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国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告

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Academic year: 2021

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第4章 トラベルコスト法(TCM)

4-1 トラベルコスト法(TCM)での評価の概要 4-1-1 トラベルコスト法(TCM)の概要

(1)トラベルコスト法(TCM)の考え方

トラベルコスト法(TCM:Travel Cost Method :以下TCMと略記)とは、訪問地 ま で の 旅 行 費 用 と 訪 問 回 数 と の 関 係 を も と に 間 接 的 に 訪 問 地 の 利 用 価 値 を 評 価 す る 手 法 と、想定される利用者の訪問の意向を考慮して推定される方法に分かれる。したがって、 評価すべき対象が「訪問するだけの価値」を持つことが前提となり、訪問が誘発されない 対象については、評価が困難であると言われる。 TCM は、 景観を 含む 環境質 や娯 楽施設 、そ の他「 訪問 する」 動機 付けが ある 価値を 持 っ た地を 訪問 する訪 問者 と、訪 問者 が支払 う旅 行費用 (ま たは支 払う 意思の ある 旅行費 用 ) の 関係か ら利 用価値 を評 価する 手法 である 。こ の手法 の適 用条件 とし て、私 的財 と環境 質 等 の 非市場 財す なわち 個人 の金銭 感覚 と対象 施設 の利用 価値 につい て、 相互の 関係 をもと に 間 接 的に利 用価 値の貨 幣価 値を評 価で きると いう 条件( 弱補 完性の 条件 )が前 提に なる。

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(2) TC Mでの 価値 評価の 場面 TCMで評価する場合には、評価対象の状況(供用済みの施設、新規に供用する施設、 新たに追加される施設)の違いなどにより、推計の考え方が異なるものとなる。 本解説(案)においては、新規に供用する施設の価値評価を顕示選好のデータをもとに 推計する手法を中心に記述する。 本解説 (案 )にお いて は、T CM では、 顕示 選好の 結果 をもと に、 旅行者 の評 価対象 に 対 する支 払意 思額の 推計 を行う 方法 を中心 に記 述する 。し たがっ て、 データ を収 集し分 析 す る 対象は 、現 在整備 され ている 状態 が基本 とな る。 これに 対し て、新 たに 事業を 行い 整備さ れる 評価対 象は 、現実 の世 界の中 には 存在し な い ため、 現存 する競 合施 設の旅 行費 用、ま たは 現存す る同 質の価 値に 対する 旅行 費用ま た は 、 表明選 好に よるア ンケ ート調 査等 の結果 から 、施設 価値 を類推 する 必要が ある 。 T C M に よっ て 顕 示 選好 デ ー タ から 施 設 価 値を 評 価 す る手 法 と し ては 、 表 4-1 に示した 類型が 考え られる 。 表 4 -1 T C M で の 評 価 の 類 型 ( 顕 示 選 好 デ ー タ に よ る 推 計 ) 類 型 評 価 の 考 え 方 ① 現 在 整 備 さ れ 、運 用 さ れ て い る 施 設 の 価 値 を 評 価 す る 。 ・評 価 対 象 に つ い て 、現 在 の 来 訪 者 の 需 要 関 数 を 推 計 し 、「 現 在 の 需 要 水 準 に お け る 旅 行 費 用 」か ら「 需 要 が ゼ ロ に な る 旅 行 費 用 」ま で の 間 の 需 要 関 数 を 積 分 し 、消 費 者 余 剰 の 総 和 を 施 設 の 価 値 と す る 。 ・現 在 整 備 さ れ て い る 競 合 施 設 の 需 要 状 況 か ら 、新 規 に 整 備 さ れ る 施 設 の 需 要 関 数 を 推 計 す る 。 つ い で 、「 施 設 整 備 後 の 需 要 水 準 に お け る 旅 行 費 用 」か ら「 需 要 が ゼ ロ に な る 旅 行 費 用 」ま で の 間 を 積 分 し 、消 費 者 余 剰 の 総 和 を 施 設 の 価 値 と す る 。 ② 新 た に 整 備 さ れ る 新 規 施 設 の 価 値 を 評 価 す る 。 ・評 価 対 象 に つ い て 、現 在 の 来 訪 者 の 需 要 関 数 か ら 施 設 機 能 追 加 後 の 需 要 関 数 を 推 計 し 、現 在 の 来 訪 者 の 需 要 関 数 か ら 導 出 さ れ る 消 費 者 余 剰 と 機 能 追 加 後 の 需 要 関 数 か ら 導 出 さ れ る 消 費 者 余 剰 の 差 を 機 能 付 加 の 価 値 と す る 。 ③ 現 在 整 備 さ れ て い る 施 設 に 機 能 が 付 加 さ れ た 状 況 で の 、付 加 さ れ た 部 分 の 価 値 を 評 価 す る 。 ④ そ の 他 - ※ここ で用 いられ る需 要関数 は、 アクセ シビ リティ (評 価対象 施設 の魅力 度の 大きさ と 施 設 までの 旅行 費用で 構成 される:p .84 参照 )を説 明変 数に持 った 関数を 基本 として いる 。

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(3) 発地 ベース と着 地ベー ス 旅行費用を計測するには、大別して、居住者側からの行動に着目した評価の方法(発地 ベース)と、評価すべき施設と同等の価値を持った施設に集まる利用者の行動に着目した 方法(着地ベース)の2種類の方法がある。 1)T CM で必要 とな るデー タの 種類 旅行費 用を 計測す る場 合、居 住者 側から の行 動に着 目し た評価 の方 法(発 地ベ ース) と 、 評価す べき 施設と 同等 の価値 を持 った施 設に 集まる 利用 者の行 動に 着目し た方 法(着 地 ベ ー ス)に よっ て、 表 4-2 のようにデータ収集の方法が異なる。 表 4 -2 T C M で 必 要 と な る デ ー タ 発 地 ベ ー ス で 必 要 となる デー タ ・ 発地の 居住 者の関 連デ ータ( 年齢 別人口 ) ・ 居住地 の特 性(都 市化 の状況 、同 質の環 境質 を 持つ競 合施 設) 着 地 ベ ー ス で 必 要 となる デー タ ・ 利用者 の関 連デー タ( 出発地 、年 齢その 他の 属 人デー タ等 ) ・ 母集団 推定 のため のデ ータ( 来訪 頻度等 ) ・ 施設ま での 運行費 用、施設で の消 費額等 の旅 行 費用 共 通 に 必 要 と な る データ ・ 施設の 魅力 度(競 合施 設含む ) 2)使 い分 けのポ イン トと留 意点 ・ 施 設 の 誘 致 圏 が あ る 程 度 特 定 で き る よ う な 場 合 は 発 地 ベ ー ス で の 手 法 が 適 す る 。( 近 隣公園 、都 市公園 など ) ・不 特定 多数の 利用 者が利 用す ると考 えら れる施 設の 場合、 着地 ベース での 手法が 適 す ると考 えら れる。( 国 営公園 、大 規模ア ミュ ーズメ ント 施設、広域 道路の 沿道 サービ ス 施設[道の駅等] 等) ・実態 調査 などを 行う 場合に おい ては、 発地 ベース で調 査を行 う際 には得 られ たサン プ ルの中 に対 象施設 を訪 問する 可能 性のあ る人 の割合 が小 さくな り、 推計に 必要 な 精 度 を得る には 、標本 (調 査対象 者) 数を多 く取 る必要 が出 てくる 。一 方、着 地ベ ー ス で 調査を 行う 場合に は調 査対象 者が どの属 性を 代表し てい るかの 判別 が困難 とな り 得 ら れた支 払意 思額を 拡大 する際 に慎 重な取 り扱 いが必 要と なる。 3)本 解説 (案) での 扱い ・ 当面は 、発 地ベー スの 推計方 法を 記述す る。 ・ ただし、実 態調査 から 価値の 推計 を行う 場合 、調査の 規 模を考 慮す ると、着 地 ベー ス での調 査・評価を 行う ことの 方が 安価で デー タが得 やす い場合 があ る。この た め、着 地ベー スで の推計 方法 につい ては 、今後 、機 会を得 て提 示した いと 考える 。

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(4) 本解 説(案 )で 用いる 需要 関数の 概略 本解説(案)においては、新規に供用する施設の価値評価の手法を中心に記述する。こ のとき用いられる需要関数は、施設の魅力度とゾーン・施設間の旅行費用で構成されるア クセシビリティ指標、居住地ゾーンの人口規模(世代別)によって構成される。 本解説 (案 )で用 いる 需要関 数の 概略は 、以 下に示 すと おりで ある 。 ○1 人当たり需要(需要関数または訪問頻度関数)

の人口集中地区面積比

ゾーン

     

12参照)

γ:パラメータ(表4

     

のアクセシビリティ

年令区分

ゾーン

     

利用回数

の一人あたり年間公園

年令区分

ゾーン

     

式2)

    ・・・・・(

γ・

i

DID

C

k

i

A

k

i

d

DID

A

C

d

i ik ik i ik ik

:

,

:

:

+

=

○た だし 、アク セシ ビリテ ィは 、下式 のよ うにな る。 β α α α ij jz jy jx ijk

V

M

M

M

A

(

)

3 2 1

+

+

=

・ ・・ ・・・ ・・ ・・・ ・( 式1) ijk A :ゾー ン i 年令区分 k の公園 j のアクセシビリティ 3 2 1 j j j jx M M M M = + + :自然 空間 系の魅 力 5 4 j j jy M M M = + :施設 系の 魅力 7 6 j j jz M M M = + :文化 活動 系の魅 力

β

α

α

α

1

,

2

,

3

,

:パ ラメ ータ( 表 4-12 参照) ij V :ゾー ン i 公園 j 間の移動費用 こ のと き、移 動費 用には 所要 費用の 他に 所要時 間の 時間価 値も 含まれ るこ とにな る。 (大 規 模公園 費用 対効果 分析 手法マ ニュ アル H11.12) ※上記 の需 要関数 には 、施設の魅力度やゾーン・施設間の旅行費用はすべてアクセシビリ ティの中に含まれている。 これ らの 需要関 数を 同定す るた めに、各種 データ を必 要に応 じて 収集し てい く必要 があ る 。

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4-1-2 TCMの手順 ①評価対象の設定 ①評価対象の設定 ③需要予測モデルの推定 ③需要予測モデルの推定 ④便益の推計 ④便益の推計 調査すべき評価対象を設定 ・対象はレクリエーション、景観等の利用できる価値に 限定 ・「ゾーンデータを用いるか、個人データを用いるか」 「代替地を考慮するか」で評価手法を決定 評価対象と居住地のアクセシビティを元に推定 ・旅行費用、訪問率と対象施設の魅力度を基に計算 ⑤結果の報告と解析 ⑤結果の報告と解析 複数の目的の旅行をどう扱うか ・便益は需要関数を基に計測(消費者余剰の変化分) ・当該目的の旅行費用のみを分離・抽出する必要あり ②データの収集・整理 ②データの収集・整理 発地、着地、及び移動に関連したデータを収集 ・ゾーン別に発地データを収集 ・競合施設をもとに着地データを整理。競合施設選定 に注意 ・ゾーン中心地から対象施設までの移動に関わるデー タを整理 図 4 -1 T C M の 実 施 手 順 と 留 意 点

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4-1-3 TCM適用上の留意点 (1) 適用 可能な 範囲 TCMは、施設や環境質、その他の財・サービスを消費するために要する機会費用で評 価される。機会費用が0以下(不経済)の施設の評価は難しい。 例えば 、T CMで 環境 改善の 効果 を計測 する には、 改善 された 環境 質のサ ービ スを消 費 し に行く かど うか、 行く とした とき そこま で行 ってサ ービ スを消 費し 帰って くる までの 総 費 用 がいく らか かるか とい った旅 行費 等(機 会費 用)の 発生 が前提 とな る。利 用者 の施設 利 用 便 益は旅 行費 用を支 払っ て消費 する と同等 かま たはそ れ以 上の価 値が あると いう ことに 由 来 す る。 仮に、 道路 が整備 され て沿道 騒音 がひど くな った場 合、 騒音が ひど くなっ た人 にとっ て そ こに住 んで いて周 りの 環境が 変化 したと した とき被 る負 の便益 につ いては 、機 会費用 は ゼ ロ のまま であ る。こ の場 合、騒 音が ひどく なっ たこと の不 経済性 は、TCM では 評価が 難し い 。 ※機会 費用 Opportunity Cost ある選 択肢 を採用 した とき 、他 の 選択肢 を採 用しな かっ たこと のよ って失 われ る潜在 的利 益 のうち 最大 の価値 。 (2) 他の 行動に 付随 的に発 生す るトラ ベル コスト の評 価 評価する施設が、利用者の行動の中で主要目的地でない場合、主要目的を利用する行動 (最短時間、最小経路)から離れる部分の旅行費用を評価値として計上する手法が考えら れる。 一般に は、 当該施 設の サービ ス消 費が別 の目 的の付 随的 行動で ある 場合、 精度 の高い 評 価は困 難で あると 言わ れてい る。ただし 、主 要目的 を利 用する 行動(最短 時間 、最小 経路 ) から離 れる 部分が 明確 に分離 でき る場合 、立 ち寄り に要 する一 般化 費用を TC Mの評 価 値 として 計上 する手 法が 考えら れる 。 精度の 高い 評価に する ために は、 あくま でそ の施設 利用 のため だけ の一般 化費 用で評 価 ができ るか どうか に依 存して いる 。 例えば「あ る商業 施設 での買 い物 のつい でに 、ポケ ット パーク だけ に立ち 寄っ た。」と い う例が あっ たとす る。 このと き、 このポ ケッ トパー ク利 用の便 益は 、通常 、自 宅から 商 業 施設に 出向 いて買 い物 をする 一連 の行動 以外 の部分 の費 用とな る。 したが って 、この 場合 にポケ ット パーク の便 益の具 体的 な計算 手法 は、自 宅を 出て自 宅 まで帰 るま での総 所用 時間と 総費 用から 、「商 業施設 へア クセス・イ グレス する 最短時 間 と 交通費 用、買い物 のた めに要 した 時間・費用 」を差 し引 いた時 間・交通費 用と 、「ポケ ッ ト パーク 内で 支払っ た金 額」を 計算 するこ とで 算出さ れる 。 ただし 、旅 行者に とっ て2カ 所以 上の目 的施 設の魅 力度 が近接 して いる場 合に おいて は 、 上記方 法で の施設 の価 値評価 は過 小評価 とな るので 留意 が必要 であ る。

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(3) 理論 面から 見た 留意点 TCMは直感的に理解しやすい方法であるが、価値を推計する際には、以下の6点に留 意する必要がある。 【TC Mの 理論面 での 留意点 】 ①旅行 やレ クリエ ーシ ョンに おけ る耐久 消費 財への 投資 の扱い ②複数 目的 地の費 用配 分 ③通常 の生 活でも 必要 不可欠 な費 用(食 費等 )の扱 い ④代替 施設 考慮の 基準 ⑤レク リエ ーショ ンに 対する 選好 が居住 地選 択に影 響し ている 場合 ⑥時間 の機 会費用 1)耐 久消 費財へ の投 資 TCM は、移動に 要す るコス トか らその 価値 を計る もの である が、たとえ ば、自家用 車 など他 の目 的地に おい ても使 用可 能な財 につ いては 、計 測の対 象へ の訪問 分の みを購 入 価 格や維 持費 用から 取り 出すこ とは 現実問 題と しては 不可 能であ り 、その扱 いを どうす る か が問題 とな る。 これら につ いては 、適 用の場 面に 応じて 柔軟 に対応 する 必要が ある が、一般に 耐久 消 費 財の利 用回 数に比 べて 旅行に 利用 する回 数が 極めて 小さ い場合 は 、これを 無視 して考 え る ことも でき るもの とす る。 例:レクリ エーシ ョン に自家 用車 を使っ て移 動した とき の費用 は、自家用 車の 駐 車 料 金が必 要な 場合は 駐車 料金と 、あ とは、時間 費用の みと し、自 家用 車の購 入費 用 (の部 分費 用)は 計上 しない 。 2)複 数目 的地の 費用 配分 TCM は、観光行 動の 周遊特 性を 考慮し てい ないた め、一つの 施設・環境 質等 の支払 意 思額を 全体 の旅行 費用 から推 計し た場合 、過 大評価 にな る可能 性が ある。すな わち、複 数 の目的 地を 訪問す る旅 行計画 にな ってい る場 合に 、主 目 的の観 光地 でその コス トを聞 い た 場合に は 、主たる 目的 地でな い観 光地の 費用 と本人 が認 識して いる 旅行費 用ま で含ま れ て しまう こと が多い 。一 方、主 たる 目的地 以外 の評価 を行 う場合 にあ っては 、主 たる目 的 地 へ の 経 路 か ら 離 れ そ の 目 的 地 に 達 す る た め に 追 加 的 に 発 生 し た コ ス ト の み を 費 用 と し て 計上す る方 法をと るこ とにな るが 、こ の場合 におい ては 、主 たる目 的地に 行く ための 費 用 の一部 は、追加的 に経 由する 目的 地に費 やさ れるべ き費 用も含 まれ ること とな るため 、過 小評価 にな る可能 性も ある。 3)通 常の 生活費 用の 取り扱 い 食 費 な ど 通 常 に 生 活 し て い た と し て も 必 要 不 可 欠 な 行 動 に 要 す る 費 用 を 訪 問 費 用 に 含 めるこ とが 正しい のか どうか とい う点に つい ては意 見が 分かれ てい る。

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4)代 替施 設考慮 の基 準 TCM にお いて当 該目 的施設 の代 替施設 の有 無を考 慮し ない場 合 、評価結 果が 過大に な る恐れ があ ると言 われ る。これ を 考慮す るた めにラ ンダ ム効用 理論 に基づ いた ロジッ ト モ デルを 用い た方法 が考 えられ たが 、対 象とな る観光 地の 代替施 設を 特定す る際 、同 じ 種 類 の施設 のみ でよい のか 、余 暇を 過 ごすと いう 意味で 広く 代替施 設を 考慮す るべ きなの かと いう問 題が 残って いる 。 この場 合、明確な 家計 の効用 関数 が定義 でき れば 、上記 の項目 はそ れほど 問題 にな ら な い。し かし 、家計 の効 用関数 を定 義する のは 、極め て困 難であ る。 →発地 ベー スでの 推計 では、 アク セシビ リテ ィ指標 を考 慮する こと でカバ ー →着 地ベー スの 内、当該 施 設利用 が別 の主要 目的 の中で 付帯 的に発 生し た行動 であ る も のと限 定で きれば 、上 記項目 は、主要目 的以 外の旅 行費 用を計 測す れば良 いの で 特 に 問題に なら ない。 5)居 住地 選択の 影響 た と え ば ス キ ー を 趣 味 と し て い る 消 費 者 が 居 住 地 選 択 の 段 階 で ス キ ー 場 へ の ア ク セ ス がよい 場所 を選択 した り、自動車 の購入 決定 に影響 を与 えた可 能性 がある 場合 、外 生 的 に 交通費 用を 与える こと の妥当 性が 損なわ れて しまう 。 →地 代や家 賃等 が明ら かに 他地域 と異 なる場 合、ヘドニ ック・ア プロー チ等で 近隣 地 域 の地価 を評 価する 。 → 周 辺 に 明 瞭 な 影 響 を 及 ぼ し て い な い よ う な 施 設 の 場 合 、 こ の 項 目 は 特 に 考 慮 し な い 。 6)時 間の 機会費 用 TCM の実 証研究 にお いて 、滞 在 時間を 旅行 費用の 一部 として 扱っ たもの と扱 ってい な いもの の両 方が散 見さ れる状 況に なって いる 。滞 在時 間 を含ま ない とする ケー スが比 較 的 多いよ うで あるが 、既 存の評 価項 目が新 たな 整備を 実施 したこ とに より 、滞在 時間が 増 加 した場 合な どをど う扱 うかと いう 問題が 残る 。また、余 暇活動 にお いては 、本 来派生 需 要 と位置 付け られて いる 交通自 体が 、ド ライブ など本 源需 要にな るこ とがあ る。この場 合 の 交通時 間は 余暇活 動に 関する 費用 ではな くな るが 、実 務 上この よう な状況 を判 断する こ と は困難 であ る。Bockstael et al.(1987)は、 自由時 間を 振り分 けて レクリ エー ション と 財 の限界 代替 率を賃 金率 に等し くさ せるこ とが できる 個人(主婦・フ リータ ーな ど)と そ れ 以外と にわ けて定 式化 した。 →一 般化費 用と して、す べ ての時 間を 貨幣換 算し 機会費 用に 組み込 むこ とが考 えら れ る 。

※限界 代替 率 Marginal Rate of Substitution

ある限 界効 用を他 のも のに置 き換 える場 合の 比率。 A公 園を整 備す るのを あき らめる 場合 、 既存の B公 園に行 くと したら 2回 行けば 同じ だけ満 足す るとい う場 合、その 人 のA公 園の B 公 園に対 する 限界代 替率 は0.5と なる。限界 効用と は1 つの行 動す るのに 対し 、どの くら い 満 足度が 増加 するか を示 す値。 効用 とは、 各個 人が消 費に よって 得ら れる主 観的 満足度 。

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7)そ の他 の課題 TCM は旅 行費用 をも とに評 価す るため 、そ の評価 対象 は利用 価値 のうち レク リエー シ ョンに 関係 するも のに 限られ ると されて きた 。しかし 、林山(1999)による と 、利用価 値 以外の 価値 である「存 在価値 」に ついて も、トラベ ルコ スト法 を用 いて計 測す ること が で きると され ている 。 →旅 行費用 の発 生が前 提と なる。 (4) 競合 施設が 設定 できな いよ うな施 設の 評価の 扱い 当該評価施設と競合関係にある施設がない場合や、施設はあっても遠距離にあり競合関 係が明確に設定できない場合については、今回、本解説(案)で示した顕示選好によるT CMでは評価が困難な場合もある。 このような場合施設の価値を評価する場合には、表明選好によるTCMが有効となる。 本解説 (案 )で取 り上 げたT CM は、新 規の 整備さ れる 施設に 対し て競合 関係 がある 程 度 明確に 抽出 できる しせ つに関 して の評価 手法 を示し てい る。当 該評 価施設 と競 合関係 に あ る 施設が ない 場合や 、施 設はあ って も遠距 離に あり個 々の 利用者 の行 動の結 果か らは競 合 関 係 が明確 に設 定でき ない ような 場合 につい ては 、今回 、本 解説( 案) で示し た顕 示選好 に よ る TCM では なく、 表明 選好に よる TCM の適 用が有 効と なる。 表明選 好に よるT CM の適用 方法 につい ては 、本解 説( 案)で は取 り扱っ てい ない。 次 回 の本解 説( 案)の 改訂 時には 手法 の解説 を盛 り込み たい 。

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4-2 評価対象の設定 4-2-1 評価の対象となる施設 評価する対象施設を明確に設定するとともに、その評価対象が持っている効果のうちど のような項目について評価するかを明らかにする。 TCMでは、基本的には評価対象となる施設自体に利用価値がある場合に限ってTCM で評価することができる。利用価値がない施設、また、負の便益をTCMで評価すること はできないことに留意する必要がある。 TC Mで の評価 では 、基本 的に 利用価 値に 主眼が 置か れるこ とと なる。 一般 的な例 で 言 え ば、公 園が 整備さ れた 場合に 公園 に行っ て楽 しむと いっ た効果 (価 値)は 旅行 費用で 把 握 す ること がで きるの に対 して、 公園 ができ るこ とで周 辺の 住環境 が向 上する 、避 難所が 確 保 で きると いっ た利用 者が 直接享 受し ないよ うな 効果は 旅行 費用で は把 握でき ない 。した が っ て TCM によ る評価 を行 う際に は、 当該施 設の どのよ うな 効果を 明ら かにす べき かとい っ た 点 につい て、 事前に 十分 に整理 して おく必 要が ある。 TC Mは 、人の 施設 を利用 する のに支 払う 費用( コス ト)が その 人の施 設に 対する 利 用 価 値と同 等に なると いう 考えに 基づ き評価 を行 う。こ のた め、対 象施 設に利 用価 値があ る と き に初め て評 価が可 能と なり、 利用 に値し ない 施設は TC Mで評 価す ること はで きない 。 また 、T CMは 、負 の便益 を推 計する こと はでき ない 。大規 模公 園の価 値を 利用す る コ ス トから 算定 するこ とは できて も、 大規模 公園 の新設 によ り周辺 で交 通渋滞 が起 きる場 合 、 交 通渋滞 によ る不経 済性 を評価 する ことは 、T CMで は難 しい。

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4-2-2 競合する施設の選定と競合関係の把握 分析対象とする施設と競合関係にあると考えられる施設(環境質;場合によって、施設 と利用特性の近い施設)を抽出し、各ゾーンから発生する施設利用の需要を、競合する施 設との間で配分することを考慮して、対象施設と競合施設の関係を把握する必要がある。 居住地 から 評価対 象施 設と同 程度 の距離 で同 規模・ 同内 答の施 設が あると すれ ば、人 は 同 程度の 頻度 で二つ の施 設を交 互に 訪れる こと が想定 され る。ま た、 対象施 設の 需要関 数 は 、 居住地 域か ら同様 の目 的で利 用可 能な施 設の 利用状 況を もとに 推計 される こと となる 。 こ の ため、 評価 対象地 域内 にある 、整 備され る施 設と同 質の 利用形 態を もつ競 合関 係にあ る 施 設 につい て、 施設の 位置 や規模 、利 用交通 手段 等、施 設の 概要を 把握 してお く必 要があ る。 対象施 設お よび競 合施 設につ いて は、対 象と してい る施 設が大 規模 公園で あれ ば、た と え ば表4 -3の要件(公園での例)を満たす施設を、対象施設の競合する施設として抽出するこ とが考 えら れる。 表 4 -3 [参 考 ]大 規 模 公 園 に お け る 分 祈 対 象 公 園 お よ び 競 合 公 園 の 定 義 国営公 園、広域公 園、レクリ エー ション 都市・総合 公園 、運 動公園、そ の他必 要に 応じて、特 に公園 との 競合関 係に あると 考えら れる 年間入 場者 数50 万人 以上の レジ ャー施 設 対象と する 公園種 別 規模 供用面 積1 0ha 以上 対象範 囲 分 析 対 象 範 囲 に 含 ま れ る ゾ ー ン が 誘 致 圏 に 属 す る と 考 え ら れる公 園。 誘致圏 につ いては 、表 4-4を参照のこと。 ( 大 規 模 公 園 費 用 対 効 果 分 析 手 法 マ ニ ュ ア ル H11.12) ■競合 施設 のイメ ージ ・対象 施設 と同質 の環 境質を 持つ 施設 ・対象 施設 と代替 関係 にある 施設 、すな わち 、一方 (新 規施設 )の 利用が 増え れば、 必 ず もう一 方の 利用が 減少 する施 設。 ・競合 施設 は、分 析対 象施設 の種 類や規 模に 応じて 、適 切に設 定す る必要 があ る。

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4-2-3 誘致圏の決定 TCMは利用者の旅行費用によって価値を評価する手法であるため、どの程度の範囲か ら(どの程度の頻度で)利用者が来るかといった利用者の行動範囲の設定が重要となる。 評価する施設や競合施設の概ねの利用形態から、利用すると考えられる圏域(誘致圏) を設定するとともに、地域による利用特性の違いを反映するために圏域内をゾーンに分割 する。 (1) 誘致 圏の設 定 評価 対象 を利用 とす ると考 えら れる圏 域( 誘致圏 )を 分析対 象範 囲とし て設 定する 。誘 致 圏は、 利用 者の漏 れが ないよ うに あらか じめ 広めに 設定 するが こと も重要 であ るが、 必 要 以 上に範 囲を 広く設 定を すると 、分 析に際 して 実務上 の入 力作業 量が 指数的 に増 加して し ま う ため、 適度 な範囲 に定 めるこ とが 肝要で ある 。一般 に、 施設の 誘致 圏は、 施設 種別毎 に 異 な ってい ると 言われ てお り( 公園 の 例;表 4-4)、実際の分析にあたっては、評価対象施設の 内容を 勘案 して、 地域 に精通 した 分析者 が適 度な対 象範 囲を設 定す ること が必 要とな る 場 合 もある 。ま た、分 析で 適用す るモ デルは 、遠 方の利 用者 は必要 な移 動費用 が大 きくな る反 面 、 利用回 数が 少なく なる 。この ため 、設定 する 対象範 囲の 多少の 違い による 大き な誤差 は 生 じ ないと 言わ れてい る。 表 4 -4 [参 考 ]公 園 種 別 誘 致 圏 ( 単 位 : k m ) 総合公 園 運動公 園 広域公 園 国営公 園 50% 誘致 圏 4. 0 3. 7 11. 7 29. 4 80% 誘致 圏 15. 0 13. 7 38. 8 83. 4 出 典 : 建 設 省 都 市 局 公 園 緑 地 課 : 平 成 6 年 度 「 国 営 公 園 等 管 理 調 査 委 託 業 務 - 都 市 公 園 利 用 実 態 調 査 - 」 (2) ゾー ニング 誘致 圏を 分析に 適用 できる よう ゾーン に分 割し、 それ ぞれご とに ゾーン の特 性等を 表 す の に必要 なデ ータを 整理 する。 ゾー ン分割 は基 本的に は、 人口な どの 統計デ ータ が入手 可 能 な 最小単 位で ある市 町村 区行政 区域 を1単 位と するこ とが 考えら れる 。対象 に近 い地域 に つ い ては、 住区 や丁町 目に よるゾ ーン の細分 化を 、また 対象 からの 距離 が離れ てい る地域 に つ い ては、 広域 的な「 郡」 を利用 した ゾーン の統 合化を 行う ことも 可能 である 。

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4-3 データの収集・整理 4-3-1 収集するデータの種類 発地ベースでのTCMを実施するために必要となるデータを収集する。 データの種類は、概ね発地(居住地)に関連したデータ、着地(目的地)に関連したデ ータ、その間を連絡する移動に関するデータから構成される。 分析の 対象 となる 各ゾ ーンか ら発 生する 対象 施設の 利用 需要の 推計 と便益 の算 定には 、 た とえば 、以 下のよ うな データ が使 われる 。 ■発地 (居 住地) に関 連した デー タの種 類 ①人口 : ゾーン の規 模をあ らわ す指標 ②年齢 構成 : 対象施 設の 魅力に 対す る需要 の違 いを左 右す る指標 ③ゾー ン中 心所在 地: 分析対 象施 設まで の移 動を換 算す るとき の起 点とな る地 点であ り 、 ゾーン 内を この1 点で 代表す るこ とにな る。 ④DI D面 積比率 : 地域特 性を 表す指 標 ■着地 (目 的地) に関 連した デー タの種 類 ①施設 内容 のデー タ: 対象施 設が どのよ うな 施設で 何と 競合関 係に あるか を示 す根拠 ②施設 利用 料金 : 施設で の滞 在費用 を表 す指標 ③施設 規模 データ : 対象施 設の 魅力を 表す 指標 ■移動 に関 連した デー タの種 類 ①交通 手段 別所要 時間 :時間 費用 の算定 根拠 ②交通 手段 別所用 費用 :移動 にか かる支 払い 費用の 算定 根拠 ③交通 手段 分担率 :平 均旅 行 費用を 算定 するた めに は交通 手段 ごとの 費用 を利用 者 で 加重平 均す る。 以下で 、こ れらに 関す る詳述 を行 う。

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4-3-2 ゾーン関連データ(発地データ)の整理 検討対象とするゾーンの年齢別人口の資料収集、ゾーン中心の設定、及びDID面積比 率の整理を行う。 (1) 年齢 階層別 ゾー ン人口 の整 理 施設 に対 する魅 力の 感じ方 、利 用の仕 方の 違いが 年齢 別に異 なる ことが 明ら かであ り 、 年 齢別 に 来 訪 需要 を 推 計 する と す れ ば、 表 4-6 でまとめた年齢階層別にゾーン人口を集計し ておく 必要 がある 。 整備さ れる 施設が 将来 にわた って 利用さ れ続 けるも ので あり、 かつ 、その 便益 を集計 し よ うとす れば 、将来 人口 の動向 も把 握して おく 必要が ある 。大規 模公 園マニ ュア ルでは 、 統 計 資料に 基づ く現況 人口 及び将 来の 推計人 ロデ ータを 集計 し、2 時点 におけ る人 口デー タ を 用 いて、 途中 年は線 形に 補完し て人 口につ いて の基礎 デー タとし てい る。 (2) ゾー ン中心 の設 定 発地に おけ る移動 の起 点はゾ ーン の中心 に設 定する もの とし、 具体 的には 役所 ・役場 の 所 在地が ゾー ン中心 設定 の目安 とな る。こ れは 、一般 に行 政機能 は各 自治体 のほ ぼ人口 中 心 に 近い位 置( 人口中 心) に所在 する ものと 考え られる ため である (実 際の人 口重 心は必 ず し も 役所の 位置 と一致 する わけで はな いが、 厳密 な人口 重心 を算出 する 費用を 軽減 するた め 、 近 似的に 同じ ものと 考え る)。 続い て、 ゾーン 中心 から幹 線道 路や最 寄り 駅まで 移動 する場 合の 距離、 所要 時間を 整 理 す る。こ れら の数値 はア クセス 費用 の算定 で必 要とな る。 (3) 都市 の人口 集中 地区面 積比 率の整 理 発地を ベー スとし たT CMに よる 評価を 考え る場合 、発 地にお ける 地域的 な環 境等が 他 の 地域や 施設 を評価 する 際の決 定的 な要因 とな る場合 も考 えられ る。 たとえ ば、 公園や 緑 地 等 を訪問 する 価値に つい て、人 口が 集中し てい る都心 の居 住者と 、緑 豊かで 人口 密度が 緩 や か な地域 の居 住者と では 、環境 質に 対する 魅力 の感じ 方、 利用の 仕方 が異な るで あろう 。 し た がって 、T CMで 評価 する際 にも 、社会 全体 の支払 意思 額を計 測す る立場 から 、発地 の 状 況 を考慮 して おく必 要が ある。 (4) 具体 的なデ ータ の取り 扱い 本解説 (案 )で用 いる TCM では 、これ らの 違いを 考慮 するた めに 、様々 な発 地の要 因 を 表す指 標を 整理し てお く。具 体的 に地域 の要 因を表 す指 標とし ては 、以下 のよ うなも の が 考 えられ る。 評価す べき 施設の 特性 に応じ て、 適切に 選定 してい く必 要があ る。 地域の 要因 を表す 指標 : 例1: DI D面積 比率 (=対 象各 ゾーン のD ID面 積を ゾーン 総面 積で除 して 求める 。) 2: 都市 公園面 積率 (=対 象各 ゾーン の公 園面積 をゾ ーン総 面積 で除し て求 める。) 3: 当該 環境質 の整 備量( =商 業施設 の延 べ床面 積等 )

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4-3-3 対象施設関連データ(着地データ)の種類 (1) 競合 施設の 抽出 と整備 施設 データ の整 理 計測対象となる施設および検討対象ゾーン内の人々が対象施設以外に利用することが考 えられる施設(競合施設)について、その規模、施設内容、施設利用費用に関する数値を 収集し、魅力値の整理、利用費用の整理を行う。 施設 に つ い て収 集 す る 情報 は 、 大 規模 公 園 を 例に 示 す と 表 4-5 のように、魅力7分類を 構成す る各 機能( 施設 )の規 模と 一回あ たり 利用料 金で 表され てい る。施 設の 種類及 び 規 模 の情 報 は 施 設の 魅 力 値 に、 ま た 料 金は 費 用 と して 考 慮 さ れて い る 。 また 規 模 は 表 4-5 に示 した単 位で 整理し 、料 金は1 人が 1時間 利用 する場 合の 料金に 換算 する。 表 4 -5 対 象 と す る 公 園 の 施 設 ・ 機 能 ( 例 ) 7 分 類 機 能 魅 力 3 分 類 1 園 路 広 場 広場(多目 的広場・芝 生広場) 2 修 景 施 設 庭園・花壇 ・水面積( 湖沼・池・ 滝・流れ) 3 休 養 施 設 キャンプ場 ・オートキ ャンプ場 自 然・空 間 系 の 魅 力 ボ ー ト フ ィ ー ル ド ア ス レ チ ッ ク 遊 具 ゾ ー ン ( ジ ャ ン グ ル ジ ム 等 ) 4 遊 戯 施 設 ア ミ ュ ー ズ メ ン ト ゾ ー ン ( 動 力 付 き 遊 具 ) プ ー ル / ア イ ス ス ケ ー ト サ イ ク リ ン グ テ ニ ス コ ー ト ト レ ー ニ ン グ セ ン タ ー / ジ ム パ タ ー ゴ ル フ 場 体 育 館( ア リ ー ナ 面 積 )※ プ ー ル 、ト レ ー ニ ン グ セ ン タ ー セ ン タ ー は 除 く 陸 上 競 技 場 サ ッ カ ー ・ ラ グ ビ ー 専 用 グ ラ ン ド 野 球 場 ( 野 球 、 ソ フ ト ボ ー ル な ど ) 5 運 動 施 設 ゲ ー ト ボ ー ル 場 施 設 系 の 魅 力 動 物 園 水 族 館 植 物 園 緑 の 相 談 所 野 外 音 楽 堂 ・ 野 外 劇 場 博 物 館 美 術 館 図 書 館 6 教 養 施 設 研 修 所 / 教 室 文 化 活 動 系 の 魅 力 展 望 施 設 ・ 休 憩 施 設 そ の 他 の 施 設 7 ホ ー ル ・ 集 会 場 等

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■集合 的に 利用さ れる 施設の 利用 費用に つい て 通常の 施設 であれ ば、 前述の よう に1人 1時 間あた りの 利用料 金が 利用費 用の 目安と な る。一 方、 サッカ ー・ ラグビ ー・ 野球・ テニ スのよ うに グラン ド単 位で、 複数 人員で 共 同 利用す る施 設につ いて は、目 的と するス ポー ツが実 施可 能な必 要最 低人数 で除 して 1 人当 たりの 料金 を算定 する ことも 行わ れてい る。 例)サ ッカ ーグラ ンド 利用の 場合 の費用 算出 方法 ○ 2時 間あた りの グラン ド利 用料金 3 000 円 ○ 必要 最低人 数 22名 ○ 1時 間・1 人あ たりの 利用 料金 68円 =3 000 円/ 22名 /2 時間 (2) 施設 の魅力 値整 理 施設の魅力値は、施設の施設規模を表す数値を用いて、機能別魅力指標の作成(施設容 量の算定)、魅力指標の統合化の手順で整理する。 1)機 能別 魅力指 標の 作成( 施設 容量の 算定 ) 施設の 魅力 は当該 施設 の規模(例 えば;利用 者容量(人 ))で表 す。前節で 収集 した施 設 の 規 模 が 広 さ の 単 位 ( ha、 m2) や 面 数 で 表 さ れ て い る 場 合 に は 、 施 設 規 模 に 利 用 者 原 単 位( 人/ha等)と最大稼働率を乗じて算定する(下記例を参照)。次に施設の魅力分類毎に 機能別 の容 量を合 算し て、施 設の 魅力指 標と して整 理す る。 例)サ ッカ ーグラ ンド の場合 ○グラ ンド 面数 3 面←既 知 ○利用 者原 単位2 2人 /回 ○最大 稼働 率 2回 /日 ○当該 サッ カーグ ラン ドの利 用者 容量( 魅力 指標) 3(面 )×22( 人/ 回)×2 ( 回/日 )= 13 2( 人/日 ) なお、 施設 がある こと は判明 して いるが 、規 模を表 す数 値が不 明な 場合に は、 一般的 な 規模の 数値 または 対象 とした 全施 設の平 均値 を入力 する ことで 代用 する。 2)魅 力指 標の統 合化 施設機 能を 7分類 の魅 力に集 約後 、モデ ルへ の適用 では 、さら に魅 力3分 類に 統合し て 計算を 行う 。施設機 能 と魅力 7分 類およ び3 分類の 関係 は、表 4-5 に示すとおりである 。

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(3) 施設 の利用 料金 の整理 施設の利用料金を用いて、年齢階層別の平均利用料金を算出する。 なお、当該施設およびその競合施設が利用料金を課していない場合、本項の事項は省略 できる。 1)施 設の 利用料 金設 定の考 え方 施設の 利用 料金を 用い て、年 齢階 層別の 平均 利用料 金を 算出す る。 施設に 整備 されて いる 様々な 環境 質に対 する 魅力は 、年 齢とと もに 変わる と考 えられ が 、 実際の 利用 回数も 、魅 力と同 様に 年齢階 層に より異 なっ ている と考 えられ る。 本解説 ( 案 ) では 表 4-6 にまとめるような5分類の年齢階層を設定した。以下では、施設料金の収集方 法と、 年齢 階層別 の平 均利用 費用 の算出 方法 につい て概 説する 。 表 4 -6 年 齢 階 層 年齢区 分 意味づ け 15歳 未満 子供 15歳 ~1 9歳 学生 20歳 ~2 9歳 独身 30歳 ~4 9歳 ファミ リー 層 50歳 以上 高齢層 2)施 設利 用料金 の整 理 施設種 別利 用単価 を整 理する 。多 くの場 合、 入園料 は年 齢別の 料金 体系と なっ ており 、 本分析 も年 齢階層 別に モデル を構 築して いる ため、 可能 な限り 上記 のよう な年 齢別に デ ー タ収集 をす る。一 方、料金体 系が 多岐に 渡り 、収集 作業 が煩雑 化す る可能 性の ある場 合は 、 パスポ ート チケッ トな どのよ うに 、もっ とも 多く販 売さ れるチ ケッ トの形 態を 尋ね、 そ の チケッ ト代 金を 1 人当たりの利用料金とする。一方、駐車場利用料金、入園料等がかかる 場合に つい てはこ れら のデー タに ついて も整 理を行 う。 3)年 齢階 層別平 均利 用費用 の算 出 2 )で 整理し た施 設の利 用費 用を用 いて 、年齢 階層 別に平 均利 用費用 を概 算する 。 施 設 に整備 され ている 様々 な環境 質に 対する 魅力 は、年 齢と ともに 変わ ると考 えら れ、実 際 の 利用回 数も 魅力と 同様 に、年 齢階 層によ り異 なって いる と考え られ る。し たが って、 平 均 的な 施 設 の 利用 費 用 は 、施 設 毎 の 利用 料 金 に 表 4-6 で示したような年齢階層別の利用ウ ェイト を乗 じた荷 重平 均とす るこ ととす る。

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4-3-4 アクセス経路・所要時間・費用(移動データ)の整理 ゾーン中心所在地から評価対象施設までの移動に関する所要時間、所用費用、交通手段 分担率等、移動に係わるデータを整理する。 (1) 所要 時間・ 費用 の算定 手順 移動に かか る費用 算出 は、下 記の 手順に 従う 。 1)所 要時 間の算 定 各ゾ ーンか らそ れぞれ のゾ ーン誘 致圏 内の施 設ま での最 短所 要時間 、所 要費用 を 移 動 手段別 に計 測する 。 2)所 要費 用の算 出 実際の 所要 費用と 時間 価値を 用い て金額 換算 した所 要時 間を足 し合 わせた 額を 「 移 動 費用」 とす る。 3)交 通手 段分担 を考 慮した 平均 移動費 の集 計 移動手 段別 移動費 用に 移動手 段・ 交通機 関の 利用比 率を 乗じて 、ゾ ーン- 施設 ( の 間 の平均 移動 費用を 算出 する。 (2) 所要 時間の 計測 移動手 段別 の所要 時間 を計測 する 。移動所 要 時間は、徒 歩、自転 車 、自動車、鉄道共 に、 所要時 間が 最短と なる 経路の 所用 時間と する 。 具体的 な算 出に際 して は、交 通手 段別に 以下 の方法 が使 われて いる 。 ◆徒歩 、自 転車の 移動 は平均 移動 速度を 用い る。 ◆自動 車の 移動速 度は 、道路 の種 別、地 域性 により 異な るため 、収 集が可 能な 範囲内 で 渋滞時 でな い速度 デー タを収 集す ること とす る。 ◆鉄道 は、 最寄り 駅ま での所 要時 間と時 刻表 に定め られ た所要 時間 を合算 して 求める 。 駅まで の所 要時間 は、徒歩・自転 車利用 とし て、施 設ま での所 要時 間を算 出す る場 合 と同様 に 表 4-7 の平均移動速度を用いる。 なお 、 施 設 が 表 4-8 に示すような一定距離内にある場合についてのみ徒歩、自転車 による 移動 が可能 とし 、施設 がこ の範囲 外に ある場 合は 、鉄道 や自 動車の み利 用でき る もの と す る 。徒 歩 ・ 自 転車 の 利 用 圏は 、 道 路 網な ど 地 域 性を 考 慮 に いれ 、 表 4-8 に示 した以 外の 設定を する ことも 可能 である 。

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表 4 -7 移 動 手 段 別 移 動 速 度 (km/h)ま た は 計 測 方 法 手段 速度( km/h) 根拠 徒歩 4.8km/h 男性の 平均 歩行速 度: 86.3m/分 女性の 平均 歩行速 度: 72.1m/分 (出典 ;阿 久津邦 男、 歩行の 科学 、不昧 堂出 版、1975) を用い て単 純平均 した もの 自転車 9.6km/h 歩行速 度の 2倍を 想定 鉄道 時刻表 値 最 寄 り 駅 ま で は 最 短 距 離 を バ ス を 使 っ て 移 動 す る こ と を 想 定 。 駅間の 移動 は、時 刻表 を用い た。 表 4 -8 徒 歩 ・ 自 転 車 移 動 の 移 動 可 能 な 距 離 移動距 離 利用可 能な 移動手 段 0km~ 1km すべて の移 動手段 が利 用可能 1km~ 3km 徒歩以 外の 移動手 段が 利用可 能 3km~ 徒歩・ 自転 車以外 の移 動手段 が利 用可能 (3) 所用 費用の 算出 移動に かか る実際 の費 用を、 移動 手段別 に整 理する 。 1)徒 歩・ 自転車 の移 動所要 費用 徒歩・ 自転 車によ る所 要費用 は自 転車の タイ ヤの摩 耗等 が考え られ るが、 ここ で は 考慮せ ず費 用はゼ ロと する。 2)自 動車 の移動 所要 費用 道路投 資の 評価に 関す る指針 (案 )によ れば 、走行 費用 原単位 は、 自動車 の走 行 す る際の 資源 消費量 を、 車種別 に路 面など の道 路条件 、走 行条件 、速 度等に 基づ く 技 術 的関係 式か ら求め てい る。 走 行 費 用 の 内 訳 は 燃 料 費 、 オ イ ル 、 タ イ ヤ ・ チ ュ ー ブ 、 車 両 整 備 ( 維 持 ・ 修 繕 )、 車両償 却の 5 項目に関し、車種別に道路条件と走行速度の関係で設定されており、自 動車1 台あ たりの 走行 費用原 単位 は、道 路種 別に表 4- 9のよ うに なって いる 。 なお、 評価 に用い る走 行速度 のレ ベルは 、実 勢速度 が既 知の場 合に は実勢 速度 を 適 用すべ きで あり、実勢 速度が 未知 の場合 には 制限速 度等 で代替 して もよい もの とす る 。

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表 4 -9 走行費用原単位 ① 一 般 道 路 ( 市 街 地 ) ( 単 位 : 円 / 台 ・ km) 速 度 (km/時 ) 乗 用 車 バ ス 乗 用 車 類 小 型 貨 物 普 通 貨 物 5 30.50 94.49 31.85 39.73 77.31 10 21.75 78.77 22.94 35.77 61.19 15 18.74 73.07 19.88 34.27 54.82 20 17.19 69.94 18.30 33.41 51.01 25 16.23 67.88 17.32 32.82 48.31 30 15.58 66.41 16.65 32.38 46.26 35 15.11 65.31 16.16 32.05 44.63 40 15.04 65.03 16.09 31.93 44.09 45 15.03 64.89 16.07 31.86 43.74 50 15.07 64.89 16.12 31.84 43.59 55 15.16 65.03 16.21 31.86 43.65 60 15.31 65.31 16.36 31.92 43.94 ② 一 般 道 路 ( 平 地 ) ( 単 位 : 円 / 台 ・ km) 速 度 (km/時 ) 乗 用 車 バ ス 乗 用 車 類 小 型 貨 物 普 通 貨 物 5 23.68 72.40 24.70 30.22 59.40 10 16.78 60.38 17.69 27.23 48.24 15 14.39 55.90 15.26 26.05 43.51 20 13.14 53.37 13.98 25.35 40.51 25 12.35 51.67 13.18 24.85 38.29 30 11.82 50.43 12.63 24.48 36.54 35 11.42 49.48 12.22 24.18 35.12 40 11.31 49.12 12.11 24.05 34.47 45 11.26 48.88 12.05 23.95 33.99 50 11.24 48.78 12.03 23.90 33.70 55 11.28 48.80 12.07 23.88 33.60 60 11.35 48.94 12.14 23.91 33.69 注 1) 平 成 15 年 価 格 注 2) 設 定 速 度 間 の 原 単 位 は 直 線 補 完 に よ り 設 定 す る 。 注 3) 60km/ h を 超 え る 速 度 に つ い て は 60km/ h の 値 を 用 い る 。 ③ 一 般 道 路 ( 山 地 ) ( 単 位 : 円 / 台 ・ km) 速 度 (km/時 ) 乗 用 車 バ ス 乗 用 車 類 小 型 貨 物 普 通 貨 物 5 21.60 65.64 22.52 27.32 53.94 10 15.26 54.74 16.09 24.63 44.29 15 13.06 50.64 13.85 23.55 40.06 20 11.90 48.30 12.66 22.89 37.31 25 11.17 46.71 11.92 22.43 35.23 30 10.67 45.53 11.40 22.07 33.58 35 10.30 44.64 11.02 21.79 32.23 40 10.18 44.25 10.89 21.64 31.54 45 10.11 43.98 10.82 21.54 31.02 50 10.08 43.84 10.79 21.48 30.69 55 10.09 43.83 10.80 21.46 30.54 60 10.15 43.93 10.86 21.47 30.58 ④ 高 規 格 ・ 地 域 高 規 格 道 路 ( 単 位 : 円 / 台 ・ km) 速 度 (km/時 ) 乗 用 車 バ ス 乗 用 車 類 小 型 貨 物 普 通 貨 物 30 6.88 29.53 7.35 14.19 23.74 35 6.65 28.92 7.12 13.98 22.78 40 6.49 28.45 6.95 13.82 21.98 45 6.37 28.10 6.83 13.69 21.34 50 6.29 27.85 6.74 13.60 20.87 55 6.25 27.71 6.70 13.55 20.55 60 6.23 27.68 6.68 13.53 20.41 65 6.25 27.74 6.70 13.54 20.44

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70 6.30 27.91 6.75 13.59 20.64 75 6.38 28.19 6.84 13.68 21.02 80 6.50 28.58 6.96 13.81 21.59 85 6.65 29.09 7.12 13.97 22.36 90 6.85 29.74 7.33 14.18 23.36 注 1) 平 成 15 年 価 格 注 2) 設 定 速 度 間 の 原 単 位 は 直 線 補 完 に よ り 設 定 す る 。 注 3) 90km/ h あ る い は 60km/ h を 超 え る 速 度 に つ い て は 、 90km/ h あ る い は 60km/ h の 値 を 用 い る 。 出 典 ) 道 路 局 、 都 市 ・ 地 域 整 備 局 費 用 便 益 分 析 マ ニ ュ ア ル (H15.8) 3)鉄 道利 用移動 費用 鉄道 を利用 して 施設を 訪れ る場合 の所 要費用 は、 下記費 用の 合計と する 。 ・ゾー ン中 心から 最寄 り駅ま での 移動費 用 ・鉄道 利用 料金 ・施設 最寄 り駅か ら施 設まで の移 動費用 なお、 鉄道 を利用 可能 かどう かの 判断は 、現 地に精 通し た分析 対象 者が、 ゾー ン ま た は施設 から 最寄り 駅ま での距 離や 利便性 を考 慮して 判断 するの が適 当であ る。 ゾーン 中心 または 施設 から最 寄り 駅まで の移 動は、 所要 時間を 算出 した場 合と 同 様 の交通 機関 を利用 する ことと して 算出す る。 (4) 移動 手段別 移動 費用の 算出 移動に かか る所要 費用 と金額 換算 した所 要時 間を合 算し て、移 動費 用を算 出す る。 所要時 間の 金額換 算は 、所要 時間 に時間 価値 を乗じ て算 出する 。 時間価 値と は個人 の単 位時間 を金 額換算 した 値であ る。 本来は 個人 の所得 や労 働時間 の違 いなど によ り時間 価値 は異な るも のでは ある が、モ デ ルをで きる だけ簡 便化 するた めに 、時間 価値 を国民 所得 の実労 働時 間で除 して 算出し 、 年 齢階層 に関 係なく 一律 この時 間価 値(平 成1 5年度 の場 合35 .6 円/分 )を 適用す る。 (5) ゾー ン一施 設間 の平均 移動 費用 上記で 求め た移動 手段 別移動 費用 に、移 動手 段・交 通機 関の利 用比 率を乗 じて 、平均 移 動費用 を算 出する 。 移動手 段・ 交通機 関の 利用比 率は 、実際 の機 関別交 通量 から求 めた 交通機 関選 択を適 用 するの が望 ましい 。 分析対 象範 囲が広 範囲 にわた るた めに、実際 の交通 機関 選択率 が取 得でき ない 場合に は 、 パーソ ント リップ 踏査 等の既 存の 調査結 果か ら選択 比率 を下記 の選 択率を 適用 する。 表 4-1 0 は地域性( DID面積 率)とアク セス可能な 施設の数を 考慮した移 動手段選 択率で ある 。

(22)

表 4 -1 0 D I D 別 移 動 手 段 別 選 択 率 手段 選択率 DID(%) 利用施 設数 徒歩 自転車 鉄道 自動車 100 40 以上 30% 20% 18% 32% 100 40 未満 32% 15% 16% 37% 50~ 100 40 以上 20% 19% 12% 48% 50~ 100 40 未満 8% 11% 10% 71% 30~ 50 数によ らな い 12% 18% 10% 60% 30 未満 数によ らな い 5% 8% 8% 79% ※出典 :建 設省実 施に よる公 園利 用者ア ンケ ート調 査に よる結 果

(23)

4-4 施設の需要予測モデル(需要関数)の推計 需要関数は、年齢別、地域別等の階層別に算出されたそれぞれの階層別に、個人を基本 とした施設利用の需要予測モデル(需要関数)を作成する。その後、個人の需要モデルを 階層の規模や競合施設との関係から全体需要を推計する。 4-4-1 需要予測モデルの考え方 施設の利用需要は、施設の状況、競合施設の状況、周辺地域の状況を反映できる個人を 単位として予測する。この段階で推計される需要予測モデルはそれぞれの改造に属する代 表的な個人の行動を記述することが必要となる。 (1 )施 設の内 容に 応じて 需要 が変化 する 新 規施設 の需 要は、 施設 にどの よう な設備 が整 備され るか によっ て異 なる。 よ り 魅 力的な 施設 を整備 すれ ば需要 の増 加は当 然の ことで ある 。した がっ て、需 要予 測 モ デ ルでは 、新 規施設 の整 備内容 に応 じて、 需要 の変化 が推 計でき る必 要があ る。 (2 )周 辺地域 の同 質環境 の整 備状況 に応 じて需 要が 変化す る 新規 施設 の 需要 は、 整 備前 の周 辺 地域 の施 設 整備 状況 に よっ て変 化 する こと が 考え られる。既 に周辺 に多 くの施 設が 整備さ れて いる地 域と 、周辺に ま だ十分 な施 設が整 備され てい ない地 域と を比べ ると 、後者 の方 に需要 が多 くなる こと が予想 され る。 需要 予測 モ デル はこ の よう な周 辺 地域 の施 設 整備 状況 に 応じ て変 化 する モデ ル であ る必要 があ る。 (3) 周辺 地域特 性に 応じて 需要 が変化 する さらに 新規 施設の 需要 は、周 辺地 域が人 口の 集中し た都 市部な のか 、土地 にあ る 程 度のゆ とり がある 地域 なのか によ り、施 設の 利用の 形態 が異な って くるこ とも 考 え ら れる。 需要 予測モ デル は、こ のよ うな周 辺地 域特性 も考 慮する 必要 がある 。

(24)

4-4-2 需要推計モデル 本解説(案)で使用する需要推計モデルは、アクセシビリティとゾーン特性によって推 計されるモデルの形態を想定する。 (1) 推計 モデル 需要 推計 モデル は、 次のパ ーツ で構成 され ている 。 ①各ゾ ーン の施設 の利 用しや すさ (アク セシ ビリテ ィ) の算出 <式 1> ②1 人当たりの需要算出<式2> ③ゾー ン全 体の需 要( 総年間 利用 回教) 推計 <式3 > ④ゾー ン別 個別施 設の 需要( 総年 間利用 回数 )推計 <式 4> (2) 需要 推計モ デル の形 本解説 (案 )で用 いて いる施 設の 需要推 計モ デルは 、下 記の式 で表 される 。 ①各 ゾー ンの施 設の 利用の しや すさ( アク セシビ リテ ィ)の 算出 <式 1> 各ゾー ンの 施設に 対す る利用 のし やすさ を近 接性( アク セシビ リテ ィ)で 表す 。 アクセ シビ リティ は、 3つに 大別 した施 設の 魅力を 施設 利用に かか る費用 で除 し た 形 をと る 。 施 設の 魅 力 と 機能 の 対 応 およ び パ ラ メー タ の 相 対関 係 は 表 4-12 に示すとお りであ る。 β α α α ij jz jy jx ijk

V

M

M

M

A

(

)

3 2 1

+

+

=

・ ・・ ・・・ ・・ ・・・ ・・ ・・( 式1 ) ijk A :ゾー ン i 年令区分 k の公園 j のアクセシビリティ 3 2 1 j j j jx M M M M = + + :自然 空間 系の魅 力 5 4 j j jy M M M = + :施設 系の 魅力 7 6 j j jz M M M = + :文化 活動 系の魅 力

β

α

α

α

1

,

2

,

3

,

: パラ メータ ( 表 4-12 参照) ij V :ゾー ン i 公園 j 間の移動費用 ※ 表 4-5 で示した施設の7大分類を3分類に集約化し、 表 4-1 2 に示すように3つの 魅力パ ラメ ータ( αl ~α3 )を 想定し てい る。 ②1 人当たりの需要(1 人当たり年間利用回数)推計<式2> 需要推 計の モデル 式は 、施設 への 近接性 (ア クセシ ビリ ティ) と地 域の特 性を 表 す D ID面 積比 率で表 され る。な お、 ここで は都 市公園 が評 価の対 象で あるた め、 都市内 緑 化空間 の需 要は建 物や 人口の 密集 度合い と相 関が高 いも のと判 断し 、地域 特性 の項目 に DID 編関 比率が 用い られて いる が、評 価対 象施設 の訪 問と相 関の 高い他 の地 域内要 因

(25)

が考え られ 、かつ デー タの収 集も 用意で あれ ばその 項目 を加え るか 、ある いは 置き換 え てもよ い。 ここで は、ゾーン iの 全対象 施設(分析 対象 とする 施設 と競合 施設 )に対 する 需要( 1 人当た り年 閤利用 回数 )は、 当該 ゾーン のア クセシ ビリ ティと DI D面積 比率 によっ て 表され るも のと考 えて いる。

の人口集中地区面積比

ゾーン

     

12参照)

γ:パラメータ(表2

     

のアクセシビリティ

年令区分

ゾーン

     

利用回数

の一人あたり年間公園

年令区分

ゾーン

     

式2)

    ・・・・・(

γ・

i

DID

C

k

i

A

k

i

d

DID

A

C

d

i ik ik i ik ik

:

,

:

:

+

=

③ゾー ン全 体の需 要( 総年間 利用 日数) 推計 <式3 > 式1で 得ら れた 1 人当たり年間利用回数にゾーンの人口(年齢階層別)を乗じて、ゾ ーン全 体の 需要( 総年 間利用 回数 )を算 出す る。

の人口

の年令区分

ゾーン

     

利用回数

の一人あたり年間公園

年令区分

ゾーン

     

の年間公園需要

年令区分

ゾーン

     

・・(式3)

       ・・・

k

i

P

k

i

d

k

i

D

P

d

D

ik ik ik ik ik ik

:

:

:

×

=

④ゾー ン別 個別施 設の 需要( 総年 間利用 回数 )推計 <式 4> ゾーン 別個 別施設 の需 要は、 ゾー ン全体 需要 をゾー ン- 施設間 のア クセシ ビリ テ ィ 比 率で配 分す る。

=

=

j ijk ik ik ijk ik ijk ik ijk

A

A

k

i

A

j

k

i

D

A

A

D

D

      

のアクセシビリティ

年令区分

ゾーン

     

の需要(回/人)

の公園

年令区分

:ゾーン

     

・・(式4)

       ・・・

:

(3) パラ メータ 施設利 用実 態(ア ンケ ート調 査に より入 手) を用い て、 需要推 計モ デル式 の各 パラメ ー タ( α 、 β 、γ 、 C ) を推 計 し た 結果 が 表 4-12 である。分析対象施設の需要推計を実 施する 際は 、この 数値 を適用 する 。

(26)

参考) アク セシビ リテ ィにつ いて アクセ シビ リティ とは 、施設 の魅 力を施 設ア クセス や利 用にか かる 費用で 除し た指標 で あり、 アク セス可 能な 距離に 存在 する施 設の 魅力が 高い ほど、 ある いは魅 力の 高い施 設 に 近いほ ど、 アクセ シビ リティ は高 くなる 。こ の指標 は、 先の特 徴で 述べた 新規 施設に 整 備 される 内容 、周辺 施設 の整備 状況 やアク セス にかか わる 交通条 件等 を表す 指標 である 。 施設の 配分 率は、 当該 ゾーン から 個別施 設へ のアク セシ ビリテ ィの 比で表 され る。新 し い施設 が供 用開始 され ると、 配分 率が変 更さ れ、既 存施 設から の転 換需要 と新 規に発 生 し た需要 が発 生する 。 このよ うな 計算手 順に より、 ある ゾーン にお ける全 体の 施設需 要の 増加量 の推 定も可 能 であり 、合 わせて 検討 対象施 設の 供用に より 、既存 の施 設への 利用 者数が どの 程度減 少 す るかに つい ても計 算す ること が可 能であ る。 また同 一自 治体で 複数 の施設 を計 画して いた り、周 辺自 治体で も新 たな施 設を 計画し て いたり した として も、 これら の施 設を競 合施 設とし て捉 えるこ とに より、 距離 と魅力 度 の 関係を もと に分析 する ことが 可能 である 。 よって 、仮 に近接 する 自治体 同士 で施設 の整 備計画 をた ててい たと しても 、原 単位法( 後 述)な どに よる競 合関 係の含 まれ ない手 法に 比べ、 本モ デルで は需 要の過 大評 価を避 け る ことが でき る。

(27)

4-4-3 需要予測モデルの推計手順 需要予測モデルの推定手順は、概ね以下の手順で実施される。 (1)モデル推計のためのデータ収集 (2)収集データをもとにした個人需要予測モデルのパラメータ推計 (3)個人の需要予測モデルをゾーン全体に拡大し、さらに競合施設との関連を考 慮して当該施設の需要量を把握する。 なお、年齢階層別に施設の利用動向が異なることが考えられることから、モデルは表 4-12に示した年齢階層別に作成する必要がある。 (1) モデ ル推計 のた めのデ ータ 収集 需 要予 測モデ ルを 推計す るた めに、 デー タ収集 を行 う。デ ータ 収集の 手法 につい て は 、 概ね 表 4-11 のような手法が考えられる。 表 4 -1 1 デ ー タ 収 集 の 手 法 項 目 手 法 施 設 の 魅 力 ・ 対 象 地 域 内 に お け る 関 連 施 設 ( 競 合 施 設 ) の 数 は 現 地 調 査 等 に よ り カ ウ ン ト す る 。 ・ 個 々 の 施 設 の 魅 力 度 に つ い て は 、 4 -3 -3 で の 記 述 内 容 を も と に 設 定 す る 。 ・ ゾ ー ン と 施 設 の 間 の 移 動 ル ー ト を 想 定 し 、 ル ー ト を 移 動 す る 上 で 要 す る 費 用 を 設 定 す る 。( 詳 細 は 4 -3 -4 参照) ゾ ー ン 間 の 移 動 費 用 ・ 施 設 利 用 費 用 は ゾ ー ン 間 移 動 費 用 に 含 め る 。 ・ 対 象 地 域 内 で の ア ン ケ ー ト 調 査 に よ り 実 態 を 把 握 す る 。 1 人 あ た り 年 間 施 設 利 用 回 数 ・ 年 齢 、 層 別 で の 特 性 を 把 握 す る た め 、 ア ン ケ ー ト 調 査 で は 回 答 者 が ど の 層 に 属 す る か の 情 報 も 合 わ せ て 収 集 す る 。 ・ 評 価 対 象 施 設 の 訪 問 回 数 と 密 接 な 関 係 を 持 つ と 考 え ら れ る 項 目 の 、 ゾ ー ン 内 で の 存 在 量 に 関 す る デ ー タ を 収 集 す る 。 ( D I D 面 積 比 率 で あ れ ば 、 D I D 人 口 及 び D I D 面 積 ) ゾ ー ン 特 性 ・ 事 前 に 想 定 し た 階 層 が 、 地 域 ( ゾ ー ン ) 全 体 に 占 め る シ ェ ア を 統 計 資 料 等 か ら 抽 出 、 整 理 す る 。 階 層 別 数 量 ( 区 分 年 齢 別 人 口 ) (2) 個人 需要予 測モ デルの パラ メータ 推計 上記 によ って収 集し たデー タを もとに 、個 人需要 予測 モデル のパ ラメー タを 推計す る 。 パラメ ータ の推計 はア ンケー ト調 査によ って 得られ たサ ンプル デー タを( 式2 )に適 用 し 、 回帰分 析な どによ って 行う。 なお、 需要 予測モ デル に用い るパ ラメー タに ついて は、 基本的 には データ 収集 が容易 な も のから 抽出 するほ うが 推計し やす い。し かし 、需要 予測 モデル の精 度を確 保す るため に は 、 各パラ メー タがど の程 度の説 明力 を持つ かに ついて t値 等の統 計量 で確認 する 必要が ある 。

(28)

(3) 対象 施設の 需要 の集計 上記の 結果 を基に 、( 式3)、(式 4)を 適用 するこ とで 、評価 対象 施設の 需要 の総量 を 算 定する 。 (4) 推定 の具体 例 いま、 3つ の施設 Pa 、Pb 、P cの誘 致圏 に入っ てい るゾー ンが ある。 この ゾーン 周 辺に新 規施 設Pd が検 討中で ある とする 。 検討対 象施 設供用 前は 、この ゾー ン全体 の施 設需要 は利 用可能 施設 Pa、 Pb 、Pc の それぞ れの アクセ シビ リティ Aa 、Ab、A cの合 計値 Aall 及びこの地域のDID率から 利用可 能し やすさ の合 計値D all が算出され、各競合施設それぞれの需要は各施設までのア クセシ ビリ ティA a 、Ab 、A c の比に より Da 、D b 、D cと 算 出され る( Dall=Da +Db +D c)。 一方、 検討 対象施 設の 供用に より 、この ゾー ン全体 の施 設需要 は既 存施設 A、 B、C の ア ク セ シ ビ リ テ ィ に 検 討 対 象 施 設 の ア ク セ シ ビ リ テ ィ A d を 加 え た も の A ’all (Aall+ Ad) 及びこ の地 域の DID 率からの合計値からD’all と算出され、各施設の需要は、供用後の ア ク セ シ ビ リ テ ィ A a,A b,A c,A d の 比 に よ っ て そ れ ぞ れ D ’a,D ’b,D ’c,D ’d と 算 出 さ れ る (D ’all=D ’a+D ’b+D ’c+D ’d) 上記の 過程 の中で 推計 された(式 1)~(式 4 )のパ ラメ ータ値 の一 例を示 すと 、表 4-1 2 のよ うに なる。 表 4 -1 2 需 要 推 計 モ デ ル の パ ラ メ ー タ 推 計 結 果 年齢1 15 歳~ 年齢2 20 歳~ 29 歳 年齢3 30 歳~ 49 歳 年齢4 19 歳 50 歳以 上 費用 β 1.73 0.84 0.99 1.22 アクセ シビ リティ C 15.12 0.01 2.19 1.75 DID γ 2.04 0.29 0.81 1.65 自然空 間系 の魅力 α1 0.58 0.63 0.30 0.48 施設系 の魅 力 α2 0.76 0.61 0.45 0.55 文化活 動系 の魅力 α3 0.09 0.73 0.27 0.10 ※15 歳未満はファミリーで行動するものとし、年齢3と同じモデルとした

(29)

4-5 便益の推計 直接利用による直接利用価値(便益)を算出する。はじめに単年度の便益算出を行い、 次にプロジェクトライフ期間中の便益を算出する。 4-5-1 単年度便益の算出 評価対象施設について推計された需要関数について、当該位置に整備された状態から対 象ゾーン内で最も遠い位置に整備された状態までの間を消費者余剰と捉え、需要関数間を この間で積分(台形面積の合計)することにより、当該施設が整備されることにより地域 全体で発生する1年間の便益を算出する。 (1) 算出 の考え 方 単年度 便益 は、利 用者 分類別 ゾー ン別に 先に 示した 需要 推定モ デル を用い て、 消費者 余 剰分 を 計 測 し、 こ れ ら を足 し 合 わ せる こ と に よっ て 算 出 する 。 消 費 者余 剰 と は 、 図 4-2 のよう な需 要曲線 の斜 線の部 分に あたる 。な お、モ デル の特性 上、 旅行費 用の 上限値 を 定 める必 要が あるが 、こ こでは 検討 対象ゾ ーン の旅行 費用 の最大 値( 同じ施 設が 対象ゾ ー ン の最も 遠い 位置に 整備 された 状態 )を上 限値 とする こと とする 。 需要 需要曲線 費用 X1 (実際の需要) (上限)   Yu 実際の費用   Y1 P1 需要 需要曲線 費用 X1 (実際の需要) (上限)   Yu 実際の費用   Y1 P1 図 4-2 需要曲線と生じる便益の範囲 (2) 実務 上の便 益算 出方法 上記の 方法 で実際 に消 費者余 剰分 を算出 しよ うとし た場 合、計 算が 膨大に なっ てしま う ことか ら、 ここで は、 下図の よう に実際 の旅 行費用 と旅 行費用 の長 大値間 を1 0等分 し そ れぞれ の台 形で近 似し 、これ らの 台形の 合計 面積に より 消費者 余剰(=便 益)を算定 する 。

表  4 -7   移 動 手 段 別 移 動 速 度 (km/h)ま た は 計 測 方 法   手段  速度( km/h)  根拠  徒歩 4.8km/h  男性の 平均 歩行速 度: 86.3m/分  女性の 平均 歩行速 度: 72.1m/分  (出典 ;阿 久津邦 男、 歩行の 科学 、不昧 堂出 版、1975)  を用い て単 純平均 した もの  自転車 9.6km/h  歩行速 度の 2倍を 想定   鉄道  時刻表 値  最 寄 り 駅 ま で は 最 短 距 離 を バ ス を 使 っ
表  4 -9   走行費用原単位  ① 一 般 道 路 ( 市 街 地 )                                 ( 単 位 : 円 / 台 ・ km)  速 度 (km/時 )  乗 用 車   バ ス   乗 用 車 類   小 型 貨 物 普 通 貨 物   5  30.50 94.49  31.85  39.73 77.31  10  21.75 78.77  22.94  35.77 61.19  15  18.74 73.07  19.88  34.27 54.82
表  4 -1 0   D I D 別 移 動 手 段 別 選 択 率   手段  選択率  DID(%)  利用施 設数   徒歩  自転車 鉄道  自動車  100 40 以上  30% 20% 18% 32%  100 40 未満  32% 15% 16% 37%  50~ 100 40 以上  20% 19% 12% 48%  50~ 100 40 未満  8% 11% 10% 71%  30~ 50  数によ らな い 12% 18% 10% 60%  30 未満   数によ らな い 5% 8%

参照

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