JAIST Repository
https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 研究・技術開発資源の空間集積に関する研究 Author(s) 柿崎, 文彦; 権田, 金治; 加藤, 勝敏 Citation 年次学術大会講演要旨集, 12: 46-50 Issue Date 1997-09-26Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/5597
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.
Ⅰ
A6
研究・技術開発資源の
空間集積に関する研究
0 柿崎文彦 ( 科技庁・科学技術政策研),
権 田令 治 ( 東海大国際政策科学研),
加藤勝 敗 ( 日本立地センタⅡ Ⅱ l Ⅰ 序論 地域科学技術は 科学技術政策の 中で主要なディシプリンの 一つとして定着し つ っあ る。 しかしながら、 地域科学技術はどちらかといえば 科学技術に よ る地 方振興のための 方策を検討することに 主要な関心が 向けられている よう にも 考 えられる。 極論をすると、かっての産業誘致による
地方振興が 、単に科学技術
による地域振興に 代替されたに 過ぎないとも 考えられる。従来 Natio"al Sy,t 。 m 。 f Innovation (NSI) でも産業界、 高等教育機関、 公
的機関の有機的かつ 効率的な研究・ 技術開発資源の 活用とこれによる 成果 ( 付 加 価値 ) の獲得方法について 検討を行っている。 しかしながら、 ここの研究・ 技術開発主体間の ネ、 ッ トワークについて 言及されてはいるが、 点としての主体 を 結ぶネットワークであ り、 National という空間概念があ るものの、 個々の 主体が空間における 面としての性質を 考慮していなかったということができる 例えば、 伝統的産業における 産地の形成には 程度の差こそあ れ歴史的な空間 形成が要因として 挙げられている。 一方、 今後研究・技術開発あ るいはこれに
る
よ 高 付加価値製品の 生産に関する 中核的拠点を 形成するためには 周辺の産業 特性、 さらにはこれを 支えることのできる 知的生産の空間特性を 把握する必要 があ るものと考えられる。 このような意味において、 Regional System of Inno""t 血 n(RSI) の理論は時間と 空間を含む NSIの理論的基礎として
位置づけられよ う 。 むしろ NSI
では閉鎖空間を 対象とするのに
対し、 RSI ではむしろ 空 間を拡張・連結することにより、 産業活動のようにもはや 境界が不明瞭となっ た活動に対しても 適用が可能と 考えることができる。 本研究の前提はこの ょう に面としての 空間的概念を 有する地域科学技術を 出 発点として、 RsI の基礎理論を 構築することを 前提に、 近年特に着目されて ぃ る 知的生産の評価のための 手法の開発を 目的に、 研究・技術開発資源の 空間集 積について考察を 行うものであ る。 なお、 本研究の着手にあ たっての動機は 、 産業構造の立地特性に 関する知見を 与えた共同研究の 成果によるところが 大き い " なお、 近年複雑系の 研究者による 空間経済学が 広く紹介されているが、 問 題 に対するアプローチの 手法は奔放で 紹介するものとは 異なっている - 2 . ヂ一タソースと分析手法
我が国の研究・ 技術開発資源に 関する唯一かっ 詳細なデータは「科学技術研 完 調査」 ( 総務庁統計局、 指定統計第 6 1 号 ) により毎年公表されている。 科手技術政策研究所では、 都道府県別の 研究・技術開発資源の 実態の把握を
目的 に指定統計の 目的外利用申請を 行い、 1 9 7 6 年∼ 1 9 9 4 年 ( 1 9 年間 ) の データの提供を 受けた。 本研究で用いたデータはこの 膨大なデータを 適宜アグ リゲートしたものであ る。 この一方でデータの 適用可能性についても 検討を加 えた,研究・ 技術開発を行っている 機関の数をはじめ、 一般に、 研究・技術 開 発 資源としては 人 ・物付・資金であ る。 人については 雇用形態 ( 本務者、 兼務者、 補助者等
八資金については 使用目的
(人件費、 有形固定資産、 流動性
資 産 ) といった項目が 挙げられる。 詳細は省略するが、 本研究の目的が 研究・技 術開発資源の 空間的な形成プロセスの 分析を目的としていること、 産業構造の 時空間分析と 研究・技術開発に 代表される知的生産のプロセスの 比較を目的と することから、 研究機関数と 研究本務者数を 研究・技術資源を 表現するデータ 系列として採用することとした。 研究・技術資源を 時空間的に評価する 手法としては、 権 田及び共同研究者ら が 開発した指数が 産業のダイナミズムおよび 空間立地の分析に 際して有効であ ることが示されており、 本研究でも同じ 手法を用いた。 すな む ち、 研究・技術 開発を行っている 機関数及び研究本務者数を 時系列で都道府県別、 研究・技術開発主体の性格別
(業種別など
)に集計し、 産業立地指数を 算出しその変化な
どを求めた。 空間立地を与える 地域分割については 都道府県のように 行政区画に必ずしも 固執する必然性はなく、 むしろ産業活動のような 経済的広がり ( 面 として捕ら えること ) の方が有意であ る。 しかし、 実際には分析対象のデータの 地域分布 が 都道府県としてのみ 把握可能であ るため地域区分として 採用していることの 根拠であ る。 3 .研究・技術開発資源の
立地空間特性 産業立地指数が 示す特性は企業数 ( 従業者数、 製品出荷額、 付加価値生産額 )の分散と集積の
様相であ る。 この特性は 0 ∼ 1 の数値により 示され、 値が 0 に近ければ産業の
立地状態が全国的に
類似の ( 分散 ) 構造を示し、 一方、 値が Ⅰ 上 l に 近ければ特定の 産業立地が全国的な 産業立地の状況に 比べ特異的であ る ( 集 約 あ るいは集積している ) 構造を示す。 この指数と企業数 ( 従業者数、 製品出 荷額、 付加価値生産額 ) の実数値あ るいは構成比を 比較すると産業の 衰退あ るいは成長と分散あ るいは集積の 様相を把握することができる
。 工業統計から 得 られる分析の 詳細と発展的研究は 本年次学術大会で 加藤および権 田が報告する のでこれを参照されたい。研究・技術開発資源に 関する分析もこの 分析手法を基本的に 踏襲する」研究,
技術開発資源の 立地特性の適用の 是非を検討ずるため 地方公共団体が 所有する公設試験研究機関の 数とそこに所属する 研究本務者について 求めた。
周知のよ う に、農林水産系及び 工業系の公設試験研究機関は 全国的に存在し、
地域での研究・技術開発活動の 中核として発展が 期待されている。
産業立地特性指数は比較的に小さくなり、 研究機関数と 研究本務者の 比率は類似する
値をとることが期待された。 実際、 機関数及び研究本務者のそれぞれについて 立地指数求め、
か つ両者の相関を
求めると、期待されたよさに 両者の立地指数は
0 . 1 ∼ 0 . 2 と 範囲にあ り小さく、 しかも相関性が 非常に高いことが 示された。 これは、 農林 水産系及 び 工業系の公設試験研究機関が 全国的に分散した 立地状態にあ る、 す なむち機関の 数もまた研究本務者の 数も全国的にほ ほ 同質の立地形態にあ るこ とを示している。 機関ごとの試験研究設備あ るいは研究分野としての 比較優位 を 明示的に示すデータが 存在しないと、この仮説の範囲において 公設試験研究
機関の知的生産の 立地特性に際立った 偏りはないという 経験的事実を 数値によ り 示すことができた。次に、 製造業の主要業種について 研究・技術開発資源の
立地特性の分析結果 を 示す。 生産活動を行っている 企業の数に対し、 研究・技術開発活動も 行って いる企業の数は 明らかに規模が 小さく、 主として企業の 規模 ( 本研究では従業 者 規模に着目し、 100 人未満、 100 人以上 300 人未満、 および 300 人以上の 3 類型を適用した ) に大きく依存する。 このため、 業種区分については 日本標準産業分類の中分類
(2
桁 ) を用いた ( 業種を明確にすべく 日本標準産業分類の 3 桁コードで分類を 試みたが、 特に企業数が 限定され統計的処理に 不適切と考えられるデータセットが
多数生じた ) 。 一例として化学工業について 研究・技術開発を 行っている企業数と 研究本務 者のそれぞれについてその 実数と立地特性指数を 示す ( 図 1 および 2 L 。 図 1 研究技術開発を 行っている企業数の 実数と立地特性指数 ( 化学工業、 企業規模 別 、 1985 年∼ 1994 年 ) 七手エ 葉 ( 産立中分 頗 ) NO ミニく Ⅰ 00 1985 1994Ⅰ
9B4
へ
。 。 。 。
"。 。
Ⅰ 994Ⅰ 986 Ⅱ OE ノヰ 300 乙 O0 100 o. ㏄
0.0 ち 0.10 0.15 0 ・ 簗 0 O Ⅰ 5 0. ち 0 ILl NOF
年
数明
指
㎎
性
∼
特牛
と
本業
2
化
図
︵
"""" 。 "" 。 "爾
㏄ , ㏄ 0 簗 Ⅸ り輔 40 ,㎝ 撫 NOE ノ =300 総
捧 ) 婁祖 ㎝ 10 ,Ⅸ 刀 0 .㏄ 0 ・㏄ a@io 0 ・ 15 0 . 刀 O. あ 0 , 芙 1" ソ慨 従業者数が 100 人以上で 300 人未満の企業について、
企業数の変化及び
研究本務者数の変化について
他の従業員規模の企業とは質の
異なる変化を 見てとる ことができる。 従業員数が 300 人以上の企業を 例にとると、 企業数度 ぴ 研究 本 務者数の実数とそれぞれの
立地特性指数の 相関はずれもプラスの 値で、 実数が増加し立地特性指数が
増加する傾向にあ る。 このような傾向は 産業構造の解析 の視点では「既存産業強化型」あ るいは「産地形成型」を
意味する。 この類推 の範囲において、 第一次の近似ではあ るが、 研究・技術開発資源 は 集約される方向で変化している、
すなむち知的生産は 既存の研究・ 技術開発基盤の 確立さ れたところに 集中する傾向を 示すものとして 解釈することができる。 他の主要産業についても 同様な評価を 行ったので別途報告する。 4 , 考察製造業における
研究・技術開発資源は 先に示した事例のように 従業者規模で 見た企業数及 び 研究本務者数のいずれについても 立地特性指数と 比較対照すると構造的特性に 単純には解釈することのできない
様相を呈する。 研究・技術 開 発 活動がそれまでに 蓄積されてきた 資源に依存すること、また企業規模に
見合う流動的要素としての 研究・技術開発費を
必要とすることを 勘案すると企業 規 模と 研究・技術資源の 空間集積に主要な 特徴が現れるものと 解釈ずべきであ ろ,フ 研究・技術開発資源の 空間集積に関する
仮説の一方で、 これまでに行った分析は入手可能なデータの 範囲の制約などから、 別の検証の可能性が 残されて
いるものと考えている。 例えば、 産業構造の立地特性に 関する分析では 工業生
産額あ るいは付加価値といった 産業活動の実態を 直接に表現する 検証項目があ
る一方で、 研究・技術開発資源の 空間立地特性が 知的生産に与える 直接的な評
価 項目が設定されていないことなどが 挙げられる。 これらは今後の 課題として十分に検討されるべきものとして 認識せざるを 得ない。
研究・技術開発資源の 立地特性を知的生産活動の 特性との関連において 意味
付けることが 本研究の目的であ
る。換言すれば、 産業の空間集積と 知識創造の
関係を研究・技術開発資源の 立地特性によって 説明できるかどうかであ
る。 一 方 、 産業が空間的に 形成される過程において 工業製品の生産活動と、 これを可能とする知的生産活動の 組織化プロセスの 同期的効果により 現在の空間的な
集積
が形成されるとの 仮説に対する 考察を報告す る 参考文献( ェ ) Paul Krugman , "The
Self-organ
i z ing Economy , " BlackwellPublishers
Inc (1996) . ISBN 1-55786-699-6.(@ 2@)@ K ・ Gonda@ and@ Y , Baba , "Impact o@ f@ Situated@ Nature@ of@ Learning
and
Knowledge-creating
Fields on Innovation," A Proposal of Time-Spatial@ Approach@ or@ Regional@ RTD , "@ Global@ Comparison@ of ぽ e 窩 io 月 aJ ガエり日月 イ Ⅰみ月 0 Ⅰ る亡 i0 Ⅰ タ亡 ra 亡 e まブ es Ⅰ し r ワ e ⅡⅠ Jop Ⅲ en 亡 打刀 イビ o 力 esio Ⅰ ,RESTPOR@ 96@ Conference , Brussels , 19-21@ September@ (1996)
(@ 3)@ K ・ Gonda , "Spatial@ Allocation o f lndust ⅠⅠ al Resou Ⅱ ces ln 毛 e Ⅰ ms
of・mergence
of¨ew゜nowledge
, "RESTPOR
96Discussion
paper , 土 n pnin 屯 ,European@ Commission@ (1997)