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自走する粒子系としての細胞や生物集団のふるまい

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Academic year: 2021

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自走する粒子系としての細胞や生物集団のふるまい

混雑した駅の通路や交差点を歩いているうちに,行き交 う人の流れに自然と「レーン」が形成されていることに気 づくことがある.こうしたヒトの群集に限らず,動物の群 れや微生物の集団を観察してみると,なにかに命令される ことなく,運動の様子や配置・配列に,ある種のパターン や構造が自発的に現れる例がいくつも見つかる(写真左は バクテリア(枯草菌)が集団運動している様子). 互いに影響し合いながら運動する同種の粒子や要素が呈 する巨視的なふるまいを知り,その背後にある数理的な共 通性や差異を明らかにするのは,統計物理の重要なテーマ の 1 つである.細胞や動物,人工的な移動物体である自動 車など,自ら運動する粒子や物体を「同種の粒子」とみな し,自己駆動粒子系やアクティブマターとよんで,その多 体的・統計的なふるまいを明らかにしようという試みが広 がっている.自己駆動粒子系は複雑でその例は多岐にわた るため,それらをすっきりと分類することは難しい.一般 に,粒子自体が異方的で,エネルギー散逸と注入をともな い,粒子間の実効的な相互作用に作用・反作用の法則が成 り立たない.また,局所的なゆらぎが緩和せず系全体にお よび,疎密や対流,渦などが自己組織される(写真右は竜 巻状の鳥(ムクドリ)の渦巻き)などの点において,アク ティブではない粒子の系とはふるまいが大きく異なる. ゆらぎをともないながら自走する粒子を単純化した数理 モデルとして,ビチェックモデル(Vicsek model)がよく調 べられている.周囲と進行方向をそろえようとする効果と ゆらぎとの競合によって,運動方向の秩序が不連続的に相 転移することが知られている.はじめはランダムに歩行し ていた昆虫の集団が,ある密度をこえると 1 方向に行進を はじめる現象などが,このモデルでよく説明できるという 報告もある.こうした研究によって,生物や人工物の「群 れ」の数理的な理解が進みつつある. 早川美徳(東北大教情セ),会誌編集委員会 ©2016  日本物理学会

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