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大型土のう積み導流提による三宅島の泥流対策(その1)

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Academic year: 2022

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(1)

大型土のう積み導流提による三宅島の泥流対策(その1)

       東京都建設局河川部  正会員  鈴木 進、今野 雄悟        名古屋工業大学    正会員  松岡 元

       東京都土木技術研究所 正会員 ○草野 郁、中村 正明、森 洋

1.はじめに 

三宅島では、2000 年 7〜8 月にかけてたびかさなる噴火により 大量の火山灰が降灰した。山肌は火山灰で覆われ雨水の浸透性を 失い、豪雨のたびに急流と化した泥水が山肌を洗掘し、スコリア など旧火山堆積土を巻き込み、泥流・土石流が発生している。頻 発する泥流・土石流により民家や農地は埋まり、さらに、道路を 流下し沿道の被害を大きくしている。 

坪田地区の泥流対策として、村道の一部を流路に固定し整備済 みの沢に導流する目的で、流失箇所の路体構築を含め、大型土の うを平積みして高さ 2〜5m の導流堤を築堤した。土のうの中詰め 材にはスコリアを使用した。 

2.土のう積み導流堤の計画 

噴火による火山灰の降灰以降、強い豪雨に遭遇した回数が少な いこともあり、山腹の上部はまだ火山灰に覆われており、泥流・

土石流の発生に対して不安定な状況が続いている。 

工事箇所の坪田地区では、図−1に示すように、都道より山側 に位置する村道が分岐している。山腹沿いの村道は泥流により削 り取られ(写真−1)、泥流は山林や畑、家屋に被害を与えている

(写真−2)。分岐して都道に降りる村道は泥流の流路となり、都 道に流出した泥流が沿道に被害をもたらしている。 

この地域の泥流対策として、村道の山側の谷地形に砂防堰を建 設する予定であるが、泥流・土石流が収束するまでの期間、山沿 いの村道を流路に固定して整備積みの筑穴沢に導流させる。この ため、山沿いの村道の破損個所は大型土のう積み盛土により路体 を修復し、村道沿いに高さ 2m の導流堤を構築した。路体部と導流 堤をあわせると高さ 2〜5m の土のう積み盛土となり、工事延長は 436m に及ぶ。泥流・土石流が収束した時点で導流堤部の盛土を撤 去し土のう積み路肩と法面を緑化する予定である。 

3.大型土のう積み導流堤 

(1)大型土のうの強度 

スコリアを中詰めした大型土のう1)(縦横幅約 1m,高さ 0.25m)

と標準土のうをそれぞれ 3 層に積んだ供試体の耐圧試験結果から、

試験前の土のう寸法と破壊時の寸法で整理した場合の試験値と、

土のう寸法と袋の張力、中詰め材の内部摩擦角(φ =39.4°)

図−1 泥流の流れと導流堤建設箇所

写真−1 泥流による村道流出の状況

写真−2 泥流による家屋被害の状況 都道

凡 例

   泥流の流れ    導 流 堤 村道

坪田地区

流出箇所

キーワード:大型土のう、導流堤、流体力、スコリア

連絡先:〒136−0075 東京都江東区新砂

1−9−15 東京都土木技術研究所 草野郁 TEL:03-5683-1532

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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III‑440

(2)

より求められる推定値2)を表−1 に示す。破壊時の 変形量に基づく土のう寸法による試験値と推定値 は類似した値になるが、破壊時の変形量が大きい ことから土のうの高さは小さくなり、縦と横の幅 は広がり、破壊時の推定値は大きくなる。土のう 積み工法における土のうの耐圧強度は試験前の寸 法に基づく推定値を使用した。 

(2)導流堤の設計 

試験値、推定値ともに強い値を示すことから、

土のうを横切る破壊面は発生せず、路体と路肩、

法面の土のう積み盛土は安定しており、土のう 積み工法の弱点である横方向の外力に対する 安定性が問題となる。図−2 に示す横方向外力 に対する転倒、滑動、支持力に関する検討結果、

泥流・土石流の流体力が最も大きく、この力に 対する抵抗力から大型土のう積み導流堤の断 面積を求めた。泥流・土石流発生後に導流路に 堆積した土砂を除去することを前提にして、高 さ 1m で流速 5m/sec の土石流が直撃するとして流体 力を計算した。横方向外力に対しては土のうは拘束 効果が少ない。このため、土のうの拘束効果は無視 し、中詰め材の摩擦力と土のう間の摩擦力の小さい 方の値を抵抗力に設定した。この力で外力に抵抗す ると仮定し、摩擦角を 30°として設計断面を決定し た。高さを 22.5cm、横・縦幅 1.1m の土のうを作成 し、3列配置で幅 3.3m を確保することにより、土 石流の流体力に対する安全率は 1.25 になった。土

のうが一体として抵抗力を発揮できるようにするため、図−2 に示す 3 列、4 段積み、高さ 0.9m の土のう積み 盛土を遮光シートで覆い、さらにジオグッリドで巻き込んだ構造とし、この上に、2 列、5 段積み、高さ 1.125m の土のう積み盛土を作成して、高さ 2m の導流堤を構築することとした。路体構造を含め、図―3 に示すよう に高さ 2〜5m の土のう積み導流堤を構築する。 

表−1 土のうの耐圧強度と推定値 土のうの耐圧強度 (kPa) 

中詰め材:スコリア 

破壊時形状  (cm)  推 定 値 

土のうの 

種 類  試 験 値

(破壊時寸法) (初期寸法)  (破壊時寸法)  縦・幅/高さ 大型土のう 3,217  1,286 2,562  130/13 

3,880  標準土のう

3,796  1,093 4,578  50/2.5 

1125

2200

3300

2025 900

流体力 堆砂圧 水圧

10001025

考慮する荷重  (1) 流体力  (2) 堆砂圧+水圧

導流堤 導流堤の諸数値

 c=0 kN/m2  φ=30°

 γ=18 kN/m3

基礎地盤の諸数値  c=0 kN/m2  φ=30°

 γ=18 kN/m3

図−2 導流堤の設計外力と設計断面

2,025 2,700 標準部

基礎部  大型土のう 12 段積み 

(4 段毎にグリッド巻き込み)

2,200

3,300 大型土のう 5 段積み 

(グリッド巻き込み一体化)

大型土のう 4 段積み 

(グリッド巻き込み一体化)

図−3 導流堤の設計外力と設計断面

4.おわりに 

大型土のう積み導流堤は、村道の流出や崩壊箇所を修復し路肩と法面を強化し、土石流や流木に耐える構造 で、長期耐用も可能である。土のう袋以外は現地調達が可能で、工事費の多くは人件費が占めることから、地 元の雇用促進にも繋がった。「土のうは弱い」という先入観が強かったが、この工事で「土のう積み工法」の 長所が認識された。今後、横方向荷重や洗掘に対する安定性に関する実証試験を行い、三宅島災害事業への活 用を考えている。 

(参考文献) 

1) 松岡元,陳越,山城耕寛,田中竜一(2000):「土のう」の力学特性および耐圧試験、第 35 回地盤工学研 究発表会 

2) 草野郁、松岡元、山本浩一、中村正明、森洋(2002):三宅島災害復旧事業を目的とした大型土のう平積 み工法の開発、第 37 回地盤工学研究発表会 

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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参照

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