九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
宇宙ステーションJEMのデブリ防護の研究
白木, 邦明
九州大学工学航空宇宙
https://doi.org/10.11501/3172443
出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
3.4 スタッフィング入りWhippleシールドの性能評価試験
3.4. 1
緒言3. 3 節で性能評価を実施した Whipple バンパーのみの防護構造では、 宇宙ステーシ ョンの防護要求を満足する PNP値は達成できないことが明らかとなった。 2.2節で述 べた通り、 デブリの衝突確率の高い部分には2段目のパンパーとしてセラミック系繊 維(Nextel) とアラミド系繊維(Ke
1
v aけから構成されるスタッフィングを設置する ことによって、 与圧壁の防護性能を大幅に向上できる。 このスタッフィング構成には いくつかの案があるが、JEMでは表面にアルミメッシュ(AlMesh)を置き、3層Nextel と4層Kelv arからなる軽量の構成を、 第lの候補として採用した。 このため、 その性 能評価が必要となり、 超高速衝突試験によるデータ取得、 及び性能検証試験を実施し た。さらに、 スタッフィングの設置位置、 及び与圧モジ、ュールの断熱性能確保のために 設置するMLIとスタッフィング材の最適な組み合せ評価のためのデータも取得した。
3.4.2 スタッフィング入りWhippleシールド供試体の構成案
評価試験に使用したスタッフィング入りWhippleシールドの構成を図3-25に示す。
上段左端は基準案、 案Aはスタッフィングの前面にKapton 20層のMLIを設置したも の、 案Bは基準案のスタッフィングを与圧壁に近く設置したもの、 案Cは同スタッフ ィングを前面パンパーに近く設置したものである。 次に、 案Dは断熱性能向上のため 2枚目のMLIをl段目バンパーのすぐ後に3.2mm離して設置した案、 案Eは2枚目の MLIをスタッフィングの前方に4.8mm離して設置した案である。 さらに、 案Fは2枚 目のMLI追加がシールドの防護性能を低下させることから、NASAが使用しているもの と同じ6層Nextelと 6層Kevlar構成スタッフィングの前面に2枚目のMLIを設置し たものである。 尚、 案Aを除き1枚目のMLIはNextelとKevlarの中間に設置してい る。
また、 前面パンパー板厚は1.27mmであるが、 案Fのみ1.6mmとしている。 さらに与 圧壁モテマルは試験時の最小設計板厚3.2mmとした平板であるが、Iso-Grid板に対する 試験データも取得した。 前面パンパー及び平板与圧壁供試体の形状は正方形(406
x
406 mm)で、 四隅をボルト固定しており、 ボルト中心聞の寸法は 360
x
360 mm である。スタッフィング及びMLIの寸法は300
x
300 mmで、 2つの治具で挟んで固定し、 治具が 前面バンパ一、 及び与圧壁とボルト締めされている。表3-6は試験に使用したスタッフィング入りWhippleシールドの材料特性例を示す。
図 3-26 は供試体構成とその外観である
。
- 61 -
m-NN一〈SEN-m
』帽一〉白岩守
1. 27mm A 16061 A I mesh 3 Nextel
-' ::Ii
m-NN一〈EEN.門
』帽一〉由¥守
1. 27mm AI6061 IILI A I mes h 3 Nextel
57.1mm
案A
57.1mm
‘ 57.1 mm
L
hE可 F
基準案
1. 27mm AI6061 A I mesh 3 Nextel IILI
1. 27mm A 16061 A I mesh 3 Nextel
IILI
町一NN一〈EEN.円
』帽一〉由¥守
3.2mm
m-NN一〈EEN.問
』帽一〉由証守
案C
1. 6mm A 16061 IIL I A I mesh 6Nextel 4.8m
m+
1. 27mm A 16061 1IL1 AI mesh 3 Nexte I 4.8m
�
88.8mm
案B
「可
1. 27mm A 16061 IILI A I mesh 3 Nexte I
m-NN一〈EEN.円
』帽一〉白岩岨
一42司EN
町一NN一〈EEN.門
』帽一〉UX守
一J2司EN
m-NN一〈EEN.円
』帽一〉由¥守
3.2
� I←
57. 1 mlll 57. 1m聞
44 可..,
57. 1m
�
‘ 57.1mm
案E
57.1mm 57.1mm
門司r 4・
案D 案F
試験されたスタッフィング入り防護シールド構成案 図3-25
表3-6 供試体の材料特性例
供試体 材料特性
Debris AL 1050-H18 Front bumper AL 6061-T6
Thickness: 1.27mm
Areal density: 0.345g/cm2 Stuffing Al mesh: Al 5056-TO
(200x200 mesh/inch2/
Areal density: 0.012g/cm2 Nextel AF62: 3ply
(Thickness: 3. 66mm/
Areal density: 0.3g/cm2) MLI
(Areal densi ty: 0.06g/cm2) Kevlar 710: 4ply
(Thickness: 2mm/
Area 1 dens i ty: 0.128g/cm2) Pressure wall AL 2219-T87
(Thickness: 3.2mm/
A r e a 1 d e n s i t y: O. 9 0 5 g/ c m 2)
与圧壁
*スタッフィング材の取付けは、 周辺を両面テープで貼付して
治具1. 2で共締めした。
図3-26 スタッフィング入りWhippleシールド供試体構成とその外観
3.4.3
スタッフィング入りWhippleシールドの試験結果と考察表3-7は試験結果をまとめたものである。また、 図3-27は防護シールド基準案の試 験結果を貫通限界曲線上にフ。ロットしたもので、 これからスタッフィングの追加が、
防護性能を大幅に向上させることが明らかになった。 さらに、 6 km/sec以下の速度領 域では、 このスタッフィング入りWhippleシールドの貫通限界曲線は十分安全側であ ることも検証された。
図3-28は防護シールド基準案について、 1段目バンパー、 スタッフィング及び与圧 壁をデブリが貫通した場合の損傷状況例を示す。 貫通した場合でもWhippleバンパー に比べると与圧壁のき裂は顕著でないことがわかる。
次にMLIをスタッフイングの前面に配置したA案(Case10)について、 試験データ は一つしかないが、 デブリ直径と衝突速度が近い基準案のデータ(Case 7)と比べる と貫通孔直径は若干大きいことがわかる。
また、 前面パンパーと与圧壁の問( スタンドオフ)におけるスタッフィングの位置 については、 案B(Casell )、 案C(Case 12)と基準案(Case 7)を比べると、 スタ ッフィングが与圧壁に近い程与圧壁貫通孔径は小さいことがわかる。 しかしながら、
図3-29 (Case 11)に示すように、 先に試験したMLI入りWhippleバンパーに見られ たようなき裂を伴う貫通孔となっている。 一方、 スタッフィングが前面パンパーに近 い案C(Case 1のでは、 与圧壁に複数の貫通孔を生じており、 これはスタッフィング によりデブリクラウドの発達が妨げられ、 デブリが大きな複数の破片として与圧壁に 衝突、 貫通したものと考えられる。 このことは図3-28と図3-29において前面パンパ ー裏面のデブリクラウドの反射痕が案Cの場合のみ顕著でないことからも説明できる口 これらの事からスタッフイング位置は、 スタンドオフ内では中心より少し与圧壁寄り が良いと判断された。
次に2枚目MLIを追加した案であるが、 2枚目MLIの追加はWhippleパンパーの場 合と同様、 防護シールドの性能を低下させると言える。 案Dと案Eの試験結果を、 貫 通限界曲線上にプロットした図3-3 0から明らかなように、 図3-27よりも貫通限界は 低下している。 さらに案Dと案Eについて、 デブリが与圧壁に与えた損傷を比較した 場合、 前面バンパーのすぐ後にMLIを設置した案D(Case 16、1 7)の方が案E(Case 19 、 20)に比べて、 2倍程大きな直径の貫通孔を生じている。
図3-31 と3-32はl段目バンパ一貫通時の模擬デブリの衝突とこれに続くデブリク ラウドのストロボカメラによる高速度写真を示す。図3-31は基準案の防護シールドで 1段目バンパ一貫通後クラウドが膨張(散乱角度は約55/2=27.50 )し、 スタッフィン グに侵入する様子がわかる。 これに対し、 図3-32の写真は案Dの防護シールドにおい て、 直径 7mm、 速度3.92km/secのデブリが写真の中央に黒い直線で見えるl段目パン パーを貫通したすぐ後に、 MLI が存在するため、 デブリ・ クラウドが十分膨張 しない まま、 ほぼ並行でスタッフィングに衝突していることがわかる。 1枚板Whippleパン パーの場合、 図3-13 に示すバンパ一貫通後の写真dからfに見られるように、 デブ
- 64 -
表3-7 スタッフィング入りWhippleシールドの試験結果
試験 デブリ デブリ 与圧壁 与圧壁へこみ
Case
速度 直径 シールド案 シールド構成 貫通孔径 量(田rn)(krn/sec) (mm)
(rn皿) 外径 深さ1. 83 7
基準案Stuffed NP* 11. 0 4. 9
2 3.03
基準案Stuffed NP 0.0
3 2.90 7
基準案Stuffed NP 8. 0φ 2.7
4 3.08 7
基準案Stuffed 9.0
3.85 7
基準案Stuffed NP 11. 0 2.5
6 4.08 7
基準案Stuffed NP 7.0φ 1.6
7 4.08
基準案Stuffed 7.0
8 4. 90
基準案Stuffed NP 20.0 4
.0
9 5.95
基準案S t uff ed NP 45.0 4.8
10 3.85 9
案AStuffed 11. 5
11 4.00
案BStuffed 2.0X13.0
一12 4.25 9
案CStuffed 9. 5
13 1. 98
案DStuffed(2一MLI) NP 10. 5 4. 0
14 3. 17 7
案D Stuffed(2一MLI)9. 5
15 4. 17
案D Stuffed(2一MLI)NP 7.0φ 0.0
16 3.92 7
案D Stuffed(2一MLI)12.0
17 3.85
案D Stuffed(2一MLI)13. 0
一18 5.00
案D Stuffed(2一MLI)13.0
19 3. 78 7
案E Stuffed(2一MLI)6.0
20 4. 65
案E Stuffed(2一MLI)9.0
一21 3.44 7
案F Heavy Stuffed(2一MLI)NP 0.0 0.0
22 3.70 7
案F Heavy Stuffed(2一MLI)NP 7.0φ 0.0
23 5.00 9
案FHeavy Stuffed(2一MLI) NP 40.0 1.5
基準案
Stuffed 3. 0
24 2.99 7 Iso-Grid
基準案
Stuffed NP 7.0φ 1.4
25 3.92 7 Iso-Grid
基準案
S t u f f ed NP 17. 0
26 4. 90 9 Iso-Grid φ 3.8
事NP: No-Penetration
- 65 -
リクラウドが十分膨張しているD このことから、 本項の案Dのようなl枚目パンパー のすぐ後にMLIを設置すると、 デブリ・クラウドが十分膨張しない状態、 即ちクラウ
ドの運動エネルギー密度がまだ大きい状態で、 スタッフィングに衝突し、 この結果、
その防護性能を低下させると共に、 与圧壁に損傷を与えているものと考えられた。
一方、案Fの6層Nextel/6層Kevlarのスタッフィング強化構成シールドに2枚目 MLIを追加しでも、 それ程性能低下を生じないことは図3-33から明らかである。
1. 40 E 1. 20
与1.00
Q)
� 0.80
Cコ的0.60
� 0.40
Cコ
0.20 0.00
ミ K5t
レノ�
""'-...,.、...._・
/
.、...,園P〆(þ
ト...,_______戸----..._回
0: Non-Penetration
一
.: Penetration
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 Debris Velocity (km/sec)
図3-27 スタッフィング入りWhippleシールド基準案の試験結果
- 66 -
前面パンパー(表) 前面パンパー(裏)
スタッフイング(表) スタッフイング(裏)
• • A一一一.-:.,
ー--ー『同司圃Hーーー
与圧壁(表) 与圧壁(裏)
図3-28 スタッフィング入りWhippleシールド基準案の損傷状況(貫通) (試験Case
7"
d=9問、 V二4.08km/sec)- 67 -
前面パンパー(表)
試験Case 11 案B : スタッフイングが与圧壁から25.4阻
前面パンパー(裏)
Z -B ・・=.. , • . , .. “‘,,
与圧壁(表)
ぽ (三戸!
試験Case 12 案C : スタッフイングが前面パンパーから3.2mm 前面パンパー(表) 前面パンパー(裏)
区 7 7 7: 7妄1
与圧壁(表)
医-
--会1
与圧壁(裏)
図3-29
スタッフィングの位置と与圧壁損傷の関連
- 68 -
1. 40
E 1. 20
、--u
'- 1. 00
(1) (1)
� 0.80
Cコ的0.60
'-
;"---.、
/ � �
• -〆
卜----園~ー→
b ・ ? V
\ l!cp
号0.40
0.00
ζコ
0.20 o : Non-Pene t ra t i on
一
.i:Perle t
lra t i on |
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
発生
、
Gミヨ 市li可パンパー 衝突の瞬間/企\
感懐55。a
C
スタッフィングにクラウド侵入
e
g
Debris Velocity (km/sec)
図3-30 2枚目MLIを加えた案DとEの試験結果
b
d
f
忠弘� υ
クラウド発生
デブリ直径
d=7mm h
デブリ速度v=3.92km/sec
図3-31 防護シールド基準案のデブリクラウド膨張時の高速度カメラ写真
(a�hの順で、 シャッタ一間隔は5μs)
- 69 -
発生
、
広罰 的1Mパンパー衝突の瞬間 a
i 方 前
一生T - -Pじ ,r v、J
、/に'パウ面ラ前ク'。
関軍司
d �
c Ml1よ;..,りクラウド発生
�平J
クラウド成長-軒1- 1疹誉場停J .-AhS “旬、a品�]柚・ e
f
e
デブリ直径 d二7mm デブリ速度
v=3.92km1sec
図3-32 防護シールド案Dのデブリクラウド膨張時の高速度カメラ写真 (a�fの順で、 シャッタ一間隔は5μs)
1. 40 -... 1. 20
E u
.._ 1. 00
� 0.80
Q)E �
c; 0.60 -こ0.40
..0
20.20 0.00
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 Oebris Velocity Ckm/sec)
0: Non-Penetration .: Penetration
図3-33 2枚目MLIを加えた案Fのスタッフィング強化防護シールドの試験結果
- 70 -
3.4.4 3.4節の結論
本項における超高速衝突試験より以下のことが明らかになった。
(1)基準案としたスタッフィング入りWhippleシールドは、 6km/secまでの速度領域 で貫通限界曲線の推定性能を十分安全側で満足する。
(2) スタッフィング入りWhippleでは、デブリが与圧壁を貫通しでも与圧壁に大きな 貫通孔やき裂を生じることはなかった。 これはWhippleシールドに比べると大き な性能向上である。 また、 スタンドオフ内におけるスタッフィングの位置は中央 よりも与圧壁寄りの方が高い防護性能を確保できることが明らかになった。 これ は、 デブリクラウドが十分膨張できる距離を確保したことによる。
(3)
スタッフィングとMLIの組み合せにおいて、 MLIを前面に配置すると防護性能が 若干低下する傾向がある。(4)
2枚目のMLIの設置は位置がどこであれ防護性能を低下させる。 特に、 l段目バ ンパーのすぐ後に設置した場合は、防護シールド性能を大幅に低下させることが わかった。 この原因は、 MLIによってデブリ・クラウドが十分膨張できず、に高い エネルギー密度のままスタッフィングと与圧壁に衝突することによるものと想 定された。 従って、 2枚目のMLIは設置すべきでなく、 他の方法によって与圧モジュールの断熱性能を確保することとした。
(5)
強化型スタッフィング入りWhippleシールド(6層Nextel/6層Kevlar)は十分 な防護性能を持っていることが確認された。 しかしながら、 このシールド構成案 は重量増加が非常に大きい為、 採用するか否かは、 今後のシステム全体のトレー ドオフによって決定することとした。- 71 -
(3-1)松村知治, 高山和喜, Gotlieb, 1.1.,
r二段式軽ガス銃の作動特性に関する 研究J , 日本機械学会論文集(B編), 56巻526号, 6月(1990).第3章の参考文献
(3-2) Chor i n, A., “Random Choice Solution of Hyperbolic System," J. of Comp.
Phy. 22, (1976).
(3-3) Sod, G., “A Numerical Study of a Converging Cylindrical Shock," J. of Fluid Mech. V83, Part 4, (1977),
(3-4) Ma t s uoka, T., “A Numerical Study of the Performance of a Two-Stage Light-Gas Gun," Rep. Inst. Fluid Science , VI, (1990).
』-EEbFi nu nν ρu nk m ・-lA
Fi ρし』'EB--nu va'4
4FBInu ρし m p、uQU ρL P3 円、uAA n、u ・ 1・A FtA LU ρしnu 'EEEE& nd a-E'L・ ・・1A'hU Fi
ハUAu nu \l/
a
,nun叫U・3Ea n同d
nd
--linU /t\ri
ハU LHU ρu pし tL FI ρし qa
MM MM
,パu '
ρu ρlu
a,ELY--And nHU Fi n\U σbw
\ U
同U
nu
n\M V'tA afP4
“ M円
、、,,〆 Fhu q〈U J,,、、
(3-6) Newman, J r. 1. C. , “An Improved Method of Collocation for the Stress Analysis of Cracked Plates with Various Shaped Boundaries," NASA TN D- 6376, August (1971).
(3-7) Sih, G. C. , “Handbook of Stress-Intensity Factors for Researchers and Engineers," Lehigh Universi ty, (1973).
(3-8) Raj u, 1. S., and Newman, J. C. , “Stress-Intensi ty Factors for a Wide Range of Semi-Elliptical Surface Cracks in Finite-Thickness Plates," Engng.
Frac. Mech. Vo1.11 (1979)
(3-9) Fatigue Crack Growth Computer Program, “NASA!FLAGRO," Vers i on 2.0,
JSC-22267A, NASA JSC, May (1994).
(3-10) Kann i nen, M. F., and Pope 1 ar, C. H. , “Advanced Fracture Mecþanics," Oxford University Press, New York, (1985).
(3-11) Barson, 1.M., and Rolfe, S.T., "Fracture and Fatigue Control in Structures," 2nd ed., Prentice-Hall, New Jersey, (1987).
凸Yゐ月,t
第4章 ハイドロコード・シミュレーションによる防護パンパーの 性能評価
4. 1 緒言
第3章ではデブリ衝突に対するパンパー性能について、 2段式軽ガス銃を用いた超 高速衝突試験により評価した。 しかしながら所有の2段式軽ガス銃では最高速度で約 6.8km/sec、 打ち出せる飛淘体の大きさは最大直径15mmと制約がある。
一方、 計算機を用いて団体、 液体、 及び、気体の相変化を伴う超高速衝突現象を解析 するコンビュータ・ コードも開発されている。 ここでは、 市販で入手できる計算コー ドAUTODYN一2DT�を用いてシミュレーションを行い、 2段式軽カ。ス銃による試験結果と の比較を行いその精度を評価すると共に、 軽ガ、ス銃で試験できない8---14km/sec の超 高速度までのシミュレーションを行い、 防護バンパーの性能を評価した。 さらに、 直 径50mm及び100mmのデブリが衝突した場合の与圧壁貫通孔の大きさをシミュレーショ ンで求め、 与圧構造の不安定破壊に対する余裕を検討するための基礎データを得た。
ロ守一P記一用一
使一
u
:質量密度 :速度
:単位質量当りの全エネルギー :応力テンソル
:単位質量に働く外部体積力 :単位質量当りの内部エネルギー
:常温での単位質量当りの内部エネルギー
:昇華点に関する単位質量当りの内部エネルギー :材料の衝撃波速度
:材料のバルク音速 :材料のHugoniotの傾き :材料粒子速度
:圧力
:密度pにおけるHugoniot圧力 : Tillotson状態方程式の係数
e 0,. リ
メ
I 10 Is' 1�
Us Cb s u
pp p
HAnI,Bηl'鳥ïl bm,α,ß
r
Cj
: GrUne i senパラメータ :相当降伏応力
:相当塑性ひずみ
:無次元塑性ひずみ速度でÈo
=
1. Os ec-1 :初期相当塑性ひずみで通常はOY, Ya, y"叫
E
f三È
/
ÈoT*
T
T,oom
:相同温度,K :絶対温度,K :室温で300K :融点
T,nelt
AJ_C' BJ_C' CJ_c
:実験によって求められるJohnson-Cook構成方程式の係数m,n
G,Go
:せん断弾性係数Y,1(
: Steinberg-Guinan構成方程式の係数で加工硬化に係る定数:与圧壁板厚
d
:デブリ直径v :デブリ速度
添え字 ρし
-
,,,ルo f
刀
:初期状態
: J ohns on-Cook : Tillotson
: P,
Tに係るi次微分H / "
4.2 スタッフィング入りWhippleシールドの構造と性能評価
JEMのデブリ防護 バンパーはWhippleバンパー(4-1)と、 スタッフィング入りWhipple シールド(4-2)の組み合わせ として構成されている。 ここで は スタッフィング入り Whippleシールドについて、 ハイドロコード・シミュレーションにより、 デブリ直径 と速度に係る貫通限界性能の評価を行うと共に、 超高速衝突試験との一致を比較・照 合した。 また、 超高速衝突試験による基礎データ取得後に、 与圧モジュールの設計最 小板厚を3.2mmから4.8mmへ変更し、 さらにスタッフィングと与圧モジュール断熱材 の組み合わせを変えた最新コンフィギュレーションを取り込んだシミュレーションを 実施することで、 最新の防護シールド設計の評価を行った。 図4-1はシミュレーショ ンを実施したシールド構成である。 案lは与圧壁厚3.2mmの旧基準案、 案2は与圧壁
厚4.8mmの新基準案、 案3は6層Nextel/6層Kevlar (強化型スタッフィング)で与 圧壁板厚3.2mmの案、 さらに案4は案2と同じスタッフィング構成で断熱材のみを再 配置した構造である。 表4-1は評価された防護構造の材料特性を示す。 尚、 スタッフ ィング前面にはアルミメッシュが設置しである。
- 74 -
。同NN一〈EE∞.寸
』何一〉ω凶寸 MLI 1.27mm Al6061
一ω言。Z門ZωωE一〈
。HNN一〈EEN.門
』何一〉ω凶寸
1.27mm Al6061 MLI
一sxoZ門Zωω
E
一〈 ひ一歩
0-→
57.1
口1打1
案2
Stuffed Whipple (upda t ed bas e 1 i ne)
57.1
l‘一_m_旦
57.1
旦旦争 案1
Stuffed Whipple
(01 d bas e 1 i ne)
57.1
..._ π1口1
。【NN一〈EE∞.寸
AI mesh 1.27mm AI6061 3 Nextel
ロ。EMWJ凶
』司一〉U凶寸
-JE
。HNN-〈EEN.m川
話一〉ω凶甲 MLI 1.6mm Al6061
一ω完ωZU
0-→
ρしny nド
'hu m m一 川 4f
案ぱ円、u,円UρUAHu nU Mm
ρ』 nドnド 'hu WH ,HU
つu ρb
,案山mm一川vv qa 凸し
HH
...
評価された防護シールド設計案 図4-1
評価モデルの構成と材料特性
構成品 材料特性
Debris Al 1050-H18
Front bumper Al 6061-T6/Thickness:l.27mm or 1.6mm
MLI Kapton: 20 ply
S t u f f i ng Al mesh: Al 5056-TO (200x200 mesh/inch2) Nextel AF 62: 3 or 6 ply Kevlar 710: 4 or 6 ply Thermal shield Kap t on: 1 p 1 y
Pressure wall Al 2219-T87/Thickness:3.2mm or 4.8mm
表4-1ハイドロコード・シミュレーションの基本式 保存方程式(付)
4.3
4.3. 1
本シミュレーションではまずデブリが前面バンパーを貫通し、 2次デブリを生成、
スタッフィングに衝突するまではEu ler法を、 さらにスタッフィングを貫通し与
圧壁に衝突する部分ではLagrange法を用いて、 両座標系を接続している。Euler法、 及び Lagrange法で表した質量、 運動量、 及び運動エネルギーについての保存則に対する基 礎方程式を以下に示す。
'hd
円,tLagrange
法ap I a(ρU i )ハ
ーー -
at aXi (4-1 a)
Euler法
Bui Bu; � 1 a σ E
一一一+U.一一一=
t . +一一一一r
at i axi Jtp axi (4-1 b)
u /hv d 一み j l
一p + u ft山
生命t
u + 必一九d
(4-1 c)
Dp ゐ
一一+p
ーよ= 0
Dt . iJxi
(4-2 a)
DUi
r1 aOii
一一一一=T ,
+一一一一-Dt
υP iJxj (4-2b)
ま=仇+
辻
(OijuJ(4-2c)
4.3.2
状態方程式(付),(村)固体あるいは液体として挙動する場合のほとんどの材料の衝撃波速度久は次の線形 衝撃Hugoniot方程式で近似される。
Us = Cb + SUp (4-3)
Cb,Sの物性値は、異なる粒子速度における材料の衝撃波速度を測定することによっ て決定されるロ これらの定数から求まるHugoniot圧力PH '及びGrüneisenの仮定と
して知られている係数fを用いて、次のMie-Grüneisen型衝撃Hugoniotの状態方程式 が導かれる。
同(1引+均(ト10 ) (4-4)
I=e-1u u
2“
(4-5)
ただし、 μ=η- 1, η=とfJO
円hunfo
P1= b_
aTi/
+ μ\
1+
一二でI 。η 4
ηPoI +ATilμ+Bηlμ2 (4-6 a)
しかしながら、 速度が約7km/secを超える衝突領域を扱う問題では衝撃圧縮に伴う 温度上昇と、 それに続いて生じる希薄波により気化が発生する。 衝撃に伴う気化現象 を模擬するために、Tillotsonの状態方程式(付)を用いているが、 この状態方程式にお いては、 圧縮比μの値と内部エネルギーの状態に応じて、 図4-2に示す領域に対応し た以下の各式が用いられる。
i) 領域I
(
μミ0)
ii) 領域n
(
μ<0, 1 s Is)
このときの圧力P2は(4-6a)式においてBTi/
=
0とおいたP1の式を用いる。i i i) 領域III
(
μ<0, IsくIくl� )
このときの圧力P3は次式で求める。
汽=弓+(九- P2 ) ( 1 - 1 s ) /ι-Is) (4-6b)
i v) 領域w ( μく0,1注I� )
このときの圧力P4は次式で求める。
IbTil 1J Po l
九= aTiげIPOI
+ | r u +A71lμ 1 +
ーム?10 η 4
、lll〉1111J 、ノ・ 、、、BEllEE』,/ 1一η 噌Eム /,tsali--、
rill〈|ーlk α
p x
,,,,EEBEE-‘1、、 噌Eム 1一η 可lir--J、、lilt/ 可EZEE『11'EEEE」 e
fll〈liL nμ'
p
× m (4-6c)
低圧力領域(pくTPa)では、Tillotsonの状態方程式はMie
-Grüneisen型衝撃Hugoni
0 t 状態方程式に一致する。司,o司,s
Phase change
N (Exp.) Hugoniot
丘4
。』コ∞∞ωト円円同
Is'Equal ener回r line
(Comp.)
V八TO Volume ratio
PV状態線図 図4
- 2
。
構成方程式(刊)
ひずみ速度、 及び相同温度
4.3.3
与圧壁の構成方程式は、 降伏応力が、 相当塑性ひずみ、
に依存する次のJohns on-Cook
(4-7)のモデルを用いた。
(4-7)
、1・〉IJ m 、B,/ , T 〆,,.、 噌EA
rlJEEK
\lll』1111/ .E n '''v c ,J C + 噌EA ffilia--11、 、E .. ‘〉--EEJ n 、、,E''' E 〆'EE1、 c ,J B + c ,,d A r--くlt 一一 Y
T--T-Tr∞m - Tme1t -I:
ただし、
衝突速度が約7kru/sec以下の領域において、 前面パンパ及びスタッフィングに対し ては降伏応力だけでなく、 横弾性係数も、 ひずみ、 体積変化、 圧力及び温度に依存す る次のSteinberg-Guinanモデル(4-8)を用いた。
(4-8)
1111LtliJ
、、,,,r m o o T f
T r 'aE1 、
\Eliz--/
z q
〆fdEEBEEt-- +
噌EA + ftd『iEEEt--、、 v--吋 E 、、BEtt-EFIF P戸
rl-E14BielL
'ν、 1l〉IJ E + E ,,,E1、 γ' + 噌Eム rl〈lL
Y o
- Y
(4-9)
G=十+(ξ)判官}T -�oom)}
ひずみに依存する項は次のような材料に固有な一定の限界値によって制限 ただし、
される。
(4-10)
九{1+ y(ε+ Ci)Y sμ
nxu 司te
スポール圧力条件
P三Pmin
ただし、 P min= -1.20(GPa) ひずみ破壊条件ε三εm似 ただし、 εm回=50(%)
(4-11 )
一方、 7km/sec以上の気化領域では、構成方程式により支配される領域をすぐに通 過すると考え、 気化が想定される材料は流体として扱った。4.3.4 破壊基準
このシミュレーションで用いた破壊条件はスポール圧力 (負の限界静水圧)と相当 塑性ひず、み限度による瞬時破壊モデルで、それぞれの破壊条件は戸田らの研究成果(付) をもとに何ケースかの試行計算を行い、以下の通りとした。
( 4-12)
しかしながら、 気化領域においては材料は始めから流体状と仮定しているため相当 塑性ひずみ破壊は対象外となる。 また、 7km/sec以上の気化領域においてはスポール
圧は零と仮定した。
4. 3. 5 材料定数
以上に述べた方程式とこれらの式の材料定数パラメータをどう選ぶかがシミュレー ションの精度を決定する。 しかしながら、 実機に使用するバンパーや与圧壁と同じ材 料の定数はほとんど入手できないのが実情である。 特にスタッフィングに使用してい るNextelやKevlarのような材料に関する正確な状態方程式はまだ同定されていない。
従って、 ここではまずアルミニウム合金については、 入手可能な文献から表4-2に例 を示すような実機に近い材料の定数を求めて使用した。 また、 スタッフィングについ ては大胆ではあるがアルミニウム合金の材料定数を使用した。 一方、 密度と厚さにつ いては、 次項で述べる予備的シミュレーションを実施してモデル化の良さを比較評価 の上選定した。
4.4 貫通限界曲線の検証
4.4.1 スタッフィングのモデル化のための予備的シミュレーション
スタッフィングのモデル化に当たり、表4-3に示す3つのケースを比較した。即ち、
PUFF状態方程式(4-10)の場合は物性値がわかっている Kevlar 材のシミュレーション (Mode 1 A)を基準として、 面密度を等価にしたアルミニウムモデルのシミュレーショ ン(Mode 1 B)と、 密度 と厚さをKevlarと等価とし、 その他のパラメータにアルミニウ
n同d司,a
表4-2 シミュレーションに使用した材料データ例
内ysi四I1Con蜘也 _ê笠型L 主主垣旦皇 W'al1 Debris
Parameter Unit
ρ g/cmJ
刈606トT6 刈Mesh Nextel MU Kevlar 刈2219 Al2024- T351 2.7125E-tOO 2.7125E+∞ 2.0170E勺o 2.4240E-D1 1.29∞Eゆo 2.B2BOE-+{)0 2.7B50E崎O 母、ock Hugoniot EOS. 1
f 1.97∞E喝o 1.97∞F∞1.97∞E喝o 1.97∞E-+{)O 1.97∞P∞ 2 ∞∞P∞ 2.∞∞E喝O
cm/micro sec 5.24∞E-<J1 5.24∞E-<J1 5.24∞E-<J1 5.24∞E-<J1 5.24∞E-<J1 5.3280E-<J1 5.3280E-<Jl 1.40∞E崎o 1.40∞E-+{)O 1.40∞E-+{)Q 1.40∞F∞1.40∞E-+{)O 1.3380E+∞ 1.3380E+∞
ら S
TillばsonEOS.2
A17I Mbar
BTiI Mbar
a17l b17l Q' B
ゐ Mbar cml/g
Is Mbar cml/g
l' s Mbar cmJ/g
JohnsαrCαホ・3
AJ-C Pa
BJ-C Pa
n C刊 庁7
T"柑 K
Steinberg-Guinan ••
Go Mbar
YO Mbar
Y_... Mbar
n K AGo<ð
BGo Mbar/K A九
Notes
7.50∞E-<J1 7.50∞E-<J1 7.50∞E-<J1 7.50∞E-<J1 7.50∞E-<J1 - 7.50∞E-<J1 6.5αXlE-<J1 6.5αXlE-<J1 6.50∞E-<J1 6.50∞E-<J1 6.50∞E-<J1 - 6.5αXlE-<J1 5.00∞E-<J1 5.∞∞E-<J1 5.00∞E-<J1 5.00∞E-<J1 5.00∞E-<J1 - 5.∞∞E-{)l 1.63∞F∞ 1.63∞E仰0 1.63∞E喝o 1.63∞E崎01.63∞E-+{)Q - 1.63∞E+∞
5.00∞E心o 5.00∞E崎05.00∞F∞5.0α氾E+∞5.00∞E崎0 - 5 ∞∞E時0 5.00∞E心o 5.00∞E-+{)O 5.00∞E-+{)Q 5.00∞E-tOO 5.00∞E-+{)O - 5 ∞∞E時0 5.00∞E-<J2 5 ∞∞E-<J2 5.00∞E-<J2 5.00∞E-<J2 5.∞∞E-<J2 5∞∞E-<J2 3.00∞E-<J2 3.00∞E-<J2 3.00∞E-<J2 3.0αXlE-<J2 3.00∞E-<J2 - 3瓜X氾E-<J2 1.50∞E-<J1 1.50∞E-<J1 1.50∞E-<J1 1.50∞E-<J1 1.50∞E-<J1 - 1.50∞E-{)1
2.76∞E-<J1 2.76∞E-<J1 2.76∞E-<J1 2.76∞E-<J1 2.76∞E-<J1 2.9αXlE-<J3 2.9αXlE-<J3 2.9αXlE-<J3 2.90∞E-<J3 2.90∞E-<J3 6.8αXlE-<J3 6.8αXlE-<J3 6.8αXlE-<J36.80∞E-<J3 6.80∞E-<J3 1.25∞E-+{)2 1.25∞E-+{)2 1.25∞E-+{)2 1.25∞E-+{)2 1.25∞E-+{)2 1.0α)()E-<J1 1.0α氾E-<Jl 1αXXJE-<J 1 1.00∞E-<J1 1.0αXlE-<J1 1.8αXlE+∞ 1.8αXlE+∞1.8αXlE+∞1.8αXlE+∞1.80∞E+∞
-1.7αXlE-<J4 -1.7∞E-04 -1.7∞E-<J4 -1.7∞E-<J4 -1.7∞E-<J4 1.8908E-<J2 1.B908E-<J2 1.8908E-<J2 1.8908E-<J2 1.8908E-<J2
2.65∞E-+{)8 4.26∞E-+{)8 3.40∞E-<J1 1.50∞E-<J2 1.∞∞P∞
7.75∞E-+{)2
本1:
Parameters of Shock Hugoniot equation of state(EOS) use the values for A12024-T4 in the reference(4-8).
本2: Parameters of Ti llotson use the pure aluminu皿values in reference(4-6).
本3: Parameters of Johnson-Cook strength model use the values for A12024-T351 in
reference(4-7).
本4: Parameters of Steinberg-Guinan use the aluminurn values in reference(4-8).
本5: AGo三Gp' , BGo三Gy' , AYo三Yp'
ムの値を用いたシミュレーション(Mode
1
C)の比較を行った。デブリ直径を9mmとし、速度を6km/secと12km/sec の場合について計算し、 12km/secの場合のデブリ・クラ ウドを比較して図4-3に示す。 これから、 Model Bに比べ、 Model Cの方がKevlarの シミュレーション結果(Mode
1
A)に近いことがわかる。 こ のことから、 密度と共にスタ ッフィングの厚さを模擬することが重要であることがわかった。次にJEMで検討しているスタッフィングを同様な方法でモデル化して与圧壁貫通 までの計算結果 を比較した。 表4-4はスタッフィングに対して面密度を一定として、
アルミニウムの密度を使用した場合(Model1)と、 スタッフィング材の密度を使用し た場合(Mode
1
2) のパラメータの比較である。 これらの2つの場合について、 直径- 80 -
表4-3 スタッフィングモデル化の比較
\三二 Density,ρ(g/ cm3) Thickness, (cm)
Areal densi ty, (g/ cm2)
Model A Kevlar model
Model A Model B Kevlar Aluminum Model Model
1. 29 2.58
0.5
1. 29 1. 29
,-ーーー__.6
‘v
Model B Aluminum
mod1el
Model C
Alminum properties and Kevlar density 1. 29
1. 29
Model C
Alminum properties and Kevlar density
図4-3 スタッフィングモデルとそのデブリクラウドの比較(v= 12回/sec)9mm、 速度4km/secのデブリが防護シールドを貫通する場合のシミュレーション結果 を比較して図4-4に示す。 スタッフィングの損傷形状の比較からModel 2の方が、 衝
突・貫通現象を忠実に再現すると判断した。図4-5は図4- 1の案1のシールドでModel 2の与圧壁損傷時の材料状態を示す。Mode
1
1の場合の貫通孔径は 20mmに対し、Model 2のそれは6.1mmであった。
これは表3-7の超高速衝突試験結果の試験Case 7に示す 貫通孔径7mmとほぼ一致している。 これらのことからスタッフィングのモデルにその 密度と厚さを一致させ、 アルミニウムの物性値を用いるMode1
2がMode1
1よりもモ デル化としては適していると判断した。 以上の検討をもとに 、 解析に使用するスタッフィング構成品と断熱材の厚さと密度を表4-5に示す値に設定した。 案1,3と案2,4 では解析を実施した時期が異なる ため、 データを見直した結果 、 MLIのデータ入力値 を変更している。
- 81 -
シールド案l
Model 1 Model 2
Dens i t y (g/ cm3) 2.7 0.735
Thickness(mm) 1. 92 7.05
Areal dens i ty (g/cm2) O. 518 O. 518
表4-4 スタッフィングモデルのパラメータ比較TEEl-iES 、,. . •
�.九一ペ... 、‘ !1 'J パ ナγぐミ.ふポ4・,_._._.,'.
.�
...J " ピ一3込込a沈,ー‘.‘ ‘ .
�町、. '
�,・
ー・・・、 . .
ー • t_
� =3. 2mm
Model 1 Cd=9mm, v=4km/sec)
、 、
‘久、
Model 2 Cd=9mm, v=4km/sec)
図4-4 デブリが前面バンパー, スタッフィング、 及び与圧壁を貫通する状況の比較
8ulk fail
〆
d=9mm,v=4km/sec
図4-5 案!防護シールドの与圧壁貫通時の材料状態
- 82 -
表4-5 スタッフィング構成品と断熱材のシミュレーション入力値 スタッフィング構成品
及び断熱材
S t
uf f i ng前面MLI Al mesh
Nextel AF62
中間MLIKevlar 710 Kapton
4.4.2
中速度領域における比較厚さ
(mm)
3.30 (案 4)O. 106
3. 9 (案1, 2, 4) 7.8 (案 3)
1. 04
2.0 (案1, 2, 4) 3.0 (案 3)
O.
22 (案 4)密度
(g/ cm3) 0.242 2. 713 2.017
0.577 (案 1, 3) 0.242 (案 2)
1. 290
O. 206
まず、 与えられたバンパー構成について経験式と し て求められ る2.2.2節の Christiansenの貫通限界曲線に対して、6km/secまでの中速度 領域において、そのパン パーの予測性能をハイドロコード・シミュレーションにより検証した。 次に、3.4節の 超高速衝突試験結果とシミュレーションの一致を確認することにより、 その妥当性を 評価した。 図4-1のシールド案lについて、図4-6にこれらを比較フロットして示す。 こ れを見るとハイドロコード・シミュレーション、 超高速衝突試験共に貫通限界曲線を 十分満足する 性能を示していること、 また、 シミュレーションと超高速衝突試験結果 を比較・照合すると、 両者はよく一致していることがわかる。
4.4.3
高速度領域における比較次に、 シミュレーションをさらに高速度 の領域まで拡大してこれとChristiansen貫 通限界曲線との一致を確認した。図4-1のシールド案についてシミュレーション結果を 貫通限界曲線上にプロットして図4-7に示す。 また、デブリ直径の違いによる与圧壁の 損傷度合を比較して図4
-8(案3のシールドで与圧壁厚が3.2m m、 速度 は12km/s ec)と図
4-9 (案2及び案4で速度10km/sec)に示す。 直径9.5mmまでは与圧壁は変形を受けたが貫 通はしなかった。 しかしながら直径10mm以上では与圧壁を貫通した。 同様のシミュレ ーションを速度 8 km/secと14km/secの点で実施したが、 いずれもシミュレーション結 果は、 シールド性能が貫通限界より低いことを示している。 この点に関してさらに軽 ガス銃とは別の超高速衝突試験との比較・照合による確認が必要であることが認識さ れた。- 83 -
Pressure wall t.v=3.2mm 1.60
1.20 1.00 1.40
Test result: O:No Penetration .:Penetration Simulation
:口:No Penetration•
:Penetration0.80
0.60
(EO)℃Lω一志EE刀ωCAω。
0.40 0.20
6.0 8.0 10.0 12.0 Oebris velocity vCkm/ sec)
防護シールド案1に対する超高速衝突試験とハイドロコード・ シミュレーショ ン、 並びに貫通限界曲線の比較(6km/secまで)
16.0 14.0
4.0 2.0
0.00 0.0
図4-6
シル
(与E壁板厚,
tw=斗4.
8mm川)
\ / 1 ‘
i \ メ 汁 L -
! K-d l ? i み 崎司
\ 1 /' .・ \ 1
\ /
.r' 、シールト案1二
、 1.... 1 (与圧壁板厚ん=3.2mm)
[ il|
非貫通(シールト案4)|
0非貫通(シールト案3)1.6 1.4 1.2 51 0
.司コ :!....
2 0.8
<1.)
306 ε
cn :!....
-2 0.4
0
0.2 0.0
0 12 14 16
Impact velocity v(km/ sec) 8 10
4 6 2
案i及び案4の貫通限界曲線とハイドロコード・ シミュレーションの比較
(8""
14km/ s ec)- 84 -
図4-7
� =3. 2mm
v=12km/sec
d=9mm d=lOmm d=llmm
図4-8 防護シールド案3 (但し、 与圧壁板厚tw= 3.2mm)における大きさの異なる デブリに対する与圧壁損傷の比較
v=lOkm/sec
�=4. 8mm
d=9.5mm d二lOmm d=lO.5mm
案4 案4 案 2
図4-9 防護シールド案2と4における大きさの異なるデブリに対する与圧壁損傷の 比較
- 85 -
2司;:;.==:。ョ
4.4.4
スタッフィングのモデル化についての考察図4-9において、 図4-1の案2と案4のシールドの違いは、 スタッフィング部分におけ るMLIの位置と、 案4におけるMLIの厚さ増加と断熱材Kaptonの追加である。 これら断 熱材はデブリ防護性能向上に寄与するとは考えられないが、 与圧壁の損傷状態はかな り異なっている。 図4-10に示すようにデブリクラウドがスタッフィングを貫通してか ら、与圧壁に到達するまでの状態を比較すると、案4の方が与圧壁貫通までに多くの時 間を要している。 即ち、 案4のようにMLIによりスタッフィングが見掛上厚くなるだけ で防護能力が高くなり、 与圧壁に与える損傷が軽くなっている。 このことからもスタ ッフィング材の状態方程式の確定が重要であると言える。
20μs
5μs
20μs
会 一 二兆 u ( 一
平:??
40μs
40μs
[ : Td?? ! ? t - j
〆 ._-ι二J
F 一 二: 勲一 号 観 暢 [ : , \ 一 一 週
60μS
"'"ーlJIIIl.併}
,I..' I 、 、 ,
J三海ふふ
・
70μs
一、ー- -明、
._ 、ー-ー-
I
�司副陶恥..ぃ
, .
案2 案4
図4-10 案2と4のモデルに対するデブリ貫通状態の比較
- 86 -
4.5 大きなデプリ衝突に対するシミュレーション
ここでは、 代表的例として、 直径50mmと100mmの2種類の大きさのデブリが、 速度 14km/secで、 バンパーと与圧壁に衝突した場合に生じる可能性のある与圧壁貫通孔の 形状と大きさをシミュレーションにより検討した。 この場合、 処理要素が大きいこと から、 シミュレーション時間が膨大となり、 これを少しでも短くするために、 まず前 面バンパ一貫通時のデブリのエネルギー損失量を評価して、 全体シミュレーションか ら前面バンパーを省略できることを調べた後、 スタッフィングと与圧壁のみの計算を 実施した。
4. 5. 1 前面パンパ一貫通時の予備的シミュレーション
前面バンパーを厚さ1.6mmのアルミニウム材と仮定して、 直径100mm、 速度12加n!sec 04km/secとは異なるが、 これに近い条件)のデブリが貫通する場合の現象をシミュレ ーションした。 貫通後のデブリ材料の相変化を図4-11に示す。 これらから、 デブリは 貫通時に大きく破砕あるいは気化することなくバンパーを通過していること、 さらに 図4-12からわかるように、 その運動エネルギーは大きく失われていない。 このとき、2 次デブリの発生も少なく、 これがスタッフィング材を損傷することはないと考えて、
次に述べる全体解析から前面バンパーを省略することとした。
前面パンパー, t=1.6mm
Solid, Compression ...
.... Vapor, Expansion
VaporSolid mixed,
Exoansion
Solid, expansion
図4-11 前面パンパーを貫通時の材料の相変化(d=1
OOmm,
v= 12km/ s ec)司,anδ
同n自tic Enorgy of DÐbrls 2.5%
1.0EJ
ðOO.O
阪Xl.O
lMTムヘμ付叶
200.0
」ω 向M
12∞.0
〆�、トーー、
l1'J
Cコ
...
、..../
400.0
Intomal Energγ0' Oebris 悶notlc Energy ot 8umper
Intemal Ener(Jy of 8umper
".0 11.0 a.o 10.0
時間{μs]
之0
前面バンパ一通過時のデブリ及びバンパー材のエネルギー変化の時刻歴
(d = 1
0 Omm, v= 1
2 km/s
e c )図4-12
大きなデブリのスタッフィング及ぴ与圧壁貫通シミュレーション結果
4. 5. 2
前面バンパーを省いたシールド案2についてシミュレーションを行い、貫通時の物理 形状と材料の相変化を図4-13に、 またエネルギー変化の時刻歴を図4-14に示す。 図か ら見る限り貫通現象はかなり単純で、 貫通部分の形状か ら内圧によるパルジング
(bu l
gi ng)現象は生じないと考えた。 また、 与圧壁の温度は大きく上昇していないことから、 材料劣化も生じていないと判断された。 さらに、 大きなデブリ程、 貫通に伴う 運動エネルギーの損失が少ないことも明らかである。 シミュレーションの結果、 直径 50mmと100mmのデ、ブリが通過したときの与圧壁の貫通孔はそれぞれ105mmと170mmであ った。 これらの2点に加えて、 図4-7の小さなデブリ衝突シミュレーションで得られた、
直径9mmのデ、ブリ衝突に対する貫通孔5mmのデータを用いて3点を曲線で接続した結果 を図4-15に示す。この曲線から直径10mmから100mmまでのデフ、リ衝突に対する与圧壁の 貫通孔が概略推定できると考える。 しかしながら、 この曲線はデブリ速度を14km/sec の最速条件としており、 より広い範囲に適用するには、 貫通限界が最も厳しい3km/sec 付近のシミュレーションも実施することが重要である。
- 88 -
(a) d=50mm
2μsec 4μsec 6μsec
r�r
Ir
8μsec 10μsec
3μsec
12μsec
(b) d=100mm
6μsec
ペ マ
15μsec
9μsec
図4-13 防護シールド案2に対して大きなデブリが貫通する場合の物理形状と材料の
相変化(v二14km/sec)
(a)直径d=50mmのデ、ブリ
'7.5%
180.0 1fSO.O 140.0
6.0 IntemaJ Energy of Debr1s
之9
4.0 80.0
前.0
40.0 20.0
〆�、、>--, 120.0 u">
o ,・・4
'--" 1∞.0
lm作\日ヘμ付吋
(b)直径d=100mmのデ、ブリ
1沼田0.0
1.0包
750.0 1250.0
出)().O
〆�、、ー-、
u'コo
、-",・・司
i術、、一へμ付け門
悶netic Energy of Module W剖l
Intemal Energy of Module Wall
10.0時間{μs]
7.5 0.0 5.0
250.0
0.0
防護シールド案2に対して、デブリがスタッフィングと与圧壁を貫通する場合 デブリと与圧壁のエネルギー変化の時刻歴Cv=14km/sec)
の、
図4-14
- 90 -
Oebns diameter (mm)
図4-15 防護シールド案2に対するデフリの大きさと与圧壁貫通孔の関係
4.6 第4章の結論
(1)
デブリ高速衝突に係るハイドロコード・シミュレーションを行い、 2段式軽ガス 銃による試験結果と比較・照合し、 6krn/secまでの速度領域では両者はよく一 致することを確認した。(2) シミュレーションを行うに当たり、 NextelとKevlar材の状態方程式が確定され ていないため、 モデルの物理データとして当該材料の密度と厚さを使い、 状態 方程式の材料定数はアルミニウムの値を用いた。 このシミュレーションの結果 は、 速度6km/sec以下で試験結果とよく一致したことから、 実際の材料の密度 と厚さをデータに用いれば、 有効なシミュレーションが行えることが確認でき た。
(3) 8� 14km/ secの速度領域では、 ハイドロコード・シミュレーションの方が経験的
貫通限界曲線よりも防護性能が低く出ている。 今後、 シミュレーションと超高 速衝突試験の組み合せにより貫通限界を見極める必要がある。
( 4) 14 km/
s e cの超高速度での大きなデブリの衝突物理現象は比較的単純で、 与圧壁にはデブリ直径の約2倍の大きさの穴があく程度と推定された。しかしながら、
この結果を一般化するために、今後3krn/secの速度付近での貫通現象評価が必要 と考える。 尚、 この推定貫通孔は、 第6章の与圧モジュールの内圧による不安 定き裂発生可能性の評価に用いる。
-E・E・
n吋u第4章の参考文献
(4-1) Christiansen, E.L.,“D e s i gn a n d P e r f
0r m a n c e E q u a t i
0n s f
0r A d v a n c e d Mateoroid and Debris Shields," Int. J. Impact Engng., Vo1.14,
(1993), pp.145-156.
(4-2) Christiansen, E.L., et al. “Enhanced Meteoroid and Orbi tal Debris Shielding," Int. J. Impact Engng., Vol. 17, (1995), pp.217-228.
VJ og
‘,Ea-A ρu
. ,IA
nu WH nu 'hu .,BEA nし ., P、u YEJ
nd m nu nu y s?ib
円しnd m刷 nν
,EEEA a,EBb VJ -''BA
nし
ハU'EE--A
ρしvv'nu、1/
・
σbハU 1i n可U H口 qu“
J't、、
唱li'K
AU -- ρL nu
VA AA W
・0し
YEEJ
M円。、u , 内d QU k l nu rt 司Fb 円、υ 、1,/
円〈U,,EE、 dq
(4-4)“AUTODYN Theory Manual," Century Dynamics Incorporated, (1995).
(4-5) Ka tayama, M., Toda, S., and Ki be, S., “Numerical Study on Densi ty and Shape Effects of Projectiles for Hyperveloci ty Impact," Proc.
2nd European Conference on Space Debris, ESOC, March 17-19, (1997),
Darmstadt, Germany.
(4-6) Tillotson, J.H., “Metallic Equations of State for Hyperveloci ty Impact," GA-3216, General Atomic, Division of General Dynamics,
(1962).
(4-7) Johnson, G. R., and Cook, W. H., “A Consti tutive Model and Data for Metals Subject to Large Strains, High Strain Rate and High Temperatures," Proc. 7th Int. Symp. on Ballistics, The Hague,
(1983) .
(4-8) Steinberg, D.J., “Equation of State and Strength Properties of Selected Materials," LLNL, UCRL-MA-106439, (1991).
(4-9) Katayama, M., Kibe, S., and Toda, S., "A Numerical Simulation Method and i ts Validation for Debris Impact against the Whipple Bumper Shield," Int. J. Impact Engng., Vo1.17 (1995), pp.465-476.
(4-10) Bakken, L. H. et al., “An Equation-of-State Handbook," Sandia National Laboratiories, Livermore, SCL-DR-68-123, (1962).
nrh nud
第5章 成形爆薬による超高速衝突試験とデプリ形状の影響評価
5. 1 緒 言
第3章と4章では防護性能の評価を、2段式軽ガス銃による試験とハイドロコード・
シミュレーションを用いて進め、 スタッフィング入りWhippleシールドについてデブ リ速度6km/sec まではその性能を検証した。 残る課題は、 7
--- 1 5
km/ s e cの速度範囲に おける防護シールドの性能評価である。 そこで、 ハイドロコード・シミュレーション に加えて、飛朔体を11 km/secまで加速できる成形爆薬を加速装置として用いた試験を 実施した(5-1)。 その結果、 いずれの場合もChristiansen らが与えたアルミ固体球に対 する経験的貫通限界曲線(5-2)に比べて、防護シールド性能が低いという結果が得られた。この速度領域のハイドロコード・シミュレーションでは、 使用したTillotsonの状態 方程式に対して、 2 段目パンパーのスタッフイング材として用いたNextel とKevlar の材料特性が取得されていないので、 第4章ではアルミニウム材料の特性を代わりに 用いた。 このため、 シミュレーション結果に確信が得られていない。
一方、 成形爆薬の加速で飛行するジェットの形状はガス銃で用いるアルミニウム製 模擬デブリのような中実球ではなく、 中空円筒に近い矢じり状であり、 また衝突角度 を垂直に制御することも困難である。 さらに、材料も高温で固体と気体の混相であり、
飛行距離によって形状と質量が変化する。 従って、 これらがバンパーに衝突した場合 に与える損傷の度合も固体球とは異なることから、 成形爆薬による試験結果の解釈に おいて、 ジェットの形状や密度、 並びに材料の相変化を考慮することが重要であるこ とが示唆された。
既に述べたように、 国際宇宙ステーション計画では、設計基準とするデブリ形状を、
密度 2.8g/ cm3のアルミニウム中実球として、 これが衝突しでも与圧壁を貫通しない確 率、PNP値を与えてこれを満足する防護バンパーを設計し、 検証することを要求して いる。 しかしながら現実の宇宙デブリは、 人工衛星やロケットの爆発・衝突で生じた 破片であることから、 様々な形状や密度を持っていることは、 その生成過程や観測あ るいは捕捉されたデータから明らかでる。 従って、 デブリ形状がバンパーの防護性能 にどう影響するかを評価することは、 単に成形爆薬試験結果の解釈以上に重要な課題 となる。
Christiansenら(5-3)は衝突するデブリの形状効果を研究し、同じ質量の球形と非球形 (円筒形及び平板)を比べると、 非球形デブリの方が、1.2---2倍貫通能力が高いとい う結果を報告している。 また、 種々の形状や衝突角度を持ったデブリが一枚板に衝突 したときに発生するデブリクラウドの性質を実験的に調べた結果、 中実球が鉛直に衝 突する場合、 クラウドが最も良好に微細化され、 これにより破壊力が最も緩和される であろうとの実験的研究も報告されている(5-4)。
そこで、 成形爆薬試験データを注意深く解析し、 成形爆薬により生じるジェットの 特徴を明らかにすると共に、 スタッフィング入りWhippleシールドの防護性能に及ぼ
司《unHU
すデブリ形状の影響を評価した。
研究方法としては、 衝突現象の詳細な解釈に適したハイドロコード・シミュレーシ ョンにより、 成形爆薬試験で生成されるジェットの形状を模擬した飛朔体 (模擬ジ、エ ット ) を防護パンパーに衝突させてそのときの現象を解析した。 また、 単純な中空円 筒形や中実球形についてもシミュレーションを行い、 現象把握のための比較・対照デ ータとした。 さらにシミュレーションと成形爆薬試験結果の一致を確認することで、
シミュレーションの精度を保証することを試みた。
尚、 ジェットは高温で、 固体・気体の混相であるが、 その温度はアルミニウム材の 融点以下であるという成形爆薬分野の知識に基づき(5-5)、 この内部エネルギーによる貫 通性能への影響については今回の検討対象とはしていない。
5. 2 成形爆薬試験とその結果の考察
5. 2. 1 成形爆薬試験
成形爆薬は、 19世紀後半のC.E. Munroeの提案に起源があるとされているが、 その 後von Foers ter、 M. Neumannらによって特許申請などがなされ、 第2次世界大戦の聞 に急速に実用化が進められた。 この原理は爆薬が解放した化学エネルギーを円錐状の ライナーの運動エネルギーに変換し、 円錐中空部分に集中させ、 中心軸上でぶつかり 合う( co
11
apse) ことによって軸方向の大きな運動エネルギーに変換する。 成形爆薬 の原理の詳細については参考文献(5-6)に詳しい記述があるので参照されたい。本研究では、 ライナーの質量のかなりの割合を占める、 速度が遅く先端ジェットに は直接寄与しない“スラッグ( s
1
ug) "を取り除くためのインヒビター( i nh ib
i t 0 r)付き の成形爆薬を使用した。 用いた火薬はOctolを、 またライナーの材料として、 通常、銅、 モリブデン、 ニッケル等が用いられるが、 ここではより高速なジェットを得るた めにアルミニウムを用いたロ
試験に使用したインヒビター付き円錐形・成形爆薬(Conical S haped Charge : CSC) の形状を図5-1に示す。 この形状寸法は航空宇宙技術研究所(NAL)の戸田ら(5-7)による 研究をもとにして決められたもので、 質量1.3gの飛行体を速度約11km/secで飛ばす ことを目標に、 円錐角は30度、 ライナー板厚は 2.1mmとした。JEMで採用を検討し、
評価の対象とした防護シールドの構造を図5-2に示す。 供試体は4. 2節で評価した案 4から与圧壁側のK aptonを除いた構造で、厚さ1. 27mmのアルミ板製前面バンパー(400
x
400mm)と、 厚さ 4.8mmの与圧壁(400x
400mm)の中間に、 防護能力強化の目的で、 2 段目バンパーとして、 アルミメッシュ、 3層のセラミック繊維(Nexte1) と4層のア ラミド繊維( Kevl ar) からなるスタッフィング(300x
300mm)と、 与圧モジュールの熱 設計の観点から設置する断熱材MLIから構成される。 図5-2にはシミュレーションに 使用したこれら構成材料の厚さと密度が合わせて示しである。 スタッフィングは布状 のため、 中心部分をナイロン糸で 120X120mmの範囲で縫製して構成品の密着を保つ- 94 -
ている。 最初はこれを鉄板枠で両面から固定していたが、 デブリ衝突によりスタッフ ィングが抜けることがわかり、改修して鉄板、 スタッフィング共に周囲12箇所をボル
トで締めた(ボルト中心間寸法は 280mm)。 これを前面パンパーと与圧壁の中央部分に 設定して四隅をボルト固定 (ボルト中心問寸法は350mm)し、 さらに この組み立てを、
30mm直径の通過孔を持った前方の爆風防止板と、後方の固定用軟鋼板の間に設置して いる。 図5-3は成 形 爆薬試験形態を示す。 目標速度11 km/secを出すように設計され た成形爆薬から発射されたジェットは、 9.4
x
l03Paまで真空引きされたチャンパーの 中の供試体に衝突する。 ジ、エットの形状は2箇所(A, B点)で フラッシュX線により計 測し、 この時間差から速度を求める。 ジェットの質量は、 X 線写真に同時に写し込ん だ模状のアルミ片の写真から画像解析により推定した。147
円錐形・成形爆薬形状 図5-1
MLI and stuffing rnaterial' s thickness and density used for sirnulation
MLI and Thickness Density stuffing (rnrn) (g/cm3)
MLI 1. 23 0.465
AI Mesh 0.58 0.747
Nextel AF62 3.07 1. 017 Kevlar 710 1. 75 O. 832
SNN-〈EE∞ . 寸
A1 mesh 3 Nexte1
l.27mmAl伝活1スタッフィング入りWhippleシールドの試験片及びシミ ュレーションモデル
Shap剖ch町明
物物
成形爆薬試験形態 図5-3
図5-2