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ヒト胎児.重複奇形児の解剖学的研究; 複:対称性頭胸結合重複奇形児の

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(1)

心驕6、第齢5藷言)

ヒト胎児.重複奇形児の解剖学的研究;

   複:対称性頭胸結合重複奇形児の

       内臓の位置関係について*

東京女.子医科大学第1解剖学教室(主任:久保田くら教授)

         関  口.幸  子

         セキ    グチ     サチ     コ

(受付 昭和56年3月20日)

     Tbe Anatom壼cal S加dy of Conjoined Twins 3 The Posi亡io血of Viscera10rgahs       .of sy㎜etrical Gephalotboracopagus(J呂㎡ceps)

      Sachiko SEKIGUCHi, M.D..

      Dcpart皿ent Gf Anatonly(Director:Prof. Kura KUBOTA>

       Tokyo Womcn,s Medical College

  Most of re艶rences of cephalothorac6pagus reported th6 position of the visceral organs wi山t輌一dim6n−

sionaI description.

  Three−dimensional posit三〇n of visceral orga皿s of cephalothoracopagus may suggest more 61early process of organogenesis of cephalothoracopagus. The anatomical価dings and three−dilnensional position of visceral organs of the case of cephalorhoracopogus that we have reported the conjoined.

parts of muscle are as fbllowings;

   1) This case is a sylhmetrical cephalothoracopagus of fbmale tWins of about ten艶tal months.

  2) The visceral qrga取s of the co両oined p轟rt of the twins were situatQd in parallel to second.face,

tha七〇f th6.incompletely separate part of the twins were situated in parallel to horizont翫I f乞ce, an that

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   3) Common visceral organs of this case were esophagus, stomach, duodenum, and oral two third portion ofj〔加num,

   4) Di禽p丘agmatic hemia was.母lso recognized.

      緒言   

進め,2児の内臓の立体的な位置関係の観察を試

 著者は,先に複対称性頭胸結合重複奇形児に相   み,興味ある所見が得られたので報告する.

当する1例について,外形および結合部諸筋の所         研究対象および研究方法

見を報告しているが,本例.についての解剖を更に    対象は,胎齢約10ヵ月の双胎女児よりなる,複       対称性頭胸結合重複奇形児の1例である.平等に

*久保田くら教授定年退職記念論文  .     発育した双胎の2児(1児,.重囲)が互いに向い

       一647一

(2)

合った状態で,各々の前面で頭部から膀部まで結 合している.2児の各々の後頭部,項部,背部,

腰部,轡部,膀以下の下腹部および四肢は分離し ている.結合部には2つの2次面(A面,B面)

が形成されている.2次面とは,2児の互いの異

名半側(1児の右=lrとH児の左=m,1児の

左=IIと豆児の右=lr)が結合することにより 形成されると考えられている,2回目正中矢状面 に平行な面(Il+Hr=A面, Ir+Hl=B面)で ある.又,1つの2次面は,2次顔面と2次前面

(2次胸腹面)に大きく分けられる.

 内臓剖出のため,2次前面の胸骨中心線上に切 線を入れ,開胸を行ない,また,開腹は,結合に

より菱形を呈する2児の腹直筋の外側縁に沿って 切線を入れ,腹壁を菱形に開けた。内臓諸臓器の 検索は,主として,結合諸臓器の形態及びその位 置関係を立体的に観察することを目的としてい

る.

        所  見

 1 内臓所見(写真1,2,3)

 1)共通体幹

 2児の結合により,1体の共通体幹を成す胸部 から上腹部をみると,工胸腔,1横隔膜および1 腹腔が認められる.横隔膜の起始部は,2児の下 部肋骨,2児の各々の胸椎と腰椎,および2つの 2次面(A・B)上の胸骨部に認められるが,抵 側部においては,2児の横隔膜が結合しており,

その中心に,1つの食道裂孔を認める.食道裂孔 の両外側(2壁面A,B側)には2つの下大静脈 孔がある.また,B面の左の横隔膜は扇状に欠損

して認められる.

 2)肺臓

 2次前面より胸部をみると,心臓を中心にその 両外側に2つの肺臓が認められる.気管は2次面 上で左右の主気管支に分岐している.B面の左の 肺臓は,肺門が頭側を向き,他側に比し,極端に 小さい.分葉についてみると,不正形の分葉を呈 し,その数は,A面の左右とB面の右の肺臓は各 々3葉,B面の左の肺臓は2葉である.

 3)心臓

 2次前面のA面の心臓は,左上方に心尖部を置 く横位にある.B面の心臓は,心尖部と大動脈起 始部の中心を通る線が,横隔膜と約90度に交叉す

る位置にある.心臓及び大血管に関しては,更に 詳しく検索中である.

 4) 肝臓および胆嚢

 肝臓は,2次前面A,Bの各々において,上腹 部のほぼ中央の大部分を占める.その中心には,

肝甲状間膜を認める.A面の肝臓は,ほぼ左右対 称の四角形を呈するが,8面の肝臓は,左側の部 分が後上方に偏位して認められる.この部では,

横隔膜が欠損し,肝臓の胸腔内への陥入が疑われ

る.

 胆嚢は,2つの肝臓の各々の右側の胆嚢窩に固 定されている.

 5)脾臓・

 A面よりみる脾臓は,肝臓の左後方にあり,正 常の腹部における位置に類似して認められる.し かし,B面の脾臓は,横隔膜の欠損部より,肝臓 と共に左上後方に偏位し,胸腔内への陥入が肝臓 と同様に疑iわれる.

 6)膵臓

 共通体幹のほぼ中央にあり,単一の胃の前下方

(A面,B面)に膵頭部をA面, B面各々の左上 方に膵尾部を認める.

 7)消化管  a)食道

 共通体幹の胸腔のほぼ中心を,単一の食道が太 く,直線的に走り,横隔膜の中央を貫いて,単一 の胃に続いている.

 b) 胃

 単一の胃を2次面A:Bの各々よりみると,横 に長い楕円形の袋状をなす.その上縁(小十干)

の中央に食道が終り,下縁(大蛮側)の中央より 一本の十二指腸がはじまる.

 c)小腸

 単一の十二指腸は,結合面に平行にS字状に蛇 行し,単一の空腸に続く.空腸はその口側2/3 が単一(共通管)で,肛門側1/3から2管に分 離している.分離直前の部分は,異常に拡張して

(3)

関口論文付図〔1〕

グ畷

写真1 A面胸腹部内臓

写真2 B面胸腹部内臓

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写真3 腹部内臓(足方より撮影)

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(4)

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Ar‑Lung Al‑Lung Bl‑Lung Br‑Lung A ‑Heart A ‑Liver B ‑Liver A ‑Spleen B ‑Spleen A B ‑Pancreas

‑Pancreas

l2) l3) 14) 15) 16) 17) 18) l9) 20) 21) 22) 23)

Fig・ 1

Common Esophagu$

Common Stomach Common Duodenum Common Jejunum

I‑Ileum & Large Bowel II‑11eum & Large Bowel

I‑Kid .ney II‑Kid ney I‑Bladder II‑Bladder

Z‑Uterus & Ovarium H‑Uterus & Ovazaum

Three‑dimensional positionof visceral organs

* A:A face   B:B face   r:right     side   1:left     side   I:r fetus   II:ZI fetus

‑ 650 ‑

(5)

おり,1児側に分離した空腸は,拡張していると ころの,この共通空腸に対し,1児側よりみて約 360度左廻転,豆幹側に分離した空腸は∬児側よ りみて約180度右廻転している.回腸は,分離し つつある2児の下腹部の,各々の右下方に位置し

ている.

 d)大腸

 1児,皿児の各々に分離した大腸は,正常の曲 を形成せず,複:i雑に蛇行している.∬児側の大腸 は,1児側のものに比し,極端に細く,また短

い.

 8)泌尿生殖器

 腎臓,尿管,膀胱(尿膜管)は,2児におい て,各々独立して認められる.膀胱は,正常胎児 の位置に比し,やや高位に在る1).特に山際の膀 胱において明らかである.

 子宮,卵管,卵巣も,2児の各々の独立した骨 盤腔内にあり,その数,位置および大きさ等に特 記すべき異常は認められない.

 2 内臓諸臓器の立体的位置関係(Fig・1)

 立体的な内臓の位置関係を観察する目的で,

Schwalbe2)の設定した結合軸の概念を応用し,

諸臓器の位置的分類を試みた.2児の各々の正中 矢状面に平行の面をX面(SchWalbeの正中対称 面であり,また,2次面に平行な面である),2 児の各々の前頭面に平行の面をY面(Schwalbe の主対称面,2児の結合面に相当する),および2 児の水平面をZ面とし,諸臓器をこの3面(X,

Y,Z81に対する位置関係を観察すると,表1,

図1の如くである.(図1はSchwalbeの結合軸 の概念を応用して,本例の内臓の位置を著者が作 図したものである.)

 結合部では,主に,X面(2画面)に平行の位 置にある臓器(横線)が多いが,分離する下腹部 に従い,Z面(結合面:黒色)およびY面(結合 面=縦線)に平行に位置する臓器が主となる.2 児が完全に分離している骨盤内諸臓器は,Y面  (結合面=2児の各々の本来の前頭面)に平行の

位置にある.

        考  察

 頭胸結合重複奇形児の内臓に関して,Finola3),

Gunter4),井上5), Badawy6), Sturrock7),小倉8),

西村9),Wedeberg1。)らの詳細な報告があるが,・

今回著者は,比較的報告の少い結合諸臓器の立体 的位置関係を検索することを試みた.

 1) 諸臓器の立体的位置関係について

 Schwalbeの設定した結合軸の概念を応用した 3面(X面;2次面,Y面;結合面, Z面;水平 面)上で,諸臓器の位置関係を比較検討した.2 児の結合部における内臓は,主として,X面に平 行にあり,2児の分離する下腹部に従い,Z面〜

Y面に平行の位置をとる.この内臓の位置と,2 児の体表における結合形態とを比較すると,体表 においては,2次顔面と2次前面(2次胸腹面)

が2児の互いの異名半側同士の結合により,あた かも1体の顔面および胸腹面とに類似して形成さ れているのと同様に,深部の胸部および上腹部内 臓(2児の結合部の内臓)も2八面(X面)に対

して平行に形成され,1体の胸腹部内臓に類似し た位置的関係を示す.

 しかし,2児の分離する下腹部の方向に従い,

特に,小腸では複雑な走行をとる.空腸の共通部 の異常拡張は,2管へ分離する部の異常な廻転に

より,2次的に生じたものと考えられる.1児,

豚児に分離した空腸と,回腸とに続く大腸では,

上記の廻転角度の小さい,皿児等の大腸で低形成 をみるのは興味深い.また,分離しつつある2児 の下腹部における諸臓器は次第にY面(結合面)

に平行に位置するが,膀胱のみは,主としてZ面  (水平面)上にある.

 2)特異的な位置異常

 2次前面(2次胸腹面)より諸臓器をみると,

B面の左側において,肝臓,脾臓が上方に偏位し ている.この部の横隔膜は欠損しており,B面の 肝臓の左側部と,B面の脾臓がB面の左の部分で 胸腔内に陥入していると思われる.単一の胃は,

その一部が,横隔膜欠損部より胸腔内に陥入して いるが,肝臓および脾臓ほどの上方向に偏位する 傾向は認められない.また,B面の左の肺は,胸 一651一

(6)

腔内に陥入している肝臓の後方に認められる.西 村9)らの報告している単対称性頭胸結合重複奇形 児の例では,その正常顔面類似側面の左側におい て,横隔膜ヘルニアを認めるが,肝臓と,脾臓の いわゆる上方偏位は認められない.

 3) 2児の左右と2次面の左右

 体表において,2児の各々の異名半側同士の結 合が,2次面を形成すると考えられている2)が,

深部における2児の各々の左右側の判別は極めて 困難である.2児の結合部の諸臓器は,2児の異 名半側同士の結合により,2次面上で,1つの臓 器の形態を形成しているのか,あるいは,本来の

2児の各々の1臓器が,2児の結合のために,90 度外側に廻転しているのかについて,現在の段階 では,推測の域を出ないと思われる.特に疑問を 生じる点は,食道と気管の位置関係である.共通 体幹の中央に,2児に共通の1つの食道があり,

2児の各々の本来の前面(結合面=Y面)に平行 に,食道の両外側(A面B面側)に気管がある.

この場合,2次面上で分岐する主気管支に対して は,2次面上での左右のみの決定以外はできかね る。何故ならぽ,気管の分岐が,2次面上で行わ れており,また,食道の前部に生ずる筈の,気 管の正常発生の形態11)と比較して,(2児に共通

のン食道の両外側から気管が発生している事実よ り,この2次面上の, (A,B)2つの気管に対 して,1児と皿児のいずれの児に属する気管であ るかの判定すら困難であるからである.

 著者は,以上の理由により,漏話上,2次面上 での左右側のみを使用している.なお,また同時 に,1児と仏心との間で,結合部の諸臓器に関し ては,鏡像現象も,決定できないと考えられる.

今後更に,解剖学的検索を進め,特に胸腹結合重 複奇形児との比較検討をも試みた上で,2児の左 右側についての考察を加える考えである.

         結  語

 先に,外形所見と結合母線筋の所見とを報告し ている1例の複対称性頭胸結合重複奇形児につい

て,内臓の立体的位置関係の解剖学的検索を加 え,以下の所見を得た.

 1)結合部の諸臓器は,主として2次面に平行 に位置するが,2児の分離する下腹部の諸臓器 は,水平面および結合面(2児の各々の前頭面に 平行の面)に平行な位置をとる.

 2)横隔膜の一部欠損が認められ,肝臓,脾臓 及び胃の胸腔内への陥入が認められる.

 3) 結合により,2児に共通の臓器は,食道,

胃,十二指腸および空腸の口元2/3である.

 稿を終るにあたり,御指導,御校閲下さいました第一 解剖学教室久保田くら主任教授,また直接二二導いただ

きました永野貞子助教授に深甚なる謝意を表します.

 本研究は,昭和54年度科学研究費補助金,一般研究 D,課題番一号467010による.

 本論文の要旨は第237回東京女子医科大学学会例会

(昭和56年2月27日)において発表した.又,本論文の 一部は,第85回日本派剖学会総会(昭和55年4月,於福 島)においても発表している.

        文  献

1)田代逸郎:人の尿膜管の形態学的研究.医学  研究21(1)46〜69(昭26)

2)Schwalbe, E.3 Die Morphologie der Mis−

 sbildungen des Menschen und der Tiere.

 1,工ITei1175〜220(1906)

3)Finola, C.G.; Cephalothoracopagus(Double  Monster)・Am J Obst&Gynec 2辱455〜457  (1934)

4)Gu血ter, G.U.3 Cephalothoracopagus Mo−

 nosy皿nletros. Am J:Patho122 851〜861  (1946)

5)井上和子・他:重複奇形児の解剖学的研究,単  対称頭胸結合重複:奇形児の心臓について.東女  医大誌28(5)395〜401(昭28)

6)3adawy, A・H・;Cephalothracopagus Clini−

 cal and Anatom量cal Study of Case、 Obst&

 Gynec 18(1)106〜112(1961)

7)Sturrock, M。M.3 The Abno㎜alities and  Genesis of Cephalothoracop翫gus (JanicePs)

 Tw五ns. Anat Anz Bd 133 Sapp瓦350〜362  (1973)

8)小倉基裕・他:単対称性単眼性頭胸結合体の  一剖検例.関西医大誌27(1)121〜130(昭  50)

(7)

9) Nishimura, H. and Okamoto, N.:

   Sequential Atlas of Human Congenital Mal‑

   formations. First edition. Igaku Shoin, Tokyo    (1976) 19e‑‑・20

10) Wedel)erg, R.: Cephalothoracopagus (Ja‑

   niceps) Twinning. Obst & Gynec 54 (S)

   S92N396 (1979)

11) Moore, K.L.: The Developing    Clinically Oriented Embryology.

   edition. W.B. Saunders Company,    phia (1977) 188,w196

Human;

 Second

Philader‑

‑653‑

参照

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