. 出版年は記されていないが19 85年と思われる -- より借用) . いまひとつの写真は, シ i l であ る. こ れ は, ニ ュ ー ・ サ ウス ・ ウ ェ ル ズ教 育省 の ドニーの南方のはずれに位置する Banger Publ c Schoo 4年設立 一一 である, (写真はニュー・サウス・ウエルズ教育省出版 手による初の太陽熱を利用した学校 --198 l i l’ 出版年度の記はないが19 85年と思われる -- より借用) の‘Banger Pub cS choo . 上の二つの学校に みられるように, カリキュラムや教育方法にとどまらず, 建築や設備の面でも変化がみられる.. l i I jami son Town Pub c Schoo ⑮. l l i Banger Pub c Schoo. Year Book Aus i t ral a . ,1985 , P,96. ⑳ The Age紙19 85年1月, この記事が何日のものかは, 著者の資料整理のまずさのため確認できない. ⑰ この用語は様々な意味を込めて使用され, 共通の定まった定義を得るまでにはいたっていない, しかし, 実際 の活動のレヴェルでは, それは, 多元主義の立場に立ち, 異文化の受け入れを積極的に進めているとし・うのが現 状である. i くarme l(ed) l i ions of Soc ia I Change for the Cur beck, The lmP1 l lm ski r cat culum in Peterl ⑳ Ma co , i i lfor Educat iona I Research i l Educat i t ) ty ra on e an Counc . ,1981 , P.255 ,(Aus , Change and Soc i d P 2 6 0 ⑳ ib , . . i lum for Aus i l t ral an Schoo s” P cu ⑳ 財 団 法 人 教 科 書 研 究セ ンター, 前 掲 書, 65一6 6頁 ぐCor e Curr . 15 ) . i d. P ⑩ ib .4 , d ⑳ ibi . ⑳. オ ー ス トラ リ ア 生 ま れ の オ ー ス トラ リ ア 人の 83% が, 多 く の 移 民の 受 け 入れ は オ ース トラ リ ア の た め に 好 ま し い こ と で は な い と 受 け と め て い る と い う. ‘ ‘ Dudl i i i ion in M [ul icul I Divers t turaI Soc tura ty” i ey Hi ck et es n Educat , , The Emergence of Cul , Ed. Treveor Corner lm,1984 ),P.132 ced . ,(Croom He ま た, ア ン グロ = ケ ルテ ィ ッ ク な 文 化 を支 持 して い る の は 「む し ろ 非ア ン グロ =ケ ル テ ッ ク の 知 識 人 に多 く, 大. 半が共産主義体制の母国を逃れてきた者たちなので, ひたすら政治的安定を求めている, 母国の文化をオースト ラリアで再生することなど二の次だし, 政治的安定を保持してきたアングロ=ケルティック文化のほうにはるか に強い信頼感を抱いている」 , という, (ジェフリー・プレイニー著, 『ア ポリジナル』 の越智道雄氏の 「訳者あ とがき」 サイマル出版会, 198 4年, 2 88頁) ,. 76. (本 学助 教 授. 岩 見 沢 分 校).
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