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巻頭言

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Academic year: 2022

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(1)巻頭言 小林英夫 2002年3月,アジア太平洋研究センター教授依田嘉家教授は満70歳を迎え36年におよぶ早稲田大 学での研究。教育活動にひとまず区切りをっけられることとなった。70歳になられた今日でも,いまな お知識欲,気九 体力いずれもわれわれを凌ぐものがあり,まだまだ第‑線で活躍していただきたかっ たというのが関係者一同の心からの願いであった。しかしながら,定年制度もあり,ここで残念ながら 公的な形では本センターとは"お別れ"の日を迎える事となった。 依田先生は, 1957年早稲田大学第一文学部史学科日本史専攻を卒業後津田塾大講師を経て66年早稲 田大学社会科学研究所助手に就任,以来現在まで早稲田マンとして母校の発展のために尽力された。特 に先生の中Egへの思いと中質人留学生・研究者への想いは強く,先生が育て上げた中国人研究者は十指 に余る。中国を訪問し,大学人と会うたびに「依田先生はいかがされていますか?」と尋ねられること はしばしばあった。先生が南開大学から歴史学博士の学位を授与されたのも,復旦大学顧問教授,北京 大学客座教授をされているのもそうした中国との繋がりがLからしめたものであるといえよう。 依田先生の経歴,研究業績については先生御自身の手からなる詳細な記録が本誌に収められている。 先生の研究の中心は,日本近代史にあった。しかも地主制研究と言う,当時としては大変オーソドック スな日本史研究の王道を閥歩されていた。 しかし先生はそこにとどまることなく,植民地研究,近代中国史研究へとその射程を延ばされて最終 的には日中近代化比較という視座に到着された。また先生は翻訳業績も数多く,厳中平『中国綿紡織史 稿』をはじめ世に知られたものも少なくはない。 「翻訳業は私の趣味」だといって楽しんでおられたと思 う。. 先生は,外見に似合わずおしゃれで(それも人目につかないところに気を使っておられた),またパソ コンなど近代兵器を駆使されて生活を楽しまれていた。 「それはなんだな‑」などと江戸ベンを使うとこ ろが先生の先生たる所以だった。 依田教授はどちらかといえば古いタイプに属する先生で,世俗的なことなどどこ吹く風,と聞き流し, 御自分のお好きなことに熱中されるスタイルだった。作品は多作ではないが,しかし依田先生ならでは の渋い味のある論文が多かった。そのスケールの大きさは,日本人的というよりは,大陸的で,その分 おおらかだった。いずれにしても依田先生のご退職は,早稲田大学の一つの時代の終わりを意味するよ うに患う。 「長いあいだご苦労様でした」といいっつも,寂しさはおさえ切れない。先生には,いっまでもお元気 でわれわれ後輩を引き続き励まし,叱噂下さることを心からお願いする次第である。最後になってし まったが,先生の益々のご壮健とご精学を大学院。センターの教職員をはじめ関係者‑同心より念願す る次第である。 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科委員長. ‑. 1. ‑.

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