これからの特別支援教育における
ろう学校の
専門性
広島ろう学校授業改善
オーダーメイド・プロジェクト事業
日本の聴覚障害児教育制度の変遷
明治11年(1878)古河太四郎 京都盲唖院設立 明治36年(1903)盲・聾学校教員養成開始(教員練習科) 明治41年(1908)東京高師附属小に補助学級設置 明治43年(1910)盲・聾分離(東京盲学校、東京聾唖学校) 大正12年(1923)盲学校及び聾唖学校令 昭和23~31年(1948~56) 盲学校、聾学校教育の義務化 昭和40年代~ 小・中学校の難聴学級増加 平成5年(1993)小・中学校における通級による指導の開始 昭和62年 筑波技術短期大学創設、平成17年 筑波技術大学(4年制) 平成15年(2003)3月「今後の特別支援教育の在り方について」 平成17年(2005)12月 中央教育審議会答申 「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」「特別支援学校(仮称)」の制度とは
障害種にとらわれない学校設置を制度上可能 にする。 特別支援学校(仮称)の制度は各都道府県において、複数 の障害に対応した教育を行う学校の設置を可能とするもの であるが、これまでのように特定の障害に対応した学校を 設けることも可能である。具体的にいかなる障害に対応した 教育を行う学校とするかについては、地域における教育の ニーズ等に応じて弾力的に判断されることとなる。 「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(答申)盲・聾・養護学校制度の見直しに関わる議論
「特別支援学校(仮称)」の多様な在り方
・総合性を重視する視点
・地域性を重視する視点
vs
・集団確保の必要性を重視する視点
・専門性を重視する視点
地域の特別支援教育の
センター的役割を有する学校
盲・聾・養護学校は、在籍する児童生徒等の指 導やその保護者からの相談に加えて、これまで 蓄積した教育上の経験やノウハウを活かして地 域の小・中学校等に在籍する児童生徒等に対す る教育上の支援(教員、保護者に対する相談支 援など)を積極的に行うことで、地域の特別支援 教育のセンターとしての役割を果たすことが重 要である。センター的機能:聾学校の実績と
課題
乳幼児教育の充実 *相談支援システムの整備、医療機関等との連携の形成 *乳幼児教育としての充実 *両親支援の在り方についての経験の蓄積 通級による指導の展開 *多様な試み実践中:通級、巡回指導、サテライト方式など 就労支援、卒後支援 小・中・高等学校支援(聴覚障害児を中心にことば・コミュニケー ションの困難をもつ子どもたちを対象に) 特殊学校間の連携(聴覚障害を併せもつ重複児への支援) 高等教育機関支援、生涯学習支援など聴覚障害教育の内容と方法の変遷
明治期~大正期 文字による日本語学習、基本的な学習、職業教育 手話と筆談 大正末期~昭和30年代 話し言葉と文字による日本語学習、中等教育、職業教育 口話法(読話・発語)の普及、 「教授型」の言語指導 昭和40年代~ 早期発見と聴覚活用に基づく早期教育(3歳~、現在は0歳~)、 難聴教育、高等教育開始、「対応の教育」の実現 聴覚活用の定着、視覚的コミュニケーション手段の併用、 手話の社会的認知の進展、教育の場での手話使用の増加、 「対話型」の言語指導法最初の基礎語彙集
継承すべき聴覚障害教育の専門性
聴覚障害の特性の理解 聴覚機能と障害、活動の制限、参加の制約の各レベルで 個に即して、年齢・発達段階に即して 聴覚障害に対する教育的対応-指導法の専門性- 聴覚活用に関わる専門性(聴覚活用の手段と意義の拡大) コミュニケーション・ことばを育てる専門性 障害を認識したくましく生きる力を育てる専門性 教科指導の専門性 -教材選択・精選、指導形態、視覚的教材・教具、コミュニケーション、 授業展開、板書の工夫等-言語力(日本語力)の獲得の段階
Ⅰ.様々な手段によるコミュニケーション関係の確立 Ⅱ.生活言語としての言語力の獲得 特徴:親しい人との対話によって展開、子ども自身の活動や経験を題材 として、 ことば+状況文脈の助けを借りて理解、 Ⅲ.生活言語のレベルアップ 特徴:自分の経験+間接経験、ことば+状況文脈→ことばの文脈で理解 Ⅳ.「読む力」「書く力」(リテラシー)の獲得 Ⅴ.学習言語としての言語力の獲得 特徴:相手を限らず、経験事項+非経験事項、ことばの文脈によって理解、 対話活動+「読む・書く」活動を通して展開対話を通しての言語指導
ナチュラル・アプローチから40年:私たちの財産1.ことばに先立つ前言語コミュニケーションに
ついて豊富な経験をもっている。
2.ことばと心の関係を見る眼をもっている。
3.ことばの習得を段階的にとらえる視点をもっ
ている。
4.コミュニケーションを引き出し、ことばを使う
必要を生み出す様々な活動を用意できる。
5.対話の場において、コミュニケーションを拡
げ、ことばを育てる方法をもっている。
ことばと心の関係を見る眼
• 「子どもの表出・表現手段」と「子どもがそこに
込めた意味」を分離してとらえることができる。
ミクロの眼
:その場で、個に即して
子どもの表出・表現の意味を子どもの状態について の観察力、情報収集力、洞察力で補って理解する。 さらに探索力(質問などで探る)を発揮して理解する。マクロの眼
:認知と言語の発達的関係の理解から
生活言語から学習言語へ
-言語によって伝えられる意味の世界の拡大- 自分の経験のイメージ 目の前で展開される事柄 (行動・事物・様子・場面・絵など) そこで起こる感覚・情動 毎日繰り返されること・習慣になっていること 近似的経験・擬似的経験 非経験的事項 *生活的知識・情報(雑学) *創造的内容(物語) *知識・情報(学習事項) *意見・感想・論述など 補助手段の 利用 イメ ー ジ 化 ・理 解 を 助 け る 書い た も の ( 絵 日 記 な ど ) の 利 用 日本語 (表現) (意味)対話の中でことばを育てる方法 2
自然法の実践が求めてきたこと
・確実なコミュニケーションを積み重ねる。 子どもの表出を確実に受け止めて、表出を誘う。教師の ことばを伝え、理解を確かめる。子どもの伝え合いを助ける。 ・日本語表現を子どものものにしていく。 子どもの表出・表現を補完する、拡充する、整理する。 適宜口声模倣を誘う。 ・子どもの心の世界を拡げる、筋道やまとまりをつける。 話題を共有するための工夫、質問の工夫、 表現を整える工夫(一緒に文を作る、一緒に話を作る)小学部における自立活動(言語)の指導 Ⅰ
・ 生活言語の習得を助ける指導: (個別、小グループ指導/国語科指導に先行・平行して) (主として「聞く(見る)・話す」活動を通して) 1.共に活動する中で、やりとりができる関係を築く。 2.場面の中で同じことをしながら・見ながらことばでの やりとりができるようにする。 3.生活経験について話したり、尋ねられたことに答えた りできるようにする。 4.絵や絵本などを見ながら、内容についてことばで やりとりができるようにする。 5.話を聞く態度を育てる。小学部における自立活動(言語)の指導 Ⅱ
・生活言語の拡充を助ける指導(話し合い活動を通して 読み書き活動も含めて/国語科の学習と平行して) 1.お互いの経験についての話し合い 2.生活的な知識や情報についての話し合い (自由に、テーマを決めて、書いてまとめるなど) 3.「ことば」についての言語活動 (音節、語、文レベル、様々なタイプのことば遊び) 4.読みの教材についての話し合い これらの活動は内容のレベルを変えれば高等部段階まで 可能であり、教科学習の中でも応用できるものである。読み書き能力形成のための発達的要件
(1)字形の識別力 (2)音韻意識の発達(日本語音節への気づき) *単語の音節分解・認知能力 *単語の音系列の保持・記銘力 (3)言語概念の芽生え(ことばの意味への気づき) *ことばの文脈による理解・表現・伝達 *言葉の意味についての質問・説明の開始音韻意識、言語概念の形成を助けるために
視覚的サインの活用 音韻サイン、キュードスピーチ 指文字、空書、文字 単語の構成音の分解、 合成、抽出、認知 聴覚活用、口声模倣、 音読の役割の再確認 話すことと書くことの相互 作用 豊かな文字環境、文字 教材の用意 子どもの手持ちのことば への言い換え 知ってることばを利用した 説明 用例による説明 使ってみせる、子どもの経験に 例を取る 定義的説明 VS 実物を示す、動作化する、 描いて示す、絵や写真な どで示す読書力に関わる問題
平均読書学年:3~4年 レベルで伸びが鈍化 読字力:標準成績と同等 かそれ以上 読解・鑑賞力:量的な 遅れ 語彙力:量的質的問題 文法力:量的質的問題 個人差の大きさ語い力における健聴児の正答率との関連性 0 20 40 60 80 100 15 8 3 7 2 17 12 11 23 5 22 13 20 24 9 16 4 19 28 10 21 1 25 18 26 29 14 6 27 健聴児の正答率順設問番号 正 答 率 ( % ) 健聴児 聴覚障害児 文法力における健聴児の正答率との関連性 0 20 40 60 80 100 5 4 7 11 3 8 2 1 9 6 14 10 13 15 16 12 健聴児の正答率順設問番号 正 答 率 ( % ) 健聴児 聴覚障害児