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河川水のUF 膜ろ過特性に関する研究

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 卞    如 林      学位論文題名

河川水のUF 膜ろ過特性に関する研究

学位論文内容の要旨

  急速ろ過システムに オゾン、活性炭処理プロセ スが付加された高度処理システムは、消毒副生 成物などの水道水のりスク削減策として高く評価されているが、その複雑ぬシステム構成と膨大な 敷地面積への対応が課 題である。この背景の下、 精巧な構造と高度な固液分離性能を持つMF.UF 膜を用いたろ過法が、システムの簡素化と敷地面積を削減できる次世代の浄水処理技術として大い に注目されている。

  河川水へのUF膜ろ過 技術の適用と操作条件の最 適化には、様々なサイズと化学的性質をもつ含 有不純物の除去特性、および、これらの不純物に起因する膜のファウリング特性を把握することが 重要となる。本研究で は、比較的高濁度、高色度 の千歳川表流水を対象としたUF膜ろ過の処理特 性、膜フんウリングの発現特性、および、これらの特性に及ぼナ前凝集処理の効果、適切な前凝集 処理条件などについて 検討し也

UF膜ろ過 の処理特性

  公称 羽径O.OILmのポ リア クリ ロ ニト リル 膜(PAN膜) 、分 画分 子量15万の酢 酸セルロース膜 (CA膜 ) およ び分 画分 子 量5万 のPAN膜 を用 い た長 時間 連続 膜ろ 過 実験 を行 い、 懸 濁成 分、 溶 解性有機 成分および無機成分の除去特 性について検討した。

  その結 果、膜透過水中の濁度、一般 細菌、大腸菌群については 検出限界以下であり、0.5皿m以 上 の 徽 阯 子個 数 濃度 につ いて も、0.01肛mのPAN膜 透 過水 の場 合80個/mL以 下( 平 均25個/mL) と、砂ろ 過水における20,000 ‑30,000個/mLより3オーダーも低く、いずれの膜を用いても非常に 高い固液 分離特性を示した。

  また 、E260、DOC、THMFPにつ い ては それ ぞれ 約35、15、12% の低 減 効果し か得られず、河 川水のUF膜ろ過には、溶解性成分除去 プロセスを付加する必要性 が示唆された。加えて、分子篩 膜と高速 液体クロマトグラフイ(HPLC)を用い、ろ過原水、CA膜の 循環水、および透過水中のフミ ン質をそ れぞれ分画することにより、 以下の点について明確にした。(1)有機成分の界面化学的性 質に依存 しない分子篩膜分画法は、単 純の篩い分け効果に支配さ れるUF膜ろ過プロセスとの対応 が 可能 であ る 。(2)分 画分 子量5万以上、15万以下のUF膜ろ過で除去された溶解 性有臓成分のほ と んどは、見かけ分子量10万以上の高分子フミン質 である。(3)これらの除去さ れた高分子フミ ン 質は 循環 水 中で ほと んど 濃縮 さ れず 、ろ 過過 程 にお いて 膜表 面に 付 着して 懸濁化される。

  さらに 、鉄、アルミニウムについてはほぼ完全に除去された。溶解性マンガンについては、ろ過 初期には ほとんど除去されなかったが、ろ過の時間の経過に伴って、膜表面と循環水中に蓄積され た水酸化 二酸化マンガンの自触媒反応 により、その除去率が徐々に上昇し、最終的にはほぼ100% 除去され た。ひ素については、原水と 膜透過水から検出されず、 その濃度が5ppbの検出限界以下 であった が、循環水と逆洗排水からは検出され、UF膜ろ過の一次側で濃縮されることが分かった。

602一

(2)

UF膜ファウリングの発現特性

  UF膜ファウリングの発現特性を把握するため、一つのろ過サイクルに注目した回分膜ろ過実験、

ならびに多数のろ過サイクルの集合である連続膜ろ過実験を行った。

  回分膜ろ過実験により、以下の点について明らかにした。(1)懸濁成分と膜分離限界以上の高分 子フミン質に由来するケーキ層抵抗はーつのろ過サイクルで発現されたろ過抵抗の大部分を占める。

(2)高分子フミン質に起因したケーキ層および濃度分極層抵抗は、膜分離限界以下の低分子フミン 質 に起因した吸着抵抗より数十倍も高い。(3)ろ過圧カが高いほど、ケーキ層およひ濃度分極層抵 抗 は急激に上昇する。(4)膜面で攪拌を行うと、ケーキ層抵抗の発現は抑制されるが、代わって濃 度分極層抵抗の上昇を引き起こす.。

  また、連続膜ろ過実験により、以下の点について明確にした。(1)連続UF膜ろ過のろ過抵抗は、

主 に物理洗浄により剥離しきれなかった不可逆ケーキ層に支配される。(2)膜防質の疎水性が強い ほ ど、 不可逆 ケーキ 層の蓄 積が多 くなる ため、 疎水性PAN膜のろ 過抵抗 の上昇 は親水性CA膜よ り 速い。(3)透過水流束が高いほど、膜面に運ばれた懸濁成分と高分子フミン質が多くなるため、

不 可逆ケーキ層の蓄積が速い。それゆえ、定圧ろ過初期におけるろ過抵抗の上昇は速い。(4)ろ過 圧カが高いほど、圧密されたケーキ層の剥離が困難となるため、不可逆ケーキ層の蓄積が速い。そ れゆえ、定流量ろ過後期におけるろ過抵抗の上昇は速Vヽ。(5)不可逆ケーキ層は、ろ過時間の経過 に伴って蓄積し続けるのではなく、時には剥離する。特に、その傾向は、膜表面が懸濁成分と高分 子フミン質に覆われた後期に顕著となる。

  さらに、設定圧カまたは透過水流束を異にする連続の並列通水の比較実験を行った結果、定圧ろ 過の設定圧カまたは定流量ろ過の設定透過水流束が高いほどろ過抵抗の上昇は速くなり、原水水質 の影響を受けやすいことが確認された。

前凝集処理の効果

  UF膜ろ過 特性に 及ばす 前凝集処理の効果について検討するため、異なる凝集条件下でジャーテ ス ト と 回 分 膜 ろ 過 実 験 、 な ら び に 連 続 の 凝 集 ・  UF膜 ろ 過 実 験 を 行 っ た 。   有機成分の除去に及ぼす前凝集処理の効果について検討した結果、適切な前凝集処理によりE260、 DOC、冊mFPは それぞ れ約70、50、50% と高い 削減効 果が得ら れた。 加えて 、分子篩膜とHPI一C を用い、ろ過原水、凝欝致凹ヨ冰、およぴその膜闘水、循環水中のフミン質をそれぞれ扮画するこ とにより、以下の結果が得られた。(1)ポリ塩化アルミニウム(以下PACと称す)の注入率が高い場 合、または凝集pH5.5の場合、マイクロフロック化された低分子フミン質の割合が多くなる。(2)凝 集.UF膜 ろ過シ ステム を適用 した場合、溶解性有機成分を除去するための最適凝集条件はフミン 質除去の最適凝集条件と一致する。

  回分膜ろ過実験により検討した結果、一つのろ過サイクルのケーキ層抵抗、濃度分極層抵抗、吸 着抵抗 のいず れも前凝 集処理 によっ て減少 した。 これらの抵抗は、フミン質除去の最適PAC注入 率と凝 集pHで最 も低く 、一つ のろ過サイクルのろ過抵抗を低減するための最適凝集条件はフミン 質除去の最適凝集条件と一致することが分かった。

  また、連続の凝集. UF膜ろ過実験により検討した結果、以下の点について明らかにした。(1)高 分子フミン質がマイクロフロック化されたため、不可逆ケーキ層の蓄積は直接ろ過の場合より遅く なる。(2)定圧ろ 過にお いては 、凝集 .UF膜ろ 過のろ 過抵抗は緩やかに上昇したが、最終的に直 接ろ過 の場合のろ過抵抗に漸近する。(3)定流量ろ過においては、ろ過の限界圧カまでのろ過時間 は 長 く な る が 、 最 終 的 に ろ 過 抵 抗 は 直 接 ろ 過 の 場 合 と 同 様 、 急 激 に 上 昇 す る 。   さらに 、連続 ろ過のUF膜ファウリングを抑制するための最適凝集条件について検討した。その 結果、 高分子 フミン質 をマイ クロフ ロック 化させ る最小のPAC注入率および高分子フミン質の最 適凝集pH6.5付近に おいて 、UF膜フ ァウリ ングの 発現を最も効果的に抑制できることを示した。

フミン質除去の最適凝集条件では、高分子フミン質に代わり、低分子フミン質のマイクロフロック が、不可逆ケーキ層の発現を引き起こすことを明確にした。

    ―603―

(3)

学位論文審査の要旨

学 論 文 題 名

河川水 のUF 膜ろ 過特性に関する研究

  急 速ろ過 システ ムにオゾ ン・活 性炭処理 プロセス が付加 された高 度浄水 処理シス テ ム は、消毒 副生成 物などの 水道水 のりスク削減策として高く評価されているが、その複 雑 なシステ ム構成 と膨大な 敷地面 積への対応が課題である。この背景の下、精巧な構造 と 高 度 な 固 液 分 離 性 能 を 持 つ 精 密ろ 過 膜(MF膜 ) や限 外 ろ 過膜(UF膜 ) を 用い た 膜 ろ 過法が、 システ ムの簡素 化と敷 地面積を削減できる次世代の浄水処理技術として大い に 注 目さ れてい る。本研 究はUF膜 を河川水 を原水と した浄 水工程に 適用し た場合の 、 膜 ろ過特性 に関す るもので ある。

  河 川水へ のUF膜ろ 過技術の 適用と 操作条件 の最適 化には、 様々な寸 法と化 学的性質 を もつ含有 不純物 の除去特 性、お よび、これらの不純物に起因する膜のフんウリング特 性 を把握す ること が重要と なる。 本研究では、比較的高濁度、高色度の千歳川表流水を 対 象 とし たUF膜ろ 過の処理 特性、 膜ファウ リングの 発現特 性、及ぴ 、これ らの特性 に 及 ばす前凝 集処理 の効果、 適切な 前凝集処理条件などについて検討した。内容を要約す る と以下の 通りで ある。

  第1章 で は 、河 川 水 のUF膜 ろ 過特 性に関す る既往 の研究と 課題を述 べて、 本研究の 位 置 づ け と 目 的 を 明 ら か に し 、 研 究 の 構 想 と 論 文 の 構 成 を 解 説 し て い る 。   第2章 で は 、 分 画 分 子 量15万 の 酢 酸 セ ル ロ ー ス 膜(CA膜 ) お よび 分 画 分子 量5万 の ポ リ アク リ ル ニト リ ル 膜(PAN膜) を 用 いた 長 時 間連 続 膜 ろ過実験 を行い 、懸濁成 分 、 溶解 性有機 成分およ び無機成 分の除 去特性に ついて 検討し、 以下の 結論を得 た。

(1) UF膜透 過水の0.5um以上の 微粒子個数濃度を微粒子カウンターで測定した結果、

PAN膜 とCA膜の 場 合 は80個/mL以 下 (平 均25個 / れ )と 、 砂 ろ過 水 に おけ る20,000

〜30,000個/mLよ り3オ ーダー も低く、 いずれのUF膜も非 常に高い 固液分 離特性を 有 す る。(2)E260、DOC、n皿岨FPについて は、そ れぞれ約35、15、12%の低減効果しか 得 ら れず 、河川 水のUF膜ろ 過には 、溶解性 成分除去 プロセ スを付加 する必 要性が示 唆 さ れ た 。分 画 分 子量5万 以上 、15万以下のUF膜ろ過 で除去さ れた溶解 性有機 成分のほ と んどは、 見かけ 分子量10万 以上の 高分子フ ミン質 であった 。(3)鉄、アルミニウム に ついては ほぼ完 全に除去 された 。溶解性マンガンについては、ろ過初期にはほとんど 除 去されな かった が、ろ過 の時間 の経過に伴って、膜表面と循環水中に蓄積された水酸 化 二 酸化 マンガ ンの自触 媒反応に より、 その除去 率が徐 々に上昇 し、最 終的には ほぼ 100%除去 された 。

  第3章 で は 、UF膜 のフ ァ ウ リ ング の発現特 性を把 握するた め、一つ のろ過 サイクル

公 男

義 哲

辺 桑

渡 高

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

に注目した回分膜ろ過実験、ならびに多数のろ過サイクルの集合である連続膜ろ過実 験を行い、以下の点について明らかにした。(1) 懸濁成分と膜分離限界以上の高分子 フミン質に由来するケーキ層抵抗はーつのろ過サイクルで発現されたろ過抵抗の大部 分を占める。(2) ろ過圧カが高いほど、ケーキ層および濃度分極眉抵抗は急激に増大 する。膜面で攪拌を行うと、ケーキ層抵抗の発現は抑制されるが、代わって濃度分極 層抵抗の増大を引き起こす。

   また、連続膜ろ過実験により、以下の点を明確にした。(1 )連続UF 膜ろ過のろ過抵 抗は、主に物理洗浄により剥離しきれなかった不可逆ケーキ層に支配される。(2) 透過 水流束が高いほど、膜面に運ばれた懸濁成分と高分子フミン質が多くなるため、不可逆 ケーキ層の蓄積が速い。(3) ろ過圧カが高いほど、圧密されたケーキ層の剥離が困難と なるため、不可逆ケーキ層の蓄積が速い。それゆえ、定流量ろ過後期におけるろ過抵抗 の増大は速い。

   第4 章では、 UF 膜ろ過特性に及ぼす前凝集処理の効果について検討するため、異な る凝集条件下でジャーテストと回分膜ろ過実験、ならぴに連続流凝集. UF 膜ろ過実験 を行った。有機成分の除去に及ぼす前凝集処理の効果について検討した結果、適切な前 凝集 処理によ り E260 、 DOC 、THMFP はそれぞれ約70 、 50 、 50 %と高い削減効果が得 られることを明らかにした。また、回分膜ろ過実験よって、一つのろ過サイクルのケー キ層抵抗、濃度分極層抵抗、吸着抵抗のいずれも前凝集処理によって減少し、これらの 抵抗は、フミン質除去の最適ポリ塩化アルミニウム(PAC) 注入率と凝集 pH で最も低 く、一つのろ過サイクルのろ過抵抗を低減するための最適凝集条件は、フミン質除去の 最適凝集条件と一致することを示した。

   連続流凝集. UF 膜ろ過実験結果を解析して、以下の点を明らかにした。(1) 高分子フ ミン質がマイクロフロック化されるため、不可逆ケーキ層の蓄積は直接ろ過の場合より 遅い。(2) 定圧ろ過においては、凝集.UF 膜ろ過のろ過抵抗は緩やかに増大するが、

最終的に直接ろ過の場合のろ過抵抗に漸近する。(3) 定流量ろ過においては、ろ過の限 界圧カまでのろ過時間は長くなるが、最終的にろ過抵抗は直接ろ過の場合と同様に急激 に増大する。さらに、連続ろ過のUF 膜フんウリングを抑制するための最適凝集条件に ついて検討した。その結果、高分子フミン質をマイクロフロック化させる最小のPAC 注入率および高分子フミン質の最適凝集pH6.5 付近において、UF 膜ファウリングの発 現を最も効果的に抑制できることを示した。フミン質除去の最適凝集条件では、高分子 フミン質に代わり、低分子フミン質のマイクロフロックが、不可逆ケーキ層の発現を引 き起こすことを明確にした。

   第5 章では、本研究で得られた成果を、(1) 河川水のUF 膜処理における含有不純物 の処理特性、(2) UF 膜ファウリングの発現特性、 (3) 前凝集の効果、の3 点に要約し、

UF 膜 ろ 過 プ ロ セ ス の 運 転 性 ・ 処 理 性 を 向 上 させ る 工 学的 方 策を 提 案 した 。    これを要するに、著者は、 UF 膜による浄水処理技術の効率化のための最重要課題で ある、膜ファウリングの発現機構とその抑制法についての新知見を得ており、水道工学 の進歩に貢献するところ大なるものがある。

   よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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