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6 除染前後の底質の変化

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Academic year: 2022

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「水底土砂現位置分級除染工法」の現地実証試験について

あおみ建設 正会員 ○岡島伸行 正会員 吉原到 榊原雅人 日本大学工学部 正会員 仙頭紀明 港湾空港技術研究所 正会員 渡部要一 1.はじめに

河川・湖沼等の放射性物質の除染については,早期の環境回復に取り組むべき重要な課題となっている.筆 者らは,除染除去土壌の分級による減容化の実施時に粗粒分の放射性セシウム Cs 濃度を低下させる効果が高 い洗浄方法として,「高圧水の水中噴射によるキャビテーションジェット洗浄(以下,CAV 洗浄と称す)」,「超 音波洗浄」の 2 方法を抽出し,高効率な分級洗浄方法として確立すべく検討を進めている1)2).本稿ではこの分 級洗浄の原理をため池の水底土砂に対して適用した実地試験の概要を報告する.なお,本実地試験は「環境省 平成 25 年度除染技術実証事業」3)において実施したものである.

2.分級洗浄装置の概要

水中分級ロッド(図 1)を用い閉鎖された領域内で水底土砂 を分級し,汚染物質を多く含む細粒分のみを回収する装置であ り,全土量を撤去陸揚げした後,陸上で分級処理を行う既往技 術と違い除去土量自体を低減することを特徴とする.分級時に 超音波と CAV を組み合わせて粗粒分を洗浄することにより,除 染の効果を高める.また,分級にはメッシュサイズを変更する ことで,容易に分級ポイントを変更できる振動ふるいを使用す る.超音波や CAV を土粒子全体に均一に作用させるため,ミキ サーにより水流をおこし土砂を循環させる.振動ふるいを通過

した細粒分を含む泥水はポンプによる排水で陸上に送られ,凝集沈殿,脱水の各処理を経て放射性 Cs が付着 した細粒分を回収する(図 2).また,常時排水を行うことで,施工時の汚濁拡散を防止できる。なお写真 1 は,施工中の分級ロッド外周のごく近傍の状況であり土砂の攪乱(濁りなど)は認められない.

3.実地試験

原位置分級処理システム(水中分級ロッド,

各ポンプ設備類)および水処理システム(濁 水処理システム,スクリューデカンタ)を含 む一連の装置・設備(図 3)を,実際のため 池堤外地に搬入し除染実証試験を実施した.

放射性 Cs は,水底の表層部分に集中してい ることが知られており,薄層での除染が求め られるため,施工層厚を 10cm に設定し実施 した.

キーワード 水底土砂,除染,減容化,分級,超音波,キャビテーションジェット

連絡先 〒108-8430 東京都港区海岸 3-18-21 あおみ建設株式会社 土木本部技術開発部 TEL03-5439-1014 水底土砂 【対象:ため池・河川域・湖沼・河口域・海域】

 水中分級ロッド

原位置分級

粗粒分

洗浄(キャビテーション

ジェット+超音波)

粗粒分原位置存置 濁水水処理システム

(凝集沈殿濾過装置) スクリューデカンタ

(脱水処理装置)

※覆砂、サンドマットの効果

処理水 細粒分(脱水処理後)

再利用 一時保管

細粒分

(泥水として回収)

図 1水中分級ロッド説明図

図 2 実地試験実施フロー

図 3 実地試験機材配置イメージ図 写真 1 施工時の水底状況

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑11‑

CS9‑006

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4.実地試験結果概要

水底面の放射線量の変化を把握するために,プラスティックシンチレーションファイバー(PSF)による計 測を除染の事前事後に実施した。計測はファイバー長 20m,測定ピッチ 2m,測定時間 600 秒とし,ファイバー 1m 毎の平均カウント数より 2 次元マッピング処理を行った。

事前計測により放射線量の高い箇所を試験対象範囲(図 4,5 破線内)として設定して除染を実施した.除 染実施後の計測では施工範囲の放射線量が大きく低減している.実地試験において水底土砂の薄層 10cm の改 良処理を行った後,同一地点での事前事後の水底面の標高および放射性物質濃度の鉛直分布の変化より確認し た結果を図 6 に示す.

6 除染前後の底質の変化

改良層厚(10cm)に対して改良後の地盤標高が 5cm 程度深くなっており,存置した層厚が 5cm 程度になって いる.存置した粗粒分を含む表層については,Cs 濃度が大きく低減している.上記の結果から単位面積当た りの除染率等を試算した結果を(表

1)に示す.表より除染率は 98.0%,減量率 25.9%となった。

表 1 除染効果の試算

5.今後の課題

現在,小型組立式フロートを利用した水上施工による実施について検討を進めている.500~50,000m2/箇所 のため池を対象に施工能力 100m2/日以上のものとしてシステム化を進める予定である.

参考文献

1)岡島伸行,吉原到,仙頭紀明: 除染除去土壌に対する分級時の洗浄技術の適用性検討,土木学会第 68 回年次学術講演会,CS11-004pp.7~8,2013.

2)福島県生活環境部:平成 24 年度第2回福島県除染技術実証事業実施結果報告書(平成 24 年 10 月),2012.

3)独立行政法人日本原子力研究開発機構:平成 25 年度除染技術選定・評価等業務報告書-環境省,平成 25 年度除染技術実証事業-(平成 25 年 12 月),2013.

7.80m(除染前標高)

除染前 除染後

除染前 除染後

0~5 4,920

5~10 1,476 211

10~15 512 543

20~25 740

Cs濃度(Bq/kg_dry)

水底面からの 深度(cm)

改良(洗浄)範囲 改良(洗浄)後の土砂が再 堆積した範囲

7.75m(

除染後標高

)

※ 既 設 護 岸 の 天 端 標 高 を 10.0mとした場合の数値

(事前事後の測量結果より)

除染前 除染後

0~5 4,920

5~10 1,476 211

10~15 512 543

15~20 - 740

Cs濃度(Bq/kg_dry)

水底面からの

深度(cm) 除染前 除染後

0~5 4,920

5~10 1,478 211

10~15 512 543

15~20 - 740

Cs濃度(Bq/kg_dry)

水底面からの 深度(cm)

図 4 除染前(PSF測定結果) 図 5 除染後(PSF測定結果)

単位面積(1m2)当たりの試算結果より収支確認

含水比 改良量

(m3

比重 (kg/m3)

土量 (kg_wet)

土量 (kg_dry)

Cs濃度 (Bq/kg_dry)

Cs量 (Bq)

改良前 表層 5cm  150% 0.05 1,337 66.9 26.8 4,920 131,856

    5~10cm 75% 0.05 1,562 78.1 44.6 1,478 65,919 計(平均値) (113%) 0.10 (1,450) 145.0 71.4 (3,199) 197,775

改良後 表層 5cm  233% 0.05 1,233 61.7 18.5 211 3,884

除染率=(改良前Cs量-改良後Cs量)/改良前Cs量=(197,775-3,884)/197,775=0.980 98.0%

25.9%

深度

減量率=改良後存置土量/改良前土量=18.5/71.4=0.259

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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