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肺炎球菌感染防御における自然免疫リンパ球及びThl関連サイトカインの役割

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(1)

肺炎球菌感染防御における自然免疫リンパ球及び

Thl関連サイトカインの役割

著者

川上 和義

(2)

肺炎球菌感染防御における自然免疫リンパ球及びThl関連サイトカインの役割 (研究課題番号16590366) 平成16年度∼平成17年度 科学研究費補助金(基盤研究C)

研究成果報告書

平成18年3月

研究代表者 川 上 和 義

東北大学医学部 教授

(3)

はしがき 肺炎球菌は市中肺炎の原因細菌として最も重要であり,近年は薬剤耐性菌が 増加し臨床的に問題となっている。特に高齢者,乳幼児,脾摘患者,慢性心肺 疾患を有する患者では重症化し治療に難渋することも少なくない。このような ケースでは肺炎球菌に対するワクチンの接種が勧められており,積極的な予防 策が重要である。しかしながら現行のワクチンは,23価の英膜多糖体を含ん だもので胸腺非依存性抗原であることから,産生される抗体の多くがIgMに限 定され,ブースター効果が期待できず,2才未満の乳幼児には効果がみられな いなどの問題点を抱えている。高齢者肺炎や耳鼻科領域感染症,鼻咽頭へのコ ロ二ゼーションに対する予防効果もまだ十分とは言えない。一方,無毒化ジフ テリア毒素と爽膜多糖体を結合したコンジュゲートワクチンが米国で実用化さ れ2才未満の乳幼児で効果をあげているが,非ワクチン血清型の肺炎球菌感染 症の増加など新たな問題も生じている。このような背景からより効果的なワク チンの開発が望まれており,そのためには肺炎球菌に対する感染防御機構の理 解が重要になってきている。 われわれのグループでは,肺炎球菌感染に対する免疫防御機構におけるNKT 細胞,γ∂T細胞,B1−B細胞などの自然免疫リンパ球や,lL−12,lFN−Tなど のThl関連サイトカインの役割について解析し,その重要性を明らかにしつつ ある。本研究では,これまでの知見をさらに発展させ,より有効なワクチンを 開発するための分子的基盤を解明することを目的にしており,与えられた期間 内で肺炎球菌感染の急性期宿主応答における自然免疫リンパ球,Thl関連リン パ球,好中球を軸とするネットワーク機構についてより詳細な解析を実施した。 −1−

(4)

研 究 組 織 川上和義(東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻基礎検査学講座病原検査 学分野教授) 交 付 配 分 額

平成16年度

平成17年度

総計 研 究 発 表 直接経費 2,000 1,500 3,500 間接経費 0 0 (金額単位:千円) 合 計 2,000 1,500 3,500

(1) 学会誌等

原著論文 1)Yamamto,NリKawakami,K.,Kinjo,Y.,Miyagi,K・,Nakasone,C・,Uezu,K・, Kinjo,T.,andSaito,A,:EssentiaFroleforthep40subunitofinterleukin−lZ intheneutrophil一mediatedearryhostdefenseaga●nStPuLmonaryinfection withStreptococcuspneumoniae・MicrobesInfect・6‥1241−1249・2004・ 総 説 1)山本夏男,川上和義,斎藤 厚:細菌性肺炎の分子病態,内軋93:538− 542,2004. −2−

(5)

2日目上和義:呼吸器感染制御における自然免疫とリンパ球,呼吸と循環 53(4):369−376,2005. 3)仲松正司,川上和義:NKT細胞と呼吸器疾患:感染防御における役割と臨床 応用の可能性,分子呼吸器痺9(4):309−313,2005・ 4)仲宗根 九川上和義:肺炎球菌防御におけるγ∂T細胞とNKT細胞の役 割,鹿床免疫,44(3):321−323,2005・ (2) 口頭発表 l)Kawakami,K.:NKTcellsasaninte■rfacebetweeninfectionand

neutrophi1−mediated host protective response・The3rdIntemationa/ Workshop on NKT cells &CD7−mediated antigen presentation, HeronLsland,Australia,September,2004.

2)Nakamatsu,M,,Kawakami,K.,Kinjo,T・,Yamamoto,N・,Uezu,K・,Miyagi,

K.,Naka畠one,C.,Nakayama,T.,Taniguchi,M・,Saito,A・=RoleofVaIpha14+ NKT ceHsin the host defense to pneumococcalinfection=a POSSible

involvementoflFN1.777e3rdlntemational Workshop on NKTce/ls & CD7−mediated antigen presentation,Heronlsland,Australia, September,2004. 4)仲松正司,川上和義,仲宗根九山本夏男,中山俊憲,谷口 克,斎藤 厚: 好中球依存性肺炎球菌感染初期防御におけるiNKT細胞の役割=lFN一丁の関与・ 第34回β本免疫学会総会学術集会,札幌,12月,2004年・ 5)仲村 究,川上和義,仲宗根 力,山本夏男,仲松正司,宮城一也金城武 士,生田宏一,0,Brien,R.L.,斎藤 厚:肺炎球菌初期感染防御におけるγ6T 細胞の役軌第34回8本免疫学会総会学術集会,札幌,12月,2004年・ 6)宮皇明子,川上和義:肺炎球菌感染症 基礎領域,第80回記念シンポジウ ム「劇症型感染症:重症化へのメカニズムから治療・対応策まで」,第80回 日本感染症学会総会学術講演会,東京,4月,2006年・ 7)仲松正司,山本夏男,仲宗根九金城武士,比嘉 太,藤田次郎,川上和義: −3−

(6)

肺炎球菌感染初期防御におけるiNKT細胞とThlサイトカインを介した好中球 依存性感染防御機構の誘導.第80回日本感染症学会総会学術講演会,東京, 4月,2006年.

(3) 出 版 物

l)Kawakami,K.:Possibleimmunotherapy withinterleukin−18in intractableinfectious diseases.ln:lmmunomodulators as promislng therapeuticagentsagainstinfectiousdiseases(KawakamiK,StevensD, eds),ResearchSignpost.Trivandrum,PP・89−104,2004・ 2)Kinjo,Y.,Kawakami,K.:α−Galactosylceramide:NKT celトbased immunotherapyinintractableinfectiousdiseases・ln=lmmunomodulators aspromisingtherapeuticagentsagainstinfectiousdiseases(KawakamiK, StevensD,eds),ResearchSignpost,Trivandrum,PP・105−122,2004・ 3)Kawakami,K.:Lnnateimmunityinthelungstocryptococcalinfection・/n:

Fungallmmunology:From an organ perspective(Eds・Fidel,P・,●and

HaffnagIeG.B.),Springer,NewYork,PP・135−156,2005・ 4)川上和義:高齢者にみられる肺炎の特徴 基礎疾患‥COPD,糖尿病,他, (斎藤 厚編)「高齢者診療のツポ/肺炎」,日本医事新報社,P31−33,2004・ 5)川上和義,斎藤 厚:感染症に対する宿主の防御機構と反応,(小俣政男, 金澤一肌北原光夫,山口 徹編)「内科学」,医学書院,印刷中・ 研究成果による工業所有権の出願・特許状況 特になし −4−

(7)

研 究 成 果

(8)

1.肺炎球菌感染防御におけるThl関連サイトカインの役割 LL−12はマクロファージや樹状細胞から産生され、Thl細胞の分化およびIFN− γの産生、そして細胞性免疫の成立において必須のサイトカインである。この ことから、IL−12は本来結核菌やサルモネラ、レジオネラなどの細胞内増殖菌 に対する感染防御に重要な役割を担うと考えられている。本研究では、細胞外 増殖菌であり細胞性免疫よりもむしろ好中球に依存した感染防御機構によって 排除される肺炎球菌感染におけるIL−12およびIFN一γの役割について解析を行 った。=_−1Zp40KOマウスでは肺炎球菌による気道感染に対して極めて感受性 であり、野生型マウスに比べ早期に死亡し、感染5日後には肺において10万 倍もの生菌の残存が観察された。このようなlL1Zp40KOマウスにおける感染 防御能の低下はリコンビナント(「)lL−12を投与することで野生型マウスレベ ルにまで回復した。肺炎球菌感染防御には感染局所への好中球の集積が重要で あり、好中球性の炎症反応の誘導にはケモカインであるMIP−Z、そして好中球 と血管内皮細胞との接着に必要な接着分子の発現を増強するTNトαの産生が 重要である。lL−1Zp40KOマウスでは、肺炎球菌感染後の肺における好中球性 炎症が減弱し、MIP−2、TNFTα産生が低下しており、rlLlZを授与することで これらの反応が野生型マウスレベルにまで回復した。これらの結果に一致して・ invitroで肺内白血球を肺炎球菌で刺激した際にみられるMIP−2、TNF−α産生 もlL−2p40KOマウスで低下し、r.L−12を添加することでこれらの産生が完全 に回復した。一方、IL−12は強力なlFN−γ誘導サイトカインであり、そのこと と一致してルZp40KOマウス由来の肺内白血球では肺炎球菌刺激によるIFN− γ産生が低下しており、「−L−12添加により完全に回復がみられた。さらに、 rlL−12添加によって回復した肺炎球菌刺激tL−1Zp40KOマウス肺内白血球か らのMIP−2、TNF−α産生は抗IFN−γ中和抗体の投与によって有意に低下し・ lL1Zp40KOマウス由来肺内白血球の低下したMIP−2・TNF−α産生はrlFN−T の添加によって有意な増強が観察された。また、野生型マウスにおける肺炎球 菌感染防御と肺内における好中球の集積、そしてMIP−2、TNF−α産生は抗LFN− γ中和抗体を投与することで強く抑制された。以上のデータを総合して考える 一6−

(9)

と、肺炎球菌感染によって肺胞マクロファージから産生されたIL−12が何らか の細胞を活性化LIFN一丁産生を誘導し、肺胞マクロファージを含めた細胞から のMtP−2、TNトα産生を増強することで感染局所への好中球の集積を促進、そ して肺内での細菌の排除を高めているものと予想される。こうして、これまで 細胞性免疫を介した細胞内増殖菌の感染防御に重要と考えられてきたThl関連 サイトカイン(lL12、IFN−γ)が、細胞外増殖細菌である肺炎球菌に対する好 中球依存性感染防御においても重要な役割を担っていることが明らかになった。 Z.肺炎球菌感染防御におけるNKT細胞の役割 これまでに我々は、マウス肺炎球菌肺炎モデルを用いて感染防御における NKT細胞の役割について解析を行ってきたo C57Bl/6マウスの気管内に肺炎 球菌臨床分離株を感染させ、経時的に肺内のNKT細胞に割合について検討し た。NKl.1+TCRαβ+細胞(広義のNKT細胞)・そしてα−GalCerを結合した cDldテトラマー及び抗TCRαβ抗体の両者に反応する刑KT細胞は・感染3 ∼6時間までに肺内で僅かながら増加を示した0さらには、感染後の肺内にお ける刑KT細胞の増加はMCP−1遺伝子欠損(KO)マウスで強く抑制されてい たこと、そして感染局所においてMCP−1の産生が爪KT細胞の増加に先立って 観察されたことから、MCP−1が削KT細胞の肺内集軌こ重要な役割を担うケモ ヵィンであることが明らかになった。肺炎球菌感染防御における削KT細胞の 役割について調べるために、感染後の生存率及び肺内生菌数をJα18KOマウ スと野生型マウスの間で比較検討すると、生存率、菌数ともに欠損マウスにお いて著明な感染の悪化が観察された。好中球の肺内集積、及びTNトα、MIP−Z の肺内における産生についても同様な結果が得られ・刑KT細胞がこれらの好 中球に依存した肺炎球菌感染防御反応において極めて重要な細胞であると考え られた。 刑KT細胞は速やかに大量のtFN−γを産生することで強力な免疫調節作用を 示す。我々は、このような胴KT細胞の特徴に着目し、肺炎球菌感染での削KT 細胞の防御効果における肝N一Tの役割について解析を行った。最初に・肺炎球 ー7一

(10)

菌を感染させた」α18KOマウスにrtFN−γを授与し生存率、肺内生菌数、肺内 における好中球の浸潤、そしてMIP−2、TNトα産生への影響を検討したところ、 rlFN−γ投与によって野生型マウスと同程度にまでこれらのパラメーターが回復 を示した(図1A−D)。これらの結果は、肺炎球菌感染防御においてIFN−γがiNKT 細胞の下流で機能していることを示唆するものと考えられた。このことを確認 するために、iNKT細胞を約20%も含んでいる肝単核細胞(LMNC)をJα18KO マウスにトランスファーすることでその影響について解析を行った。野生型マ ウス由来のLMNCを」α18KOマウスにトランスファーしたところ、肺からの 細菌の排除、好中球の集積、そして・MIP−2、TNF−α産生が野生型マウスと同レ ベルにまで回復した。しかし、」α18KOマウス由来のLMNCを用いるとその ような効果はほとんどみられなかった(図2A−C)。さらに、」α18KOマウス へのLMNCトランスフ7−効果を野生型とIFN−γKOマウスとで比較検討した ところ、IFN−γKOマウス由来のLMNCでは肺からの細菌の排除、肺への好中 球の集積、MIP−2、TNトα産生の増強効果はまったく認められなかった(図3 A−C)。以上の結果から、刑KT細胞がIFN−Tを産生することで肺炎球菌感染防 御に作用している可能性が強く疑われた。次に、胴KT細胞を特異的に活性化 するα−gaLactosylceramide(α−GaICer)の肺炎球菌感染防御効果におけるIFN− Tの関与について検討を行った。野生型マウスにα−Ga−Cerを投与すると、肺 内からの肺炎球菌の排除、肺内への好中球の集積、そしてMlP−2、TNF−α産生 が有意に増強したが(図4A、B)、このマウスに抗IFN−γ抗体を投与するとα− GalCerの効果がほとんど失われた(図5A、B)。 以上の結果から、刑KT細胞は肝N−Tを産生するか、あるいは他の自然免疫 細胞からのIFN−γ産生を増強することで、好中球依存性の肺炎球菌感染防御に 重要な役割を担っていることが明らかになった。これらの結果は、現在論文投 稿中である。 3.肺炎球菌感染防御におけるγ∂T細胞の役割 γ∂T細胞はαβT細胞に比べ多様性に乏しい。また、αβT細胞がリンパ ー8−

(11)

節や牌臓といったリンパ組織に存在するのに対し、γ∂T細胞は非リンパ組織 の粘膜や上皮組織(腸管,扁桃,肺,乳房,子宮,膣)に存在する。これまで の研究でγ6T細胞は病原微生物により様々なサイトカイン(TNF−α、GM−CSF、 IFN−α、IFN−β、IFN−T、IL−2、lL4、IL−5、1L−10)を産生することが報告さ れている。感染防御におけるγ∂T細胞の役割は、病原微生物の種類や感染の 時期によって異なると報告されている。 我々は、肺炎球菌感染におけるγ∂T細胞の役割を検討するために、C57Bl/6 マウス肺炎球菌肺炎モデルを用いて、感染後の肺内におけるγ∂T細胞の動態 について解析を行った。未感染マウスでは肺内リンパ球中に僅か0・3%のγ∂ T細胞しか検出できなかったが、肺炎球菌感染3、6、12時間後にはそれぞれ 0.7%、1.1%、1.5%に増加していた(図6A)。γ∂T細胞の増加は比率のみ ならず実数でも観察された(図6B)。さらに、マウスの肺内で優位な割合で存 在している∨74+γ∂T細胞についても同様な解析を行ったところ、肺炎球菌 感染後経時的な∨γ4+γ∂T細胞の割合及び実数の増加が観察された(図7A、 B)。このことはRT−PCR法を用いてmRNAレベルでも確認された(図7C)。 これらの結果から、γ∂T細胞が肺炎球菌感染防御において何らかの役割を担 っている可能性が推察された。そこで、γ∂T細胞、VT4+γ∂T細胞を遺伝 的に欠損したC6KOマウス、TCRTVγ4KOマウスを用いてさらに解析を行っ た。C∂KOマウスでは肺炎球菌感染防御が有意に減弱していたが、それほど著 明ではなかった(図8A、B)。一方、TCR−VT4KOマウスは、野生型マウスに 比べ、生存期間が著明に短縮し、感染3日後の肺内生菌数は1万∼10万倍に まで増加していた(図9A、B)。また、好中球道走に重要なケモカインである MIP−2や炎症局所への好中球遊走に関与するTNF−αは感染後数時間の早期の 段階から、TCR−∨γ4KOマウスの肺で産生が低下していた。この結果に一致し て、好中球の肺への集積に有意な減少が認められた(図10A、B)。以上のこ とから、肺炎球菌感染において肺に多く分布しているVT4+γ∂T細胞が、感 染早期に感染局所でのMIP−ZやTNトαといったサイトカイン産生を高め、好 中球遊走を誘導することで感染防御において重要な役割を果たしている可能性 ー9−

(12)

が示唆された。これらの結果は、現在論文投稿中である。 4.肺炎球菌感染防御における Thl 関連サイトカイン、NKT細胞、γ6 T細胞の関連性 最後に、肺炎球菌感染の急性期防御反応における刑KT細胞とγ∂T細胞の 役割について図11にまとめて示した。これらの自然免疫リンパ球は、Thl反 応を増強することで好中球に依存した肺炎球菌感染防御応答を促進するものと 考えられる。このような知見は肺炎球菌感染症の発症病態の理解をより深める ものであり、より効果的なワクチン開発のための基盤的情報を提供するものと 期待される。今後さらに詳細な解析が必要である。 −10−

(13)

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(39)
(40)

TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/

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 ハ)塩基嗜好慣…自血球,淋巴球大より赤血球大に及

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

 肺臓は呼吸運動に関与する重要な臓器であるにも拘

ア詩が好きだから。イ表現のよさが 授業によってわかってくるから。ウ授