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環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討 : 落花生の場合

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Academic year: 2021

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(1)Title. 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討 : 落花 生の場合. Author(s). 山崎, 有規; 川邊, 淳子. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 64(1): 381-390. Issue Date. 2013-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6936. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 平 成 25{ I 8月. 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 4巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 4,No. l. ご. August,2 0 1 3. 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討 落花生の場合. 山崎有規・川遺淳子*. 北海道教育大学大学院教科教育専攻家政教育専修 勺七海道教育大学旭川校家庭科教育研究室. D i s c u s s i n go fd y e i n gt e a c h i n gm a t e r i a li naj u n i o rh i g hs c h o o lhomemaking e d u c a t i o nfromt h ev i e w p o i n to fe n v i r o n m e n t a le d u c a t i o n ~. I nt h ec a s eo fapeanut~. YAMAZAKIYu k iandKAWABEJ unko* G r a d u a t es c h o o lo fe d u c a t i o n,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n,Asahikawac a r n p u s ネ. D e p a r t r n e n to fE d u c a t i o n,AsahikawaCarnpus,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n. 概要 食品廃棄の量が増えており,中でも家庭からでるゴミでは,余分廃棄の数値が高い。また,草木染めでは, 草木を染めるほか,クリの皮や,茶殻を用いて染色を行っている。そこで本研究では,家庭から生ゴミとし て排出される,食物由来の廃棄物に着目した。中でも,中学生が節分等行事食としても身近感じていると思 われる,落花生の殻・皮を再利用する視点から,染色素材として取り上げた。まず,教材化に必要な染色実 験の諸条件を明らかにし,中学校家庭科における環境教育の視点から考える,染色教材の検討をすることを 目的とした。. 1.はじめに 私たちの生活は, 2 4時間営業のコンビニ,ファミリーレストラン,飲食屈が数多く存在することもあり, たくさんの食べ物に固まれている。最近では簡単に食べ物を入手できることに慣れ過ぎて,食べ物の大切さ や,感謝の気持ちが薄れ,昔と比べると食べ物に対する価値観が変化していると言われている。. 1( 2 0 0 9 ) 年度では 1年間で 2, 7 7 4, 9 5 7 tものゴミを排出し, 環境省の調査によると,北海道では,平成 2 人 1日当たり 1 , 3 2 7 g出していることになる。家庭から出るゴミの内訳としては,. ないゴミ,. 1. 1位:紙類, 2位:燃え. 3位:生ゴミである。また農林水産省の「食品ロス統計調査」によると,平成 1 9( 2 0 0 7 ) 年度の. 381.

(3) 山1 [ 奇有規・川漫淳f. 全世帯で,食品ロスが3.8% (廃棄 2.8%,食べ残し1.0%) となった。食品ロスの多くは,食品の傷み,賞 味期限・消費期限切れ,食べ残しなどが原因である。まだ食べることのできるものをそのまま廃棄したり, 生ゴミとして排水溝に流してしまったり,食品ロスは環境に負荷を与えている問題の一つでもある。無駄な ものを買わないように計画をもって購入をすることや,賞味期限・消費期限や保存方法など食品に関わる情 報をしっかり購入時に確認し選択するなど,さらに,無駄がなく食材を有効に利用する調理方法などを考え ていくことで,家庭や学校などで出る生ゴミの廃棄する量も減ると思われる。 一方染色は,弥生時代から始まったとされている。最初は,生地の上に植物の葉や花を卵白や動物の血液 で定着させる手法が使われていた。その後,自然染色は生地の表面だけを染めるのではなく,細かく砕いた 果物や木の実とともに糸を煮ることで,繊維そのものに色をつける手法が開発された。染色を行う理由は, 元々は,おしゃれのためというよりは,おまじないや魔よけ,信仰上の行為だったと言われる。染料は,自 然染料が使われていたが,明治に入ると,合成染料の輸入が始まり,合成染料が使われるようになった。し かし,第一次世界大戦が起こり,合成染料の輸入が止まったことをきっかけに,自然染料を用いた染色方法 の研究が盛んになった。現在では,合成染料によって染められた衣類を身にまとっていることが多い。しか し,その一方で,環境面や安全面に配慮し,天然素材を用いた染法を試みようとする人も増えており,草木 染めが注目されるようになった。. 0( 2 0 0 8 )年 9月発行の「中学校学習指導要領解説技術・家庭編」の 'D また家庭科教育においても,平成 2 身近な消費生活と環境」として,「( 2 )ア自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え,環境に配 慮した消費生活について工夫し実践できること」と環境教育に関わる内容が盛り込まれている。ここでは, 消費生活と環境とのかかわりについて関心と理解を深め,持続可能な社会の構築のため,これからの生活を 展望して,自分や家族の生活を見直し,環境に配慮した消費生活について工夫し実践ができるようにするこ とをねらいとしている。また,「 B食生活と自立」や IC衣生活・住生活と自立」の学習との関連を図り, 食品の選択や調理,被服製作などの具体的な場面を取り上げるなど,実践的な学習となるように配慮するこ とも併せて述べられている。例えば,食生活分野における調理実習などで廃棄される野菜の皮なども,単に 生ゴミとして廃棄するのではなく,それらの二次的な有効活用を考えていくことは,ゴミ減量化にもつなが り,環境に配慮した生活を営んでいく上で重要である。 今までの中学校家庭科における染色教材としては,玉ねぎの皮などが教科書でも取り扱われてきている。 それ以外としては,藍染めなど,染色素材の栽培から染色までを行い,多くの授業時間を費やしている学校 もあった。また,これらは,衣生活分野として,昔は手芸要素が強く,最近でも衣文化の継承などの視点か ら取り扱われることが一般的であった。そこで 'B食生活と自立」や,「 D消費生活と環境」とも関連させ,. IC衣生活・住生活と自立」だけでは学ぶことのできない食品廃棄が環境に与える影響を知り,自分たちに できる対応策を考える視点からの検討は意義深いものと考える。 そこで本研究では,特に今まで教材としてあまり取り上げられてこなかった,食材の皮や殻などといった 廃棄物としての落花生に着目し,まずその染色に適する基礎的条件を検討する。その上で,環境教育の視点 から考える教材としてその可能性を検討していくことを目的とする。. 2 . 研究方法 すべての食べ物が見たままの色に染まる訳ではなく,簡単に染まるものもあればなかなか染まりにくいも のもある。とりわけ教材化となると,視覚的にも色濃く染まらなければ,生徒も染色したという実感がわか ないであろう。それゆえ,教材化をするためには,いつでも,どこでも,誰が行っても,ほほ同様に染色で. 382.

(4) 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討. きるだけの条件などを設定する必要がある。染色素材としての落花生の皮と殻を取り上げ,それらの染料抽 出方法および、染色条件について. まず検討することにする。. ( 1 ) 落花生の染色実験. 1)実験試料 ①落花生 平成 2 3( 2 0 1 1 ) 年1 1月に,旭川市内のスーパーにて購入した。産地は中国産であった。落花生の色素成分 は,皮はポリフェノール系リスベラトロールであるが,殻は不明で、ある。 ②媒染剤 中学校の教科書でも取り上げられている,焼みょうばんを取り上げた。平成 2 3( 2 0 1 1 ) 年1 1月に,旭川市 内のスーパーにて購入した。 ③染色用布 燃焼やしみ抜き実験用の日本家庭科教育研究会企画「被服材料・繊維の種類布地見本ノート J ( 1冊 :5 0 0 円)を用いた。内容は,綿・麻・毛・絹・レーヨン・キュプラ・アセテート・ナイロン・ポリエステル・ア クリルの計 1 0 種類であった。. 2)実験方法 落花生の殻と皮を別々にして,それぞれを煮出して染料を抽出した後, 1 0 種類の染色用布に対して,媒染 しない場合と,先媒染および、後媒染の処理を行った場合とで比較しながら染色を行った。. ( 2 ) 中学生を対象とした実践 4( ( 2 0 1 2 ) 年 1月 8日(日)に実施された,第 7回上川管内中学生創造ものづくり教育フェアに参 平成 2 加した,旭川市内の 3中学校の生徒 7名を対象として,落花生(殻・皮)を用いた実践講座を行った。実習 の過程の観察や事後アンケートの結果などから,教材化に向けての有効性と課題について検討を行った。. 3 . 結果および考察 ( 1 ) 染料の抽出. 1)落花生の殻の場合 500mlと落花生の殻 30gを入れ,沸騰させて強火で 2 0分煮込んだ。その後漉し ホーローボウルの中に水 1, て染液を作製した(図 1。 ). 2)落花生の皮の場合 500mlと落花生の皮 3gを入れ,沸騰させて強火で 2 0 分煮 殻の場合と同様に,ホーローボウルの中に水 1, 込んだ。その後櫨して染液を作製した(図 2。 ). ( 2 ) 染色方法. 1)無媒染の場合 染料抽出液を 8 5Cまで加温し,予め水に浸しておいた染色用布を軽く絞って入れ, 8 5Cを保ったままでむ 0. 0. ら染めにならないように適度にかき混ぜた。 2 0 分間たったら染色液から布地を取り出し,振り洗いをしてす すぎ,その後布地は風乾させた。. 3 8 3.

(5) 山1 [ 奇有規・川漫淳f. 図 1 染料抽出液の変化(落花生の殻の場合). 図 2 染料抽出液の変化(落花生の皮の場合). 2)先媒染の場合 水 750mlに対してみようばん 0.2gをよく溶かした媒染液に,予め水に浸しておいた染色用布を軽く絞っ て入れ, 1 0分間つけておいた。その後,染料抽出液を 8 5Cまで加温し,媒染剤から取り出した布地を軽く絞っ 0. て入れ, 8 5Cを保ったままでむら染めにならないように適度にかき混ぜた。 2 0 分間たったら染色液から布地 0. を取り出し,振り洗いをしてすすぎ,その後布地は風乾させた。. 3)後媒染の場合 染料抽出液を 8 5Cまで加温し,予め水に浸しておいた染色用布を軽く絞って入れ, 8 5Cを保ったままでむ 0. 0. 0分間たったら染色液から布地を取り出した。水 750mlに対して ら染めにならないように適度にかき混ぜ, 2 みようばん 0.2gをよく溶かした媒染液に,染色した布地を軽く絞って入れ, 1 0分間つけておいた. O. 最後に. 振り洗いをしてすすぎ,その後布地は風乾させた。. ( 3 ) 落花生の部位による染色性の遣い 1)落花生の殻の場合(図 3) 毛・絹・ナイロンがはっきりと黄色系に染まった。綿・麻・レーヨン・キュプラ・アセテート・ポリエス テル・アクリルに関しては,はっきりと染着せず変化があまり見られなかった。毛・絹・ナイロンに関して は,無媒染<先媒染<後媒染の順に染色布の色は濃くなったが,他の繊維においては,媒染の効果は見られ なかった。 毛・絹・ナイロンがよく染まったのは,繊維に含まれたタンパク質が関係していると考える。例えば,毛 の繊維の主成分はケロチンというタンパク質である。また絹の繊維は約 75% のフイブロインを約 22~23% の. セリシンがっつんでできている。これらは,両方ともタンパク質である。ナイロンは絹の性質を類似させよ うとつくられたもので,タンパク質が含まれている。一方で,あまり染まらなかった綿・麻・レーヨン・キユ プラ・アセテートは,主成分がセルロース,ポリエステル・アクリルは,主成分が石油であることが関係し. 384.

(6) 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討. ているものと考えられる。 以上の結果から,落花生の殻は,タンパク質のものによく染まり,他のものには染まりにくいことがわかっ た。落花生の殻を用いて染色を行う場合に用いる繊維としては,毛・絹・ナイロンが適切である。 学校で実際に授業における教材として取り上げる時,絹は高価で,ナイロンは染色後の利用範囲を限定さ れることから,毛を用いた染色が一番望ましいと思われた。. 2)落花生の皮の場合(図 4). 白布. 無媒染. 先媒染. 後媒染. 白布. 無媒染. 先媒染. 後媒染. 図 3 落花生の部位による染色性の違い. 図 4 落花生の部位による染色性の違い. (落花生の殻の場合). (落花生の皮の場合). 385.

(7) 山1 [ 奇有規・川漫淳f. アセテート以外は全部赤褐色にきれいに染まり,特に,毛-絹・ナイロンは,はっきりとした色に染まっ た。しかし,アセテートはどの方法でも全く染まらなかった。レーヨン・キュプラ・ポリエステル・アクリ ルは,無媒染<先媒染<後媒染の順に染色布の色は濃くなったが,綿・麻・毛・絹では,あまりはっきりと した色の変化はわからなかった。 全体的に赤褐色に染まったのは,落花生の皮に含まれるフラボノイド色素の影響だと考える。落花生の皮 に含まれる色素である,ポリフェノールの一種であるレスベラトロールは,水i 容性であるため,染料抽出も 容易であった。 毛・絹・ナイロンがよく染まったのは,前述したように,繊維に含まれるタンパク質が関係しているので はないかと考える。一方で,落花生の殻ではあまり染まらなかった繊維においても,落花生の皮では染着が 可能で、あった。 似た色合いに染まった綿・麻・レーヨン・キュプラは,主成分がセルロース,ポリエステル・ アクリルは,主成分が石油であるため,少し薄い色合いになったのではないかと考えられる。しかし,アセ テートは綿などと同じセルロースを主成分としながら,落花生の殻と同様にあまり染着しなかった。 以上の結果から,落花生の皮は殻と同様に,染色を行う場合に用いる繊維としては,毛・絹・ナイロンが より適切であるが,殻ではあまり染まらなかった綿・麻・レーヨン・キユプラなどを用いても,可能である こともわカミった。. ( 4 ) 中学生を対象とした実践. 実践の概要については先に示した通りであるが,実践の様子(図 5 ・6)と落花生の部位による染まり方 の違い(図 7),実践当日生徒用に配布した資料(図 8)を以下に示した。. 図 5 染色実践の様子①. 図 6 染色実践の様子②. 図 7 落花生の部位による染色性の違い (左から, 布・殻・殻と皮・皮). n. 386.

(8) 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討. 次に,生徒に実践後にとったアンケート結果を示す。. 1)染色実験への感想 「今日の落花生による染色実験は,楽しかったで、すか」という質問には,. 7名中 6名 (86%) が「とって. も楽しかった」と回答した。理由としては,「きれいな色に染まったから J Iそれぞれ色が違っていておもし ろかったから」など,布地に色がついたことに対して多く書かれており,染色そのものを参加した方々に楽 しんでもらえたと考える。. 2)染色をおこなった経験 「今までに染色体験したことがありますか」という質問に対して 7人中 7人 (100%) がないと答えた。 このことから,授業として取り上げる際は,充分な指導が必要だとわかった。. 3)染色に対しての知識 「媒染という言葉の意味を知っていますか」という質問には,. 7人中 6名 (86%) が「名前も意味も知ら. ない」と回答した。このことから,染色に対する専門性は中学生にはなく,教える際は専門用語の説明を分 かりやすく行ったり,簡単な言葉に置き換えることが求められる。. 固 く8名 分 > O 落花生:r 殻2 40gJ・「庶2 4 g J →A :殻 1 6 0 g , B:皮 1 6 g , C :殻80gと皮8 gc ; )3 種類ぬ染色液を作製 o7: r . / L ト( I O c m xI O c m ) 8 枚 x3種類向染色液=互主量 →ウーI L (毛) 6 0 %・レーヨン 40% 向志向を今国防使用」. 圏 0 ホウロウボウル(事;~I歩深鍋). O 計量すJ.yヲ 01: 事力叫. 0 コミ取" ' * ' y ト O 薬箸(号;~Ict:ピンt!'yト). O 温庖計 0, ¥ Iyト. 屋国 c])ホウロウボウILに,水 2L~コミ取川本‘vトIこλれE落花生 <A ・ B.C> を老ねぎれλねる。. ⑧コンロ向上にc])c;)ホウロウボウルを置き強火芭滑騰させ1 ; . 事騰し定局弱刈こし乞絢 20分程さ局にじっく'"意 出し,熱いうちにネ‘v トl ζ λっE落花生向殻や皮を取り出i t o(かすが鵠液向中に残っ乞いるようであれI c J こ す。). 0 07: r . / L トをあ局かじめ1 ¥ ・ 7トl ζ λれE水芭十分に遣し乞前く。(お局染め防止向Eめ) ⑧⑧ぬ鵠液を再び火にかけ, 85Cに砂っ定局⑧C ; ) 7: r . / L トを 1枚ずつ軽く絞っZλ札 85Cに保っE孝彦, 7: r . / L 0. 0. トがホウロウボウI Lc ; ) 水面に浮かん芭来捗い占うζ l彦 E重怒っ定歩歩に捗局砂いように,時々薬箸芭かま混 図 8 当 H配布資料. 387.

(9) 山1 [ 奇有規・川漫淳f. 4)染色に対する興味 「今回の染色実験を通して,染色というものに興味が沸きましたか」という質問に対して, 7人中 3人 (43%) が「とても興味が沸いた」と回答し,. 7人中 3人 (43%) が「興味が沸いた」が回答した。このことから,. 中学校で実践した場合,生徒に興味を沸いてもらうことができ,授業に対して意欲的に参加すると考える。. 5) その他の感想 染色実験をおこなっての感想を自由に書いてもらうことを求めたところ,「初めてで,とても楽しかった」 という意見や1"(染色したフェルトを)コースターに使います J 1"他の物で染色すると,どのような色がでる のかなと思いました J 1"また機会があればしたい J 1"楽しかった」など,染色をおこなうことに対するプラス の意見が多かった。. 少人数かっ参加者全員が染色経験がない中で、の実践で、はあったが,染色そのものを楽しんで行うことがで きたこと,また染色への興味・関心がわいたこと等には注目したい。一方,媒染剤をはじめとする,染色に 関する基礎的知識のなさを改めて実感した。実際に現場で実践を行う場合には,十分な事前学習や指導が必 要である。また,実生活では未経験の染色であっても,教材によっては,生徒の学習への興味・関心をわか せる可能性を持っているのではないかということが示唆された。. ( 5 ). 中学校家庭科における染色教材の提案. 1)実習教材化 以上の落花生に関する染色基礎実験および中学生に対する実践結果を踏まえた上で,中学校家庭科におけ る染色教材および授業の提案をしたいと思う。 教材化するにあたって,試料に用いた落花生は,節分にあたる 2月の豆まきに合わせ,授業で生徒たちと 皮むきと殻と皮の分別等も行い,染色素材として用いる。また実験器具に関しては,ホーローボウルは学校 によっては無い場合もあるが,調理実習室にある深めの鍋を用いて行うことができる。ガラス棒やピンセッ トは菜箸でも代用可能である。また染色用布に関しては,繊維の種類に十分気をつけ,布地・毛糸・フェル ト等を上手く組み合わせて用いると効果的である。毛糸を利用する場合は,指編みで作品作りや幼児のおも ちゃづくりに用いることができる。綿とレーヨンの混合の布地を利用する場合は,エコパック製作や Tシャ ツのアップリケ等に用いたり,ポケットとしても用いることができる。毛とレーヨンの混合のフェルトの場 合は,エコパックや Tシャツなどのアップリケや,小物づくりにも用いることができる。 以下では,. 時間. 前準備. 3 8 8. 1学級 3 0人で,. 1グループ 5人の全 6班で授業を行う際の流れを示した。. 学. 習. j 舌. 準備物等. 動. 0落花生の殻 80gx 3組と皮 8gx 3組を作り,ネットなどに入れる。. デジタルスケール・ゴミ取 りネット落花生の殻と皮・ 毛100%もしくは毛とレーヨ ンの混合のフェルト. 0フェルト (20x20cm)を10x10cmの 4等分にしたものを 8組作る。. 裁ちばさみ. QJ'¥ットに水をはり,十分にフェルトを浸す。. パット.

(10) 環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討. 0~25分. 25~45 分. ①ホーローボウルに水1.5e とゴミ取りネットに入れた落花生の殻・ 皮-をそれぞれ入れる。. ホーローボウル(または深 めの鍋). ②コンロの上に②のホーローボウルを置き,強火で沸騰させ,沸騰し たら弱火にして約 2 0 分程さらにじっくり煮出し,熱いうちにネット に入った落花生の殻・皮を取り出す。(かすが染液の中に残ってい るようであればこす。). 菜箸・コンロ. ③②の染液を再び火にかけ, 8 5Cになったら水に浸しておいたフェル 温度計 トを 1枚ずつ軽く絞って入れ, 8 5Cを保ったまま,フェルトがホー ローボウルの水面に浮かんで、こないように,また重ならないように, 0分煮る。 時々菜箸でかき混ぜながら約 2 0. 0. 45~50分. ④③のフェルトをホーローボウルから取り出し,色が出なくなるまで 水で濯いで振り洗いをし風乾する. 2)授業構成の工夫 落花生を用いた染色教材を授業化するにあたっては,ただ染色をすることを学習の中心に置くのではなく, 普段の家庭での生活や調理実習における生ゴミの多さなどから,ゴミとして捨てるのではなくそれらを有効 活用できないのかという,課題意識を持たせるところから始めさせたい。また,玉ねぎの皮を用いた染色に 関しては,従来から盛んに教科書でも取り扱われているので,基本的な染色の原理や方法を学ばせる上では 重要な題材である。それらを通して,行事食などでも普段は捨ててしまう落花生の殻や皮に着目させ,それ らも玉ねぎの皮のように染色素材として用いることができるのだろうかと,疑問を持ちかける方法で進めて いくと効果的であるように思われる。染色素材としても,殻だけ,皮だけでまずどんな色が出るのかを確か め,ブレンドしてみたらどうなのかを行ってみる。その上で,染める布地を変化させたり,媒染剤を使うと さらにどのような色に変化するのかを確かめ,自分だけのオリジナルな色を製作に用いる布地に活かす方法 を考え,活用する場への学びの広がりを追究していくことが何よりも大事である。 中学校家庭科の授業時間は極めて少ない状況にはあるが,様々な教育内容を有機的に組み合わせることに よって,生徒それぞれの興味・関心を引き出し,構成力や創造力を高めていくことにつながっていくであろ. つ 。. 4 . まとめ 中学校家庭科の授業で,環境教育は今までも取り扱われてきたが,ストーリー性を持って,衣食住生活と 関連づけて学習することはあまりできていなかった。また廃棄物の視点に立っても,リサイクルや堆肥化な ど,そのものの流れをいかに先に進ませるかということはあっても,創造的な方向性での取り組みは少なかっ た。特に今回検討した教材化では,単なる染色の授業で終わるのではなく,身近な家庭生活の中における環 境に関わる課題を生徒自らが発見し,その解決方法を自ら考え,実践的・体験的な活動を通して,主体的に その課題の解決を導き出せることを目指している。今後,現場における実践によるさらなる検討が必要では あるが,環境に配慮した生活を,中学生自らが創造できるために一歩を踏み出すことに寄与していくものと 考えている。 本研究では,環境教育の視点から考える中学校家庭科における染色教材の検討を行ったが,今後は,学校 現場での実践を通して,子どもの反応や学びにつながっているか,環境について考え行動で、きる生徒の育成 につながる研究をさらに行っていきたいと考えている。. 389.

(11) 山1 [ 奇有規・川漫淳f. 参考文献 1)大野静枝・石井照子『衣生活の科学一衣生活編ー~ ,建吊社, 2000 2). I家庭 7 23技術・家庭家庭分野 j,開隆堂,. 3). I家庭 7 2 1 新しい技術・家庭家庭分野 j,東京書籍,. 4). I家庭 7 22技術・家庭家庭分野 j,教育図書,. 2012 2012. 2012. (山崎有規旭川校大学院生) (川遺淳子旭川校准教授). 390.

(12)

図 1 染料抽出液の変化(落花生の殻の場合) 図 2 染料抽出液の変化(落花生の皮の場合) 2  )先媒染の場合 水750mlに対してみようばん0.2g をよく溶かした媒染液に,予め水に浸しておいた染色用布を軽く絞っ て入れ, 1 0 分間つけておいた。その後,染料抽出液を 8 50 Cまで加温し,媒染剤から取り出した布地を軽く絞っ て入れ, 8 50 C を保ったままでむら染めにならないように適度にかき混ぜた。 2 0 分間たったら染色液から布地 を取り出し,振り洗いをしてすすぎ,その後布地は風乾させた。

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