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日本語教育の立場から見た日本語と呉語の比較研究 : ガ行鼻濁音を中心に

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Academic year: 2021

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(1)日本語教育の立場から見た日本語と呉語の比較研究 ―ガ行鼻濁音を中心に. 黄. 建. 香. 1.は じ め に 近年、上海の一部のバスの車内放送がいつの間にか変わってきたことに気付いた。今ま ではバス停の名前などの情報を放送するときに、普通語(中国語「普通話」の訳語で、北 京語をもととした標準語。以下同)に続いて英語の放送が流れていた。大都会の上海のこ とだから当然のことだろうと思われる。ところが、最近放送のリズムに変化が起こってい る。普通語と英語の間に、前後の音声の勢いに及ばないが、柔らかな上海語の放送が挟ま れ る よ う に な っ て き て い る の だ 。改 革 開 放 の 三 十 年 間 に 、大 都 会 の イ メ ー ジ を ア ッ プ さ せ 、 地元と国内外からの人材との交流を順調にさせるために、普通語がうまく話せない上海人 に普通語の普及が課されてきた。効果が得られた一方で、若い世代が「母語」のはずの上 海語が話せなくなったのも事実である。そのため、近年、地元のテレビ局は上海語しか使 わない番組が多数制作され、地元の小学校でも上海語の教科書がすこし導入されるように なってきた。地方の言葉の使用意識と保護意識を喧伝していると捉えられよう。 一 方 、ガ 行 鼻 濁 音 が 日 本 語 か ら 消 え よ う と し て い る と い わ れ 久 し い が 、子 音 ng を 特 徴 の ひ と つ と す る 呉 語( 呉 方 言 と も 言 う )と 日 本 語 に お い て そ れ ぞ れ ng 音 が ど の よ う な 生 態 の 中で使用されているのかについて比較考察し、日本語のガ行鼻濁音衰退を海外の日本語教 育機関でどうとらえ、教育に反映させていくべきかということを提案したい。日本語と呉 語という歴史的に影響関係があった二つの言語の未来についても検討したい。 「日本語の中に保存されている呉音と漢音の二種類の借用語から、今日になっても、隋 唐 時 代 に 中 国 語 の 南 北 の 言 語 差 異 を 多 少 窺 が う 事 が で き る 。日 本 語 訳 呉 音 は 5、6 世 紀 の 江 蘇 と 浙 江 か ら 、日 本 語 訳 漢 音 は 7、8 世 紀 の 西 北 ま た は 長 安 か ら 来 た も の で 、二 者 の 音 声 的 特 徴 の 痕 跡 が 多 少 現 代 の 呉 方 言 と 西 北 方 言 に も 保 存 さ れ て い る の で あ る 」1 と 指 摘 さ れ て い るとおりに、現代日本語と現代呉語には古い呉音の特徴がまだ残っている。 中 国 に は 、古 代 日 本 の 漢 字 音 と 呉 音 の 関 係 に つ い て 交 流 史 の 角 度 か ら の 研 究 が 若 干 あ る 2 。 音 声 の 面 か ら 呉 音 や 日 本 漢 字 音 に つ い て 比 較 研 究 を し た も の と し て『 唐 朝 官 話 の 研 究 』3 は. (1) - 56 -.

(2) 数 少 な い 先 行 研 究 の 中 の 一 つ で あ る 。同 書 は 客 家 語 4 の 音 声 と 日 本 語 や 韓 国 語 、呉 語 な ど の 音声との比較を通して、客家語と唐代の共通語の関係を明らかにすることを目的としてい るが、大量の字音をローマ字表記で収録したところが大いに参考になる。日本では矢野光 治 氏 の「 中 国 漢 字 音 と 呉 音・漢 音 ― 中 国 漢 字 文 化 の 奈 良 時 代 古 典 作 品 へ の 影 響 」5 な ど が 挙 げ ら れ る 。ガ 行 鼻 濁 音 の 衰 退 現 象 に つ い て の 研 究 は 過 去 四 十 年 間 に わ た っ て 要 因・地 域 差・ 使 用 意 識・日 本 語 教 育 な ど 多 方 面 か ら さ れ て き た 6 。し か し 、ガ 行 鼻 濁 音 の 行 方 を め ぐ っ て 、 受 容 関 係 を 持 つ 日 本 語 と 呉 語 の[ ng-]鼻 音 節 の 比 較 研 究 を 通 じ て 、日 本 語 教 育 へ の 示 唆 を 探る研究は管見の限りあまりない。ガ行鼻濁音の衰退の歯車にブレーキをかけることはも はや遅いが、ガ行鼻濁音の日本語における重要性をもう一度喚起することができればとい うのが本論の目的である。 本論において字音の表記は分かりやすいローマ字で[]に入れて記すことにした。ロー マ 字 表 記 は 呉 語 の 母 音 を 充 分 に 記 し き れ な い こ と も あ る が 、こ こ で は 主 に[ ng-]と い う 子 音を考察するため、研究の結果には影響がないと考える。また、ローマ字表記が同じもの であっても声調が違う場合があるが、声調とアクセントは本稿で検討しないため、一切記 す こ と を 略 す 。 ガ 行 鼻 濁 音 の 子 音 を [ ŋ ] で 表 記 す る の も あ る が 、 こ こ で は [ ng] を 用 い て記す。また、日本語は東京方言をもととする標準語を研究対象とする。呉語は多数の地 方方言を含んでいるため、本論では主に代表としての蘇州語と上海語を参考にする。二つ の方言の語彙は音節が同じものが多いため、用例を挙げる際、上海語か蘇州語かを特に説 明する必要以外は区別しない。筆者は蘇州地方の出身で、上海で二十年以上生活し、日本 語 教 育 に 従 事 し て お り 、 本 論 で 用 い る 用 例 は す べ て 自 身 の 内 省 に 基 づ く も の で あ る 7。. 2.. 呉 語 の [ ng-] 音. 2.1「 呉 儂 軟 語 」 と 評 価 さ れ る 呉 語 呉語は中国7大方言の中で北方方言に次ぐ2番目の方言で、上海をはじめ、浙江省、江 蘇省南部、福建省の一部、安徽省の一部、江西省の一部など広範囲にわたって使用されて いる。歴史的には蘇州の言葉が呉語の標準語とされたが、現在では上海語を代表としてい る。呉語の発祥地は浙江と江蘇の南部を含めた、いわゆる江南の地域だ。福建、安徽、江 西の呉語は移民による浙江と江蘇の言葉の広がりである。江蘇省の蘇州や浙江省の寧波か らの移民によって造られた上海の町の言葉も諸方言が複雑に融合してできたものである。 また、村 A と隣の村 B の言葉も違うように、細かく分化してできた呉の支方言は膨大な数 になる。従って、呉語という命名は統一された方言ではなく、同じ語源を持つ、文法や発 音が似た一群の方言の総称である。. (2) - 55 -.

(3) 上 古 期( 紀 元 前 11 世 紀 ― 紀 元 2 世 紀 )に 形 成 さ れ た 呉 語 が 長 い 間 、中 原( 中 国 の 中 心 地 とされていた黄河流域全体)の言葉の影響によってだんだん発展してきたのが現代呉語で あ り 、 現 代 と 上 古 の 呉 語 は か な り 違 っ て い る 。本 来 の 呉 語 の 様 子 は 今 の 研 究 で は ま だ 把 握 さ れ て い な い 。普 通 、研 究 対 象 と さ れ て い る 呉 語 は 中 原 の 言 葉 の 影 響 を 受 け た も の で あ る 。 呉 語 の 第 三 人 称 の [ i] が 普 通 語 の 「 伊 [ yi]」 と 同 じ 語 源 を 持 つ こ と を 考 え れ ば 理 解 し や すい。 呉語と普通語の音声学における大きな違いというと、呉語には捲舌音(舌尖後音)がな い こ と 、 呉 語 が 話 さ れ る ほ と ん ど の 地 方 で 、 韻 尾 が [ ng] 一 つ の み で あ る こ と 、 短 い 入 声 子 音 k( 内 破 音 で 終 る 調 子 ) が あ る こ と 、 普 通 語 の 声 調 が 4 つ し か な い の に 対 し て 呉 語 は 声 調 が 7、8 種 も あ る こ と 、及 び 鼻 濁 子 音[ ng]が あ る こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。こ れ ら の 発 音上の特徴があることから、 「 呉 儂 軟 語 」(「 呉 儂 」は 呉 の 地 方 の 異 称 )と 評 価 さ れ る 如 く 、 呉語は北方方言の硬さに対して柔らかく、軽妙な聴覚効果がある。その柔らかさが春風の ように頬をかすめ、水のように心の田を潤してくれると譬えられるほどである。 2.2. 普 通 語 の [ ng] 音 と 呉 語 の [ ng] 音. [ ng-]の 字 音 は 古 代 の 長 安 あ た り の 言 葉 や 、さ ら に 古 い 漢 語 に 存 在 し て い た 可 能 性 は 否 定 で き な い が 、現 代 普 通 語 に は な い も の で あ る 。普 通 語 に は「 本( ben)」「 分( fen)」な ど の 前 鼻 音[ n]に 対 し て 、 「 崩( beng)」「 風( feng)」な ど の 後 鼻 音[ ng]が あ る 。即 ち 、普 通 語 の [ ng] は 子 音 の 位 置 で は な く 、 漢 字 の 韻 尾 に あ る 。 普 通 語 の 前 鼻 音 [ n] は 呉 語 で は 発 音 し な い こ と が 普 通 だ 。 便:. bian ( 普 通 語 ). bie( 呉 語 ). ben( ベ ン. 万:. man. me/ve( 呉 語 ). man/ban( マ ン /バ ン. (普通語). 日本語) 日本語). 普 通 語 の 後 鼻 音 [ ng] は 呉 語 で は 保 持 さ れ て い る 。 硬. ying( 普 通 語 ). ngang( 呉 語 ). kou( コ ウ. 日本語). 争. zheng( 普 通 語 ). tsang/tzeng( 呉 語 ) sou( ソ ウ. 日本語). ここでは前鼻音と後鼻音の漢字を二つずつしか例に挙げていないが、ほかの多くの例を 考察してみると、前鼻音の場合、呉語では鼻音を発音しないことに対して、日本語では保 持している。一方、後鼻音の場合は、呉語は鼻音を保持しているが、日本語は長音に置き 換 わ っ て い る と い う こ と が わ か っ た 。『 新 明 解 漢 和 辞 典 』 で 、「 漢 字 音 は 古 く 伝 わ っ た も の で は あ る が 、発 音 の 難 易 に よ っ て 多 少 転 化 し て い る 。た と え ば 鼻 音( ng)は 長 音( o)に 変 化 し た と い わ れ て い る 」 8 と 指 摘 さ れ て い る 。 即 ち 、 漢 字 の 韻 尾 の ng が 日 本 語 で は 難 し く て長音に音便化されていると理解できる。 こ こ で は 呉 語 の 音 声 上 の 特 徴 で あ る 子 音 [ ng] の 実 態 に し ぼ っ て 分 析 す る 。 ま ず 、 人 称. (3) - 54 -.

(4) や 呼 称 の よ う な 日 常 用 語 に お け る 鼻 音 [ ng] の 使 用 状 況 に つ い て 、 蘇 州 語 と 上 海 語 の 用 例 を以って説明すると次のようになる。 表 1 呉 語 に お け る [ ng] 使 用 状 況 蘇州語. 上海語. 我 [ ngou] 奴 [ nou]. [ ngu]. 第 一 人 称. 単数. 第 二 人 称. 単 数 [ n e]. 第 三 人 称. 単 数 [ li][ ngto]. [ i]. 複 数 [ li to]. [ i la]. 複 数 [ ngou. 複数 [ne. ni][ ngou. li] [ ni] [ a la][ ni][ ngu. ni]. [ nong] to]. [ na]. 以 上 の 表 1 で 示 し て い る よ う に 、 鼻 音 [ ng] は 三 つ の 人 称 と も に 出 て い る 。 子 音 の 位 置 に も 韻 尾 に も 出 る こ と が あ る 。[ ng] の 使 用 率 が 高 い こ と が わ か る 。 次 に 、 呉 語 の 子 音 [ ng] を 分 類 し て 見 て い く 。 用 例 は 一 部 の 常 用 語 で 、 日 本 語 の 話 者 に とって分かりにくい言葉は(. )に意味を入れる。. ( 1 )[ ng] を 一 字 音 と し て 用 い る 。 五 [ ng]. 魚 [ ng]. 端 午 [ ng]. 囡 女 [ ng]( 娘 ). ( 2 ) 子 音 [ ng] + 母 音 [ a] ・ [ u] ・ [ e] ・ [ o] 外 [ nga]. 牙 [ nga]. 芽 [ nga]. 我 [ ngu]. 餓 [ ngu]. 鵞 [ ngu]. 臥 [ ngu]. 眼 [ nge]. 呆 [ nge]. 挨 [ nge]. 癌 [ nge]. 咬 [ ngo]. 傲 [ ngo]. 熬 [ ngo]( 我 慢 す る ). この一群の音は日本語にもある。 ( 3 ) 子 音 [ ng] + 日 本 語 に な い 母 音 我[ ngou] 硬[ ngang] 岳[ nguo] 岸[ ngue] ([ nguö]と も ) 額[ ngak] 魚[ ngei] この部分の字音は日本語にないもので、現在の日本語の音節で替えることはできない。 こ こ の「 額 」の 読 み 方 と( 2 )の「 牙 」の 読 み 方 の 違 い は「 額 」に 入 声 子 音[ k]が あ る と ころである。 ( 1 )の 魚[ ng]は 上 海 語 で 、 ( 3 )の 魚[ ngei] (上海からすこし離れた崇明 の方言)の音便型と考えてよい。. (4) - 53 -.

(5) 『 唐 朝 官 話 の 研 究 』に よ れ ば 呉 語 で[ ng-]音 を 持 つ 字 の 数 は 約 50 で あ る 。さ ら に 、 [ ng-] は「 漢 字 音 の 中 で 最 も 発 音 し に く い 部 分 だ 」9 と 述 べ ら れ て い る 。発 音 の 難 し さ が 指 摘 さ れ ているが、人称などの日常用語にたくさん用いられているところから呉の地方の人にとっ ては個別の音節以外は大して難しくない。 2.3 呉 語 の [ ng-] 音 と [ g-] 音 の 比 較 呉 語 で [ g-] と [ ng -] の 互 換 は あ ま り な い よ う だ 。 日 本 語 の ガ 行 の よ う な 条 件 異 音 も ない。 [ g-]音 の 字 と し て 、最 も よ く 出 て い る「 搿[ ge]」 ( 指 示 詞 の 一 つ )や「 共[ gong]」、 「 戆 [ gang]」( 馬 鹿 ) の [ g] は 濁 音 で 、[ ng] と 置 き 換 え は で き な い 。 ま た 、[ ngi] の 音 節 が 呉 語 に あ ま り 使 わ れ て い な い こ と は 呉 語 と 日 本 語 の 比 較 研 究 の 分 野 で は 注 意 す べ き と こ ろ で あ る 。[ ngi] は 『 現 代 呉 語 の 研 究 』 や 『 北 部 呉 語 研 究 』、『 上 海 市 区 方 言 志 』 10 な ど で は ほ と ん ど 用 例 が 収 録 さ れ て い な い 。 さ ら に 濁 音 [ gi] も 蘇 州 語 と 上 海 語 に は な い 。中 心 地 の 蘇 州 と 上 海 か ら 離 れ た 、常 熟 や 崇 明 な ど 少 数 の 地 方 の 方 言 に「 其 [ gi]」( 第 三 人 称 の 単 数 ) お よ び そ れ か ら 分 化 し た [ ge] が ま だ 使 わ れ て い る 。 現 在 で は [ gi] 音 の 語 が わ ず か し か 残 っ て い な い が 、「 其 [ gi]」 の 存 在 が 呉 語 に ま だ [ gi] 音 が あ ることを説明する貴重な例である。これに対して、中原の古音を保存していると言われて い る 客 家 語 に は[ ngi]と[ gi]の 両 方 と も あ る よ う で あ る 。『 唐 朝 官 話 の 研 究 』に よ れ ば 、 客 家 語 の 「 芸 」・「 疑 」・「 義 」 の 字 音 は [ ngi] で 、「 撃 」・「 急 」・「 吉 」 の 字 音 は [ gi] と な っ て い る 。「 其 [ gi]」 は 同 書 に 収 録 さ れ て い な い 。 客 家 語 に も 日 本 語 に も [ ngi] と [ gi] が 多 い こ と か ら 古 代 の 呉 語 に も[ ngi]と[ gi]が た く さ ん あ っ た と 推 測 で き る 。 [ ngi]の 発音が難しかったためか、 「 芸 」・「 疑 」・「 義 」の 字 音 は 現 代 呉 語 で は ほ と ん ど[ ni]に な っ て い る 。「 撃 」・「 急 」・「 吉 」 の 字 音 は [ jerk] で あ る 。 呉 語 の 鼻 音[ ng-]の 使 用 状 況 は 以 上 の 通 り で あ る 。 [ ng]ま た は[ ngu]と 読 む「 呉 」の 字 音 が 象 徴 し て い る よ う に 、語 頭 の[ ng-]が 呉 語 の 特 徴 の 一 つ で あ る 。そ れ と 声 調 の 多 さ 及 び 捲 舌 音 が な い こ と と と も に 、呉 語 の 柔 ら か い 音 声 的 特 徴 を な し て い る 。呉 の 地 方 の 人 々 の温和な性格は柔らかな呉語のおかげだといわれているが、さらに蘇州の評弾、浙江の越 劇、安徽の黄梅戯、上海の滬劇、昆山の昆劇など柔らかくて美しい地方劇を数多く生み出 した。. 日本語のガ行鼻濁音の変遷. 3. 3.1. ガ行鼻濁音の使用状況. ガ行鼻濁音は東京を中心とした東日本や京都・大阪を中心とした近畿地方の発音に見ら れ る 。 そ の 子 音 は 呉 語 の ng と 同 じ 軟 口 蓋 鼻 音 で あ る 。 そ れ を 指 摘 し た 文 献 は 1604 年 か ら. (5) - 52 -.

(6) 日本で刊行された、ポルトガルの宣教師ロドリゲスが書いた『日本大文典』に遡ることが で き る 。同 書 の「 ア ク セ ン ト 及 び 発 音 上 の 誤 謬 」の 節 で 、「 あ る 語 は 一 種 半 分 の 鼻 音 或 い は ソ ン ソ ネ ー テ を と る の で あ る が 、 そ れ を N 又 は 明 白 な 鼻 音 に 変 へ て は な ら な い 11 」 と い う ふ う に 一 部 の 鼻 濁 音 の 発 音 を 指 導 し て い る 。さ ら に 、「 科 」を「 Tonga( と ん が )」、「 わ れ ら が 」を「 Vareranga( わ れ ら ん が )」、「 長 崎 」を「 Nangasaqui( な ん が さ き )」と 読 む よ う に 例 示 し て い る 。挙 げ ら れ た 例 は 語 中 に「 が 」の あ る 言 葉 だ け で あ る が 、「 ぎ 」 ・「 ぐ 」な ど の 場合もそうだっただろう。 ガ行鼻濁音の現状を見れば、近年、若者の中で使いこなせない人が増えているため、小 中学校の国語教育では学習内容に含まれていなくなったと言う。代わりに濁音と鼻音の中 間位置にある摩擦音で読まれている。ガ行の摩擦音は濁音のほうに近いので、以下、便宜 上、摩擦音という言い方を取らず、濁音を用語として用いる。学校でガ行鼻濁音を教えな い と い っ て も 、実 際 は 職 業 等 に よ っ て 発 音 の 差 異 が あ る の が 現 状 で あ る 。 「アナウンサーの 生育地がガ行鼻濁音を使用していない地域の場合であっても、指導者の立場であればガ行 鼻 濁 音 を 使 用 す る よ う 指 導 す る 」 12 こ と か ら 、 標 準 的 で あ る こ と と 美 意 識 が 求 め ら れ る ア ナウンサーの放送音声が伝統に従ったものであるのが分かる。また、人によって、鼻濁音 だったり濁音だったりという現象も起きている。一例を挙げれば、井上あずみ氏が歌った 「 君 を の せ て 」の 歌 で は 接 続 助 詞「 が 」は 鼻 濁 音 で 、「 輝 く 」の「 が 」は 濁 音 と な っ て い る 。 これらの違いは学習者からよく質問される問題でもある。 長い間、ガ行の発音は条件異音として指導されてきた。つまり、文節の頭に来る場合、 濁 音 と な り 、そ れ 以 外 の 位 置 に は 鼻 濁 音 と な る の が 原 則 で あ っ た 。例 え ば 、「 呉 語( ご ご )」 の 音 声 は [ go ngo] で あ る 。 ガ 行 の 鼻 音 の ほ か に 、 撥 音 「 ン 」 の 基 本 音 も 鼻 音 ng で あ る 。 3.2 ガ 行 音 対 照 分 析 北方方言の代表である北京語を基準とする普通語は主に中原の言葉から発展してきたも ので、ある程度日本語の漢音を反映している。呉語はある程度日本語の呉音を反映してい る。それで、ガ行の音声の変遷を把握するために日本語と普通語と呉語の音声の対照分析 を す る こ と に し た 。ガ 行 の 音 節 は「 次 ぎ 」「 直 ぐ 」な ど の 和 語 に も 、 「 現 実 」「 午 後 」な ど の 漢語にも用いられている。ここでは漢字の読み方におけるガ行の使用状況のみを調べてみ た。古代の字音を復元することができないので、現代の日本語と普通語と呉語を用いて比 較する。比較の前提は日本語の漢字音が主として呉音や漢音から来ているということであ る。 『 新 漢 和 辞 典 』に は 八 千 字 以 上 漢 字 が 取 ら れ て い る が 、全 部 考 察 す る の は 不 可 能 だ と 考 え、 『 三 省 堂 国 語 辞 典 』の 後 ろ に 記 載 さ れ て い る「 常 用 漢 字 音 訓 一 覧 」に 纏 め ら れ た 漢 字 だ けでも充分に現象を説明できるから、こちらを考察することにした。その中から音読みに. (6) - 51 -.

(7) ガ行音のあるものをすべて抜き出し、法則を見つけるために、普通語の漢字音を基準に、 日本語、普通語、呉語の漢字音の対照表を作成した。日本語読みは『三省堂国語辞典』の 音読みを取った。現在使っている音読みが漢音か呉音かということを知るために『新漢和 辞典』で確認した。漢音であるものは(. )に「漢」を入れ、呉音であるものは(. 「呉」を入れ、漢音と呉音が同じものは( 用音は(. )に. )に「同」を入れ、漢音でも呉音でもない慣. )に「慣」を入れることにした。. 表2(普通語で母音だけの漢字)4 字 漢. 字. 餓. 額. 岸. 偶. 日本語. ガ(同) ga. ガク(漢) gaku. ガン(同) gan. グウ(慣) guu. 普通語. e. e. an. ou. 呉. ngu. ngak. nger. ngou. 語. 表 2 の 4 字 の 呉 語 は [ ng-] 音 で 、 日 本 語 の 読 み 方 が 本 来 鼻 濁 音 だ っ た 可 能 性 が 高 い 。 表3(子音gの漢字)4 字 漢. 字. 該 ガイ(慣) gai. 概 ガイ(慣) gai. 剛 ゴウ(慣) gou. 宮 グウ(慣) guu. 普通語. gai. gai. gang. gong. 呉. gai. gai. gang. gong. 日本語. 語. 表3の子音 g の 4 つの漢字は三者とも濁音で子音の変化が見られない。 表 4 ( 子 音 h の 漢 字 ) 13 字 漢 画 字. 賀. 劾. 害. 含. 行. 日 ガ (慣 ) ガ 本 ga ga 語. ガイ gai. ガイ gai. ガン gan. 普 通 hua 語. he. he. hai. 呉 ho 語. hu. he. hai. 幻. 互. 後. 護. 号. 豪. 合. ギョウ ゲン gyou gen. ゴ go. ゴ go. ゴ go. ゴウ gou. ゴウ gou. ゴウ gou. han. hang. huan. hu. hou. hu. hao. hao. he. her. hang. hue. hu. hou. hu. hor. hor. he. 表 4 の 子 音 h の 13 の 漢 字 の 場 合 、日 本 語 読 み は「 画 」以 外 は 全 部 呉 音 で あ る 。普 通 語 と 呉語は音声の表記が似ているが、実際の発音は大きく変っている。呉語では子音 h は普通 語 と 英 語( 例 え ば he)の よ う な 強 い 有 気 音 で な く 、有 気 鼻 音 で あ り 、発 音 す る と き 、子 音 hがほぼ脱落しており、喉の後部からの発声で母音に近い音になる。従って、本来、日本. (7) - 50 -.

(8) 語読みは鼻濁音だっただろうと推測できる。 表 5 ( 子 音 j の 漢 字 ) 12 字 漢 字 日 本 語 普 通 語 呉 語. 街. 技. 具. 軍. 郡. 解. 鯨. 劇. 撃. 激. 減. 極. ガイ (慣) gai. ギ (呉) gi. グ (呉) gu. グン (慣) gun. グン (呉) gun. ゲ (呉) ge. ゲイ (慣) gei. ゲキ (慣) geki. ゲキ (慣) geki. ゲキ (慣) geki. ゲン (慣) gen. ゴク (呉) goku. jie. ji. ju. jun. jun. jie. jing. ju. ji. ji. jian. ji. ka. ji. ju. jun. jun. kak. jing. jiak. jierk. jierk. ge. jie. 表 5 の 子 音 j の 12 の 漢 字 は「 街・解・減 」の 3 つ 以 外 、普 通 語 と 呉 語 は 似 て い る が 、日 本 語 は j 音 で は な い 。日 本 語 読 み は 呉 音 と 慣 用 音 か ら 来 て い る 。呉 語 の「 減 」は 韻 尾「 n 」 が 脱 落 し て い る 。「 解・街 」の 2 つ は 呉 語 の 無 気 音 か ら 日 本 語 の 濁 音 に 変 化 し た と 推 測 で き る 。 こ の 表 に は な い が 、 普 通 語 の 「 家 ( jia)・ 甲 ( jia)・ 江 ( jiang)」 な ど の 字 音 が 呉 語 で は「 家( ka)・甲( ka)・江( kang)」と な る よ う に 、子 音「 j 」が 無 気 音「 k 」に な る 傾 向があったのだろう。さらに無気音「k」から日本語の「g」になったと考えられる。こ の部分の日本語読みは昔も濁音だっただろう。. 表6(子音kの漢字)2 字 漢. 字. 慨. 拷. 日本語. ガイ(慣) ゴウ(慣) gai gou. 普通語. kai. kao. 呉. kei. kao. 語. 表 6 の 子 音 k の 漢 字 は 2 つ だ け だ 。[ k -]音 は ほ と ん ど「 開( 普 kai・日 kai・呉 ke)」・ 「 空( 普 kong・日 kuu・呉 koŋ )」の よ う に 同 じ 清 音[ k -]だ が 、同 表 の「 慨 」・「 拷 」は 例外で、恐らく無気音kから濁音gになっただろう。. 表7(子音nの漢字)5 字 漢字. 擬. 逆. 虐. 牛. 日本語. ギ( 同 ) ギ ャ ク ( 呉 ) ギ ャ ク ( 呉 ) ギ ュ ウ ( 漢 ) ギ ョ ウ( 漢 ) gi gyaku gyaku gyuu gyou. 普通語. ni. ni. nue. niu. ning. 呉語. ni. nierk. niak. niu. nin. (8) - 49 -. 凝.

(9) 表7の子音 n の 5 つの漢字の場合、普通語と呉語は子音が同じnで、日本語はgとなっ て い る 。 n 音 と ng 音 が 似 て い る こ と か ら 、 本 来 、 日 本 語 で は [ ng-] だ っ た の で は な い だ ろうか。日本語の読み方から、古い呉語では鼻音に近かったと推測できよう。中古の一部 の[ ng-]の 字 音 が 現 代 呉 語 で は[ n -]に 、日 本 語 で は[ g -]に 分 化 し て い っ た 現 象 を 反 映 し て い る と 思 わ れ る 。ま た 、 「牛」 ・ 「 凝 」の 字 音 が 漢 音 で あ る こ と か ら 漢 音 に も 鼻 濁 音 が 存在していただろうと推測できる。. 表8(子音qの漢字)4 字 漢. 字. 欺. 群. 碁. 強. 日本語. ギ( 慣 ) グ ン ( 呉 ) ゴ( 慣 ) ゴ ウ ( 呉 ) gi gun go gou. 普通語. qi. qun. qi. qiang. 呉. tʃ i. dʓ ing. dʓ i. tʃ ang/dʓ ang. 語. 表 8 の 子 音 q の 4 つ の 漢 字 の 場 合 、普 通 語 と 呉 語 は 似 て お り 、日 本 語 は 濁 音 化 し て い る 。 日 本 語 の 読 み か ら 逆 に 古 い 呉 語 の 読 み 方 を 推 測 で き る 。 表 に は な い が 、 2.3 で 触 れ た 普 通 語 の 「 其 qi」 を 上 海 付 近 の 崇 明 語 で は gi と 言 う の が そ の 残 り だ 。. 表 9 ( 子 音 w の 漢 字 ) 10 字 字. 我. 外. 丸. 頑. 偽. 五. 午. 呉. 悟. 誤. 日本語. 漢. ガ ga. ガ イ (漢 ) gai. ガン gan. ガン gan. ギ gi. ゴ go. ゴ go. ゴ go. ゴ go. ゴ go. 普通語. wo. wai. wan. wan. wei. wu. wu. wu. wu. wu. 呉. ngu/ngou/nou nga. ue. uai. wei. ng. w u/ng. wu/ng. ngu. ngu. 語. 表 9 の 子 音 w の 10 の 漢 字 の 場 合 、「 外 」 以 外 、 漢 音 と 呉 音 が 全 部 同 じ で あ る 。 普 通 語 の [ w -]音 は 呉 語 で は 鼻 音 化 す る 傾 向 が あ る 。鼻 濁 音 か ら 現 在 の 日 本 語 の 濁 音 に 変 化 し た と 考えられる。 表 10( 子 音 x の 漢 字 ) 11 字 漢 字. 学. 犠. 戯. 形. 暁. 下. 現. 弦. 限. 玄. 郷. 日本語. ガク gaku. ギ gi. ギ gi. ギョウ gyou. ギョウ gyou. ゲ ge. ゲン gen. ゲン gen. ゲン gen. ゲン gen. ゴウ gou. 普通語. xue. xi. xi. xing. xiao. xia. xian. xian. xian. xuan. xiang. 呉 語. hok. xi. xi. ing. xiao. ho. ie. ie. hai. ie. xiang. (9) - 48 -.

(10) 表 10 の 子 音 x の 11 の 漢 字 の 日 本 語 読 み は 全 部 呉 音 で あ る 。 現 代 の 呉 語 で は 普 通 語 と 同 じ よ う に x と す る 場 合 が 多 い 。「 学 」「 下 」 な ど は 昔 の ま ま の 読 み 方 で あ る 。 古 代 の x は 呉 語 で は 無 気 h に 転 化 し た よ う だ 。今 日 の「 香 港 」の「 香( ホ ン )」の 読 み 方 は 広 東 話 か ら 来 たもので、呉語から拡がった字音を保存している例である。x子音の変化を次のように示 すことができる。 [ x -]( 漢 語 ) → 無 気 [ h -]( 古 い 呉 語 ) → 鼻 音 [ ng‐ ]( 古 い 日 本 語 ) → 濁 音 [ g -]( 現 代 日 本 語 ). 表 11( 子 音 y の 漢 字 )36 字( 雅 ・ 芽 ・ 涯 ・ 岳 ・ 楽 ・ 岩 ・ 眼 ・ 願 ・ 顔 ・ 宜 ・ 義 ・ 疑 ・ 儀 ・ 議 ・ 御 ・ 魚 ・ 漁 ・ 仰 ・ 業 ・ 玉 ・ 銀 ・ 吟 ・ 愚 ・ 遇 ・ 隅 ・ 芸 ・ 迎 ・ 月 ・ 元 ・ 言 ・ 原 ・ 源 ・ 厳 ・ 娯 ・ 語 ・ 獄 の 36 字 が あ る が 、 普 通 語 で 同 じ 音 の 字 を 一 部 略 し て 、 以 下 の 16 字 を 取 り 上 げ た ). 漢 字. 雅. 岳. 楽. 岩. 愚. 魚. 宜. 芸. 迎. 銀. 御. 仰. 業. 玉. 日 本 語. ガ ga. ガク gaku. ガク gaku. ガン gan. グ gu. ギョ gyo. ギ (同 ) gi. ゲイ gei. ゲイ gei. ギン gin. ギ ョ (漢 ) ギョウ /ゴ (呉 ) gyou go/gyo. ゴ ウ (漢 ) /ギ ョ ウ (呉 ) gou/gyou. ギョク gyoku. 普 通 語. ya. yue. yue. yan. yü. yü. yi. yi. ying. yin. yü. yang. ye. yu. 呉 語. ia. ngok. iok. nge. yü. ng/ngei. i/ni. i/ni. ning. nin. nü. iang. nie. niok. 表 11 の 子 音 y の 漢 字 の 数 は 最 も 多 く て 、 36 に の ぼ る 。「 宜 」「 御 」 な ど の 漢 字 以 外 、 日 本 語 読 み は ほ と ん ど 漢 音 で あ る 。子 音 y の 漢 字 が 呉 語 で は 鼻 音 で 読 ま れ る も の が 多 い か ら 、 鼻音から日本語の濁音に変化したのだろう。また、漢音から来たものが多いことから、古 代の漢音に鼻濁音が存在していただろうと推測できる。 以 上 の 比 較 を 通 し て 、表 2 は 別 と し て 、普 通 語 の 漢 字 の 子 音 が g・h・j・k・n・q・w・x・ y の場合、日本語ではガ行濁音化する傾向があり、特に y 子音の漢字でガ行濁音化したも の が 多 い 。考 察 し た 漢 字 は 全 部 で 101 字 で 、日 本 語 で 本 来 濁 音 で 発 音 し た だ ろ う も の は 22 字 で 、 鼻 音 で 発 音 し た だ ろ う も の は 79 字 も あ る 。 鼻 音 は 濁 音 の 約 3.5 倍 で あ る 。 種類. 字数. 比 重( % ). 濁音. 22. 22. 鼻濁音. 79. 78. ここまでの分析を通して、いくつかのことが明らかになった。日本語でガ行条件異音の 規範ができる以前に、濁音にしても鼻濁音にしても文節における位置と関係なく読まれた はずである。しかも鼻濁音で読む字が濁音よりはるかに多い。また、呉語だけでなく、古. (10) - 47 -.

(11) 代 の 中 原 の 言 葉 に も[ ng‐ ]音 が あ っ た は ず で あ る 。時 が 経 つ に つ れ て 、 [ ng‐ ]音 は 普 通 語 で は 絶 滅 し 、呉 語 で は 減 少 す る 傾 向 で あ り 、日 本 語 で は 条 件 異 音 の ル ー ル の も と で[ g -] 音 と [ ng‐ ] 音 が 使 い 分 け ら れ て い た 。. 4.呉 語 と 日 本 語 の 関 係 及 び 教 育 現 場 へ の 示 唆 4.1. 呉語と日本語の関係. 『 万 葉 集 』 は 呉 音 で 書 か れ た と 言 わ れ る 13 。 呉 語 が 古 代 日 本 語 に 関 与 し た こ と は 交 流 史 から充分に窺える。五世紀以前の呉語が日本に伝えられたかどうかについては知りようが ないし、その時の呉語の形態さえ把握されていない。前書きにも触れたが、日本語にある 呉 音 は 5、 6 世 紀 に 中 国 の 江 南 か ら 、 漢 音 は 7、 8 世 紀 に 長 安 あ た り か ら 日 本 へ 伝 わ っ た と い う 見 方 は ほ ぼ 定 説 で あ る 。し か し 、「 呉 音 は 由 来 が は っ き り さ れ て い な い し 、日 本 語 的 発 音 を し て い る 」14 と も 指 摘 さ れ て い る よ う に 、呉 音 が ど う い う ル ー ト で 日 本 に 持 ち 込 ま れ 、 日 本 語 の 一 部 に な っ た の か に つ い て は ま だ 充 分 に は 解 明 さ れ て い な い 。「 中 国 の 南 朝 か ら 直接に伝えられた可能性と朝鮮半島の百済を経由して伝えられた可能性の二つがあるだろ う 」 15 と 推 測 さ れ て い る 。 呉 音 の 語 釈 に つ い て 、『 日 本 国 語 大 辞 典 』 で は 「 本 来 は 『 和 音 』 と呼ばれ、日本で後に盛行してきた漢音と区別するために名付けられた読書音である」と している。漢和辞典に記されている漢字の呉音は全部ではなく、呉音にもいくつかの読み 方 が あ っ た よ う だ 。 例 え ば 、「 万 」 は 『 新 漢 和 辞 典 』 で は 呉 音 「 マ ン 」、 漢 音 「 バ ン 」 と 記 してあるが、呉語には「メ」に近い音もある。時代によって違った呉音が日本に持ち込ま れたと考えられる。中国で古代の漢字音を研究する際、日本語に保存されている呉音や漢 音を参考にするのはよく用いられる方法である。だが、日本語の字音も昔から変化してき た こ と を 知 っ て お か な け れ ば な ら な い 。特 に 日 本 語 の[ g-]は 再 検 討 が 必 要 だ と 思 う 。 「偶」 の 字 は 漢 音 gou・ 呉 音 gu・ 慣 用 音 guu と 『 新 漢 和 辞 典 』 に 記 し て あ る が 、 現 代 呉 語 で は 鼻 音 [ ngou] で 読 む こ と か ら 、 実 際 日 本 語 の そ の 字 の 呉 音 が ngu だ っ た 可 能 性 が 高 い 。 日 本 へ の 呉 音 の 流 入 時 期 と 推 定 さ れ る 5、 6 世 紀 は 中 国 で は 170 年 間 に わ た る 南 北 朝 で 、 南 朝 は 建 康( 現 在 の 南 京 )を 都 と し て い て 、 『 宋 書 』の 中 に 両 国 の 正 式 な 交 流 に 関 す る 記 載 が 数 多 く あ る 。ほ か に 、 「 紀 元 4 世 紀 と 5 世 紀 の 後 半 、7 世 紀 の 中 期 と い う 三 つ の 時 期 に 大 陸 か ら 日 本 へ 大 勢 の 移 民 が 渡 っ た 」 16 と 言 う 。 こ れ ら の 正 式 な 交 流 や 大 陸 か ら の 移 民 な ど 呉語が持ち込まれたルートはいくらでもあったようだ。 長 安 の 漢 音 が 日 本 に 流 入 し て か ら も 呉 語 の 影 響 は 途 絶 え て い な い 。753 年 に 日 本 に 渡 り 、 日 本 律 宗 を 開 い た 鑑 真 は 呉 の 地 方 の 江 蘇 省 揚 州 の 人 間 で あ る 。 ま た 、 804 年 、 日 本 の 最 澄 が中国に来て天台宗を習ったところが呉の浙江省にある天台山であった。最澄が日本に帰. (11) - 46 -.

(12) っ て 京 都 の 比 叡 山 に 延 暦 寺 を 建 て て 日 本 天 台 宗 を 開 創 し た 。 宋 代 ( 紀 元 960 年 か ら ) 以 降 に伝わった唐音は禅宗などの伝教によって呉の地方から輸入されたものである。このよう に、呉語は漢音が盛行した時期にも宗教などを通して日本語に関与していたと言える。呉 語と日本語の結びつきは歴史の中の一時期でなく、長い間に並行して発展していった言語 がその都度の交流をきっかけに交錯し、融合したという複雑な過程であった。 4.2. 呉 語 と 日 本 語 の [ ng-] 音 の 比 較. 以上述べた呉語と日本語の関係史を背景に、ガ行鼻濁音の現状と未来を考える前に、第 2 章 と 第 3 章 で 別 々 に 考 察 し た 呉 語 と 日 本 語 の[ ng-]音 を 合 わ せ て そ の 異 同 を 纏 め て お き たい。 前章で分析したように、日本語のガ行鼻濁音は漢音とも呉音とも関係がある。比較を通 し て 、ガ 行 条 件 異 音 の 規 則 が 作 ら れ る 以 前 に[ ng-]音 が[ g-]よ り ず っ と 多 か っ た と 推 測 さ れ る 。 呉 語 で 「 五 」・「 午 」 の 中 古 音 は [ ngo] だ っ た 17 と 指 摘 さ れ て い る よ う に 、「 五 」・ 「 午 」な ど は 本 来 は 、[ ngo]だ っ た 。い つ の 間 に か 、呉 語 で は[ ng]に 、日 本 語 で は[ go] に な っ た と 考 え ら れ る 。日 本 語 に は「 義 」・「 疑 」・「 宜 」・「 蟻 」な ど[ ngi]と 読 む 字 が 非 常 に 多 い 。呉 語 に は[ ng-]音 が た く さ ん あ る が 、[ ngi]だ け は ほ ぼ 絶 滅 の 状 態 で あ る 。 だ が 、日 本 語 と 同 じ よ う に「 中 古 音 は[ ngi]だ っ た 」18 の だ 。[ ngi]は 現 代 呉 語 で は[ ni] と な っ て い る 。今 で は[ ngi]な ど 消 失 し た 一 部 の 呉 語 の 原 音 を 日 本 語 か ら 求 め る こ と が で きるのだ。 日 本 語 の [ g-] 音 の 条 件 異 音 の 現 象 は 呉 語 を 縦 横 に 見 て も な い よ う で あ る 。 さ ら に 、 濁 音 [ gi] は 普 通 語 に も な け れ ば 、 蘇 州 や 上 海 、 杭 州 な ど 大 都 会 の 方 言 で も 消 失 し て い る よ うだが、辺鄙な地方では古代からの発音がまだ残っている。上海から離れた崇明という島 や 浙 江 省 の 天 台 の 方 言 で は 第 三 人 称 を 今 も 「 gi」・「 ge」 と 発 音 さ れ て い る 。 崇 明 の 「 gi」 の発音は日本語のギと全く同じである。 [ gi]は 三 人 称 単 数 の 一 番 古 い 形 だ 19 と 指 摘 さ れ て い る 。 つ ま り 、 現 代 呉 語 で は 古 代 に あ っ た [ gi] も 絶 滅 に 瀕 し て い る 。 一 方 、日 本 語 の[ ng-]音 も 本 来 は 語 頭 や 語 尾 と 関 係 が な か っ た が 、条 件 異 音 の ル ー ル に よ っ て 、本 来 、午 後[ ngo-ngo]だ っ た だ ろ う も の が[ go-ngo]に な っ た よ う に 、鼻 音 が 濁 音 に な る 現 象 が あ る 。こ の ル ー ル に よ っ て 鼻 濁 音 で 発 音 す る 字 音 は 随 分 少 な く な っ て い る 。 その要因は鼻濁音が難しいからだろうと考えられる。要するに、昔から今日にかけて日本 語 も 呉 語 も [ ng-] 音 が 衰 退 し て い る 傾 向 を 示 し て い る 。 4.3. 日本語教育への示唆. ガ 行 鼻 濁 音 の 変 遷 は 言 語 の 発 展 の 縮 図 と も 言 え る 。 日 本 語 の 柔 ら か さ を 表 わ す [ ng -] 音は、約千七百年の歴史の流れの中で、漢音が隆盛だった時代を経て、グローバル的に文. (12) - 45 -.

(13) 化の交錯があった近代二百年を経て、伝えられてきたのだ。今後、廃音になる可能性もあ る。 ガ 行 の 条 件 異 音 が 日 本 の 学 校 教 育 の 内 容 に 含 ま れ な く な っ た と い う の は 、[ ng-] 音 が 日 本語から消えようとしていることを意味する。その規則はアナウンサーなどの職業用語で はまだ働いているが、標準語を話すアナウンサー以外の人たちにとっても、ガ行鼻濁音の 衰 退 は 物 足 り な さ を 感 じ さ せ る こ と が あ る の で は な い だ ろ う か 。1980 年 代 に 大 学 で 日 本 語 の教育を受けた筆者は日本人の先生からカ行・タ行・パ行の有気音と無気音の区別、ガ行 の濁音と鼻濁音の区別を厳しくしつけられたのである。二、三十年の間に日本語に大きな 変化が起こったのである。 一方、条件異音のルールがガ行鼻濁音を保存するのにも役にたっていると言える。ガ行 鼻濁音の重要性と絶滅の危機状態を意識したうえで、教育現場で音声学習の段階でガ行鼻 濁音をどう位置づければよいのか、どのように指導したらよいのか考えてみたい。まず、 鼻濁音について教科書で触れるべきだと考える。中国で広く使われている三種の教科書を 代 表 と し て 現 状 を 見 る と 、大 学 の 日 本 語 学 科 の 教 科 書 と し て 知 ら れ て い る『 総 合 日 語 』20 で はガ行の条件異音を厳格に説明しており、世界の日本語教育で使用されている人気の『み ん な の 日 本 語 』 21 で は そ の 区 別 を し て い る も の の 、「 最 近 、 差 が な く な り 、[ ŋ ] か ら [ g] に な る 傾 向 を 示 し て い る 」と 指 摘 し て い る 。第 二 外 国 語 の 学 習 者 向 き の『 標 準 日 本 語 』22 で は鼻濁音に全然触れていない。即ち、教科書でガ行の条件異音について指導方針が統一さ れていないのも現状である。 また、発音の難易から言えば、条件鼻音ばかりでなく、筆者の日本語教育の教室で音声 段階での教育において撥音「ン」もほとんどの学習者にとって習得が難しい。相当の練習 をさせてやっと身につくものだ。ガ行鼻濁音は出身地によって、習得力が違う。呉地から 来 た 学 生 に と っ て「 ngi」は 難 し い が 、 「 nga」「 ngu」「 nge」「 ngo」の 四 つ は そ れ ぞ れ 上 海 語 の 「 牙 nga」、「 我 ngu」、「 眼 nge」、「 咬 ngo」 と 同 じ 発 音 で あ る と 指 導 す れ ば す ぐ で き る 。 ナ行とラ行の区別ができない、つまりナ行の音が発音できない四川省や湖南省から来た学 生はガ行の鼻濁音も苦手である。訓練してもできない人が多い。それ以外の地方からの学 生も練習をすればできるようになる。 ガ行鼻濁音は長い間、日本語の中で活躍し、聴覚的美感を生み出すものとして、保存さ れてきた。中国における日本語教育の現場では必ずしも日本の学校教育と全く同じ指導方 法である必要はなく、本土化があってしかるべきだと考える。出身地によって人間の発声 器官も多少違うようだが、日本でのガ行鼻濁音の教育現状を説明したうえで、日本人以外 の学習者の発声条件の差を意識しながら発音の指導をしたらという提案をしたい。教師は. (13) - 44 -.

(14) 教科書の方針に基づいて指導するため、教科書もガ行の条件異音があったことを明確に記 しておくべきだろう。古い呉音や漢音が日本語に保存されているように、自国の事情に合 わ せ て 鼻 濁 音 を 指 導 す る の も 良 い だ ろ う 。呉 の 地 方 の 日 本 語 の 学 習 者 に 対 し て 、数 字「 二 」 の発音や、複数の「ら」の発音と意味、助動詞「た」の発音と使い方、及び本稿で考察し た[ ng-]音 な ど 、日 本 語 と 呉 語 の 類 似 性 を 指 摘 し な が ら 日 本 語 を 教 え る と き っ と 学 生 た ち の理解力をアップさせ、学習意欲を引き出す。 最後に、将来上海語を話せる人が少なくなるかもしれない。住んでいる地方の方言を使 いこなせることも一種の実力だから、熱心に子供を英会話の教室に通わせる親たちは地元 の 方 言 の 魅 力 に も 気 付 く べ き で あ ろ う 。ま た 、日 本 語 に お い て 条 件 異 音 は 古 い 音 を 保 存 し 、 美しい日本語を話すためにも必要ではないだろうか。. 注 1. 袁家驊. 『袁家驊文選』北京大学出版社. 2010 年 10 月. p 30. 中 国 語 の 原 文 は 次 の よ う で あ る 。「 日 语 所 保 存 的 两 种 汉 语 借 词 ,让 我 们 今 天 多 少 能 够 窥 见 隋 唐 时 期 汉 语 南 北 语 言 差 别 的 具 体 内 容 。日 译 吴 音 借 自 第 五 、六 世 纪 的 江 浙 一 带 的 话 ,日 译 汉 音 借 自 第 七 、八 世 纪 的 西 北 或 长 安 的 话 ,二 者 的 语 音 特 征 的 痕 迹 多 少 还 保 存 在 现 代 的 吴 方 言 和 西 北方言里」と。本稿で引用した中国語文はすべて筆者が日本語に訳した。 2. 滕軍ら編『中日文化交流史』(北京大学出版社 両千年』(社会科学文献出版社. 3. 4. 邱従容. 2011 年 1 月 ) 、 徐 勇 ら 編 『 中 日 文 化 交 流. 2013 年 2 月 ) な ど が 挙 げ ら れ る 。. 『 唐 朝 官 話 の 研 究 』( 原 題:『 唐 朝 官 話 的 研 究 』). 台北南天書局. 2008 年 11 月. 『現代漢語辞典』(中国商務印書館)の客家語についての語釈によると、七大の方言の一つ で 、中 古 期( 紀 元 7 世 紀 ― 13 世 紀 )に 芽 生 え た 方 言 で 、中 原 の 漢 族 が 各 地 に 移 民 し 、中 原 の 古 語 を 持 っ て い っ た と こ ろ を 起 源 と し 、主 と し て 広 東 、広 西 、四 川 、江 西 、台 湾 な ど に 分 布 しており、中原の古語を保存しているといわれる。. 5. 矢野光治. 「 中 国 漢 字 音 と 呉 音・漢 音 ― 中 国 漢 字 文 化 の 奈 良 時 代 古 典 作 品 へ の 影 響 」. 正大学人文科学研究所年報 6. 第 46 巻. 2009 年 3 月. 立. p 37-58. 南部智史・朝日祥之・相澤正夫「ガ行鼻音の衰退過程とその要因について:札幌と富良野 の言語調査データを利用して」(国立国語研究所論集7. 2014 年 5 月. 上 蓁「 日 本 語 の い わ ゆ る 鼻 音 節 子 音 の 実 態 」( 音 声 学 会 会 報. 第 185 巻. p 167-185) や 、 川 1987 年 8 月 )、中. 東 靖 恵・馬 瀬 良 雄 ら「 国 内・海 外 の 日 本 語 教 育 に お け る ガ 行 鼻 音 の 取 り 扱 い 」( 岡 山 大 学 文 学部紀要. 第 37 巻. 2002 年 7 月. p 127-139)、轟 木 靖 子・河 野 葉 子「 放 送 に お け る ガ 行 鼻. (14) - 43 -.

(15) 濁音について : アナウンサーの意識調査に基づく考察」(香川大学教育学部研究報告. 第 1部. 2004 年 9 月 )、李 丹 蕊「 ガ 行 鼻 濁 音 の 発 音 教 育 に つ い て の 考 察 」( 原 題:「 关 于“ が. 行 ” 鼻 浊 音 语 音 教 学 的 思 考 」 日 语 学 习 与 研 究 2005 年 12 月 増 刊 ) な ど が 挙 げ ら れ る 。 7. 本 稿 で 用 い た 一 部 の 字 例 の 表 記 は 趙 元 任『 現 代 呉 語 的 研 究 』( 商 務 印 書 館 や、. 邱 従 容『 唐 朝 官 話 的 研 究 』( 台 北 南 天 書 局. (上海大学出版社. 2011 年 12 月 ). 2008 年 11 月 )、銭 乃 栄『 北 部 呉 語 研 究 』. 2003 年 5 月 )、許 宝 華 ら 編『 上 海 市 区 方 言 志 』( 上 海 教 育 出 版 社. 1988. 年 11 月 ) な ど を 参 考 に し た 。 8. 長澤規矩也編『新明解漢和辞典』の付録「漢字について」による。三省堂. 9. 原 文 は 「 ng-声 母 音 是 汉 字 语 音 中 最 不 好 发 音 的 部 分 」 ( 注 3 の 『 唐 朝 官 話 の 研 究 』 p282) と. 1981 年 12 月. ある。 10. 11. 注7参照 ロ ド リ ゲ ス 著 ・ 土 井 忠 生 訳 『 日 本 大 文 典 』( 三 省 堂. 1955 年 3 月. p 620) に よ る 。 引 用 文. 中 の「 ソ ン ソ ネ ー テ 」と は 土 井 忠 生 氏 の 注 に よ れ ば「 皮 肉 な 言 ひ 方 な ど に 於 け る 鼻 に か か る ような抑揚のある発音」であると言う。 12. 轟木靖子 ・河野葉子 基づく考察」. 13. 小林昭美. 「放送におけるガ行鼻濁音について : アナウンサーの意識調査に. 香川大学教育学部研究報告. 第1部. 2004 年 9 月. 『 日 本 語 千 夜 一 話 - 古 代 編 』の 第 136 話「 万 葉 集 の 漢 字 音・和 音 と 弥 生 音 」. 氏のホームページによる。 14. 原 文 は 「 吴 音 来 历 不 明 且 带 有 日 语 口 音 」 ( 注 2 の 『 中 日 文 化 交 流 史 』 p 59) と あ る 。. 15. 注 2 の 『 中 日 文 化 交 流 史 』 p 58. 16. 注 2 の 『 中 日 文 化 交 流 両 千 年 』 p 139. 17. 許宝華等編. 『上海市区方言志』. 上海教育出版社. 1988 年 11 月. p 142. 18. 許宝華等編. 『上海市区方言志』. 上海教育出版社. 1988 年 11 月. p 129. 19. 銭乃栄. 20. 彭広陸ら編. 21. 株式会社スリーエーネットワーク編. 『北部呉語研究』 『総合日語』. 上海大学出版社. 2003 年 5 月. 北京大学出版社. 2009 年 8 月. 『みんなの日本語』. 2009 年 7 月 22. 『標準日本語』中国人民教育出版社. 2005 年 4 月. (15) - 42 -. p 115. 外語教学与研究出版社. 同.

(16)

表 3 の 子 音 g の 4 つ の 漢 字 は 三 者 と も 濁 音 で 子 音 の 変 化 が 見 ら れ な い 。       表 4 ( 子 音 h の 漢 字 ) 13 字   漢 字   画   賀   劾   害   含   行   幻   互   後   護   号   豪   合   日 本 語   ガ (慣 ) ga  ガ  ga  ガ イ  gai  ガ イ  gai  ガ ン  gan  ギ ョ ウgyou  ゲ ン  gen  ゴ  go  ゴ  go  ゴ  go  ゴ ウ
表 5 の 子 音 j の 12 の 漢 字 は「 街・解・減 」の 3 つ 以 外 、普 通 語 と 呉 語 は 似 て い る が 、日 本 語 は j 音 で は な い 。日 本 語 読 み は 呉 音 と 慣 用 音 か ら 来 て い る 。呉 語 の「 減 」は 韻 尾「 n 」 が 脱 落 し て い る 。「 解・街 」の 2 つ は 呉 語 の 無 気 音 か ら 日 本 語 の 濁 音 に 変 化 し た と 推 測 で き る 。 こ の 表 に は な い が 、 普 通 語 の
表 9 の 子 音 w の 10 の 漢 字 の 場 合 、「 外 」 以 外 、 漢 音 と 呉 音 が 全 部 同 じ で あ る 。 普 通 語 の [ w -]音 は 呉 語 で は 鼻 音 化 す る 傾 向 が あ る 。鼻 濁 音 か ら 現 在 の 日 本 語 の 濁 音 に 変 化 し た と 考 え ら れ る 。   表 10( 子 音 x の 漢 字 ) 11 字   漢 字   学   犠   戯 形   暁   下   現   弦   限   玄   郷   日 本 語   ガ

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