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明るさと色を変更可能なパーティション環境が執務者に与える影響の検証

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Academic year: 2021

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198回 月例発表会(20198月) 知的システムデザイン研究室

明るさと色を変更可能なパーティション環境が執務者の快適性に与える影響の検証

川村 航平

Kohei KAWAMURA

1

はじめに

我々はオフィスにおける執務者の快適性向上を目的とし た,知的照明システムの研究・開発を行っている.知的照 明システムの実証実験の結果,執務者に好みの照度や色温 度を提供することで,執務者の快適性が向上することが報 告されている1).また,執務者が壁面照明を用いて壁面を 好みの明るさや色にすることで,執務者の快適性が向上す ることが明らかになっている2) .特に,壁面照明は色を 変更可能なため,照度や色温度と比較して執務者や空間の 雰囲気に大きな影響を与えることが可能である.しかし, 壁面照明によって照らされる壁面は,複数の執務者の視界 に入る.そのため,執務者が好む明るさや色を個別に提供 することが容易でない.そこで,各執務者に対して好みの 明るさと色を提供するために,本研究ではパーティション に着目した.パーティションの明るさと色を変更可能にす ることで,執務者が好む明るさと色を個別に提供すること が可能になる. そこで本研究では,執務者の快適性向上を目的として, 明るさと色を変更可能なパーティション(以下,明るさ・ 色可変パーティション)を作成した.そして,被験者実験 により明るさ・色可変パーティションの有効性を検証する. 本研究では,フルカラー照明であるPhilips Hueの光を無 彩色のパーティションに照らすことで,パーティションの 明るさと色を変更可能とした.

2

執務者が選択するパーティションの明るさと

色に関する予備実験

2.1 実験内容 被験者がパーティションの明るさと色を変更可能であ るとき,被験者が選択するパーティションの明るさと色を 検証する.そのために,被験者がノートパソコンを用いた VDT作業時に,快適と感じるパーティションの明るさと 色を選択する実験を行った.被験者はノートパソコンで電 子書籍を10分間黙読しながら,パーティションの明るさと 色を選択する.被験者は20代大学生9名に対して行った. 2.2 実験条件 本実験では,机上面の照度を700 lx,色温度を4800 Kと した.また,ディスプレイの平均輝度は170 cd/m2とした. 被験者はパーティションの明るさと色を変更するために明 度,色相,彩度をテンキーを用いて選択する.被験者が選 択可能な色相は色相環を12分割した12色(Red, Orange, Yellow, Yellow Greeen, Green, Green Cyan, Cyan, Cyan Blue, Blue, Purple, Magenda, Pink)と白色(White)の 合計13色である.また,明度と彩度は3段階(Strong,

Table1 被験者が選択したパーティションの明るさと色

被験者 明度 色相 彩度

A Strong Yellow Green Moderate

B Weak Orange Strong

C Moderate Blue Strong

D Strong Green Cyan Weak

E Strong Cyan Blue Moderate

F Strong Cyan Weak

G Strong Yellow Green Weak

H Moderate Green Cyan Moderate

I Weak Yellow Weak

Moderate, Weak)で選択可能である. 2.3 実験結果 被験者が選択したパーティションの明度,色相,彩度 をTable 1に示す.被験者が選択したパーティションの明 度,色相,彩度は被験者によって異なった.実験後のヒア リングの結果,選択される明るさや色は被験者の好みの色 や実験時の気分が影響することがわかった.そのため,同 一の被験者においても作業時の気分や体調によって,選択 するパーティションの明るさや色は異なると考えられる.

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明るさ・色可変パーティションの有効性検証

3.1 実験概要 本実験は,被験者が選択したパーティションの明るさ と色が快適性に与える影響を検証する.そのために,パー ティションの明るさと色を選択できない環境(以下,標準 環境)とパーティションの明るさと色を選択した環境(以 下,選好環境)でVDT作業を行い,被験者はアンケート に回答する.また,本実験は2.2節と同様の実験条件で実 施した.このとき,被験者が選択したパーティションの明 るさと色が,被験者のストレス度に与える影響も検証した. 本実験で使用したストレス指標は,心電図を用いたストレ ス指標の1つであるCVRRを使用した.本実験では,心 電図を取得するために,被験者は衣類型のウエアラブル心 電計である「hitoe」を着用した. 被験者が選択するパーティションの明るさと色は,実験 時の体調や気分によって異なることが考えれられる.その ため,同じ被験者に対して,3日間同様の実験を実施した. このとき,各被験者に対して,3日間同じ時間帯に実験を 実施した.被験者は20代大学生4名である. 3.2 実験手順 被験者は実験室の環境に順応するために,標準環境で5 分間待機する.順応後,標準環境で20分間作業を行い,ア 11

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Table2 被験者が選択したパーティションの明るさと色

被験者 日数 明度 色相 彩度

1日目 Moderate Green Weak

A 2日目 Moderate Orange Strong

3日目 Moderate Blue Moderate

1日目 Strong Green Cyan Weak

B 2日目 Strong Orange Weak

3日目 Moderate Yellow Weak

1日目 Weak Blue Strong

C 2日目 Moderate Yellow Green Weak

3日目 Moderate Orange Weak

1日目 Moderate Cyan Blue Weak

D 2日目 Weak Green Cyan Moderate

3日目 Moderate Green Cyan Weak

ンケートに回答する.その後,被験者はパーティションの 明るさと色を変更可能な環境で5分間待機する.順応後, 選好環境で20分間作業を行う.このとき,被験者は作業 を始めてから7分以内で,作業を行いながら快適と感じる パーティションの明るさと色を選択する.作業終了後,被 験者はアンケートに回答する. アンケート項目は作業快適性,疲労度,集中度,空間の 印象,空間の雰囲気,開放感の6項目である.また,作業 を行う環境の順序が快適性に与える影響を考慮して,標準 環境での作業と選好環境での作業の順序を被験者によって 変更して実験を行った. 3.3 実験結果・考察 被験者が選択したパーティションの明度,色相,彩度 をTable 2に示す.被験者が選択したパーティションの 明度,色相,彩度は被験者によって異なった.また,同じ 被験者においても,日によって被験者が選択するパーティ ションの明度,色相,彩度は異なる傾向があった.実験後 のヒアリングの結果,選択した明るさや色が日によって異 なった理由として,実験日の気分や体調の違いが影響する ことがわかった.また,被験者からは「明るさと色を変更 することで,気分転換ができる」という回答が得られた. そのため,作業を長時間行う場合,作業中にパーティショ ンの明るさや色を変更する可能性も考えれられる. 被験者4名に3日間行った実験でのアンケート結果の平 均をFig. 1に示す.全ての項目で標準環境よりも選好環 境の方が高い評価が得られた.そのため,パーティション の明るさと色を選択することで,執務者が快適と感じなが ら集中して作業を行うことが可能と考えられる.また,日 によって異なるパーティションの明るさと色を選択した被 験者も,全ての日程で選好環境の方が快適性が高かった. そのため,執務者が快適と感じるパーティションの明るさ と色は複数存在することが考えられる. 作 業 時 に お け る の CVRR の 結 果 を Fig. 2 に 示 す . CVRRは小さい値ほどストレス度が大きく,大きい値 ほどストレス度が小さいことを示している.被験者A,C Fig.1 アンケート結果 Fig.2 各日程のCVRRの平均 は標準環境よりも選好環境でストレス度が低かった.被験 者Bは標準環境と選好環境でストレス度に大きな差はな かった.これらの結果,選好環境での作業は主観的な集中 度が高くなるだけでなく,標準環境よりもストレスが同等 または軽減する可能性がある.しかし,被験者Dは選好 環境よりも標準環境でストレス度が低かった.被験者D に対する実験後のヒアリングで,「選好環境ではかなり集 中できた」という回答が得られた.そのため,好みのパー ティションの明るさと色を選択することで,集中度が高ま りストレス度が高くなる可能性もあると考えられる.

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今後の研究方針

本稿における検証の結果,執務者が快適と感じるパー ティションの明るさと色は執務者だけでなく,その時の体 調や気分によって異なることがわかった.また,パーティ ションの明るさと色を選択することで,執務者は快適に作 業を行うことが可能になる.今後は,学生居室に明るさ・ 色可変パーティションを導入し,明るさと色を変更可能な 環境の有効性を検証する.

参考文献

1) 大学法人同志社大学,株式会社三井物産戦略研究所.平成20 年度∼平成22年度成果報告書エネルギー使用合理化技術戦 略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/自律 分散最適化アルゴリズムを用いた省エネ型照明システムの研 究開発. Technical Report 20110000000875,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構, 4月 平成23年. 2) Satoaki Tamura, Mitsunori Miki, Hiroaki Nasu, Ryoto

Tomioka and Hiroto Aida, ”Color of wall lighting pre-ferred by office workers in intelligent lighting system us-ing wall lightus-ing together”, the 8th Lux Pacifica, pp.115-118, 2018.

参照

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