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刑事訴訟法

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Academic year: 2021

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法科大学院 2016 年度入学試験問題 刑事訴訟法 出題趣旨 本問事例においては、検察官が、被疑者X の自白の信用性を立証するためには X が供述 を変更した動機を確認する必要があり、そのためには、X と弁護人 D とのあいだの接見内 容を明らかにする必要があるとして、取調べにおいてX に対し D との接見内容を供述する よう求めたところ、X がこれに応えて、接見内容を供述している。この点をめぐって、刑訴 法39 条 1 項が「立会人なくして」の接見を保障していることとの関係で問題が生じる。本 問は、この問題について、検察官、弁護人の各立場から、参考判例、とくに下線部分の意義 をどのように理解し、それを踏まえてどのように取調べの適法または違法の主張を展開す ることができるかを問うものであった。 まず、刑訴法39 条 1 項が「立会人なくして」の接見を保障していることの意義、それが 接見内容の秘密性を保障することだとすれば、秘密性の保障にどのような意義があるか、事 後的聴取からも保護されるのかが問題となる。 接見内容の秘密性が事後的聴取からも保護されるとすれば、検察官としては、たとえば、 参考判例の下線部分を参照して、そのような接見内容の秘密性の保障を含む接見交通権も、 捜査・取調べの必要性とのあいだでの「合理的な調整」に服することになるから、接見内容 を聴取する必要があり、秘密性の侵害の程度、態様などからみて、相当な取調べといえる場 合には、取調べは適法であると主張することができよう。そのとき、具体的にどのような点 において接見内容の聴取が必要とされるのか、被疑者が検察官の求めに応じ任意に供述す ることによって、接見内容の秘密性の要保護性が消失ないし低減するのでないか、接見交通 権が弁護人の固有権でもあるとされることをどのように理解すべきかなどが問題となろう。 他方、弁護人としては、たとえば、参照判例のいう「合理的な調整」の意味を検討し、参 照判例はあくまでも刑訴法39 条 3 項に基づく接見指定の合憲性を判断したものであって、 そこにいう「合理的な調整」は、一つしかない被疑者の身体の利用が競合することを前提と して、接見の機会について、日時・場所・時間の指定による調整を意味するものでしかなく、 接見内容の秘密性の保障を捜査・取調べの必要により相対化することを含意していないと したうえで、取調べにおける接見内容の聴取は、弁護人の援助を受ける権利を保障するとい う憲法の趣旨を実質的に損なうものであるから、接見交通権の侵害するものとして違法で あると主張することができよう。あるいは、参考判例からすれば、接見交通権と捜査・取調 べの必要とのあいだの「合理的な調整」が一般的には認められるにせよ、接見内容の聴取は 憲法の保障の趣旨を実質的に損なうものとして許されないと主張することもできよう。こ こにおいては、接見内容の聴取が、どのような意味において弁護人の援助を受ける権利の憲 法的保障の趣旨を実質的に損なうことになるのか、接見指定による時間的・場所的調整とど のような点において違いがあるのか、被疑者が接見内容を任意に供述した場合でも、その要 保護性が消失ないし低減しないのかなどが問題となろう。

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