長崎大学学芸部自然科学研究報告第2号(1952) 11
長崎縣下の住宅調査
川津哲郎
An investigation on the dwelling in Nagasaki‑ken Health Divitions, D.D.T. Liberal Arts, Nagasaki University
1まえがき新設講座として昨年生れた本革保健科教室では未だ茸験報昔はHl来得ない ので.教育教材として衣食仕に囲係した衛生的環境の痢春を行払つ1あるが.その一部の住宅
O¥¥¥川は詔Jr.vc月vf'l/.二・J.iこ・;侶i‑l.よ'・±思";!9fj・里:0‑‑<当主‥こ事棋Ii行ほれてJIl!‑
たし,戦後に於ても逸早く大都市中心部に於て報菅9)‑18)が硯はれて居るので新しい問題では ないが.比較的戦災被害の少い長崎願としての情況報昔ともなると息仏記載を試みた次第であ る。
2調'査概ォr'嗣)V:mr#圭出川吉Ctt∵巨。)より仕nば去=忠;;uミ潮で#蝣蝣:,上蝣Cl・')舶‑:lサ二 保市の被害戸数は全体の1!,‑V<間であって.大都市や踊東,東海、山陽地置市部被害のl!2‑
1!3にも及ばない状l加こ恩ほれるので,調査地苗は非戦災地.戦災地の直別をせず任意に取材し て見た。
調査軒数197例中大体を都市別に分けると市部98例.郡部99例である。市部は諌早市を除 く朝市tP戦災市が市部例数D6割を占め,郡部は北高来郡・西彼杵郡・南高来郡で甫高が郡部 例数D6割を占めて屠る。調査判象は市部の7.2割は勤務者の住宅を取材し.郡部は6.5割が 盈漁来者の住宅である。佃住宅様式から大体次の三種類を置則した。即ち住宅内に作業部を持 たない純住宅様式Dものと、住宅に作業部時には附属家を贋く持たねばならぬ作業部付住宅と であるが.後者は職業上の性質から商工及サ‑ビス業的兼用住宅と豊漁柴住宅とを隈別して見
たので?蝣」蝣'>一比,'.v,m出二[='こ.t出in拍vl>純仕七8S:.‑p.帯Il.五リ:'.'.J'蝣*サー一二‥バ昔JitMJ仕宅 叫叶.靖Iill;'!.')思漁日巨t*75廿L'W^
調音川i'jiril:.'ヒ、吊f吊Lte‑主:用1巨V.)'川ミV;+榊IJWV度i'vaはォ!'│細、悪を圭M¥に.畏いて はz>とl・KK")汀だ・信うこ.l'サ>'・'・蝣蝣一蝣される・.
°A)都市別に観察すれば.(1)居住人員は‑Jl苦り市部5.1人郡部5・3人で市部は都市一般 の故̀J・J:hvい.,之はW‑'MV、帖..‑</‑)̲j‑"A‑・十.、巧.M.''.il吊I.い。粕4年I'I艮椙畏鳥 人。調査資料23)に比べれば細々少い。居住人員は配給食品を受けて屠る常任者とした鶴市部が 梢七.:、目し肺出城つ':JW'S∴l:.oたI,,.畑ない。>.'',仕ノuH二,iォHこ肱H巨‑.ご・V‑>J.哩.:よI) 成人率に換算すればIlj郡部共4・5人である。(第1表)
(2)住宅硬海手封ま無論市部(20.9坪)より郡部(26.5坪;が贋いが、之は併敵中の通年を占め る市部の純住宅18.5坪に封し郡部の農漁住宅27坪の某が影響して居るO然し日本畢術振興 倉が戟歯行った資料4)と比較すると純住宅も盈漁住宅もその下級暦に柁する数字である。従っ て常地の市部住宅が未だ常日より切詰められて居ると考‑ること紺l乗る。郡部に於ても同じ であるが.之は郡部の過牛の豊漁米住宅中エ!3が開拓農家を含んで居る鳥の.<?‑'
}&皆がある。m‑ば
開拓農家の平均は23坪と云ふ狭い状態であった。他の農家だ如こ就いては30.7坪であったが之 とても筆者及悔井氏指導による甫高揚江農村調査19)に於ける盈村住宅の中層階級に匹敵する朗 を見れば.戦後全国的にも跡地面積D一戸苦りが小さくなりつ1あることや23)耕地面積の比較
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川 渾第 1表 平均佳宅居住人数及住宅、住居室、寝富の広さ
分 類 別 軒 数 居 住員(A) 成人換
数(a) 住宅延
面積(B)
1
居部使用,寝室使用 積(C) 面積(D)住居室使
数(E)
宙 部 1類(純住宅) 70 4.8 4.3 18.5. 9馬7 6.1 3.2
π類(兼用住宅)
17
5.8 5.2 27.6 14.5 7.8 5.3垣類(農漁佳宅) 11 5.9 5.3 26.4
12.5
6.6 3.6郡 部 1類住 宅
18
5.2 . 4.4 20.3 11.5 5.9 4.1π類 〃
17
5.2 4.4 31.212.3
6.3 3.9 躍類 〃 64 5.4 4.6 27.0 13.2 7.1 3.6県 下 1類 〃 88 4・9 4.3 18.9
10.1
6.3 3.7遅類 〃 34 5.5 4.8 29.4 13.4 7.1 4.6 躍類 〃 75 5.4 4.7 26.9
13.1
7.0 3.6県下 市 部 98 5.1 4.5 20.9
10.9
6.5郡 部 卯! 5.3 4.5 26.5
12.7
6.9 3.7第2表 住宅、住居室、寝室使用密度
市
部
郡
部
全
体
類
別
1類(純佳宅)
π類(兼用〃)
盟類(農漁〃)
1類住
宅
E類 〃 皿類 〃 1類・佳 宅H.類 〃 理類 〃
市
部郡 部
住宅:B!a坪 4.3 5.3 5.0 4.6
、7.0
5。9 4.4 6。1 5.7 4。6 5.8
住居部
C!a坪
2.3 2。8 2.4 2.6 2.8 2.9 2.4 2。8 2.8 2.4 2.8寝室
D!a坪
1.44 1.51 1.25 1.56
1.42 1.531.47 1.47 1.49
i.431.52
占有住室
数Ela
0。8 1.0 0.7 0.9 0.9 0。8 0.9 1.0
0.8 0.9 0.8
的狭い長崎としては農家住宅が全 般的に狭いではないかと思はれるo
若し農家の全般的比較を考ン¥る 場合は農家の副業的養慧等の影響 が長崎縣にはない事を考へねばな るま:い。佳宅を成人率で割つた使 用密度から見れぱ市部4.6坪は郡
部5・8坪よ砂矢張り狭い。(第2
表)然し乍ら職後大都市に見られ たバラツク住宅の平均1。2坪9)10)に 比べれぱ遙かに増しである。(3)居佳部使用面積について、
但し蝕では押入を含まない居住部 の廣さである。之は市部10。9坪、
郡部12.7坪であり、居住密度2・4 坪と2・8坪で佳宅延面積と略々同 様の事が考へられる。一戸當りの居住部使用の部屋鐵は市部3・9坪、郡部3.7坪で大差はなV・
が、その}室D雫均廣さは市部2.8坪、郡部3.4坪で郡部が市部より余猫のあることが伺はれ る(第3表)。之は未だ薦來の住宅建築様式のいわぽ只廣い部屋の大家族的建物鄭依然糠承さ れて居る爲と思ふ。
(4)居住部使用面積の住宅延面積に封する割合は市部5玉8%、郡部48・5%で居住の爲市部 は牛以上郡部は牛以下に使用されて居るが市部は純佐宅の影響の爲である。(第3表)L
(5)寝室につV・て、一戸當りの渡室使用面積は市都6・5坪、郡部6・9坪で成人換算に於ける 寝室密度は1・4坪と1・5坪であるから市郡部共略々同じで、無論平均値ではあるが、標準就寝22)
長峰県下の住宅調査
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を維持して居ると見てよV・。然し狭い家では一人當り2帖に満たないものもある。例へば市内 農寒平均の1・14坪の如き或ひは郡部の自由饗働者、行商人住宅では一人當り2帖に未たない.
家が可なりを占める。即ち此のグループの平均は1・13坪であつた。
寝室と云ふても日本佳宅は專用的に定まつたものは農家の所謂納戸式㊨もので、その他には 余り專用される槻念や余猫が少く、寝室に使用されるものは多くは他の使用目的に使はれて居 るのが常である。斯かる考へから衛生的立場に於て食寝袋用度合を調べたのが第3表である。
之に依れぱ市部31%.郡部27%の
約3割の家庭が無頓着か叉は止む 第5・表
一・室当り面積及住窒寝室占有率、寝食兼用率を得歩食事室に寝室を利用して居 ゆ更に共の他の用途にも使用され1
て居るのである。此の内市部の9%
郡都の19%位は居住の室として1
室かそれに近。い厭態即ち住室密度 が各々1.19坪とか1・15坪と云ふ全 くその一室を全ての用に充すと云 ふ困窮佳ぴもある。之等の食寝分 離の出來難い家庭では一度び家族 一員に病人が震生した場合部屋が 不潔になり易く、病氣によつては 甚だ危瞼である。騒後大都市住宅居住部一…萱当 りの広さ(坪)
c/B×100(%)
住居部利用率 D/c×100(%)
寝室利用率 食疲室兼用率 (%)
1類
純住宅237
53.5
62.2
29。5
兼腱宅1農縫宅
2.9
45.7
52、8
26.4
3.6
48。6
53.5
29.3
市部
2.8
51,8
59.6
30.6
郡部
3.4
48.5
54.・1
27.3 註.Bは住宅延面積、Cは屠佳部使用面積、
Dは寝室使用面積
の食寝分離不可避の資料17)に比較すれば市部の純佳宅は食寝分離不可避は割方少いものであつ て、却つて郡部に多い事に一驚する(第荏表〉。此の黙例へ戸外で食纂することの多い農家でも 一室が廣い住宅は使用上可能なら
ぱ遜切をするか食事室を別に附す ・ 第 4表
屠住室1室又は居柱密度L25未満の住宅獣況か、衛生的思想の普及を必要とす ると、思ふo債1市部の寝室密度は大
都市の住宅より余猫があり、前述 の居室数の少V・住宅以外は夫婦寝 室に成人率1の子供の同寝iも避け
られるものと、愚ふ。此の余猫の現
はれは一時位宅公團の探用したH
型佐宅21)に牧容された人々が現今 住宅が建設され始めてそれに既に 、 移ゆ幾分部屋に余猫を見せて來た原因ではなからうか。
B♪佳宅の種類から分けて見た場 合、例激に差があるので大体の歌 況について述べて見る。(1)常住の 雫均住人は1類(純住宅)の4.9人、
II類(職業粟用位宅)の5・5人、
III類(農漁業住宅)の5.4人、成人
郡市別 類 別 各類中の
(%)
.屑住密
(坪) 蜘聯
市 部
豆類純佳宅 10.0 1.23 2.36 1.9
巫類兼用〃 0 一 一 一
皿類農漁〃
18.2
1.10 3.67 3.3郡 部 1類純住宅 33.3 1,12
2.81
2・マ H類兼用〃 23.5 0.97 2.57 2.8皿類農漁〃
14.1
1.25 3.82 3曳21類純住宅 14.8 1.17 2.58 2.3
晦兼用佳宅
11.8
0.97 2.57 2.8璽類農漁住宅
14.6
1.17 3.24 3.2 市 部 9.2.1.16
『.Ol2.6
郡 部
19.2
『、
1・11
3加 2.9 ・14 川 津
摩換算の場合1類4・3人、II類4・8r人、III類4・7人で純住宅が他より人員構成は少い。(2)住 宅麺面積は1、II、III類各々18・9坪、29・4坪、26.9坪で、、II類>III類>1類の贋位は從來 の報告と同じであちが各類共從來報告の下級贋に驕する廣さを示して居ることは敦れも仕宅面 積に昔日程の余猫の無さを示して居るのであらう&3)居住部使月1面積は各類夫々10坪、13 坪.13坪で1類(純住宅)、は他より使用面積は少い。職前の住室面積の賓料数字とは廣いが居 住部使用面積と比べれぱその下級贋か稻た良v・かに類するものであらう。(4)居任部使用面積 の住宅延面積に封する割合では1・II・III類夫々三3・5%、45・7%、48・6%であつて之に押入 の面積を含めぱ荷此の率は増す。居住の為の利用度は1類>III類>II類で餓用住宅はどうし ても居住の部屋を商費・生業の爲に食ひ込まれ勝ちであることがわかる。1数の53.5%は純住 宅としては狭v・数字である(押入を含めたとしても狭い藪字である)が、小住宅になる程此の 率は小さいから小住宅の例が多い爲であると思はれる。III類中には一般に禾朋峻の率の低v・
漁業が2割含まれて居るので加減をして見れば職前の一般よ砂それ程悪ぐはなV・と思ふ。(5)
寝室旋用面積は各々6・3坪,7・1坪、7・0坪で純住宅は他より狭V・が家族人員構域が少いので一 人当りの寝室密度は夫々1・47坪・1・47坪・1・49坪となり教れも略々同じ廣さを声めて居る。
此の内前述した市部の農家と郡部の行商瘤由業は最も低く敦れも1・1坪張で、之に次いで郡部 の漁家のL3坪強が績く。その他では家族占有域から見た成人一人2・8帖の最低塾準にどうや ら達して居る様である。
食寝験用歌態は夫々30%、26%、29%でII類の象用任宅のみ棺々少V・が1・111類住宅では 3割に近V・家が衛生的居住に恵まれなV・。寝室の居住部使用面積に封して占める割合を見れば 1・II・III類夫々62・2%、52・8%,53・5%であつて純住宅に於て一番寝室面積の利月」度が高V・。
從つて食寝簑用.率も多く現はれるのであらう・II・III類も居・任部の牛分以上は寝室に使つて居 る。III類が食寝象用が多V・割に1類程寝量使用に居但・部を使つて居なV・数字であるが、III類 では居仕部則寝室に近い家が1類と攣りがない所を見れぱ独V・家と廣V・家との瑳が1類より大 なる爲の表はれであらう。
前述の如く居住部使用密度をL25坪と一慮し之以下の住宅と、居住に一室しかなV・住宅と は(即ち食腱不分離と思1よれる住宅は)1数純位宅に於て市君P郡共激軒あり、1類中の15%を占グ・
る程あつた。II類簑用仕宅では郡部のみであつたがII類中の12%を占め、III類農漁住宅で
は約5%で此の内の8割は郡部が占めて居る,從つて食寝簑用住宅の牛分は各類共一慮現在の 歌態では分離不可能と、思はれる。(第4表)3・むすび 特別零細な住宅を封象としたのではないが住宅延面積が骸前全國調査の下級
贋に近v・数字であつたことは現乍長崎縣は廣い住宅が少いことを暗示する。騒後の資料を謬考 にすれば住宅被害は少く、屠住の爲に使用する面積は比較的余猫を示して來て居る。住宅面積 に比し居住部使用面積とか寝室使用面積は住宅面積の狭い割に後者に行き次第良好になつて居 る。之は建築様式上斯の如き歌態が表はれたのかも知れなv・が健康保:持 h喜ばしv・ことであ る。食寝簑用歌態は大都市程多くないと,思ふ。且現在食寝兼凧藪の牛分は藪育的普及でも改善 出來る問題と思ふ。滲 考 文 献
1)
2)
5)
4)
内 務 省:
農 赫 省:
日本學術振興曹:
同 ,
農漁業者住宅調査報告
全国農家一齊調査報告(社会政策時報No・247)
東北地方農山漁村佐宅調査報告(昭16)
住居家屋調査第27小委員会報告(昭18)
長崎県下の住宅調査 15 5)小倉 張=
6)藤原九十即 外二:
7)西山 卯菖:
8) 同 9)庄司、相澤
10) 周 11) 同 12)相澤 15)佐藤、駒 14) 同 15)佐藤 16)三浦 17)相澤 18)庄司
19)湯江村振興i射策委員會、長崎縣農政課 20)戦災復興局嗣査:
21)建設省大臣官房弘報課編:
22) 建築學會佳宅委員會 :
23)長崎縣農政課:
建築学雑誌昭18、9
国民衛生VoL5・No・1多昭3 建築学研究昭10
建築学輪交集昭17、4月
: 日本衛生学雑誌 Vo!・No・1三 昭21、8月
o 医学Vo1・No・3多〃〃
、衛生工業協会誌 Vol・23,:No・9−103昭21、10月 龍: 公衆衛生学雑誌 VoL5・No・15 昭23、11月
田=建築雑誌昭21
民主主養科学昭21、3月
鑑:医学と民生:N・・10昭22、10月
健:公衆衛生学雑誌VoL6・No・2三昭24、8月
龍:同VoL7,No・23昭25、2月
光: 同 Vo1.8,No・1;昭26、7月
南高湯江村の実態とその建設計画H昭26、3月 地区別塞難被害調査報告
住宅基準(昭23)
建築雑誌昭16、置月