感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践
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(2) 釧路論集一北海道教育大学釧路校研究紀要一第39号(平成19年) KushiroRonshu,−JournalofHokkaidoUniver・SityofEducationat Kushiro−No.39(2007):27−49.. 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践 倉賀野 志 郎・早 弓 圭 子*. 地域学校教育専攻・授業開発系:教育内容・方法研究室 (*2006年度卒業生). Teachingplan and practiceaboutrecognizingworldimagebysenseetc. Shiro KuRAGANOl、Keiko HAYAYUMI2 1DepartmentofRegionalschooIEducation,KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 2Hokkaido UniversityofEducation. 要 旨 環・世界論という問題意識では、個々の生物は認識システムに応じて、目的に対応させた上で、働きかけ る実践システムに対応しての、認識像を形成している。これらは客観的な世界像とは異なり、客体的な世界 像ということになる。 アフォーダンス理論は、これらの一般的視点提供としては意味を有する。しかし、具体的なシステムに応 じての世界像の考察は、個々に考察していく必要がある。 環・世界の構造性では、このような環・世界には認知システムの背景である世界の累層的・系列的な構造. が存在している。また、情報革命の段階システムにも対応している。遺伝子が描く世界、神経系・脳が描く 世界、言葉・言語が描く世界、社会的な集団行為に置いて描く世界、現代に規定される科学が描く世界など がある。 生物分野に限定しての環・世界論はユクスキュルが課題を提起したが、植物や動物にも対応している。植 物にも環・世界論が存在していると考えられる。また男女・オスメス、さらにはミクロ・マクロにおいても 各々の世界像が存在している可能性がある。また環・世界論に置いては植物・動物においてすら時空構造が 存在していることが示唆される。生物の体重に対応しての心臓と時間間隔とは関係していることは、動物の 時空認識考察の必要性を示唆している。 子どもの学びにおいては、子どもの科学などとしての世界像には子どもなりの誤謬が存在している。発生 的段階に対応する世界像も存在している。乳幼児は、その発達段階に対応する世界を有している。神経系が 部分的に阻害されている場合でも、その認知システムに応じた世界像がある。例えば目が不自由な人には、 健常者とは異なる世界認知と世界像が存在している。ここには、脳神経系の可塑性があることを示している。 この可塑性の故に、働きかけることによって、より研ぎ澄まされた世界像へと深まる可能性があることとな る。誤謬論は、このような環・世界論に認知システムの中に位置づけられるものである。 学習者論の学び考察の意味は、このような背景を有していることを理解しておく必要がある。学習者は、 学ぶ側の視点に応じての世界像把握であり、それが教える側の世界像と一致する保障はなく、“ずれている” と考えることが適切である。 前半は倉賀野が、後半の授業プランの教育内容・授業実践・課題については早弓が担当した。. −27−.
(3) 倉賀野 志郎・早弓 圭子 「重要なのは、イリュージョンなしに世界を認識できな. [Ⅰ]感覚等の切り取る世界についての教育内容検討の背景. いということ」で「われわれは『動物』と違って色メガネ なしに、客観的にものを見ることが出来ると思っている。. 【1]自然史的視点から考える. そして出来る限り、そのようにせねばならないと思ってい. (1)教育する、認識することを科学に組み込む. る。しかし、これは大きな過ちである。」r5). かつて大田東氏は『教育とは何か』(1)で、生物の進化や特 質から教育を考えるという提案があったが、これに順ずる. 「今日のわれわれは、晋より多くのことを知っているけ. ならば、人間の将来を含めてのあり方をめぐっての広義の. れど、それによってわれわれは真理に近づいたのであろう. 意味での生物学や、認識する行為という根拠の自然史的意. か」ということが懐疑論に陥る事は避けたいが、「人間も人. 味を問うという認識論があっても良いだろう。自然から生. 間以外の動物も、イリュージョンによってしか世界を認知. 成されたものが、自然そのものを認識するという意味にお. し構築し得ない」(5)点があることも事実である。 これらの認識手段に応じた世界像を考察にするにあたっ. いて、認識する行為は‘‘自己反省”ともいえる。人間とし ての“生”が社会的であることは当然であるとしても、そ. ては、アフォーダンス理論という展開があるが、個々の情. れらはヒト・生物進化の産物であるばかりでなく、化学の. 報段階における個々の世界像の認識内容を個別的に検討し ていく必要があろう(6)。. みならず熱力学(非線形非平衡)に基礎が存在しているし、. しかし、「人間以外の動物の持つイリュージョンは、知覚. 人間の構成原子等が宇宙の歴史の反映であった。自然につ いての科学は、その科学を認識内容として構成する我々そ. の枠によって限定されている」が「人間は知覚の枠を超え. のものも自然から生成してきたものであることを考えると、. て理論的にイリュージョンを構築できる。」これは不十分さ. 自然そのものの自己認識の内容として自然についての科学. を含みながらも、実践的に是正していく過程を経ての科学. があるということになる(2)。. 的な視点から見た見方の意味の再碓認の意味ということに. 同様にして人間の歴史が“自己の生成課題”を問いつつ. なる。「『科学的に根拠を与えられたイリュージョン』は昔. あるとするならば、“環境問題”は、人間と自然との社会的. からいくらでもある。それによって我々は人間の世界認識. 物質代謝コントロールという他者問題ではなく、『自己認識. や世界観、さらには人生観も大幅に変わってきた。二十世. 問題』(高村泰雄1989年)(3)であろう。この自己∈㌻及という. 紀前半までの素朴な科学史の本を開いてみれば、その変遷. 視点からすると「自然科学は永久に完結せず,自然を極め. の跡は明瞭である。」(5) 「人間は世代によってイリュージョンが変わり、人々は、. 尽くすことはできない」し、これは「人間が人間自身を完. そのときそのときのイリュージョンに基づく世界を認識し、. 全に解明しえないこととも通ずる」(菅野礼H]1993年)。. 構築するということである」(5〉との関連では、例えば乳幼児 (2)認識する行為や認識する内容という学びの自然史とい. に関しても、乳幼児の脳の発達と理解に基づいての世界把. う課題. 授の仕方と変化があることになる。科学史上での科学的概 念の形成過程についても同様なことが言える。. (2−1)認識する目的と、それに応じた手段の視点から世界 を見る 教育する、認識することを自然史に組み込むことに加え. (2−2)客体としての環世界(自然・社会・環境等)認識過. て、認識する内容の自然史という課題もあると考えている。. 程と世界認識像. これは“教え”の自然史に対して、“学び’’の自然史的背景. 客体としての環世界(自然・社会・環境等)への認識過. の考察という課題に対応することとなる。それぞれには合. 程と世界認識像としては、基本的パターンとして、①生活の. 理性と不合理性:誤謬が存在することともなる。. 目的に対応する世界認識、②認識手段に応じての世界像、そ. これらの自然史的背景について日高氏はユクスキュルの. れらに基づく客観的世界から客体的仲界認識が設定できる。. 考え方(4)に基づいて「本能というものがあるが故に、それに. 生物に関しては、自らの認識システムに基づいて、身の. よって環境の中のいくつかのものを抽出し、それに意味を. 回りの生活環境から、自らの生活に適した範卵内の情報を. 与えて自らの世界認識を持ち、その世界(ユクスキュルに. 入手して、行動する。世界・環境把握としての世界像があ. よれば環仲界)の中で生き、行動している」ことを強調し ている(5)。. り、その世界像に基づいて、働きかけ生活している。 環境世界も、自らの生捕に適した範囲内における環世界. 客観から切れた主観だけがあるわけではないが「その環. である。不必要なものは捨てられている。これらは生活し、. 世界はけっして【F客観的』に存在する現実のものではなく、. 行動する目的に対応した世界像構築である。それぞれの認. あくまでもその動物主体によって『客観的』な全体から抽. 識システムにおける一両性、環境世界の一面性、入手情報. 出、抽象された、主観的なものである。」その合理性の範囲. の一面性があり、世界把握で生活し行動する時に不十分さ. 内において、「(動物たちは)その知覚的な枠の中で、世界. として現れる。客体的世界認識像の誤謬があり、生物の誤. を感じ、その世界を構築し、その中でしかるべく動いて、. 謬は生存競争における死と種の絶滅を意味する。. それによって彼らは食物を取ることができる」(5)のである。. 同様に人間の科学する行如こよって生ずる、それぞれの. −28−.
(4) 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践 科学的認識過程における非科学像があることとなる。それ. 析に加えて、その内容等の学びとして、例えばわかり方一. ぞれの段階においても進化史が存在する。より深く・広く. つにしても、自己のわかり方・分からなさと向かい合う事. 世界を把捉すると、より適切に目的に応じて行動すること. によって、他者へと媒介的に接近していき、“共に”を実現. ができる。より深く・広く対象の構造を反映していると、. していくこととなる。教育行為そのものに関しても前述の. より科学的な概念把握となりうる。これらは実践における. ように自然史的視点からの考察がありうると考えているが、. 検証として是正される。人間は科学的概念による世界把握. これに類して世界を認識していくことの自然史的領域の考. においては、科学の世界把握での不十分さを示している。. 察ということとなる。. 実践・検証によって是正が試みられ、より深く■広い科学 的知見が構築されてきている。. [2】認識と認識内容の自然進化史という課題 (添付資料参照). (2−3)子どもは、子どもなりの認識概念体系に置いて、自. (1)認識過程(ソフト面)と、認識内容を築くシステム・. 然・世界を理解する. 情報(ハード面)にも自然進化の過程. 子どもは、子どもなりの認識概念体系において、自然・. ここでは4つの情報・認識過程の段階を考えてみよう。. 世界を理解する。子どもが、子どもなりの概念体系におい. このような進化史的視点は、世界を理解する認識の進化史. て世界を理解する背景にも、このような進化・構造が潜ん. にも段階があったことが示唆される。歴史を現代から逆に. でいることが考えられる。子どもの自然・世界理解(《誤謬》. 記述すると、. も含めて)は、認識のプロセスを考察することとなるので、. 第四は社会認識・情報過程として社会的ネット関係の中. 乳幼児からの《発生的認識》過程の一段階としての子ども. に認識内容が固定化されると共に、認識行為はネット化行. の世界理解を考えることとなる(7)。この自然・世界の認識理. 為として現れる。. 解の歴史的を考えるならば、子どもにのみ限定されるもの ではなく、大人の世界認識(非科学的倦も含めて)、現代の. 語(文字・言葉)の 第三は言語認識・情朝過程として言 体系の中に認識内容が固定化されると共に、認識行為は身. 科学者の世界認識(現代科学像)、さらには人類の歴史的経. 近な他者を媒介する外言・内言として現れる。世代は社会. 過に置いての科学的概念における世界認識は《科学史》 と. への発展の契機を含んでいる。. して現れていることとなる。. 第二は学習認識・情報過程として脳神経のシナプスネッ. “子どもの科学”も、このような認識段階における自然・. トの中に認識内容が固定化されると共に、その内容は一世. 世界の子どもなりの科学的理解内容ということになる。誤. 代において消滅するが脳の2重化と多層化の構造として現. 謬分析は、このような客体的世界としての理解と、客観的. れる。学びは原始的であるが、学習過程として現れる。. 世界との“ずれ’’として理解していく必要があろう。特別. 第一は遺伝子認識・情報過程として遺伝子の配置構成の. 支援の場合も、同様に考えていくことができる。このよう. 中に世界状況の一端の反映が固定化される。DNAのみな. な視点からすると、誤謬は、この認知過程における客体的. らずRNAの果たしている役割が再評価されつつある。こ. 世界像の客観的世界との禿離という課題であり、故に、誤. こでは環境状況の反映するシステム行為としては“性”機. 謬は共感だけではすまないこととなる。また、我々の認知. 能が作動する。この理論的構成が免疫・二重の他者否定媒. 過程における学びによる世界像と、誤謬的世界像との接続. 介による自己確認に現れている。(添付参照資料:認識/認. と克服という課題があるということとなる(8)。. 識像の自然史の概要スケッチ(9)). 上記のことを認識システムのいくつかの段階として整理. 教える刷として、それらの世界把握の理解を踏まえた上 で、子どもなりの認識過程・内容に対応させた形で、‘‘指差. できる。. し行為”としての“問い”がかみ合う時に、有効性を発揮. これらを情報の各レベルに対応する世界認識像として整. するし、そして、その理解のシステムを配慮しての“教え”. 理すると次のようになる。 認識システムに応じた範囲内のおける世界像把握が行な. を考察しなければ、両者は“すれ違う”こととなるだろう。 そうでなければ、そこでの学びは暗記としての無味乾燥な. われる。それぞれには(∋遺伝子・性による探査システムに. 学びとなり、結果として科学的概念把握の学びは実現しな. よる世界把握、②神経情報・感覚情報に基づく世界把握、. い。同様に教えも実現しないこととなる。. ③言語・文字による概念把握体系としての世界把握、④科. この“共に”における自己と他者とのかかわり方は、身. 学的概念把握に基づく世界把握などが考えられる。 情報・認識のいくつかの系列的構造を参考にすると、各々. 体・感覚のみならず言語、さらには基礎的には遺伝子的・. の認識手段による、生活の目的に対応する、環世界(客体. 生物学的視点からの働きかけに応じての客体的世界として 【環・世界】から捉え覆していくことも必要である。それ. 世界)への働きかけとしては、各々に対応して①性・遺伝. らの基礎の上に例えば科学的概念による“共に’’としての. 子:情報遺伝情報としての性(個体としてのオス・メス、. 世界把握が課題となるのである。. そして男女)、(∋脳・神経系‥脳・神経系としての感覚によ. 教育内容等に関しては教えとしての、内容の構造的な分. る世界の切り取り(感覚:とりわけらヒト・人間や各種生. ー29一.
(5) 倉賀野 志郎・早弓 圭子 物の目的に応じての認識手段に対応する世界像)、③言乗:. の一端を示していると考えることができる。この基本的な. 言語・言葉による世界の切り取り(認識課程の二つの側面)、. 大枠を抑えた上で、例えばコウモリ等の法則からのずれを、. ④社会性=社会情報=言語活動の社会・集団的側面(認識. その生活や環境から考えるという課砥が生ずることとなる。 これらは動物の心拍数に応じた時間感覚と、それに応じ. 課程の二つの側面)、⑤科学的概念:科学的概念による世界 の切り取りと創造などが考えられる(10)。. た空間感覚とすると、それらの働きかける手段に応じての 時空構造認識という課題ということになる。さらには植物. (別紙資料). の時空構造認識という課題もありうるだろ(14)。 生物・人間の基礎である物理/化学分野でも、次節であ. (2)各種感覚バンドに対応させての世界認識. るように客体的環境世界論は成立すると考える。. 今回扱っている、授業プランは、“目で見る”ことの意味 を考えるものとして検討し実践したものである。. (3)物理学におけるゲージ理論においては、各点の時空構. 私たちは毎日、日を通してたくさんのものを見ている。 でも、実はその日と、その日を通して見える世界まで考え. 造の【接続】としての相互作用規定. ると、そこは“不思議だらげ’なのである。例えばどうし. 時空という捉え方の拡亨長に関しては物理化学上の時空論. てアニメの日は実物より大きいのだろうか。大きいほうが. は相対性理論に現れる。. かわいく見えるということですみそうだが、そうなのだろ. 我々は世界を物理的相互作用において、例えば屈折世界・. うか。サングラスをかけている人を見ると不安になるのは. 宇宙世界は、同時世界像として把握している。この拡張で. なぜだろうか。人の口はカラーの目を持っているが、ほか. は、化学的相互作用は各点の化学的特性における接続とし. の動物たちもカラーの色をみることができるのだろうか。. て、化学的相互作用が規定されると見ることも可能である。. 実は人間だって、白黒の目を持っているし、その特徴を知っ. ここでは化学における時空が規定されることとなる。この. ていないと夕方になると事故にあう可能性もある。写真撮 影の時にフラッシュなどで赤目にならないように気をつけ. ことは、物理/化学的相互作用による環境世界論という課 題に拡張することとなる。. るのだが、これは人間が晋、一夜行動物だった頃の名残とも. 次のような一般的展開が可能となる。. いえる。. ①基本的視点は、ある特定の相互作用(☆と表記)によっ. 目の大きさの機能にも謎があるのだが、数にも不思議な. て、描かれる世界像が成立する。. ことがある。目がたくさんあればよく見えるのだろうか。. ②☆相互作用は、☆時空構造を規定し、☆世界を描き出す。. 複眼を持った昆虫もいれば、8つの目を持ったクモなどもい. ③個々の点における自己によって生ずる☆相互作用による. る。ホタテに至っては100近い目をもっている。本当にそれ. 時空と、他の時空との接続が“力”として現れるという. らの目は、“見ている”のだろうか。この複数の目の特性を. のがゲージ理論である。相対性理論はその典型である。. いかすと、宇宙的な規模で巨大な複数のアンテナやコンピュー. ④よって☆相互作用によって感知し得ない世界は、☆時空. タを利用し、遠くのものが‘‘見える”ようになっているシ. 上には存在しないのである。. ステムと、どうやら共通点がありそうだ。. ⑤人間は科学の進歩によって、一つ一つより複雑な高度の. ホタテは目のみならず、形や貝柱一つをとってしても、. ☆相互作用を開拓してきたが、未だ不明な、未知な☆相. 他の員とは異なる点が多々ある。これら距ま逃げるために動. 互作用もありうるし、いくつかは予測されている。. く能力を獲得しているという点から、考えていくことが出. ⑥科学理論に基き、科学の目(道具)によって、“見る”こ. 来る。反対にタカハシホタテのような形は、中途半端な状. とができる。それによって、“今”にはない過去と未来を. 態であることも分かっていくこととなる‖1〉。. “見る”ことができるようになる。. ここでは光だけに限定して考えているが、音や、熟、振. 例えば、☆相互作用の例として電磁的相互作用もしくは. 動、場合によっては超音波や匂い・フェロモンなどで世界 を“見ていく”ことに広げると、その感覚に対応する環境. 光によって描かれる世界像を考えてみよう。 時空構造という視点から考えると、屈折率によって説明. 世界(ユクスキュル)の中で、生物たちは生き、そこから. することはできるが、同時的世界集合の現われとしても考. 必要な情報を得ていることとなる。動物たちの世界の入り. えることが出来る。水の中で屈折して曲がって見える鉛筆. 口の一つが目にあるということとなる。植物だって“見て. は、同時世界集合としての今の中に所属している。同時の. いる”ことがありそうということになる(12)。. としての今の世界という把握の仕方は相対性理論そのもの. 本川達夫氏は、生物の種類の全体の大枠に関する傾向に 関する法則で、個々の生物種の更なる細かな検討は必要で. である。相対論効果においては、とりわけモデルから誘導 されることであるが、同時刻集合体へのこだわりが必要で. あろうが、全体傾向として、下記の点を指摘している。こ. あると考える。天文学的スケールでは問題とされるが、日. れは、例えば晴乳類に限定しても、ゾウとネズミの時間感. 常的に屈折現象に、その同時刻に着目することは意味があ. 覚で物理時間とは異なり生物時間としてはほぼ同一である. ると考える。鏡の反射においても、あらゆる点から反射さ. ことを指摘している(13)。これは生き様に対応する時空構造. れているが、同時刻以外の像は、像としては形成されてい. 一30−.
(6) 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践 ない。反射においては、あらゆる方向に反射されているが、. 人間の目に光が入ってからそれを感じるまでには、わず. 像の形成に同時刻が意味を有しているのである。例えば、. かに時間的な遅れがある。また、光がなくなった後もほん. レンズ等で生ずる“ピンぼけの像”は、同時ではない像を、. の少しの時間、光の感覚が残っている。こうした感覚の時. 結果的には空間的広がりを含めて、過去と現在とをミキシ. 間的ずれは色によって違う。そこで、白い光に含まれてい. ングした結果としての像ということになる。逆に言うと、. るいろいろな色を感じる際に、色によって時間的にずれが. 水の中での“折れた像”は、電磁的相互作用の範囲内にお. 生じるので、ある瞬間にはある色が、別の瞬間には別の色. いてではあるが、同時刻の像の集. が見えるのである。. 合体としては、折れた像. であると理解する必要があることとなる。鉛筆の屈折像も、. “人間”が感覚によって切り取る世界、とりわけ視覚で. この視点からするならば同時刻であるが故に、水の中では. 世界を捉えることでは、物をみるとき、網膜には画像が小. “曲がっで’いるのである。この視点からの教材も展開し. さく逆さまに映っているし、目に映っている状態では、私. うる。宇宙的なスケールにおいては、このような同時集合 という視点は当然の事であるし、電波天文学も、. たちは逆さまでしか見えない。また、人間の目は、カラー の目と思いがちだが、実は、人間の目は、カラーの目と白. この視点. から考えることができる(15)。. 黒の日の両方を持っている。また白と黒の模様で出来てい るベンサムのコマに現れるように、白と黒の繰り返しが起. このような視点の拡張は、Ⅹ線や紫外線・赤外線は人間 の“科学の日”によって“見る”ことや、地震波(P/S). こす錯覚で色をあいまいに捉えている。. を解析することによって地球内部を細部までは至ってはい. 自という色は、人間の可視光(見ることのできる範囲の. ないが、見ることが出来、地球内部の状況を詳細に“見る”. 色)である赤から藍色が均一に反射されている状態で見え. ことによって、地震の予測さらには、プレートテクトニク. る色だが、同様に、一部分で世界を捉えていることがわか. スはプリュームテクトニクスに進歩し、将来と過去の状況. る。一見ありそうに思えるが、何かおかしい立体のつくり. が生物進化史とつき合わせて考えることができるようにな. は、実際にはありえないので不可能図形といわれている。. りつつある、などなどである。. この不可能図形は、人間の一部分だけを見て判断しようと いう人間のものをみるしくみを利用している。このことを 普段の生活に置き換えてみると、私たちは物を見るときに. [Ⅱ]授業プランと授業実践・課題. 一部分だけを見て、そこから、自分の知識の中からコピー、 ペーストし世界を捉えているのである。. [1]授業プランの背景. 平面から奥行きのある立体的な世界を捉える場合も同様. 今回は、このような視点に基づく教育内容を背景として、. である。網膜はうすく、平たいものなので、外の立体的な. 情報が切り取る世界全体を大枠として授業として展開する ことを試みた。個々の領域の広がりを考えると、それぞれ. ものは、網膜に写されると、平たい、奥行きのない映像に. には奥深さがあるのだが、今回はあえて全体をスケッチし. 変えられてしまうのである。奥行きのある立体的な映像を. て展開することを目的とした。個々の領域での展開は更な. 判断するためには、平たくなった像から奥行きのある立体. る検討が必要であろう。. 的なものをつくりなおさなければならない。網膜にうつつ. 授業プランと実践記録の一部と課題について述べておく。. た平たいものから奥行きを捉えるために、人間は奥行きを. これらの授業プランは北海道自由が丘学閥月寒校で授業実. 知るための手がかりを持っているのである。絵画は、平ら. 践をさせていただいた。. な面に描かれているのにも関わらず、奥行きがあるように. 2006年9月から、授業プラン①「本当はあいまい?人間. 感じる。トリック・アート展などに展示してある絵は、本. はどのようにして世界を捉えているか。」(9/18)、②「動. 当に立体になっているように見える。このように平らな面. 物の世界をのぞいてみよう!」(9/19)、③「人間ならでは. であるのに、奥行きを感じられるのは、辛がかりで引き起. の世界の切り取り方を知ろう」(9/20)、④「男と女、オス. こされる錯覚を利用しているからなのである。 これらの視点からすると、目に入った情報を脳で捉えて. とメスの世界の捉えかた。」(12/11)を実施した。最初の(D. いることがわかる。. は全般の感覚について、②は動物に、(診は人間に限定して、. 網膜にうつった像をどのようにして、脳は認識している. 最後の④は男・女の性に着目しての展開となっている。④. のだろうか。このことは目が2つあるというようなことに. の内容上では一方的な語りが中心となる授業となったが、 ①から③にかけては実験・作業が多く授業に盛り込まれて. も課題がある。2つの目は協力関係にあるのである。右目. いる。授業プランの背景としての教育内容を各々のセクショ. の網膜に映る像と、左目の網膜に映る像とはわずかにずれ. ンに対応させて記しておく。. ている。これを「両目視差」という。このように、右の目. 生徒数も少なく、特殊な条件下の元ではあるが、4回の. と左の目は、違った画像をみているのだ。しかし、脳では これらを別々の画像ではなく、立体的な1つの画像として. 授業を試みたことの意義は大きいと考える。. 見ているのである。 右眼と左眼で目の網膜にうつされた像は、電気の信号に. (1)“感覚”が切り取る世界について. −31−.
(7) 倉賀野 志郎・早弓 圭子 変えられて、視神経を通じて脳へとみちびかれている。こ. が、その際の血の色を見ることで、自分の健康状態をチェッ. のとき、右目にうつされた画像は、右の脳へ、左目にうつ. クするバロメーターとしていたのではないだろうか。この. された画像は左の脳に送られる。しかし、それだけではな. ことから、血の色に対して繊細に考察できるような色覚に. い。右目にうつった画像は左の脳に、左目にうつった画像. なっているのではと考えられる(16)。. 男と女の違いとして、視野の違いも挙げられる。女の方. は右の脳にというように、クロスして送り込まれる。それ をどのように見るかは処理する脳にかかっている。. は周辺視野が広いといわれ、その代わりに男は、長距離を 見通せるような目を持っているといわれる。女の視野が広. (2)“性”、“言葉”、. ‘‘文化・社会”、によって担える世界. いということに関して、それは、白目の面積に関わってい る。白目の面積は、男より女のほうが多いといわれ、この. (2−1)“性”によって見える世界が変わる。. 人間は赤、緑、育という光の3原色をもとに、赤から藍. ことにより女性は、左右では180度近く見える女性もおおく、. 色までの範囲をみているというのが普通である. 上下では自分の最のあたりまで見られるようになっている。 これは、忍び寄る捕食動物をいち早く見つけるために進化. 男女によって見ている世界が変わるということには、ま だまだ、わかっていない点が多く、現在研究が始まった段. したと考えられる。それに対して、男性は眼球が女性より. 階であるが、男女で切り取る世界が変わるというと少し間. も大きいために、長距離を見通すことのできる目の構造に. 違いがあることも指摘されている。. なっている。これは、遠くにいる獲物を見つけ、追跡する ために男性が獲得した力なのである。. 男と女の視覚の違いとして現在、色覚の違いも指摘され ており、4原色で世界を捉える女性が一部にあり、4が基. (2−2)“言葉”によ. 本であり、3は縮退している可能性もある。. 色を識別する錐状体細胞のもとはⅩ染色体で、女性はⅩ. って捉える世界. 私たちは感覚により世界を切り取る。そして、それを他. 染色体が2本あるためにもともと男性よりも錘状体細胞の. 者に伝えるときに言葉を媒介として伝える。この時に、こ. バラエティが多い。特に、赤と青の色覚色素は、1種類し. の“言葉”によっても世界を切り取り認識している。これ. かないが、赤の色覚色素には2種類あり極大吸収波長に5. は、他者に伝えるという目的だけではなく、周りの環境を. ナノメートルの違いがある。(赤と緑については30ナノメー. トルしか違わないため、5ナノメートルは異なった色とし. 捉え、それを脳に記憶する段階でも行われていると考えら れる。この言葉で切り取るという部分で授業プランでは2. て認識されるだけの差である。). つの例を挙げる。. この赤色色素の遺伝子はⅩ染色体にのっているため、男. (∋私たちが音を聞いたとき、それは、単なる音でしかな. 性は片方の赤色色素しか持つことができないため、男性の. い。その昔を他者に伝えようとしたとき、その切り取る言. 中でも赤の見え方に違いが生じる。男性の中でその見え方. 葉によって、その昔の伝え方が大きく異なる。動物の鳴き. の違いの分布をしめすと、約4割の人がやや短波長側の赤. 声がその良い例である。他言語同士では、ニワトリ・ウマ・ イヌ・カエルなど、同じ動物なのに、鳴き声の表し方がこ. (朱色に近い色)、約6割の人が長波長側の赤(深紅)をもっ. とも鮮やかな赤として感じているといわれる。それに対し. んなにも異なるのはなぜだろうか。歴史的にも異なってい. て、女性は、2本の染色体の1本ずつに互いに違う赤色色. たとの指摘もある。それぞれの国における、動物の種類と. 素の遺伝子をもった場合により、4原色で見ている。この. いうのが違うということにも関係しているとは思うが、そ. ことから女性のほうが色鮮やかに、ものを見ているのでは. れぞれの言語が使う音やリズムなどがこれには影響してい. と考えられる。. るように思われる。また、ニワトリのように、日本語のコ. では、なぜ、女性のほうが4原色をもつ必要があったの. ケコッコ「や英語のカッカドゥードゥルドゥーの場面と、. か。このことについては詳しくわかってはいないが、二つ. 韓国語のコキオとスペイン語のキッキリキの鳴き声の捉え. の仮説が考えられる。その仮説とは、①果物を採集する際. ている場面が違う動物もあり、その動物と人間の生活の結. に、充分に熟れているか確認するために、色の部分で判断. びつきも関係しているように思われる。このように、同じ. するため。②女性が“血”に対して敏感に捉える必要性が. 動物の鳴き声を伝えているにも関わらず、他言語同士では. あったため。という2つの仮説である。. 意味が通じないことが発生するのは音の中でも自分の国の. ①に関しては、狩猟採集の時代のことを考えると、従来. 昔やリズムに合わせて、音を切り取り認識しているからで. では、男性が狩猟の役割を担い、女性が採集の役割を行い. あろう。. 生活を行ってきた。その際に、十分に熟れた果実を採集す. ②また、色を言葉で切り取るという課題もある。授業プ. るために、色というのが大きな要素のひとつであったと考. ランでは、虹を例として取り上げ、色に関しても言葉で切. えられる。普通、果実は熱するにつれ、赤っぽくなってい. り取っている側面があることを扱った。日本人であれば、. く。このことから、十分に熟した果実をとるために、女性. 虹は何色であるかという問いかけに対して、7色という返. の色覚が発達したと考えることもできる。また、②に関し. 答が必ずかえってくる。しかし、この虹の色、他の国でも. ては、女性には男性にはない“生理”という現象が起きる. 7色であるのだろうか。フランスや韓国などの国は日本と. 32.
(8) 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践. 同じように7色に捉えている。しかし、アメリカなどでは 虹の色は6色というのが普通である。さらに、ローデシア. れているにも関わらず、こんなにも多様な月の見方がある. 語の1言語であるショナ語では3色(cipswuka(赤、橙、. 社会が大きく影響していると考えられる。このように、文. 紫)、Citema(緑、青、黒)、Citena(自、黄、黄緑))、ま. 化・社会によっても世界の捉え方は変わってくる。今回は、. たリベリア語の1言語バサ語では2色(hui(緑、育、紫)、. 月の模様を例として取り上げたが、各国の宗教(神)の違. ziza(赤、橙、黄))にしか分けていないという。. いによる世界の捉え方の違いとなど様々な観点で考えるこ. のだろうか。それは、その見ている人の背景にある文化・. では、本来、虹は何色なのだろうか(17)。実際に虹には、. とが出来るだろう。このように、その地域の人が何を大切. 赤から藍色までの無数の様々な色が存在している。虹の色. にしているか、文化・社会の共通認識の中で捉える世界が. は太陽の屈折率の差でスペクトルに分かれて見えるもので. 変わることもある。. ある。赤から紫まで連続した波長のものから、ただ代表的. 自然環境条件によっては右という吉葉や左という言葉が. なものをどの国も取り出し、虹の色としているだけなので. 無いことも指摘されている(20)。. ある。では、なぜ国の違いの中でこんなにも見え方に違い. があるのだろうか。そして、例えば、バサ語で話している 人は2色しか色が見えないのだろうか。これに、対する答. (3)科学的な概念装置によって世界を切り開く. えとして「色の名前を知らないことと、色の識別ができな いことを混同してはいけない。」(18)という言葉が適切であろ. 当ならば、私たちは私たちの感覚の中の世界でしか、世界 を捉えられないはずである。しかし、私たちは感覚という. う。例えば、春になり新しい葉、新芽、植物の種類によっ. 知覚の枠をこえて世界を“見る”ことが出来ている。例え. てさまざまな緑が生まれる。この緑を区別することができ. ば、私たちは顕微鏡によって、小さなミクロの世界をみる. ても、その緑色の違いを言い表すことは色の名前を知って. ことができる。望遠鏡によって、遠くにあるものをみるこ. 人間の感覚により世界を捉える部分を取り上げたが、本. いないとできない。「黄緑」「深緑」という色だけしか知ら. とができる。それは、本来の私たちの目では、見えない世. ない子どもの晴にも、「青竹色」「千草色」「松葉色」「青磁. 界だ。さらに、可視光から外れた赤外線をサーモグラフィー (表面温度感知器)によって、(その本来の色をみることは. 色」「萌黄色」「甫色」など映り方は異なるのである。つま り、地域や民族によって、人の目の見え方や眼の能力が違. できないが)みることができる。紫外線についても、見え. うということではなく、その文化が色にたいしてどのよう. ないが“ある”ということを知り、紫外線を防止するため. な扱いをしているかということが重要なのである。日本に. に、日焼け止めを塗ったりする。このことからも、私たち. は、たくさんの色の名前があることから、日本人はこの色. は、私たちの見ている世界を超えて、いろいろな機械や技. というのにこだわりを持っていることがうかがえる(19)。. 術を使ってその存在を証明し“見で’きたのである。そし て、この“科学的な概念装置によって見る”ことによって 私たちは絶えず世界を拡げているのである。最近のニュー. (2−3)“文化・社会”が切り取る世界。 文化などによっても切り取る世界が異なる場合がある。. スで、冥王星が惑星の中から外されるということが大きく. その例として、“月”の模様の見え方の違いが挙げられる。. 取り上げられていた。なくなるということに議論がこのと. 月の模様の見え方に関しては、月の模様はどの国で見た. きは集中していたが、これの真の意味とはなんだろうか。. としてもだいたい同じといわれている。しかし、その同じ. これには望遠鏡の発達により、小さな星まで現在では見え. 模様を見たとしても、それぞれの国によって、その模様の. るようになってきたことと、太陽系・惑星に対する理論体系. 見え方は変わってくる。. が深まり捉えられる範囲が拡大したということなのである。. 日本では、月の模様は“ウサギが餅つきをしている”と. 私たちの歴史は、このように世界を拡大してきた歴史で. いうように言われている。これは、中国の古い伝説が元に. もあるのである。このようにして、私たちはこれらの“見. なっている。その伝説とは、月の仙人に仕えた白兎が不老. る”により、これからも絶えず自分の環境を広げていくであ. 不死の薬をついているというものである。これが、日本に. ろう。. 伝わり、薬の部分が、日本では満月を「望月(もちつき)」 [2]4つの授業プランと授業実践. と称していることから変化し、現在の習わしとなっている。. では、日本での“ウサギの餅つき”だが、他の国では、ど. 各々の教育内容に対応して、授業プランが存在しており、 それぞれの授業実践と課題について記していく。. のように捉えられているのだろうか。. 各国、月に対しては様々な伝説、習わしがあるが、ここ. (1)授業プラン(∋「本当はあいまい?人間はどのようにし. では、模様の見え方だけに着目する。ヨーロッパではこの. て世界を捉えているか。」. 月の模様が“女の人の横顔’’に見えるという。中国では、“片. (1−1)授業プランの目的・意図. この授業プランでは、人間が感覚によって世界をどう捉. 方だけのはさみのカニ’’。モンゴルでは、日本のウサギがイ. えているかという、人間の「感覚で、世界を切り取る」と. ヌに見えるということである。他にも様々な例がある。. いう部分を取り上げてプランを作成した。このプランの目. 月の模様はどの国であっても見え方に変化がないといわ. −33一.
(9) 倉賀野 志郎・早弓 圭子 的としては、2点ある。(∋あたりまえのものである、5感. とは大きく違うために、私たちは動物を自分とは違ってい. で捉えているということを生徒が実感をもって気づくこと. るために劣っている、自分より秀でた部分を知ることによ. ができる。②感覚の正確さには実はズレがあり、人間はあ. り優れていると考えがちであるが、それは実際には違う。. いまいに世界を捉えている、そして、同時にそれが人間の. 人間より劣っている部分、それは、その動物にとって必要. 生き方に応じた感覚の切り取り方であることと理解すると. のない部分だという証拠であり、その道にその動物は他の. いうことを目的として授業プランを作成した。. 部分で周りにある環境を捉えていると考えることができる。. 人間は自分の見ている世界だけしか“見えていない”た. また、人間より秀でた部分は、その動物にとってその感覚. めに、他の生物と比べて正確にものを“見ている”と考え. が重要な条件であることを物語っている。それぞれの生き. てしまいがちである。しかし、人間だって実は環境を正確. 方に合わして認識していることを子どもたちに伝えること. に捉えてはいないのである。このことを理解させるために、. が大きな目的である。. 留意したのは、実際に体験を通して子どもたちが実感する. この授業プランを作成する際に、動物が実際に捉えてい. ということだった。導入では、巨大なうずまきのコマをま. る世界を、人間が実際に感じるというのが難しいというこ. わす実験を通し、感覚が簡単にも揺らぎ、自分のみている. とが大きな問題であったが、実験などを多く取り入れるこ. 世界が変わってしまうことこのことを伝えるようにした。. とで、動物の感覚をそのまま体感するというところまでは. また、錯覚クイズを行うとともに、錯覚には人間のものを. 至らなかったが、垣間見ることが出来るように留意した。. 捉えるための手がかりが関係していることを伝えられるよ. 授業全体の流れとしては、まず、最初に人間自身が自分. うに留意した。. の感覚と比べやすい視覚の部分を扱い、白黒の世界、可視. また、日だけでなく、他の感覚でも、ものを捉えている ということを確認するために感覚には、どのようなものが. 光を越えた光で捉える世界(紫外線、赤外線)の部分を取 り上げた。この学習活動のなかでは、白黒の世界はビデオ. あるか5感について確認したうえで、その中のひとつであ. のモノクロ撮影を使うことにより、白黒の世界を実際に見. る触覚を扱い、敏感選手権とし、手と背中の感覚の敏感さ. ることができるようにした。また、紫外線の部分では、ブ. の違いを実際に子どもたち同士で実験してもらった。この. ラックライトを利用し、紫外線が反射することによって見. ことにより、感覚には部分により敏感な部分と鈍感な部分. える蛍光色を見る活動と、実際に洗濯用粉洗剤を利用して. があるということを知り、そこからあいまいな部分がある. 昆虫だけの見えるヒミツの手紙を弄くという活動を設けた。. ことが人間の“生”を反映したものであり、それが、人間. 次に聴覚の部分で、人間を超えた超音波で捉える世界と. 自身であることを子どもたちが知ることを目的とした。. いうことでコウモリを題材として取り上げ、目が見えない 世界での世界の捉え方を扱った。この部分では、コウモリ とガというネイチャーゲームを行うことで、実際に聴覚を. (1−2)授業プラン(む「本チlうはあいまい?人間はどのように. して世界を捉えているか。」. 利用して世界を認識する動物の世界を体験してもらおうと 考えた。. (授業プラン(丑・別紙). このような体験を通して、動物たちの感覚による世界の (1−3)授業プラン(∋:授業記録. 切り取り方を知るなかで、それが、その動物の生き様に応. 日時:2006年9月18日(月). じていることを理解してほしいと考える。. 授業を聞いてくれた生徒・学生:. 中学生. T.H、K.F. 男子2名. M.K、H.A. 女子2名. (2−2)授業プラン②「動物の世界をのぞいてみよう!」 (授業プラン(卦・別紙). 高校年齢 K.T(途中から参加)男子1名 (2−3)授業記録. 計5牽■. 学生. 男子5牽■ 女子3名. 計8名. 日時:2006年9月19日(火). (カメラ、ビデオ撮影者含む。). 小学生 H.. (授業記録①・別紙). 中学生. 女子1名. T.H、K.F. 男子2名. M.K、H.A、S.H 女子3名 高校年齢 K.T、D,S、T.N 男子3名. (2)授業プラン(∋「動物の世界をのぞいてみよう!」 (2−1)授業プランの目的・意図. T.A. 女子1名 計10名. このプランでは、授業プラン①で取り上げた、感覚で世 界を切り取るという部分から、動物の感覚で切り取るとい. 学生. う部分を取り上げたプランである。この動物のプランの中. 男子5名 女子3牽.. (授業記録②・別紙). では、動物たちもそれぞれの生き様に応じて世界を切り取っ ているということを伝えること目的として作成した。人間. ー34−. 計8名.
(10) 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践 (3)授業プラン③「人間ならではの世界の切り取り方を知. 科学を発展することによって、人間は自分の感覚を超えた. ろう」. 世界をみていることや絶えず世界を広げていること伝えた. い。そのため、最後のまとめの部分で、科学的認識につい (3−1)授業プランの目的・意図. て取り上げる。ここでは、自分の感覚を超えて世界を見て. このプランの中では、授業プラン(∋で取り上げた人間は. いるという例として、望遠鏡や顕微鏡を、人間は自分の世. 感覚により世界を切り取るという部分からさらに、人間に. 界を絶えず拡げている例として、最近のニュースで話題と. しかない、言葉、社会・文化による世界の切り取り方、科. なった冥王晃を題材として取り上げる。ここでは、生徒が. 学的概念による世界の切り開き方という部分を取り上げた. 想像しやすいよう望遠鏡や顕微鏡を挙げた。また、冥王星. 授業プランである。. は最近ニュースになったことで生徒たちの関心を引きやす. いことで取り挙げた。特に、冥王星の部分では、冥王星が. このプランの目的は、①言葉や、文化・社会によっても 私たちは世界を切り取っているということを知るとともに、. 惑星の中から消えるということで話題となったが、それに. ②突き詰めていくと、個人個人でも認識する世界像に違い. より、冥王星自体が消えるというわけではない。望遠鏡の. があるということを知る。そこから、③それぞれ違いがあ. 見える距離の拡大という科学の進歩によって、冥王星ぐら. る中で、それを普遍化、共通化していく科学的概念を人間. いの大きさの星が数多く観測できるようになったことによ. は発達させ、それにより常に人間は自分の捉えている世界. り、冥王星が特別な存在ではなくなったこと、そして、そ. をひろげ切り拓いているという3点のことを伝えたいとい. れは、私たちの見える世界が拡大したということであるこ. うものだった。. とを伝えたい。. このプランの中では、“言葉で世界を切り取る”という部 分では、動物の鳴き声の国による違いの部分を題材とし、. (3−2)授業プラン③「人間ならではの世界の切り取り方を. 動物クイズを取り上げて行った。実際に他の国の鳴き声か. 知ろう」. ら、その動物を当てられるかということをクイズ形式にし. (授業プラン③・別紙). て行い、その正解を知ったうえで、CDで実際の鳴き声を. 聞く流れで行う。これは、実際に他の国の鳴き声も、意識. (3−3)授業記録. すればその昔の中から捉えることは可能であり、昔の各々 の部分を切り取っていることを子どもたちに意識してほし. 目時:2006年9月20日(水). かったためである。. 授業を聞いてくれた生徒・学生:. 中学生. 次に、“社会・文化によって世界を切り取る’’という部分. では、月の模様の各国の見え方の違いを扱った。ここでは、. T.H、K.F. 男子2名. M.K、M.M、S.H 女子3名. 同じ月の写真を見せ、その同じ写真に実際に絵を描くこと. 高校年齢 K.T、D.S、T.N、S.A男子4名 計9名. で見る視点を変えることによって、何通りも模様が生まれ 学生. ることを確認し、そのうえで、同じものを見ている場合で も見え方に違いがあるということを知る。そして、その背. 男子5名 女子3名. 計8名. (授業記録③・別紙). 景にその国が何を大事にしているかという文化的要素が大 きく関わっているに注目させたい。. (4)授業プラン④「男と女、オスとメスの世界の捉えかた。」. 虹を題材とした部分では、個人によっても切り取ってい. (別紙). る世界が違うということを意図して行った。実際に、自分 の中にある虹のイメージをもとにして、虹が何色あるのか、. (4−1)授業の目的・意図. そして、その虹の色は何の色によって構成されるのか、既. 本プランの目的とは、(∋「“性”が構築する世界」という. 存の概念をもとに、色を書き出してもらう活動を行い、そ. 部分を取り上げてプランを作成した部分、②4時間のプラ. の上でCDの裏のスペクトルを見ることで実際の色を確認. ンのまとめとして、生物はそれぞれの生き方に応じて世界. する活動を行う。その際には、個人の見え方に差があるこ. を切り取っていることの2点である。. とが当然なので、正解という形では示さないようにしたい. 今回、男と女によって見る世界が異なるのではないかと. と考える。この題材をきっかけとして、自分の捉えている. いう問題提起を行うために、実際に男女差の研究が進んで. 世界は自分でしかわからないため、個人個人捉えている世. いる色覚にまずはスポットを当てる。色覚に関しては、男. 界は変わるということを伝えたいと思う。. 性や女性の半分は3原色によって色を捉えている。しかし、. 言葉、文化・社会、さらには、個人個人で世界の切り取. 女性の47%は4原色という世界で捉えているという。この. り方に違いがあるということを生徒それぞれが認識したう. 事実を窓口として“性’’で異なる世界を見ている可能性に. えで、その違いから問題が生じることを挙げ、その認識を. ついて生徒たちに考えて欲しいと思う。. 共通化するために、科学があるということ、そして、この. そのために、導入では、色に関する実験として、白黒の. −35−.
(11) 倉賀野 志郎・早弓 圭子 コマを回すことにより色が起こるという実験で、色も人間. 興味を引きつけるものとなった。巨大コマのほうでは、現. はあいまいに捉えていることを感じ、その具体例として、. 象が起こらなかった生徒に対しても、普通サイズのコマで. プリズムの分光を通して、バックによって変わる分光した. 体感することができたことで全員が体感することが出来、. 色の見え方の実験を行い、相対的に私たちは色を見ている. 良かったと感じる。 しかし、反省点としては、生徒の位置的に現象が起こら. ことを伝えたい。また、もうひとつの導入部では、他の動 物の色覚について触れ、他の動物が何原色で色を見ている. ないのでは?と予想できたのにも関わらず対応が出来なかっ. のかについて知ることを通して、人間の見ている色の世界. たこと、そして、この実験をただのテーマにひきつける窓 口だけに留めてしまい、どうして、このような現象が起き. に興味をもってほしいと感じる。 展開部では、4原色で見ている女の人の例のほかにも、. るのかという部分が抜け落ちてしまっていたことがある。. クイズ形式で考えていく。この部分では、生徒が自らの実. 1時間目は、全体通し、実験やクイズを行う部分では生 徒は楽しんで授業に参加してくれた。しかし、その実感が. 体験と交えて、捉え方の違いを考えていってほしいと考え. あるからこそ、説明をしっかりと行うべきであったと感じ. る。また、男と女の違いの理由のひとつとして、狩猟採集. る。この説明を.段階ごとに行えば、人間の捉え方のおもし. 時代の生活の名残があることを考えてほしいと思う。. ろさをもっと伝えられたのではないだろうか。今後の課題. 男と女によって世界の捉え方に違いがあると思われる例を、. また、整理の部分では、4時間の授業のまとめとして、. としては、私たちは人間であるが故に、その捉えている世. 生物はそれぞれの生き方に応じて世界を切り取っているこ. 界があたりまえである。そのために、人間が捉えている方. とを伝えるために、本川達雄氏の「ゾウの時間、ネズミの. 法について理解しがたい部分を、段階をもってどのように. 時間」(1992)を参考に、寿命を例として生物は皆、平等の. 考えていくことが課題である。. 時間を過ごしていることから、捉えている世界に関しても 優越はなく、生物の生き方を反映していることを伝えたい。. 〈全体を通しての考察〉. そこから、私たち人間が見ている世界は完壁なものではな. アンケートという形では配布せず、10cm四方の紙に自由. く、環境はたくさんの生物の世界が点在し、時には重なり. に感想を苦いてもらった。. あうことによって成り立っていること、そして、人間はこ. 生徒の感想からは「第6感というものは存在するのか??. の違った世界(生物の世界、異なる異性の捉えている世界). 例えば、映画に出てくるテレパシーなど。」(K.F)、「とて. に関しても、客観的に捉えることが出来ることについて触. もおもしろかったです。背中が敏感って良いことあるので. れ、違いを知り認め合う中で私たちは生きていることを伝. すか?」(M.K)などの意見が出された。フリースクール. えたいと感じる。. のスタッフの感想からは、「錯覚についてよくわかりました。 今まで、不確実な知識だったことも理解できました」、「実 にわかりやすい授業でした。誰でももっている感覚をもと. (4−2)授兼プラン④「男と女、オスとメスの世界の捉えかた。」. にして、身体の機能を理解することができたと思います」、. (授業プラン④・別紙). 「身近な題材から取り上げ興味を引き、背中や手などで実 (4−3)授兼記録. 際に刺激を感じながらやることで、頭だけではなく心と体. 日時:2006年12月1二L日(月). で錯覚を何とはなしに体得できる」などが出されている。 うずまきの書いた巨大コマの実験で、錯覚を体感する錯. 授業を聞いてくれた生徒・学生:. 中学生. T.H、K.F. 覚クイズでは、見ようと思ってもだまされてしまう世界を. 男子2名. 体感して欲しいということをねらいとして行った。実際に. M.K、M.M、S.H女子3名. 高校年齢 K.T、D.S、T.N、S.A 学生. 男子5名 女子3名. 男子4名. 授業の中では、生徒たちは間違わないようにするが、間違っ. 計9名. てしまうために、驚いていた様子だった。. 計8名. 片目では立体視できないことの実験(片目では、離れた. (授業記録④の部分は省略). ところにある左右の手の人差し指をつけることは出来ない という実験)などを取り入れ実際に立体視していることに. (5)授業の分析・考察. ついて、実感をもった認識を行うことが必要だった。. (5−1)授業プラン①に関しての授業の分析・考察. る部分があるということを捉えてほしく、背中と手の敏感. また、触覚にも、大まかに捉える部分、逆に細かに捉え 〈授業の流れを追った考察・分析〉. さを測る実験を行った。しかし、視覚の部分で“大まかに. うずまきの書いた巨大コマの実験を取り入れた意図とし. 捉える部分、逆に細かに捉える部分がある”ということが. ては、子どもたちの興味をこのテーマに引きつけるために、. うまく説明することが出来ていなかったため、生徒たちに. 大きな実験をとして位置づけたものである。実際に、現象. 授業のつながりが、わかりにくかったのではないかと考え. が起きた後、生徒は皆、驚いており、これにより授業への. る。しかし、実験自体は生徒たち、それぞれ楽しんで実験. ー36.
(12) 感覚等の切り取る世界についての教育内容検討と授業プラン実践 していてくれた。. 展開することが必要だった。. (5−2)授業プラン②に関しての授業の分析・考察. に昆虫の手紙を書く活動、コウモリとガのゲームを楽しん. この授業の中では、感想をみてみると子どもたちは、特 〈授業の流れを追った考察・分析〉. でくれた様子だったので、もっと説明などを丁寧に整理し. 視覚を問うクイズの部分では、まず、色覚に関する生徒. て伝えることが出来れば、動物たちの見ている世界に、今. の考えとしてはモンシロチョウと牛で2分した。ここで、. 以上に関心を持ってもらえたのではないかと考える。. 理由についても生徒の考えを聞くべきであったが、実際に ウシだと知ったときには、驚きの声があがっていた。昆虫. (5−3)授業プラン③に関しての授業の分析・考察. よりは、晴乳類という自分と系統の近い動物がカラーであ. く授業の流れを追った考察・分析〉. ると考えている生徒もいたのではないだろうか。その後、. この部分は、“言葉で世界を切り取る”ということに焦点. ビデオのモノクロ撮影を通し、白黒の世界を実感してもら. を当てた部分である。それぞれの国の言葉での鳴き声の表. い、実際に自分もテレビの映像として映っているため、ど. 現を知ったあと、実際の動物の鳴き声を聴くという流れで. の生徒も楽しそうな様子であった。S,Hから「ウシの体が. 行ったが、子どもたちに言ってもらうように努めた。授業. 白黒だから。」M.Kが「色が白黒だから仲間さえ見ていれ. 者の方で鳴き声を提示してしまうと、授業者は先入観によ. ばいい。」K.Fからは「ウシを食べる動物がいないから」. りその動物の鳴き声のように表現してしまうからである。. T.Aの「色を見る必要がない。」などの意見も出されてお. この子どもにそれぞれの言葉を言ってもらうということは. り、体験を通し、ウシの世界を少しは想像できたのではな. 非常に効果的だった。このことで授業に参加している意識. いかと考えられる。. を持ってくれたとともに、少しずつ授業への興味を持って もらうきっかけになったと感じている。. 種同士の関わりに着眼した良い意見が出ていた。視覚と 体色とは密接な関係があるため、このことが夜光性とは関. また、実際に聴くことで普段、その動物の鳴き声だと自. わっていなくても、取り上げて言及することが必要だった。. 然と思っていたことに対して改めて考えなおすきっかけと. また、理解しやすい色覚の世界からネコの環境への興味を. もなったのではないだろうか。授業中の発言で、D.S「プー. 持ってくれたことが感じられる発言もあった。. プーも聞こえないんじゃない?」というものがあったよう に、自分たちが言葉として認識していた鳴き声が、音とし. 今回、その動物の見ている世界について体感するという ことを目的においていたため、色というものの見える仕組. て実際に聴くと違うということから、言葉で世界を切り取っ. みについては授業の中では言及していなかった。しかし、. ているという部分を体験することが出来たと感じる。. この色の見える仕組みということの学習を行っていれば、. 月の模様の形はどのように見えるかについて子どもたち. 色が見えることの不思議さを通して他の動物との違いに興. に考えてもらった部分では、月の写真を見せてから考えて. 味を持つことが出来たかもしれないと考える。. もらったが、そのために、「クマ」「カメ」「まる」など、子 どもたちは実際にその写莫から見える月の模様の形に注目. コウモリゲームでは、終始楽しそうな様子で行っていた。. した。この部分では、子どもたちにウサギが餅をついてい. ここで、普段はみんなの前で率先して行わない生徒がコウ モリの役をやったこともあり、とても盛り上がった様子だっ. るという認識が浅かったために、他の国の模様などとの違. た。ゲームを通して、人間がどれだけ目に頼っているか、. いなどをあまり体験できず、‘‘文化で世界を切り取る’’とい. 見えないということの恐怖も同時に感じることができたと. うことがあまり理解できなかったのではと感じる。 虹の色について考える部分では、虹の色を何色か聞いた. 思われる。. うえで、子どもたちに画用紙にそれぞれの思う色を書いて もらった。画用紙に書いてもらい、それを掲示して授業を. 〈全体を通しての考察〉. 行うという方法は、有効であったと思う。子どもたち自身. 生徒の感想からは、「コウモリのゲームけっこう楽しかっ た!(H.A)」「コウモリはつらいよ…・. 。(D.S)、蛾は. がそれぞれの意見を見ながら比較して考えることが出来た. つらいよ。」、「赤外線・紫外線以外に、人に見えないものは. と思われる。また、CD−Rの裏で色を確認する部分では、. あるのですか?(K.F)」などの意見が出された。またス. ずっと、興味を持ってみている子どももいた。 虹を取り上げたのは、“社会・文化で世界を切り取る”“個. タッフの感想からは「知らなかったことも多く、勉強にな りましたし、手紙やゲームも楽しかったです」などの意見. 人によっても切り取っている世界が違う”ということを虹. も出されている。. というものからつかんでほしい、実感してほしいと思い取. り上げたが、反省すべき点もある。だが、個人によって捉. この授業のねらいとしては、動物たちもそれぞれの生き 様に応じて世界を切り取っているということを伝えるとい. えている世界が違うという部分では、授業中に自然とM.K. うことがあったが、子どもたちに伝わりきれてなかっただ. 「えー、おもしろいね。」という発言や、「自分の捉えかた、. ろう。全体的に体験ということがメインになりすぎていた. 他の人の捉え方が違うんだな、おもしろいと思っちゃった。」. ため、この生き様という部分にもっと焦点を当てて授業を. (S.H)という感想が出たことからも、同じものも他の人. −37−.
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