94 (30) 氏名(生年,月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
オ ソ ノ マサ ヒロ二面能 正博 (昭和
医学博士 乙第844号 昭和62年10月16日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) ヒト奇形胎児大腿諸筋の解剖学的研究 (主査)教授 串田つゆ香 (副査)教授 田川 宏,教授 野本 照子論 文 内 容 の 要 旨
目的 従来,ヒトの四肢奇形に関する研究は,その奇形の 存在部位や成因についての臨床的あるいは病理学的研 究に限られていた.とくに四肢の筋に対する詳細な解 剖学的研究は,ほとんど行なわれていない現状である. 本研究は,骨および中枢神経系に高度な障害を有し, 生存不可能であった胎児の大腿諸筋を形態学的に追 跡,検索したものである. 対象と方法 研究対象は,いずれも妊娠後期に死亡した,半頭骨 無心体,無脳症,先天性致死型低フォスファターゼ血 症,常染色体劣性近位肢型点状軟骨異形成症および致 死性骨異形成症の奇形胎児5例である.実体顕微鏡お よび顕微手術用器具を用い,詳細な剖出を行ない,お のおのの胎齢における正常胎児との比較観察を行っ た. 結果 1)陣頭骨無頭無心体は,正常胎児と比べ筋の分離発 達は未熟である.しかし,その基本的構造には変化な く,おのおのの筋の命名は可能であった. 2)無脳症は,筋の発達は良好であり,正常胎児と 比較し,ほとんど変化を認めなかった. 3)いわゆる致死性四肢短縮型小人症と称される先 天性致死型低フォスファターゼ血症,常染色体劣性近 位肢型点状軟骨異形成症および致死性骨異形成症は, いずれも骨の短縮に応じた筋の短縮を示すが,その幅 や厚みは増大する.しかし,おのおのの筋の発達は比 較的良好であった. 4)半頭骨一頭無心体においては,多くの破格筋束を 認めた.すなわち,(1)縫工筋は,筋質部がきわめて 短かく,かつ薄筋腱と融合している.(2)薄筋は,幅 広く,他の内転筋群を被い,筋束が3部に分かれる. そのうちの1筋束は縫工筋腱に融合する.(3)長内転 筋は,浅層および深層の2層に分かれ,その停止部は, 浅層筋が内側広筋の起始部に,深層筋は大腿骨粗線の 中1/3部である.(4)短内転筋は,浅層と深層との2層 に分かれる.(5)大腿二頭筋は,長頭が分離し,半幽 晦筋に融合する筋束を認めた,なお,長頭と短頭とは 完全に分離している.(6)半膜様筋は強大で,隣接す る大内転筋より大である. 結語 骨系統の外景およびX線像に高度の異常所見を認 める奇形胎児の大腿諸筋について,詳細な解剖学的観 察を行なった.その結果,大腿の伸筋群,屈筋群およ び内転筋群などは,ほとんどの症例において,おのお のの筋を同定,命名することができた.しかし,それ らの筋の形成,起始や停止などは,いわゆる致死性四 肢短縮型小人症と半頭骨無頭無心体との症例におい て,それぞれ特徴ある変化を示していた. 一758一95