内J白
6.5 不安定破壊限界き裂長の解析
隠石やデブリの貫通により生じた与圧構造き裂を起点として 構造が不安定破壊に 至るには、 どの程度の初期損傷き裂が必要かを有限要素法による弾塑性解析で評価し た。 実施に当たっては、 まず6.4.1節の試験コンフィギュレーションで、 シミュレー ションと試験結果の比較を行い、 この解析手法の妥当性を確認した上で、 与圧部構造 円筒部及びエンドコーン部の解析を実施した。
解析対象の有限要素モデルを作成し、 これに数mm程度の初期き裂、 及び引張荷重 を与え、 弾塑性破壊力学パラメータであるき裂先端のj積分値を求める。 次にこのJ
積分値を用いて、 薄板材であることから平面応力場の仮定の下に、 (6-5)式において E'=Eとして応力拡大係数Kを計算する。 この解析は時間に依存しない準静的解析と して、 初期き裂先端からー要素ずつ拘束を解いた場合の各き裂長さ毎に実施し、 6.4 節の試験で求めた破壊靭性値と比較して、 き裂進展の有無を評価した。 この場合、 き 裂の進展に伴い、 新たに形成されたき裂面において除荷を生じるが、 単調増加荷重下 では、 き裂先端の近傍を除いてほぼ比例負荷が成立し、J積分の径路独立性は近似的
に成立する。 また、 有限要素モ デルは解析精度の劣化を防ぐため き裂先端近傍で詳細化した。
弾塑性特性は、 本材料の製造仕 70 様である参考文献(6-11 )に示され
6. 5. 1 解析手法
た、図6-7のAl2219-T87の応力一 ひずみ曲線データを、ひずみ0.06
以上の部分で真応力に補正して使 用した。 また、 解析に使用した材 料特性値は表6-4の通りである。
表6-4 解析に使用した材料 特性値
Young係数 E =62,056 MPa 降伏応力 Oy =372 MPa Poisson比 ν =0.33
80
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図6-7 Al2219-T87材の室温における引張り応 力一ひずみ曲線例(薄板及び板金)(6-11)
司,a.• ,E-
i破壊靭性特性取得試験に対する解析
6. 5. 2
6.4. 1節の試験コンフィギュレーションの解析に使用した3.2mm板厚の有限要素モ デルを図6-8に示す。 一定変位の試験と解析結果の比較を図6-9に、 一定荷重の試験 と解析結果の比較を図6-10に示す。図6-9より試験と解析結果はよい一致を示してお り、 解析手法(6.3. 2節の仮定を含む)及びモデル化の妥当性が示された。 図6-10では 解析によるK値が試験結果より低くなっているが、 き裂進展に対する傾向は一致して いる。 試験が模荷重を制御し、 供試体内引張荷重を直接制御していないことから、 こ のK値の相違が生じたものと考えられる。 尚、 この解析では4つの異なる積分径路で のf積分値の比較を行い、 径路独立性を確認した。
供試体の有限要素モデル 図6-8
nu nu nu nu nu nu nζ nu no hO A斗 司L
(陪KFmw仏三)KLOHOmwhh〉岩ωcsc一ωωω」#ω5 10 15 20 25 30
C
r a ck E
x t e n si
0 n(mm)
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。
試験と解析によるき裂進展中のK値の比較(一定変位)
- 118
-図6
-9
m
∞ m m m判 却
(医、の丘三)記」OHO伺LKZ一ωcsc-ωωω
」判ω
。
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. Analysis
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Test
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試験と解析によるき裂進展中のK値の比較 (一定荷重)
25 30
。
。
図6-10
JEM与圧部構造円筒部の解析
6. 5. 3
JEM与圧部構造円筒部の 4. 8mm板厚有限要素モデルを作成し、6.5.2節で確認した 解析手法により応力拡大係数を計算した。図6-11に直径170mmのデブリ貫通孔を想定 した与圧部構造円筒部有限要素モデルを 示す。 図6-11のモデルに対し、面外方向に内
圧( 1気圧相当)と、内圧に相当する 面内軸方向の引張り荷重を負荷し、軸方向に初期 貫通き裂よりき裂を進展させつつ、j積分計算を行いK値を求めた。図6-12はIso-Grid リブ付きと リブなしの構造に対する有限要素モデルの解析結果を示す。 同じき裂長に ついて比較すると、リブによりK値がかなり低下することが明らかである。 また、参 考としてリブなし構造に ついてFo
1
i as及びNewmanの式による計算結果を合わせて示 す。Foliasの式は弾塑性解析とよく一致しているが、Newmanの式は非安全側の結果と なっている。 6. 4. 1節の試験結果及び他の公表データから、円筒部材料のき裂進展破 壊靭性値(Kic=68�1 OOMPa)瓦)を用いると、図6-12 より、リブ付き与圧部構造円筒部 の不安定破壊限界半き裂長は、199mm�2 70mmである。 尚、デブリの衝突による破壊は 動的な現象であるから 、6.4. 1 節で参考データ として与えた動的破 壊靭性 値、Kj
d= 111 MP a )瓦を用いて評価すると、半き裂長は 280mmまで確保できることがわかる。- 119
-円筒殻モデル(直径170mm孔でIso-Gridリブ付き) 図6-11 円筒部の有限要素モデル
160
巳1初
Q. ro
�
120
ハU
nu nu
nu
nJιnunopO必斗 nu
〉唱、LOHO悶比〉恒一ωcωリFc-ωωω」リ干の
0 1∞
270: :2即
150 2∞ 250 3∞
Half Crack Length (
mm)
350
図6-12 き裂進展中の円筒部の応力拡大係数K
一120
-6.5.4
JEM与圧部構造エンドコーン部の解析与圧部構造後方エンドコーン部は、円錐台形状となっている。 このため、円錐部と 台形上面部( エンドプレート部)に分けて解析した。 円筒部と同様に、 それぞれ直径 170mm のデブリ貫通孔を想定し、ここから不安定破壊が始まるき裂長さの評価を行っ た。
図6-13に円錐部の有限要素モデルを示す。円錐部には周方向にリブがあるが、リブ を越えるき裂が生じた場合を想定してリブはモデル化していない。 この有限要素モデ ルに、内圧に相当する荷重を面外、面内に負荷し、軸方向の初期貫通き裂よりき裂を 進展させつつ、円錐部のK値を計算した結果を図6-14に示す。 図6-14から円錐部の 限界半き裂長は、6.4.2節の破壊靭性値(KjC= 6 6 '"'-' 71 MP aぷ)を用いると、円筒部側に 進展するき裂に対しては 118'"'-' 125mm、エンドフレート部側に進展するき裂に対しては 1 21 '"'-' 1 28mmとなった。円筒部方向とエンドフレート部方向で応力条件が異なるため、
この相違が生じたものと推定する。
一方、FLAGROデータベースによれば、 A12219-T87とT851の平面ひずみ破壊靭性値
KJCに顕著な差はない。
そこで、表6-1のKjc=1OOMPa.r;;;を用いて限界半き裂長を求めると、 図6-14に示すように、 円筒部側で168m m、エンドフレート部側で173mmとなる。
尚、 円錐部解析では、解析モデルは最低板厚の 4.8rnm均ーとしたが、円錐部には周方 向リブがあり、さらに板厚が円筒部とエンドプレート部のそれぞ、れの取付に向かつて 7mrnから 9.5mm厚へと厚肉となっていることから、実際の限界半き裂長は本解析結果 よりも長いと予想される。
一方エンドプレート部の場合、多くのリブが存在するため、き裂延長上の一部のリ ブはモデル化した。 このモデルに内圧荷重を負荷し、半径方向にき裂を進展させた同 様な解析の結果、エンドプレート部はK値が約31MPa.J瓦となり、 破壊靭性値に達せず、
不安定破壊は生じないことが示された。
円錐殻モデル(直径170mm孔) 図6-13 円錐部の有限要素モデル
- 121
-160
140
見 cf 120
2
� 100
_100_____一一一--一一一+J 。 o ro LL
-ゐ +
〉ω c
ω
C
J J
同
U +自 ω
』J 340 20
。
。 50 100 150 200 250 300 350 400 Half Crack Length (mm)
図6-14 き裂進展中の円錐部の応力拡大係数K