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算数文章題解決における図的表現の役割に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)算数文章題解決における図的表現の役割に関する研究 教科・領域教育学専攻. 自 然系 コ ース. M0 6 2 3 3 E 藤  井    淳  1.研究の日的. 現の有効性について述べた。.  算数の学習において苦手とするものの一つに,.  総合初等教育研究所が発表した「『計算の力』. 文章題の解決がある。算数文章題に関する研究. の習得に関する調査」の結果を見ると,同じ構. には様々な観点からのものが見られるが,その. 造の立式となる問題であっても,計算問題に比. 一つに,問題文に添えられる図や絵などの図的. べ文章題の正答率が明らかに低い。この結果は,. 表現が児童の問題解決過程に及ぼす影響に着目. 文章題の難しさを端的に示すものである。. するものがある。また,算数文章題の解決に際.  次に,中学校2年生に行われた文章題の調査. して,児童が自発的にかく図的表現に関する研. において,以下のことが述べられている。文章. 究も行われている。. 題を提示するときに,図を提示するグループと.  こうした研究の多くは,図的表現を提示する. 図なしのグループに分けると,正答率に違いが. こと,あるいは,適切な図的表現を児童がかけ. みられた。特に中位の生徒に関しては,図が提. ることが,算数文章題解決に有効であると主張. 示されたグループと比べ,図なしのグループの. している。しかしながら,その有効性の指摘は. 正答率は半分以下であった。また,小学校1・. 特殊な事例についてのものであり,様々な文章. 2年生を対象に行った調査において,「未習であ. 題一般について整理されたものではない。また,. る問題に対して,自分の考えを説明するように. 算数文章題の解決に際して適切な図的表現をか. たずねると,児童の多くは様々な図をかくこと. くことが大切であることが示されているが,児. で自力解決を果たした」と述べられている。こ. 童が図的表現をかけるようになるための指導法. れらの結果は,文章題の解決過程に図的表現が. についてまで言及している研究は,ほとんど見. 有効であることを示すものである。. られない。.  そこで本研究では,以下のことを研究の目的 とした。.  第2章では,本研究に関わる先行研究を概観 した。.  ・算数文章題解決における図的表現の果たす.  1節では,算数・数学の学習における図的表.   役割を明らかにする。. 現の種類と役割について概観した。図的表現に.  ・児童が算数文章題の解決に図的表現を活用. は,情景図,場面図,手続き図,構造図,概念.   できるようになるための指導法を提案す. 図,法則・関係図,グラフ図,図形図があるこ.   る。. とを述べた。さらに,図的表現の果たす3つの 役割として,以下の3点を述べた。. 2 論文の概要. ・現実的状況と学習内容との関連を図る. 第1章では,算数文章題の難しさと,図的表. ・問題解決の手がかり,方法を示す. 一378一.

(2)  ・児童のつまずきの場所に対して効果のある. ・学習内容を効果に示す.  2節では,児童に提示する図的表現について.   図的表現が提示されているか。. 概観した。.  次に,r図的表現を児童がかくことに関わる問.  文章題の数量関係をよみとる能力の低い児童. 題点」として,次の3点があげられる。. には,次の2つの困難点が指摘されている。.  ①児童がすすんで図をかくか。. ・文章題の数量関係を,抽象性の高い図的表現  に表すことに困難を感じる。.  ②児童が正しく図をかけるか。  ③児童が適切な図をかけるか。. ・文章題解決の際に有効な図的表現をかくこ   とができない。.  第4章では,児童が図的表現を活用できるた.  情景図と構造図の問に位置する「中間図」の. めの算数文章題指導について,前章で指摘した. 有効性を示す調査がある一方で,文章題解決の. r図的表現を児童がかくことに関わる問題点」. 際,児童にとってどの図的表現が最も有効であ. ①∼③に対する対処法を提案した。. るかは,提示する図的表現と問題構造・問題状.  1節では,①の対処法として,r児童に図的表. 況との関係によって左右されることが別の調査. 現のrよさ」を感じさせるための文章題」につ. により指摘されていることを述べた。. いて述べた。r図をかくことが文章題解決になる.  3節では,文章題解決の際に児童が図をかく. 問題」と,「図をかくことで誤りに気づくことが. ということに関して概観した。児童が図をかく. できる問題」という2つの観点から,それぞれ. ようになるためには,図をかくことの有用性に. 3題ずつ具体例をあげた。. 気づくことが重要である。また,児童がかく図.  2節では,②,③の対処法として,図的表現. には,問題の数量関係を把握した「数量関係図」. のかきかたの指導を提案した。まず②の対処法. と,そうではない「直結団」という2つの分類. として,テープ図の指導を例に,図的表現のか. があり,「直結団」から「数量関係図」へと発展. きかたを教えるだけでなく,図的表現の理解に. していくことが重要である。. 重点をおいた指導を提案した。次に③の対処法 として,r適切な図」を理解させるために,相殺.  第3章では,算数文章題解決における図的表. の考えを用いる問題を用いて,先に立式し,そ. 現の役割と問題点について述べた。. の考えかたをわかりやすく図に表すにはどうす.  1節では,文章題解決の4つの過程における. ればよいかを考える授業というかたちで,図的. 図的表現の役割について述べた。r変換過程」,. 表現を活用して問題を解くことの指導を提案し. 「統合過程」,「プラン化過程」,「実行過程」と. た。. いう文章題の4つの解決過程に即して,それぞ.  最後に,提案した指導への示唆をもとに,学. れの過程で有効に働くと考えられる図的表現の. 校現場において実践し,授業の分析をすること. 例をあげ,考察した。. により,さらに効果のある指導へと発展させて.  2節では,図的表現に関わる問題点について. いくことを,今後の課題として述べた。. 述べた。児童に提示する図的表現に関わる問題 点として,次の2点があげられる。  ・提示する図的表現の表現レベルを児童が理. 主任指導教員   崎谷眞也.   解できているか。. 指導教員  國岡高宏 一379一.

(3)

参照

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