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推論による社会認識を促す中学校社会科歴史的分野の学習材開発とその評価

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Academic year: 2021

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(1)推論による社会認識を促す中学校社会科歴史的分野の学習材開発とその評価 教育実践高度化専攻 授業実践リーダーコース. P09015D 石田 一樹. 1.問題の所在. 業を開発・実践し、その有効性を検証することで.  社会科の目標は、社会認識形成を通して市民的. ある。. 資質を育成することと捉えられている。岩田一彦.  推論を働かせるには規則、事例、結果、の3つ. によると市民的資質の中核は、合理的意志決定能. の要素の組み合わせが必要である。そこで、3つ. 力である。また、歴史的事象の理解=社会科の基. の要素を組み込んだ学習材を開発する。また、こ. 盤=価値判断の材料であり、価値判断すなわち合. の学習材を用い、規則(概念的知識)と事例(記. 理的意志決定には歴史認識が重要である。よって. 述的・分析的知識)をもとに結果(説明的知識). 歴史教育では、市民的資質の中核を担う合理的意. を導き出す展開の授業を実践する。そうすれば、. 志決定能力に生かすことのできる確かな歴史認識. 単なる暗記的な認識ではなく、推論という思考に. の形成が重要である。この歴史認識は、問いを持. 基づく認識を促すことができるだろう。. ち、検証していく思考のもと獲得されるのが望ま. 3 実践報告書の構成. しい。ただ事実を追うだけでは歴史の授業は単な. 序章. る暗記の時間になってしまい知識の定着や思考力. 第I章 社会科における推論. の育成は望めない。しかし授業で重要な役割を果. 第1I章 推論を促す学習材の開発. たす教科書の記述は、意図的に記述的知識・説明. 第皿章 学習指導案の開発. 的知識などそれぞれの働きを持つ知識が書き込ま. 第IV章 実験授業の記録. れているものの、それだけでは子どもが問いを持. 第V章 実験授業の成果と課題. ち、検証する思考を働かせることはできない。そ. 結論. こでそのような思考を促す学習材の開発やそれを. 4.研究の概要 (1)本研究で重視する推論の形. 有効に活用できる授業開発が大切になる。.  この歴史認識と思考との関係で着目したのが推.  本研究では概念探究型社会科の授業理論を軸に、. 論である。梅津正美によると、推論とはr事象と. 推論を促す手立てを考えていきたい。しかし、問. 事象の関係づけや時代の意味を解釈する思考力で. 題発見→仮説設定→検証の概念探究過程を構成す. あり、事象解釈及び時代解釈を導くことができる. るには、検証過程において帰納的推論が必要であ. もの」である。よって本研究では推論を促すこと. り、緻密な知識の構造化が必要である。授業時数. で、子ども自身が問いを持ち、検証する思考の中. も限られるなかで、このような概念探究型の授業. で歴史認識を深める授業の開発を行う。. を展開することは困難であると判断した。そこで、. 2.研究の目的と研究仮説. 検証過程に演繹的推論を活用することで知識の構. 本研究の目的は、推論を促す機能を有した中学. 造を捉えやすくする授業展開を考える。演繹的推. 校社会科歴史的分野の学習材及びそれを用いた授. 論では、帰納的推論のように類似の事例を集める. 皿34一.

(2) 必要はなく、規則、事例にあたる知識を一つずつ. た演線的推論による説明的知識(結果)の認識。. 設定することで検証が可能となる。授業で認識さ.  開発した学習材を用いた授業の、生徒による評. せたい説明的知識は一般性の高い概念的知識と、. 価は以下の通りである。現行教科書とのイメージ. 授業で扱う具体的事象とを結びつけた知識である. 比較では、特に大きな差の出た項目2「必要かつ. という特性をもとに規則と事例から演線的に推論. 十分な量の知識が示されている。」、項目6「授業. し、結果を認識させる展開である。よって本研究. 中に教科書をどう使うのかがわかりやすい。」をは. では、規則(概念的知識)と事例(記述的・分析. じめ8項目すべてで現行教科書を上回る高評価を. 的知識)をもとに結果(説明的知識)を導き出す. 得ることができ、概ね学習材の機能の有効性を証. という演繹的推論の形を重視する。. 明することができた。項目2が高く評価されたこ とや「資料によって理解しやすかった」「必要な資. (2)学習材の機能.  開発した学習材の機能は、①冒頭に規則(概念. 料が探しやすかった」などの自由記述から、本文. 的知識)にあたる社会のしくみを提示する。②こ. とアクティビティとのつながりの中で資料を重要. の規則をもとに事例(記述的・分析的知識)であ. な知識として認識させることができたと考えられ. る歴史的事象を’つひとつ捉えていく。③規則と. る点も大きな成果である。学習材高評価の理由か. 事例をもとに結果(説明的知識)を導き出すアク. らも、項目3r歴史の調べ方や資料の扱い方がよ. ティビティを提示する。④全体の記述には、アク. く理解できる。」は65.7%、項目4「考えながら. ティビティを解くのに必要な文章や資料を組み込. 歴史を理解することができる。」は63.9%の支持. む。⑤アクティビティを解くことで、規則と事例. を受けた。学習材の機能によって、考えながら歴. をもとに推論という思考を働かせ、結果(説明的. 史を理解できたと子どもに感じさせられたと考え. 知識)を認識できるようにする、というものであ. られ、推論による歴史認識を促すことができたと 評価できる。. る。. (3)今後の課題. 5 研究の成果と課題 (1)概念探究過程の実践可能性を高める推論の.  学習材の積極的高評価群とその他の2群に分け.   形の提案. た分析により、総合評価に影響を与えた要因は学.  演繹的推論を用いて知識の構造を捉えやすくす. 習材の活用の仕方が伝わらなかった点であること. る授業展開を考えた。この授業展開は、概念探究. がわかった。高評価群にも学習材の機能が伝わっ. 型社会科の実践可能性を高め、検証過程を充実さ. ていないため十分な学習効果が生まれなかった可. せることになるものである。. 能性がある。よって、よりわかりやすい構成や授 業での活用法の改善が課題である。また、子ども. (2)学習材の開発、それを用いた授業の実践と.   その評価. の社会認識レベルに課題が残る。これから教員と.  思考に基づく社会認識を促す手立てとして、演. して現場で実践を重ねていくなかで、授業による. 縄的推論を促す機能を持った学習材を開発した。. 社会認識のレベルを検証し、その改善策を考え、. そして、学習材を用いた授業を以下の展開で実践. 本研究で開発した学習材を用いた授業による社会. した。①社会のしくみ(規則)の概念的認識。②. 認識のレベルを高めていくことが課題である。. 学習課題を認識させるための情報の提示。③学習.            修学指導教員 増澤康男. 課題の認識。④その時代の事例認識。⑤社会のし.                   溝邊和成. くみ(規則)と認識した事象(事例)をもとにし.            指導教員   吉水裕他. 一35一.

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