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山陽地方のカニにおける吸虫

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Academic year: 2022

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(1)

岡山大学医学部保健学科紀要

,1 2:1 5‑1 8 ,2 0 0 1

BullFacHealthS°i,OkayamaUnivMedSch

(原 著)

山陽地方のカニにおける吸虫 Spe l ot r e ma c a pe l l ae の メタセルカ リアの感染状況

斎藤哲郎1 ) ,久家光雄

2)

,橋 口正大3 ) ,池田文雄4 ) ,山口裕 之

5)

,吉田邦恵6 ) ,頓宮廉正

要 約

吸虫

S pe l o t 7 1 e maC a Pe l l a e

の飼 い猫への感染源 を調べ るために,広 島児福 山市 を中心 とし た瀬戸内沿岸の河 口域 に生息す るカニ におけるメタセルカ リアの感染状況 を調査 した。調 査地の うち広 島児内の

4

ヵ所 と岡山児内の

1

ヵ所のケフサイソガ

こ He mi g 7 1

aPsu

s Pe ni c i l ‑ l a t u s

か ら

S.c a pe l l a e

のメタセルか )アが検 出された。特 に,過去 に症例報告のあった猫 の 行動圏内にある福 山市の2ヵ所 のケフサイソガニか らは高率 に検 出 された。 したが ってこ れ らの地方 においては飼 い猫への

S.c a pe l l a e

の感染源 は河 口産のケフサ イソガニである

ことが強 く示唆 された。

キーワー ド:

S pe l o t r e mac a pe l l a e

,ケフサイソガこ

,He mi g y

apsu

s pe ni c i l l a t u s

,メタセルカ 1)ア, 山陽地方

は じ め に

著 者 ら は 先 に飼 い 猫 に 寄 生 し た

S pe l o t r e ma c a pe l l a e

1

症例 を報告 した1)が,その感染源 につい ては明確 で はな く,ケ フサ イ ソガ

こHe mZ g Y

laPsus

Pe ni c i l l a t u s

,ア シ‑ ラガニ

He l i c et r i de nst r i d e ns

等が疑 われた。今 回,感染源である第

2

中間宿主 を 確定す るため,感染猫が認め られた福 山市 を中心 に 岡山県か ら山 口県 にまたが る河 口産のカニ における メタセルカ リアの分布 を調査 した。同時 に得 られた メタセルカ リアを各種動物 に感染 させ て感染性 を調 べ ると共 に成虫を得て虫種 を確認 した。

調査 と実験の方法

調査地 は岡山股が4ヵ所,広 島児が8ヵ所,山 口 県が2ヵ所の計14ヵ所である(表 1)。岡山県笠 岡市 金浦湾以外 は瀬 戸 内海 に注 ぐ河川 の河 口で あ る

1 9 9 9

4

月 より

2 0 0 0

3

月にわたって各調査地か ら カニ を採集 し,内臓,触,筋 肉に寄生す る

S pe l o t r e ma c a pe l l a e

と考 え られ るメタセル カ リア を解剖顕微鏡 岡山大学法学部

1)斎藤獣医科病院 2)広島県立教育センタ‑

3)福山市市民病院 4)池田獣医科 5)山口動物病院 6)吉田動物クリニック

下で検査 した。検 出 したメタセルカ リアはマウス, ラッ ト,イヌ,ネ コ,モルモ ッ ト, ヒメウズラ,ア イガモ,ア ヒル, 白色 レグホン,カツラチャボ,ウ ズラ,セキセイイ ンコ,カナ リア等の動物 に各

5 0

個 ずつ を経 口感染 させ た。 7日後 にプ ラ ジカ ンテル

py t z z i q u a nt e l

(ドロ ンシ ッ ト@)を

2 5 m g / k g

皮下注射す ることによって駆 虫 し,回収 した成虫によって各種 動物への感染性 を調べ た。得 た成虫はその形態 より

S pe l o t r e n ulC a Pe l l a e

であることを確認 した。

結 果

調査 した14ヵ所のカニ を検査 した結果,岡山県の 高梁川 河 口,広 島県の古 山田川河 口,芦 田川河 口, 木谷川河 口,桜川 河 口の計

5

ヵ所か ら採集 したカニ よ り

S pe l o t r e mac a pe l l a e

のメ タセル カ リアが検 出 された(表 1)。寄生 していたカニの種類 はいずれ も ケフサ イソガニ

He mi gr

apsu

s pe ni c i l l a t u s

であった。

検査 に用いたケフサ イソガこの甲幅 は最小が

1 3 0 m m

, 最大が

2 9 5 m m

であった。メタセルカ リアはカニの内臓

‑ 1 5‑

(2)

斎藤 哲郎 他

1 カニ における

S

pelotremacapellaeのメタセル カ リア感染状況 力二種類 検査 カニ数 感染 カニ数

旭川河 口 ア シ‑ ラガニ 5 0(*5) 高梁川河 ロ ケ7サ イソガニ 13 1(7.7%)

ケ7サ イソガニ 9

0

沼田川河 口

岡山一 アシ‑ ラガニ 9 0(*2)

ケフサイ ソガニ 15

0

笠 岡市金浦湾 アシ‑ ラガニ 8

0

ケフサ イ ソガニ 11

0

古 山田川河 ロ ケ7サ イソガこ 27 24(88.9%) 芦 田川河 ロ ケフサ イソガニ 14 6(42.9%)

ケフサ イソガニ 14

0

アシハ ラガニ 7

0

本郷川河 口

広島県

モクズガニ 4

0

ユ ビアカベ ンケイガニ 4 0

ケ7サイ ソガニ 11 0

イソガニ 8

0

藤井川河 口

モクズガニ 5

0

アシハ ラガニ 3

0

ケ7サ イ ソガこ 8 3(37.5%) 木谷川河 口

ヒライソガニ 9

0

桜川河 ロ ケフサ イソガニ 7 2(28.6%) 山南川河 ロ ケフサ イソガニ 11

0

白浜川河 ロ ケ7サイ ソガニ 8

0

麻里布川河 口 ヤマ トオサガこ 14

0

ケフサ イソガニ 11 0

小瀬川河 口

山口県 ヒライソガニ 7

0

カタベ ンケイガこ 8

0

アシハ ラガこ 12

0

( *

MicrophaloidesjaPonicusのメ タセルカ リア)

と筋 肉の両方か ら検 出 されたが,大部分 は筋肉に寄 生 していた。感染率か らみ ると,広島県福 山市の古 山田川河 口産のケフサイソガ二には27匹検査 した内 の24匹 (88.9%)にメタセルカ リアが寄生 していた。

同 じ福 山市の芦 田川河 口産のカニ に も14匹中の6匹 (42.9%)に寄生 していた。広島県の他の木谷川河 口(37.5%),桜川 河 口(28.6%)のカニか らも古 山 田川河 口ほ ど高 くはないがかな り高率 にメタセルカ リアが検 出 された。岡山県の高梁川河 口産のカニか らも7.7%に感染がみ られたが,広 島児 に比較 す ると 高い感染率ではなかった。

得 られ た メ タセル カ リア の形 態 的特 徴 は平均 312.4×298.5ノ皿のほぼ円形 を してお り,厚 い透明層 を持 っていた(図 1)。脱嚢後 のメタセルカ リアを庄 平 して観察す ると,明瞭 に消化管や生殖器官が観察 で きた (図2)。 これ らのメタセルカ リアを各種動物 に感染実験 を行 なった結果,マウス, ラッ ト,イヌ, ネ コ,モルモ ッ トか らはいずれ もS.capellaeの成 虫 の寄生 を確認 したが, ヒメウズラ,アイガモ,ア ヒ ル, 白色 レグホン,カツラチャボ, ウズ ラ,セキセ イインコ,カナ リア等の鳥類 か らは成 虫の寄生 は確 認で きなかった (表

2

)。

‑ 16‑

(3)

S p e l o t 7 1 e maC a P e l l a e

の感染状 況

1 ケ7サイソガ二に寄/l三していた

S p e l o h l e ma C a j ) e l ‑ / a e

のメタセルカリア

2 脱衣メタセルカリア OS:ロ吸盤,P:咽豆乳 0:卵巣,VS:腹p及盤,

VS

I.・:.臥.j

ET 貯精喪,

2

S F , e / o / ) , e mac a t , e l l a e

のメタセルカ リアの各種動物 へ の感 染試験

(メタセルカリアは実験動物1匹当たり50個授与)

実験動物 実験地数 成虫担川又数

マウス 5

ッ ト 1

イヌ

ネコ 1

モルモッ ト 1

ヒメウズラ アイガモ アヒル 白色レグホン

カツラチャボ 2

ウズラ 2

セキセイインコ 2

カナリア 2

i(+I辛862312

00 00 00 00

考 察

S.c a pe l l a e

の 第

2

中 間 宿 主 は従 来 よ りイ ソガ ニ

H.s a

n

gui ne us

とされ て きた2)。今 回調 査 した河川 の 河 口域 で は同 じ属 の ケ フサ イ ソガニ

H.pe ni c i l l at us

が広 く生 息 してお り,広 島県 内の

4

河川 の ケ 7サ イ

ソガ 二 か ら高 率 に

S.c a pe l l a e

の メ タセル カ リア が 検 出 され た。 なかで も福 山市 の古 山田川 の ケ 7サ イ ソガ ニ か らは

88, 9%

の 高 率 で

S.c a pe l l ae

の メ タセ ル カ リアの感 染 が認 め られ た. この結果 よ り, これ らの 調 査 地 に お い て は こ の ケ フ サ イ ソ ガ 二 が

S.c a pe l l a e

の 主 た る第

2

中 間宿 主 とな って い る と 考 え られ たO 先 に報 告 したS

.c a pe l l ae

の感 染例 l)の 思猫 は この古 山田川 の河 口近 くで飼 われ て お り, 柄 口に生 息 して い るケ 7サ イ ソガ二 を食べ て もおか し くはない環境 にあ った。 お そ ら くそ こにいたケフサ イ ソガ二 を食 して感 染 した もの と推 察 され る。

メ タセル カ リアの各種 動 物 への感 染 実験 で はマ ウ ス, ラ ッ ト, イ ヌ, ネ コ, モル モ ッ ト等 の晴 乳類 に は感 染 が認 め られ た (表

2

)。 しか し

8

種類 の鳥類 に はいず れ も寄生 がみ られ なか った

。S pe l ot r e ma

属 の l吸虫 は現在 まで鳥類 の シ ャ ク シ ギ属

Nume ni u

s

2

), ツ グ ミ属

Tur dus 3

), ‑ シ ボ ソガ ラ ス

Co r u us c or ‑ o n

e

4 )

,タ シギ属

Gal l i na g

o 5)の ほか晒 乳類 に も寄生 す

るこ とが知 られ て い る5・6)。 どの よ うな終 宿 主 が最 も 好適 な宿主 とな りうるの か は未 だ よ くわか ってお ら ず, 今 回の感 染 実験 で なぜ 鳥類 に感 染 が み られ なか ったの か は明確 で はない。 この吸 血 は鳥類 か ら哨乳 類 にわ た って広範 な宿 主 を選択 しうるの か も しれ な いが,今 回の感 染 実験 は頭 数 も少 な く終 宿 主 に関 し ては さ らに調 査 が必要 で あ る と考 え られ た。

文 献

1)斎藤哲郎,池田文雄,山口裕之,吉Etl邦恵,頓首廉正 : 飼い猫に寄生 した岨虫S

p e l o l r e mac a P e l l a e

の 1症例。日 獣 会 誌,53:315‑316,2000.

2)Brldgman,∫.F.,Otagaki,K.,Shitanda,Ⅰ.&Tada,K : NIIle metaCerCariae (Microphallidae.Trematoda) from arthropodsoftheJapanInlandSea,Kagawa Prefecture,includingthedescriptionof

Le u i n s e ni e l l a c o ni c o s t o ma

N.SP.ShikokuChrlStianCollegeTrea‑

tlSeS,23:35‑61,1972.

3)Uchida,A,Uchida,K.,Itagaki,H.&Kamegai,S.: Check llStOfhelminthparasitesofJapanesebirds. Jpn ∫ Parasito1.,40:7‑85,1991.

4)7k野文夫,八木欣平,池上 誠,松原幸一,大林正士 : 札幌近郊の‑シポソガラス

( Co r L ) u SC O r O ne )

の寄生嬬 虫.寄生虫学雑誌,32(Suppl.),p.84,1983.

5)Yamaguti,S.:Systema Helnlit1thum,Vol 1 The DigeneticTrematOdesofVertebrates,Part1p 729.

111terSCiencePub一ishersINC :New York,1958.

6)Yamaguti,S∴ SynopsisofDigeneticTrematOdesof Vertebrates,Vol.1.p.598,KeigakuPublishingCo‥

Tokyo,1971.

ー 17‑

(4)

Bull Fac Health Sci, Okayama Univ Med Sch 12 : 15 -18, 2001 (Original article)

Detection of metacercariae of Spelotrema capellae in crabs from Sanyo District, Japan

Tetsuro SAITO!), Mitsuo KUYA

2

l, Masahiro HASHIGUCHI

3

l, Fumio IKEDA

4),

Hiroyuki YAMAGUCHI

5),

Kunie YOSHIDA

6)

and Yasumasa TONGU

Abstract

The detection of metacercariae of Spelotrema capellae was investigated in crabs that inhabited the river mouth in the Sanyo District, Japan. The metacercaria was detected in crabs from 4 areas of the Hiroshima Prefecture and from 1 area of the Okayama Prefecture. From 2 areas in the Hiroshima Prefecture, the crab, Hemigrap- sus penicillatus, showed the high prevalence of metacercariae. This crab could be a source of infection by Spelotrema capellae in domestic cats in these areas.

Key

words:

Spelotrema capellae, Hemigrapsus penicillatus, crab, metacercaria, Sanyo District Faculty of Law, Okayama University

1) Saito Veterinary Hospital

2) Hiroshima Prefectural Education Center 3) Fukuyama Municipal Hospital

4) Ikeda Veterinary Clinic 5) Yamaguchi Animal Hospital 6) Yoshida Animal Clinic

- 18-

参照

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