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学位論文題名アズキ(Vigna an.gularis OHWI&OFIASHI)

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 佐 藤    毅

     学位論文題名

アズキ(Vigna an.gularis OHWI &OFIASHI )

の 細 胞 育 種 に 関 す る 基 礎 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

北海道におけるアズキ栽培は、度々起こる冷害と転換畑での作付の拡大等による病害 虫の発生などのため、その生産が不安定であり、畑作経営上大きな問題点となっている。

本研究ではアズキの安定生産を計るために耐病虫性などの優良形質を早急に導入する ことを目的として育種の新手法である細胞組織培養法と遺伝子導入法の開発を検討した。

アズキの組織培養に適した外植片は上胚軸で、上胚軸の採取時期は播種後7日目で外 植片の長さが10mmの場合に再分化率が高かった。基本培地はMSで、サイ卜カイニンは BAPで濃度が0.Img/l、ショ糖濃度は30 g/l、ゲル化剤は8g/l寒天が最適な培養条件で あった。また、ベニダイナゴンが高い再分化能をもつことを明らかにした。さらに、再 分化個体を温室で養成して、採種することができた。

  次に上胚軸からカルスを誘導し、そのカルスからの再分化条件を検討した。サイトカ イ ニン とし てはBAPが適 して おり、 そ の濃 度は1.Omg/lが好 適で 、BAPとNAAと を組み合わせると再分化率がさらに向上した。ショ糖は30g/lが適していた。また、6 回目の継代カルスでは再分化率が減少しなかったが、12回目のカルスになると再分化率 が 減少 した 。一 方、 上胚軸からNAA(0.05〜1. Omg/l)とBAP(1〜4mg/l)を組み 合わせて誘導したカルスは再分化率が高かったが継代は困難であった。再分化の形態と して藁の塊がみられた。この組織はホルモンフリーのMS培地で増殖と継代が可能で、

継 代 中 に 不 定 芽 の 形 成 が み ら れ 、 そ の 再 分 化 能 は70年 間 維 持 さ れ た 。   プロトプラスト培養では上胚軸と上胚軸由来カルスからプロトプラス卜を単離した。

(2)

プ口トプラス卜の培養におけるホルモンとしては2.4ーDとBAPの等量含まれる培地で 分裂率が高く、浸透圧調節剤としては0. 3Mのグルコースが適当であり、液体培地に比 べてアガロースを添加した固体培地で高い分裂率を示した。分裂したプロ卜プラストは コロ二一を経てカルスにまで生育した。供試した全品種でカルスから不定芽が形成され、

温室で再分化個体よりの採種ができた。

  カルス由来および上胚軸由来の再分化個体について体細胞変異の探索のため、再分化 個体の後代系統をらヶ年にわたり圃場試験で調査した。可視的な変異体としては矮性、

アルビノ、葉形異常、晩生変異、大粒、小粒、および莢色の変異体を生じ、それらの変 異体率は0.4%〜 3.8%で、自然突然変異よりもはるかに高率であった。さらに、種子に 放射線照射(X線、ガンマ一線)を行った後に播種し、その上胚軸からの再分化個体で の変異体の発生率(1.3〜    6.7%)は通常の培養のみによる場合よりも高かった。

  ハツネショウズにおいてかかる体細胞変異体中から粒大選抜により原品種よりも百粒 重の明らかに重い系統を作出できた。これらの系統の主茎長は原品種よりもやや短く主 茎節数および稔実莢数は同程度で、一莢内粒数が少なく、収量はほぼ原品種程度であっ た。また、同時に小粒系統も作出できた。原品種のハツネショウズはアズキ落葉病に抵 抗性であったが、大粒系統のーつでは感受性に変っていた。

  遺伝子導入では、Agrobacterium tumefaciensを用いてカナマイシン耐性遺伝子(NP T LI、neomycin phosphotransferase〕の導入に成功し、サザンブ口ットハイブリダイゼ ーションによルカナマイシン遺伝子の存在を確認した。また、GUS(B一グルク口二ダー ゼ)遺伝子の発現も確認できた。さらに、インゲンマメに由来するアズキゾウムシ耐虫 性遺伝子(a−amylase inhibitor遺伝子)をアズキ品種のべニダイナゴンヘ導入した。

また、A. thizogenesを用いて形質転換個体を得ることができて、オパインであるミキ モピンの検出により形質転換体であることを確認した。その個体は根の生育が旺盛で矮 化していた。

  アズキにおいてアグ口バクテリウムを利用した形質転換系が作出されたので将来のア ズキ育種に広く役立てることができる。

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学 位 論 文 審 査の 要 旨

学 位 論 文 題 名

ア ズ キ ( Vi ぎ na angLLlar ゐ OHWI & OHASHI) の 細 胞 育 種 に 関 す る 基礎 研 究

ア ズ キ 栽 培 で は 、 冷 害 や 病 害 虫 の 発 生 な ど の た め 、 そ の 生 産 が 不 安 定 で あ り 、

畑作経営上大きな問題となっている。そこで、本研究ではアズキの安定生産を 計るために各種の有用形質を早急に導入する育種新技術として細胞組織培養法 と ア グ 口 バ ク テ リ ウ ム に よ る 形 質 転 換 法 の 開 発 を 試 み た 。    本論文は5 章から成り、表48 と図19 を含む。主な内容は下記の如く要約され る。

1 .アズキの組織培養法

   外植片には発芽種子の上胚軸を用い、材料の採取時期は播種後7 日目で長さ は10mm とする のが再分化に好適であった。MS 基本培地にサイ卜カイニンとし

てBAPを 0.Img/l加 え 、 シ ョ 糖 濃 度 は30g/l、 ゲ ル 化 剤 は8g/l寒 天 と す る 条

件で、品種「ベニダイナゴン」より高い再分化率を得た。また、再生個体より の採種も可能であった。

次 に 上 胚 軸 か ら カ ル ス を 誘 導 し た 後 に 、 再 分 化 を 計 る 条 件 と し て 、 サ イ ト カ イ ニ ン と し て BAPの 濃 度 を 1. Omg/lと し た 。 ま た 、BAPと NAAと を 組 み 合 わ せ る と 再 分 化 率 が さ ら に 向 上 し た 。 シ ョ 糖 は30g/lが 適 し て い た 。 な お 、

6回 位 継 代 し た カ ル ス に お い て も 再 分 化 率 が 減 少 し な か っ た 。 一 方 、 上 胚 軸 か

‑ 533

郎 隆 夫 俊     哲 下 田 上 木 原 三 授 授 授 教 教 敦        

査 査

主 副

(4)

ら NAA ( 0 . 05 〜 1. Omg/l ) とBAP ( 1 〜4mg/l ) の組 み合わせ により誘導 し た葉の 塊のような organogenic カルス では、ホル モンフリ― のMS 培地で増殖 と継代が可能となり、継代中に不定芽を形成し、その再分化能は7 年間も持続 した。

2. プ口トプラスト培養法

   上胚軸や上胚軸由来カルスからプロ卜プラストを単離・精製した。プ口トプ ラストの分 裂を高める ホルモンの 条件として ば Z .4 −D とBAP の等量含まれる 場合に最も分裂率が高く、浸透圧調節剤としてはO . 3M のグルコースが適当で、

アガロースを添加した固体培地で高い分裂率を示した。供試した全品種でプロ 卜プラス卜からコ口二ーを経てカルスにまで生育し、さらに不定芽の形成を経 て、再分化個体より採種ができた。

3. 体細胞変異体の作出と利用

   組織培養により体細胞変異を誘発させるために、カルス由来および上胚軸由 来の再分化 個体につい て、それらの後代系統を5 年間にわたって圃場条件で継 代し、可視的変異体を選んだ結果、矮性、アルビノ、葉形異常、晩生、大粒、

小粒および莢色の各変異体を見い出した。それらの変異体率は0.4 %〜3.8 %で、

自然突然変異率よりもかなり高率であった。さらに、あらかじめ種子に放射線 照射した後に発芽させて、上胚軸を採り、培養して得た再分化個体における体 細胞変異の発生率(1 . 3 〜6 .7 %)は上記の培養のみによる場合よりも高率を示 した。

   かかる方法で「ハツネショウズ」における粒大選抜から原品種よりも百粒重

の明らかに重い大粒系統を作出した。この系統の主茎長は原品種よりもやや短

く、主茎節数および稔実莢数は同程度で、一莢内粒数が少なく、収量は原品種

程 度 で あ っ た 。 ま た 、 同 時 に 小 粒 変 異 系 統 も 作 出 ― さ れ た 。

(5)

4. ア グ ロ バ ク テ リ ウ ム に よ る 形 質 転 換 法

  Agrobacterium tumefaciensを 用 い る 形 質 転 換 技 術 を ア ズ キ ヘ 適 用 し て 、 ま ず カ ナ マ イ シ ン 耐 性 遺 伝 子 (NPT II、neomycin phosphotransferase) を 導 入 す る こ と に 成 功 し 、 形 質 転 換 体 の サ ザ ン ブ ロ ッ ト ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ り 遺 伝 子 の 存 在 を 証 明 し た 。  ま た 、 レ ポ ー タ ー 遺 伝 子 と し てGUS(8一 グ ル ク 口 二 ダ ー ゼ ) 遺 伝 子 の 発 現 も 確 認 し た 。 さ ら に 、 イ ン ゲ ン マ メ に 由 来 す る ア ズ キ ゾ ウ ム シ 耐 虫 性 遺 伝 子 (aーamylase inhibitor遺 伝 子 ) を 「 ベ ニ ダ イ ナ ゴ ン 」 へ 導 入 す る こ と に 成 功 し 、 実 際 に 形 質 転 換 体 で こ の 遺 伝 子 に 相 当 す るDNA断 片 の 導 入 を 確 か め た 。 一 方 、 蠱 . thiz02enesを 用 い る 形 質 転 換 法 と し て 、 毛 状 根 の 培 養 か ら の 形 質 転 換 体 で 、 オ パ イ ン で あ る ミ キ モ ピ ン を 検 出 し 、 そ の 個 体 は 根 の 生 育 が 旺 盛 で 矮 化 し て い た 。 こ の よ う に ア グ 口 バ ク テ リ ウ ム を 利 用 す る 形 質 転 換 系 が 実 際 の ア ズ キ 育 種 ヘ 適 用 で き る よ う に な っ た 。

  本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 は 、 ア ズ キ の 培 養 技 術 と し て プ ロ ト プ ラ ス ト か ら 植 物 体 再 生 ま で を 確 立 し 、 さ ら に 体 細 胞 変 異 体 の 育 種 的 利 用 に 役 立 て た 。 ま た 、 実 際 に 有 用 遺 伝 子 を ア グ ロ バ ク テ リ ウ ム の 形 質 転 換 法 で ア ズ キ ヘ 導 入 . す る こ と に 成 功 し た 点 で 、 実 際 育 種 へ の 貢 献 が き わ め て 大 き か っ た 。   よ っ て 審 査 員 一 同 は 、 別 に 行 っ た 学 力 確 認 試 験 の 結 果 と 合 わ せ て 、 本 論 文 の 提 出 者 佐 藤 毅 は 博 士 ( 農 学 ) の 、 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

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参照

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