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子 夫 郁 哲 重 藤 伊 藤 伊 義 昨副主津 秀

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(1)

│ 論 文 │

X 線の小核誘起作用に対するタマネギ発芽種子 根端分裂組織の高感度反応

子 夫 郁 哲 重 藤 伊 藤 伊 義 昨副主津 秀

研 米 本 日 野 半 谷 和 佳 宏 川 孝 寿 藤

堀 井

Hypersensitivity o f   Allium c e p αseedling r o o t s  t o  X‑rays  for production o f  micronuclei 

Takayoshi HORI

l), 

Hidehiro HANMOT0

2), 

Ikuko F U J I S H I G E

3), 

Toshihiro INOUE

4), 

K e n j i  T  ANIGUCHI

3), 

Tetsuo ITOH

4), 

Kazuo FUJIKAWA

4

and Yoshihiko YONEZAWA

5

(Received: 30 November, 1995) 

ABSTRACT 

Seed1ing roots  of  onion (Allium  cepa)  were  irradiated  with  various  doses  of  X‑rays.  Following irradiation, the roots were incubated at 23‑250C for 24 hr, i. e., approximate time for  one mitotic  cyc1e, and then  fixed, stained  and macerated in  a 7: 3 mixture of  aceticdah1ia  (prepared by dissolving a 0.5 g sample of dahlia violet into 100 ml of 30% acetate)  and 1 N  HCI for 10‑‑15 min.  Termial 1‑‑2 m m  of the root tips were squashed on slides, one root each,  and microscopically  inspected for  the  presence of  more than one nuc1eus in  the cells.  The  additional  nuc1ei, which  were smaller  than  the  normal, were scored  as  micronuc1ei.  The  frequency of  micronuc1ei  increased with dose over the  control level (...0.2 10‑3) to  a high  level  of 140 

10‑3 at 1 Gy.  The frequency recorded  at 1 Gy was about two fold higher as  compared with the frequency reported by Evans et a  (1.1959) for micronuclei induced by 

r ‑

rays  at a comparable dose in the roottip cells of  Vica faba seedlings, probably reflecting relatively  higher DNA content per cell  in Allium somatic cells.  We thus may conc1ude that  root‑tip  meristematic cells  of Allium seedlings  are  hypersensitive to  the induction of  micronuc1ei  by  X‑rays.  The Allium micronuc1eus assay may be useful as a system not only for quantitating  chromosome damage by low‑level radiation but also for detecting environmental. mutagens. 

1)干101 東京都千代田区一ツ橋2‑6‑1,共立女子中学校

2)干331 大富市三橋4丁目96,大宮西高校

3)干739東広島市鏡山1‑3‑1,広島大学理学部付属植物遺伝子保管実験施設

4)干577 東大阪市小若江3‑4‑1,近畿大学原子力研究所

5)干772 鳴門市鳴門町高島,鳴門教育大学生物学教室

1)Kyoritsu Junior High School, Hitotsubashi 2‑6‑1, Chiyoda‑ku, Tokyo 101  2)Ohmiya‑nishi High School, Mihashi 4‑96, Ohmiya, Saitama 331 

3)Laboratory  of  Plant  Chromosome & Gene Stock, Faculty  of  Science, Hiroshima Univ., Kagami‑

yama 1‑3‑1, Higashi‑Hiroshima, Hiroshima 739 

4) Atomic Energy Research Institute, Kinki Univ., Kowakae 3‑4‑1, Higashiosaka, Osaka 577  5)Dept. of Biology, Naruto Univ. of  Education, Takashima, Naruto, Tokushima 772 

13 ‑

(2)

堀他

:X

線の小核誘起作用に対するタマネギ発芽種子根端分裂組織の高感度反応

は じ め に

生体内分裂組織の細胞で自然あるいは外因で生じた 染色体や染色分体の断片はその細胞の分裂終期に娘核 に取り込まれないと,子孫細胞の細胞質中に正常核よ りも小さな核(小核)として取り残される。 Evanset  al. (1959)は,この現象を利用して,ソラマメ発芽種 子の根端分裂組織の細胞における,速中性子とγ線の 染色体損傷効果を調べて,被曝細胞で生じた染色体や 染色分体の断片の約60%が小核として出現することを 示し,小核頻度が染色体損傷量の尺度として有用であ ると指摘した。その後, Bol1er and Schmid (1970)  は,化学変異原を投与したチャイニーズ、ハムスターの 血液細胞で小核が自然発生頻度よりも著しく高い頻度 で出現することを確かめ,化学物質の動物体内細胞に おける染色体損傷効果を小核形成を指標として調べる 試験(小核試験)を提唱した。 この試験は, 現在,

使用動物種をマウスに換えて,環境化学物質や新規 化学物質の動物生体内細胞における変異原性効果を 評価する試験として国の内外で広く実施されている CHeddle et al., 1983;林, 1991)。このように, Evans  et al. (1959)の先駆的研究以来,動物細胞を対象とす

る小核研究はいち早く応用段階に達したが,植物細胞 による小核試験の開発研究はムラサキツユクサの花粉 母細胞を対象に試みられた CMa1979)以外,ほとん

ど進んでいない。

私達は,環境中の微量放射線や化学変異原の人体影 響が問題になっている現在,これら環境因子のモニ タ一系として,植物材料による高感度で簡便な小核試 験系の開発は有意義であると考え,タマネギを用いる 一連の研究を企画したo タマネギを選んだのは次の理 由による。①タマネギは,ソラマメやムラサキツユク サと同様に,染色体観察が容易で高い放射線感受性を 有するため,放射線の染色体異常誘発作用を解析する 研究材料として古くから用いられてきた CEvans1962参照)。②ムラサキツユクサでは困難であるが,タ マネギでは,ソラマメと同様に,発芽種子が利用でき る。種子は乾燥状態で長期保存でき,必要な時に簡単 な処理を行うだけで発芽させることができる。発芽種 子の根端部には盛んに分裂増殖を行っている組織が存 在する。③タマネギ種子はソラマメ種子と比べて小型 で,発芽種子の根は比較的柔らかい。そのため,半本 (1988)の酢酸ダリア・塩酸法を用いれば,押しつぶし 法による根端分裂組織の標本が,比較的短時間内に,

しかも容易に作成できる。④わが国においては, タマ ネギは最もポピュラーな野菜の一つで,高品質の乾燥 種子が信頼できる種苗業者より毎年大量に入手でき

る。

本研究は,タマネギ発芽種子を用いる小核試験系の 開発研究の第一段階として,

X

線照射を受けた発芽種 子の根端分裂組織における小核の出現頻度を,異なる 栽培品種を用いて 2回の独立した実験で調べたもので ある。以下,いずれの実験でも,小核が lGy以下の 線量域で明瞭な線量依存性を示して高頻度で誘発され たことを報告する。

材料と方法

(1 ) 植物材料

実験には,タマネギ AlliumcepαL.の栽培品種,

泉州黄(トキタ種苗,大宮市〉あるいは0 ・K黄(タ キイ種苗,京都市)を用いた。いずれの種子も1994年 に採取され,周年に乾燥種子として購入した。購入し た種子は乾燥剤を入れた容器に密封して40Cの冷蔵庫 で保存し, 1995年に使用した。以後,使用した2品種 をそれぞれ[泉州], [OK] と略記し,前者を用いた実 験は[泉州]実験,後者を用いた実験は [OK]実験と 称する。

(2)  X線照射

[泉州]実験では,蒸留水を含ませた漉紙を敷いた直 径5cmのプラスチック製ペトリ皿に乾燥種子を播種

230Cの恒温器内で発芽させた。播種後72時間目に 匹軸が約 5mmの発芽種子を選んで,吸水滴紙を敷 いた新しいペトリ皿に写し,蓋をして,ペトリ皿ごと 種子にX線を照射した。

[OK]実験でも蒸留水を含ませた櫨紙上で発芽させ た。ただし,恒温器の温度は250Cに設定し,播種後48 時間目に,種子の選抜も新しいペトリ皿への移し換え

も行わずに,蓋をしたペトリ皿ごと種子にX線を照射 した。 250Cの恒温条件下におくと, [OK] 種子は播種 後48時間目に座軸の長さが 3........6mmになる。

[泉列、口実験でも [OK] 実験でも,

x

線照射は,日 立メディコ社製のX線発生装置 MBR‑1505R140 kV, 4mAで作動させ, l.Omm Alの外部フィル

ターをかけて, 線量率 0.2........0.5Gy /minで行った。

線量率はピクトリン線量計 CModel570,米国ピクト リン社製)で測定した。

(3)

(3)  標本作成と小核の観察

X線照射後, ペトリ皿に入れた種子を恒温器([泉 州]実験では230C[OK]実験では250C)に戻し, 24  時間目に,その根端分裂組織のプレパラートを作成し た。照射から標本作成までの時間はタマネギの 1細胞 周 期 の 所 要 時 間 が20‑23時 間 (Nuti Ronchi  and  Arcara, 1967:  Arcara and Nuti  Ronchi, 1967;  Matagne, 1968)であることを考慮して決めた

標本作成は半本(1968)に従った。すなわち,①発 芽種子の根を0.5%酢 酸 ダ ー リ ア 溶 液 (7容)と lN HCL (3容)の混合液に10‑15分間漬けて,固定,解 離,染色を同時に行った後, ②1‑‑2分間水洗し,③ 根をそれぞれ l枚のスライドガラス上に移し,そこで 有柄針を用いて端部を 1‑‑2mm切り取った。 ④切り 取った根端の周りから余分な染色液を漉紙で除いた ⑤50%グリセリン液を滴下し,⑥カバーガラスを かけて,押しつぶし法によって根端細胞を一層に広げ 。⑦カバーガラスの周縁をパラフィンで封じて,半 永久標本とした。なお,酢酸ダーリア溶液は,ダーリ

アバイオレッ卜(和光純薬,大阪)0.5g30%酢酸 100mlに溶かして作成した。

プレパラートを作成後2日以内にX400で検鏡し,

間期細胞の細胞質内で濃染された小さな球体を小核と して検出した。 (Fig1)

各照射区で5枚以上のプレパラートを観察した。観 察したプレパラートの数は観察した根の数に相当す る。プレパラートごとに約1,000個の間期細胞を観察 し,観察した間期細胞の数と小核の出現数を記録し [泉州]実験では分裂期細胞の数も記録に残した。

小核の出現頻度Fはプレパラー卜ごとに次式に従っ て求めた (Evanset al., 1959)。式中のmは検出され た小核の数, Nは観察した間期細胞数。

F=m/N  (1) 

' ‑

Fig. 1.  lnterphase cells in  the root‑tip meristem  of Allium cepa seedling irradiated with 1  Gy of  X‑rays.  Arrows indicate  micro‑ nuclei.  Bar shows 10μm. 

Table 1しているように, [泉州] 種 子で観察 した根端組織の分裂指数は,

x

線の照射区で12.5‑‑ 13.8%を示した。これらの指数は,非照射対照区で記 録された分裂指数13.0%と有意に違わない(t検定,

p >0 .05)。これは用いた線量の範囲内 (‑‑IGy)X 線照射はタマネギ発芽種子根端組織の細胞分裂動態に ほとんど影響しなかったことを示す。

[泉州]実験の非照射対照区においては総数6,190個 の細胞を観察して,小核は1つも検出できなかった。

[OK]実験では総数10,820個の細胞を観察して2個の 分裂指数Mはプレパラートごとに次式に従って求 自然発生小核を検出した (Table1)。この頻度(0.2X め,細胞100個あたりの分裂期細胞数で表した。式中の 10‑3)Evanset al. (1959)がソラマメ発芽種子の Dは分裂期の細胞数。 放射線照射実験の非照射対照区において得た頻度(1

M(%) = {D/(N + D)} X 100  (2) 

結果 と考察

10‑3‑‑5 10‑3)より l桁低い値である。

Table  1の小核データを基に Fig. 2の線量効果 関係を得た。図示した線量効果関係から明らかなよう [泉州]実験でも [OK]実験でも,小核頻度は,

線量に依存して,対照頻度(‑‑0.2 10‑3)以上に著増 [泉州]実験で総数28,200個, [OK]実験 で 総 数 lGy140X 10‑3の頻度に達した。この増加は直 32697個の根端細胞を観察して, Table 1の結果を得 線性から上向きにずれているしかし, 2つの実験の た。 0.5Gy照射区の頻度が約2倍異なることと lGy

‑15 ‑

(4)

堀他

:X

線の小核誘起作用に対するタマネギ発芽種子根端分裂組織の高感度反応 Table 1.  Frequencies of micronuclei in  the root tip  cells  of 

Allium cepa seedlings irradiated with X‑rays 

Cultivar  Dose  No. of roots  Frequency of mironuclei  Mitotic  (Gy)  used  per 10cells  index  (%)  Sensh u Yellow 

5 (6190)a) 

13.0:t2.7b) 

0.25  5 (6558)  22 5b) 13.82.7 0.5  5 (8614)  66:tl0  12.5土1.3 5 (6838)  137:t80  12.6:t3.7  O.K Yellow 

10 (10820)  0.2:t0.4  一一c)

0.5  9(11335)  37:t12  1  9 (10542)  14243 a, Total number of interphase cells observed 

b, Mean:tstandard deviation  c, N ot determined 

{

200 

ω

︑ 岡 ︑ 岡

ω

2150 

、、、

o o  

n v R M  

岡 崎 ︑ 同

ω

O

ω

回 同 h O L F

G Z

回︒ 同出 凪

DOSE (Gy) 

射区における実験誤差が大きいことを考慮すると,正 確な線量効果関係の形は現データからは推察できな い。ちなみに Evanset al. (1959)のソラマメ発芽種 子の照射実験における小核頻度は, 1.88Gy以下のγ 線の線量域でほぼ直線的に増加した。

Table 2に示しているように, lGy照射区の小核 頻度は, Evans et al. (1959)が,ほぼ同じ線量のγ線 (107rad)をソラマメ発芽種子に照射して得た小核頻 度 80x10‑3の約2倍であるo タマネギの体細胞はソ ラマメの約2倍量の DNAを有するので,この約2 倍の見かけ上の頻度差は,実験誤差の範囲内で,植物 細胞の放射線感受性は細胞1個あたりの DNA含量

に依存するという経験則 (Sparrow and Miksche,  1961)と一致する。

以上の結果より,タマネギ発芽種子を用いる小核検 出系は放射線の染色体損傷作用に鋭敏に反応し,ソラ マメ発芽種子の系と同等かそれ以上の放射線感受性を 有すると結論する。放射線に敏感な染色体損傷検出系 は,各種化学変異原にも高感受性であることが経験的 に知られている。タマネギの系は,低線量放射線のみ ならず環境中に微量存在する各種変異原性物質の染色 体毒性を高感度に検出する系として期待できる。

(謝 辞) Fig. 2.  Dose vs. frequency of micronuclei in the 

root‑tip  cells  of Allium  cepa seedlings  本研究は,近畿大学原子炉等利用共同研究「生物の irradiated  with X‑rays.  Symbol 

and  放射線影響に関する研究」の一部として行われたもの

ムrepresent,respectively, data obtained  である。共同研究班の代表者の任にあられる京都大学 with cultivar  Senshu Yellow and those 

with cultivar OK Yellow.  Vertical lines  の武部啓博士からはいろいろと便宜をはかつていただ represent standard deviations.  いた。実験にあたっては,近畿大学原子力研究所の近

‑ 16

(5)

Table 2.  Comparative sensitivities of Allium cepαand Vicia faba to X‑

or 

r ‑

rays for producing micronuc1ei  in  the seedling roots 

Plants 

DNA content  per diploide cell 

(10‑12 g) 

Freq uency per 10cells  of micronuc1ei  induced by  X‑or γ‑rays at  1 Gy  Allium cep ,q(2n=16) 

Vicia faba  (2n = 12)  a, Singh (1993) 

b, Rees and Jones (1972)  c, Data from Table 1 

54.0a

23.9"""'28.7b

d,γ'‑Ray data reported by Evans et α1.  (1959) 

藤宗平博士から激励と助言を得た。記して深謝する。

文 献

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n .  

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140C) 

80d) 

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Table 2 .   Comparative s e n s i t i v i t i e s  o f  A l l i u m  c e p αand  V i c i a  f a b a  t o  X‑ o r  r ‑ r a y s  f o r  p r o d u c i n g  micronu c 1 e i   i n   t h e  s e e d l i n g  r o o t s  P l a n t s  DNA c o n t e n t per diploide

参照

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