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山梨県に分布する真砂土の物性とその締固め特性への影響 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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論 文

山梨県に分布する真砂土の物性とその締固め特性への影響

村上幸利 土倉泰

       (平成4年8月31日受理)

Properties and their Effects on Compaction Characteristics

of Decomposed Granite Soils Hstributed in Yamanashi

Prefecture

YukitoshiMURAKAMI ToruTSUCHIKURA       Abstract   Adecomposed granite soil is generated through the weathering of granite. The soils are often employed as the material of earth dam or embankment, since the high increase of strength due to compaction can be expected. Therefore, it is of practical importance to clarify the properties and the compaction characteristics of the soils and to obtain the general relation between them. This paper presents the relationship and examines the physical background of correlation for the decomposed granite soils which are distributed in Yamanashi Prefecture. 1.まえがき  真砂土(まさど)とは,花嵩岩や花嵩閃緑岩など結 晶性深成岩が風化・粒状化することによって生成され る砂質土の呼称である。運搬作用を受けず生成した場 所にそのまま残留するため,真砂土には風化の程度に よって岩に近いものから細粒土に近いものまでの広い 範囲の土質が含まれる。真砂土は,風化した脆弱な長 石類や有色鉱物類を含むこと,粒度が不均等であるこ と,粒形が角ばっていること,土粒子の特性が土とし ての工学的性質に強く影響することなど,種々の点で 川砂などの普通砂とは異なっているので,土質工学上 は特殊土として扱われる。  真砂土の分布は北海道から九州までの日本各地に及 ぶ。山梨県においては金峰山塊を中心として西は甲斐 駒ケ岳周辺から東は大菩薩峠付近までの地域に分布し, その存賦量は比較的大きい。いま,真砂土の母岩とな *土木環境工学科,Department of Civil and Environmental Engineering る花嵩岩質岩石についてみると,全国的には近畿地方 や中国地方を中心に三畳紀や白亜紀などの中生代のも のが大部分を占める。これに対して,山梨県の真砂土 は専ら新生代に近入した花嵩岩質岩石を母岩としてい る。したがって,母岩の生成年代が他の地域のものよ り若いため,山梨県の真砂土は独自の特性を有する可 能性がある。  ところで,真砂土は破砕性に富み,高い締固め効果 をもつことから,アースダムの築堤材料,道路の路床・ 路盤材または宅地造成の盛土材など,種々の土木材料 として利用されている。このため,これまで多くの研 究者によって真砂土の締固め特性に関する研究が精力 的に進められてきた。しかし,岩石学的観点からみた 母岩の区分と真砂土の物性,または物性と締固め特性 の関連性などの系統的な視野に立った研究は未だに不 十分な面が多い。また,山梨県でも,各所で真砂土が 種々の土木材料として利用されている反面,県内全体 の真砂土の物性や締固め特性がどのようであるかとい った大局的な観点からの研究があまり進んでいないの

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が実状である。  真砂土を築堤材料や盛土材料としてできるだけ合理 的かつ有効的に利用することを考えた場合,材料とし ての評価基準を確立しておくことが肝要である。その ためには,真砂土がもつ物性,締固め特性および両者 の因果関係を明らかにすることが極めて重要となろう。 そこで,本論文においては,山梨県内の各地域に分布 する真砂土を対象として,岩石学的要素を考慮に入れ ながら物性ならびに締固め特性を調べ,両者の関連性 や種々の物性間の相関性について追究する。 2.岩石区分と真砂土の物性  花嵩岩質岩石は,石英,カリ長石,斜長石といった 無色鉱物と,黒雲母,白雲母,角閃石,輝石などの有 色鉱物とから成る酸性または弱酸性の深成岩である。 その造岩鉱物の割合によって,岩石学上種々の岩名が 付けられている。主なものとしては,黒雲母花嵩岩, 閃雲花嵩岩,花嵩閃緑岩,石英閃緑岩などがある。真 砂土は,これらの花嵩岩質岩石が風化して生成される ものである。その風化の過程においては,物理的風化 作用が化学的風化作用より卓越することから,一般に 真砂土は母岩とほぼ同じ鉱物で構成されている。  山梨県に分布する花嵩岩質岩石を代表するものとし て,御岳型黒雲母花嵩岩,鳳恩型閃雲花嵩岩,徳和型 花嵩閃緑岩,大烏型石英閃緑岩,小烏型石英閃緑岩お よび芦川型石英閃緑岩がある1)。いずれも今から約 1,000万年前の新生代第三紀に送入した結晶性深成岩 である。その分布地域を図一1に示す。これらの地域 には,それぞれの花嵩岩質岩石を母岩として生成され た真砂土が地上を覆う。局部的には深層風化を受けて 地下数百mまで真砂土化しているところもあるが,真 砂土を土木材料として利用することに主眼を置いた本 研究では,地下浅部に存在する真砂土のみに注目する。  上記6種類の花嵩岩質岩石の中で,ともに分布面積 の小さい大烏型石英閃緑岩と小■型石英閃緑岩を除い た4種類の岩石を母岩とする真砂土を研究対象とした。 それぞれの分布地域のうちで急峻な山岳部を除く地域 において,試料の採取地点をできるだけ分散するよう に定め,表土を取り除いた深さ50cmまでのところか ら試料を採取した。採取地点を図一1に併せて示して おく。  試料の含水状態が変化しないように採取試料をピニ ール袋に詰め,実験室に持ち帰った。試料の一部より 自然含水比を測定し,残りは室内で空気乾燥させて, 各種の試験に供するように所定の試料調整を行った。 真砂土の物性を把握するための試験項目としては,鉱 駒ケ岳 図一1 山梨県内の花崩岩分布地域 物組成,土粒子比重(JIS A 1202),粒度(JIS A 1204),強熱減量(JSF T 221)およびコンシステンシ ーに係わる試験を取り上げることとし,これらを順次 実施した。  ここに,基準化されていない鉱物組成とコンシステ ンシーに関する試験を概説しておく。鉱物組成は最も 簡単な着色識別法によって調べた。まず,真砂土を構 成する土粒子を沸化水素酸とコ・ミルト亜硝酸ナトリウ ムそれぞれの溶液に順次浸す。鉱物粒は薬品の作用で 変色するので,その着色状態によって鉱物を判別し, 判別した鉱物粒の重量を測定して全重量中の比率を算 出する。コンシステンシーに関しては,円錐落下法に よって液性限界を測定した。加水して団子状態になっ た試料を直径6cm,深さ3cmの円筒状容器にいれ,直 径2cmの棒で10∼20回突固めた後,試料表面に先端角 90度,重量200gfの円錐を載せて,自重によって試料内 に貫入させる。この操作を種々の含水比の試料につい て繰返し行い,含水比と貫入量の関係を得る。両者の 関係が両対数グラフ上で直線をもつことを利用して, 貫入量15mmに対応する含水比を液性限界とする。  物性試験から得られた結果を母岩の種類でまとめる と,図一2および図一3のようになる。図一2は,真 砂土の鉱物組成の状態を表す。西日本に分布する真砂 土(中生代に送入した花尚岩質岩石を母岩とするもの) において長石類の含有率が20∼60%であるのと比較し て2),全般に長石類の含有率が高くなっている。また, 同じ山梨県内の真砂土であっても,石英,長石類およ び有色鉱物の三者でみた造岩鉱物の割合は母岩の種類

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60 まさ土の母岩 0 100 黒雲母花闇岩■ M雲花商岩 ● ヤ商閃緑岩 ▲ 20 ▼ 石英閃緑岩 ▼

W0●

▼ ●●  ひ @    ’ ノ 40 ▲ ● ・   (喜      」     60  ▲ 」▲ ▲ ■ 0 真砂土の母岩       2、6  黒雲母花商岩   閃雲花商岩   花商閃緑岩   石英閃緑岩 20        40  石 英 量(%) 図一2 鉱物組成 2.7 6040 2.8 黒雲母花簡岩 閃雲花商岩 花商閃緑岩 石英閃緑岩 0 (a)比重 _.ik.._2   ■LH唱

  31 ⊥−L−L一田 4        皇)強熱減量    20       30 黒雲母花商岩 閃雲花商岩 花商閃緑岩 石英閃緑岩        (c)液性限界 (%) られる。また,コンシステンシーを表す液性限界は, 強熱減量での傾向と酷似している。コンシステンシー とは,水分の変化に伴う土粒子の流動性であって,土 粒子の表面特性,形状,鉱物などによって相当の影響 を受けるものであろう。ここに示した図の中では,土 粒子を形作る鉱物の中で,へき開性のある長石・有色 鉱物の含有率の高い岩石を母岩とする真砂土において 液性限界が高くなっている。  こうしてみてくると,真砂土の種々の物性は真砂土 粒子を形成する鉱物の特性と関連しており,各物性間 には相関性のあることが予想される。図一4は,種々 の物性の相関関係を,母岩の種類の枠を外して表して いる。ここでは鉱物組成については有色鉱物の含有率 に着目した。図中に示したρは相関係数である。この 図より,母岩の種類によらずに,真砂土の比重,有色 鉱物の含有率,強熱減量および液性限界(コンシステ ンシー)の間には相当に強い相関性のあることが分か る。有色鉱物の含有率が高い真砂土において,比重, 強熱減量および液性限界の値は大きくなる傾向にある といえよう。なお,強熱減量と有色鉱物含有率との相 関係数が若干小さいのは,強熱減量の大きい石英閃緑 岩で例外的に有色鉱物含有率が小さいためである。 一■」■ユ■ ■一⊥一一一⊥■ 一唱_L⊥1 3.物性と締固め特性の関係 一一@  前述したように,真砂土は,優れた締固め効果が期     待できるので,アースダムの築堤材料や造成地の盛土 図一3 物性試験の結果 50(%) によって明確に異なっていることが分かる。図一3は, 母岩の種類別に土粒子比重,強熱減量およびコンシス テンシーの状況を表したものである。各鉱物の比重は それぞれ若干異なるので,母岩の種類によって土粒子 比重も異なってくる。その差異は比較的小さいものの, 有色鉱物の含有率の最も高い花嵩閃緑岩で相対的に土 粒子比重が大きくなっている。これは有色鉱物の比重 が他の鉱物と比べて大きいためと理解できる。強熱減 量は,真砂土の風化程度を指標するものである。石英 閃緑岩および花嵩閃緑岩で大きい値を示しているが, この理由は,風化を起こしやすい長石類と有色鉱物の 合計の割合が全体の90%近くを占めているためと考え 2.8

2,7 2.6 ▲▲ ρ=・0.716 ▲ ▲ ▲   ▲▲  ▲▲ ▲  ▲       ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 0 10 20 30 40    有色鉱物含有率(%) (a)比重一有色鉱物含有率 50

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40  

芭30

栢 壕 20 ( ) 醐 10 .363 0       2      4     強熱減量(%)  (b)有色鉱物含有率一強熱減量 5 4 3 2 1 0  20      30       40      50       液性限界(%)   (c)強熱減量一液性限界 図一4 物性の相関関係 材などとして利用される。したがって,真砂土の物性 と締固め特性の関係を把握しておくことは,材料とし ての評価あるいは判断の拠り所を明確にするうえで重 要である。  山梨県内に見られる花崩岩質岩石を母岩とする真砂 土試料について,JIS A 1210に基づいた締固め試験を 実施した。得られた締固め曲線を母岩の種類で区別し {

i

) 1. 1、 遡1.7 1.6 L 10         20 含 水 比  (%) 図一5 締固め曲線 まさ土の母岩 黒雲母花商岩 閃雲花商岩 花商閃緑岩 石英閃緑岩 て整理すると,図一5のとおりである。まず,母岩の 種類によって真砂土の締固め曲線の位置が異なってい る様子が分かる。すなわち,閃雲花崩岩あるいは黒雲 母花崩岩が風化してできた真砂土において,相対的に 最適含水比が小さく,最大乾燥密度が大きくなってい る。  上記の結果を解釈するために,母岩の種類をあえて 考慮せずに,真砂土の物性が締固め曲線に及ぼす影響 をとらえてみることとする。図一6は試料としたすべ ての真砂土の物性値と最適含水比の関係,図一7は物 性値と最大乾燥密度の関係を示す。ρは相関係数であ る。これらをみると,真砂土の強熱減量や液性限界と いった物性が最適含水比あるいは最大乾燥密度と強い 相関性を有していることが分かる。図一4においてみ たように,それぞれの物性間には強い関連性があるこ とが分かっており,結局のところ真砂土の締固めには 真砂土粒子を形成する鉱物の特性が強く影響する状況 がとらえられたことになる。有色鉱物の含有率で代表 させて整理すれば,これが高い真砂土において,相対 的に最適含水比が大きく,最大乾燥密度が小さい傾向 にある。  ところで,これらの関係のうち,強熱減量と最適含 水比との関係,コンシステンシーと最大乾燥密度との

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関係は今までによく知られたものである2)。また,有色 鉱物の含有率の締固め特性への影響については,既に 他研究者が同様の関係を指摘している2)。ただし,従来 の研究は,主として中生代に送入した花嵩岩質岩石を 母岩にもつ真砂土に対するものである。ここでは,新 生代に送入した花嵩岩質岩石を母岩とする真砂土に対 して,母岩の種類に関係なく,従来の知見が適合する ことが新たに示された。また,前章で示した各物性値 間の相互関係を考慮すれぽ,従来は断片的であった真 砂土の締固め特性への種々の物性の影響をより見通し よくとらえられることが明らかとなった。  なお,土の締固め特性はその粒度によっても強く影 響を受けることが知られている。すなわち,粒径が小 さい細粒土ほど,締固め曲線の位置は最適含水比が大 きく,最大乾燥密度が小さくなるようにずれることが 一般に言える。したがって,今回調べた真砂土の粒度 の違いがどの程度上述の関係に影響を与えているもの なのかを検討しておく必要がある。  図一8は,母岩の種類別に,締固め試験に用いた真 砂土の粒度を有効径と細粒分で表したものである。こ れをみると,試料として用いた真砂土には多少のばら つきがあるものの,有効径(粒径加積曲線において累 加重量百分率が10%に相当する土粒子直径)および細 粒分(直径がO.075mm未満の土粒子が土粒子全体に占 める重量百分率)については,ほとんど大きな差異が 認められない。締固め曲線が相対的に右下に位置し, 細粒土的な締固め特性を示す花嵩閃緑岩あるいは石英 閃緑岩を母岩とする真砂土において,有効径は小さく § ) 20 璃15 lo ρ = O.669      ●   ●  ● ●   ●      ● ● ゜ :   °  ●     ●   ●  s  ・● ●  ● ●   25 § )   20 姐 噌 15 且0 0 2       4 強熱減量(%) ρ = 0.833 ●● ●   ●● 怐D ●  ○  ●   ●

  8

、 ・ ■ ● (a)強熱減量 ● 30     40     50  液性限界(%) § )20 15 10 20 0 ρ = O.723 ●   . .     ・  ●         ・  :   ・ ● ●    ●    ● ■ 》 ●     (b)液性限界 図一6 物性と最適含水比の関係 ● 10    20    30  有色鉱物含有率(%) (c)有色鉱物含有率 1.9

2

き1.、 豊 蓑1.・ 噸 1.6 1.5 ● ● ●● ● ● ● ● ρ=−0.618 ㌔ ■ ● ● ● ●● ● ・    ● ● ● 1.9 三 S1.、 鐙 讃 益 i’7 0 1.6 2      4 強熱減量(%)  (a)強熱減量 ● ○ ● ρ=−0.857  ● e ●  ●  ●  ● ●  ● 、 ● ● ● ○ ● ● 1.9

Q

ミ ) 1.8 箇ヨ !く1.7 哨 1.6 1.5       L5  20     30     40      0        液性限界(%)       (b)液性限界   図一7 物性と最大乾燥密度の関係 ● ● ● ● ● ● ρ=−0.669 ●   ●    ●  ● ● 、° ● ■  ● ●     ● ● ● 10       20       30      40   有色鉱物含有率(%)  (c)有色鉱物含有率

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真砂土の母岩  0  黒雲母花商岩   閃雲花商岩   花商閃緑岩   石英閃緑岩 黒雲母花商岩 閃雲花商岩 花商閃緑岩 石英閃緑岩 0 0.1   0 2   0 .3    0 4(mm L 十  」 一■L (a)有効径 5 10s(%) 一L■一⊥ 一一ユー■

H

 (b)細粒分 図一8 粒度特性 なく,細粒分は大きくない。むしろ,最も粗粒土的な 締固め曲線を示す閃雲花嵩岩を母岩とする真砂土にお いて,有効径は小さく,細粒分は大きくなっている。 したがって,先に示した締固め特性が真砂土の粒度に よって直接的に影響されているとは考えにくい。 4.ま と め 真砂土の母岩にあたる花嵩岩質岩石の種類を念頭に 置きながら,山梨県に広く分布する真砂土の物性と締 固め特性の関係を調べた。その結果,真砂土の母岩の 種類を特に考慮せずとも,真砂土粒子を形成する鉱物 の特性に影響されて,次のようなことが一般的に言え ることがわかった。 (1)真砂土の土粒子比重,有色鉱物量,強熱減量およ  びコンシステンシーそれぞれの間には強い相関性が  ある。 (2)比重,有色鉱物量,強熱減量,コンシステンシー  といった真砂土の物性と締固め特性の間には強い相  関性がある。  中生統の花嵩岩質岩石を母岩にもつ真砂土に関する 研究成果と対応させると,これらの結論は母岩の生成 年代に関係なく成立するものと考えられる。          参考文献 1) 山梨県地質誌,山梨県・山梨県地質図編纂委員  会,1970. 2)風化花嵩岩とまさ土の工学的性質とその応用,土  質工学会,pp.176∼193,1982.

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