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流 れ
細胞診断学の楽しさを伝えられる研究室を目指して
齊尾 征直
1 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学 病理学との出会いと病理医として目指してきたこと 私は,岐阜大学医学部医学科在学中の2年生の時,教養 科目の単位をほとんどとってしまってやることがなかった ので,ホッケー部の先輩に誘われて病理学第二講座(尾島 昭次教授)に遊びに行ったことがきっかけで,「顕微鏡によ る形態観察の面白さと病理解剖で病理医が臨床医と堂々と 渡り合っている姿」に触れて病理学を勉強し始めました. ただし,その後の3年次の組織学実習も4年次の病理組織 学実習も自分にとっては頭痛の種で,組織像のスケッチは 大半が「B」でとても好きとは言えませんでした.そのため, 「こんなに絵を描くなら嫌だなあ」と思っていましたが, 業務では一切スケッチなどしていなかったので,「何とかな るだろう」と思い,高見 剛教授に代わってからの平成4 年4月に卒業後直に入局に至りました. 私は「病理学を総論的な視点から語ることのできる病理 の専門医になりたい」という思いから,全臓器の疾患を万 遍なく勉強してゆくことを医師になって以来心がけてまい りました.そのため,嫌いな診療分野は全くありません. 岐阜大学時代は解剖業務に励む一方で,外科病理領域の経 験領域には若干偏りがありましたが,琉球大学時代は病院 病理部の副部長としての立場もあり,あらゆる臓器を希少 例も含め深く広く経験してきました.また,ある有名な教 授が「大学病院に勤務しているのであれば,容易にコンサ ルテーションなどするな」とおっしゃっていたことを念頭 に,できる限り徹底して調べて,多くの同僚や診療科の先 生方と話し合い結論を出すよう心がけてまいりました. 細胞診断学の面白さ,特に核所見の面白さに魅せられ て 細胞診断学を本格的に究めたいと思ったきっかけは,核 所見の読みに興味を持ったからです.通常の病理組織標本 では感じることのできない核の立体的所見を読めるように なると,自分を支配していた細胞診への苦手意識が氷解し ていったことを今でもよく覚えています.それ以来基礎医 学で培った探究心から基礎医学的にも核の生物学に興味を 抱き,それがいつしか「核の生物学を究めたい」という気 持ちに結び付いてゆきました.核はどんな腫瘍にも共通で したので,私の目指している総論的な病理学の理解を深め るという目標にもかなっていました. 保健学科教育について 保健学科における教育では,先ずは積極的に病理学,細 胞診の面白さを検査科学専攻の学生の皆さんや大学院生の 皆さんに発信し,多くの学生に病理検査に携わる臨床検査 技師や細胞検査士への道を開くことができるように精一杯 努力してまいりたいと考えております.細胞検査士養成 コースや大学院教育の中での細胞検査士養成にも積極的に 文献情報 投稿履歴: 受付 平成29年12月4日 修正 平成29年12月5日 採択 平成29年12月7日 論文別刷請求先: 齊尾征直 〒371-8514 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査 科学 電話:027-220-8942 E-mail: [email protected]70 ─ ─ 細胞診の楽しさの分かる研究室を目指して 取り組んでまいりたいと存じます.また,検査科学専攻以 外にも看護学専攻,理学療法学専攻,作業療法学専攻の皆 さんにも病理学総論を授業する機会がございますので, Active learningの方法を様々工夫して病理学の面白さをお 伝えすることができればと思っており,バーチャルスライ ドの活用やMoodleの活用等を目指して,現在その準備に 入っているところです. 研究の展望 私の研究における専門分野は核の形状や性状の変化を解 析することです.岐阜大学在籍中は腫瘍内マクロファージ の動物モデルでの探求を行ってまいりましたが,琉球大学 に異動する時に病院病理部に移ったことで,研究テーマの 見直しをはかりました.琉球大学着任後は様々な研究を模 索しましたが,結果的に細胞診に役立つ研究を進めたいと いう気持ちから始めた核の解析が最も順調に進んだのは本 当に細胞診を究めたいという思いが強いからなのかもしれ ません.また,画像解析を丹念に行ってデータ化すること も私のデータの特徴の一つと言えると思います.1-3 群馬大 学では,診療に専従しているとなかなか集中して検討でき なかった核膜の形状や性状の分析,核小体の分析,細胞内 細胞現象の分析などを研究室の仲間や大学院生や学部学生 とともに積極的に手掛けてまいりたいと考えております. また,病理学における特殊染色の有用性や膠原線維の分布 の変化などを探求するために肺線維症や肝硬変症などにお ける線維化を画像解析で半定量的に分析して探ってまいり たいとも思い,準備を進めている段階です. 群馬大学におけるこれらの研究を成就させるためにも, 保健学科並びに医学科の諸先生方のご指導ご鞭撻が何より も重要と考えております.何卒ご指導のほど賜りたく心よ りお願い申し上げます. 参考文献
1.Kosuge N, Saio M, Matsumoto H, et al. Nuclear features of
infiltrating urothelial carcinoma are distinguished from low-grade noninvasive papillary urothelial carcinoma by image analysis. Oncol Lett 2017; 14: 2715-2722.
2.Kimura K, Ikoma A, Shibakawa M, et al. Safety, Tolerabil-ity, and Preliminary Efficacy of the Anti-Fibrotic Small Mol-ecule PRI-724, a CBP╱beta-Catenin Inhibitor, in Patients with Hepatitis C Virus-related Cirrhosis: A Single-Center,
Open-Label, Dose Escalation Phase 1 Trial. EBioMedicine
2017; 23: 79-87.
3.齊尾征直,小菅則豪,玉城智子ら.腫瘍核出術検体におい て部分肉腫化と診断したGnRH投与後の子宮平滑腫瘍の 一例.日本婦人科病理学会誌 2014; 5: 63-66.