Kobe Shoin Women’s University Repository
Title 対人コミュニケーション教育についての一考察 : その視点
および学習内容
Author(s) 中村 安治(Yasuji Nakamura)
Citation 研究紀要(SHOIN REVIEW),第 36 号:25-44
Issue Date 1995
Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文
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対 人 コ ミュニ ケ ー シ ョン教 育 に つ い て の 一 考 察
一 その視 点 お よび学 習 内容 一
中
村
安
治
は じめ に "コ ミュニ ケ ー シ ョン"は 、 端 的 に い えば 、"情 報 が 流 れ る プ ロセ ス"で あ り、 情 報 化 社 会 の 到 来 は必 然 的 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン教 育 の 必 要 性 を増 大 させ て い る。 さ ら に、 一 面 、 情 報 化 は 人 の 心 の ふ れ 合 い の 機 会 を少 な くす るの で 、 人が 豊 か に 生 きる た め の 対 人技 能 教 育 と して の コ ミュニ ケ ー シ ョン教 育 の 必 要 性 も 増 大 して い る。 ま た、 国際 化 は 、 経 済 面 や 文 化 面 を含 む 社 会 と社 会 、 人 と人 の 相 互 理 解 を基 本 とす る もの で あ り、 コ ミュニ ケ ー シ ョン が 共 通 理 解 へ の プ ロ セ ス で あ る こ とか ら、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン研 究 の 必 要 性 も増 大 し て い る。 こ の よ うに、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン につ い て の 研 究 と教 育 の 重 要 性 が増 大 して い るに もか か わ らず 、 コ ミュニ ケ ー シ ョン の 意 義 と と ら え方 お よ び 研 究 領 域 が きわ め て 多種 多様 で あ る た め に 、 コ ミュニ ケ ー シ ョン教 育 につ い て は 、 その 視 点 、 学 習 内容 や 構 造 が 、 まだ 十 分 に整 理 さ れ て い な い の が 現 状 で あ ろ う。 本 稿 で は、 まず 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 概 念 につ い て 整 理 し、 そ の 研 究 の 現 況 を概 観 した うえ で 、 対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン教 育 の 視 点 な ら び に 学 習 内 容 と 構 造 に つ い て考 察 し、 一 つ の 体 系 的 な枠 組 み を提 起 した い。 1.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 概 念 の 多 様 性 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 定 義 は 、研 究 の 対 象 や 方 法 に よ っ て 多 様 で あ り 、126種 くい に 及 ぶ との 説 もあ り、 そ の 概 念 を一 つ の 定 義 で 表 現 す る こ とは お そ ら く不 可 能に 近 い と思 わ れ る 。 ま た 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン研 究 は 、 学 問 的 に も、 き わ め て 学 際 的 で あ り、社 会 学 、 心理 学 、 言語 学 、 生 物 学 、 文 化 人類 学 、 経 営 学 、 教 育 学 、 情 報 科 学 な ど 人文 科 学 や 社 会科 学 、 自然科 学 の ほ とん どの分 野 に わ た っ て い る とされ る。 2.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 研 究 の 多 様 性 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 ま ず シ ス テ ム 的 に は 、 機 械 を 主 体 と し た コ ミ ュ ニ ケ く ラ ー シ ョ ン と 人 間 を 含 む 生 物 体 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の2つ に 分 け ら れ る が 、 本 稿 で 取 り扱 う の は 、 後 者 で あ る 。 ね ラ コ ミュニ ケ ー シ ョン研 究 の 包 括 的 な枠 組 み は 、次 の2つ とす る考 え方 が あ る。 1.記 号 作 用 も し くは 意 味 過 程 と して の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン研 究 2.人 間 関係 も し くは社 会 関 係 と して の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン研 究 2.の 中 に は 、 次 の3つ の分 野 が 含 ま れ る と され て い る。 ① 社 会 的 行 動 の 基 本 型 と して の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン研 究 ② 集 団 過 程 と して の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン研 究 ③ 社 会 関 係 の調 整 手 段 と して の コ ミュニ ケ ー シ ョ ン研 究(説 得 と効 果 の 研 究) こ の 枠 組 み に従 えば 、 コ ミュ ニ ケー シ ョン研 究 は 、 言 語 学 や 意 味 論 の研 究 か ら、社 会 的(個 人 レベ ル 、 組 織 レベ ル 、 国 家 レベ ル 〉、 文 化 的 、 心 理 的 研 究 に及 ぶ きわ め て 広 い領 域 を含 む こ とに な る。 また 、 コ ミュ ニ ケー シ ョンの 研 究 領 域 に つ い て分 類 した もの に次 の よ うな も エわ の が あ る 。 1 9 自 nj 4 e O ρ 0 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 理 論 対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 小 集 団 ・組 織 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン レ ト リカ ル ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 異 文 化 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
7.そ の 他 の 領 域 くらラ こ の う ち 「そ の 他 の 領 域 」 は 、 次 の 分 野 を 含 む と さ れ て い る 。 ① 言 語 ・非 言 語 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ② コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 ③ 国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ④ 説 得 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ⑤ 家 族 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ⑥ 医 療 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ⑦ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 思 想 史 こ こ で は 、 本 稿 の 内 容 に 関 係 が あ る と 考 え ら れ る 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン (2.)お よ び コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 、 説 得 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン(7.の ② と ④) に つ い て 略 述 す る。 「対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 と は 、 「2人 をべ 一 ス と し て 、 対 面 し て 行 う 言 語 お よ び 非 言 語 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 と い わ れ 、 人 の 出 会 い か ら 人 間 関 係 の 成 立 、 維 持 、 進 展 、 印 象 形 成 な ど を 研 究 の 対 象 と す る 。 「対 人 関 係 」な る 言 葉 が 、 「性 質 、 状 態 を 表 し 、 い くぶ ん 静 的 な(static)感 じ を 与 え る 」 の に 反 し 、 「対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」は 、「そ の よ う な 関 係 に 対 し て 影 響 を 与 え る 諸 要 因 、 関 係 者 間 相 互 の 動 的 な(dynamic)過 程 を取 り扱 う領 域 を 表 す 用 語 」 と い わ れ て い る 。 な お 、 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と 区 別 し て 、 「個 人 内 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」と い う 言 葉 も 使 わ れ る が 、 個 人 内 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に は 、 自 己 概 念 、 自 己 開 示 、 く ラ 知 覚 や 認 知 作 用 お よ び パ ー ソ ナ リ テ ィ 特 性 の 研 究 な ど が 含 ま れ る 。 次 に 、 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 」と は 、 ス ピー チ 、 会 議 、デ ィ ス カ ッ シ ョ ン 、 ごリ デ ィ ベ ー トな ど 実 践 的 な 側 面 の 研 究 で あ る 。 「説 得 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 は 、 「ア メ リ カ の 大 学 で は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 科 の 中 の1つ の 重 要 な 科 目 」で あ り 、 「行 動 科 学 的 ア プ ロ ー チ の 面 か ら 関 心 は ての 強 く、 人 の 動 機 、 態 度 変 容 に か か わ る重 要 な領 域 」 で あ る と され て い る 。 ま た 、 研 究 の プ ロセ ス に つ い て は 、 他 の 諸 科 学 と同 じ よ う に、 次 の 図 式 に 示 さ れ る よ うな科 学 的 手 法 に よ る理 論 構 成 が行 わ れ て い る 。
く ラ 図1コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 研 究 の 手 続 き 段 階 研 究 課 題 の概 念 化 → ↑ 研 究 の計 画 と準 備 調 査 ・観察 ・ 実 験 等 の実 施 結果の分 析 と解釈 → 原 則 の発 見 ・ 理 論構 築 」 3.日 本 に お け る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 研 究 の 傾 向 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 す る 図 書 は 、増 加 し た と は い え 、「事 実 多 く の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 関 係 の 書 籍 は い わ ゆ るhowtoも の や 、 軽 い 内 容 の 一 般 書 で あ り、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 し て 書 か れ た 専 門 書 の 数 は 、決 し て 多 い と は い え な い 」 と さ れ 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 専 門 書 の 取 り扱 う 領 域 で29.0%が マ ス ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 領 域 で あ り 、 指 摘 し た い 点 と し て 、 「個 人 内 、 対 人 、 言 語 ・非 言 語 、 小 集 団 、 説 得 、 組 織 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン と い っ た パ ー ソ ナ ル な レベ ル で の く の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン に つ い て 述 べ ら れ て い る も の が 非 常 に 少 な い 」 と い う 。 ま た 、NHK放 送 研 修 セ ン タ ー 日本 語 セ ン タ ー の 「企 業 活 動 と言 葉 」 に つ い て の ア ン ケ ー ト(一 部 上 場 企 業298社)に よ れ ば 、 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 円 滑 に 進 め る た め に 方 策 を 講 じて い る か 」 の 設 問 に 対 し 、 解 答 数 の45%が 「特 に し て い な い 」結 果 と な っ て い る。 そ の 他 に は 、 「持 ち 回 りの ス ピ ー チ 」(22%)、 「外 部 講 師 に よ る教 育 」(13%)、 「デ ィ ベ ー ト」(4%)、 「そ の 他(OJTな ど)」(15 てロ ラ %)と 続 い て い る 。 こ の よ う に 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 必 要 性 と体 系 的 な 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 現 況 と の 間 に は 、 相 当 の 隔 た りが あ る よ う に 考 え ら れ る 。 従 っ て 、 以 下 、 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 総 合 的 、 か つ 体 系 的 な 枠 組 み を 考 え た い 。 枠 組 み を構 成 す る た め に は 、ま ず コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン教 育 の 目 的 を 明 確 に し、 次 い で 視 点 を 明 確 に し た 上 で 、 何 を(教 育 内 容)、 ど う(教 育 方 法)教 育 す る か を 考 察 し な け れ ば な ら な い 。
4.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 目 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 目的 は 、"コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力"を 啓 発 、 向 上 さ せ る こ と で あ る 。 とす れ ば 、"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 本 質"は 何 か 、そ し て"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力"を ど う と ら え る か が ま ず 問 題 と な ろ う 。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 本 質 人 間 が 人 間 関 係 の 中 に お い て の み 生 存 し得 る と い う こ とは 、 人 間 が 生 き る た め に は 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 不 可 欠 の も の で あ る と い う こ と と 同 意 義 で あ る 。 人 間 は 、 日常 、 自 分 の 意 思 、 感 情 、 情 報 を他 人 に 伝 達 し た り、 態 度 変 容 の た め に 他 人 を説 得 し た り し な が ら、 人 間 関 係 を 作 り維 持 発 展 さ せ て い く。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 目 的 、 機 能 、 態 様 は き わ め て 多 様 で あ る が 、W.Schrummの 「コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン と い う 言 葉 は ラ テ ン 語 のcommunisか ら き て い る 。 我 々 の 間 で の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン と は 、 我 々 人 間 に"共 通 性commonness"を 成 立 させ よ う とす る 、 つ ま り、 情 報 、 思 想 、 あ る い は 態 度 を 共 有 し よ う と す る 試 み で あ エユ コ る」 とい う言 葉 に もあ る よ うに 、 情 報 や 思 想 な ど の メ ッセ ー ジが 一 方通 行 で な く、 相 互 通 行 に よ っ て 、 共 通 理 解 や 共 感 に 至 るプ ロ セ ス で あ り、 人 の 心 の ふ れ 合 い の た め の プ ロ セ ス で あ る。 こ こ で"ふ れ合 い"と は 、 「一 つ の 内的 世 界 を分 か ち合 う こ とで あ る。 お 互 い に ふ だ ん は他 人 に開 か な い感 情 の世 界 、価 値 観 の 世 界 、 事 実 の 世 界 を シ ェ ア し合 う(13ヒ と と 考 え た い 。 こ の 意 味 で 、 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お い て 、 双 方 向 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 示 す も の と し て 、 次 の よ う な 、RogersとKincaidに よ る 「収 束 モ デ ル 」が 適 当 と考 え ら れ る 。
く の 図2コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 収 束 モ デ ル コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 こ の よ う に、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 と は、 伝 え た い こ と を記 号 化 し(言 語 な らび に 非 言 語 の 両 面)、適 切 な文 脈 に お い て表 出 し、ま た相 手 の 発 す る 記 号 を 解 読 し、 フ ィー ドバ ッ クす る こ と一 こ の 繰 り返 し、 循 環 に よ っ て 、 共 通 理 解 や 共 感 を生 み 出 す 能 力 と考 え られ る。 こ の よ うな コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 を もつ こ とに よ っ て 、 い ろ い ろ な 人 間 関 係 の 状 況 の も と で、 相 手 と良好 な 人 間 関 係 を 維 持 、改 善 、発 展 させ る こ とが で きる 。「対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン に お い て 、わ た くし た ち が 自分 の め ざす 目標 を達 成 し、 か つ 相 手 との 人 間 関係 を 維持 、 発 展 ロ ラ さ せ て い く た め に 必 要 な 知 識 と そ れ を 実 践 に 移 す 能 力 」 を"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・コ ン ピ テ ン ス"と 考 え れ ば 、 こ こ で い う"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力"は"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・コ ン ピ テ ン ス"と い う表 現 が む し ろ 妥 当 で あ ろ う。"コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・コ ン ピ テ ン ス"は 、 ヒMotivation"更 更Knowledge"そ し でSkil1"
く ピコ の3つ の 変 数 が 基 礎 と な っ て い る と も い わ れ る 。 従 っ て 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 は 、 「ス キ ル 」 だ け で な く 、 「知 識 」 な ら び に 「動 機 づ け 」 と い っ た 心 理 的 な も の を 含 む 広 い 範 囲 の も の で あ る と 考 え た い 。 5.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の2つ の 側 面 と そ の 精 神 的 基 盤 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 を 、 前 述 の よ う に 考 え れ ば 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 は 、 「相 手 理 解 」 と 「自 己 表 現 」 の 両 面 か ら な り 、 そ の い ず れ が 欠 け て も成 立
し な い 。 こ の 両 者 を 統 合 し た も の が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 で あ る 。 次 に は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 進 め るMotivationと な る 精 神 的 な 基 盤 が 必 要 で あ ろ う 。 「心 が 変 わ れ ば 行 動 が 変 わ る 」と い わ れ る 。 精 神 的 よ り ど こ ろ が 確 立 し、 こ れ を 基 盤 と し て 「相 手 理 解 」 と 「自 己 表 現 」 が 行 わ れ た と き に 初 め て 共 通 理 解 、 心 の ふ れ 合 い が 可 能 と な る で あ ろ う。 筆 者 は 、 こ の 精 神 的 基 盤 を"コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ド"と 名 づ け た い 。 6.対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 視 点 以 上 、 説 明 して きた こ とか ら、 コ ミュニ ケ ー シ ョン教 育 の 視 点 につ い て は 、 次 の2つ を取 り上 げ た い。 1.心 の ふ れ合 い の た め の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン教 育 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン は 、 単 な る情 報 や 知 識 の 共 有 す な わ ち共 通 理 解 だ け で な く、 人 間 の 持 つ もっ と奥 深 い 心 と心 の ふ れ合 い で あ る。 これ は、 対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン を心 の ふ れ合 い を求 め る真 に 人 間 ら し い 人 間 の 営 み で あ る とす る視 点 で あ る。 「人 は 、 心 で 動 く」と い わ れ る。 態 度 変 容 も説 得 も相 手 の 心 にふ れ て 初 め て 成功 す る。 マ ズ ロー の"欲 求 五 段 階 説"に お け る"帰 属 の 欲 求" 、"自 尊 の欲 求"な ど 社 会 的 な欲 求 は、 人 間 が 社 会 の 中 で 人 間 ら しい生 き方 を す るた め の 基 本 的 な 欲 求 で あ るが 、対 人 コ ミュ ニ ケー シ ョ ン に よ っ て 心 の ふ れ合 い が で きた と き、 この 欲 求 が 充 足 さ れ 、 人 間 と して の 存 在 感 、 生 きが い ま た は 幸福 感 を 味 わ う くユの こ と が で き る と 思 わ れ る 。 私 た ち は 、 よ り よ く人 生 を 生 き る た め に 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 身 に つ け な け れ ば な ら な い 。 情 報 化 が 高 度 に 進 行 す れ ば す る ほ ど 、 こ の 教 育 の 必 要 性 は 高 ま る と考 え ら れ る 。 2.実 践 的 な 表 現 能 力 向 上 の た め の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 "コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン"な る 言 葉 は 、 日本 語 で は 、 通 常 、 「伝 達 、 意 思 疎 通 」 な ど と訳 さ れ る が 、"コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力"に 適 合 す る 訳 語 は 見 あ た ら な
い よ う に 思 わ れ る 。 こ こ で は 、"コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力"を 「表 現 力 」 と考 え た い 。 な ぜ な ら 「表 現 」 と は 、 一 般 に 、 「文 字 、 音 声 を 媒 体 と し て 、 心 理 的 ぐユ の 内容 を享 受 者 の 理 解 の 対 象 とな る よ う客 観 化 す る こ と」 と定義 さ れ て い るか らで あ る。 筆 者 は 、 さ らに具 体 的 に 「表現 力 」 を次 の よ う に定 義 した い 一 「一 方 的 な 自己主 張 で は な く、 まず 相 手 を理 解 し、 そ の 上 に立 っ て 、 相 手 に分 か る よ うに筋 道 を た て 、 言葉 だ けで な く、 非 言 語 的 手 段 も存 分 に 駆 使 し て 、 自分 の 考 え を相 手 に正 し く伝 え、 相 手 を納 得 させ 、 共 感 を与 え る こ とに よ り、 人 間 関 係 を維 持 、 改 善 、 発 展 させ う る能 力 」 こ の 定 義 か ら、 わ れ われ 日本 人 の 表 現 力 を考 え る と、 まだ 十 分 とは い え な いの で は な か ろ うか 。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン にお け る 日本 人 の プ ロ フ ィ ー ル は 、 「遠 慮 す る」 「改 ま って い る 」 「だ ま り型 」 「用 心 深 い 」 「つ か み 所 が な い 」 「真 面 目」な どで あ り、 ア メ リカ 人 は 、 「自 己 主 張 」 「率 直 」 「形 式 ば ら な い 」 「くだ け て い て 」 「お し ゃ べ り」 で あ る とい う。 な お、 日本 人 の 最 も代 表 的 な コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 特 徴 は 、 「遠 慮 す る」 で あ り、 ア メ リカ人 につ い て は、 「自己 主 張 す る」 と い わ
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コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 方 法 は 、 それ ぞ れ の 国 の文 化 と歴 史 の 所 産 で あ り、 い ず れ が 正 しい と判 断 され るべ き もの で は な い 。従 っ て、 日本 の伝統 は、十 分 尊 重 さ れ るべ き もの で あ る が 、 一 方 、 国 際 化 時代 の 現 在 、 日本 の伝 統 に立 脚 し なが ら も、 世 界 に 通 用 す る表 現 力 、 つ ま リ コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 を身 に つ け る こ とが 要 請 され て お り、 表 現 力 と い う視 点 か らの コ ミュニ ケ ー シ ョ ン教 育 の 必 要 性 も大 で あ ろ う。 7.対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 目 標 以 上 の2つ の 視 点 か ら コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 目 標 を 考 え る と、 次 の3つ と な ろ う 。 1.思 想 、 考 え 方 、 情 報 の 共 有 だ け で な く 、 心 の ふ れ 合 い ま で 実 現 で き るよ うな コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 2.良 好 な 人 間 関係 を円 滑 に形 成 、 発 展 させ るた め の ソー シ ャル ス キ ル と して の 表 現 力 3.ビ ジネ ス の場 に お け るプ レゼ ン テー シ ョンや 説 得 の た め の 基礎 的 な能 力 8.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 の 学 習 内 容 と そ の 構 造 上 述 の視 点 お よ び 目標 か ら学 習 すべ き 内容 を、 よ り基 本 的 な もの を 中 心 と し て 同 心 円状 に表 した もの が 、 次 の構 造 図 で あ る。 図3コ ミュ ニケ ー シ ョン教 育 の 学 習 内 容 ・構 遙 ω
す な わ ち、 確 固 た る精 神 的基 盤 の 上 に立 っ て 、 ま ず 、 正 しい 自己概 念 を も ち、 相 手 を理 解 し、 その 上 に 立 って 明 確 な 自己 表 現 を 行 う。 これ が 、 よ りよ き対 人 関係 の 維 持 、 改善 、 発 展 の ため の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 能 力 で あ り、 表 現 力 で あ り、 この 考 え方 に 基 づ い て 教 育 体 系 を構 築 しな けれ ば な ら な い。 そ して 、 これ らの 能 力 は 、 学 習 す る こ とに よ って 身 に つ く もの で あ る。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン教 育 が 学 際 的 で あ る よ うに 、 コ ミュニ ケ ー シ ョ ン教 育 の 内 容 も社 会 心 理 学 や カ ウ ンセ リン グの 諸 理 論 、 人 間 関係 論 な ど関 係 す る理 論 や 技 法 を導 入 し統 合 しな けれ ば な らな い。 以 下 、各 項 目につ い て の 基 本 的 な 考 え方 を略 述 した い。 1.コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ド コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 精 神 的 基 盤 機 械 主 体 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン と 人 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と の 違 い は 、 後 者 に お い て は 、 人 間 の 内 包 す る精 神 的 基 盤 や 心 理 的 側 面 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の プ ロ セ ス に 影 響 す る こ と で あ る 。 そ の 内 容 と し て は 、 そ の 人 の 人 生 観 、 価 値 観 、 人 生 態 度 、 考 え 方 、 感 情(特 に 、 怒 りや 恐 れ 、 好 悪)な ど の 要 素 が 考 え ら れ る。 従 っ て 、 実 践 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 高 め る た め の 教 育 で は 、 こ れ ら の 面 が 不 可 欠 の 要 素 と な る 。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 技 法 だ け を い く ら 教 育 し た と し て も 、 こ の よ う な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 核 と な る 部 分 が 欠 け て い れ ば 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 、 よ り よ い 人 間 関 係 を 作 り上 げ る た め に は 役 に 立 た な い 小 手 先 の 技 巧 に 終 わ る で あ ろ う。 こ こ で は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 直 接 関 係 が あ り、 最 も 重 要 か つ 、 基 本 的 と 考 え ら れ る も の と し て 、 「相 手 を 大 切 に 思 う心 一You-Attitude」 と 「積 極 思 考 一 PositiveApproach」 を 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ド」 と し て 構 造 の 中 心 と し た 。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 心 と 心 の ふ れ 合 い で あ り、 共 感 や 共 通 理 解 へ の プ ロ セ ス で あ る と考 え る な ら ば 、 こ の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ドな し で は 、 目 的 は 達 せ ら れ な い 。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 成 功 さ せ る た め に は 、 精 神 的 基 盤 と し て の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ド を 十 分 に 理 解 し 、 身 につ け る必 要 が あ る。
ま た コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ドの 学 習 は 、学 習 者 自 身 の 人 間 的 成 長 に と っ て も効 果 的 で あ る 。 2.自 己 理 解 と 自 己 開 示 「自 己 理 解 」 と は 、 正 し い 自 己 概 念 を 持 つ こ とで あ る 。 自 己 概 念 と は 、 自分 自 身 を ど の よ う に 受 け 取 り、 ど う考 え て い る か と い う こ と で あ る 。 私 た ち は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ∋ ン を行 う と き に 、 多 く の 場 合 、 自 己 概 念 を 通 し て 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン行 動 を と っ て い る 。 例 え ば 、 「自 分 は 、 話 し下 手 で あ る 」と考 え て い る 人 は 、 他 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お い て 消 極 的 と な り、 相 手 が 自分 の 話 し を 理 解 で き な い と き に は 、そ の 原 因 が 自 分 の 話 し 下 手 に 起 因 す る と 思 い 込 み 、 円 滑 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に と っ て 障 害 と な っ て し ま う 。 こ の よ う に 自 己 理 解 は 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 を 高 め る た め の 基 礎 的 な 条 件 と思 わ れ る 。 ま た 、 私 た ち は 、 他 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 通 じて 自 分 を 正 し く理 解 す る よ う努 め な け れ ば な ら な い 。 さ ら に 、 対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン は 相 互 通 行 で あ り、 自 分 の 考 え 、 意 見 、 気 持 ち 、 価 値 観 な ど の 自 分 に 関 す る 情 報 を率 直 に 相 手 に 伝 え る 「自 己 開 示 」 も よ り よ い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の た め に は 、 不 可 欠 の も の で あ る 。 自 己 開 示 は 、 あ る が ま ま の 自 己 を 受 容 し 、 自 己 に 確 信 が あ っ て 初 め て な し え■ る も の で あ り、 こ れ に よ っ て 自 己概 念 が さ ら に 深 ま る と と も に 、 相 手 と の 心 理 的 な 隔 た り を 少 な く し 、 親 近 感 を 深 め 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 良 化 を も た ら す こ と が で き る 。 3.積 極 的 傾 聴 対 人 コ ミュニ ケ ー シ ョ ンに お い て 、自己理 解 と と も に、相 手 理 解 の た め の 「積 極 的 傾 聴 」 の 重 要 性 は 論 ず る ま で もな い と思 わ れ る。 傾 聴 は 、 相 手 の 言 う こ と に耳 を傾 け る技 法 と い う よ りは 、相 手 と対 す る と きの心 構 え、態 度 と考 え られ る。
4.非 言 語 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 自 分 の 意 思 を 明 確 に 表 現 す る こ と は 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 基 本 で あ る 。 こ の 場 合 に 、言 語 よ り も 非 言 語 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 影 響 力 が 強 い と い わ れ る(例 え ば 、 好 感 度 に 影 響 す る 要 因 は 、 表 情55%、 声 の 調 子38%、 言 葉7%と い わ れ く ラ る)。 特 に表 情 、 視 線 、 姿 勢 、 身振 り、 動 作 に つ い て の 教 育 が 必 要 で あ ろ う。 非 言 語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン教 育 に は 、 非 言 語 行 動 の 表 出 訓 練 と相 手 の 非 言 語 行 動 の 意 味 を解 読 す る訓 練 の 両 面 が考 え られ る。 5.周 辺 言 語 と言 語 コ ミ ュ=ケ ー シ ョ ン 周 辺 言 語 は 、 言 語 の 約5倍 の 影 響 力 を持 つ 重 要 な 教 育 項 目 で あ る こ とに留 意 しな けれ ば な ら ない 。 言語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンに つ い て は 、 次 の2つ に留 意 す べ きで あ る。 ① 言 語 表 現 の 場 合 に は 、"何 を""ど う"表 現 す るか の2つ の 側 面 が あ る。 自分 が 表 現 した い こ と(テ ー マー 中 心 とな る考 え方)を まず 明確 に して 、 そ の 内容 を筋 道 をた て 相 手 に理 解 で き る よ う順 序 だ て て 話 す こ と。 す な わ ち パ ブ リ ッ ク ・ス ピー キ ン グの 能 力 の 向上 が き わ め て 重 要 な教 育 で あ る こ と。 ② 言 語 コ ミュニ ケ ー シ ョン の 特 徴 と して 考 え られ る言 葉 の 「抽 象 作 用 」 「意 味 作 用 」に注 意 す る こ とで あ る。 意 味 論 で い わ れ る よ う に"言 葉"は"も の"そ の もの で は な く、 抽 象 化 で あ り、 い わ ゆ る 「抽 象 の は し ご」 を登 るほ ど相 手 に 理 解 さ れ に く くな る。「意 味 作 用 」にお い て は 、言 葉 に は"内 包 的 意 味"が あ り、 こ の 内 包 的 意 味 を取 り違 え る と、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ く ラ ンが 阻 害 さ れ る。 こ の よ うに 言葉 の 本 質 に起 因 す る言 語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 難 し さ を理 解 し、 克 服 す る よ うな 教 育 が望 まれ る。 6.対 話 技 法 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 基 本 の 形 は 、 究 極 に お い て は 、 一 対 一 の 対 話 で あ ろ う 。 心 の ふ れ 合 い の た め の 対 話 技 法 と し て 、 こ こ で は 、 「受 容 、 質 問 、 繰 り返 く し、 明 確 化 、.支持 」 の5つ を取 り上 げ た。 各 技 法 と も相 手 を受 け入 れ る方 法 で
あ るた め 、 相 手 と心 が 通 じ合 うラ ポー ル を形 成 し、 信 頼 関 係 を作 り上 げ るの に 効 果 的 で あ る。 相 手 との ラポ ー ル を築 くこ とは、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン に お いて 最 も重 要 な要 件 で あ る。 7.主 張(ア サ ー シ ョ ン) 主 張 は、 い ろ い ろ な 人 間 関 係 の状 況 の も とで、 相 手 の権 利 を 守 りな が ら 自分 の 人 間 と して の権 利 も守 り、 人 間 関係 を損 な わ ず に話 し手 の 自己 を主 張 す る方 法 で あ り、 よ い 人 間 関 係 を維 持 、 向上 させ る う えで 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン にお い て 極 め て重 要 な 自己表 現 の 方 法 で あ る と考 え られ る 。 ア サ ー シ ョン の 考 え方 と技 法 は 、1950年 代 に行 動 療 法 と呼 ば れ る心 理 療 法 の 中 で 開 発 さ れ 、 ま た、 論 理 療 法(ア メ リカ の臨 床 心 理 学 者AlbertEllisに よ っ て 提 唱 さ れ た 心 理 療 法)の 考 え方 も導 入 され て い る。 ア サ ー シ ョ ン は そ の ヒ ュ ー マ ニ ス テ ィ ッ ク な人 間観、 もの の 見 方 と密 接 な 関 係 が あ り、 産 業 界 で も、 職 場 の よ りよ い 人 間 関 係 を作 る た め だ け で な く、 人 材 育 成 や 表 現 力 向 上 の た め に く の も、 取 り入 れ られ る傾 向 が あ る。 ア サ ー シ ョ ン行 動 の た め に は、 自己 表 現 の た め の"自 分 の ア サ ー シ ョ ンの 権 利"を 認 め る こ とか ら出発 す る が 、 同 時 に"相 手 の ア サ ー シ ョ ンの 権 利"も 尊 重 す る。 アサ ー テ ィ ブ な 表 現 は、 率 直 で 、 真 面 目で 、 相 手 に敬 意 を表 す る方 法 で あ る。 アサ ー テ ィブ に なれ ば 、 自分 自 身 に 自信 を も ち、 積 極 的 に行 動 す る こ とが で きる。 従 って 、 ア サ ー テ ィブ な人 は、 仕 事 を効 率 的 に こ な し、 生 き生 き く ラ と して 活 力 が あ り、 他 人 か ら も社 会 的 に評 価 され る。 く の ア サ ー シ ョ ン ・ トレー ニ ン グ に は 、 次 の7つ の 分 野 が 含 ま れ る と い わ れ る。 ① 言 語 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ② 非 言 語 コ ミュ ニ ケー シ ョン ③ 不 安 の 軽 減 、 統 制 ④ 怒 りの 軽 減 、 統 制 、 転 換 ⑤ 自尊 心 の 強 化 ⑥ 対 人 状 況 に お け る 自他 の 意 識 の 明確 化 ⑦ 社 会 的 、 文 化 的 行 動 規 範 の 明 確 化
8,対 人 コ ミュ ニケ ー シ ョン教 育 の 具体 的 な プ ロ グ ラ ム 作 成 次 に具 体 的 な教 育 プ ロ グ ラム の作 成 に つ い て述 べ た い 。 1.プ ログ ラ ム 作 成 に つ い て の 考 え 方 お よび 教 育 技 法 ① プ ロ グ ラ ム は 、全 体 と して総 合 的 に調 整 さ れ た体 系 で あ る こ と。 ② 理 論 的 な裏 づ け が あ り、 しか も実 践 的 で あ る こ と。 教 育 の 成 果 を上 げ るの に有 用 で あれ ば 、 隣 接 科 学 で あ る社 会 心 理 学 、 カ ウ ン セ リン グ の 諸理 論 、 人 間 関係 論 等 の理 論 お よ び教 育 方 法 も導 入 す る こ と。 ③ 表 現 力 コ ミュニ ケー シ ョン能 力 は"ス キ ル"と い われ る。 従 っ て 、 関 連 す る知 識 の 理 解 も もち ろん 必 要 で あ る が 、 ス キ ル で あ る た め に 、 身 につ け る た め に は繰 り返 し学 習 が 必 要 で あ ろ う。 学 習 に は 「無 意 識 的 無 能 」、 「意 識 的 無 能 」、 「意 識 的 有 能 」、 「無 意 識 的 有 能 」 の4段 階 が く の あ る とい わ れ るが 、 次 の よ うに、 自然 に使 え る段 階 に な る まで に は 、 一 定 の 期 間 と努 力 の 積 み 重 ね が 必 要 で あ る。 く の 図4ス キ ル 習 得 の4段 階 ④ 教 育 方 式 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 の教 育 に は 、 参 加 者 が 実 際 に 見 た り聞 い た り、 話 した りす る体 験 を通 して 学 習 す る方 式 「ラ ボ ラ ト リ ー メ ソ ッ ド」 が 有 効 で あ る と思 わ れ る。体 験学習 の場合 には、 まず 自 分 が 行 動 す る こ とが 重 要 で あ る。学 習 者 が 自分 か ら他 者 に話 しか け な け く ラ れ ば 、他 者 か ら 自分 の 行 動 に つ い て の 情 報 は得 ら れ な い か らで あ る。
⑤ 教 育 の 進 め 方 講議 、 談 話 、 説 明 だ け で は な く、 学 習 内 容 に よ っ て は 、問 題 提 起 、討 論 、 意 見 発 表 、質 問 表 、 ケー ス ス タ デ ィ、実 技 練 習 、 役 割 演 技 な ど の 方 法 を効 果 的 に 活 用 す る こ と。 ⑥ 教 育 の プ ロ グ ラ ム と実 施 要 領 は 、結 果 を検 討 し、 次 の プ ロ グ ラ ム に フ ィ ー ドバ ックす る。 そ して逐 次 マ ニ ュ ア ル と して文 書 化 す る こ とが 必 要 で あ る。 2.対 人 コ ミュ ニケ ー シ ョン教 育 の体 系 基 礎 教 育 基礎技能訓 対話技 能 訓 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン な ら び に 企 業 内 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 す る一 般 理 論 の 学 習 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ドの 学 習 と体 得 自 己 認 識 を深 め る た め の 教 育 指 導 十 , 育, 練b 隷, 積 極 的 傾 聴 訓 練 自 己 表 現 訓 練 周辺 言語 訓練 言語 訓練 非言 語訓 練
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対 話 ・面接 技法 訓練 主 張 訓 練 噸 畷 哩 総 合 教 育 訓 練以 上 、対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン教 育 の あ るべ き全 体 像(マ ス ター プ ラ ン)を 説 明 した が 、 そ れ ぞ れ の 教 育 現 場 にお い て実 施 す る 場 合 に は 、 そ の 現 場 の 教 育 訓 練 の ニ ー ズ を的 確 に把 握 し、 目標 を設 定 し、 さ ら に実 施 の た め の 教 育 環:境、 与 え られ た 条 件(時 間的 な 制 約 、 施 設 、指 導 担 当 者 、 受 講 者 の状 況 な ど)を 考 慮 して 、 実 状 に合 うよ う実 施 しな け れ ば な らな い 。 各 教 育 訓 練 を個 別 に行 う場 合 も多 い と思 わ れ るが 、 その 場 合 で も、 こ の 教 育 体 系 の マ ス ター プ ラ ン と関 連 づ け て 実 施 す る こ とが 必 要 で あ ろ う。 上 記 の 各 教 育 訓練 の具 体 的 な 実施 要 領 に つ い て は 、 心 理 学 、 心 理 療 法 、 カ ウ ン セ リン グ理 論 、 言 語 学 な どに 基づ く多様 な 教 育 方 法 が あ り、 別 稿 と し た い 。 ま と め 1. 2. 3. コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン教 育 は、 情 報 化 、 国 際 化 の 時 代 に は 、 ます ます 必 要 性 が 増 大 して い る。 対 人 コ ミュ ニ ケー シ ョン教 育 は 、コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン ・マ イ ン ドを精 神 的基 盤 と し、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン につ い て の 一 般 理 論 の 理 解 の 上 に 立 っ た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 の学 習 習 得 を 目指 す もの で な け れ ば な らな い 。従 っ て、 実 践 的 で な けれ ば な らな い 。 コ ミュ ニ ケー シ ョン能 力 は 、 学 習 す る こ とに よ っ て初 め て 習 得 され る。 対 人 コ ミュ ニ ケー シ ョン教 育 の 実 施 に あ た っ て は 、 コ ミュ ニ ケー シ ョン の 概 念 と対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン教 育 の視 点 と 目標 を 明確 にす る こ とか ら出 発 しな けれ ば な ら な い。 次 い で 、 目標 達 成 の た め の 学 習 内容 とそ の 構 造 を 決 定 し、 具 体 的 な 教 育 プ ロ グ ラ ム を ど う展 開 して い くか が 考 究 され な け れ ば な ら な い 。 私 た ちは 、 人 間 関 係 の 中 で しか 生 き られ な い 。 人 間 関 係 の 中 で 人 間 的 成 長 を 遂 げ る。 ま た 、 人 間 関 係 の 中 で社 会 活 動 を行 う。 そ して 、 人 間 関 係 の 形 成 、 維 持 は 人 の コ ミュ ニ ケー シ ョン能 力 に 負 う と こ ろが 大 きい 。 また 、 ビ ジ ネ ス 社 会 に お い て も、対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 は、事 務 能 力 、 管 理 能 力 の 基 盤 とな る もの で あ る。
従 っ て 、 私 た ち は 、 対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 能 力 に つ い て 、 そ の 重 要 性 を認 識 し、 計 画 的 に学 習 す べ きで あ る。 その た め の 実 践 的 、 理 論 的 、 体 系 的 な教 育 体 系 の 確 立 は必 須 の 条 件 で あ ろ う。 本 稿 は 、 その た め の 一 つ の試 み で あ る。 ご 叱 正 を得 た い。 (1) ② (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) ⑩ OD ㈲ (1の (1の ㈲ (1⑤ (1の (18} (1① ⑳ ⑳ ㈱ ㈲ ㈱ 岡 部(1993)、56頁 。 石 井(1993)、5-6頁 。 石 井(1993)、19-20頁 。 久 米(1993)、27-28頁 。 久 米(1993)、45-47頁 。 久 米(1993)、30-32頁 。 久 米(1993)、46頁 。 久 米(1993)、46-47頁 。 石 井(1993)、20頁 。 長 谷 川(1993)、140-141頁 。 秋 山(1994)、38-39頁 。 藤 永 他 編(1981)、225頁 。 國 分(1991)、200頁 。 黒 川(1994)、18頁 。 宮 原(1992)、69頁 。 Heath&Bryant(1992),p.220. 宮 原(1992)、55頁 。 『角 川 国 語 大 辞 典 』(時 枝 誠 記 ・吉 田 精 一 編(1983)、 角 川 書 店)に よ る 。 北 出(1993)、41-42頁 。 中 村(1993)、31頁 。 Mehrabian(1981),p.77, 成 毛(1993)、139-150頁 。 國 分(1989)、50-70頁 。 平 木(1993)、50-56頁 。
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