• 検索結果がありません。

社会における統計からみたワーク・ライフ・バランスについて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "社会における統計からみたワーク・ライフ・バランスについて"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

社会における統計からみたワーク・ライフ・バランスについて 岩間初音 IWAMA Hatsune 1. はじめに 筆者は、統計情報専門誌 iにおいて、統計データの利活用の推進と社会デザインについ て寄稿し、統計調査の結果から社会情勢を分析し考察することにより、多くの研究や課題 に利活用されていることを発表した。各省庁が公表する白書には統計データを基にした 図表が多く掲載され、日本の政策の立案には基幹統計調査をはじめとする様々な調査結 果が活用されている。その中で今回はワーク・ライフ・バランスについて分析し論ずる。 2. 統計からみたワーク・ライフ・バランス 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)とは、個人が生活の状況や希望に応じ たそれぞれの意思により、仕事と仕事以外の活動(子育て、介護、余暇、地域活動等)と の調和を図ることである。ワーク・ライフ・バランス実現のための国の施策として、2007 年12 月の憲章・行動指針策定後の施策の進捗や経済情勢の変化を踏まえ、国は新たな視 点や取組を盛りこみ、実現に向けて一層積極的に取り組む決意を表明している。 まず、海外の労働力率と長時間労働の割合から、 欧 米 諸 国 で は 男 性 と 女 性 の 労 働 力 率 の 曲 線 の 差 が 少ない傾向が予測され、特に労働力率の差が少ない ドイツ、フランス・スゥエーデンでは長時間労働の 割合も少ない数値である(表 1)。日本でも平成 24 年 に行われた就業構造基本調査の結果から、男性の長 時間労働が多い地域では女性の有業率が低く、女性 の労働力率をあげることで、労働力を補うことが可 能となり、長時間労働を減らすことが推定される。 また、厚生労働省「平成 27 年人口動態統計(確定 数)の概況」「平成 28 年人口動態統計月報年計(概数)・労働力調査・国勢調査結果他の データから、東京都の出生児の数と出産した母親の年齢の統計集計及び南関東の就労者の うち非正規就労者の割合の統計から仮説を立てる。 第 1 子出産前後に女性が就業を継続する割合も 最新の調査では約 5 割へと上昇した。特に、育児 休 業 を 取 得 し て 就 業 継 続 し た 女 性 の 割 合 は 昭 和 60~平成元年の 5.7%(第 1 子出産前有職者に占 める割合 9.2%)から 28.3%(同 39.2%)へと上 昇が予測される。女性の労働力の見直しの中、平 成27年に行われた「国勢調査(総務省)」と「人 口動態統計調査(総務省)」の結果から、日本の年 齢別の労働力率と女性の第一子出産率の結果から 以下の考察をする。女性の労働力率が男性に比べ て低く、図表の中の女性の労働力率は、結婚・出産・育児の時期から下がり、第一子の出 産から労働力率が下がり育児が終わる時期に労働力率の回復がみられる。全国的には女性 0 5 10 15 0 50 100 15 ~ 19 20 ~ 24 25 ~ 29 30 ~ 34 35 ~ 39 40 ~ 44 45 ~ 49 50 ~ 54 55 ~ 69 60 ~ 64 65 ~ 69 70 ~ 74 75 ~ 79 平成27年年齢別労働力率と第一子出産率 男性(国) 女性(国) % 一 子 出 産 年 齢 労 働 力 率 参考:総務省「27年国勢調査」と「27年人口動態調 男 女 差 平均 男 女 日本 70.3 49.6 20.7 20.8 29.5 9.5 アメリカ 69.1 56.7 12.4 16.4 - -カナダ 70.6 61.2 9.4 12.0 16.7 6.8 ドイツ 65.9 54.7 11.2 9.6 14.4 4.4 フランス 60.9 51.6 9.3 10.1 14.1 5.8 スゥエーデン 74.4 69.5 4.9 7.3 10.1 4.2 香港 68.8 54.9 13.9 30.1 29.6 30.6 韓国 73.8 51.8 22 32.0 37.6 24.5 注1 :アメリカの労働力率集計は16歳から 注2 :長時間労働は週49時間以上働いている人の割合 参考:労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2016』より 長時間労働の割合(就業者) 労働力率(%)   労働力率と長時間労働の割合(2015年)       表1

(2)

は子育てが終わる時期に労働に復帰する傾向がみられる。このように、固定的役割分担の 考え方は人々の潜在意識の中にいまだに残っており、性別に関わりなく個性と能力を発揮 できるよう意識啓発を進める必要がある。 南 関 東 の 就 労 者 の う ち 非 正 規 就 労 者 の 割合 をグラフにし、30 代半ばから女性就業者の非 正 規の 割 合 が 高 く、 離 職 し た女 性 が 仕 事 への 復 帰や 新 た に 正 規職 員 の 機 会が 見 つ け に くい ことが伺える。「就業構造基本調査」により、 介護・看護を理由とする離職・転職者のグラフ で、女性の離職・転職の割合が男性よりも高く な って お り 、 性 別に よ る 固 定的 役 割 分 担 の意 識 によ る も の と 推測 さ れ る 。自 分 ら し い 生き 方を選択でき、仕事と子育てや介護、地域活動 等が両立できる社会を実現することは、個人の生活を豊かにし、地域社会の活力化にも有 効だと考えられる。 3. 共働きの出生率への影響は考えにくい 総務省統計局「就業構造基本調査」・厚労省の「人 口動態統計」のデータから日本海側に夫婦共働きが 多く大都市圏で少なく、夫婦共働きは全国平等化が 進んでおり、共働きの出生率への影響は考えにくい ことが推測できる。全国的な時系列変化としては、 共 働 き 夫 婦 が 増 加 す る 傾 向 と 出 生 率 の 低 下 傾 向 が 同時並行的に進んできたことから、双方の間には深 い関係があると思われているが、少なくとも近年の 都道府県別の動きから推測する限りにおいては、共 働きによって出生率が下がる影響は認めにくい。また、以前は共働きしながら大人数の子 供を育てるのは困難であるため出生率の低下に結びつく面もあったが、今では少人数の子 供でも共働きしないとしかるべき教育を受けさせる所得を維持するのが難しいという事情 が働き、むしろ共働きには出生率を上昇させる側面があるのではないかと推測できる。 4. まとめ 今後は、男性の育児休業制度の充実、女性の雇用促進、雇用への年齢制限の緩和など、 男女ともにワーク・ライフ・バランスの環境づくりが大切であり、仕事と子育てや介護、 地域活動などを両立し、活力ある地域社会の実現をめざし男女ともにたがに尊重しあうこ とのできる社会環境づくりを目指す必要がある。このようにワーク・ライフ・バランスを 取り巻く課題は多岐にわたっており、多方面の統計を活用し、総合的に問題を洗い出し、 解決に向けて施策を講じていくことが重要だと考える。 i岩間 初 音『 統 計専 門 誌「ESTRELA」』2019 年「地方自治体における統計データの利活用の推進と社会デザイン」

参照

関連したドキュメント

ヨーロッパにおいても、似たような生者と死者との関係ぱみられる。中世農村社会における祭り

河野 (1999) では、調査日時、アナウンサーの氏名、性別、•

紀陽インターネット FB へのログイン時の認証方式としてご導入いただいている「電子証明書」の新規

お客さまが発電設備を当社系統に連系(Ⅱ発電設備(特別高圧) ,Ⅲ発電設備(高圧) , Ⅳ発電設備(低圧)

さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,

令和元年11月16日 区政モニター会議 北区

社会調査論 調査企画演習 調査統計演習 フィールドワーク演習 統計解析演習A~C 社会統計学Ⅰ 社会統計学Ⅱ 社会統計学Ⅲ.

[r]