【論 文】 UDG ;624
.
072 :624,
04 ;516.
3 日本 建築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集 第 394 号・
昭 和 63 年12月実 規 模 鋼 構 造 骨 組
の
3
次 元 非 線 形
解析
への
ス ー
パ
ー
コン
ピ
ュー
タ
の
応 用
正 会 員 正 会 員和
田久
保 田
英
*章
料之
1.
序 論’
こ の 25年 間,
構 造 解 析 技 術の進 歩および適 用 範 囲の 拡 大は電 子 計 算機の能 力の向上に支え ら れて き た とい え る。
こ のよ う な印 象は20
年前,
10 年前にも その時 代な りにあっ たもので あ る が, 特に最 近の計算機 能力の高ま り に は 目 を見 張る もの が あ る。
過去 をふ り返 っ て感 じ る この印 象は 10年 後,
20年 後に もその 時 代な りに さらに 強いもの と な る と考え る。
こ の よ う な勢い の計 算 機 能 力 の向 上は, 単に構造 解 析 技 術の進歩を支 えるとい う よ う なことでは な く,
いずれ は構 造 設 計に お け る構 造 解 析の 意味付け まで変え て し ま う可能性が あ る。 力学理論に基づき陽な形で表さ れ た解析解は, 定 量 的 だ けでな く定性的にも構 造 物の 力学 的性質をつか むこ と が できるた め最も望ま しい もの である。 しか しさま ざま な部 材 を組み立て る ことに よっ て作られ る建 築 物の挙 動 を非 線 形 性 状 まで含 めて陽な形で表 すことは不 可 能で あ る。 そのため,
各 種の外乱 を受ける構 造 物の挙動 を知る た めには,
電 子計算 機を用い た数 値 解析が有 効と な る。 大ス パ ン構造,
最近の高 層 ビル等で はこれ ら の解析技 術の向上 と あい まっ て 設計 者は次 第に自 由で複 雑な 形 態・
構造を欲す る よ うにな り, 現在設計さ れてい る建物 の中に は,・
かつ ての単純なモ デル化で は実現 象 を表せ な く なっ ている もの も登 場 してい る。
こ の よ う な大規模な 構造 物に対 して は実 大実験を行うこと は当然 不 可能であ り,
計算機の中で数値 解析を行い実挙 動を予測し な が ら 設 計を行わ ざるを得ない。 著 者の一
人は昭 和 48年に平 面 骨 組,
昭和 50年に立 体 骨組につ いて,
繰り返 し荷重 を受け る場合の鋼構造骨組 につ い て 幾 何 学的非 線 形性お よ び 鋼 材の材料非線形性を 考 慮し た非線形構造 解 析 法に関する論文を 発表した]}・
Z)。
そ れ ぞ れ,
解い た例 題は1層 1ス パ ン の筋 違 付 骨 組と小 規 模な構 造 物で あっ たが,
論 文を発 表し た時 点におい て 使 用で きる計 算 機の能 力を精一
杯 使い,
数 時 間以 上のCPU
時 間を要して数 値 計 算を行っ たもの であ る。 当 時 の計 算機の性能を考慮す る と,
そこ で用い た理 論は精密 拿 東京工業大 学 助 教授・
工博 41 東 京 工 業 大 学 大 学 院 生 〔昭和63年7月10日原 稿受理) す ぎる た め実 用的でな く研究用で あ る と思わ れて も仕 方 ない状 況で あっ たこ と は確かで あ る。 これ らの論 文を発 表し た後に も,
鋼構造 骨 組の解 析法 に関す る論 文は次々 と発 表さ れ,
こ こ で扱っ た例 題 を検 証 用に取り上 げてい る論文も多い (た とえば文献 3 ), 4 ))。 ただし, ほと ん どの論 文の主 旨は本 格 的な規 模の建 物の解 析 を行うため に は簡 略 化 した理 論が必 要であるとい うことにあり,
計 算速 度の 向上, 適 用 範 囲の拡 大が可 能になっ た こと を結 論 とし てい ることが多い。 簡 略 化し た理 論が必 要と なる背 景に は, 当 時の計 算 機 能力の貧弱さがあっ た。
し か し, 現代の計算機は パー
ソ ナルコ ンピュー
タ で さ え当 時の大 型 計算機並みの速 度 と 容量 を持つ よ うになっ てい る。
進歩の速さを考える と, 計算機能 力の貧弱 さ を 理由に理論を簡略化する こ と はも はや必 要ない と考える。
数 本の部 材からな る小 規 模 な 構 造 物 を扱っ て いた場合 に は精 度・
収 束 性・
計 算 時 問 等で特に問 題と な ら な かっ た理 論・
プロ グラム の アル ゴ リズム が,
その ま ま その積 み重ね と繰り返し に よっ て実規模の問題へ 適用 で き る と は 限 ら ない。
例え ば 連立 1次方程 式の求 解に必要な記 憶 容量・
計算 時 間はそれ ぞれ元 数の 2 乗・3
乗に比例して 増加す る。
こ のほ かにも大規模な問題 を解く た めには精 度の 確 保・
収 束 性の向 上が 必要と な る。 単に計算機の性 能向上に頼っ てい る だ けで は実規模の構 造 物の非線形 解 析を実行す ること は難しい。 本 研 究の 目的は最近特に進 歩の 激 し い スー
パー
コ ン ピュー
タの性 能を有 効に生か し,
実 規 模 構 造 物の非 線 形 解析を可能に す る た め に解 決し な く て は な ら ない上記の 問 題 と その解 決 方 法を 明 ら かにす るこ と,
お よ び 高い 精 度を持っ 理論 を実 規模の構 造物の非線形 解 析に適用 し た 場 合に,
実 験 だ けで は得 られない構 造 物の 力学 的 挙 動に つ い て得 られ る情 報が数 多くある ことを 示すこ とであ る。2.
計 算機 能 力の進 歩 計 算 機の性 能の 時 代変化を表 す 具 体 例とし て,
過 去 ユ6年 間の 東 京工業 大 学 総 合 情 報 処 理セ ンター
お よ び最 近の東 京 大 学 大 型 計 算 機セ ンター
に設 置された主 力 計 算 機の性 能 表 (表一
1) を 用い,
連 立1次 方 程 式の解 を得一
94
一
表
一
1(a) 歴 代の計 算 機一
覧 (東 京工業 大学総 合情報処理 セン ター
)百
.
一
旨 鬥FしDPS (黼
記嬲
ブ イス 置決 め 時 間 ア イス ロ 転 待 ち 時 間 アー
速 度 1 トラッ ク 記 憶容 量 困 」1972.1H ・
8500
0.
10
.
25
7 』_
燈6 35251972.
10
日・
8700
幽
0.
40
.
211 .
05
75 12.
5
312 72941977.1
鬥一
180
1.
31
.
0
25
8.
4
806
13030 1980.
10 鬥・
200H10
3.
0
25
8.
4
806
13030
ア財 デ囗セッサ・
,
一
■
・
⊥ 坦 レ、
・、
1983.
8 鬥・
280同 20 4.
018
8.
41198
19069 ア回 プ吐ッサ・
1987.
12 鬥一
280H20 5.
0 17 8.
33000 47476 アレィフ 吐・
必1
,
一
.
鈍o3
ΩΩΩ 皇遭6
1988.
4SUN4/2806128 1988.
10ETAlO /E30032
(500
) スー
バー
コンビュー
9 1CPUあ た り 計8CPUFL PS:1 の彳 ハ
,
、
了 回64bit
了,
門F
しOPS
=10
FLOPS
表
一
1(b)最 近の計 算 機一
覧 (東 京 大 学 大 型 計 算 機セ ンター
主 システム) 言 門FLOPS
詈 卜1冒
困 1982.4
門280H20
7.
0
ルイフOtッサ・
1983.
US810
/20630 1.
516一
スー
バー
コンビr9 1985.
9
鬥280H20
32
ア珂フ 唖ジサ・
1986。5
鬥680H40
32
アレィア吐ッサ・
1986.
11S810
/20630
1。
564
スー
バー
コンピr タ レ耶 「ロセ、
・
.
987.
1S810/20630
1.
5128
スー
バー
コンビュー
9
1987.4
鬥680H52
6
ア財 フ吐ッサ・
不 コ噛゜一
: のゼ ノ 、 〜 ロ 1 ぞ MFLOPS=106FLOPS 演 算 時 間 [秒 〕嬲
讐
N
響
慰尺
、 、獣
\
杁丶
丶、
う
ロ
サ
剛
窺
覧も
、
.
。.°
。豊
〜
Do oo 10 1 10 1 眉 3 西 ヨ し 年 85 Bo 757219 係 数 行 列 の大き さ (元 数X半 パンド幅 )−
5000x800一唱一
2000x40D− .
−
1000x2SO− ■
■
−
500xl50−
200x7e ● 東 京 工 業 大 学 。害
昇 菱
糒
▲東京大学 10KS 100KB IMB iOMU 100MB 係 数 朽 列 の 大 きさ 元 数 100 200 500 1000 ZODO 5000 半バ ン ド幅 4D フO ISO 2SO 400 800 図一
2(a) 最近の計算機の計算能 力 (a) るの に必要な時間の推移を ま と め, 図一
1に示す。
こ こ に挙 げた時 間の う ち,
現 在の ものは実 測 値,
過 去の もの はCPU
の速さと必 要な演 算 回 数およ び ディ ス ク の読み 書き回 数とそ の速 度か ら求め た もの である。 所 要 時 間の 算 出 方 法の詳 細は Appendix 1に示 す。 連 立 1次 方 程 式 を例に取り上 げた理由は,
構造解析におい ては その計算 時 間の う ち多く を 連 立方 程式の求 解が占め る重要 な部分 で あ る か らであ る。 こ の図 だ け か ら計算機の全 性 能を評 価でき る わ けで は ない が,
数 値 計 算の 面で は,
計 算 機の 速 度は年々速ま り, 特に スー
パー
コ ン ピュー
タ の登 場に よ り その性 能は劇 的に向 上して いることが わかる。 図一
1 東京工業 大 学・
東 京 大 学にお け る計算 機 能 力の進 歩 非 実 用 的 ↑ 計 算 時 間 ↓ 実用的 安 価 な 計 算 機礫
瓢
小←.
→大 間題の規 模 図一
2(b) 最近の計算機の計算 能力 (b) 図一
2(a)は筆者 ら が 使 え る計算機で上 記の テス トを 行っ た結 果 (実 測 値)を示し た も の である。
こ こ にあ げ た計 算 機は いずれも ネッ ト ワー
クを通 じ て利 用で きる も の である。 この よ うに問題の規 模に応 じて計 算 機を使い 分 けら れ ること も近年の特徴で あ る。
図一
2 (b
)は (a)をよ り現 実 的な視 点か ら見た評 価 で あ る。
計 算 機の値 段によっ て実 用 的な範 囲の時間内で 計算で き る規 模は定 まっ て く る。 し か し,
こ の 関 係は絶 対 的なもの で は なく,
値 段に対す る性 能は上昇 す る一
方 で ある。
こ の ことは,
かつ て の大型計算機を 凌ぐ性 能の 計 算 機 を一
人が独 占して使 用す ることが現在で は可 能と一
95
一
なっ て い る ことを表し て いる。 しか も, バ ッ チ処理 と は 異な り
,
現 在で は 入 力か ら出力まで に要す る時 間 が 短く なっ て いる た め,
さ まざま なパ ラメー
タ解 析が行な え る よ うに なっ たこと も最 近の計算機利 用 環 境の変 化とい え る。 数値解析の欠 点の一
つ は,
そ の入出 力が数 値の羅列で あ り, 結 果の工 学 的判断が難しいとい う所にある。 この 欠 点は,
計 算 機の グ ラフ ィッ ク機 能の充 実に より, 外観 や変形だけで な く,
応 力の分 布など も含めて さ まざま な 角度か ら出力 結 果 を考 察 すること がで きるよ うにな り解 消さつ つ ある。
以 上 述べ た よ うに, 現代の研 究 者・
設 計 者を取り巻 く 計算機環境は大 幅に改 善され て い る。 こ の環 境を生かす ことに よっ て,
構 造 解 析に対 する考え方 も変 化して行く ものと考え る。
それ とともに, 新しい形 態の計 算 機の積 極 的利用を計 る必 要が あ る と考え る。 例えば
,1
つ の例と し て, 現 在 実用化に向っ て研究が進め られてい る数 干 数 万におよぶ 多 数の計 算機を 並列 化した計算 機シ ス テ ム が あ る。 こ の 計算機シス テムに よ れば, 現 在 有 限 要 素 法の欠 点と さ れ て いる個々 の要 素 剛性マ トリッ クス の作 成に時 間 を要 す る点も,一
つ の要素に一
つ の計算機を当て はめる ことに よ り解消す る と 思 わ れ る。
3.
モデル化と解析手 法 本 解 析 法の仮定・
手法は基本的に は文 献 2)5 )と同一
である ので,
こ こ では改良・
変更し た点 を中心に示す。
3.
1 解析上の仮 定 3.
L1 部 材 三次 元 的な広が り をもつ 部材を線材と して扱う。
それ ぞ れの部 材は軸方向に短い要素に分割 し, その変 形,
ひ ずみ,
応 力状 態を表す。
各骨組部材の両 端は, 節 点に 直接 剛に接 合し て いる か あるい はピン で接 合し ているか の いずれ か とする。 3.
1.
2 要素 各要素は, 材 軸 方 向の変 形, 二軸 方 向の 曲 げ変 形,
断 面の そ り変形 および サンブナン のね じれを含ん だ材軸ま わ りのね じ れ変 形 を考 慮する。
部 材の曲 げお よ び そり変 形に伴っ て生じ る せ ん断応 力による変形は無視する。 基本的 考え方は文献2
)と同じ であるが, 本 論 文で は 閉 断 面を扱うこ とに し た た め,
詳細に述べ る。
x 軸 方 向変 位増分 Au は x の 1次 式,y
, z軸 方 向 変 位 増分Av ,
Azv
は x の 3次式で表す。ねじれ増 分 △φは,
開断 面 要 素にあっ て は 3次 式,
閉 断 面 要素にあっ て は1
次式で表す (式 (1)〉。一
96
一
Au =
α圃十 atXAv =
cr,+α、x + asx2 +aeX3 AtV=
α,+α、x +α、x2+a、。xs Adi= ・α LL+ anX + al3xz + ai、x3 (開 断 面 >Ail
・=at !+αnX(閉 断 面〉
・
・
……・
…・
……・
・
………
(1
) こ こ に a、−
a14 は未定 定 数で ある。要素内部の ひずみ を 求 める ために必 要なX 軸上の 変 位の導 関 数は式 (2)の よ うに な る。
d
△u一
万;
α・警
臓 +2邸 +3・・x ’鰹
一
as +2・a・X+3al・xzd2Av
=
2α 5十6α 6コじdx2d
:
Au ,‘
2α 9十6α loコcdxt
・響
一 ・・2+・α 13コc+ ・ a・X:
d2
ムφ = 2α 且3十6a14コCdx2d
△φ_
万一
andt
△φ=
Odx2 (開 断 面 ) (閉 断 面)…
(2) 要 素 内 部の任意の 点 (x,
y, z)に おける要 素 軸 方 向 の ひずみ増分は, 大変形 を考 慮しω をそ り関 数と して 次の よ う に表すことができる。△ε。=
A
ε。、
+ムε。ジ・
…・
…・
・
一 ………・
…
(3 )・喝 一
砦
一
・[
{
i2
:
lf21
, V ・φdl
劉
一
・[
dl
笋
φdl
劉
一
・dl
夢
+(y: +・り
響 砦
・
…・
…………
(3−
・)△ε= t一
去[
讐
]
2 +去
[
d
窘
]
2 +去
(ye+21)・
[
dA
φdx
]
2−
・△φdl
艶
・△φ讐
…………一 …tt………一
(3−
2) こ こ に, Aεエ 、,
A
εr 、 は聲L
そ れ増分 変 位に関す る1次, ・次の項で あ ・・.
ま た響
・分繧 素・平均・ じれ率 を表わ す5)。
要素の節 点 変 位 増分ベ ク トル は次の 14 自由 度と する。
た だ し, そ りを 考え ない閉 断 面 要 素の場 合,
7番 ・目・
14 番 目の 自 由度に意 味 を持た せ ない 。A
。
U−
IA
、u・,
・A。V・,
・A
,tU・Ae
&i,
A
・eyb
Aeexi
,
r
一
一 筋蕀
・ ・ 一 ’ 図一
3 応 力・
ひずみ の追 跡 点 σ一一一
卩
一一
一
一
r
一
一
一
一一
σ y taバ 1E ε一
σ y一
一
一
一
一
一一
卩
一
一
一
一
一
一
図一
4 材 料の応力 (の一
ひずみ (ε)関係 ST A RT t・pby 。tep 初 期 状 態の 設 定 全 工teratlon 力 正 列の L の’
増 分 変 位 分 ひ ず み 全 応 力 節 点 位 置 正 節 点 反 不 っ り合 い 力 no 収 束 ? yes 出 力 no 終 了? ye5 END 図一
5(a) フロー
チャー
ト (a) 剛 性一
歹1 の 作 成 全 材 部 材 中 の 分 割 要 素 応 力・
ひ み積 分寓
・
毳嬲
閥
驕
内 部 節 点 消 部 材 変位 力 関係 全 剛 性 行 列 図一
5(b) フロー
チャー
ト (b}κ
響
)
,△。砺 嶋 嶋 △。臨 鵡,
輪
κ
d
課
)
}
’・
……一 …………
(・) 要 素 内の応 力,
ひずみ状態は各 要素 中図一
3に示 す点 (ガ ウス積分点)での み追 跡す る。
3.
1.
3 断 面 弾性・
塑性 状態に か か わらず, 二軸 方 向の 曲げに関し て, 断 面は平面 を 保 持する もの とする。 そ り関数に関し て は,
文 献 2)と同 様に,
開 断 面の場 合,
弾 性・
塑 性に か か わ らず, 断 面 形に応 じ て一
つ の そ り関 数ω (y,
z) を用い るe 本 論 文で追 加し た閉 断 面 部 材につ い て は そ り を無 視 する。
適 用で きる 断 面 形 状はH
型,
○型,
口型,
E
型, L 型の 5種 類で ある。 そ れ ぞ れの分割 単 位につ いて材 軸 方 向の ひずみ εエ お よび応 力 σx を考え る。 こ こ で い うひずみ は, 式 (5>で定 義さ れ る各 step の増 分 ひずみ の累計である。
r εL
”=
Σ△ε望・
鹽
・
…
鹽
・
・
・
・
…
『
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(5 ) tEe 部材 端部に お け る断面の そ りの拘 束 条 件は, 完 全 拘 束 ま た は完
全自由と す る。
3.
L4 材料 文 献2 )と同 様に, 要 素の降 伏 現 象は εx とax の み に よって評 価し,
せん断 応 力の影 響は無 視 する。
εx と ax との関 係は図一
4に示 す もの を用い る。 サンブ ナンの ね じれ に関 して は常に弾 性 を保つものとする。
3・
2 解析手法解 析は
Step
by
Step
法に よ り荷 重 を 段 階 的に増や す ことによ り進める。
それぞれ の荷 重ス テップに おい て はIteration
に よっ て収 束 計算を行う。
なお, 収 束の判 断 は不つ り合いカベ ク トルの ノ ル ムが外 部 荷 重ベ ク トル の ノル ム の 10−
s に なっ た時を標 準と して い る。
図一
5に 本 解析 法の フロー
チャー
トを示す。4,
改 良 点 と解 析 上の特徴 4.
1 内 部 節 点 変 位の 消去3
.
で述べ た よ うに, 本 解 析 法では,
は り,
柱な どの一
つ の部材を長さ方 向に5〜
20の分 割 要 素に分 割 する。 こ の分 割によっ て生 じ る節 点 を以 下 内 部 節 点と呼ぶ。 こ の 内 部 節点の 自 由 度を全 体の未 知 数に含め る と,
全 体の 未 知 数は5− 20
倍 以 上に増 大 する ことにな る。 内部 節点 の変形,
力 等の影 響は部 材 内に と ど ま る か ら,
この自由 度を サブス トラ ク チ ャー
法により消 去し,
両端の 自由 度 のみ を部材の自由度と み な すことが可 能と な る。ある部材を n 分割し た場 合, 各々 の分 割 要素の増分 変 位と力との 関 係は式 (6)の よ うに表せ る。 こ こ に
f
‘n は内部 節 点 力ベ ク トル,fex
は外 力ベ クトル,
K
は 剛性マ トリックス , Au は増 分 変位ベ ク トル で あ る。
f
。
rt=KtAUt
+ft
”…・
…・
…・
………・
…・
……・
(6
)一
97
一
こ の関 係 式 を
一
部 材にわ たっ て重ね合わ せ,
内 部 節 点に 外 力が作 用 しない こと を仮 定す る と,
式(7 )が得ら れ る。
1
濫
ト
[
Kl1 Kl2K21 Ktt]
隴
:
H
究
:
1
・
・
一 ……
… こ こに添 字1は内 部 節 点に関す る成 分 を,
添字 2 は部材 両端の節点に関する成 分 をそれぞれ表す。
式(7)か ら内部 節 点 変 位
Au
,を消 去す ること に よ り, 両 端節点の成分のみ か ら な る式 (8) を得る。
fer
ニK
’△u :十ノ;n・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(8) こ こ にK
’
=K2
,− Kt
,Kl
, iK12− ・
…・
……・
…・
一 ・
・
《8−
1) ∫1
π
r 編一
κ2且κ「11ム監……・
t・
…・
…・
…・
一 ・
(8−
2) である。
式 (8
)で表さ れ る関係式を全部材にっ いて重ね合 わ せ る ことに よ り,
全体のつ り会い方 程 式 を作る ことがで き る。
しか し, 式 (8−
1),
〔8−
2)中に は逆 行 列が含ま れ, こ のま まで は数 値計算上効率が悪い。 実 際に はAppen−
dix
zに示 す 方 法で内 部節点自由度の消 去を行っ て いる。
この消 去ルー
チン は大規 模構造 物で は最 も多く実 行 され る部 分で あり,
後にあ げる例 題で は全実行ステッ プの約8
割が この消 去ルー
チン の実 行に費や さ れて い る。
こ の 部 分 をスー
パー
コ ンピュー
タ の特 徴で あるベ ク トル演算 機 能を活用して高 速に処 理 するよ うに し たこと が本手法 の特 徴である。
内 部節点自由度を消 去する ことの最 大の利 点は全体剛 性マ ト リッ クスが未 知 数
,
バ ン ド幅 と もに小さ く な るこ とで あ る。
連 立1
次方程 式 を 解くの に必 要な時 間は ほ ぼ その未知数に比例し,
バ ン ド幅の 2乗に比例す る か ら, 大規模 構造物で しかも1部 材 を 数 十に 分割す る場合など で は内部節点自 由 度を消去 する効 果は大変大きい もの に な る。
ま た,
各 部 材を 独 立 に扱 うこと がで きる の で,
外 国 製 スー
パー
コ ンピュー
タ に多く見ら れ るマル チプロ セ ッサ 構 成 を 有 効に生かせ る と も考えて いる。
石田 ら6[は, 同様の発想で伝達行列 を 用いて 自 由 度の 低 減 を 計っ てい る
。
石 田らの方 法は隣り合う要素ご と に 内 部 自 由 度 を 消 去 する の に対し, 本 手 法は部 材 中の内部 自由度 をま と めて消 去するとい う違い が あ る。
こ の違い は,
石 田 らが 解 析 途 中で塑 性 化に応じ て部材を分割す る の に対し,
本 手 法では最 初か ら分 割し てい る とい う方法 の違い に起 因する と考え る。
こ の内 部 節 点 を消 去す る手法は すで に文献1
>2
)で 行っていた。
当 時は,
こ の手法 をお もに計算 機の メ モ リ 節 約など計 算 機 利用上の技術 的 内 容に属す る と考えて い た の で特に発 表は しなか っ た。
当時は扱っ てい る問題 が 小さ かっ た た め式 (8) をそ の ま ま適 用して逆マ ト リヅ ク ス を求めて い た た め,
計 算 機の容 量・
計 算 時間 な どの 制約で, 部 材の分 割 数 も5が隈度であっ た。 これ以 上 分一 98 一
割 する必 要がある場 合に は部 材の中 間に節点 を設け てい た。 今日で は,
計 算 機の容 量 的に は問 題は な く なっ て い るが,
分 割を増や すことに よる逆マ ト リッ ク ス の計 算 時 間の増 大が問 題とな っ てきた。 逆マ ト リッ クスを用い な い方法の開 発に よ り,
こ の問 題を解 決で き た と考える。
4.
2 両端ピン支持の部材 ピン接 合 トラス構 造な ど部 材 両 端が ピン支 持と な る場 合に も, 部 材の座 屈を考慮す る た めに本 解 析 法では部 材 内部の節 点に 7自 由 度の 増 分 変 位 を考 慮す る。
し かし,
こ の ま まで は両端の節点 を結ぶ 直線回りに対して拘束さ れて いないた め不 定 となっ て し ま う。
不定と なっ て も剛 性 方 程 式 を 解く際に最 適 近 似 解7 )を用い れば 解 析 を進め る ことは可 能で はある が, 最 適 近似解を求め ること は通 常の解 法の数 倍の時 間 と記憶領 域を必要と す る。 これ を 解 決 するた め以 下の方 法 を用い た。
(1 ) 部材両端の節 点を結ぶ直線 軸 回り にのみ作 用す る弱い回 転バ ネ を一
方の部 材 端に加え,
回転を撹束す る。 部 材 両 端の節 点 を結ぶ 直 線の方 向 余 弦 を1
λ,
μ,
レ}7,
仮 定す る回転バ ネ 剛 性をKr とする。
以 下の マ ト リッ クス を部 材 剛 性マ ト リック ス の一
方の端 部 節 点の回転 成分に 加え る こ と に よ り,
回転バ ネによる拘 束が表 現さ れ る。
な お今回 の 解 析 で は,K
。 に は部 材の ね じ り剛 性 の 1/100を用いた。欟
;
]
(2 ) 部材 両端の節点の回転自由度は,
内 部 節 点 自由 度の消 去と同 時に消 去す る。 これにより, こ の部 材は取 扱上は軸 力のみ が作 用 する トラス部 材 と同 等に な る。
(3
) 部材の座 屈 現 象を取 扱 う際に は初 期た わ みを導 入 す る。
こ の場合には部 材が直線で は な く な る ため, 内 部節点に は節 点 回 転が発 生す る。 こ の変 形が進 行す るこ とに よ り座 屈 を表現す ること ができ る。
た だ し,
こ の場 合は,
座 屈は初 期た わ み を与え た 方 向 にの み進 行す る。 4.
3 増 分 節 点 変 位 予 想の た めの前回まで の節 点 増 分 変位の利 用’
Step
by
Step
法に よる増 分 解 析の 各 step で はNew −
ton
−
Raphson 法に基づき各iteration
ごとに剛 性方程 式を作り
,
増 分 変 位 を 求 める こと を繰 り返す。 通常,
各 step の最 初の計 算で は,
直 前step 計算後の状態 を基に 要 素 剛性を求め剛 性マ トリック スを作成する。この た め,
要 素 剛 性 ある い は節 点 座 標が大き く変化 して いる場 合に は発生する誤 差が大き く な る と考え ら れ る (図一
一
6)。 こ の誤 差は iterationに よ り解 消さ れ る もの で はあ る が,
な ん ら かの簡 便な方 法に よ り次の収束点を予 想で き ればiteration
回 数を減らすこ と が可 能と な る。
構造物の剛性が外 荷 重の増 加と共に連 続 的に変化し て い ると仮定す る と, あ るn 番 目の step におけ る増 分 変
ノ
f
。x、,−
1 図一
6 Newton−
Raphson法に よる収 束計算d
位ベ ク ト)vAdn ・
は,
n−
1,
n−
2step にお け る 増分 変 位ベ ク トルAdn −
、,
Ad
。.
:お よ び そ れ ぞ れの step に お け る外 力の増分パ ラ メー
タA
λn,A
λn−
1,
△λn−
t を用い て次の よ う な関 係を ほ ぼ満た す と考え ら れ る (図一
7)。籌
一
会
1
詈
一会
戛
詈
一
会
篶
・
…・
・
………
(・〉 こ れ か らAd
・一
・・n(
△dn−
1 ムd兄一
22
△M −
,一
△煽.
2)
一 ・
一 …・
…
(・・) が求 まる。最
初の iterationでは連 立 方 程 式 を解か ずに こ の増 分 変 位ベ ク トル を用い ることに より,
剛 性マ ト リック ス の作 成お よ び剛 性 方 程 式を解く作 業を 1回 減ら す こ と がで き る。 ま た,
iteration中で解 消 すべ き不つ り合い力も減 少す るこ と が期待で き る。 例と して 図一8
に示 す鋼 管の塑 性 座 屈 問 題につ いて 行っ た収 束回 数の比較結果 を 図一
9に示 す。 この例で は 増分きざみ を小さ く す る必 要があっ た た め,.
こ の場 合の 収 束 回 数の平 均は,
改 良 前でも3.
4回と多く はないが,
改 良 後は2.
5回と減 少 させ るこ と がで きた。
収 束 回 数の 合計が減少す ること は,
剛 性マ トリッ クス の作 成や剛 性 方 程 式 を解くことに多くの時 間を要す る大 規 模な構 造 物 の解析で は非常に有効であ る と思わ れ る。 △λn △触
.
1 △λn_
2L
_
L
_
⊥_ _
I
d
△
d
。−
2△dn
−
1 △dn
図一
7 変 位 増 分パ ラ メー
タと全 体 変 位との関係 30 20 10 Lw P↓
L畧
200cm A=
8.
636cm2 1=
79・
8c囮4 i;
3.
04c皿 λ=
65.
8 σ.
=
3。
48し1cm2
Wo /L露
1/1000 89.
1φ x3冒
2 図一 8 弾塑性座 屈 問題 口,
口 O.
5 1.
0 1.
5 図一
S 弾 塑性座屈問題の解析結 果と収 束 回 数 4.
4 積 分 点の変 更に よ る解 析 精 度の改 良 文 献 1)2 )5)で は要素の応力・
ひずみ状態は各要素 の両 端の断 面で追 跡 し て いた が,
これ を図一
3に示す ガ ウス積 分点におい て追 跡 するよ う変更し た。’
本 解 析 法で必 要とな る要 素の軸 方 向の積 分は,
要 素の 代 表 2点で面積 積分 を計 算し,
これらの 面積 積分の値が 要 素 内で線形に変化して いる もの と して行う。 これ に 用 いる代表 点をこの2
点に変更す るこ とに よ り,
各次 数の 積分は代 表点に おけ る 面 積積分の値がP
,,P
,である と き, 以 下の よ うに書ける。:
;
:
Pd
・・
=
善
(… P,)f
・/・ v駝 2f
(P
厂P
‘}Pxdx !
1/2 12:
1
:
・・… −sr
(P
・・P
,}∫
f
:
二
:
・x3・一督
冊:
;
:
・欝惴
(朏 }f
…
………
(11) こ の変 更に よ り,
精 度が向上 す ること を前 節で用い た弾 塑 性 座 屈の例で示す。一
99
一
積分 点位置の違いに よ り
,
収束回 数は前 節の改 良 を施 し た もの で比較 して平 均 2.
5回か ら1.
7回と改 良さ れ た。 と くに座 屈後の大変形 領 域では,
収 束 回数が 3か ら1
へ と ほ ぼ1
/3
に なっ ている。 前節の改良とこの節の改良 と を合わ せ ることで,
収 束 回数の平 均が表一
2の よ うに 1/2と す るこ と がで きた。5,
実 際 構 造 物 (立 体ト ラ ス)への応用 5.
1 解析モデル 実 際 構 造 物へ の応用と し て, 実験の行われてい る図一
10 に示 す 鋼 管 を 用い た複 層 立 体 ト ラス構 造8吃取 り上げ る。 実 験はメ カニ カル ジョ イン トを用い た ト ラス構造で行 わ れ た。 解 析は全 節 点ピン接 合 (以 後P
モ デル と呼ぶ ) 表一
2 平 均 iteration回 数 2 鰍 オ数:92 λ=
肺、
6 σソ・
4・
11t/cコ:
配=
2tOOt/c田2,
E’
=
2,
1し〆c旧2璽
へ
コ
塁
2 00 2DOO ZOOO 2DOO 2DOO
50 40 30 20 ID 図
一
10 複 層 立 体ト ラス構 造 物の解 析 例 0.
0 5.
0 10,
囗 図一11
複 層 立体トラス構 造 物の解 析 結 果 と 実 験 結 果一
100
一
の も の と全 節点剛 接 合 (以 後R
モ デル と呼ぶ )の2
と おり行う。
な お,
P モ デル は各 部 材に 中央 点で長 さの1
/1000
の初 期 不 整 を水 平 面 内に与え た。
解析の境 界 条 件は,
図一
10 中 ●で示す点 を 鉛 直 方 向 に支持し,
▲で示す点を水 平 方 向に支 持 し た。
外力は中 央 部の下 弦 材の 4交 点に下 向き荷 重 を変 位 制 御で載荷し た。
5.
2 荷 重一
変位 関係 図一
11に中央 点の鉛 直 変 位と全 荷 重との関 係 を示す、
,
図一
11か ら, 初 期 剛性はP
モ デル・R
モ デル の解 析 結 果,
実 験の 3者が ほぽ一
致す るこ と が わ かる.
P モ デル, R モ デル と もに最初の折れ曲り点で は中 央の 上 弦 材 が座 屈 を 起こ し てい る。P
モ デル で はす べ て の節 点 を ピン接 合 を考え てい る た め,
座屈 発生時に 実 験に比べ 荷 重が急 激に低 下してい る。 塑 性 後の 挙 動は,
最 大耐 力前ま で は実験結果がP
モ デル とR
モ デルの 中 間の性 質を示 し, 最 大 耐 力はP
モ デル の解 析結果と ほ と ん ど一
致 して い る こと がわ か る。 な お,
最 大 耐 力は中 央 下 弦 材 の降伏 時に発 生し た。
5.
3 軸 力の変 化 図一
10中に〜
で示す部 材の軸力を, 構 造 物 中 央 点の鉛直変位との関 係で 図一
12に示す。
図一13
に座 屈 前後の軸 力分布の違いを示す。
な おt こ の図は対 称 性を 考 慮 して全 体の 1/4の み を示し て い る。
P
モ デル,
R モ デル双 方 と も 中 央の上 弦 材 の 座 屈 によっ て軸 力の分 担が大き く変 化し てい る。
2囗.
2。 2囗 図一
12(a) 部 材の挙 動 (P モデル の場 合 )一
20 図一
12(b) 部材の挙 動 (R モデル の場 合)、
ダ
瀞レ
O.
守一
19.
4糧
支 持 点 ● 加 力 点 o轉
25.
4懇
一
5.
2 上弦材 下弦 材一一一
斜 材冖
い
穐
翼
馬
.
図一
13(a−
1) 軸 力 図 [P モデル・
座屈前】、
凶
ロ.
旧一
22.
3糧
支持 点 ● 加 力 点 o 上 弦 材 下弦 材一一一
斜 材一
29.
7懇
一
7.
6騰
暖
図一
13(b−
1>軸力図 [Rモ デル・
座 屈 前 ] I一
2Ll翼
璽
矧
一
11.
0懇
一
15.
3『
支持 点 ● 加 力点 o 上弦 材 下弦 材 斜 材一
・
一 .
一
、
〆
蝉噸
・静
雫
:
翼
.
冖
匹
℃.
旧
図一
13(a−2
) 軸 力 図 [P モデル・
座 屈 後] 錦 塗縷
ー風
【
.
0瓢
瀦
欄
『解
米
7夷
一
ジ
北瓢
銃
竇
窯
支持 点 ● 加 力 点 o 上弦材 下弦 材 斜 材 丶一
懸
,翼
、
丶
図一
13(b−
2)軸 力 図 [R モデル・
座 屈 後 ] ∠:
KZEW
SgZ
>・・
v /\
/》
》
〉 へ _一
一
_
E ..
.
,
一
.
.
一
“
一
一
“
一
一
(a )全 体 (b)上 弦 材 (c )斜 材 (d)下 弦 材 図一
14 変形図 [P モデル] 上弦材 の軸力 変 化に注 目すると, の座 屈によっ て に平 行に2
本ずつ存在する の軸 力が急 増し応 力が 再 配分 さ れて い ること が わ か る。
下弦 材 に注目 す る と, 上 弦 材の座 屈に はあま り影 響を受け ず,
引 張 力が徐々 に増加し てい る こ と が わ か る。
その理由は が上弦材 の下弦 材で あ り, かっ の下 弦 材で もある ためであ る。 最終的に は の一
ヒ弦 材2本 と の残 留 圧 縮 力に比べ,
の下弦材 2 本の引張耐力が小さ いた め, の降 伏に よっ て耐 力が決ま り, 安 定した崩 壊 モー
ドと なっ ている。
P モ デル・R
モ デル両 者の性 状は ほ ぼ同じ なので, P モデルの斜 材に注目 すると,
上 弦 材 の座 屈直前は の 斜 材が それ ぞれ 2.
9t, 10.
8tの 引張 力 を負 担し て い たの に対し,
座 屈 後は の圧 縮 軸 力が半 減し た た め その 圧縮 力を が 受 け持ち,−
4.
4t の圧縮に転じ てい る。 その結 果,
2 本の が負 担し て い た引 張 軸力 を1本の・
が負 担し な く て は な ら な く なっ た ため、
座 屈直前の軸 力 の倍 以上の軸力 26.
6t が生じ て いる。
5.
4 変 形状態P
モ デル の場 合の解 析 を さ らに大変形領域ま’
で進 め,
一 101
一
δ=
66cm
となっ た時の変形図 を 図一
14 に示す。
な お,
こ の変形 図は変形を誇 張して いない。 こ の よ うな 変 形 状 態 を各荷重 step に おい て図 化 すること,
部 分 を拡 大 し て その性 状 を詳 細に調べ ら れ ること も数 値 解 析の特 徴で ある。
5.
5 計 算 時間 と内部 節点消 去の利点 こ の例 題で は内 部 節 点 を 消 去し,
全体マ ト リック ス は 部 材の交 点と し て の各 節 点の増分変位につ い て作成して い るの で,
未 知 数 180, 半バ ン ド幅64
であり, 方程式 を解く た めに スー
パー
コ ンピュー
タ では O.
1秒も 必要と し ない。
逆に内 部 節点の消 去に多く の時 間 を必要とする が, 全92
部材の剛 性マ トリックス の作 成・
内 部 節 点の 消 去に要す る時間はベ ク トル演 算 機 能 を活 用 して約5
秒 で あっ た。
これ を 内部 節 点を消 去し な い方 法に よると未 知数約7700,
半バ ン ド幅 約 1300 とな り, これを解く だけ で数 十秒の演算 時間が必 要 と なる。
しかも 剛 性マ ト リッ クス を作るに は前 者と同じ時間が必要であ る。 こ の よ うに, 内 部 節 点を消 去 する ことによる計 算 時間の短縮 は大 変 大きい も のであ る。
本 解 析 は
P
モ デル で 約.
140 step.
R モ デル で 約 70 step 行っ た。
1 step に は東 京 大 学 大 型 計 算 機セ ンター
のS820
/80で平 均 約 15秒の ス カ ラー
演算 時間と約13
秒 の ベ ク トル演 算 時 間が必 要で あった。
6.
結 論本論文で
妹,
計 算 機 能 力の進 歩 を前 提 とし た実 規 模 鋼 構 造 物の精 密 非 線 形 解 析 法 とその実 現 化につ い て述べ,
実 験の行われ た立 体 ト ラス構 造 を例 題と し て解析し,
そ の結 果 とし て実 験で は得ら れ ない力 学的挙 動を と ら え る ことがで きること を 示し た。
謝 辞 実験資料を提供いた だい た新日本製鐵株式 会 社・
’
岩 田 衛 博 士,
また東 京工業 大学総合情報処理セ ンター
の歴 史 につ い て調べて い た だい た同セ ンター
の斎 藤 光 雄 氏に厚 く御 礼 申 上 げ ま す。
な お研 究 費の一
部に文部 省科 学研究 費を使 用し ま し た。 関係 者 各 位に御 礼 申し上 げま す。
参考 文 献 1) 藤 本 盛 久,
和 田 章,
白方 和 彦,
小 杉 立 :筋 違 付 鉄骨 ラー
メンの弾塑性 解 析に関す る研 究,
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岡 田 久 志,
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名 取 亮,
野 寺 隆 編 :bit臨 時 増 刊 スー
パー
コ ン ビュー
タ と大 型 数 値 計 算,
共 立 出版,
1987.
11.
Appendix 1 連立 1次 方 程 式の解 法に要する時 間 プログラムの実 行に要す る時 間 をハー
ドウェ
アの性 能 表か ら だけで求め ること は難しいが,
こ こ では以 下の よ うに単 純 化し て比較す る。 な お,
連 立 1次 方 程 式の解法につ い ては文 献9>一
一
11) を参考に し た、 ま た,
現 在 稼 働 して いる計 算 機で実 測がで き る もの に つ い て は実 測 値 を用いて あ る。 な お,
こ の 実 測 値 と 推 定 値は10% 程 度の誤 差で一
致し た。
【仮 定11
.
利用者が使うことの でき る主 記 憶 領 域の うち,
IOO KB を除 いた分を配 列とし て使 用で き る ものと す る。 足 りない場 合には ディス ク を作 業 領 域と す る。
2.
主記 憶 内の ア ク セスに要す る時 間は無 視 する。
3.
ディ スク 1回の読み書きで転 送できるデー
タの量 は 最大 ブ ロ ッ ク長 を越 えることは で き ない。
ブロ ック長は 1 トラ ッ クを 越え ることは でき ない。
4.
連立1次方 程 式の未 知 数は n 個で, 係 数マ ト リック ス は対 称と し,
半バ ン ド幅は m と す る。
実 数 変 数はすべ て 6・
1 bitとす る。
5.
連 立1次 方 程 式の解 法は,
剛 性マ ト リッ クス の規 模が主 記 憶容量以内の場 合に は改 訂コ レ スキー
法 を,
そ う で ない 場合に は外 部記 憶 装 置 (ディ ス ク ファ イル)を用い た ガウス法 を用いる。
な お,
改訂コ レ スキー
法と ガ ウス法につ い て理論的には演算回 数に変わ り は な く,
演 算順序の 違い のみである。
方 程 式 を 解く の に要す る演算 時 間は,
平 均 浮 動 小 数 点 演 算 時 間の 2nmt 倍と し,
ディ ス クを作 業領 域と して用い る もの は さ らにディ ス クア クセ ス時 間 を要 するもの とす る。
6.
平 均 浮 動 小 数 点演 算 時 間は性 能 表の 「MFLOPS 」値か ら 求めた。
ベ ク トル演 算 機 能の使用可 能な もの に つ い て は十 分ベ ク トル化して い るものと 考え る。
7.
係 数マ ト リックスが主記 憶に入 り切ら ない場合に は,
主記 憶 内に ‘行m 列の配 列 を作業領域と して 2個 用 意 す る。
係 数マ ト リッ ク ス は h ← ↑n/l↑,txt
は x を下 回ら ない最 小の整 数) 個に分 割 してデ ィス ク上におく。 方 程 式を解く際に は,
k2/2十1
.
5た一
1回の read /write が発 生す る。
1回の read /write で転 送す る デー
タ の 量 は n×1×8バ イトで あるe こ の量 が ディスクの最 大 ブロ ッ ク長 (1回の読み書きの単位 )を越え る場 合
,
複数 回に分 けて転 送が行わ れ
,
それぞ れの回に デa スク の位置 決め, 回転 待ち が行わ れ る。貢
★
★曹
禽
脅
12345678901234557890123q56789012345678901234567890123 弓 ユ ー 111111 ー ユ 22222222223333333333444444444455555 eubrOu ヒ⊥ne sヒcnd {a,
vk $ f,
ke $ ikp } di皿
en日
⊥on a 〔n脅
n d±mens ↓on t ‘n } dimengiOn wk 【n } dimension コP (n★
nd洫en3 工on ikp {n 宵n dO IOO ⊥
層
1rn白
njp 〔⊥レ
日
〔⊥−
1 , !n +1 址 Pは レ■
11DO con ヒinue do 1
.
10 ⊥圏
1,
n+
nrn ⊥kP〔iレ.
=
1−
n l10 con ヒinue de230
k
匚
1,
ke kj■
k + 【k,
1} 貢 n PV幽
a 〔kjD tf{pv.
eq.
0,
0dD} then pv日
1,
0 endif
己
t ) Pnjr
1.
OdO / pv do 170 ゴ■
k+
1rn kj目
kj + n wk (j冫咀
ga
{kj レ曹
at cont 土nue fk国
一
f 〔 k ,☆
at 土k−
k★
n d。 190ij口
k+
n+
1.
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A(1) 内部節 点 自 由度消 去 サブルー
チン 〔1) Appendix 2 内部 節 点 消 去ルー
チン 図一
A に こ の ルー
チンの リ ス ト を 示 す。
言語は Fo【tran 77で あ る。
[引 数 ]姻 加 ・ ・
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A S口brOUしine Stc 血d {a 拿 t dirnengten a 【n dimension f 〔n dimension b {n do 230 k11,
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fk 23e continue return end 内 部 節 点 自 由度 消 去サブルー
チン (2)一
KiifinL.
output :fl
。 n :input:部 材内の全未知 数.
ke:input:消 去す る 未 知 数の数 (K11の大き さ) wk (n*n),
jp
(n *n ),
ikp(n*n),
b(n}:作 業 領 域 [使 用 上 の 注 意】 図A−
(1)のサブルー
チン はリス トベ ク トル の高 速なスー
パー
コ ン ピュー
タ向け に作 成し たもの で あ る。 リス.
トベ ク トルを用 い て配 列a を1次 元で扱っ て い る。
.
リス トベ ク トル の遅いコ ン ピュー
タに対しては,
配 列a を2次 元のま ま扱 う 図A−
(2)の 方が よい。
図一
A(1)で,
190の ルー
プは a(ii} とa(ik> とは ij>lkが.
常に成 立ち重な るこ と が ないた めベク トル化 可 能であ る。 こ の こと を判断で き ないコ ン パ イ ラには強制ベ ク トル化を指示する 必 要が ある。
こ の ルー
プ が全 実 行step の約8割 を 占 め.
るの で,
こ の部 分をベ ク トル化し ない限り速 度の向上 は見 込めない。
ま たこ の部分に強 制ベク トル化を指示してもベ ク トル化でき ない 機 種で は図一
A(2) を 用い る。
t一
103
一
SYNOPSIS
UDC:624.072:624.04:Sl6.3
USE
OF
A
SUPER
COMPUTER
FOR
THE
NON-LINEAR
ANALYSIS
OF
A
FULL-SIZED
STRUCTURE
by Dr. AKIRA WADA, Assoc, Prof., Tokye Inszituteef
Technelogy.and HIDEYUKI KUBOTA, Graduate
Student
of Tokyo Instituteof Technology,MembeTs of
,A.I.J.
This
paperdeals
with thenonlinear analysis of a threedimensional
steel structure using asuper computer.Future
improvements
in
the structural analysis of complexbuildings
willdepend
closely on advances in computationalpower.
In
this paper,thepremise isexamined thatthe super compllter canbe
used effectively forstructural analysis, enlarging therange of applicability of that analysis, impToving itsaccllracy and reducing significantlythe.com-putationaltime required
for
complex problerns.An
exampleis
presented of the use of a sgper computerfor
the analysis of adouble-layered
spaceframe,
With
the super computer yieldingandbuckling
phenomena of indi-vidual members within thatfrarnewere predictedas weli the responsefor
thecompletelength
of individualmem-be[s.
That
response cannotbe
obtained economically inexperiments.Inthe near
future,
better
super cornputers willbe
developed,
andit
willbe
possible to analyze thenonlinearthree