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「光学(基礎と応用)」 宮本健郎 著

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Academic year: 2021

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 現代の情報社会は,先人が創り上げた光応用技術の上に 成り立っているといっても過言ではないであろう.これら の応用技術は,分光器,干渉計,光学素子などを用いた光 学械器などにより発展し,1960 年代のレーザー発振以来, ホログラフィー,光通信,光集積回路などの新しい分野が 創出され,融合と細分化を繰り返し,コンピューターの進 化と相まって飛躍的に進展した.  本書はこれらの光応用技術を,その基礎から応用にわ たって簡潔にわかりやすく,横断的な視点から執筆された ものであり,多岐にわたるこの分野を俯瞰できる一冊で ある.  一方,昨今の大学生は,入学後に基礎物理などで光学に 触れ,その後,学部・大学院にかけて,電磁波工学,光エ レクトロニクス,光通信などを受講すると思われるが,概 して数式をフォローし,新しい概念を受け入れることに終 始しているようである.個々の事項およびそれらの相互関 係を理解し,全体の技術体系を俯瞰することは,新たな可 能性・新展開を探る意味でも大変重要である.  本書では,光の二重性に関わる歴史的な経緯から相対論 に触れ,波動・幾何光学の基礎,結像理論,導波理論,非 線形光学,結晶光学,光エレクトロニクスなどをカバー し,限られた紙面で基礎的内容の記述と新しい技術内容と そのつながりを見事に浮き彫りにしている.以下,各章を 概観する.  第 1 章では,ガリレイ・ガリレオの時代から光の二重性 の議論に至る歴史的経緯,さらに光子の本質的な側面のひ とつである不確定性原理について簡潔に述べられている. さらには,レート方程式を用いてレーザー発振の基礎とな る自然放出,誘導放出の現象や反転分布,光増幅の概念を 式の導出に基づいて平易に述べ,さらに光と相対論では, 運動している座標系でのマクスウェル方程式の不変性など に触れている.  第 2 章では,波動光学に基づき,光の伝搬に関する基本 的な現象である屈折,反射,回折,干渉について述べられ ている.特に干渉に関しては,可干渉距離とスペクトル幅 の関係,干渉分光法の原理とその波長分解能,結像系の分 解能などについて詳細に記述され,各種分光器も紹介され ており,実用的でもある.  第 3 章では,幾何光学に基づき,短い波長を仮定して, 位相が一定となる波面の概念が導入されている.フェル マーの原理や幾何光学における特性関数が平易に導かれて いる.光線追跡法による設計法や結像・収差の評価方法に ついて述べ,顕微鏡,超マイクロ縮写レンズなどの光学系 の例を紹介している.  第 4 章では,波動光学的結像理論がまず述べられ,伝達 関数の概念を導入し,結像系の点像強度分布,空間周波数 特性による評価方法が記述されており,位相差顕微鏡を例 に挙げて,瞳における像の改質が説明されている.さら に,ホログラフィーの原理,周辺回折波による解析,電波 望遠鏡の像合成の仕組み,スダレコリメーターによる X 線 像の構成が説明されている.  第 5 章では,レーザーにより発展した光エレクトロニク ス分野の記述である.まず,レーザー共振器の基本構成と モードの概念を述べ,モード同期による極短パルス光発生 の原理,自由電子レーザーによる極短波長光の発生原理, 光ファイバーの導波機構,光通信における長距離大容量の 伝送技術や多くの可能性を秘めた光集積回路について簡潔 に説明されている.さらに,非線形光学の分野では,短波 長光源として有力な二次高調波発生法,光デバイスとして 重要な音響光学効果を用いた光周波数シフターや光偏向器 などの原理について述べられている.  第 6 章においては,スカラーの波動方程式では説明でき ない現象や光学素子について述べられている.まず,多層 膜や反射防止膜の原理,光集積回路で重要な光導波路の結 合機構,次に結晶媒質中の光伝搬や光デバイスへの応用な どを簡潔に述べている.  光学のエッセンスとなる基礎の部分から広範な光応用技 術の分野を,筆者の長い研究経験に基づいた横断的な視点 から,個々の技術の基礎はもちろん,相互のつながりがわ かるように,限られた紙面で簡潔に記述されたのが本書で ある.ページを進める際,思いついたときに自由に各章に 飛んで新しい概念や関連性への理解を深め,光応用技術の 全体像を踏み固めていけるのが本書の大きな特徴である. 光に魅力を感じる大学院生や企業の若い方々に,お勧めし たい一冊である. (山形大学 佐藤 学) 574(46) 光  学

書 評

光学(基礎と応用)

宮 本 健 郎  著

サイエンス・カルチャー出版,2012 年(ISBN 978-4-9900839-5-3)

参照

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