高等学校国語科における音声言語教育の研究 : スピーチの学習指導を中心に
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(2) 次に、本論文におけるスピーチの範囲を、独. を提示すること、意見形成のための支援を行う. 話であるがその表現内容が主体独自のものであ. 必要があることを指摘し、その手だてとして、. るという点で説明・報告とは分けて措定し、ス. ①対立的葛藤を内包する教材提示による問題意. ピーチ学習を行う意義を「①音声言語教育の導. 識の喚起 ②異なる立場の者との意見交流の場. 入として適す ②音声言語教育の基本・基盤と. の設定 ③意見を触発する複数資料の提示 ④. なる ③人間関係の基盤形成・学習集団の活性. キーワードの提示と短作文(カード)の活用の. 化に培う」の三点に認めた。続いて、音声言語. 四点を示した。. 教育の目的に照らしてスピーチに特化した先行. 第三章では、前章での考察を踏まえ、高等学. 実践99事例の検討を行い、スピーチ学習の現. 校におけるスピーチ学習の構想を示し、その可. 状(達成水準)を明らかにした上で、高等学校. 能性と課題について論究した。まず、高等学校. における課題を三点導出した。. におけるスピーチ学習の段階的指導の必要性に. 課題一 スピーチ学習の意義を理解させ、学習. ついて述べ、五次からなる学習指導の全体構想. の必要感を切実に持たせる導入が必要。. について、概要を説明した。次に、その具体的. 課題二 聞き手意識を育てる視点に立った事. な学習試案を提案し、各次の指導案の作成にあ. 前・事後の交流活動の設定が必要。. たって特に重視した点を中心に論述した。最後. 課題三 高校生にふさわしい話題の選定と内容. に、学習指導試案の課題についても論究した。. の形成・充実を図る手だてが必要。. 4今後の課題. 第二章では、前章で導出した課題克服に有効. 今後の課題を四点挙げる。. な示唆を与えると判断される実践事例の検討と. ○提案した試案をもとに実践を行い、その有効. 考察を行った。課題一の解決のためには、①音. 性と問題点を分析・検討し、学習者の実態に. のことばで伝えることの困難さを実感させるこ. 合わせた改善を図ること。. と ②よりょく「話す(聞く)こと」の基本を. ○「総合的な学習の時間」との連携も視野に入. 理解させることが有効であることを示した。課. れつつ、自力で話すべき話題を掘り起こし、. 題二の解決のためには、話し手の聞き手意識を. 適切な方法で音声言語活動が行える言語主. 育てるために事前の過程に交流活動を設定する. 体の育成を目指す学習を構想すること。. ことが有効一あること、受容的・共感的な聞き. ○学習者の学習材となり得る「話す」、指導に不. 手を育てるために事後に①聞くめあてを明確に. 可欠な「聞く」が行えるよう、指導者自身の. 持たせる ②受信した内容をもとに発信させる. 研鎖を積むこと。. ③自己の「聞くこと」を振り返らせるの三要件. ○音読・朗読や「対話」等、他の音声言語活動. をおさえた交流活動を設定することが有効であ. の学習も視野に入れ、音声言語教育の全体像. ることを示した。課題三の解決に向けては、「さ. を捉え、高校三年間の国語科カリキュラムに. まざまな問題について自分の考えをもち、筋道. 位置づけていくこと。. 立てて意見を述べる」ことを高校生の目指すべ きスピーチと措定した上で、学習者の現状を勘. 主任指導教官 菅 原 稔. 案しながら、現段階においては、複数のテーマ. 指導教官 河野智文.
(3) 二〇〇一︵平成一三︶年度 兵庫教育大学大学院学位論文. 高等学校国語科における音声言語教育の研究. ースピーチの学習指導を中心に1. 教科・領域教育専攻 言語系︵国語︶コース. MOO1231. 高 田 真 理 子.
(4) 目. 次. 序章 研究の目的と方法 ・:::::::::::::::::::::::::::::::::・ 第一章 音声言語教育の目的と今日的課題 ・:::::::::::::・ 第一節 音声言語教育の目的 ・::::::::::::::::::・. 1 自己の話しことばに自覚的で自律的な言語主体の育成 ・::::・ 2 人間関係の形成・深化をめざす態度の育成 ・:::::::::・ 3 思考力・認識力の育成 ・::::::::::::::::::・ 第二節 音声言語教育におけるスピーチ学習の位置 ・::::::::・ 一 スピーチの定義 ・::::::::::::::・:・:::::・. 2 音声言語教育におけるスピーチ学習の意義 ・:::::::::・. ︵1︶音声言語教育の導入としてのスピーチ学習 ・::::::::・ ・ ︵2︶音声言語教育の基本・基盤となるスピーチ学習 ・::::::・. ︵3︶相互理解を促進し、好ましい人間関係の基盤を築くスピーチ学習 ・第三節 スピーチ学習の現状と課題 ・:::::::::::::::・. 1 現状と課題 ・:::::::::::::::::::::::・. ︵1︶目的1の観点からの考察 −学習意欲の喚起と自己評価1 ・:・ ︵2︶目的1の観点からの考察 一聞き手の育成と交流活動1 ・::・ ︵3︶目的皿の観点からの考察 −話題選択と内容形成1 ・::::・ 2 高等学校におけるスピーチ学習の課題 ・:::::::::::・. 1. 5. 5. 5. 26 23 21 20 19 18 18 17 16 16 12 12 10 7.
(5) 第二章 先行実践事例の検討と考察 ・:::::::::::::::::::: : 第一節 音声言語学習への意欲喚起のための導入 ・::::::::::::・. 1 事例A・Bの検討 ・:::::::::::::::::::::::・ 2 事例A・Bからの考察 ・:::::::::::::::::::::・ 第二節 聞き手意識を育てる交流活動の設定 ・:::::::::::::::. 1 事前の交流活動 −話し手の聞き手意識を育てるために一 ・:. 2 事後の交流活動と自己評価 −聞き手の聞き手意識を育てるために1 第三節 適切な話題の選定と内容の形成・充実 ・:::::::・:・:::・. 1 適切な話題について 1思考力・認識力の育成に資する話題の選定一 : 2 内容の形成・充実について ・:::::::::::::::::::・: 第三章 高等学校国語科におけるスピーチ学習の構想 ・:::::::::::・. 第一節高等学校国語科におけるスピーチ学習の段階的指導の必要性と全体構想 :・ 第二節 高等学校国語科におけるスピーチ学習指導試案と構想上の留意点 ・:・ 第三節 高等学校国語科におけるスピーチ学習指導試案の課題 ・::::::・ *高等学校国語科におけるスピーチ学習指導試案 ・::::・:・::::::・. 結章 研究の成果と今後の課題 :・::::::::::::::::::::: 寸 堂己 ロ イ . 参考文献 巻末資料. 78 70 67 59 58 58 43 42 41 36 33 33 31 30 30 30.
(6) 序章 研究の目的と方法 はじめに. 高校生の音声言語の状況を問題視する声は年々大きくなっている。仲間うちでの饒舌さと公的場面での寡黙さ. のギャップは誰もが指摘する点である。ごく限られた人間関係の中でしかコミュニケーションをとることができ. ず、改まった場で他者に自分の考えを筋道立てて伝えることができない︿パブリック・スピーキング失語症﹀と. でも言うべき状況にある高校生が少なくない。こうした他者と通じ合う音声言語能力の低下は、﹁キレる﹂﹁ムカ. ツく﹂状況やいじめ、校内暴力といった問題の要因の一つにもなっているのではないか。また、彼らの大部分は、. こうした自分の状況に無自覚であるか、あっても﹁話すのは苦手﹂﹁話し下手﹂の一言で片づけてしまい、自分の. 話しことばを磨こうとする意識が稀薄である。少子化・情報化の進む現代、対面コミュニケーションの機会は激. 減しており、彼らが自分の話しことばを磨く機会も、磨く必要性に気づく機会も格段に少なくなっている。また、. 公的場面での寡黙さの要因として、他者に語るべき内容を持ち得ていないということも指摘できよう。人前で語 る言語技術や態度の育成と併せて、語るべき内容を拓いていくことが切に望まれる。. 話すこと・聞くことは、人が人として円滑な社会生活を営む上で不可欠な能力である。多様な価値観が存在す. る二↓世紀の社会では、自分と異なる価値観や考えを持った他者とコミュニケーションをとる能力がますます必. 要とされる。第一九期国語審議会報告﹃現代の国語をめぐる諸問題について﹄︵平成五年六月八日︶にも指摘され たように、音声言語教育の重視は社会的な要請となっている。. 自分の考えをまとめ、適切に表現し、人の意見を相手の立場に立って理解することは、社会生活を送る上. で極めて大切である。そういう基礎的な能力を身に付けるために、社会生活のあらゆる機会を通じて、自分. としてのものの見方や考え方ができるような能力や態度を培うとともに、話すことや聞くことの教育を一層 充実させるべきである。. 1.
(7) では、果たして、高校国語教室では、考えをまとめて適切に他者に伝え、他者の意見を相手の立場に立って理. 解する能力や態度を育てる音声言語教育が実施されていると言えるだろうか。時間がない、指導や評価の方法が. 分からない、適当な教材がない、受験学力に直結しない等の理由から、真正面から取り組むことに尻込みしてい るのが実情ではないか。自戒を込めてこう言わざるを得ない。. 音声言語指導が最も低調なのは高等学校においてである。このことは、滋賀県の﹁淡海ことのは研究会﹂のア. ンケート︵四七二名対象︶注一や埼玉県高等学校国語科教育研究会のアンケート︵八三三四名対象︶注置の結果か. らも指摘される。後者には、﹁話す﹂﹁聞く﹂﹁話し合う﹂等の指導を受けた体験がある生徒は、小・中学校に比べ. て高等学校で半減するとの結果が報告されている。日本国語教育学会の﹁高等学校のアンケート調査結果﹂︵国語. 教師一一一名対象︶注三にも、高等学校では、指導者の音声言語教育に対する興味・関心も薄く、指導に力も入ら. ず、結果として指導もうまくいっていないと感じているという結果が報告されている。近年、音声言語重視の流. れを受けて、高等学校でも音声言語教育への関心は高まってはいるが、国語教室での実践とのギャップは大きい。. 上谷順三郎が平成九・一〇年度に実施した﹁スピーチ体験アンケート﹂の結果報告書注四からは、音読・朗読と. 並んで音声言語教育の︿古株﹀的存在であるスピーチでさえも予想以上に指導されていない状況が如実に浮かび. 上がってくる。これは、全国国立教員養成系大学・学部の学生︵五〇大学五〇三二名︶を対象に、小中高におけ. るスピーチ体験を尋ねたものである。大学別に報告された数値を筆者が集計したものが巻末資料1の表①∼③で. ある。学校生活全般でのスピーチ体験は、平均して小学校篇回︵B回/年︶、中学校”回︵脳回/年︶、高校麗回. ︵M回/年︶と、高校はもちろん全般的に﹁人前で話す﹂経験の少なさが注目される︵▼表①︶。授業に限った. 場合も、小学校”回︵㎝回/年︶、中学校届回︵舗回/年︶、高校揺回︵腿回/年︶と、授業でのスピーチ体験. の少ないことが注目される︵▼表②︶。ここでの授業とは国語以外の教科での発表等を含むと考えられるが、授業. で経験しただけではスピーチを学習したことにはならない。国語の授業で学びの対象として位置づけられたスピ. 2.
(8) iチの指導を受けた経験は更に少なくなろう。音声言語教育の︿古株﹀的存在ではあるが、実際には国語科の学. 習としてしっかりと位置づけられ指導されているとは言い難い状況にあることが推察できる。. 研究の目的と方法 高校生の多くがくパブリック・スピーキング失語症﹀とでも言うべき状況にある一方で、自分の考えをまとめ. て適切に表現し、人の意見を相手の立場に立って理解する力は、一=世紀の社会においてますます必要になって. いる。音声言語教育は高等学校国語教室において最も立ち遅れている領域であるが、多様な価値観が存在する社. 会において社会人・国際人として通用する音声言語能力の育成は、早急に取り組まなければならない課題である。. 本論文は、音声言語教育において、特にその基盤となり得ると考えるスピーチの学習指導を取り上げ、音声言. 語教育の目的に照らして高等学校国語科におけるスピーチ学習の課題を明らかにすることと、その解決を目指し た授業構想を提案することを目的とする。. 第一章では、まず、諸氏の論の検討を通して音声言語教育の目的について考察する。次に、本論文におけるス. ピーチの範囲を明らかにし、音声言語教育におけるスピーチ学習の意義について考察する。最後に、スピーチに. 特化した先行実践事例を、先に措定した音声言語教育の目的に照らして検討し、スピーチ学習の現状︵達成水準︶ を捉えた上で、高等学校におけるスピーチ学習の課題を明らかにする。. 第二章では、前章で措定した課題の克服に有効な示唆を与えてくれると判断される先行実践事例を取り上げて 検討し、それぞれの課題解決に有効な手だてについての考察を行う。. 第三章では、前章での考察を踏まえて高等学校におけるスピーチ学習の構想を示し、その課題についても論究 する。. なお、引用文中の傍線・省略については、特に断りがない限り引用者によるものであり、・:・は段落途中から. の引用であることを示している。引用文献・参考文献の出版年は西暦で統一している。また、本論文において取. 3.
(9) り上げた人物については、失礼ながら敬称を略させていただいた。. 些雲山由美子﹁パブリックスピーチを導入した授業実践﹂. 広島大学教育学部光葉会﹃国語教育研究﹄第四三号 二〇〇〇年 八○頁 注二埼玉県高等学校国語科教育研究会編﹃音声言語指導事例集 第二集﹄一九九九年一一月 三五八頁 注三日本国語教育学会編﹃月刊国語教育研究﹄二四二号. ﹁国語教育に関するアンケート調査,概要︵平成二年九月調査︶﹂ 一九九二年六月 四八∼五四頁 注四研究代表・上谷順三郎﹃平成九年度・一〇年度科学研究費補助金奨励研究︵A︶報告書 教育養成系大学に. おけるスピーチ・コミュニケーション教育に関する実証的研究﹄︵課題番号09710166︶一九九九年三月. 4.
(10) 第一章 音声言語教育の目的と今日的課題. 本章では、音声言語教育の目的を明らかにするとともに、筆者が音声言語教育の基盤となると考えるスピーチ. ︵独話︶学習を取り上げて、音声言語教育におけるその位置、およびその現状︵到達点︶と課題について述べる。. 第一節 音声言語教育の目的. 国語科教育が究極として目指すところの一つは、︿言語の力による人間形成﹀︿言語人格の陶冶﹀とされてきた。 コミュニケ ション. 言語生活の基盤を話しことば教育に置いた西尾実は、﹁通じあい﹂ということばの社会的機能を根底にした人間形 成を目指すべきだと述べている。 ママ これからの国語教育は、言語生活の全面的指導の立て前から、まず、この通じあいという社会的機能を対 象とした学習とその指導にたちむかわなくてはならぬ。そうして、その根底がしっかりと築かれたうえで、. 表現と理解という、自己真実への集注とその自覚とを目ざした人間形成としての学習とその指導をうち建て なくてはならぬ。些. 国語科の一領域である音声言語教育においても人間形成は目指されるが、それがなされるためには、音声言語. 教育を通じて学習者をどのような言語主体に育てることなのかを明らかにする必要があろう。そこで、本節では、. まず、包括的な観点から音声言語教育の目的について論じた諸氏の論を検討し、音声言語教育における人間形成. の内実を明らかにする︵目的1︶。次に、今日的視座に立って、音声言語指導の現状を踏まえて目的を論じている. 諸氏の論を検討し、これからの音声言語教育の目指すべき点について考察を進める︵目的H・皿︶。. 1 自己の話しことばに自覚的で自律的な言語主体の育成. まず、包括的に音声言語教育の目的を論じたものとして、野地潤家、堅田栄吉の論を検討する。. ﹃話しことば学習論﹄﹃話しことば教育史研究﹄注二を著した野地潤家は、目的について次のように論じている。. 5.
(11) 話しことば学習の目的は、個々の学習者が、その言語主体をめぐる方言社会の言語環境にあって、話すこ. との言語行為を、いきいきと正しく適切に営みうるようにさせるにある。話しことばの生きてはたらく各場. 面にあって、それぞれの言語主体が、静かに考えながら、ものを言う態度を養い、いっそうひろびうとひら. けた言語社会に立って、すぐれた適切な表現法に習熟していくようにさせるにある。︵中略︶. ﹁話しことば学習﹂指導の目的は、各学習者が話しことば学習を達成していくように、言語環境・発達段. 階を考えあわせて、適切に助成していくことにある。各学習者が言語主体として、各自の言語生活において、. 自主的に自 の話すことを∠していくことのできるようにみちびくことにある。自 の話しことばを、その. 表現法を、真に自 のものとしていくように、各学習者の話しことばへの自覚を確かにさせていくことに、 指導の根本の目的がある。注三. 野地潤家は、音声言語教育の目的を、学習者を﹁自主的に自己の話すことを律していくことのできる﹂言語主. 体に育てること、自己の話しことばへの確かな自覚を持った言語主体に育てることにあると論じている。音声言. 語教育において音声表現技術の向上が目指されるのは言うまでもないが、引用文中に二回見られる﹁表現法﹂を. 単なる表現技術とだけ捉えてはなるまい。﹁話すことを律していく﹂﹁自覚﹂の文言から明らかなように、その技. 術をどう使いこなすかという音声言語主体としての意識︵適否の判断や意欲・態度等︶を内包する言葉として捉. えるべきである。このことは、次の倉澤栄吉のことばと併せみた時、一層明らかとなる。. ・:・話しことばの指導というのは話す人の指導であり、聞く人の指導である。つまり、話す人格、聞く人格. を形成するということである。︵中略︶場と状況にどのように適応するか、また、場と状況をどのように人間 が変革していくかという問題なのである。注四. 倉澤栄吉は、音声言語教育の目指すべきところは﹁言うべきときに言う、言うべきときと聞くべき折とをわき. まえる、聞き手の身になって物を言う﹂注五ことのできる﹁話す人格、聞く人格を形成する﹂ことだと論じている。. 6.
(12) それは、言いたい時に言いたいことだけを言い、聞きたい時に聞きたいことだけを聞くといった自己中心的で無. 責任なあり方とは対極にある。目的や場に応じて﹁べき﹂の判断を主体的に下し、その判断に従って自らの話す. こと.聞くことを律していくことが目指されるべきである。音声言語教育においては、話しことばによる表現と. 理解の能力の伸長が目指されるが、技能はもちろん、よりょく話そうとする意欲や態度、﹁場﹂に対する判断力が. 養われなければならない。また、話し聞くべき内容についても日頃から豊かに耕されていなければならない。. 野地・倉澤の論を踏まえると、音声言語教育における人間形成とは、学習者を自己の話しことばへの自覚と責. 任を持って主体的・自律的な音声言語行動をとることのできる主体として育成することと捉えられよう。話し聞. くことの意義︵創造性︶の十分な自覚の上に立ち、その向上に努める言語主体の育成は、音声言語教育において. 目指されるべきものである。以上の考察を踏まえ、本論文における音声言語教育の目的1を次のように導出する。. 1、自己の話しことばへの確かな自覚を持ち、目的や場に応じて自主的かつ適切に自己の音声言語行動を律してい くことのできる言語主体を育てる。. 2 人間関係の形成・深化をめざす態度の育成. 次に、音声言語教育のあり方を話し手と聞き手の関係性から捉えている諸氏の論を検討する。. 機能としての﹁対話﹂概念を導いた倉澤栄吉は﹁人間関係を基盤として、その改善・深化をはかるために聞く. こと話すことの教育が行われる﹂注六と論じ、増田信一も﹁音声言語教育は、人間を肯定し、尊重しようとする態. 度を養うことに最大のねらいがある﹂注七と論じる。話しことば教育をコミュニケーション教育と把える論者は多. いが、ここでは、実践的立場から話し言葉教育を推進してきた森久保安美、安居総子の論を取り上げて検討する。. 森久保安美は、話しことば教育が﹁話し方聞き方といった技能面でとらえられる傾向﹂にあることを批判的に 捉えた上で、話しことば教育のあり方について次のように述べ、その目的を﹁他者と向かい合い、自己表現しつ つ新しい人間関係を編み出していく力をつけること﹂注八とする。. 7.
(13) ・:・話しことば教育は人間関係に立 したコミュニケーション教育である。コミュニケーこヨンは、単なる. 伝達ではなく、伝え合うことによって人間関係が成立し発達するメカニズムまで含めて考えられている。話. し聞くための知識や技能を軽視する考えは毛頭ないが、話しことばは常に人間関係とのかかわりを考えなが らとらえていきたいわけである。注九. 安居総子も、森久保安美と同じく﹁方﹂や﹁型﹂の教育に陥ることを戒め、次のように述べている。. 話し言葉教育とは、よい聞き手よい話し手を育てることである。別の言い方をすれば、人間どうしのコミ. ユニケーションを通して、相互に相手を理 し、共通の広場をみつけて、一つの目的のために協力する、ま. た協力しようとする人間を育てることが話し言葉教育なのである。それは、時代の要請、社会の要求と無関. 係ではない。国際化・情報化の時代だからこそ求められる人間像なのである。︵中略︶人間は一人ひとりみな. 違う、だから一人ひとりを認め合い、通じ合っていこうという精神である。そういう精神を育てることが急. 務である。これは、単なる聞き方・話し方の教育ではない。人間教育としての話し言葉教育、コミュニケー ションとしての話し言葉教育なのである。注一〇. 安居総子は、﹁よい聞き手よい話し手﹂を、単なる聞き上手・話し上手ではなく、相互に尊重し合う態度を持っ. て、問題解決に向けて協働していこうとする意欲と行動力をもった言語主体として捉えている。. ﹁人間関係のかかわり﹂の視点から音声言語教育をコミュニケーション教育と捉え、音声言語を駆使して人間. 関係を自ら拓いていく姿勢や態度を養うことを音声言語教育の大きな目的と捉えることは、今日の社会情勢から. も重視すべき視点である。﹃高等学校学習指導要領﹄︵平成一一年告示︶にも﹁国語を適切に表現し正確に理解す. る能力﹂を基盤として﹁伝え合う力を高める﹂ことが目標に掲げられ、次のように解説されている。 ﹁伝え合う力﹂とは、人と人との関係の中で、互いの立場や考えを・重しながら、言語を通 し て 切に表. 現したり的確に理 したりして、円、に相互伝達、相互理 を進めていく能力のことである。 国際化、情報. 8. 凱.
(14) 化等、変化の激しいこれからの社会では、一人一人が良好な人間関係づくりや健全な社会づくりに積極的に. かかわろうとする意欲や態度が特に求められる。言語の教育の立場に立つ国語科としては、﹁伝え合う力﹂. を高めることを通して、そのような意欲や態度を育てていこうとするものである。注=. 話し手・聞き手の相対しあう体勢によって話すこと︵聞くこと︶の基本形態は対話・会話・独話に分かれるが、. その根底にある機能は﹁通じ合い﹂︵西尾実︶である。独話においても、思いを自分のことばで表現し、他者のこ. とばに耳を傾けることによって、相互理解を深め、新たな人間関係を築くことができる。. 大石初太郎が、音声言語の特性を①音声媒介 ②時間性 ③対面性 ④身体的変化随伴 ⑤環境共有の五つに. まとめているように、音声言語は﹁音声媒介という基本条件に基づいて、時間性の制約を持ち、話し手・聞き手. の対面、環境の共有という場面についての特性を持ち、身体的変化がことばとともにはたらく﹂塗二ところに、. 文字言語とは大きく異なる特性を持つ。①③④⑤を一括して﹁対人的直接性﹂︵野地潤家︶と言い換えられよう。. 他者と通じ合うのは音声言語だけに拠るのではないが、﹁対人的直接性﹂を特性とする音声言語活動においてはリ. アルタイムで﹁伝え合い﹂が行われる。また、私たちは、肉声のみならず、沈黙や表情・身振りによっても、話. の内容や意図はもちろん、話し手・聞き手の人間性をも伝え合い、相互に理解を深めているのである。音声言語. 教育においては、まさに﹁伝え合う力﹂や他者との関わりを築こうとする意欲・態度の育成が求められている。. 更に、他者との関わりは自己を育てることにもつながる。滝沢武久は、子どもの思考力の発達は知識の教授や 模倣よりも異質な他者との直接的なかかわり合いによって促進されると主張している。. ・:・子どもは、自分の意見に対立した意見の存在を知ることによって、思考の混乱︵認知的葛藤︶を経験す. る。その結果、この混乱を整理して矛盾のない意見をつくるために、相手の意見と自分の意見とを関係づけ、. 調整しようとする。この時、子どもの思考の構造化が生じて質的に高次の思考が到来することとなる。注一三. 思考力の育成については次項に詳述することとして、ここでは他者との関わりの意義を強調しておく。他者の. 9.
(15) 声に耳を傾け自分と異なるものの見方・考え方の存在に気づくことは、単に知識の増加だけでなく、自分のもの. の見方・考え方の変容︵拡充・深化・転換︶をもたらす。閉じた人間関係の中でしかコミュニケーションを取る. ことができなくなりつつある現代の子どもたちに、︿ことばで他者と通じ合うことの価値﹀を実感させ、そこから. 他者を尊重する態度や人間関係構築への肯定的意識・意欲を育てることは、音声言語教育において重視されるべ. き一つの柱と⊥言えよう。以上の考察を踏まえ、本論文における音声言語教育の目的Hを次のように導出する。. 豆、ことばによるコミュニケーションを通して、他者と通じ合うことの価値や意義を理解し、相手を尊重する態度. を持って積極的に人間関係を結び、深めていこうとする態度と言語行動力を持った言語主体を育てる。. 3 思考力・認識力の育成. 最後に、思考力・認識力との関係から音声言語教育に言及している大久保忠利、森田信義の論を検討する。. ﹁話しコトバ﹂と思考・認識との相互作用に早くから注目していた大久保忠利は、﹁話しコトバ﹂教育の目標を. ﹁日本語を正しく身につけさせ、よく使いこなせるようにする→←正しく考える力を育てる﹂ことにより﹁現実を. 正しく認識し、認識を通達し受け取り、それにもとづいて正しく行動し、現実を変化させる力を身につけさせる﹂ 塗四ことと論じている。しかし、この指摘は、その後の音声言語教育の実践で十分実現されたとは言えまい。. また、近年の話しことば教育がコミュニケーションの機能に重点をおいて捉えすぎるきらいがあったと捉える. 森田信義は、話し言葉教育の目標を﹁話すこと、聞くことの活動を通して、子どもたちのものの見方・考え方・. 感じ方を育てるとともに、正確かつ個性的、主体的に表現し、理解する能力を育成する﹂注⋮五ことと規定しつつ、. その中でも話しことばによってものごとの本質を捉える︵認識する︶という機能を重視すべきだと説く。. コミュニケーション︵通じ合い︶の機能が重要であることはいうまでもないが、それは、コミュニケーシ. ョンに参加する個々の人間が表現すべき認識内容を持ち合わせ、また、理解する受け皿としての認識内容を. 用意していることが、さらに重要である。コミュニケーションの目的も、コミュニケーション参加者がメッ. 10.
(16) セージを咲り出し、また受け入れるという活動を通して思考力や想 力を き、ものごとの本質の認言に一. 歩でも近づくことでなくてはならない。このことを抜きにして﹁正確な通じ合い﹂や﹁効果的な話し合い﹂ を論じても、単に、技術論のレベルにとどまってしまうことになる。注一六. 音声言語活動を﹁コミュニケーションの活動であると同時に、コミュニケーションの当事者の認識内容と認識. 方法に働きかけ、変容する過程﹂塗七であると捉え、人間関係だけでなく言語主体の思考力や認識力を育てると. いう側面を忘れるべきではないという主張には首肯される。表面的に活発なやりとりがなされても、対象への新. たな視点の獲得や認識の拡充・深化といった価値の創造が伴わなければ、通じ合うことの価値もそこから拓かれ. る人間関係も浅薄なものになるからである。学習者の発達段階が上がるにつれ、この点の比重は増してこよう。. 本来、言語と思考・認識は密接な関係にあるのであり、思考力・認識力の育成は、音声言語教育のみならず国 語教育全般を通して目指されるべきものである。長谷川孝士は次のように述べている。. ・:・国語教育における人間形成は言語の機能に即して考えるべきものであること、しかもその機能はただ︾. に伝達機能ではなく、むしろその認言・思考の機能を軸として他の諸機能をそれにかかわらせつつ認知・情. 動・思考の統合的確言能力としての言語能力を身につけた主体的人間の育成を志向すべきことを述べてきた。. そうした統合的認識能力につちかうことを軸とした学習活動を精選して組織するためには、具体的な聞く、 話す、読む、書くという言語活動が意図的におこなわれなければならない。注一八. マナ . しかし、わが国では、文字言語偏重の風潮の中、従来﹁読むこと﹂﹁書くこと﹂が一手にその役を担ってきた。 スキル 音声言語教育が今まで国語科の中で確固たる地位を固め得なかったのも、﹁話し方﹂﹁聞き方﹂といった単なる技術. や躾の指導に偏していたためでもあろう。輿水実の﹁実際に話させる学習指導の九〇パーセントまでは内容の学 習指導でなければならない﹂、話すことは﹁人々の思想心情の形成であり、また広い意味における問題解決である﹂ 注一九という言葉は、音声言語教育の本来のあり方を示唆するものと捉える。学習者が話したいという内容を切実. 11.
(17) に持ってこそ、話すことへ意欲も生まれ、伝える工夫も凝らされる。話す内容を形成していく過程はまさに﹁何. を話す︵べき︶か﹂についての思考をめぐらす過程であり、同時に話題とする対象への認識を深めていく過程で. もある。また、音声表現過程において、話し手は絶えず聞き手の反応をモニターし、その結果をフィードバック. して自らの﹁話す﹂を調整している。ここでも自己の﹁話す﹂へのモニタリングという活発な思考作用がなされ. ている。聞き手も、外部からの音声刺激を知覚するだけにとどまらず、新情報を既有情報と絶えず照らし合わせ. て識別・理解し、収束的にあるいは拡散的に思考しさまざまに反応しながら聞いているのである。音声言語教育. においても、言語活動と思考作用とを一如なものとして捉え、話す内容の形成過程における指導の充実が目指さ. れるべきである。以上の考察を踏まえ、本論文における音声言語教育の目的皿を次のように導出する。. 皿、認識内容を発信し、理解の受け皿となる認識内容を持って受信する音声言語活動を通して、思考力や認識力を. 磨き、ものごとの本質に対する認識を深めることによって自己の拡充と確立を図る言語主体を育てる。. 第二節 音声言語教育におけるスピーチ学習の位置. 本節では、前節で導出した音声言語教育の目的に照らしながら筆者が音声言語教育の基盤となると捉えるスピ. ーチ学習の課題について論じるに先立ち、筆者の考えるスピーチの範囲とスピーチ学習の意義について論じる。. 一 スピーチの定義. ﹁スピーチ﹂は、日常的に使われている用語だけに、他の独話活動と厳密に区別して規定することは実は容易. ではない。﹃日本語大辞典カラー版﹄には﹁話。演説。︹用例︺テーブル・スピーチ﹂注二〇、﹃日本国語大辞典﹄に. は﹁会合の席などで、大勢を前にしてする話。談話。﹂二一=としか記されていない。福田健︵話し方研究所所長︶. が話し方の基本を一般向けに解説した﹃話し方入門﹄では、少々改まった場面における﹁大勢の前での﹂﹁三分か. ら五分ぐらいの短い話﹂注二二と捉えられており、スピーチの場面として具体的に挙がっているのは、結婚式・朝. 12.
(18) 礼・歓送迎会・入社式・新年会・告別式である。スピーチの概念としては、狭義のものと言えよう。. 安居総子は、西尾実の説を踏まえて話しことばのジャンルを独話・対話・会話に分け、独話のジャンルを﹁指. 示、紹介、説明、解説、報告、報道、発表、あいさつ、スピーチ、演説、談話、創,作﹂注二三と捉えている。ここ. でも、スピーチは、独話活動の一形態として紹介・あいさっと並ぶ、きわめて狭義の捉えがなされている。. 一方、﹃国語教育研究大辞典﹄﹁独話﹂の項には、﹁独話“スピーチ﹂というきわめて広義の捉えがなされている。. 話し手は常に話し手であり、聞き手は常に聞き手であるという固定的な形態の言語活動をいう。対話・会. 話に対する概念。ただし、このような用い方は国語科教育界内のことであり、一般的にはスピーチというこ. とが多い。︵中略︶独話の意味する範囲はきわめて広く、学校生活の中だけでも、楽しみのために行うテープ. ル・スピーチや調査・研究したことの報告・発表から弁論や校内放送に至るまで、その場面は多い。注二四. 筆者は、紹介やあいさつはスピーチに含まれるものと考えるし、﹁スピーチ”独話﹂という立場も取らない。. 筆者の考えるスピーチの範囲を明確にする前に、﹃音声言語指導大事典﹄におけるスピーチの定義を見てみる。. スピーチとは、場の目的や 旨に即し、一人の話し手が一人または多数の聞き手に対して、一方的に行う. 独話の一形態のことである。話の全過程を通して、話し手は話し手、聞き手は聞き手に固定される。スピー. チは、その日的から﹁ヒューマン・コミュニケーション型﹂﹁情報伝達型﹂﹁説得型﹂などに、内容から﹁体. 験スピーチ﹂﹁自己紹介スピーチ﹂などに、形態から﹁テーブルスピーチ﹂﹁あいさつ︵式辞︶﹂などに分類さ. れる。︵中略︶スピーチには、﹁情報伝達 ﹂﹁説得﹄﹂の報告・説明・説得も己まれるが、これらが﹁相手へ. の情報伝達﹂や﹁相手の説得﹂を目的として、聞き手の知的理解・知的納得などを期待する言語活動である. のに対し、﹁ヒューマン・コミュニケーション型﹂スピーチは﹁相手との人間関係の深化・拡充﹂を目的とし て、聞き手の情的理解・情的納得などをも期待する言語活動である。注二五. ここでは、﹁独話の一形態﹂としながらも、﹁報告・説明・説得も含まれる﹂という、やや広義の捉えをしている。. 13.
(19) 例. 論理性、熱、信頼性. 特 質. 話し手と聞き手、聞き手同士の人間関係を円滑にし深める. 最も高度なパブリック・スピーキング. 説得型パブリック・スピーキングの基礎. 特 質. 村松賢一・花田修一である。 キーワード. 主張、商品販売、選挙演説. 自己開示、具体性. 説明、報告、指示. 答辞、送辞、祝辞お礼の挨拶、自己紹介. 例 友達との情報交換、ニュースの報告、SHRでの委員会の報告、生徒会や部活動での説明 等々. 生徒会や各委員会での提案や意見、学級会での意見や批判等. 読書感想や詩歌などのスピーチ感動体験のスピーチ、歓迎のあいさつ 等々. ・自己の想像力を十分に働かせて楽しく表現する活動・形象的思考や情緒的表現を主とする。. ・自己主張を中心とした表現活動・相手を説得する技術や論理的に考えを展開する表現力が必要。. ・日常の言語生活で基礎をなす表現活動・的確な説明や報告等の表現力が必要。. 整理わかりやすい言葉. 表現の目的に着目してスピーチ︵独話︶を三類型に分けるのは、 類 型. 村松賢一は、表現の目的によって次のように分類する。注三目 目 的. ヒューマン・コミュニケーション型. 説得型. a、理解させる 情報伝達型 b、態度・ 行動の変容. 。、共感を得る. 感想・物語型. 意見・主張型. 伝達・報告型. 類 型. 花田修一も、表現の目的からスピーチを次のように整理する。注二七 目 的 a、情報を伝達し、 報告する. b、考えを表明し、 説得する. c、感動を表出し、 物語る. 14.
(20) 花田自身、感想・物語型は﹁村松氏の言うヒューマン・コミュニケーション型スピーチに近い﹂注二八と述べて. いるが、表現目的や活動例から判断して他の二類型もほぼ重なると解せる。これら三氏に共通するのは、説明・. 報告、意見・主張、自己紹介・式辞等の上位概念として﹁スピーチ﹂を広義に捉える点である。. しかし、﹁教育課程審議会中間まとめ﹂︵平成九年一一月一七日︶や﹃高等学校学習指導要領﹄︵平成一一年告示︶. では﹁スピーチや説明などを行う﹂と区別されている。筆者もこの区別をとる。その理由を湊吉正、甲斐睦朗の. 論に拠りながら述べる。湊吉正は、独話の成立条件を﹁①あるひとりの人間が、②話しことばによって、③一方. 的に ④多くの人間に対して、⑤まとまりをもった話をすること﹂とした上で﹁発表・報告・説明﹂を独話の三. 形態として挙げる。湊吉正は、そのうち﹁発表﹂を﹁一般の公の場に、話し手が独自にまとめた経験内容・感想・. 意見・研究などを明確に提示すること﹂と規定する。すなわち、同じ独話形態である﹁説明﹂の主題的特徴が客. 観的・一般的なもの、﹁報告﹂のそれが共同的なものであるのに対して、﹁発表﹂はその主題内容が﹁独自のもの、. 個性的なものを志向している﹂点で異なるとする注二九。甲斐睦朗は、スピーチの特徴として﹁①自らの思いや考. えの率直な表出 ②筋道立つ論理性・説得性 ③多数の聞き手へのアッピール ④改まった態度・口調 ⑤明確. な発声﹂注三〇を挙げる。筆者は、この主題的特徴による区別を妥当とし、スピーチと説明・報告とを分かちたい。. 高橋俊三も、スピーチは﹁知識も見識も、対人的な態度も、時には生き方さえもが、聞き手の前にさらけ出さ. れる﹂﹁話し手の人間性が強く反映﹂した﹁総合的な音声表現﹂注=二であると述べている。相手に分かり易く情報. を伝達することはすべての﹁話す﹂の土台である。しかし、情報・事実のみを伝達し、聞き手に伝達内容を理解. させるためだけの﹁話す﹂は、伝言・案内・説明・報告と呼ぶべき発話行為である。スピーチには伝達以上の意. 図があると考える。したがって、①公の意識を持った独話形態の﹁話す﹂のうち、②その主題内容が独自のもの、. 個性的なものであり、③聞き手に内容を伝達し理解させることを土台としつつも単なる伝達以上の目的︵意図︶ をもった発話行為を国語教室におけるスピーチとして捉えることとする。. 15.
(21) 話独. 村松賢一. 情報伝達型スピーチ 説得型スピーチ ヒューマンコミュニケーション型スピーチ. 花田修一. 伝達・報告型スピーチ 意見・主張型スピーチ 感想・物語型スピーチ. 2 音声言語教育におけるスピーチ学習の意義. 夜発. 湊吉正. 説 明 報 告 研究発表. 意見発表 経験発表 感想発表. チービス. 筆者︵高田︶. 説明・報告. 意見説得型スピーチ. 感動共感型スピーチ. ここでは、スピーチ学習を行う意義について考察し、音声言語教育における位置を明らかにする。 ︵1︶音声言語教育の導入としてのスピーチ学習. 高橋俊三は、次のような観点からスピーチは話しことば教育の導入に適しているとする。. ①他の話しことばの活動である研究発表、調査報告、話しあい、パネル・ディスカッションなどに比較して、. スピーチが、子どもたちにとって最も身近であり、したがって最も学習の必要性がある話しことばの活動 である。. ②他の活動に比較して、指導のための準備を多くは必要としない。注=三. スピーチは、学習者側から言えば﹁自己紹介﹂﹁私の○○﹂等、外部からの情報収集を必要としない話題設定が. 可能である。指導者側から言えば、ディベート等は展開やルールについての説明が相当程度必要であるが、スピ. ーチでは省くことができる。スピーチは、学習者・指導者双方にとって身近で手軽に取り組みやすい活動である. という点で、音声言語教育の導入としてふさわしいと言えよう。ただし、田中宏幸の指摘するように、手軽さゆ. えに﹁場当たり的な、質の低い指導にとどまってしまう危険性﹂注三三があること庖忘れてはならない。スピーチ. 16.
(22) 学習の意義・目的を指導者はもちろん学習者も十分自覚して学習に臨むことが肝要である。. ︵2︶音声言語教育の基本・基盤となるスピーチ学習 一﹁話すこと・聞くこと﹂の基盤に培う1. 森久保安美はスピーチを重視する理由を﹁話しことば教育の方法として優れている﹂ためと総括し、具体とし. て﹁①話し方の態度・技能の基本的事項が含まれている ②事前指導が十分できるために失敗させることが少な. い ③話し手の個性を見出し伸ばすことができる ④教室の独話活動はコミュニケーションである﹂注三四の四点. を挙げる。スピーチを下表行為だけで捉えることはスピ;チ学習の意義を倭小化することになる。情報を収集・. 選択し、思いを確かめ、聞き手を考えてことばを選び、立呈戸を調整しつつ発話するという︷連の活動を含めて捉. えるべきである。①にあるように、スピーチ学習には、話題の選び方・話材の集め方・話の組立て方・語句の選. び二等、話の内容形成に関わることから話し方の工夫や非言語要素︵声・視線・姿勢等︶の活用に至るまで﹁話. すこと﹂の全要素が備わっている。すなわち、公的場面を想定した﹁話すこと・聞くこと﹂の基本的訓練ができ、. 生涯学習の基盤を培うことができる。更に、②③にあるように、スピーチは話し手・聞き手の役割が固定した活. 動形態であるから、個々人への指導が行き届き易く、学習者個々の言語表現能力の向上を図る上で、効果的な指 導を展開することが可能となる。. また、スピーチで培った﹁話す︵聞く︶力﹂は、問答や討議等における﹁話す︵聞く︶﹂の基盤となると考える。. 倉澤栄吉は﹁話し手を主にして考えると、対話も問答も﹃独話﹄であるしと述べている。. ::会話・討議の場合でも、話しているときにおいては、独話である。つまり場や関係を中心に考えれば、. 対話・会話になるが、話し手本位に考えると相手や事がらとの関係において、独話が、どのような時間的・ 空間的・人間関係的な位置を占めるか三つのちがいができるといえよう。注三五. 更に、倉澤栄吉は、話し手を中心に捉えた﹁話す生活﹂の向上についても次のように捉えている。. ・:・話す生活は︵中略︶一対一、 一対多、一対衆の三つの領域に分けられるが、これらは単に並列的な三分. 17.
(23) 類ではない。話し手を中心に考えると、同心円的構造として、図のように 考えられる。すなわち、円の中心にある﹁独話﹂の能力が、それをとりま く相手や場面によって、練り上げられ、螺旋的に向上して、ついには場面 や相手をも包む主導権を持った司会の能力に高まるのである。注三六. 独話. 会話. 対話. 自力で話の文脈を設計、調節しながら発話する力や発話されたことばを聴解す. 司 会. 状況的文脈や聞き手に依存することなく、不特定多数の聞き手一般に向けて る力は﹁対話﹂を深めていく上で不可欠のものである。. 以上、スピーチ学習は、方法面でも学習効果の面でも音声言語教育に寄与す る面が大きいと考える。. ︵ 3 ︶ 相 互 理解 学 習一学習集団の活性化に培う一 を 促 進 し 、 好 ま し い 人 間 関 係 の 基 盤 を 築 く ス ピ ー チ . の 意 義 を 五 点 挙 げ 、 そ の 田 中 宏 幸 は ス ピ ー チ 学 習 一﹁ に﹃人間的なふれあい﹄を実感できる﹂注三七ことを置く。. スピーチ学習の後には必ず﹁級友に対する理解が深まった﹂﹁意外な一面を知った﹂等の感想が出され、集団と. しての団結力が強まる。これは、彼らが教室内でいかに閉じた人間関係しか持てていないか、日頃の会話がいか. コミュニケ ション. に表層的なところにとどまっているかの証左と言える反面、スピーチが話し手と聞き手の間の﹁通じ合い﹂とし て成立したことの証とも言える。余響裕次は﹁伝え合う学習は、級友と積極的に関わり合いたいと思うような学. 級集団の存在が大前提﹂注三八だと述べているが、逆に﹁話し手の総体が表現﹂されたスピーチを聞き合うことに. よって相互理解を深め、それが共に学ぶ仲間としての集団への帰属意識を高めて学習集団としての絆を深めるこ. とになるのだとも言えよう。相互理解を深めるスピーチは、人間関係を深め学習集団の活性化に培うものである。. 第三節 スピーチ学習の現状と課題. 18.
(24) 本節では、筆者が音声言語教育の基盤となると捉えるスピーチ学習を取り上げ、音声言語教育の目的に照らし. ながら、スピーチ学習の現状︵到達点︶を捉え、高等学校における課題について考察する。. 1 現状と 課 題. スピーチ学習においても音声言語教育の目的に培うべく学習活動が組織されねばならない。そこで、本節では、. 音声言語教育の目的を達成するために実際にどのような手だてが取られているか︵あるいは不十分か︶という観. 点からスピーチに特化した先行実践の検討を行い、高等学校におけるスピーチ学習の現状と課題を明らかにする。. なお、事例の収集にあたっては、﹃月刊国語教育研究﹄︵日本国語教育学音戸︶、﹃国語教育研究﹄︵広島大学教育. 学部光葉会編︶、﹃月刊国語教育﹄︵東京法令出版︶、﹃実践国語研究﹄︵明治図書︶、﹃教育科学国語教育﹄︵明治図書︶. の雑誌・研究誌五種に、管見の音声言語教育関係の文献を加えたもののうち、音声言語重視の方針が打ち出され. た平成元年度版学習指導要領の告示以降に刊行されたものを対象とした。ただし、事例収集が困難であった高等. 学校については若干の例外がある。事例総数99の内訳は、小学校41例・中学校37例・高等学校21例である。スピ ーチの実践事例一覧とその分析表とを巻末に付す︵▼資料2∼4︶。. スピーチの実践報告、とりわけ高等学校におけるそれは多くない。高等学校の音声言語教育の実際について論. じた文献自体が少ないが、スピーチについてのまとまった文献としては梅下敏之著﹃高校言語教育の実際﹄︵一九. 八○年︶と、最近のものとして中村敦雄のものがある程度である。スピーチの事例収集の困難さについては、独. 話を﹁話しことば教育の中でも最も重視すべきジャンル﹂とする森久保安美も次のように指摘している。. ・:・話しことば教育の中で、独話の指導は最も行われているようで、実はそうではない。かつて仲間との共. 同作業で話しことばの本をまとめたとき、最も難航したのが、独話を中心とする単元であった。なかなかこ れぞと思う実践が出てこなかったのである。︵中略︶. ・:・何しろ、作文や聞くことが何十人でも一斉に活動できるのに対し、独話は一人しかできない。単元とし. 19.
(25) てはよほど工夫しないと、すべての子に独話をさせることができない。注三九. スピーチに特化した実践事例収集の困難さからは、音読・朗読と並ぶ音声言語教育の︿古株﹀的存在でありな. がら思いの外なおざりにされている状況、︿古株﹀であるがゆえにかえって﹁活動あって指導なし﹂といった安易 な取り組みや単なる話型指導に終始している状況が推察される。. ︵1︶目的1の観点からの考察 −学習意欲の喚起と自己評価1︵▼資料41①︶. 音声言語主体としての自覚と責任を育てるためには、学習者を音声言語学習に主体的に取り組ませることが肝. 要である。すなわち﹁学習意欲の喚起﹂が不可欠だが、それには﹁学習目的・意義の理解﹂と﹁学習︵表現︶方 法の理解﹂が欠かせまい。. ﹁教科書教材や手引きの活用、教師による口頭説明﹂﹁教師との問答や話し合いによる要件の抽出﹂﹁音声言語. 教材によるモデル視聴﹂等、﹁学習︵表現︶方法の理解﹂による﹁学習意欲の喚起﹂について何らかの手だてが取. られている事例は、小28例︵68%︶・中20例︵54%︶・高15例︵71%︶と比較的配慮されていた。. しかし、﹁学習目的・意義の理解﹂による﹁学習意欲の喚起﹂のために導入時に働きかけがなされているのは、. けに、自己の話しことばに無自覚になりがちである。高校において﹁教師の口頭による説明﹂が7例と最も多い. 自覚しにくい。とりわけ高校生は敬語などの言葉遣いを除いて日常会話レベルでの困難を覚えることが少ないだ. 音声言語能力については、かなりの部分が就学前に既に自然習得されるため、学習の対象とすることの意義を. ろ、音声言語学習の必要性を学習者に切実に理解させるに足る手だてが取られているとは言い難い状況である。. うな、学習者を一方的な受信体に置く指導が﹁学習意欲の喚起﹂に有効に機能したとは考えにくい。結局のとこ. 実を見ても﹁教師作成の手引きや口頭による説明﹂﹁教科書の音声言語単元教材の活用﹂﹁録画資料の視聴﹂のよ. の目的・意義を十分理解させることなしに授業を展開している点は、問題とすべきであろう。更に、手だての内. 小9例︵22%︶・中6例︵18%︶・高8例︵38%︶の全23例︵23%︶であった。大半の事例が学習に先立ってそ. 20.
(26) のはそういった状況の表れとも推察される。ただし、先述したように、口頭で説明しただけで高校生が意義を理. 解し、意欲的に取り組むとは考えにくい。話しことばへの関心を目覚まし、国語教室において﹁話すこと・聞く. こと﹂を学ぶ必要性を、高校生にも切実に実感させるための導入が工夫されるべきであろう。. また、主体としての自覚と責任を育てるためには、話すこと・聞くことに対する自己評価力を高めることも必. 要となろう。話し手としての自己評価活動を設定していた事例は、小18例︵44%︶・中20例︵54%︶・高12例︵57%︶. であった。内容的には、小学校では感想レベルの発表・記入が、中学・高校では評価の観点を設けての評価が多. くなる。発達段階を考慮した評価活動が設定されていると言える。ただし、録音録画の視聴や相互評価を踏まえ た上での自己評価活動が設定されている事例は多くはない︵小3例・中8例・高7例︶。言語主体としての自覚形. 成のためには、自己の﹁話す﹂を客観的に振り返らせる活動を設定したい。学習目標に照らしての評価項目の明. 確化・焦点化や、視聴覚機器や相互評価の活用等によって自己評価の客観性を高める工夫が必要であろう。. ︵2︶目的∬の観点からの考察 一聞き手の育成と交流活動1︵▼資料41②︶. スピーチ学習が人間関係の形成・深化に培うためには、スピーチそのものが聞き手との﹁通じ合い﹂として成. 立しなければならない。現象的には一方向の話す・聞く活動ではあるが、まず受容野・共感的な﹁聞く﹂活動が、. 最終的には創造的な﹁聞く﹂行為が成立することでよりよい人間関係の形成・深化は図られる。その事中におけ. る﹁通じ合い﹂を保障するのが、事前・事後の学習活動における相互交流であると考える。. ①事前の交流活動. 話題選定の段階で交流の場が設定されているのは、総事例数99のうち5例に過ぎない︵小1例・中3例・高1. 例︶。スピーチの質的向上の観点からもこの段階での交流が望まれる。内容形成や構想段階での交流活動がある事. 例は小7例・中6例に対して高1例、互いのスピーチを聞いて助言し合うという交流活動を設定している事例は. 小16例・中13例に対して高1例であった。すなわち、スピーチの形成過程で相互交流を設けているのは、小19例. 21.
(27) ︵46%︶・中20例︵54%︶に対して高3例︵14%︶に過ぎない。このことから、高校では事前の交流活動はほと. んど行われず、もっぱら個人活動︵家庭作業︶によってスピーチ形成のための諸活動が行われており、授業では. スピーチ︵発話︶と評価が行われるだけという状況の多いことが推察できる。事前の交流活動は、話題の妥当性. を吟味し、話の内容を深めていく過程であり、それはまた話し手の中に聞き手意識を育て高めていく過程でもあ. る。相手や目的に応じたスピーチにするために、話を醸成させる事前の交流活動を充実させるべきである。. ②事後の交流 活 動. 事後の交流活動としては、媒体の面からは文字言語によるものと音声言語によるものがあり、活動内容の面か. らは話し方の相互評価をする場合と話された内容に対する質疑応答や感想交流をする場合とに分類される。. 話し方に対する評価活動は、小14例︵34%︶・中25例︵68%︶・高17例︵81%︶と発達段階につれて実施率も. 上がる。しかし、話し手が真に知りたいのは、話し方に対する評価ではなく、話の内容が聞き手にどう受けとめ. られたかであろう。質疑応答や感想発表など﹁内容﹂に対する聞き手としての反応を意識化させ話し手と交流す. る機会を設定しているのは、音声言語によるもの︵口頭発表︶が小24例・中13例・高4例、文字言語によるもの. が話し手指導や、聞き手指導といっても躾的な面に限られがちであったりする状況を改善し、﹁通じ合い﹂を成立. 己評価については先述したが、聞き手としてのそれを実施しているのは小学校の5例のみである。スピーチ学習. スピーチ学習において、話し手としての活動は一回、聞き手としての活動は複数回なされることを考えると、 ﹁聞くこと﹂をいかに仕組んでいくか、聞き手として育てるかという視点を持つべきである。話し手としての自. 化して交流する活動は欠けがちであることが指摘できよう。. め、どういう変容作用が生じたかといった、聞き手としての反応を意識化させる活動やそれを言語︵音声・文字︶. 高校において極端に少なくなる。このことから、高校においては、学習者が聞き手として他者の話をどう受け止. ︵コメント記入︶が小8例・中12例・高2例、合わせて小25例︵61%︶・中22例︵59%︶・高5例︵24%︶と、. 22.
(28) させる手だてとして、﹁聞き手を育てる﹂という視点に立って事後の交流活動や評価活動を位置づけるべきである。. ︵3︶目的皿の観点からの考察 −話題選択と内容形成i. 独話活動においては、話し手が目的や相手に応じて独力で話脈を構成することが求められる。話題を決定し、. 三富を整え、話を組み立てる等、話の内容を形成していく過程は、話題とした対象を深く捉えていく過程であり、. 自分の思いを構築していく過程でもある。野地潤家は次のように述べている。. 在来、話すことの教育においては、どのように話すかよりも、なにを話すかについて、学習者︵児童・生 徒︶に準備させることだといわれてきた。︵中略︶なにを話すかということもまた、広い意味では学習者の. 思考を開発して、話題を中心に、話すべきことをまとめさせたり、発見させたりすることにほかならない。 思考作用の開発ないし媒介をぬきにして、話すことの内容はとらえようがない。. なにを、どのように、なんのためにという、話す内容と話す方法︵技能︶と話す目的によって、話すこと. の各形態の機能・活動は整えられる。目的に応じ、内容を選、、 え、かつそれにふさわしい方皐︵技能︶. を採り用いていくようにさせるところに、話すこと︵聞くこと︶の教育の核心がある。その核心にあるもの. は、話す内容を選、・え、 切な方法︵技能︶にのせていくという、思考作用にほかならない。注四〇. 野地の言にあるように、話題を選び、話の内容を形成していく過程を、そのまま思考・認識の過程と捉えて、 指導の充実を図るべきである。. ①話題の設定・選択︵▼資料31①②③︶. 先行事例から、発達段階ごとにスピーチの種類や話題の傾向を捉える。なお、スピーチの種類を分類するにあ たり、感動共感型スピーチをA型、意見説得型スピーチをB型、話者によってA・Bが混在しているもの︵混在 自由型スピーチ︶をC型と定めた。. 小学校では大半が感動共感型︵A型︶である︵A型33例・B型2例・C型6例︶。話題も大きな枠組みだが、概. 23.
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