九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
微視的変形挙動の観察に基づく工業用純チタンの疲 労強度に関する基礎的研究
楠川, 量啓
微視的変形挙動の観察に基づく工業用純チタンの
疲労強度に関する基礎的研究
Zクミ
第l章 緒 圭t:..丙問 1--...,6
1. 1はじめに
1. 2純チタンの疲労における従来の研究 1. 3本研究の11的
1. 4本論文の構成 1. 5使用材料
円/』
FhJ Fhd phu
第2市 中rtl引張りおよび引栄JE納低サイクル疲労における
i数十見(1ワ変形挙却Jの特徴 7 --..., 31
2. 1緒言 7
2.2使用材料および実験方法 7
2.3低サイクル疲労寿命 12
2.4低サイクル疲労き裂発生挙動 15
2.5 f数十見的変形)f::�りj 15
2. 5. I 表而観察 15
2.5.2局所的ひずみの測定 22
2. 5. 3腐食に よる疲労試験汁表而のすべり, き裂の観察 26 2. 6 f数十見的変形とき裂発生機械の関係 26
2. 7まとめ 30
第3章 !奇サイクル疲労におけるき裂発生挙動 3. 1緒吉
3.2使用 材 料 および実験方法
3.3 、|λ滑材における政労き裂先'1:.挙却j 3. -+初見Ij妓労l岐1mの観察
32 --..., 5 3
32 33 33 39
3.5切欠き材における疲労き裂発生挙動 3.6き裂連結前後における開11量の測定
3. 7 1))欠き材におけるき裂発1j:_に関係する 表 fJîi 屑のj享さ 3.8まとめ
第4章 疲労き裂伝ぱ挙j))
4. 1緒言
4.2実験)J11ミ 4. 2. 1 試験n 4.2.2疲労試験
4.3 長いき裂の伝ぱ挙動 4. 4微小き裂伝ぱ挙動
4.5き裂伝ぱrl1に起 こる新しいき裂の生成と伝ぱ, 合体 4.6微小き裂の破I而観察
4.7長いき裂先端部近傍の微倒的変 形挙動 4.8き裂伝ぱ挙動に及ぼす単一過大J/�� )Jの影響
4. 9まとめ
第5帝 切欠き材の疲労限度とイ手間き裂 5. 1絹3
5.2実験力法
5.3疲労寿命と切欠き感度
5.4疲労き裂発中挙動と停倒き裂の有無 5.5まとめ
抗日市 !っj iHにおける妓');.き裂発Ij:_);;; !ll))
qu FD Qd q/u qu dq A斗 Fhd
QU Aq A斗 d斗 nδ nL n/M Aq dq no qu nδ nxU
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門tt
門JI 門ft nxu
nxU~ d斗・FhJ
90,...._, 102 90 90 93 93 97
103--- 125
6.3疲労寿命
6. 4疲労き裂発生挙動 6. 5破而観察
6.6き裂発牛の機構
6. 7まとめ
第7章 結
謝
三6..日間
王手
参 考 文 献
111
104 104 116
122 122
126--- 128
129
130--- 133
第1章 序論
1.1 はじめに
機械あるいは構造物を設計, 製作する1-_で最も重要なことはそれらが壊れない ようにすなわち安全に作ることと, 限りある資源を有効に使用するために経済的 に作ること(1) である. 実機の破煩例の(5 0 %以上が直接的あるいは悶俵ÍIなにjJ1 労が原因とされている(� J したがって安全にかつ経済的に機械や構造物を作る には使用材料の疲労特性を十分に把出しておかなければならない. このためこれ までにも多くの研究者が疲労問題に取り組み, その成果を蓄
積
してきた(3) (�)( 5 ) 一方, 科学技術の進歩にともない, 機械, 構造物はより過酷な環境で稼働 することが増大し, 高性能な耐環境材料が望まれている
金属チタンは軽量で強力, すなわち比強度が大きくかっ耐食性に優れている(G ) ため日本でも戦後, 欧米と同じ時期から高純度, 低コスト生産のための開発が進 められてきた(7 ) そして1950年代には急速な発展を遂げ, 現在ではチタン材料 の原料となるスポンジチタンおよび工業用純チタンの生産は質量ともに世界最高 水準にある(8 ) 米国においては主に軍事用, 航空機用材料としてチタン合金の 使用が圧倒的に多いが日本では民生用を中心に純チタンの使用が8割近くを占め ている.
業用純チタンが最も多く使用されその特性を発揮しているのは発電プラン卜 および化学プラントの分野である. 中でも蒸気タービン復水器や海水淡水化プラ ントの加熱器等の伝熱管材料として薄肉のチタン管が多く使用されている(9) 従来, 海水が流れる発電プラントの復水器の伝熱管等には耐食性のあるアルミニ
ウム黄銅が用いられてきた. しかし長年使用するうちに海水のみならず蒸気中に 含まれるアンモニアなどにより腐食(アンモニア ・ アタック〉される問題が多か った. 純チタンは熱伝導率が低いものの薄肉化が可能で伝熱性能が従来材料に比
ン卜の槽, 熱交換探, 尿素肥料プラントの合成塔, 石川!精製プロセスの峰頂コン デンサなどである(0 ) また耐海水腐食性も優れているため海洋開発の分野にお ける使m実績も多い(a) (1 1 i 伊IJえば防衛庁の淋ノk般のディーゼルエンジン排気 ゲç. 深海潜水調査船の外殻骨庁ß材およびそれらを接介するブラケ y卜などにJflい られている. 加えて尾恨やビルの外壁といった建材分野での百需要も増えつつあり
( 1 Ù) 2 1 世紀には鉄, アルミに続く第3番Hの金属にまで成長するとの予測が
\'(てられている(1:!)
以上述べたように多くの分野で使刑されるようになった純チタンの強度特性,
特に疲労特性に関するデータの苔積および基本的な疲労機構の解明が今後不可欠 であると思われる. 以下では純チタンの疲労に関する従来の研究の経緯を概観し,
lリjらかになっている点および問題点を踏まえた上, 本研究のはÎIなならびに論文の 摘成を示す.
1.2純チタンの疲労に関する従来の研究
純チタンの疲労に関する研究として初期のものには竹内の研究(1 3)がある. 各 種の切欠き半径を有する環状切欠きを付した焼なまし材の回転曲げ疲労試験を行 い, 応力集中係数が1. 8程度以下の比較的浅い切欠きにおいて疲労強度が平滑材 よりも上昇する現象について試験片温度の上昇から説明している.
本格的な疲労き裂発生機構についての研究はMacDonaldとWOOd(14)による「無 すべり型き裂」の観察に端を発する. 彼らは純チタンのねじり疲労についてき裂 の形態を観察し, 1つの結品内を貫いて繰返しすべりの跡が見られず割れが生じ ることを見出した. その後Munz(15) は不純物の異なる3種類のチタンで疲労試 験を行い, き裂発生のしかたを3種類に分類した. 第lは高ひずみ振幅で生じる 粒界き裂, 第2はすべり帯に沿って発達するき裂 , 第3は高繰返し速度領域にお いてみられる無すべり型き裂である. さらに純チタンにおいて特徴的な第3の無 すべり型の粒内割れが観察される原因についていくつかの可能性を示した. 1つ は孤立した単一のすべり面で形成されたき裂, 2つめは小さな双品変形において 生じたき裂, 3つめは前述のMacDonaldらが仮定したもので, 応力が局所的に品 くなりへき開強さ以上となってき裂が生じるというものである. しかしながらい ずれの場合も矛盾点, 問題点があり完全に明らかにはされていない.Munzは特に
2
lつめの単一のすべり帯き裂に注目している. さらに Kocandaはその著書(I G)で すべりを全く伴わない割れの考え方は困難であることを述べ, やはり単独もしく はいくつかのすべり1Mに限定された非7tに微細!なすべり待き裂であることを強調
している
小林ら(I 7)は純チタンの回転山げおよびねじり疲労試験における疲労の初期過
仰を主として破面観察から検討し, き裂進展の第1 t 第日段階(I 8,への選移条件 の{波地力学的評価を試みているがき裂発生過程の詳細はわかっていない
Suganoら(1 !l)は判u主 化した円筒状試験片を用いてねじり疲労試験を行いひずみ
振幅の違いによる疲労き裂のモードを結品学的に調査し, 前述のねじり疲労にお ける無すべり型き裂発生の機構に関する異なった見解の説明を試みた その結果 すべり面および双品面に沿った微視的なせん断モードき裂と特定の結品面上での 同着転位反応による, すべり面でも双品面でもない面での引猿モードき裂を見出
した. しかしながらこれまでの実用材での結果との対応は困難であった
高尾ら(:! 0)はき裂発生過程の連続観察に基づき, き裂が結晶粒径程度の有限な
領域を単位として発生することを報告した. また同様に有限領域を単位としてき
裂が発生する炭素鋼や7:3黄銅の焼なまし材での過程( 2 1 )との違いについて指摘 した. すなわちlつの結品を単位として多数のすべり帯に沿って発生したき裂が,
隣接する結晶内で同様に生じたそれらと連結し1個のき裂となって伝ぱを開始す ることを明らかにし, これらの挙動は結品構造が調密六方品であることに関係す ると指摘している. 別報(2 nにおいて結品粒径の切欠き感度に及ぼす影響につい て報告し, 粒径が増加すると切欠き感度が低下することを明らかにした. またき 裂発生挙IJJと切欠き感度の関係について他の材料との比較も行っている(2 3 )
次にき裂の伝ぱに関するこれまでの研究について述べる. Walkerら(:1 4 )は純チ タンの疲労き裂開閉口挙動( 2 5 )に着目し, き裂縁での開口量を測定するとともに レフリカ法によりき裂のプロフィールを観察しその機構を明らかにした. それに よると, 粒内割れに関係した複雑な破面の不連続的接触による閉口すなわち破l
犯さ誘起き裂閉口が生じており, 通常の�皮面が平坦な場合のモデルである塑性誘 起き裂閉口(2 G )とは機織が異なると結論付けている.
からへき開状ファ ッセット, 単純な2重すべりストライエーシ ョ ンおよび抜雑な 破壊モードの3つに分類した. これらのモードによってき裂伝ぱ述度は増減し,
特にへき1m状き裂の伝ぱ速度が他の倣壊モードでの伝ぱ述度に比べて1 0倍以|二 もI:-:Jくなることを明らかにした
Télkczonoら(:! 8 )は純チタンの疲労き裂伝ぱ速度に及ぼす繰返し述j交のJ;i�特につ いて調査し, 伝ぱ速度が繰返し速度にほぼ反比例することを見出した. さらにこ の速度効果をき裂先制での材料の手I��ììi性に)JづくノJ学的変数を月1し、た百u論的説明 を試みた
高尾ら(:! 9 )は直流電位差j去によりき裂開閉口挙動を調査し, 応力比が1/3以上
でき裂閉口が生じなくなることを明らかにした. また微小き裂(長さ1mm 以 の伝ぱ速度についても触れ, 同一応力拡大係数範囲ムKで比較した場合長いき裂 よりも伝ぱ速度が高くなることを示した
戸梶, 小川らは伝ぱ特性について一連の報告(30) (31) (32)を行っている. まず 伝ぱ速度に及ぼす結品粒径の影響(3 0) (3 2 )について調査し, 伝ぱ速度をムKで整 理した場合ムKl h近傍で粒径の小さい方が伝ぱ速度が大きくなることを示した.
ただしこれは破面組さ誘起き裂閉口現象によりもたらされた見かけ上の現象であ ることを明らかにしている. また微小き裂の伝ぱ速度は粒径によらず長いき裂 よ りも速く, また微小き裂の範囲では粒径の大きい方が伝ぱ速度が速いなどの知見 を得ている. さらに微小き裂伝ぱの確率特性についても調べ(31 ) 破断寿命が2
母数ワイブル分布に従うことを示した.
菅野ら(3 3) (3 4 )は結晶学的見地から, き裂伝ぱに及ぼす圧延材で生じる集合組
織による異方性の影響(3 J)について調査した. 真空中では破面が滑らかで応力制l が圧延方向に平行なLT材と垂直なTL材の聞に差異がなく疲労強度異方性があ まり見られないが, 大気中ではT L材の破面がぜい性的となり疲労特性がしT材 よりも優れていることを明らかにした. また破面の解析(3 4 )により疲労破面を構 成する結晶面を明らかにした
純チタンの欠点のlつに焼付きが生じやすく耐摩耗性に劣るため摺動部品に使 用し葉uし、という点が指摘されているは5) この点を補うために種々の方法により 表面に室化処理を施し硬化層を形成させる工夫がなされている. まず戸梶ら(3 G ) はガス窒化した純チタンの回転出げ疲労試験を行い, 室化処理により疲労強度が
4
向上することを示した. この窒化の効果はき裂発生抵抗と伝ぱ抵抗の両者に有効 であるとしている. これに対し森mら(:l7) (38) (39)は戸促らとは逆に窒化により
疲労強度が低トーする結論を得ている. これらの速いは使化附の厚さおよび前処理 の泣いによるとJZえられているが, 現象が複雑であり -致した見解には至ってい ない
1.3本研究の目的
ütr節jにおいて純チタンの疲労に|刻する研究のあらましを述べたが, これらの多
くはき裂伝ぱ挙動に関する研究と粗大結品粒試験片をj甘いた結晶学的研究であり,
実用材における破壊の起点に注同した研究はほとんどない. 一方純チタンの変形 における最大の特徴は結品構造が制街六プJAIlで, 従来の構造用材料である体心Jl.
方品の炭素鋼や面心立方品のアルミニウムおよびその合金に比べてすべり系の数 が少ないという点である. これら結品構造の相違が疲労特性の相違と密接に関係 していると予想される. そこで本研究は純チタンにおけるすべり系の数が少ない ことが疲労特性にどのように関係しているかを微視的変形挙動の詳細な観察に基 づし1て明らかにし, 純チタンを用いた機器の安全性を確保するための基本的考え
方を確立するとともに, 今後の実用的応用研究に対する指針を与えることを目的 とする.
1.4本論文の構成
本論文は7章からなり, 第1章は序論である.
第2章では疲労における変形挙動とき裂発生挙動との関係を明らかにするため 低サイクル疲労におけるき裂発生挙動を検討する 車111 � I張りにおける微視的変 形を観察し, 局所的ひずみ分布の測定結果と対応させることにより, 低サイクル 疲労におけるき裂発生機械が結晶聞での変形拘束が大きいことと密接に関係して いることを示す
第3章では高サイクル疲労におけるき裂発生挙動と, 結品問での拘束との関係 について検討する. 平滑材でのき裂発生 挙動に加え, 小穴材を用いて切欠き底付
会h 1\11 fì日での拘束の影響について検討する. 平滑材から最も鋭い切欠きとみなせる 子き裂材までの種々の切欠き材における微小き裂伝ぱ挙動だけでなく, 線形破壊 )J学の適用が可能な長いき裂の先端部とその1mりの結品|付でのひずみ分布を測定 し 長いき裂においても微視組織的には依然拘束の影響が残っていることを不す
ヨ.� 5本では仲間き裂の有無を含めた環状切欠き材の疲労限度とき裂先生挙!fVJと の関係について検討する. 純チタンでは切欠き感度がきわめて低く, 切欠きが鋭 くなっても停間き裂ができないことを不すとともにその物理的背景を明らかにす る
第6章では実用上重要となる高温環境下における高サイクル疲労き裂発生挙動 について検討する. 高温ではすべりが活性化され変形が分散するため, すべり帯 におけるより, 粒界における乱れが相対的に大きくなり, 粒界に沿ってき裂が発
生することを明らかにする.
第7章は結論である.
1.5使用材料
日本工業規格において工業用純チタンは不純物の含有量により純度の高いもの から順にl種, 2種, 3種と3つに分類されている. 本研究で用いた材料は各章 ごとに詳しく述べたが, 基本的には1種の板材と2種の棒材を用いた. すなわち 第2章のひずみ制御低サイクル疲労試験お よび第5章の回転曲げ疲労試験では工 業用純チタン棒TB3 5を 8000Cにおいて焼なましたもの(引張強さσ11 ; 372 MPa, 平均結晶粒径d ; 76μm)を, 第3章および第6章では工業用純チタン板
TP28を8000Cにおいて焼なましたもの(σ11 ; 3 17MPa, d ; 12 0μm)を, また第 4章では同じく7000Cにおいて焼なましたもの(σ11 ; 3 3 2 MPa, d ; 50μm)を用 いた. 引張強さで最大のものと最小のものでは15%程度異なるが純チタンの疲労
特性を検討する上で基本的な差異はないと考えられる
6
第2章 一軸引張りおよび引張圧縮低サイクル疲労における 微視的変形挙動の特徴
2.1緒言
I (倒的に大きなひずみが繰返しね仰される低サイクル疲労における変形は•
JII)
�I� (10変形が繰返される尚サイクル政労に比べてより辿統体に近く ・伎であるとJ5-
えられるが i,放出(1なにはるとやはり.rJ.I}}�í'によってかなり列なるものである � !I 疲労は日Ør的な引象であるためその部分に1t 11し別象を微倒的に従える必tIがあ る このような観点から材
料
を見た場合, もはや均 ーな連続休とみなすことはで きない. たとえば外力に対し各結晶ことのすべり易さの大小はまちまちであり,すべり易い状態にある結晶が多い材料とそうでない材料とでは吋然その微倒的変 形挙動に差異が生じることが予想される
結品構造が体心立方品や面心立方品である通常の構造用金属材料はすべり系を 多数有しているのに対し, 純チタンは凋密六方品金属ですべり系の数が非常に
少 ないため, ある結晶内ですべりが生じようとしても,
周囲の結晶がすべり難し、状 態にあるとすべりを阻止するように作
用する・ すなわち変形に対する拘束が強い といえる
業用純チタンの低サイクル疲労に関する
研究としては, 疲労寿命に及ぼす予 ひずみの影響を論じたOwe )の研究, 加工硬化特性およびすべり帯形成を 転位論的に検討したMunzCl5)の研究などがあるが破壊の起点となるき裂発生部の 詳細!な観察に基づく研究は見あたらない.
本研究では一軸引張りの変形を与えた ときの微視的変形挙動を観察するとともに局所的ひずみを測定し両者を対応
させ ることにより, 上述の変形に対する拘束が大きいことと低サイクル疲労における き裂発生挙動との関係について検討した
2.2使用材料および実験方法
用いた材料は工業用純チタン棒(JISTB
35, 直径15 mm) である・ その化学成 分を表2 1に示す・ 試験片形状は図2-1 に示す砂H寺計型試験片で, 中央部の最小 断面昔I�には, 連続観察および局所的ひずみ測定のための浅い部分切欠きを付
, ,
表2 - 1 材料の化学成分(w t %)
日
0.0009
。 N
O. 112 o. 003
表2 -2 機械的性質
0.296耐力 (MPa)
引張強さ (MPa)
伸び (96)
絞り (96)
真破断応力(MPa)
縦弾性係数(GPa)
平均結晶粒径(μm)
ー一
F e
O. 042
243
372
35.4
67.0
793
11 0
76
. . 国・・司田園圃-ー司 胴圃聞・ーー・ーー司『・ー-
ひずみ使化指数 O. 11
繰返し
ひずみ使化指数 O. 23
T B 3 5
Ti
一一
baJ
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‘+ー
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LO C刈
μm除去し鏡而状に仕上げた. 化学研燈液は蒸留水87ccに硝酸55cc, フッ化水素 酸17ccを加えたもので, 約900Cに温めた研摩液に試験片を浸漬, 撹件することに より研磨した. 熱処EU後の機械的性質を表2-2に示す
使用した試験機は, tlÜ圧サーボ疲労試験機(鳥津製作所�1 )である . なおチャ
ック古I�には試験}-t取付H寺に余分な力が}]IJわらないよう , ウッズメタルチャ ックを 川いた. 負荷方式は自作した変位計による試験片最小断面部の直径方向ひずみ制 御である. 予備試験として, 塑性ひずみゲージを羽1I万向にH占り付けた試験片に徐 々に荷重をかけ, 軸方向ひずみと変位計出力の関係を求め, それを較正曲線とし て後の実験に使用した
低サイクル疲労試験は, 三角波の両振り負荷で行った. それぞれのひずみ幅に ついて , ひずみ速度が約5. Ox10-3 S Iとなるように負荷速度を調節した. また,
連続観察にはレプリカ法を用いた.
1ひずみサイクル中の局所的ひずみを幡中らC4 2 )の方法に従って測定した. 以 下にその測定方法を簡単に述べる . ファインセラミックス製の針を取り付けた表 面粗さ計を用いて図2-2に示すように切欠き底に荷重軸方向とそれに直角な方向 に細線を格子状(間隔20μm)にけがき, 適当な範囲を測定領域にとる. この測
定領域内の任意の格子点(XC1.)), YC1.J))とその周りの24個の格子…
(X C i. i), Y C i. )) )からなる領域をサブ領域とし, このサブ領域内でひずみサ イクル中の状態1と所定の変形を与えた後の状態2における格子点変位を 式(2. 1) から求める .
u - (X2Ci.))-XICi.i))一(X2CI.))-XICI.)))
v = (YZC1.)) -Y 1 Ci. i)) 一(Y�CI.))-YICI.J)) (2.1)
サブ領域内の変位曲面を (2. 2)式に示すように格子点座標の3次多項式として 表 す
s -A 1十A2 X 2 C i・i)+A3X2C,. j)2+A4X2Ci・))
+A5Y2C,. ))+AGY2C,• ))�+A7Y2C,・) ) (2. 2) 上式中の各係数A 1, A 2, ・・・, A 7 は
u - s IとO
v - s I .::::::- 0
が成立するよう最小自乗法で決定する .
(2. 3)
ハHU --
日
( : (i�j)' Y (i.j) )
�
.Measuring point
-ーー・・---
-・・・・・・�
4
-・・・・・..v
ミ 人
Sup
reglon
、、‘,,F1.,J ,BEE.,, 、 J
Measuring region
↓↑
図2-2
局所的ひずみ測定のための格子
このようにして待られた変位場の, 測定点(X(I.J), Y(I.J))における変位勾 配ÔU aX, ðu/ BY, ðv / axおよびðv/げを次式のEulerのひずみ成分式に代入するこ とにより測定点でのひずみを算出する
l()2 ()1
ÔU 1 θu
\
�(ôυ
L..l
二 θX-2 åX + éJX δv 1 θ'U \
..(åv
[()2 () 2 1
Cy 二 θ】/-5 δ}/ + δ】/
乙ご ーー 一一乙Iーーとy
01JOt1lMいl
2γF、むHυ = 01/ ート'
ôX
ーôXôY
↓ 1ôX θ}/
ただし試験片表面から深さ方向の変位は一様であると仮定した
2.3低サイクル疲労寿命
(2. 4)
(2. 5) (2. 6)
(2. 7)
多段振幅変動法により得られた繰返し応力一ひずみ関係を図2-3に示す. 測定 した範囲内では繰返しひずみ硬化指数n'の値はO.23となった.
低サイクル疲労試験において得られた全ひずみ幅ムε t , 塑性ひずみ幅ムε p および弾性ひずみ幅ムεe と破断までの繰返し数Nf の関係を図2-4に示す.
ムε p とNf の聞にはいわゆるManson-Coffin則, (2. 8)式 が成り立つ.
ムεp (NJ)αp
=Cp
(2. 8)本実験で得られた結果を(2.8)式にあてはめると疲労延性指数はαp -0.44, およ び疲労延性係数はCp=O. 19となった. 多くの延性材料において引張破断ひずみ
ε f とαp およびC p との聞には式(2. 9) の関係があることが知られている(43 )
Cp =
2・εJ(1/4)αp
(2.9)この式から予想されるC p の値は卜21であるが本実験 での値(0.19)はこれより小 さくなった. また弾性ひずみ幅ムε e とNf の関係は同様にBasQuin 則, (2. 10)
式で表すことができる.
ムεε(NJ)(Y�
= Ce (2.10)(2. 10)式に同様にあてはめると疲労強度指数はαe二O.13, および疲労強度係数は C ,. = O. 01となった. αe の値は鉄鋼材料 では0.07"-'0.12であるが純チタンの場合 託子大きい値を示す
12
11
0=354・(11εp)O.23
。
300
<J
。。cc」ωωω」刊のcaE
200 0.1
1.0%
0.5 Plastic strain range ムεp
繰返し応力一ひずみ関係 図2-3
法BQAW駅喜怒州国号北町いOや Z
①」コ一一。←
噌lN図
..., 0 ω。一υ〉υ
O o σ3 0_
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U�DJ1S a5UDJ
a3\j'd3V' 13\7
14
件ひずみ幅における疲労試験開始から破断までの, 応力幅の変化を無次元化し て包12 5に示す. ひずみの繰返しに伴う応力幅の増減は試験開始時の応力幅
ハσ 。に対し7九以卜と小さく, 純チタンが繰返し軟化もしくは繰返し硬化をほと んど起こさない材料であることがわかった
2.4低サイクル疲労き裂発生挙動
全ひずみ幅ムε , が2.4唱の場合の疲労き裂の発生過程を連続観察した結果を凶 2 6にぶす 同じく〈ε I がl. 6%の場合の連続観察結果をI� 2 7に示す. 図中�
枠部を電チ顕微鏡により拡大して観察した結果を図2-8に示す. 純チタンの低サ イクル疲労におけるき裂は図2-6および図2-7に示したようにほとんどが結品粒
界を起点として発生し, その後粒内へと伝ぱしていく過程をたどる. 図2-6に示 したようにひずみ幅が大きい場合, 試験片表面には繰返しのごく初期より多数の すべり帯および変形双品が見られるが疲労き裂は必ずしもその局所的変形が大き い結晶内から発生するものではない. また図2-8に示すように1つの粒界でも複 数の箇所(図中では]印の2カ所)から別々にき裂が発生していることがわかっ た
図2-9はムε t が0.6%とひずみ幅が小さい場合の連続観察であるが, この場合 き裂の発生は粒界からでなく粒内のすべり帯からである. しかし同一試験片にお いて前述のような粒界き裂も多数観察された. この図に示したき裂は結晶粒内の 多くのすべり帯に沿って複数個のき裂が発生し, ひずみの繰返しとともにそれら が互いに連結し, 大きなき裂となり伝ぱを開始する. 以上の観察から繰返される ひずみ幅が小さくなるに従って, き裂の発生形態が粒界型から粒内型へ移行して いくことがわかった.
2.5微視的変形挙動 2. 5. 1 表面観察
疲労試験に用いたものと同一形状の試験片を1.6%のひずみまで徐々に引張負荷 を与え, その途中における表面状態を観察した結果を図2-10に示す. O.仰のひず
1.5
()o d
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にしたがい, すべり帯の数が増加するとともに粒界付近のひずみの集中は顕著と なる. 1. 6九のひずみを負侍したときのレプリカからポジティブレプリカ(4 4 )を作 成し, 凶2-10に示した枠内の粒界のひずみ集中部を走査型電子顕微鏡(S E M) によりステレオ観察するとO.6μm程度の段差が生じていることがわかった
1.6九の引振ひずみをlLえた状態から-I . 6九の圧縮ひずみ, さらに1. 6九, -1. 6九 とひずみサイクル を負仰したときの同じ表面領域での観察 結果を図2-1 1に示す ひずみを)1:納に転じたとき変形双品がlリj 阪に観察されるが, 引 張負荷状態と比較 してN:W付近の状態、に大きな差異はみ られない . 実際に圧縮負荷時に図2 10の枠 内の段差を同様に測定すると引張負荷状態と同じ方向のずれで0.4μm程度の段差 が残っていた. すなわち引張りにおいて生じた粒界での段差は非可逆的な変形で,
}_[縮負荷時においても辺方向へは完全にすべり返らない ことがわかった
さらに2凶自に 引張負荷を与えたとき双品変形による粒内の凹凸は消失したよ うに見え, 一方で粒界でのひずみの集中はさらに著しくなる. 2回目の圧縮負荷 時には双品変形はその数が増加していた.
2.5. 2 局所的ひずみの測定
結晶粒オーダーの領域内における局所的ひずみを前述の方法で測定するため,
切欠き底に格子をけがいた試験片に手動で引張りおよび圧縮のひずみを負荷した.
その時の状態を図2-12に示す. 無負荷状態から+1. 6% , ー1. 6%そして+ 1. 6%とひ ずみを与え, その最大ひずみ, 最小ひずみにおけるレプリカの顕微鏡写真をも と に局所的ひずみを測定した. 測定領域内でのせん断ひずみr x y (荷重軸方向y軸〉
についての結果を図2-13に示す 図2-13(a) はl回目の引張負荷状態と次の圧縮 負荷状態との2点悶, すなわち半サイクルにおけるr x yの分布を示しており, 縦 方向の線分の長さがr ,、の大きさに対応している. 変形前と変形後の結品粒界の 位置関係をそれぞれ倣線と実線で示た. なお相対変位を求める際の基準点は測定 領域内の中央部の2点をとった. 図2-13 (a) に示すように引張圧縮の半サイク ルにおいて, 測定領域内の中央および右の結品内で大きなr x yが測定されたが
同図(b)に示した引張負荷状態から次の引張負荷状態までの1サイクル中での測 定結果においては, これらはすべり返り, 残留している7υは少なくなっている.
しかし結晶粒界付近においてはlひずみサイクル後も粒内に比べて大きなr x yが
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2. 5. 3腐食による試験片表而のひずみ集中, 微小き裂の観察
,711(1なにo. 5九のづI �長ひずみをうえた場合と, これと同じ大きさのひずみを振幅と して700回繰返した後の試験片表面をフ ッ酸仙酸水溶液により軽く腐食して観察 したがf�を図2-14にぷす 腐食により, すべり帯や微小き裂を含む大きなひずみ が生じている部分をよりiリj 般に観察することができる. 静的に引張i�荷を与えた ときは図2 10と同様に結品粒内において多数のすべり帯が見られる. また粒界に 注目すればひずみの集中により, 強く腐食された粒界とそうでない粒界とが存在 している. 図2-14Cb)に示した 700回負荷を繰返した後の試験片表面にはすでに 多くの微小き裂が発生しているが, これらの微小き裂の発生した粒界は同図Ca) において強く腐食されていた粒界であることがわかった. また, この粒界の多く
は必ずしも隣り合う結品内ですべり帯が多く見られる粒界とは限らない. すなわ ち純チタンの疲労により生じる粒界き裂は繰返し負荷のごく初期にひずみの集中 した粒界の一部を起点として発生することが分かった
2.6微視的変形とき裂発生機構の関係
叫2-6 および図2-7 に示したように, 純チタンの低サイクル領域における疲労 き裂は粒界き裂となることがわかった. 低サイクル疲労における粒界き裂発生機 構は大きく2つに分類されている(4 5 ) 1つは粒内でのすべり変形が粒界で抑制 されることにより変形の不連続が蓄積し粒界が少しずつ壊され, それらが連結し てき裂となるもの(4 G) もうlつは非可逆的なすべりが粒界で徐々に段差を形成 しそこが応力集中源となりき裂が発生するもの(4 7 )である
純チタンにおけるき裂の発生機構を検討するため図2-15に示すムε t = 1. 6%に おける粒界き裂発生部の破面のマッチング観察を行い, その結果をスケッチとと もに図2-16に示す. 図2-16Ca)に示した破面においてはき裂の発生した粒界の表 面近くと内部では様相が多少異なり, それぞれが同一結品の粒界と粒内に対応し ていると考えられる. このことから図2-16Cb)に示したスケッチにおいて表面近 くの粒界〈薄墨部)が繰返しのごく初期にき裂となり, その後の繰返しで隣の結
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純チタンは結品情造が澗密六方品ですべり系は柱面, 錐面および底面をすべり
I(IÎとする3つしかなく(4 8 )面心立方品あるいは体心立方!日1に比べてその数はかな り少ない. 多結晶金属が結品粒界において連続性を保ちながら変形するには5つ の,',山皮 すなわちすべり系が必要とされている(4 g)が純チタンではこの条件が 満たされない. そのため双品変形が生じてこれを補うことになる. 凶2-11におい
て正*írl ü {I:j 11寺に双品がlリJ I僚に現れるのはこのためと考えられるが, l孟視(l�]に大き
なひずみがりえられた場合, 1つの結品内においてすべりが生じようとしてもそ の周りの結晶の拘束が大きいと容易にすべることができず, 粒界において無理が 生じ段差が形成され易い. この粒界での段の形成の条件として銅では粒界と試験 Jt表面との交線が応力軸に対し300 から900 の範囲であることが指摘( 4 3 )されて いる. 図2 14の結果では応力軸に対し約200 の角をなす粒界でのき裂発生も見ら
れ9 純チタンにおいては結晶間での変形拘束が大きいことを示唆するものである
また光学顕微鏡ではすべり待が全く見られない結品問の粒界からき裂が発生して いる例もかなり観察されており, き裂発生の起点となる粒界は必ずしもすべり帯 のぶつかった粒界ではない.
以上の考察から純チタンの低サイクル疲労におけるき裂発生の機構として, 結 品内でのすべりが拘束された結果, 粒界にひずみが集中し繰返しのごく初期にそ の粒界の一部で結晶と結晶の分離が生じ微視的き裂の発生に至ることが明らかに
なった
2.7まとめ
工業用純チタンにおいて巨視的に大きなひずみが与えられた場合の微視的変形 挙動を詳細に観察することにより, 低サイクル疲労でのき裂の発生挙動と結品問 での変形拘束の関係について検討した結果, 以下の結論を得ることができた.
( 1 )ひずみ制御低サイクル疲労試験の結果, 繰返し塑性ひずみ幅ムε p と破断力 命N; の関係はManson-Coffin 則に従い
ムε p (N () O. 4 4 O. 19 で示すことができた.
(2)疲労試験中を通じて応力幅の変動は非常に小さく, 純チタンは疲労軟化およ
び疲労硬化をほとんど起こさないことがわかった
( 3)低サイクル領域での疲労き裂は粒界で発生するのがほとんどであった. しか し繰返しひずみ制が小さい場合(八ε l 0.6児〉は粒内のすべり,併に沿って彼 数個のき裂が発生し, これらが連結して伝ばしていく過科も見られた
(4 )純チタンにI-�視(1なに大きいひずみをl子えた場合, 個々の結品開でのすべりの 拘束が大きいため粒界でひずみが集中する. 一回の負何では段是が生じない ようなひずみでもこれが繰返される場合, 比較的初)切にひずみの集中した村 界の- �ßにおいて結l拍と結晶が分離してき裂が発生することがわかった
第3章 高サイクル疲労におけるき裂発生挙動
3.1 緒言
巨視的な繰返しひずみが小さい高サイクル疲労において, き裂の発生は '般に 材料表面でのごく局所的な現象である したがって波労き裂に至るまでの泌労被
Jを把握するためには, き裂発生点に注自して観察することが重要C5 0 ) である そこでこれまでに種々の材料について, き裂発生過程の連続観察がなされている が, その過程は以下の二つに大別できることが知られているC5 1 )
(i)点発生的き裂発生過程:疲労き裂は材料表面の結晶粒径に比べてはるかに 小さい領域に発生し, 結晶粒内で成長を開始する. その後粒界に到達した 後, 粒界を貫いて伝ぱを続け最終破断に至る. この過程は主に時効硬化さ せたアルミニウム合金において見られる
(ii)有限領域を単位とするき裂発生過程;結晶粒径程度の有限な領域が応力繰
返しとともに徐々に, しかも全体として乱れを増していき, 一結品粒程度 のき裂に近づく過程. 十分な応力の繰返しの後にはこの領域の先端にひず み, 応力の集中が起こり, き裂は伝ぱを開始する. この過程は主に軟鋼お よび7:3黄銅の焼なまし材 において見られる.
工業用純チタン平滑材の疲労き裂発生過程はこの分類に従うと, 結晶粒径程度 の有限領域を単位とする後者に属することが報告されている(5 2 ) すなわち応 力繰返しとともに結品内に多数のすべり帯が発生し, このすべり帯に沿って複数 個のき裂が発生する. そしてそれらのすべり帯き裂が連結し, ー結品粒程度のき 裂となって伝ぱを開始するという過程をたどるけ0) しかしその伝ぱが開始され る条件については明らかにされていない . 純チタンにおけるき裂発生挙動が結品 問での変形拘束が大きいことに関係することは前章で示したとおりである. そこ で本章ではこの点に関して高サイクル疲労におけるき裂発生挙動と伝ぱ開始条件 についてさらに詳細に検討した. また実用上重要な問題として切欠きが存在する 場合のき裂発生挙動についても明らかにしておく必要があるため, 小穴を有する 試験片を用いて切欠き底近傍での疲労き裂発生過程および伝ぱ開始過程を詳細に 観察し, 切欠き感度との関連についても検討した.
3.2 使用材料および実験方法
J1J l \た材料は工業用純チタン板1椅(J[S TP 28 , 板厚2 mm )である. その
化マ:成分を表3 Iに心す. 子治試験) Iーならびに切欠き試験nの形状をそれそれ|ヌ1 3 1および|苅32に示す 平滑材においてはき裂発生箇所を限定するため, 浅い 球IIrï状くぼみをつけ, 切欠き材においては試験) ,-中央に山内1 mmのドリルで深
0.5 mmの小火をつけた. 機械加工後, 真空中で 8 00oc 1 Il.ÿ I出の焼なましを行い,
その後化"t (J)F摩により表面層を除去してから実験に供した. なお熱処nQ後の機械 的性質をぷ32にノjミした
政労試験は前主主で述べた油圧サーボ波労試験機を用いて, 完全両振り(k�ノJ比 R = 1)の引張圧縮荷重下で行った. 切欠き材における繰返し応力は疲労限度110
MPaよりわずかに高い 応力115M Paで20Hzの速度で負荷した き裂発生過程の述絞 観察にはレプリカ法を用いて光学顕微鏡ならびに S E Mにより行った なおき裂 の有無を明瞭なものとするため, レプリカ採取時には25MPaの引張応力を負。;jし た.
切欠き材で発生したき裂の開口量を測定するために, 一部の試験片については 切欠き穴近傍に荷重軸に対して45度をなす約50μm 間隔の細線を格子状にけがし1 た. 一応力サイクル中の最大応力時と最小応力時においてき裂を横切る細線のず れを測定することにより, そのき裂縁での関口量を精度よく求めることができる
( 5 3 ) なお, 彼面観察にはSEMを用いた.
3.3 平滑材における疲労き裂発生挙動
、"滑材における応力振幅σ a と破断までの繰返し数Nr の関係(S-N曲線)を 図3-3に示した 疲労限度は130 MPa でありNr が10G 回付近に比較的明瞭な折 れ曲がり点が存在する . 疲労限度の応力を107 回繰返した後の試験片には, 光学 顕微鏡により観察できるようなすべり,市は見られ なった
表3 - 1 材料の化学成分(w l % )
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平滑材の疲労き裂発生過程
38 図3-4
結果を図3 5に示す. 個々のすべり帯に沿って 発生したき裂がまだ 連結していな し、状態が明瞭に観察された. 続いてこのような微小なき裂が互いに連結し , 隣接 する結品内で同様に発生したき裂とさらに連結して伝ぱ開始となる. すなわち純 チタンにおいては結品問での変形拘束が大きいため, き裂が発生, 伝ぱするには ーイ15]の結品がすべるだけでは不十分で隣接する複数個の結品ですべりが生じ, そ れそれのすべり荷に微小なき裂が発生して互いに連結する必要がある. 以上のこ とがき裂伝ぱ開始条件となる
3.4初期疲労破面の観察
図3-5に示した疲労き裂発生部における破面をSEMにより観察した結果を図
3 6および図3-7に示す. 図3-6はき裂発生箇所CL-J印)を含めて, その付近の 状態を巨視的に観察したものであるが, 結晶粒より小さい領域を単位とするファ セットが見られ微視組織を反映した破面様相となっている. 図3-7はき裂発生箇
所を拡大観察した結果であるが, 多数見られる筋状の線はすべりを表している しかし表面での観察において見られたすべり帯き裂に対応して表面付近の破面で はいくつかの段C_,印)が形成され, 複数のすべり帯き裂が連結したこと を表す 破面様相となっている.
3.5切欠き材における疲労き裂発生挙動
切欠きの縁付近でのき裂発生過程の連続観察結果を図3-8に示す. この観察に よると, 切欠き底の結晶に発生したき裂A C,-,印)が繰返し数の増加とともに粒 界を越えて, B, C, Dへと成長して, 軟鋼などで観察されるき裂発生, 成長過 程と大きな違い がないように見える. しかし詳細に観察すると, 前節に示した 、ν 滑材の発生過程と同様, 一個のき裂が発生した後, 直ちに伝ぱ過程へと移行する
ものではない. 図3-9および図3-10はそれぞれ図3-8におけるき裂A, B C枠部
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図3-7 き裂発生部の破面(図3-6の拡大〉
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図3-10 図3-8の枠部c
の械仕では本研究と同 -,M料において, 切欠き底の結品にき裂が発/��-している段 附で将米き裂が成長する経路を含む隣接する複数の結晶中にもすべり併が数個づ っ発生することを確認しているが, そのすべり帯がき裂となっていたがどうかの 検討はなされていなかった. 本実験結果において隣接結品内に別のき裂が先生し ていることカ〈明らカ1となった
辿'品-の金属材料における疲労き裂発生は, 時効硬化アルミニウム合金にはられ るような点発生的過程と, 炭素鋼などで見られ る結品粒径校j交のイJ限な領域を単 位として先生する過程とに大別されることは前述したとお りであるが, 切3人;き材 の場合切欠きj亘の最大応力点から応力が減少する方向で荷重軸直交方向jにおいて は, いずれの材料においてもき裂発生は最大応力点近傍の1個の結品中に限られ ているようであり, き裂がその結品粒界を越えて成長し続けるのが 一般的である それに対し純チタンにおいては, 特に疲労限度付近の低応力では最大応力点近傍
の結品にき裂が発生しても連続的な伝ぱ過程に移行するまでにはさらにいくつか の隣接する結晶にき裂が発生し, それらが連結するのを待たなければならない
また本材料での切欠き底の疲労き裂発生における特徴的挙動として, 切欠底の最 大応力点よりかなり隔たった穴縁からき裂が発生したり, 穴縁の複数個の場所か
らき裂が発生するといった挙動が観察された.
3.6き裂連結前後における関口量の測定
日リ節で述べたようなき裂発生過程におけるき裂の連結の前後でのき裂縁関口
を連続的に測定した. 図3-11に関口量測定を行ったき裂の連結部を示す. この写
�内の黒枠部について連続観察した結果を図3-12に示す. 図中, き裂!と日の連 結前後でA, BおよびCの3点について関口量を測定した結果を図3-13に示す
同図には応力軸に垂直な方向に投影したき裂長さの変化の状態も併せて示した この曲線において破線で示した領域はl本のき裂として成長する以前の状態を示
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1. 2 IL mに達する. そして, その後は単一き裂として成長するので開口量は応力の 繰返しとともに単調に増加していく なおC 点は連結点より前方に位置している ため辿結後も関口量の急激な増加はみられず, I刈3 11でわかるようにじ点!日んーの き裂はその後伝ぱしなくなるため開口量は一定佃以上増加しなくなる
3.7切欠き材におけるき裂発生に関係する表面層の厚さ
本論文の後の章で述べるように純チタンの波労限度の切欠きに対する感度は他 の金属材料に比べてかなり低い I高尾(" J )らが種々の材料について切欠き感度を 比較した結果を図3-14に示す. 疲労限度の応力〈σwJ き裂発生に基づく疲労限 度, σ w2 破断, 非破断に基づく疲労限度)を繰返す場合の切欠き底での弾性最 大応力を平滑材の疲労限度σwOで無次元化した値を切欠き半径ρの逆数に対して プロ ットしたものであり, 曲線が上に位置するほど切欠き感度が低くなることを 表している. この図より純チタンが他の材料に比べていかに切欠き感度が低いか
がわかる. この原因を説明するため " き裂発生に関係する表面層の厚さ" につ いて考察する.
図3-15(a)は純チタンの切欠き材においてき裂発生を基準とした疲労限度σ wJ が負荷されている状態を模式的に示した図で, 図中の曲線は弾性応力分布を表し ている. 水平線はσ w0, すなわち平滑材での疲労限度を表している. (b)は比較 のための軟鋼における同様の図である. 軟鋼切欠き材のき裂発生を基準とした疲 労限度σ wJにおいては平滑材と同様, き裂は結品粒径程度の有限な領域を単位と して発生する. その後き裂先端における応力, ひずみの集中により多少伝ぱした 後停止し, 微視的停留き裂となる. このときの切欠き底でのある深さd s を" き 裂発生に関係する表面層の厚さ" と称する( 2 3 ) 一方, 純チタンの場合は疲労き 裂の発生および微小き裂の伝ぱを引き起こす応力条件が最大応力点付近の結品内
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円1円1図3-14 各種材料の切欠き感度の比較