アメリカ合衆国の「ファーム・テニュア」
その他のタイトル Land or Farm Tenure in the United States
著者 東井 正美
雑誌名 關西大學經済論集
巻 2
号 4
ページ 77‑101
発行年 1953‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10112/15850
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂ 規模型自作農
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一、ファーム・テー—ュアの問題点
︵東
井︶
アメリカ合衆國の﹁ファーム
`•L月d
or
a F
rm
•利用によって生ずる法的諸関係を意味するのみでなく、又経 Tenure"とは周知の如く、土地の所有•占有
(1 )
済的︑社会的諸関係を或る程度意味するのである︒そしてそれ
は社会的︑政治的制度
( s o c
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i c a l
i n
s t i t
u t i o
n s )
密接に関連するものである︒アメリカ合衆国のファーム・テニ
ュアは︑その社会的︑政治的制度を形成し来った政治的理念︑
デモクラシー
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)
の試金石
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としての﹁自由﹂と﹁平等﹂
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その源泉
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し て
︑ そ れ
によって形成され来ったのである︒そして︑この﹁自由﹂と
﹁平 等﹂ との 理念 は︑
1方
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は︑全ての農家がもし自由であるならば自営農民であるぺきだという﹁自由﹂の理念として家族
創設に関する政策の主因 と
七七
ベン トソ
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Ha
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)の言葉によく表現
ニ ュ ア ﹂
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となり︑他方では︑全ての農家の長地獲得に何
等の制限も加うぺきでないという﹁平等﹂の理念として︑農地
の無制限な獲得︑いいかえれば土地集中を生ぜしめたのであ
( 2 )
アメリカ合衆国の土地政策の基本的目的は︑これまで家族規 る ︒
模型自作農の創設にあったのであり︑各自が﹁わが家において
安楽に﹂という自営農民の理念こそほ︑アメリカ士地政策にお
ける支配的要素の1つであった︒このことは︑植民者への無償
での土地譲渡政策を支持した時のセネクー・トマス.^ート・
されている︒すなわちベットンはいう︑﹁小作農は︑自由にと
つて 好ま しく なく
・⁝ . .
o小作農は︑事実上︑くにも︑いえも︑
いえの祭壇も︑いえの守り紳も︑もつてはいない︒これとは全
く反対に︑フリー・・ホールメーは︑自由な政府の国民的支柱で
・ テ
東
井
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第一表小作農およびクロッバーによる農場経営数の比率の ある︒小作農をふやすことが王政の政策であると同様に︑国家 アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
のフリー・ホールダーをふやすことは共和国の政策であるべき
(3 )
だ﹂と︒ところが︑﹁家産法﹂
(T
he
Ho
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) によ
つて分攘された土地が増大しつつあった1
八八
0
年においてす(4 )
ら︑農民暦の約四分の1が小作農であったのである°爾来︑1
貫して増加し来つて︑ついに1
九 一
1一五年には︑農民層の四二形
以上が小作農となり、10~が自小作農
(p
ar
t‑
ow
ne
r)
とな る
に至ったのである︒いま︑小作農︵クロッパーを含めて︶の長
場麟営数の爽遷を見れば︑次の第1表の如くである︒
変遷
︵皐 位%
︶︵
5︶
第1表によれば︑小作農場数︵ー農家︶は︑1
八八
0
年以来一貫して増加傾向を示し︑1
九 一
1 l
0
年をピークとして以降緩慢︵東
井︶
な減少傾向に転じている︒しかしこの減少傾向
( 1
九 一
l l
年︶は︑小作農のいわゆる﹁農業の梯子﹂
0
ー四C
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)
における上昇によつて生じたものではなくして︑南部
下降によって主として生じたものである︒その理由はこうであ
る︒この間の減少傾向ほ︑北部と西部とが増加し︵この間に︑
北部は
1
・1
劣増、西部は0•
四%増)、南部だけが減少していることによって︑大体南部の滅少傾向を反映したものであ
予想︑労佑供給の豊富等の理由で︑農業経営者が︑自己の労佑
確保において︑物納的な分益農制よりも貨幣賃銀の支払による
労佑確保を好んだ結果として︑クロッパーが賃労佑者に転化し
たことによって主として生じたものである︒従つて︑ジェア・
クロッパーの賃労佑者への身分の低下による南部の減少が︑合
衆国全体の小作農の減少傾向として表われたものであろう°而
L
てこの減少傾向は︑いうまでもなく︑決して楽観視すべきものではない︒このことを考慮して︑1
九四
0
年の自小作別農場数構成を見れば︑自作農
(f
ul
lo
wn
er
)
は︑六
00
万農業経営者
(f
ar
moperator)
のうち約二分の1︑自小作農は約十分の る︒そしてこの南部の減少ほ︑棉作農業の機械化︑価格の好況 のシェア・クロッパー
(S
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er
)の
﹁そ れ﹂ にお いて の
七八
﹁合衆国においては︑個人が保有しうる土地は︑量に
おいて何等の制限もない︒例えば︑イリノイス︑ヵンサス︑ミ
ズウーリ︑ネプラスカに位置しているスカリー・エステイト
(T he
S
g
l l y e s t a t e s ) は ︑
1九世紀半頃に獲得され︑そつくり
そのま4に逮つており︑テキサスにおけるキソグ・ラソチ
(T he Ki ng ra n c h )
:!
;!
︑最
近︑
総計
1 1
一五万エーカーを計上するに
至った°賃労佑者
(W ag W e or ke rs ) 0
t iア・クロッパー︑小
作農の従者
( r e t i n u e
) を伴ったところの大農場およびエステイ
トは︑国中に見出される︒多くの地帯において尤大なアメリカ
現在
︑ 合
衆
部 1部 1部 1
国
‑ ‑ ‑ ‑ 1 ‑ ,
西 南
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
北
豆ニ」旦
1三 虞
呈 国 」 呈 直 直
呈」呈 I 豆 国 皇
豆旦U 三国」皇
三
1旦ニ」旦
I旦
が︵東
井︶
呈」旦
1旦 頃 」 呈
が第二衰借地農場面積の比率の変遷︵単位%︶
0 6 )
ば第二表の如くである︒
g‑ g‑
g ^
gg 益 〇
1︑
小作 農は
︵五
0
万の シェ ア・ クロ ッパ ーを 含め て︶ 約一 デ^
・
七%であった︒ちなみに︑借地農場面積の衷遷を表示しておけ
七九
農民が自営農場所有権
(f ar mh om e o w n e r s h i p )
を獲得する
ために戦斗中の激戦地では極端な大土地所有と戦斗中であるとC
︑ )
いつても過言でない︒﹂そして現在合衆国農業における第1の
基本的問題は︑農民層の間における土地分配の賛弱
( t h e p o o r
( 8 )
d i s t r i b u t i o n
) にあるといわれている︒これらのことはかつて︑
テキサスの農業・機械専門学校の総長であるビイズル
(W .B . B i z z e l l )
の指摘した如く︑土地の私有
( p r i v a t e p r o p e r t y n i l a n d )
の根底に横わる士地狭占︵I
月
dmo no po ly ) とそ れに
( 9 )
随伴する不平等ー土地の集中並びに零細化および細分化とを意
味するに外ならないのである︒事実︑合衆国においては︑土地
集中︑土地の甚しき零細化および細分化が起つているのである︒
極めて多くの農家が極めて僅かの土地をもち︑極めて少数の最
家が極めて豊積な土地の大部分を所有しており︑家族農家
( f a m i l y fa rm )
は猫額大の土地へ押し込められ︑又は農業か
らしめ出されつつあるのである°合衆国においては︑約八万の
大規模農場数並びにプラソテイション
( P l a n t a g n)
と比綾し
たときに︑家族農場数ー農業経営者が︑家族労仇並びに恐らく
適当量の兼業労佑の補助によつて︑演足な生活水準をつくり︑
農場生産力および賽産を維持
L
うる農家ーは︑約三百万であにもたらされた新農業用地を獲得し︑それに加えて五
0
百万以 統計」から1 九 110
—四0
年間のこの現象を総括表示すれば、 アメリカ合衆国の「フブーム・テー—ュア」り︑他のほぼ二五
0
万の農場数は小規模単椋であり︑これらの約二分の1が農業所得に依存していない︵不完全所有者︹
p ar t
1
ow
ne
r︺又は農村居住者︹
r ur a
l
r es i
d en c
e s︺であるから︶
であり︑百万以上が極めて零細農場で︑その多くがいわゆる飯
(10) 米農家
( su b
s is t
e nc e
fa
rm
s)
であ る︒
アメリカ合衆国では︑
﹁少 くと も
1八
八
0
年以降は中・小経営の没落による互大農場と零細農家とへの両極的分解傾向が1
義的に貫徹しているのである︒実に合衆国はその地域的多様性
にも拘らず全体としても典型的に中間暦の没落による両極的分
解の傾向を示しつ4あるのである︒﹂アメリカ農業は﹁その静
態的構成においても絶対的に資本家的な大農制が支配するとこ
ろであり︑而も1貫的な両極的分解傾向を通してその大農制は
( 1 1 )
益々強化されつ4あるのである︒﹂今︑ここに合衆国の﹁経済
次の 第一
1一
表の 如く であ る︒
1九
01
二四
0
年間には︑土地面積においても︑農家戸数においても︑前述の如く︑中農を中環項とする大農と小農とへの
両極的分解傾向が1義的に貰徹しており︑大農は︑新しく耕作地
︵東
井︶
の
うことを考慮しても︑なおそうである︒というのは﹁おおざ
第 一︳ ︳
衷
上に匹敵する反別を獲得したのであり︑規模における千デーカ
ー以上の農場がその殆んどを獲得し︑1四
0
百万ニーカー以上3もに面積を拡張したのである︒他面において︑この間に2
九︳︱
〇│
四
0
年︶
︱
‑ 0
エー
カ
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以下の小畏の︑耕地面積の僅かの増加に比して相対的に農家戸数の増加が圧倒的に勝るというア
ソバラソスは︑家族の労仇力を利用出来ず︑家族の食料上の欲
猫額大への細分化を表示するものである°面積の大さは決し
て直接的に経営の大さを指示するものではないから︑仮に農業
の集約度の高くなったことによる賽本主義的経営の零細化とい
つばな統計上の計算からすれば︑アメリカ農業が︑lliOtlー
カーの耕地で︑ほぽ1農家の生計を維持し︑演足な所得を生み
望すら充たすに足りない零細土地所有への発展、および土地の
大 中
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10
ー宮年間の土地面積および農家戸数の噌減
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八〇
. . . . . .
彼等は農産物価の高価格のときにおいてすら飯米農家であ
る︒﹂﹁アメリカ農家総戸数に対する耕作地の供給は︑五
1 1 1 0
百万エーカーであり︑理論的にいつて︑この土地資源は︑ほゞ
四•五百万農家を養い、彼等に演足な所得を与えるものと思わ
れる︒しかしながら現実には︑農業土地は︑五百万の自作農家
(b
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s ) と ︑
これに加えた他の百万の主
として農業所得に依存しない不完全所有農家および﹃隠退者﹄
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によって占有され
ているのである︒危大なアメリカ農民に対する土地供給は︑1
賀して減少しつつあり︑機械化された大農
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fa
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s)
︑農業会社
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ar
mi
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8
r p o r
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n s )
︑多くの小単位
農場から構成された大農場
( m u l
t i p l
e
farmers
—筆者註、例え
ばプラソクー︶等によつて家族農家の土地が兼併されつつあ
り︑農業外へ︑ョリ小農へ︑家族労佑者への転落農家が年々歳
々累増しつつある︒1般の農家にとつて︑土地供給の問題は年
を追つて最悪な状態となりつつあり︑家族農家をますます細分
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
︵東
井︶
り︑不況期においては彼等の土地は飯米すら獲得し難いのであ 総農家戸数の三分の1の低所得と窮迫との基本的原因であり︑
C 1 4 )
出す﹂ものであるからである︒事実︑このことは︑
﹁少 くと も
アメリカ合衆国のファーム・テニュアの主たる問題点は︑﹁家
族農家の理念
( t h e
f am i
l y f
ar
m i
d e a l
s ) と万人が自己のなしぅ
︑ ︑
る限りの農地獲得への獅利との間の斗争に関する﹂︵傍点筆者︶
( 1 6 )
ものであるといわれている°合衆国の生誕以来の土地政策の
某本的目的は中及び小農民の士地所有を安定・翠固にする事に
あって︑その結果泡大な独立農民経営を確立するに至ったが︑農
地獲得の権利の平等は︑土地所有の分布の著しい不平等︵いい
かえれば私的土地所有の根底に横わる﹁独占﹂とこれに随伴する
集中と零細化および細分化︶を生ぜしめ︑自作農民経営と相並
んで借地農場数を著しく増加せしめるに至ったのである︒この
と私的土地所有の立場を飽迄固執し︑ 借地経営の増加は︑英国におけるが如き︑士地地力が維持・増強され︑小作農の末利用土地改良
(u
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に対する補償がなされている最も模範的な借地とは異つて︑人
間を搾取し土地を涸渇せしめる
( e x p
l o i t
a t i o
o f n
t h e
s o i l
an
d
o f
hu
ma
n b
e in g
s )というファーム・テニュアを生ぜしめるに
( 17 )
至ったのである︒ここに︑このファーム・テニュアの問題が重
視されるに至り︑アメリカ資本主義社会栂造において私的企業
︵いいかえれば土地国有
( 15 )
化する圧力は抗し難いのである︒﹂
八1
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
︵東
井︶
化の手段によることなくして︶1方で中および小農民経営を安
定・翠固にし︑他方で経済的助長策を講じて小作農を自営農民
に転化せしめることによって︑この問題を解決しようとする合
衆国の苦悩が斗争として表現されているのである︒
アメリカ合衆国においては︑前遮の如く土地の私的所有が︑
1方では大土地所有を現存︵例えば前述のスカーリ・ニステイ
ト︶せしめ︑他方では︑農地を市場へ動員する土地投機を生ぜ
G18) しめ︑土地所有の集中︑零細化および細分化を生ぜしめたので
あるが︑これらの傾向は農業経営の賽本主議過程に1様に伴い
うるものである0賽本主義経済の諸条件の下における土地所有
の問題は決して集中又は額分へのこれらの傾向のうちにあるの
ではなく
L
て︑単に社会的生産1般の上に重い負担として横わるのみではなく︑農業における賽本主鶉的生産を著しく制限す
る私狼的占を克服しうるか否かにある︒従つて︑次に考察しな
ければならないのは︑合衆国のファーム・テニュアの農業生産
に与える影響如何である︒
註
( 1 )
L .
C .
G r a y
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d u c t i o n t o
A g r i g
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a l E8n C,
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(Ne w Y or k
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M an n i l l i m , 1 92 4) ,
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2 5 8 .
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Ac ke rm an , "
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.
39 , 6
1. ) ( 3 ) R i
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r d T . E l y , La nd E co no mi cs (N
ew Y o r k , M a c m i l l a n ,
19 49 ),
P .
1 92 .
? 4 ) 1
八九八年において︑ヘンリー・ジョージは︑既に
﹁合衆国﹂の小作農の増加を予言していう︑﹁典型的な
アメリカ農民︵自已所有の小農場の耕作者︶は︑労働
が高価であり︑土地が低廉であった諸条件のもとにお
ける産物であることは事実である︒これらの諸条件が
変化したときには︑農民はイギリスにおいて経験した
ことと同じことを経験したければたらない︒﹂﹁旧植
民諸州
(O ur o l d e r S t a t e s )
において無一文で出発し
た者が彼の労働によって農場を所有することは最早ゃ
不可熊である︑国有雄がなくなったときは︑合衆国い
たるところで不可能となるであろう︒そして生活上の
偶然的出来事や有為転変によって彼等が自己の土地保
有から投げ出され︑又は賽本制農業とたちうち出来な
いことを見出した鴫には︑彼等は再起出来ないし︑小
作農と賃労働者とは増加するに違いない︒かくして土
地所有の集中は進行するに相逮たい﹂と︒
(H en ry G e o r g e , "
Th e C h a p t e r on h e t Am er ic an
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e t t B i z z e l l , Fa rm Te n a n t r y i n t h U n e i t e d
八
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
︵東
井︶
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19 21 ,
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. 3 4 2 . )
(5 )T rg
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( 1 0 )
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3 9 5 .
( 1 1
)栗原百壽著﹁日本農業の基礎構造﹂七︶一ー七六頁︒
なお︑その静態的構成を見れば︑
1
九一
0
年には1 1 0
ェーカ1以下の農場の耕埴面積は︑総耕地面積︵八七
八︑七九八
‑ l ‑
︱︱五エーカー︶のうち僅かに一斧︑ニ
〇乃至四九エーカーの農楊は写%︑五
0
乃至九九ェーカーの農場は
1 1 ・
七%
︑
1 0
農場はニー七五乃至四九九ェーカーの農場
1-• 四彦、
10
乃至七四ェーカーの1 1 1
は 一0
・ニ%︑五00
乃至九九九エーカーの農場は九・
写劣︑︱
000
ェーカ1以上の農場は1
九%でありー八
︑
︑
︑
︑
︑
︑
︑
︑
この統計デークは﹁土地独占に関する現実の農揚所有︑︑︑︑︑︑
(f
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を最もよく表示する﹂︵以上︑
W .
B .
B i z z
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3 4 1
1は
2・傍点は筆者︶ー1九四
0
年には︑︱l O
ェー カ
1以上1七四ェーカー
以下の中経蛍は経営数においては六二%の過牛数を占
め絣地面積においては僅かに二八%︑反対に1
七五 工 ーカ
1以上の大経営は経営数においては二〇劣を占め
るに過ぎないが絣地面積においては七
0
%の圧倒的部
分を占め︑特に
1 0
1
0 0
以上の互大農場は経ェーカ営数は僅かに一・六痴を占めるのみであるにも拘らずその占める絣地面積は三四•-=%に達しており、―
10
エーカー未濶の小経常に至ってはその耕作面積は僅か
に1%に濶たぬ有様である︒︵栗原﹁前掲構造﹂七五頁︶
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4‑ 27 .
なお︑合衆国の集中と
零細化および細分化は︑統計上の種々の観点から説朋
しうる︒先ず第1
に ︑
1九四
0
年には︑農業に有利に︵照
f u 目
l l y ) 従事した九一
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万人 のう ち︑
︱︱ 一七
0
万が自已の経営農地の全部もしくは一部を所有しており︑ニ
四
0万が自己の謳営する農池を借堆し、―l-—10 万が農
業労働者であった0賃労働者のうち五分の一が家族農
場合︒日5
f a r m s )
濯傭されてお9︑他の殆んどがl l
羹 規 模 讐 農 場 よ
Wヨリ大規模な農場に麗傭されてい
る︒第一ーに生産物価額の楓点からすれば︑全農家の9
.ち 三分 の
1が売却・車引・自家消盪された生産廂
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o d u c t s s o l d ,
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災1且 ︑
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以 下 の 生 産 で 農 産 枷 総 価 額
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のうち五•四“んであn、これに反して全農家のうち儘か
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五%は生産物の価い六
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ル以上を生産し︑全農産物総価額のうち二五
・七劣を占めていたのである︒
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$( 1 7
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9ーは︑﹁土地を涸漏せしめ人間を搾取する﹂と
ころの合衆国のランド・テニュアを論じて︑このこと
は
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s y s t e m o
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ざすものではないとなし︵しかしこの制度は︑地主・
小作関係の対立関係を生ぜしめ︑それが合衆国の最悪
の﹁土塩保有状態の不安定﹂の原因であるのみならず︑小作農の貧窮•無知・非能率
(5
e f f i c i e n c y )
︑その他の
無力︵巳蓄
b i l i t i
g )
並びに土地涸謁等の原因であるこ アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂︵東井︶
とは明白である︑このことは後述する︒︶模範的な英
ペー ツ
国のランド・テニュアを例示し︑極く僅かな処の私的
契約を除いては︑﹁われわれは英国制度に匹敵しうる
諸法律も︑慣習も︑制度ももつていないのであり︑ゎ
れわれが方法を講じるまでは農業上の地力糠持は﹃不
安定﹄の土台の上にある﹂と結んでいる︒
( E l y
̀ ^ ' o p .
g . .
P P
` ︑
.
19
2 1 2
10 .)
( 1 8
)合衆国において土地の私的所有又は﹁土地の自由処
分
( t h e f r e e d o m o f d i s p o s i t i o n )
は︑農業並びにそ
れと相互依存的な企業に︑農業投査の約六分の五を構
成するところの農場不動産
6
日mr e a l
・ e s g e )
価額
の変動の1六腕負
( t h e h a z a r d s )
を背負わしめる主
たる要因であって︑第一夭大戦は土地投機の怒濤を生
ぜし めた が︑
・・
・・
・・ 第二 次大 戦の 勃発 は再 び他 の投 楓的
狂躁の可餡性をもたらしたのである︒﹂
L . C . G r a y , "
9
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P r o b l e m : 11 1§ d S u 醤 e s t e d
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P P . 答ー
8 6 0 . )
二
︑ フ ァ ー ム
・ テ ー 一 ュ ア の 農 業 生 産 へ の 影 響
アメリカ合衆国の借地形態は︑多種多様である︒そしてそれ
は︑借地料の支払形態によって見れば︑金納借地
( c a s h
s y s t eB
)
八四
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
︵東
井︶
ーここでいう金暑地とは︑現物を時価に換算したいわゆる代
金納
(G
el
dr
en
te
)
ではないー物納借地
(b
us
he
l 1r g t )
又は分
益借地であるが︑就中分益借地は︑合衆国において最も1般的
( 8 )
借地形態別農場数比率の衷遥並びにその事由を1応措き物納
的分益借地︵表におけるクロッ.^ーを含めた分益借地︶の比重を
見れ ば︑
1九 ︱
‑ 0
年に おい ても
︑
1九四
0
年においても︑合衆国全体では過半数を占め︑地帯別では南部において圧倒的部分
を占めており、
(1九―
-0年では八一11•四%、四 0
年では七七・七劣︶地帯別でも︵北部︑南部︑西部︶物納的分益借地のモ
れは︑金納借地︑金納的分益借地よりも蓋かに勝つている0分
八五
( 1 )
な︑支配的な形態である0今︑ここに分益借地の1
九二
0
ー四0
年間の蛮遷を表示すれば︑次の第四表の如くである︒益借地全体では合衆国全体︵北部︑南部︑西部を問わず︶にお
いて過半数を占めている0従って合衆国では︑いうまでもな
く︑分益借地は金納借地よりも蓋かに普及している借地形態で
ある︒だから︑ファーム・テニュアが晨業生産に及ぼす影響如
何を観察する際に︑分益借地形態︑就中数的比重に勝る物納的
分益借地形態が特に重要視されるぺきである︒かかる意昧にお
いて︑物納分益借池形態が農業生産に及ぼす影轡如何を︑物納
西 南 北 合
衆
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七f 匹• • IZD C ヽノ纂四衰金納・分益借池形態別農場経鴬数の比率の変遷︵単位%︶︵2︶
﹁人間を搾取し土地を涸渇せしめる﹂ファーム・テニ
ュアを生ぜしめたーとして現れてくるからである︒そして︑こ
の地主・小作の対立関係こそば︑ファーム・テニュアの史的背 お
いて
︑
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
的分益借地が圧倒的部分を占める南部において︑特に次に観察
することとして︑ここではこれらの形態別借地形態がもつ特殊
性を捨象して︑合衆国借地形態1般の農業生産に及ぽす影轡如
﹁過去の全ての文明は土地の私的所有の土台の上に栂築され
たのであるが︑この制度は︑大低の場合︑私的独占を生ぜし
めた﹂のであり︑この私的独占は︑合衆国においては土地所有の
( 4 )
不平等を生ぜしめ︑借地農を増加せしめたのである︒このこと
的独占およびこれに随伴する不平等は︑現在の農業借地の問題
直接 の原 因は
︑
士地所有者と土地耕作者との不平等的契約能
( 5 )
力によつて条件づけられて来た﹂と︒ビイズルが︑農業借地の
問題を説明するものを︑﹁土地の私的独占﹂となしたのは最も当
をえたものである︒蓋し﹁士地の私的独占﹂とそれに随伴する不
平等は︑地代を媒介として︑地主・小作の対立関係ー合衆国に を説明するに大いに役立つものであって︑少くとも農場借地の を指摘したのは︑ビイズルであり︑さらに彼はいう﹁土地の私 何を観察して見たいと思う︒
︵東
井︶
アメリカ合衆国の現存の借地契約は︑地主
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)
が農業を発逹もしめるという旧アングロ・サクゾンの概念
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から発展したものであつて︑その
概念は︑大低の地主が完全に農業経営に通暁し︑農業生産力増
進のための賽本投下に熱意があり︑小作農の近代的抜循の採用
を援助する賽力があるということ︑並びに地主の利害が小作農
および農村社会全体の利害と1致するということを前提として
いる︒これらの賽格をもち︑優れた経営能力を発揮する地主が
いないことはない︒そしてかかる地主は︑小作農を複雑な農業
のクラフツマンシップにおける徒弟と見倣し︑1定の期間後彼
等に地主の土地所有権を提供しようとするものである°息子に
土地を貸与する土地所有者は︑息子が両親の農場所有の資格を
えるまで︑このような借地形態をとるものであって︑事実︑
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‑
ューイソグラソド︑中部大西洋岸諸州
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東北中央諸州
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の地方における如く︑小
作農の比率の低い地帯には︑小作農の大部分ほ地主と姻戚関係
であり︑小作期間は1世代から次の世代への農場譲渡の相続過 の観察を地主・小作の関係から始めることにする︒ 景である°故に︑ファーム・テニュアの農業生産への影響如何 八六
アメり力合衆国の﹁フプーム・テニュア﹂
︵東
井︶
程の
1段階である︒けれども︑小作農の比率の高い︑家族規模
型農業の普及している地帝では︑極めて少数の借地農場に妥当
するものであって︑地主・小作関係はますます非人間的となる
傾向があり︑地主は日々の農場経営問題から涼ざかる傾向があ
る︒︵この傾向は︑若干の地帯にあっては︑地主が地主機能を
委任し︑小作農に指導と助言とを与える農業経営サービスによ
つて部分的にではあるが相殺されている︒︶多くの地主の利害
関係は小作農のそれとは両立し難いのである︒地主は自已の圃
場を︑種々の形態をとる投資の1形態と見倣し︑往々小作農家
の幸福と土地の長期的生産力を儀牲にして︑地代の高さを最大
化することに関心をもち︑この種の地主は小作農が自已の最適
能力に応じた仕事をなすに陣害となる︒同時に小作農は︑農
場を最も短期間に出来るだけの牧穫をなす場所と見倣し︑地主
の抗議又は土地の涸渇に出合うならば︑他の処へ移動をなす場
( 7 )
所と農場を見倣しているのである︒
フライヤーは︑合衆国小作制度の現状について次の如く述べ
ている︒﹁小作農は︑地力を維持する多年生植物の播種・牧穫︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑のための充分な長期的借地をもつ権利があり︑必要な建物の建
築︑土地改善等の補償をうる賽格がある︒農家家族用の相当な
八七 家屋のある農場も︑ない農場も︑同1地代額によつて貸与され
ている現状は︑零落した農村生活水準を反映している︒われわ
れは自営農場を擁譲しなかったし︑農村の人々の貧窟が土地に
賽本化されるのを放任した°地主は恰も小作農家族が存在しな
かった如くに地代を徴牧したのである︒そして地主は︑家屋が
小作農家族の住むに快適な避難所となる如くに︑農場家屋を修・
縛し維持することを強制されてはいない︒通常の悪い借地の下
における小作農にとつては家屋の再建︑自営農場
( E
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st ea d) の増 強︑ 土地 の改 良は 不可 能で あり
︑地 主は それ をな
さないであろう︒その結果︑田舎は貧民窟となる°無統制の競争
的地 代制 度︵ 已e un
8
且r o l l
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)
は︑思慮なき制度であることは明白であり所有
( I
財産︶や人
C8 )
々を擁護する事は出来ない︒﹂と︒︵傍点筆者︶フライヤーの言
葉は合衆国のテニュアの現状を最も簡潔によく表示しているが
慨中重要な事は胃頭の言葉の意味するところであり︑実はその
事は合衆国の借地が短期借地である事を指摘したのに外ならな
いのである°合衆国における小作農を特色づけているのは︑フ
ライヤーの言葉に見られる如く︑貧窮︑無知︑非衝生︑貧しい
生活水準社会的接触の欠如︑土地の澗漏等であるが︑これは
借地によるものではないといえるかも知れない︒しかし︑
れどころか︑窮迫︑無知︑無能︑その他の無力等は人々をして︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑小作農たらしめ︑而して借地はこれらの諸条件を強化し︑それ
︑
︑
︑
︑
︑
︑
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︑
︑
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︑
︑
︑
らの発展を助長するのである︒このことの妥当如何は著しく借︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑す
︑︑
︑
地の型︑なわち地主・小作関係によつて左右されるものであ
る0地主・小作関係が健全であるところの多くの例︑多くの地
帯があるけれども︑全体的にいえば合衆国に昔及している借地
形態は︑おそらく文明社会の最悪のものであろう︒このことは
︑︑
︑︑
︑︑
︑ 著し く土 地所 有の 性格 によ るも ので あり
・・
・・
・・
°大 部分 の地 主隋
級は︑各自の農場との関係を永続さをないのであり︑晨湯改良
の長期的計画︑又は長期的な借地契約を発達さすことを嫌悪す
( 9 )
るのである︒﹂盆傍点筆者︶
アメリカ合衆国の借地の契約期間は︑通常1年であり︵いわ
ゆる年極め借地︶︑小作農は︑翌年に同1農場に止まるか否かを
知ることなくして十年又はそれ以上同1農場に止まつているの
C1 0)
であ る︒
1九11一五年には︑全農業経営者のうち四分の1
が ︑
1
年又はそれ以下の農場の占有であり︑小作長のうち四七%とク
ロツ
︒^ ーの 五七
%が 二年 以下 の土 地の 占有 であ った
︒
1九四
0
﹁ そ 1般的にいつて︑必ずしもランド・テニュアの1形態としてのアメ
9カ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂︵東井︶
年には︑契約期間の如何に拘らず︑調査対象小作農場数→ー最
家︶のうち︑占有の1年以内のもの十六%︑二年以内のもの一
1 1
Ill~、
11
一年以内のもの四六%、四年以内のもの翌^%であっ(11) た0借地契約はいわゆる年極め借地で︑占有期関もこのように
短期である︒多くの小作農やクロッ︒^ーのこのような短期移動
の廻由は︑ョリよき農場を求めること︑是地の売却によること︑
テニュアの身分上の菱化や隠退︑彼等の地主との利害関係の不
C 3
1致等であるとなされてはいるが︑これは合衆国の土地所有
の性格によるものであり︑土地保有状態の不安定の現れであ
る︒そして土地保有状態の不安定は︑合衆国のファーム・テー︱
ュアの最悪の特徴の1
つで ある
︒
1般的にいえば︑﹁小作晨が︑土地︑建物に投入する余分の
努力が何んであれ︑それは︑それに相応じる地主の余分の出賽
によって補償されないならば小作長の地代を増加さす傾向があ
C1 3)
る︒﹂このことは︑賽本制生産が発展するにつれて土地所有
者が借地期間をできるだけ短縮しようとする理由の1
つで あ
る︒そして合衆国の大部分の地主階級の所有又はそれらへの志
向は︑全く暫時的である︒地主は︑農業者ではなくして︑相続
によって投機的目的のため︑又は抵当物牧得によつて農場を獲
八 八
アメリカ合衆国の﹁フプーム・テニュア﹂
︵東
井︶
得し出来るだけ早く農地の売却を期待する人である︒ながく所
有者であろうとする意志のある場合ですら︑絶えず変動する晨
場価額による金融上の顛倒のために︑地主は農場の売却を余鏃
なくされるのである°而して︑合衆国の大部分の地主は長期借
( .1 4
)
地を嫌悪するのである︒かくして成立した合衆国の短期借地
︵年極め借地︶は︑賽本および賃労佑︵或る場合には家族労佑の
補充としてではあるが︶を投下することによって土地を喪本主
義的に利用するために土地の賃借をなすことを前提とする純粋
の賽本主議的借地諸形態とは両立し難いのである°何故なら︑か
かる借地形態は定常な贅本主議的企業的借地農業経営の可能性
を排除するからである︒そして`﹁所有の重圧のない︑高度に商
業化された大農への志向は︑合衆国の尤大な農民層には典型的
c g
ではない﹂のである︒小作農は︑賃労仇を使用し土地を賽本
主義的に利用するためでなく︑むしろ直接の消費を目的として
士地を賃借すること︵いわゆる食糧借地
y
あるいは`よし企業的および商品経営のためであるとしても︑賽本主議的生産で
はなくてやはり単純商品生産の形態における経営のために土地
を賃借する小生産者ー農民︑いいかえれば小独立生産者であ
る°合衆国では土地を賃借する小狼立生産者又は小.土地所有
であ る︒
八九
者は
︑統 計局 (t he
B u r e
a u .
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t h e
Ce ns us )に よっ て作 成さ
れた特殊の研究によれば︑1
九一
︳元 年に は︑
四
00
ドル以下の生産物価額の所得をもつ自作農経営農場数並びに縫営者による
経営 農場 数の 割合 (t he
P r o p
o r t i
g
とは︑小作農経営農場数のoそれと実際に同1
であ り︑ それ ぞれ の︒
^
1
セン トは 一
1 1
︱‑
‑・
七%
6) と三四・ニ劣であったのである︒かかる農場においては︑僅少
な所得によつて︑経営者は凶作︑価格盆溢匹格︶の激蛮に厭え
えないじ︑普通以上の高価な医療費に酎える事は出来ないので
ある°借地は不適正な農場問題を錯綜せしめるのである︑何故
なれば︑多くの場合に︑土地は1家族に充分な生活賽料を与え
るのであるが︑地主と小作との間に分割するには充分といえな
G)
いからである︒小作農のかかる状態が生じたのは︑﹁地主・小
G)
作関係が︑膜々小作農場の生産能率・地力維持を低下さす﹂か
らであり︑土地保有状態の不安定が賽本主議的借地農経営の可
能性を排除しているからである︒かくして利用しうぺき労佑
( a v a
i l a b
l e
labor)~
完全に燃焼をしめ能率的に利用しうる晨
場を求めようとする小作晨およびクロッパーの努力は︑農場か
ら農場への高価な鶴牲による賦々の移動の原因となっているの
地占有の安定を獲得しようとし︑それに随伴するョリ高い地代 あり︑同時に充分の賽本を有する多くの借地人が長期の借地を アメリカ合衆国における短期借地が農業組織と経営に及ぼす
著しい影響は︑長時間並びに遠大な計画を必要とする農業にお
ける諸企業の均衡的な結合
(a
ba
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ed
co
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すなわ
ち個々の農場およびその位置に応じて変化する企業の結合の展
開を阻害することにある°短期借地においては︑いきほい︑小
作農は企業の選択において制約されており︑農業生産組織にお
cr
op
)
, i < , l
過大視し︑長期的企業︵例えば多年生茨科植物︑グラ
ス(
gr
as
se
s)
︑家畜企業等︶を過小視せざるをえなくなるのであ
る°借地料の額は︑純粋の資本主義的借地が支配している場合
でさえ︑第一に︑借地の期間如何にかかつているのであり︑長
期の借地の場合には︑査本主義的借地人は多額の資本投下を行
いうるばかりでなく︑それを完全に利用することをえて借地料
ではなく彼自身の超過利潤を高めることが出来る︒これに反し
て︑短期借地の場合にほ︑かかる多額の投賓は殆んど不可能で
得ようとして競争する結果地代を高めざるをえないのである︒
小作農は﹁或る改善を有効的に利用するために︑非常に高い土 いて短期に出来るだけ牧穫をあげるために換金作物
(C
as
h
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
︵東
井︶
を農場に支払おうとする︒﹂のみならず.﹁土地改箸は︑他の小
作農をして地代を競り上げしめ︑補償に関する相互の契約がな
い場合には︑小作農が農場を離れるや否や地主の所有
( I
財産
︶
となるであろう︒﹂合衆国においては︑末利用土地改善に対する
何等の補償もないのでぶ小作農は土地改良を過小にし︑流動賽本
部分を出来るだけ手許に保有しようとし︑他方︑地主も地代の
増加によって償いえないような費用のかかる改良を嫌悪するの
である︒このような地主・小作の対立的性格は︑さらに賓本逃
用物
( ca p
i ta l
a pp l
i ca t
i on )
に対する二軍の管理によつて強めら
腑久形態の資本適用物に対する二軍の管理があり︑建物︑囲練
石灰石︑他の地力改箸等の形態で土地に直接合体した資本は︑
1般に地主の管理下にあり︑改革に投下された1定量の賓本に
よる地代の増加の量に関して地主と小作との間に意見の離反が
(19) 膜々起るのである︒﹂この﹁二重管理﹂によって︑小作農は農業
軽営に対する資本投下が制約され︑土地改良を過小にし︑農業
経営の最適集約度以下並びに能率以下の経営をなすに至るので
ある︒従つて︑小作農の農業生産︑生活水準ほ低下し︑土地涸
渇が生ずるのである︒かかる状態は︑﹁土地が投機者の手中に れるのである︒すなわち︑合衆国においては︑﹁耐久並びに非
九〇
︵東
井︶
帰したときは︑おそらく最悪である°地主は土地販売を除いて
ほ土地に何等の関心ももたない°農地は何時か阪売されるか
ら︑小作農には土地占有の保証は全然なく︑小作農は土地を地
( 2 0 )
主の搾取の手段と見倣すであろう︒﹂
以上︑アメリカの合衆国のランド・オア・ファーム・テニュ
アの現存の諸条件においての池主・小作の対立関係︑ー小作農
の土地保有状態の不安定が合衆国の賽本主職的借地経営の成立
の可能性をいかに排除しているかを観察したのであるが︑ここ
に観察したことは卦建的産物
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である借地
( 21 )
制度
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︑いいかえれば小作農の最適集約度以下
の諸企業の不均衡的な結合を生ぜしめ︑土地を洞渇さし人間を
搾取する﹁二重の管理﹂又は﹁土地の二重占有制﹂
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i諸力の発展及び農
業賽本主義の発展の上に及ぽすその麻痺的影轡に外ならないの
である°最後に︑アメリカ合衆国のファーム・テニュアにおけ
る弱点を要約しておけば次の如くである︒すなわち﹁合衆国に
おける農業借地の弱点は︑地帯別には異なっているが︑1般的
にいえば
( a )
土地保有状態の不安定︑
( b )
不充分な農場
1
猫額大の農場︑土地生産力の低位︑維持されない農場改箸
アメリカ合衆国の﹁ファーム・テニュア﹂
力
( c )
小作農が経営管理能力に欠くこと︑
( d )
無能な経営
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不充分な農家所得︑
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( g )
社会事業
( 8
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への小作農
の不 参加
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( h )
小作農によってなされた致箸並びに損害に対
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する補償のなき事等である︒﹂
註
( 1 )
この分益農制が普及するに至った躙由に関しては沢
村康氏は﹁アメリカ合衆国の小作﹂農業経獅学会編﹁
農業経済研究﹂︵大正十五年第二巻第一云こにおいて
﹁植民時代に於ては新大陸への来住者は︵の?︶多くは
査本も経験をも有せざる労働者であったから︑地主は
之れに対して自ら経営賓本を供給し且つ其の経営を指
導する必要があった︒斯くて分益小作が特に広く行は
るる様になったのである︒
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( 3 )
変遥の事由を別として変遷並びに静態的構成を見れ
ば夭の如くである︒一を一
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ー四0
年間には金納的分益借地の増加が顕著(一九二0
年には僅か五•六%、1九四