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有限距離熱電変換回路のゼーベック係数増大に関する研究

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目次

1. 序論

1

1.1

はじめに

1

1.2

有限距離熱電回路とシミュレーション

2

1.3

研究背景

4

1.4

研究目的

4

2. 基礎理論

5

2.1

熱電効果

5

2.1.1 ゼーベック効果

6

2.1.2 ペルチエ効果

8

2.1.3 トムソン効果

10

2.2.1 熱電変換モジュール

11

2.2.2 熱電変換素子

12

2.3 熱の移動形態

14

2.3.1 熱伝導

15

2.3.2 熱伝達

18

2.4

ジュール熱

22

3. 実験結果

23

3.1

ゼーベック係数の比較

23

3.2

温度分布の比較

24

4. 電熱シミュレーションによる起電圧の評価

26

4.1

シミュレーションモデル

26

4.2

計算に使用する差分式

28

4.3

セルの温度変化

30

4.4

起電圧・抵抗の計算

32

4.5

規格化と計算に用いた物性値

33

4.6

シミュレーション結果(従来型熱電変換素子)

35

4.7

実験とシミュレーションの温度分布比較

38

(3)

5. 結論

39

5.1 まとめ

39

5.2 今後の課題

39

参考文献

40

(4)

1

第一章 序論

1.1 はじめに

産業の発展、人口の増加などにより消費されるエネルギー資源は急激に増加すると考えら れている。また、石油、天然ガス、石炭などのエネルギー資源の利用可能な年数が下のグ ラフのように予想されている。よって現在、使用されているエネルギーは底をつく事が予 想されている。そこで新しい発電方法の開発(核融合発電など)が今現在、必要とされて いる。また、それと同時に今現在、使用されている発電方法の効率を高める事も限りのあ るエネルギー資源を有効に使うために重要になってくる。この発電効率を高める方法とし て、未利用熱を電力に変換する熱電変換がある。更に、太陽光エネルギーや地熱エネルギ ーに由来する温度差エネルギーが環境内に豊富に存在しており、この未利用温度差エネル ギーを熱電変換により電力に変換して有効資源化する事も有効である。 Fig.1-1-1 世界の人口推移 Fig.1-1-2 資源の可採埋蔵量と利用可能年数

(5)

2

1.2 有限距離熱電回路とシミュレーション

一般にFig.1-2-1 にあるようなπ型熱電素子はp、n型半導体を銅板ではさむ構成をして おり、これに温度差を与えることでゼーベック効果による発電が可能となる。しかしこの π型素子の大きさは半導体の大きさが2mm 程度であり、温度差を与えるため片側を加熱し ても熱伝導の影響により大きな温度差、つまり大きな起電圧を発生させることができない。 また電流を流すことにより、温度差を生み出すペルチエ効果においても同様の理由から大 きな温度差を得られない。 そこで本研究室ではこの問題を解消させるためFig.1-2-2 のように素子を銅線で接続した 改良型熱電回路を考案し、作成して実験を行ってきた。 この回路の特徴は、半導体にたまる熱を銅線および銅線を通して空気中に逃がすことに より半導体の両端の温度差を高く保ち、熱電効果による発生電圧を増大させ得ることにあ る。 Fig.1-2-1 π型熱電素子 Fig.1-2-2 有限距離熱電回路 実際には、一つの回路での発電量が小さいため、市販回路(Fig.1-2-3)と同様に Fig.1-2-4 のように何対もの素子を直列に接続した有限距離熱電回路(Fig.1-2-5)を作成し実験を行っ ている。 Fig.1-2-3 π型熱電素子 Fig.1-2-4 有限距離熱電回路

(6)

3 Fig.1-2-5 有限距離熱電回路(銅線 1cm)

(7)

4

1.3 研究背景

近藤研究室では温度差を大きく得ることが難しい従来型熱電変換素子の欠点である厚み に注目し、有限距離熱電回路を試作した。物理的に素子間の距離を取ることにより素子間 の温度差を取ることができ、生じる電圧量が大きく得られることが分かった。また有限距 離熱電回路は従来型熱電変換素子に比べ、ゼーベック係数が高くなることも分かった。

1.4 研究目的

本研究室では、実験とシミュレーションにより有限距離回路のゼーベック係数の特性評 価を行っている。 本研究では、新しく作成した新型熱電変換素子を実験とこれまでに構築したシミュレー ション理論をもとに様々な状態での有限距離熱電回路についてのゼーベック係数上昇の特 性評価を行い、ゼーベック係数が上昇した原因について研究を行った。ゼーベック係数が 上昇する原因が分かればより効率の良い熱電変換システムが作成できるであろう。

(8)

5

第二章 基礎理論

2.1

熱電効果

熱電効果には、ゼーベック効果、ペルチエ効果及びトムソン効果の三つがある。ゼーベッ ク効果の具体的用途例が熱電発電であり、ペルチエ効果の具体的用途例が熱電冷却である。 熱電変換は固体中で起こる物理現象であるが、同様の事を気体の圧縮・膨張を用いて再現 する事が出来る。発電所で使われている蒸気タービンや家庭で使用されている冷蔵庫は気 体を用いて、電気エネルギーと熱エネルギーの相互変換を行っている。それに対して、熱 電材料は気体の替わりに、固体中の電子流体が熱エネルギーとポテンシャルエネルギーの 和を保存しながら断熱移動し、ポテンシャルエネルギーの減少と増加其々に伴う熱エネル ギーの増加と減少により熱電変換を行っている。 ゼーベック効果・・・ゼーベック係数を有する金属または半導体の両端の温度をそれぞ れ異なる温度にしたとき、両端に電位差が発生する現象。 ペルチエ効果・・・二種類の金属または半導体を接合し、電流を流すと二種類 の物質の接合部で発熱または吸熱が起こる現象。 トムソン効果・・・金属または半導体に温度勾配を与え、電流を流したときに温度勾配の ある領域でジュール熱以外の発熱または吸熱が発生する現象。

(9)

6

2.1.1 ゼーベック効果

ゼーベック効果とは、素子の加熱側と冷却側に温度差を与えると、温度差に比例して素 子に電位差が発生する現象である。この現象は温度差を与える際に、加熱側と吸熱側を換 えると電位差も正負が逆転するという特徴を持つ。 原理としては、次のようになる。加熱側を加熱、冷却側を冷却すると温度勾配が生じる ので、p型半導体中では、キャリア(正孔)が高温側から低温側へ拡散する。n型半導体中で は、キャリア(電子)が加熱側から冷却側へ拡散する。その結果、p型半導体の低温側は電位 が高くなり、n型半導体の低温側は電位が低くなる。この電位の差が、ゼーベック起電圧 となる。ゼーベック起電圧Vs[V]は、高温側と低温側の温度差ΔT(K)、ゼーベック係数(絶 対熱電能)

[

V

/

K

1

]

を用いて、次のように表される。

T

T

V

s

(

)

(2-1-1) より詳しく原理を説明すると以下のようになる。近制帯幅

E

gの比較的大きな外因性半導体 において、そのキャリアの大部分が不純物準位からの励起によって作られる温度領域では、 キャリア密度は温度上昇によって増加する。その理由としては、分布関数の値が温度上昇 により増大することが主原因であるが、許容帯の有効状態密度が温度の上昇とともに増加 することもこれにつけ加わっている。いま、Fig2-1-1-1(a)のn型半導体の棒状素子において、 左端(低温端)を

x

0

とし、その温度は

T

L、右端(高温端)を

x

l

、その温度は

T

Hで、 熱的には非平衡であるが、時間的には変化しない定常状態を考える。解析を容易にするた め、ドナー濃度は大きく、伝導帯の電子はほとんどドナーから供給されているとする。す なわち、n型半導体の禁制帯幅は大きく、ドナー準位

E

Dは伝導帯の底

E

cから十分に離れ ており、温度

T

におけるフェルミ準位

E

f

E

c

E

Dの間にあり、しかも

E

c

E

f



kT

で あるとする。このような条件下では、高温部(右端)の電子密度

n

Hは、低温部(左端)の 電子密度

n

Lよりも大きくなり、高温部の電子は低温部へ拡散する。低温部へ拡散した電子 は低温部の電位を低め、逆に高温部に残されたドナーの正イオンは高温部の電位を高める。 この電位の変化は高温部のフェルミ準位を低温部のフェルミ準位より低くし、それに伴っ て伝導帯の底の準位も下がる。その結果、高温部の伝導帯電子は、低温部へ流出しようと する傾向を弱め、拡散は平衡(熱平衡の意味ではない)する。このようなエネルギー準位 の変化をFig.2-1-1-2(b)に示す。 ここで注意することは、

E

cの傾斜とフェルミ準位

E

f の傾斜は異なっており、これは

E

c

E

f

の値が温度によって変わるからである。棒の両端間のフェルミ準位の差

qV

Sは、

(10)

7

外部からも半導体棒両端間の電位差

V

S として直接、電圧計で測定することができる。この 電圧

V

Sを熱起電力と呼び、このような熱起電力を生ずる現象をゼーベック効果という。

Fig.2-1-1-1(a) n型半導体の棒

(11)

8

2.1.2 ペルチエ効果

ペルチエ効果とは、異なった物質の接点又は接触面に電流を流すとジュール熱以外に発 熱・吸熱が起こる現象である。この現象は電流の向きに応じて発熱、吸熱が逆になるとい う特徴がある。放熱量と符号は接合物質の性質に依存し、熱入出力量Q[J/s](Q [W])は電流 I[A]に比例する。p型から n 型に電流が流れる場合の放熱出力量Qは次式で表される。

Q

I

[W] (2-1-2-1) この比例定数Πは、ペルチエ係数と呼ばれ、ゼーベック係数(絶対熱電能)

]

/

[

V

K

1

温度

T

[K

]

により、

T

T

ab

(

)

(2-1-2-2) と表される。 放熱を正と仮定すると、p型半導体からn型半導体に電流を流す事によって放熱する場合 は、Π>0である。これと逆に、電流がn型半導体からp型半導体に流れる場合の吸熱入 力量Qは、

I

I

Q

[W] (2-1-2-3) となる。 Fig2-1-1-1(a)のようなn型半導体の棒を考える。この棒に、

x

の向きの電流

I

を流すとす る。このとき、電子は右端の金属電極から半導体中に入り左端の金属電極へ通り抜ける。 電子はこのような移動に伴って、Fig2-1-1-2(b)からもわかるように、そのエネルギー値を次 のように変える。 電子は右の金属電極中に送り込まれると、そのエネルギーは高く(B)にならなければなら ない。そのため電子は周囲にある原子から、必要とするエネルギーを熱の形で吸収する。 電子が半導体(エネルギーC)から左の金属電極(エネルギーD)へ抜け出すときには、今 度は逆に、その過剰なエネルギーを熱として放出しなければならない。 このように、異なった2種の金属や半導体の接触部に、電流

I

が流れるとき、ジュール熱以 外に熱を発生したり、または、吸収したりする現象をペルチエ効果という。 ペルチエ係数の値は物質の種類や接触箇所の温度により定まる。そして、式(2-2-2-1)から その単位は

 

V

であること、およびその値は

1

A

s

1

C

の電荷や接触面を通過するときの

(12)

9

発熱量に相当していることがわかる。それゆえ、電子が接触面を通過する際の発熱または 吸熱量は

q

であることも直ちに理解できる。なお、

が負のときは吸熱を意味する。 ペルチエ効果は可逆的で、電子の向きを逆にすれば、発熱と吸熱が逆になる。このことを 利用して熱電冷却デバイスが作られている。

(13)

10

2.1.3 トムソン効果

温度勾配のある導体に電流を流すと、この物質内部で吸熱または発熱の現象が生じる。 この現象は物質の熱電能αが温度によって異なるために発生する。これをトムソン効果と 呼ぶ。 Fig.2-1-3-1 トムソン効果の説明用模式図 導体の長さをL、温度勾配をdT/dL、電流をIとすると単位体積、単位時間での吸熱、発 熱量の絶対値|Q|は、

dL

dT

I

Q

(2-1-3-1) で表され、τをトムソン係数という。τとゼーベック係数(絶対熱電能)αの間には、

dT

d

T

(2-1-3-2) の関係がある。理論的には、この式を用いてτの値から絶対熱電能αを求める事が出来る が、トムソン熱そのものの測定は非常に難しい。熱電能が温度の上昇に伴って大きくなる 物質のτの符号はプラスで、Fig.2-1-3-1 のようにその高温端に向かって電流が流れると物 質内部で熱の吸収があり、τの符号、又は電流の方向のいずれかが逆になると熱の発生が ある。

(14)

11

2.2.1 熱電変換モジュール

熱電変換モジュールは、ある寸法に切断加工した熱電材料を、複数個まとめた集合体であ る。熱電変換モジュールは、P 型熱電材料と N 型熱電材料を電極を介して電気的に接続し、 構成される。モジュールによっては上下面に電気絶縁のためのセラミックス板等が設置さ れている場合もある。熱電変換モジュールには、用途により熱電冷却モジュール(ペルチ ェモジュール)と熱電発電モジュールがある。ペルチェモジュールは、部品の冷却や温度 制御を行うために、光通信用機器、保冷庫、恒温水循環装置等に組み込まれ、数多く一般 の用途に使用されている。一方、熱電発電モジュールは、深宇宙の探査を目的とした人工 衛星用の電源や砂漠の無線中継基地の電源など、特殊用途でしか実現化されていない。 本研究においては主に熱電発電モジュールについて行う。 Fig.2-1-1 熱電変換モジュール

(15)

12

2.2.2

熱電変換素子

熱電材料としてはP 型、N 型半導体が用いられている。ちなみに、本研究で対象としてい る半導体はビスマス・テルル(Bi-Te)である。 元素として半導体なのは、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)が有名である。これらは、 真性半導体と呼ばれている。図のラインがこの半導体のラインと言っても良い。このライ ンをまたぐように化合物を作ると「化合物半導体」と言って、新たに半導体を作ることが できる。例えば、 ガリウム ヒ素(GaAs )、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化カドミウ ム (CdS)、テルル化ビスマス (Bi2Te3)、セレン化ビスマス (Bi2Se3)、などがこれに あたる。 Fig.2-1-2 周期表

(16)

13 熱電材料の性能を評価するのに使われているのが性能指数と無次元性能指数である。 性能指数

Z

(

1

/

K

)

、無次元性能指数

ZT

T

Z

2

T

ZT

2

:ゼーベック係数

V /

K

:導電率

1

/

/

m

:熱伝導率

W

/

m

/

K

T

:絶対温度

 

K

1)熱伝導率が小さいこと、(2)導電性がよいこと、などが必要。 一般的には、実用化に向けて ZT≧1 の値が求められている。 そこで、電気抵抗が低く、熱伝導度が低い物質となると、原子が振動しにくくなる重い金 属で熱伝導が低めになるので、鉛(Pb)や Bi(ビスマス)を使った熱電素子が優れている と予想される。実際この通りで、Bi2Te3 を主成分にした熱電素子が非常に良く使われてい る。また、これらは、融点が低く、高温で性能が低下するので、一般に低い温度で利用さ れる熱電素子となる。 最近、上の周期律表の欄外になる希土類元素を使用したり、アンチモン化コバルト(CoSb3) のようなかなり外れた組合せで高い性能を持つものが見つかっており、材料をどう選ぶか は、まだまだこれから研究の余地がある。また、これらの半導体にホウ素B、アルミニウム Al、ガリウム Ga、インジウム In、リン P、ヒ素 As、アンチモン Sb、セレン Se、テルル Te などを加えると半導体としての性質が大きく変わる。先ほどのラインの右側 のものを入 れるとN 型、左側のものを入れると P 型になる傾向がある。入れる量も難しく、少しなら 効果が少なく、多すぎると半導体でなくなる。このため、どのような不純物をどれぐらい 入れるかも非常に重要である。

(17)

14

2.3 熱の移動形態

熱移動現象は工学的な取り扱いとしては次の三つの基本形態に分類される。 熱伝導 熱伝導は固体(あるいは静止している流体)での熱エネルギーの移動形態。一般的 には、固体内部での熱移動現象をいう場合が多い。熱伝導による熱の移動は、物質内 の原子や分子が平均位置の周囲に移動していて、隣接する原子や分子に熱エネルギー を伝える現象である。金属の場合は自由電子も熱移動に寄与し、液体や気体でも熱伝 導は生じる。気体の場合は分子運動の平均自由行程は大きくなるが、分子同士の衝突 頻度が低いため、熱伝導による熱移動は個体に比べてはるかに少ない。 熱伝達 工学的な取り扱いとしては、流体と固体の熱移動現象をいう場合が多い。流れてい る流体と固体の壁との間の熱伝現象は、静止した流体と壁面の熱伝導の場合の熱移動 量に比較して、流体が移動することによって流体の壁付近の温度勾配が大きくなり、 熱移動が活発になる。この流体が熱を運ぶ(または固体へ熱を与える)伝熱現象を含 めて総合的に熱伝達と呼ぶ。 放射熱伝達 放射熱伝達とは、個体間、気体間、または固体と気体間の熱移動現象をいう場合が 多い。熱伝導、熱伝達と異なり、熱移動は熱放射線によって行われる。したがって、 二つの物質の間に熱を移動させる物質(熱媒体)が存在しない場合でも熱移動は発生 する。なお本研究ではその影響は非常に小さいため扱っていない。

(18)

15

2.3.1 熱伝導

一般に均一な物体内で熱伝導により単位時間あたり移動する熱量

[

W

]

Q

は、熱の流れる方 向にx 軸をとったとき、x 軸方向の温度勾配に比例し、実験より以下の式で与えられる。

dx

dT

S

Q

 (2-3-1) (2-3-1)式はフーリエの法則(Fourier’s law)といい、

S

[㎡

]

は流れの方向に垂直な面の 面積、

[

W

/

K

]

は熱伝導率(thermal conductivity)と呼ばれ、物質の種類、またその 温度によって異なる値をもつ。ここで右辺の負符号は熱の流れる方向は温度勾配の向きと 反対であることを意味する。 ここで平板及び積層平板での熱伝達を考える。 平板 Fig.2-3-1 で板の厚さを l、熱伝導率を

、両端の温度をそれぞれT1、T2としたとき、 板の断面積

S

を通り単位時間あたりに移動する熱量

Q

 は(2-3-1)式より

(

T

1

T

2

)

l

S

Q

(2-3-2) となる。ここで

R

C

S

l

は熱抵抗(thermal resistance of heat conduction)と呼ばれる。

積層平板 Fig-2-3-2 で全体の熱抵抗を平板のときと同様に考えると、

S

l

l

l

R

R

R

R

C C C C

1

)

(

3 3 2 2 1 1 3 2 1

(2-3-3) となり、両端の温度T1、T4から

1

(

T

1

T

4

)

R

Q

C

 (2-3-4) と表される。 また板がn枚のときは

(

1

)

n n n n n

T

T

l

S

Q

(2-3-5) となる。

(19)

16 Fig.2-3-1 平板の熱伝導 Fig.2-3-2 積層平板の熱伝導 次に微小要素に熱伝導により熱が蓄えられることを考える。 Fig2-3-3 のようにデカルト座標系で3辺が dx、dy、dz の微小な直方体を考え、中心温度を Tとする。ここから面ABCD 及び面EFGHの温度はそれぞれ

dx

x

T

T

T

ABCD

2

1

dx

x

T

T

T

EFGH

2

1

(2-3-6) となる。ここから(2-4-1)式より面 ABCD から時間 dt の間に流入する熱量を求めると、

 

dx

dydzdt

x

T

T

x

in x

dQ

2

1

(2-3-7) また面EFGHから時間dt の間に流出する熱量を求めると、

 

dx

dydzdt

x

T

T

x

out x

dQ

2

1

(2-3-8) よって熱量の増加は

   

dxdydzdt

x

T

x

out x out x

dQ

dQ

(2-3-9) これがX 方向の流れでの増加分になる。Y、Z 方向も同様に増加分を求め、それらを足すと、

dxdydzdt

z

T

x

y

T

x

x

T

x





(2-3-10) が得られ、これが時間dt の間に要素内で増加する熱量である。

(20)

17

(21)

18

2.3.2 熱伝達

一般に固体表面と流体との熱伝達は伝熱量

Q

、固体表面の温度

t

w、流体の温度

t

、伝熱 面積

A

、熱伝達係数

h

を用いて

Q

h

(

t

w

t

)

A

(2-3-11) であらわされる。しかし熱伝達係数は流れの状態、流体の物性値、系の形状などのよる複 雑な関数で、また表面にわたって一様でないため個体表面の特定の場所に式(2-4-11)を適 用した局所熱伝達係数を用いる。しかし実際には伝熱面の表面全体にとった平均値である 平均熱伝達係数について考えることになる。 この平均熱伝達係数はヌセルト数

N

uを与える式から求めることができる。 ヌセルト数は静止流体中を熱伝導のみで熱が流れると考えたときの熱量と実際に流動し ているときの熱量の比を表す無次元量で次のようになる

hl

N

u

(2-3-12)

l

:伝熱面の形状を指定する系の代表長さ

[m

]

 

:熱伝導率

[

W/Km

]

ここからは流体が自由対流の場合を考える。 ヌセルト数は浮力と粘性せん断応力の比であるグラスホフ数

G

rと動粘性係数と熱拡散率の 比であるプラントル数

P

rの2つの無次元数の関数として表され m r u

C

G

N

(

P

r

)

(2-3-13) となる。ここで

,

/

)

(

,

/

3

2

hl

G

l

g

t

t

N

u r w

P

r

/

,

/

,

a

/

c

p

a

:温度伝導率,

:粘性 係数,

:動粘性係数,

c

p:比熱,

:密度,

:体膨張係数,

g

:重力加速度,より、平均熱伝 達係数は次のようになる。 m m m

l

t

t

c

g

C

h

p w1 3 2

)

(

 







(2-3-14) またこのときの各物性値は

(

t

w

t

)

/

2

で表される代表温度

t

mのときのものとする。 しかし流体が気体の場合、物性値からなる項に密度

があるため温度だけでなく圧力にも 依存する。よって温度

t

mで圧力が1

[

N/m

]

2 のときの密度を

1

(

t

m

)

とすると、温度が

t

mで圧 力が

P

のときの密度は

1

(

t

m

)

P

となるので、これを代入して

m m m

l

t

t

P

c

g

C

h

p w1 3 2 2

)

(

1  







(2-3-15)

(22)

19 が得られる。ここから m p

c

g

C







12 は

t

mの関数として表されるので、これを

(

t

m

)

とする とh は

m m

l

t

t

P

t

h

m w 3 1 2

)

(

)

(

(2-3-16) で得られる。 ここで空気中における水平円柱での平均熱伝達係数を求めることを考えると、実験より

d

l

m

C

0

.

53

,

1

/

4

,

d 円柱の直径

:

[

m

]

及び

(

t

m

)

が分かっているので 4 2

)

(

)

(

d

t

t

P

t

h

m w

(2-3-17) から平均熱伝達係数が求められる。 Fig.2-3-4 固体と流体の境界近傍での温度分布

(23)

20 従来から明らかにされている自然対流の場合の熱伝達率を表す典型的な式は以下のように なる。 水平平板の自然対流熱伝達率 Fig.2-3-5、Fig.2-3-6 に示すような、1辺の長さが

l

の水平におかれた正方形の板ではヌク セルト数

Nu

lは次のようになる。 Fig.2-3-5 水平平板 Fig.2-3-6 水平平板(断面) (1) 上面(層流)(空気の場合)

4 1

Pr

54

.

0

l l

Gr

Nu

(2-3-17) ただし、 4 7

10

2

Pr

10

2

Gr

l

(2) 上面(乱流)(空気の場合)

3 1

Pr

14

.

0

l l

Gr

Nu

(2-3-18) ただし、 7 10

10

3

Pr

10

2

Gr

l

(3) 下面(層流)(空気の場合)

4 1

Pr

27

.

0

l l

Gr

Nu

(2-3-19) ただし、 5 10

10

3

Pr

10

3

Gr

l

(4) 下面(乱流)(空気の場合)

5 1

Pr

58

.

0

l l

Gr

Nu

(2-3-20) ただし、 6 11

10

Pr

10

Gr

l

(24)

21 水平円管の自然対流熱伝達率 Fig.2-3-7、Fig.2-3-8 のように円管を流体中に水平に置いた場合、代表長さとしては管の直 径

d

をとると平均ヌクセルト数

Nu

dは次のようになる。 Fig.2-3-7 水平円菅(または円柱) Fig.2-3-8 水平円菅(または円柱)

4 1

Pr

53

.

0

d d

Gr

Nu

(2-3-21) ただし、 3 9

10

Pr

10

Gr

d

3 1

Pr

126

.

0

d d

Gr

Nu

(2-3-21) ただし、 9 12

10

Pr

10

Gr

d

また、チャーチル‐チュ(Churchill&Chu)によれば次式がよく実験結果を表すとしてい る。

2 6 1 9 16 16 9

Pr

559

.

0

1

Pr

378

.

0

60

.

0

d d

Gr

Nu

(2-3-22) ただし、

10

6

Gr

d

Pr

3

10

13

,

0

Pr

(25)

22

2.4 ジュール熱

電気抵抗 R[Ω]をもつ導体に電流 I[A]を流すと

R

I

H

2 (2-4-1) で表されるH[W]の発熱が起き、これをジュール熱と呼ぶ。 この現象の仕組みは、導体中を電荷キャリアが移動するとき、電荷キャリアの電位のエ ネルギーが熱エネルギーに変換されることで起きる。電場によって加速される電荷キャリ アが、周囲の分子・原子に衝突することで、分子・原子の運動が激しくなるのである。 ジュール熱による発熱は抵抗や電流値の変化による制御が容易なため、古くから暖房器 具など幅広く利用されてきた。一方半導体製品や発電機などではジュール熱の発生は好ま しくなく、損失とみなされるため、ジュール熱の発生をいかに抑えるか、また発生した熱 をどう放出するかが回路を設計するうえで重要な問題となる。熱電回路は半導体製品であ ると同時に熱を扱うため、ジュール熱の考慮は非常に重要だと考えられる。

(26)

23

第三章 実験結果

3.1 ゼーベック係数の比較

従来型熱電変換素子及び、新型熱電変換素子のゼーベック係数の比較を行った。実験方法 は測定用熱電変換素子を熱電変換素子で挟み、電源を用い測定用熱電変換素子に電圧を与 え温度を変化させる。高温側(TH1)を 90℃、低温側(TL1)は熱電変換素子の上に氷を乗せ 30℃ 一定に保つ。その時の電圧を測定し、計算式によってゼーベック係数を求める。同様に低 温側を測定用熱電変換素子に与える電圧を変化させ、温度を5℃ずつ変化させ低温側が 50℃ になるまで繰り返しグラフを示す。温度の測定方法は日置電機株式会社の「メモリハイロ ガー8421-50」を用いて熱電対を測定箇所に設置し行った。新型(1cm)は半導体間の銅線の 長さが1cm、新型(2cm)は半導体間の銅線の長さが 2cm であるものとする。 Fig.3.1.1 ゼーベック係数比較実験の模式図 Fig.3.1.2 熱電変換素子の温度測定箇所 Fig.3.1.3 ゼーベック係数の比較 従来型熱電変換素子と新型熱電変換素子を比較すると、新型(2cm)は従来型に比べゼーベッ ク係数が1.15 倍程度、新型(1cm)は従来型に比べゼーベック係数が 1.20 倍程度上昇してい ることが分かる。このことから半導体間に銅線を入れることでゼーベック係数が上昇する

(27)

24 といえることが分かった。次に銅線を入れることでゼーベック係数が上昇する原因につい て調べた。

3.2 温度分布の比較

新型熱電変換素子のゼーベック係数が従来型のそれに比べて、1.2 倍程度上昇した要因につ いて調べた。実験方法は3.1 と同様に高温側を 90℃、低温側を 30℃一定に保ち、その時の 各測定箇所の温度分布を測定する。低温側の温度を 5℃ずつ変化させ低温側が 50℃になる まで繰り返す。また、測定箇所は熱電変換素子の両端、半導体の両端で計 6 か所である。 従来型熱電変換素子については半導体間の銅が存在しないためTH3、TL3、およびΔT3は測 定しない。 Fig3.2.1 従来型の温度分布 Fig3.2.2 新型 1cm の温度分布 Fig3.2.3 新型 2cm の温度分布

(28)

25 従来型熱電変換素子と新型熱電変換素子(2cm)を比較した。 Fig3.2.4 従来型と新型 2cm の比較 この結果を見ると、TH2およびTL2で大きな違いが見られた。これは従来型熱電変換素子の 半導体間に銅線を入れることで物理的に距離を取ることができ、熱の損失が小さくなって いるといえる。 ここで、半導体間の温度差のみ(ΔT2-ΔT3)を比較した。 Fig4.2.5 従来型と新型の半導体間温度分布の比較 システムの両端に同じ温度差を与えたとき、半導体間の温度差のみで比較すると新型は従 来型よりも温度差を得られていることが分かる。このことからシステム全体で比較を行っ たとき、新型熱電変換素子は半導体間の温度差を大きく得ることができるためゼーベック 係数も上昇し、発電効率も向上するといえる。

(29)

26

第四章 シミュレーション理論

4.1 シミュレーションモデル

ある物理現象をシミュレーションによって再現するためには、現象をモデル化し、数学 的に表現する必要がある。本研究のシミュレーションでは素子及び銅線部を場所により半 径の異なる一次元の円筒型のモデルに置き換える。これは回路内の熱の流れは円筒の軸方 向に支配的だからである。円筒型モデルに置き換えるメリットは断面の温度を一定とした ときに熱伝導や熱伝達の方程式を解き易くできる点にある。 具体的には Fig.4-1-1 のように素子を円筒型モデルに置き換え、それを微小な長さのセル に分割する。このセルごとに熱電効果と熱の移動についての方程式を解いていくことで熱 電効果による温度や起電圧の時間発展をシミュレーションすることになる。

x

Fig.4-1-1 円筒型モデル

(30)

27 さらにFig.4-1-2 のように分割されたセルにおいて、セルの中心の温度をそのセルの温度 とし、セルにおける熱の流入出を考え、セルのもつ熱量の時間変化を求めることで温度分 布の時間発展を知ることができる。 考慮すべき現象は熱伝導、熱伝達、ジュール熱、ペルチエ効果、トムソン効果になる。 ゼーベック効果により発生する起電圧、抵抗は後述するようにセルごとに起電圧と抵抗を 求め、それを回路全体にわたって足し合わせることになる。 Fig.4-1-2 微小セルでの熱の移動

(31)

28

4.2 計算に使用する差分式

差分法は,時間や空間などの微分量を離散化された値を用いて近似する方法である。本 研究で必要とする温度や温度勾配を求めるため、先に述べた非等間隔グリッドにおいてこ れを考える。 まずある量を表す関数

f

 

x

があるとする。Fig.4-2-1 のような

x

軸上の任意の点

x

0での 微分量

f

(

x

0

)

を求めることを考える。 Fig.4-2-1 非等間隔グリッド 点

x

0から微小距離a 戻った点での値

f

(

x

0

a

)

と同じくb 進んだ点での値

f

(

x

0

b

)

はテ イラー展開から求められ、それぞれ





3 0 2 0 0 0 0

6

1

2

1

)

(

)

(

x

a

f

x

f

a

f

a

f

a

f

(4-2-1)





3 0 2 0 0 0 0

6

1

2

1

)

(

)

(

x

b

f

x

f

b

f

b

f

b

f

(4-2-2) と表される。 (4-2-1)× 2

b

-(4-2-2)×

a

2から



2 0 3 22 22 3 0 0 2 2 0 2 2 2 0

6

1

)

(

)

(

)

(

)

(

1

)

(

f

b

a

ab

b

a

b

a

a

x

f

b

x

f

a

b

b

x

f

a

b

a

ab

x

f

(4-2-3) となる。ここで右辺第二項以降は無視できる大きさなので、近似的に

(

)

(

)

(

)

(

)

1

)

(

0 2 0 2 2 0 2 2 2 0

a

f

x

b

b

a

f

x

b

f

x

a

b

a

ab

x

f

(4-2-4) とおける。このときグリッドが等間隔で

a

b

x

なら

(

)

(

)

2

1

)

(

0

f

x

0

x

f

x

0

x

x

x

f

(4-2-5) で表される。 また(4-2-1)×

b

+(4-2-2)×

a

から



0 2 2 0 0 0

2

1

)

(

)

(

1

)

(

f

b

a

ab

b

a

a

x

bf

b

x

af

b

a

x

f

(4-2-6)

(32)

29 となり同様に右辺第二項以降は無視でき

(

)

(

)

1

)

(

0

af

x

0

b

bf

x

0

a

b

a

x

f

(4-2-7) が得られる。

a

b

x

では

(

)

(

)

2

1

)

(

x

0

f

x

0

x

f

x

0

x

f

(4-2-8) となる。以上のことからi番目のセルの両端での値は

)

(

1

1 2 1  

i

i i

bf

af

b

a

f

(4-2-10)

)

(

1

1 2 1 i i i

bf

af

b

a

f

 (4-2-11)

)

)

(

(

1

2 2 1 2 2 1 2 2 2 2 1 i i i i

a

f

b

a

f

b

f

b

a

ab

f

(4-2-12)

)

)

(

(

1

1 2 2 1 2 2 2 2 2 2 1  

i i i i

a

f

b

a

f

b

f

b

a

ab

f

(4-2-13)

2

2

1 

i

x

i

b

x

a

  

2

2

1 i i

x

b

x

a

  

(4-2-14) と表される。

(33)

30

4.3 セルの温度変化

前節での差分式を温度変化に適応させると、i 番目のセルの両端 i+1/2、i-1/2 での温度は

)

(

1

1 2 1  

i

i i

bT

aT

b

a

T

(4-2-15)

)

(

1

1 2 1 i i i

bT

aT

b

a

T

 (4-2-16) となり、温度勾配は

)

)

(

(

1

2 2 1 2 2 1 2 2 2 2 1 i i i i

T

b

T

a

b

T

a

b

a

ab

x

T

   (4-2-17)

)

)

(

(

1

1 2 2 1 2 2 2 2 2 2 1   

i i i i

T

b

T

a

b

T

a

b

a

ab

x

T

(4-2-18) で表される。 次に温度の時間変化について考える。セルの温度変化=セルの熱量の変化/熱容量 で あるのでセルの左右の比熱、密度、体積をそれぞれ 2 1 2 1 2 1 i i i

V

c

2 1 2 1 2 1 i i i

V

c

(4-2-19) とするとセルでの温度変化は i i i i i i i i

dt

dQ

V

c

V

c

t

T

      12 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1

1

(4-2-20) となる。熱量の変化

dt

dQ

は、熱伝導、ジュール熱、熱伝達、ペルチエ効果、トムソン効 果の5つの現象によるものとなる。各現象での熱量の変化を具体的に示すと









      1/2 2 / 1 2 / 1 2 / 1 2 / 1 2 / 1 i i i i i i i

A

x

T

A

x

T

dt

dQ

熱 伝 導 (4-2-21)

2

2

1/2 2 2 / 1 2 / 1 2 2 / 1 i i i i i i i

x

A

I

x

A

I

dt

dQ

   

ジ ュ ー ル 熱 (4-2-22)



1/2

1/2

i i i i

S

S

T

T

h

dt

dQ

熱 伝 達 (4-2-23)

(34)

31

T I

 

T I

dt dQ i i i i i 2 / 1 2 / 1 2 / 1 2 / 1            ペ ル チ エ 効 果

(4-2-24)                                           I x x T I x x T dt dQ i i i i i i i 2 1/2 2 2 / 1 2 / 1 2 / 1

= ト ム ソ ン 効 果 (4-2-25)

:ゼーベック係数

:熱伝達係数、

:表面積、

:外部温度

:電流、

:抵抗率、

:断面積、

:熱伝導率、

h

S

T

I

A

となり、これらを合計してセルの単位時間あたりの熱量変化が求められ、次の時間の温度 が得られる。

ペ ル チ エ 効 果 ト ム ソ ン 効 果 熱 伝 導 熱 伝 達 ジ ュ ー ル 熱

i i i i i i i i i

t

Q

t

Q

t

Q

t

Q

t

Q

V

c

t

T

d

d

d

d

d

d

d

d

d

d

1

(4-2-26)

(35)

32

4.4 起電圧・抵抗の計算

起電力のある場所でのOhm の法則は ex

E

j

E

(4-4-1) と表される。今回は一次元モデルのためx 軸方向のみについて考えるので ex x

E

j

E

x

x

ex x

E

A

I

(4-4-2) となり、これを回路全体について積分すると

dx

E

dx

A

I

xex

(4-4-3) が得られ、ここで

dx

A

が回路の抵抗R、

E

xex

dx

が起電力Vを表していて

IR

V

が成り立っていることになる。 以上のことを対象とする回路についてあてはめると、この回路での起電力はゼーベック効 果によるものなので

x

T

E

xex

(4-4-4) となり、この回路でOhm の法則をあてはめると

x

T

A

I

E

x

(4-4-5) となり、これを積分することで、 起電力

dx

x

T

V

(4-4-6) 抵抗

dx

A

R

1

(4-4-7) が得られるので電流を求めることができる。

(36)

33

4.5 規格化と計算に用いた物性値

本研究に用いた各材料の物性値を表1に示す。 表1 各材料の比熱及び密度 比熱

J/kgK

密度

3

kg/m

銅 386 8880 p型半導体 196.6 5370 n型半導体 196.6 5370 アルミニウム 905 2688 セラミック 795 3900 表2 室温と熱伝達係数 室温

 

K

空気との熱伝達係数

2

W/Km

300 2 また抵抗率、熱伝導率、ゼーベック係数の温度依存性以下のように近似して用いた。 抵抗率(銅) 抵抗率(半導体) ゼーベック係数(銅) ゼーベック係数(半導体)

(37)

34 熱伝導率(銅) 熱伝導率(半導体) 計算の際に行った規格化は以下のようになる。 0

x

x

x

x

0

:

1

[ m m ]

T

T

T

T

:

300[K]

0

c

c

c

c

0

:

0

.

836

[kJ/kgK]

0

 

0

:

8880

[kg/m

3

]

0

0

:

1

.

55

10

8

[

m]

0

0

:

403

[W/mK]

0

0

:

160

[

V / K ]

t

t

:

8

.

51

10

3

[s]

0

h

h

h

h

0

:

1

[W/m

2

K]

0

c

:銅の比熱(300K)

0:銅の密度(300K)

0:銅の抵抗率(0℃) 0

:銅の熱伝導率(0℃)

0:P 型ビスマス・テルルのゼーベック係数(250K)

(38)

35

4.6

シミュレーション結果(従来型熱電変換素子) 実験と同様に高温側の温度を90℃、低温側の温度を 30℃に設定をし、シミュレーション を行った。低温側の温度を 5℃ずつ変化させ低温側の温度が 50℃になるまで繰り返した。 この時のシミュレーション結果を示す。温度の測定箇所は Fig.4.6.1 の通りである。また Timestep の刻み時間は 5 秒である。 Fig.4.6.1 温度の測定箇所 Fig.4.6.2 タイムステップによる温度分布(低温側 30℃)

(39)

36

Fig.4.6.3 タイムステップによる温度分布(低温側 35℃)

(40)

37

Fig.4.6.5 タイムステップによる温度分布(低温側 45℃)

(41)

38 4.7 実験とシミュレーションの温度分布の比較 実験とシミュレーションの温度分布を比較した。シミュレーションの結果は40Timestep 時 の結果を使用している。 Fig.4.7.1 従来型熱電変換素子の温度分布比較 この結果から実験とシミュレーションでは結果が大きく異なっている。これは実験で使用 した従来型熱電変換素子には強度を増すためにアルミ板の内側はシリコンゴムで覆われて いる。この物性値をシミュレーションでは考慮していないため、実験とシミュレーション に差が生じたと考えられる。

(42)

39

第六章 結論

6.1 まとめ

新型熱電変換素子のゼーベック係数が従来型に比べ、銅線が1cm のものでは 1.20 倍、2cm のものでは1.16 倍程度上昇することを示した。 新型熱電変換素子は素子の両端、高温側を90℃、低温側を 30℃から 50℃のいずれかの温 度差を与えた場合、従来型に比べて半導体間の温度差を大きく得られていることを示した。 新型熱電変換素子、従来型熱電変換素子に同じ温度差を与えた時、システム全体で見ると 新型熱電変換素子の方が発電効率が高いということを示した。 従来型熱電変換素子の実験結果とシミュレーションの結果を比較したが、大きく異なって しまった。

6.2 今後の課題

従来型熱電変換素子の実験結果による温度分布とシミュレーションによる温度分布に違 いが出てしまった。これは実験とシミュレーションの条件が異なっていたからだと考えら れる。シリコンゴムの物性値などを考慮し、再び計算を行う必要があるだろう。また、半 導体間に銅線を入れた新型熱電変換素子とシミュレーションの温度分布を比較する必要が ある。今回は室温を 26℃に設定をし、シミュレーションを行った。これを変化させ室温が 高い、または低い場合に従来型熱電変換素子と新型熱電変換素子で温度分布及びゼーベッ ク係数がどのように変化があるか、といった実際に使用される条件下に近づけた環境を想 定した実験及びシミュレーションが必要になるだろう。

(43)

40

参考文献

[1] 環境調和型新材料シリーズ 熱電変換材料,日刊工業新聞社 (2005). [2] 青野朋義 他:半導体工学 第二版 基礎からデバイスまで,東京電機出版局 (2004). [3] 坂田亮 他:熱電変換光学―基礎と応用―,リアライズ社 (2001). [4] 坂田勝:機械工学入門講座,森北出版. [5] 佐々木定治:修士論文「有限距離熱電変換システムのシミュレーションによる特性解析」, 群馬大学,2007 年 3 月. [6] 山口 真也:修士論文「有限距離熱電変換システムの熱パワーの転送効率及び電力変換 効率の実験的解析,2008 年 3 月.

[7] Churchill, S.W.,and Chu, H.H.S.,“Correlating equations for laminar and turbulent free convection from a vertical plate”, Int. J. Heat Mass Transf,vol.18(1975),pp.1323-132

(44)

41

謝辞

本研究を進めるにあたり、終始一貫して御指導及び、御教示を下さった高橋俊樹准教授 に心から感謝致します。修士1 年から 2 年間、ミーティングやゼミ、報告会などで的確な 御指示を頂きました。先生の研究に対する姿勢を見習い、これからも心の糧として歩んで いきたいと思います。 また、三浦健太准教授には主査として、伊藤和男准教授には副査として、私のために時 間を割いていただき、多くのご指導をしていただいたことを心より深く感謝いたします。 最後に修士1 年から 2 年間、お世話になり支えてくださった高橋研究室の皆様に心より 感謝いたします。

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