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川津哲郎 中野サダ

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(1)

学校保健事業と学徒の生体反応

其の四 進学準備生活と生徒の生体反応 第2報 高校生の進学準備と生体反応

川津哲郎 中野サダ

第一部 Flicker‑test による実験

(第5回日本学校保健学会報告;昭33年)

目的生徒の進学準備や補習教育が話題になっている折から,彼等の生活機能がどのような 順応をしているか知る為に此の研究を行なったものであり,中学生対象は既報(1)してあるの で盛には高校生対象のものを報告するo

測定条件対象'・進学組を持つ某市立高校。人数:進学組20名(内1名女子) ,対蘭として 就職組22名の男子。期間:昭和32年9月〜33年2月(6ケ月間) 。測定回数は4期で9, ll,

1, 2月とする。 1期日数1週間(6日)で月の中旬に定める。 1日の測定回数2回(始業と 終業時)なるも補習授業ある時はその終了時も加えて3回とす。測定項目はFlicker‑testと身 体計測である。身体計測日は測定期中に1回実測。他の条件は第1報と同じ。

第1部進学準備生活とFlicker‑test

測定成績9月の測定朋は予定期より遅れたが進学組では中旬に測定しているので,これと 比べてFlicker値(以後F.F.)に差違がない為, 9月の第2回測定期から第1期とする。最 初の測定用は予備期として第1及び2表に示す。第1報で述べたように入試近接月ではF.F.

は低下すると思われるので月の変動から観察して見よう。

月変動進学組について, 4期の平均F.F.は朝値では夫々33.0(9月), 32.4(11月) ;30.9 (1月), 30.4c!S(2月)で前の2期(9, 11月)と後の2期(1, 2月)との間には劃然と F.F.に違いが見られる。帰り値でも夫々31.0, 31.6(9, 11月);30.1, 30.Oc/s(l, 2月) と11月迄と1月以後のF.F.は差がある。これに対し就職組は,朝値では9, ll, 1月の3期 夫々33.5, 33.4, 33.1c!S;帰り値では夫々32.4, 32.9, 32.4c!Sで各月間に劃燃とした差違

がない。従って進学組は1月から明らかに機能低下が現われていると見てよい。

週変動学習日に於ける週間の動きを見ても学習週も負姐の有無は伺われるものである。従 って月の検討と同時に曜日の検討をしたものが第1表及び第2表である。

*長崎大学学芸学部保健教室

**長崎市立第一商業高等学校

(2)

第1表 組・曜日・月別始業前のF.R(単位c/s〉

月  火  水  木  金  土

収(予)

】Xl

M2

1415

平均 備考

 双1就灯2

職、15 組平均

備考

一     一    52.9    52.6    52.1

51.2 55.7  55。4 52.6 52.5

55.5    52.5    55.0    52.1    51.1

51.4 5L6響50.6*51.0 50.6

51.0   51.1   50.5   29.9   29.4

50.9 50.6 50.5 50.5

51.77  52。22  51。87  51.40  50.85  50.53

1平均

(52.12)

55.Oo 52.44 50.95 50.40 51.48 曜差(+)(α=0.05)1月差(+)(α=0。Ol)

55.4 54.5 54.1 54.0 55.8

55.6   55.4   55.4   55.6   55.2

55.2 55.3 52.9* ろ5.9 55.0

52.2 52.6 55.4。 55.73 55.47 55.8, 55.53 52.4Q

55.47 55.44 55.15 55.42 曜差(+)(α一〇・05);月差(一)(α=0・05)

第2表 組・曜日・月別終業時のF.F.(単位c/s)

双(予)

収l

M2

π415

平均 備考 lX1

虹215

平均 備考

月  火  水  木  金  土

一      一    52.2    51.1    50.4

50.6 51.9 51.1 52.5 50.1

52.7   51.1   51.8   52.0   50.2 50.5    50.1   50.4*   50.5   29.9 51.1   50.4   29.4   29.0     一

29.6 29.8 29.7 29.9 51.22 5088 ろ0.67 50.95 50.07 29.8。

1平均

(50。82)

51.Oo 51.56 50.15 29.96 50.63 曜差(一)(α=0.05);月差(+)(α=0.Ol)

55.1    52.0    52.6    55.0    5工.6 52.9    52.0    55.1    55.6    52.5 52.2   52.5   52.6*  52.6   52.2

52.4 52.6 52.73 52.17 52.77 55.07 52.03 52.5・

52.45 52.78 52.45 52.55 曜差(+)(α=0.01);月差(一)(α=0.Ol)

(毬学組〕朝値の場合,月曜日から順次に31,8(月),32.2(火),31.9(水),31.4(木),30.8

(金),30。5c/s(土)とRF・は月曜日を除いて以後は曜日の進むにつれて低下して行き,而も週 変動が見られる。即ち曜日差が認められる。帰り値の場合は各曜日夫々31.2,30.9,30.7,

30.9,30.1,29.8c/sと曜進下降をこれもし,曜変動もあると見てよい。但し朝値程強い変動 ではなく,危険率6%位を認めた場合のことである。

(就職組〕朝櫨は各雇日夫々33。4,33.7,33。5,33。8,33.3,32.4c/s;帰り値は夫々32.7,32.2 32.8,33.1,32.0,32.5c/sで朝値は週中央を高くした経過で有意な変動をなし,帰り値は経

(3)

過は不定なるも変動は明瞭である(α一〇.Ol)。

 従って平均値では,進学組は朝値と帰り値は可なり平行した週変動を示しているが,就職組 では平行していない。此の違いが何によって生ずるかは各月の週間経過と目変動にっいて言及 する必要がある。

 F.F.週間型 身体的調子の基準的判断を学習前の機能に焦点を置けば,前日の機能の低下が あったとしても,次の朝迄に回復していれば前日の機能低下は問題にする程のものでないので,

朝値の週間経過を主体として観察する(第1図参照)。

〔朝値の週間型〕 進学組について,9月の週間型は山形をなすが月曜日の値が真に低く土曜日 の値に近くなっている点前週土曜日の運動行事による影響が存続しているものと見てよい(前 週土曜日にマラソソ行事をしている。)。従って完全な山形経過を示したものとも思われな

34  A朝  値

33

32

塵学象且

く}内は休日明け の為朋値は丁 降す6匹

33

32

/ 組

B帰り傾

29 ←・→2月

     第1図・進学準備とF.F。の週経過

い。曜進下降型かも知れない。

火曜日からの値が高いので9月 の機能は好調と見てよかろう。

11月のF・F・経過も曜進下降形 であって変動巾も大きいことは 略々9月と同一である。週変動 の大きいことは刺戟に対する生 体の反応も大きいことで,機能 的余猶が充分あるものと思う。

所が1月以降はF.F.の絶対値は 非常に低下し,週始と難も週末 と余り変りがないので週中の生活に余猶のない機能状態ではないかと思推する。1月は略々曜 進下降型であるが週変動には乏しい。この期の水曜日は休日であったので翌日の木曜日の値を 代用したので正常値ではなく値も低くなっている(木濯から次週の木曜目迄の測定)。2月は 鍋底型の経過で,前報(1)の中学進学に於ても現われた最も負担の多い機能低下の強い生活状態 と見るものである。進学組の土曜日のF.F.は,朝値も帰り値も各月略々一定の値を示している が他の曜日では月によって非常な違いを見る。即ち9,11月は高い機能状態を示し,1,2月は その余猶がない。特に2月に於ては週後半は此の土曜日の基準以下になることに注目せねばな るまい・此の2月の週型は中学生の最悪期(1)と全く同じ型である。就職組の場合は11月を除け ば変動巾は少ないが山型経過と見てよい。11月は週の変動なく水平型を示す。共に負担のある 経過とは思われない。全期を通じて好調。

〔帰り値の週型〕帰り値を比判する場合は目変動を参照しないと充分な解釈は出来ないが,進 学組では土曜日の値が各月共略一致しているのでこれに基準を取って観察すれば,9,11月は 週変動巾は大きく且つ値も高く此の点は朝値に類似するが,経過は異形山型で異った週型を示

(4)

す。1月は週変動なく略々水平型で朝値の経過に可なり類似する。2月は朝値と全く同じ鍋底 型経過を示す。従って1,2月では朝値と略々平行していることになるので日変動も曜日差が 少ないものであろう。日変動の巾が一定化して来ることは,一つの殻に閉じ籠った行動と云う

ものも考えさせるが,叉生体反応の或る恕限を示す余猶のない機能状態とも解される。就職組 では9,11月は全く同形の山形経過をなすも,その朝値の経過とは全く異ったもので反応に変 化性がある。1月は進学組同様水平型の経過だが進学組の様に週末に向って磐下りではない。

然し週間変動に乏しいことは進学組と同じで,秋の変動の激しいのと比べて学内生活の刺戟が 一定化されて来ていることを、思、わせる。朝値も考慮すれば余猶が逆にある経過と思う。

 日変動 日変動を測定期別に平均すれば,変動巾は入試時期に近づくにつれて進学組では狭 くなる(第3表)。即ち9月1.33/s,11・1月o・8c/s,2月o・6c/sで2月は有意の変動値そ

第3表 組別・月別・曜日別日変動値(単位cyc/sec)

R l 虹2

15

∬4 平均 備考 D【1 灯2

15

平均 備考

一〇.60

−0.8◎

一〇.9◎

十〇.1

一〇.7

一1.8◎

一1.4◎

一1.6◎

一〇.70 一1.4

一2.4◎

一工.2◎

一〇.2*

一1.1◎

一1.2

一〇.1

−0.1

−0.7◎

一〇.9◎

一2.2◎

一〇.9◎

一〇.7◎

一〇・4卜1・5 一〇.8◎

一〇.7◎

一〇.6

一〇.7

平均 一1.5◎

一〇.8◎

一〇.8◎

一〇.6

一〇.92

月差,曜日差(一)(α=0.05)

一〇.5

−0.70

−0.9◎

一〇.6

一2.5◎

一1.2◎

一〇.8◎

一1.5

一ユ.5◎

一〇.2

−0.5*

一〇.7

一1.1◎

一〇 一1.5◎

一〇.8

一2.0◎

一〇.9◎

一〇.8◎

一1.2

+0ゼ2

十〇

十〇.1

一1.2◎

一〇.60

−0.7◎

一〇.84

月差,曜日差(一)(α=0.05)

有意の変動数

% 85%

% 80%

% 85%

% 60%

1τ勉77%

% 67%

% 60%

% 67%

1%765%

註:*は代曜日,Oは5%,◎は1%危険率で有意の日変動をなすもの。

第4表  F.F.の補習学習修了後の時間変動と日変動

A B

D【月

一1.0◎+0.6◎

一1.1◎ 一1.6◎

M  月

一1.1◎一〇.8◎一〇.8◎一2.0◎

一L9◎一2.5◎一2.0◎一2.1◎

 全平  均

一〇.9◎

一1.8◎

註:Aは正規授業後と補習授業後の時間変動  Bは朝の始業前と補習授業後の日内変動  ◎はα=0.01で有意の変動を示すもの。

(5)

はない。各期に於ける有意の変動を示した曜目の数から見ても1月迄は各月変りないが2月の み減少している。従って2月の日変動は弱く且つ平均化されて来ているので,真に活力の乏し さを感じさせるものがある。幸い月曜日の午後値が上昇すること,週間F.F.週末振作の現象 も現われていることで,生体の反応意欲は未だ保存されているものと思う。就職組では有意の 変動を示す曜日が進学組より少ないので個人差が可なり進学組より多いと考えられる。個人差 が強く現われる場合は学校学習の様な集団作用以外のものに寄ることがあるので,11月の変動 が弱く現われていても進学組の2月の変動の弱さと同一のものでない。従って月による目変動 の違いはないものと見徴せる。目変動の月別の違いを総合した場合け進学組ち就職組も9月の 変動巾は大きいことである。巾の大きいことは疲れもあるだろうが,余猶もあると云うことに

もなり,両組共作用しているので進学準備学習以外の何等かの刺戟要素による好刺戟性の反応

と思う。

 補習授業について 入試真際にならない間は進学準備者の為に1〜2時間の補習授業が開設 されているので,此の補習授業終了後のF。F.を測定した時の変動が第4表に示したものであ る。表Aは正規授業終了時と補習授業終了時の差を示し, Bは朝の始業前と補習授業後の差

(日変動)を示したものである。

 補習後は総て有意の変動であって,正規授業終了時より更に機能が下るものである。この機 能回復が翌朝迄に充分行われるか否かが問題となる。此の期の進学組の朝値は曜進下降型であ って就職組にはこれが現われていないので,週末に向っての機能低下即ち累積疲労があるもの と解釈される。然し日曜日の利用状況によって月曜火曜日の週始めには此の低下した機能も回 復しているので,入試真際の月に於ける様な荷重負担のものではない。1月以降は補習授業が なくとも個人的学習の激しさから補習学習以上の努力は積まれているもので,此の程度の補習 授業の可否より個人の努力又は覚悟の強さの方が大きい影響がある。従って進学準備のない社 会状態の方が望ましいと云えよう。

 入学率 昭和33年4月10日現在の入学率は40%を下るものであったが一応有名校を選んだ為 第5表 入学率   である。入学率の高い高校では尚進学準備は高いかも知れないので

大学入学者

就 職者 入 院者

浪人その他 人数

8 2 1

11

百分率 56.4

9.1 4.5

50.0

累積疲労は当然考えられる。

 要約 F。F.より見た進学準備生活の生態反応は次の様である。

1)入試に近づくにつれて進学準備者達は機能の低下を見る。特に 1月以後の機能は低くなる。2)週間の機能は進学者では週末に向 って低下して累積疲労が伺われるが,正月を堺にして年が明けない 前迄は週休によって回復する・1月以後は週休回復も期待出来ない・3)日変動からは1月迄は 未だ余猶があると見てよいが,2月以後では生体反応に余猶がない。4)進学準備の為¢補習 授業は疲労を高めていることは事実であるが,補修授業を重大視せねばならぬ程のことはない。

5)進学準備生活では,個人の努力による影響が最も大きいのて補習授業ある時より,個人学

(6)

習の激しくなった2月の入試前が最も機能が低下し,刺戟反応も又弱く,疲労が高まっている 時と見てよい。従って此の時期の健康指導は最も大切である。体位への影響は次期に述べる。

文献

(1)川津哲郎:進学準備生活と生徒の生態反応長崎大学自然科学研究No.10.昭24. 3月 その他の文献は(1)に全部記載したものによる。

Studies on the Physical Reaction of Students in Health Activities at School

Part IV

The Physical Reaction of Students in the Preparing Life for the Entrance Examination

Report II On the Pupils of Senior High School

Tetsurou KAWATSU and Sada NAKANO

Summary

The physical reactions of the third year pupils of senior high school who are in preparation for an advanced education at university, by the examination of their physical functions, by the Flicker‑test, are conculuded as follows :

1. According as the entrance examination approaches, the functions of the pupils, who are in preparation for it, are seen declining. This is the case especially after January.

2. Difference of the function during a week:

As to applicants for universities, both the fa一ling of their physical functions and

accumulation of fatigue are seen. This fatigut is cured by having weekly holidays during the previous year of the examination, While after January of the year of the examination this recovery from fatigue can not be expected.

3. Judging from alteration in their function during a Clay, it is clear that their physical funこtion is still strong enough to cure fatigue, but after February this

function is limited,

(7)

4. Though it is true that supplementary preparing classes for the entrance examina‑

tion make students exhausted to a certain extent, it can r+0t be regarded as a very  serious influence. 

5. When they are preparing for the entrance‑examination, stress cau̲*ed from self‑

endeavoring has strongest effect on them. Therefore, decline of their function is most  noteworthy, in February, when their making efforts becomes hardest. 

It should be mentioned that February is also the month in which physical reac‑

tion becomes weak., and fatigue is most intensied. Consequently, health instruction  and quidance at this period is most irnportant. 

Influence on physical condition will be referred to next time. 

参照

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