幼保一体化に対する保育者の意識に関する研究 : 認定こども園に対する全国調査に基づいて
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(2) 布から、次の5つのタイプを設定し項目を分類し. と保育期間の拡大により、保育準備や職員がそろ. た。一致型、高同意型、中同意型、同意分散型、. っての会議がもちにくいことを感じていた。幼稚. 低同意型(計35項目)であった。項目について、. 園は短時間保育なので、子どもが全員いない時間. タイプ別に考察を行った。次に項目評定値につい. や期間がある園が多い。その中での会議や保育準. ての比較分析を行った。幼保一体化に対する保育. 備はスムーズであるが、そうでない一体化園では. 者の意識で、公立と私立の比較が一番顕著な違い. かなりの工夫を必要とするだろう。. が出た。公立の保育者は主として一体化園のデメ. 保育者の意識に関する因子分析を行った。四つ. リットを意識しており、私立の保育者はメリット. の因子が抽出された。「幼保一体化のメリット」、. を感じていた。なぜこうした結果が導かれたのだ. 「幼保一体化のデメリット」、『小学校等との連. ろうか。3つの理由を考えてみた。第1に、新築. 携」、「職員間の協同性」である。保育者の意識を. や改築等の園の施設の改善が、公立より私立で進. 最も説明する第一因子が、幼保一体化のメリット. んでいる可能性が考えられる。第2に、園長のリ. であったということに今後の展望が開けたよう. ーダーシップが、公立よりも私立で発揮されやす. に感じる。保育者の「職務への認識」については. いからではないだろうか。私立の園長は公立と違. 二つの因子が抽出された。r実践に対する自信」. って異動がなく、一貫した保育理念のもとでリー. と「専門職としての自覚」である。さらに保育者. ダーシップを発揮して、継続的に国運営を行うこ. の「職務への認識」が、幼保一体化のメリットに. とができる。私立ならではのぶれない国運営が、. ついての保育者の意識をどの程度説明できるか. 保育者がメリットを感じる背景にあるのではな. を検討するため、重回帰分析を行った。その結果、. いだろうか。第3に公立の保育者は、保育所また. r実践に対する自信」を有する保育者、r専門職. は幼稚園にいわばr本籍」があると感じているケ. としての自覚」を有する保育者は、幼保一体化の. ースが多いのではないか。人事異動という自分の. メリットを感じていることがわかった。また「実. 意思とは関係のない配置換えで認定こども園に. 践に対する自信」を有する保育者は、幼保一体化. 勤務しているので、以前の職場との比較でデメリ. のデメリットを感じにくいことがわかった。. ットを感じるのだろう。. 【総合考察】. 次に保育者の職歴に着目して比較を行った。保. アンケートをいろいろな角度から分析し、考察. 育士が幼稚園教諭を上回った項目は、保育時間や. をして見えてきたことを、これからは現場や研究. 保育期間の違いからくる子どもへのデメリット. 者、行政をも巻き込み検討していく必要がある。. や、施設の不整備の問題であった。一方、保育カ. 今後、就学前の子ども達は、所管が違うまま、. の向上や小学校との連携につながるメリットを. 保育所、幼稚園、認定こども園などの施設で過ご. 意識していた。一体化したことで従来の保育所よ. すこととなるだろう。子どもがどの就学目11施設に. りは、小学校との連携が進んだためではないだろ. 在籍しても、個々の二一ズに配慮した質の高い保. うか。逆に幼稚園教諭が保育士を上回った項目は、. 育が受けられ、職員間の同僚性のある園で楽しく. 子どもが親の就労の有無にかかわらず、同じ就学. 過ごすことができるようにしていきたい。また、. 前教育を受けることができることや、異年齢を経. そんな就学目11施設こそが、保育者にとってもやり. 験できるメリットを感じていた。幼稚園教論が未. がいと誇りを感じる職場になるのではないか。. 満児保育を経験できることをメリットとして意 識していることが立証されだといってもよい。保. 育士との協力によりメリットを活かしていくべ きだろう。デメリットとしては、保育時間の延長. 主任指導教員 樹11和章. 指導教員 石野秀明.
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