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会計における三つの基本理念

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会計における三つの基本理念

その他のタイトル Three Basic Ideas in Accounting

著者 酒井 文雄

雑誌名 關西大學商學論集

巻 19

号 1

ページ 63‑72

発行年 1974‑04‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00021150

(2)

(63)  63 

会計における三つの基本理念

酒 井 文 雄

は し が き

A•C ・リトルトンは,その高弟 V•K ・チンマーマンとの意欲的な共著

「会計理論—~連続性と変化」 (1962年)のなかで,会計の過去, 現在, 来を一貫して継続する基本理念として,(1)会計責任 (accoutability), (2)検証 (verification),  (3)解釈 (interpretation)の三つを挙げている。伝統的な会計 理論が,経済的環境の激動と隣接諸科学における新しい理論の台頭の前に混 迷の様相を深めているこんにち,会計理論固有の対象領域でのこのような省

1) 

察には,殊更に意義深いものがあると思われる。

リトルトン,チンマーマンは,どのようにして右のような会計における三 つの基本理念に到達したのか。彼等はまた,これら三つの基本理念を如何な る内容のものとして理解しているのか。さらに,われわれ自身は,こんに ち,こうした問題提起をどのように受けとめるべきなのか。小稿の課題は,

右の共著の最終章(第11章「変化をともなった連続性」)の考察を通じて,

これらの点を明らかにすることである。

会計の史的発展の理論

リトルトン,チンマーマンは,こんにちまでおよそ七百年におよぶ会計の 歴史的発展への考察に基づいて, 「変化の真唯中での連続性」 (continuity in 

2) 

the midst of change)という相対性原理 (relativity)による特有の会計史観を

1) ちなみに,この共著の解題には「会計思想史をそのイデオロギー的基礎に関連づけ る開拓者的研究」と記されている。

2)  A. C.  Littleton and V. K.  Zimmerman, Accounting Theory: Continuity and  Change,  1962, p. 254, p. 256. 

(3)

定立するとともに,右の会計上の連続性を成立せしめる四つの持続的要素を 指摘している。

彼等によると,会計が発展した速度は決して均ーでなく,飛耀期は相対的 に小さな変化しかない長たらしい幾つかの時期によって分断され,しかもこ の飛躍期は, 1)  15世紀末葉におけるイクリア的資本・利益計算 (italian capitalincome accounting)創造の時期,(2)19世紀前半における財務資料のイ

ギリス的伝達の時期, 3)  20世紀の最初の四半期における原価計算へのアメ リカ的貢献の時期, 4)  20世紀前半における国民所得会計出現の時期の四つ に劃されている。そして,これら四つの飛躍期にみられる会計上の連続性と 変化の様相は,つぎのようである。

(イタリア的資本・利益計算創造の時期) 実在勘定と名目勘定との統 合によるイクリア的資本・利益計算創造の基盤は左右両側からなる勘定形態 (bilateral account form)であったが,このような左右両側からなる勘定形態 そのものは, 1494年にパチョリーの書物が出版されるより約三百年以前から 使用されていたイクリアの初期の銀行家達の勘定形態から,引き出されたも のであった。だが,実在勘定と名目勘定との終局的な統合は,パチョリー以 前の三百年には具休化されえなかった。 「恐らく,そのような実在勘定と名 目勘定との統合は,イクリ.アの銀行家達や商人達の利用経験に基づく緩慢な 試行錯誤期を通じて,諸勘定間の明白な相互関係についての是駆される論証

3) 

が達成された後にのみ,実現された」。 そして, 電子計算機の利用されるこ んにちでは,勘定形態自休は基礎的教科書以外ではほとんど注目されないに も拘わらず,勘定形態の背後にある概念はなおかつ持続している。 「この連 続性は,基礎的な理念や概念が, その特定の表現形態が生命力 (vitality) 持つ以上に,もっと多くの生命力を持っているかも知れない,ということを 暗示している。ここで基礎的な要素は,左右両側からなる勘定形態といった

4) 

ものでは決してなく,勘定間の関係に示された固有の意義である」。

3)  Ibid., p. 248.  4)  Ibid., pp. 247248. 

(4)

会計における三つの基本理念(酒井) (65)  65  勘定のもう一つの特徴も考察しなければならない。「勘定の結果(outcome) すなわち勘定残高というのは……関連はあるが正反対の諸取引を包含する一 個の計算量 (computation)である。関連ある諸取引の結果は経営に特定の解 釈的意義をもっているので,対照的だが関連のある諸要素が適切な分類範疇

5) 

内で接触させられるのは全く論理的である」。 したがって, 仮に原初の左右 両側からなる勘定形態が無視され忘れ去られることがあるとしても,正反対 の関連ある諸要素を結合するという勘定形態によって示された重要な概念は 持続するだろう。「もしも,一つの理念ないし概念が充分に基礎的であれば,

その理念ないし概念は持続する。この考え方は,歴史的な連続性の精髄を表

6) 

わしている」のである。

(財務資料のイギリス的伝達の時期) 財務諸表による企業資料の伝達 は,詐欺的会社創立から投資家を守るために, 19世紀のイギリスで承認され た心要性によって創造された。これは,会計における「連続性の存在のなか

7) 

での変化」 (changein the presence of continuity), 会計における「有用な連 続性の真唯中での建設的な変化」 (constructivechange in the  midst  of  useful 

8) 

continuity)の一実例を,なすものである。英国人は,財務諸表の全体的伝達 カの巨大な拡張能力をともなったこのような革新において, 「会計上の連続

9) 

性の一つの新しい進路を創始した」のである。

(原価計算へのアメリカ的貢献の時期) 20世紀の最初の四半期の顕著 な会計上の革新は,工業会計 (industrialaccounting)である。 この名称で示 される会計諸行為の集合体が大部分アメリカの貢献であったと信ずるのは,

公正である。とはいえ,工業会計はこの時代の発明品 (invention)ではな 「出現する生産物の経済的測定を可能ならしめる多様な原価を結合する

10) 

理念は,非常に古いものである」。そのような原価の分析的結合の理念は,

数百年以前に初期の織物工場の管理上の要請のなかに現われていたというこ 5), 6)  Ibid.,  p. 248. 

7),  8), 9)  Ibid,,  p. 249.  10)  1 3)  Ibid.,  p. 250 

(5)

とが,当然ながら期待されてよかろう。しかも「その理念は,工業会計の背

11) 

後にある基礎的理念として,こにんにちも有用さを保っている」。つまり,

12) 

現代的概念は,時として「原価は凝着する」 (costattach)という言葉で表硯 される。ここには,「会計上の連続性という一本の糸 (athread of accounting 

13) 

continuity)が見られる」のである。

(国民所得会計出現の時期) 20世紀の前半は,戦時期,不況期,イン フレーション期によって特徴づけられる。この基盤から,公共的利害への関 心の向揚に結ぴつけられて,国民的関係と国民的量で表現された経済変動が それによって引き出されるだろうところの部門分類の一仕組みたる,国民所 得会計が生まれた。これは,企業会計の資料分類サービスのあるものが国家 的な経済測定の資料分類サービスに利用できるという発想に由来している。

したがって,国民所得会計=経済会計の示す「社会的諸勘定(socialaccounts)  は,変化の存在のなかでの会計的連続性(accountingcontinuity in the presence 

14) 

of change)の最近の一例を表わす」ものである。

右のような会計発展のいくつかの飛躁期についての概観からも判明するよ うに, リトルトン,チンマーマンは会計上の連続性を,伝統の単なる持続と は理解せず,個々の変化の同化,包摂をともなった基本的諸要素の同質的持 続として理解している。すなわち,彼等はいう。「個々の変化は,それが実務 で承駆をえたのち,それ自身の連続性をかち得た。より多くの必要性が現わ れ,より多くの変化が付着させられたので,会計上の発展という系(thread) は,紐(cord)になり,綱(rope)になり,やがて多くのからみ合った索(strands) からなる一つの複雑なふと綱 (cable)になった。 しかも,これらのすべての 段階を通じて,初期の芯となった諸概念(coreconcepts)のあるものが,持続 した。かりにわれわれが硯代工業会計を包含する歴史的索 (thehistorical  strands)をほどくことが可能だとしたら, 単純な諸状況が等しく単純な諸方 法の誘因となったそれらの事例のうちに,硯在を過去に結ぴつけている<会 計上の連続性という> (引用者挿入)一理論の幾筋もの糸を見ることができ 14), 16)  Ibid.,  p. 252. 

(6)

会計における三つの基本理念(酒井) 67)  67 

15) 

よう」と。彼等はまた,いう。 「幾世紀もの間存続してきた会計上の連続性 は,伝統の単なる持続ではない。それは,申し分なきものの生存への証拠と なる。基礎的諸要素は,それらが基礎的であるがゆえに,かつ変化が真に基 礎的であるものに取って代わる必要は稀であろうがゆえに,存続する。歴史 的変化は,変質 (alteration)であるよりもむしろ増殖的成長(accretion)であ

16). 

る,と思われる」と。

リトルトン,チンマーマンはまた,これに続いて,右の会計上の連続性を 成立せしめる持続的諸要素として,(1)企業経営者の継続的な機敏さ(continu ing responsiveness of enterprisl management),  (2)企業実体(enterpriseentity),  (3)企業の交換価格による取引 (enterpriseexchangeprice transactions),  (4) 業の下位範疇としての勘定の利用 (useof account as  the subcategories  of an  enterprise)をあげ,このうち第一の要素が最も決定的であることを指摘して いる。なぜなら,彼等によると,企業はこんにちもなおいぜんとして,その 意思決定がある累積的効果をもつ一人の責任ある経営者の指揮下で活動し,

成功ないし失敗しているからである。

永続的な三つの基本理念

リトルトン,チンマーマンが会計の過去,硯在,将来を一貫して継続する 基本理念として (1)会計責任,(2)検証,(3)解釈の三つを挙げていることは,

冒頭に指摘した。彼等はまず,これらの基本理念の内容を,つぎのように理 解している。

(会計責任) 会計責任という理念は,「受け入れた責任(responsibility) は,この解除に際して,報告するという一個の義務(aduty to report)をとも

17) 

なう」ということである。この理念の初期の経済的表明は, 16世紀の荘園で 実施された代理人の会計責任 (stewardshipaccountability)という概念であっ た。より現代的な例は,株式会社の管理者が株主に定期的に貸借対照表を提 15)  Ibid.,  pp. 250251. 

17), 18)  Ibid.,  p.254. 

(7)

供するというイギリスの法令に基づく強制と株式会社の年次報告書を印刷し て広く配布するアメリカの自発的な実務によって,提供される。こんにちま でにこの報告義務の部分的修正がみられたが,それはとりわけ,報告義務の 私企業への拡大と報告方法の変化とによるものであった。しかし,会計責任 というー語に集約されてよい一つの主題は,一貫してこんにちまで残ってい るのである。

(検証) 検証という理念は, 「周知の人間の持っている弱点が,報 告の信頼性と報告者の人格的忠実性についての若千の検査を適当ならしめ

18) 

る」ということである。この確信は,徴税人,ギルドの会計係,荘園の執事 といった会計責任のある人間に,虚偽の報告の事例を見破る能力をもった利 害関係者達の面然で,口頭で公然と報告することを強制する初期の実務の背 後に,疑いもなく横たわっている。この確信に基づく現代的行為は,イギリ

スの監査と証明への法的強制,財務諸表の公表とそれについての独立の会計 専門家による証明を強制する証券取引委員会を創設したアメリカの立法のう ちにみられる。そして, 「委託者を受託者の側の欺睛から保護するという中 心理念は非常に早く現われたが,現代的諸状況がこんにちまでにいくつかの

19) 

部分的修正をもたらしている」。すなわち, 利害関係者はいまや,株式会社 の役員,株主,従業員,そしてさらに多くの人々を,包含している。検証は いまや,口頭でなされるよりも記述でなされる。監査人はいまや,中世的な 記録係の仲間であるよりも独立の専門家である。さらに, 「事実に関する公 表と技術的な精査は,いまや,小グループの人達の利害においてなされるよ

20) 

りも,むしろ多くの大衆の利害においてなされる」のである。

解釈という理念は, 「会計は,解釈的用途のための資料を

21) 

準備する一個の情報的価値休系 (informationalapparatus)である」というこ とである。この価値体系は,預金者と借用者についての銀行家の勘定の拡大 としてずっと以前に始まり,その時以来こんにちまで絶えず拡大してきたの である。

19)  2 6)  Ibid., p. 255. 

(8)

会計における三つの基本理念(酒井) (69)  69  リトルトン,チンマーマンは,これら三つの基本理念のそれぞれは, 「古

22) 

くしかもいまなお存続している三つの必要性に関連している」という。すな わち,「報告するために記録する (record)ことの必要性,信頼するために監 査する (audit)ことの必要性, 理解するために分析する (analyze)ことの必

25) 

要性」という三つの必要性が,これら三つの基本理念に個々に対応している のである。しかも,彼等によると, 「これらの三つの理念は,現代世界が過 去から顕著なイデオロギー上のまた方法論上の遺産を受取ってきたというこ とを,示

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ものである。この遺産は,土地や財宝からなる遣産と同様に,

永続性をもって (withpermanence)こんにちまで継続してきたのである。幾 世紀を通じての賢明な暮らし方が,この技術的な遺産のサービス能力をこん にちまでに大いに増大したのである。その上,彼等によると, 「この技術的 遺産の発展するサービス能力が,五世紀以上も以前に資本・利益計算に具体 化された健全な基礎的枠組に根ざしている,というもう一つの事実を,見逃 すべきではない。その時以来こんにちまでに会計に生起したすべてのこと は,建設的な改善 (~onstructive improvement)であったのである。つまり,創 始の構造からなる基盤が,新しい上部建築物 (superstructure)を支え続けて

25) 

いるのである」。

ところで, リトルトン,チンマーマンによると,右の会計上の三つの基本 理念のなかで「会計の基本的要素として最も重要なのは, 多分, 『解釈』で

26) 

あろう」という。報告という会計責任の技術ですら,利害関係者にその責任 とそれに関する行為を解釈する主体についての理念を,含んでいる。監査技 術もまた,ある解釈的側面を含んでいる。すなわち,そこでは,細部につい ての熟練した検査と集約された資料についてのそれに続く証明を通じて,企 業の会計報告書の信頼性が利害関係者に解釈されるのである。しかも,彼等

27) 

によると, 「解釈それ自体の最も重要な側面は,分析 (analysis)である」と いう。分析は,最も単純な会計記録にすら,その第一歩の背後にひそんでい る。企業に関連した諸事象は,会計報告書を構成する有益な範疇にそれらの 27)  2

 

9)  Ibid.,  p. 256.' 

(9)

諸事象の資料が正当に分類されてよい以前に,まず分析的に理解されねばな らない。分析は,監査手続にも徹底的に含まれている。というのは,重要な 諸勘定の内容は迅速かつ効果的にそれら諸勘定間の適切な関連性に対して検 査されねばならず,また,財務諸表に記載された表示を裏付ける能力に関し て,有効な監査証拠が分析的に評価されねばならぬ,からである。分析はま た,監査済みの財務諸表の読者にとっても,非常に有用な技術である。とい うのは,財務諸表に含まれているメッセージというのは,それにいか程手ぎ わよく経済的資料を配していようとも,集約された諸項目間に存在する相互 関係への注意と理解による表示から引き出されたものに進いないからであ る。かくして,彼等はいう。「会計は,事実,一個の情報的価値休系である。

だが,会計は,それ以上のもの,つまり分析的解釈(analyticalinterpre{aion)  と解釈的分析 (interpretativeanalysis)の一個の応用科学 (technology)であ る。会計的サービスのこの側面の評価は,イクリアの革新者達によってなさ れた偉大な貢献が事実に基づく企業資料(歴史的な取引原価)の極めて早期 的な統合であったということ,そしてこの統合が企業資本と企業利益との相

'28) 

互関係の分析を許容したということを,明らかにする」と。彼等は,またい 「若千のものはなお探究されていないが,この応用科学的価値休系の分 析的解釈への能力は極めて大きいので,われわれは,会計が将来において奉 仕し続けることを期待できる。そして,過去の歴史的証拠に基づいて,われ われは,会計的サービス技術の絶えざる改善とこれに付随したそのイデオロ

29) 

ギーの純化を期待していいのである」と。

会計上の幾つかの飛躍期についての史的考察から会計の歴史的発展が変化 をともなった連続性として把握できるということ,そしてこの連続性はその 特定の表硯形態においてよりもむしろその基礎的理念においてより大きな生 命力をもっているということ,記録監査,分析という古くかつこんにちも

なお存続している会計上の三つの必要性が会計責任,検証,解釈という会計

(10)

会計における三つの基本理念(酒井) (71)  71  上の永続的な三つの基本理念にそれぞれ対応しているということ,これらの 三つの基本理念のうちで解釈とりわけ分析的解釈が会計の本質をなすもので あるということ,これらのことが, リトルトン,チンマーマンの所説の骨子 であった。そしてこの場合,彼等が会計発展の歴史的考察から会計上の基本 理念の連続性の認識に到達していることは,明瞭である。

ところで, 会計責任, 検証, 解釈という三つの会計上の基本理念の内容 は,彼等の説明でどの程度明らかになったといえるのだろうか。三つの基本 理念のうち最も重要だとされる解釈については,ここでは会計責任や検証ほ どにはその性質が充分に明確化されていないきらいがある。したがって,ゎ れわれは, リトルトンが曽ってその著「会計理論の構造」 (1953)やペート ンとの共著「会社会計基準序説」 (1940年)で指摘した,(1)解釈(explanatio5n0))  には優れたものから良いもの貧弱なものに到る (varyfrom excellent to  good  to poor)質的な等級 (gradations)と憶測から事実に及びうる(canrange from 

31) 

fancy to fact)段階的な (stairstepped)階層 (levels)があるということ,(2) 会計上の解釈には会計固有の骨組みに内在する解釈 (theinterpretation inhe rent in  the  intrinsic  framework of  accounting)と批判的検討を媒介として展

32) 

開されるべき非正統的な特殊な解釈 (specialinterpretation)とがあるという ことの意味を,改めてここに想起する必要がある。会計における最も重要な 基本理念としての解釈は,ある種の領域におけるように完全な科学的解釈で はあり得ないとしても,客観的事実と会計固有の骨組みとに基づく公正妥当 なものでなければならぬからである。

30)  ここでは, interpretationと同義で explanationという用語が使用されている。

なお,ペートンとの共著「会社会計基準序説」 (1940)では,その第7章の標題が 解釈 (interpretation)となっている。

31)  A. C.  Littleton,  Structure of  Accounting Theory,  1953,  pp.133136,  A. C.  リトルトン著,大塚俊郎訳「会計理論の構造」, pp.197201. 

32)  W. A.  Paton and A. C.  Littleton,  An Introduction To Corporate Accounting  Standards,  1940,  pp.118119,  ペイトン, リトルトン共著, 中島省吾訳「会社 会計基準序説」, pp.203205. 

(11)

最後に,このような会計における根元的問題提起の現代的意義について一 言しておく。経済的環境の激動と隣接諸科学に台頭した新しい理論の影響と いう厳しい硯実がこんにち会計理論にもたらした最大の課題は,まさに会計 を会計たらしめている基本理念の解明であろう。小稿がそれを考察したリト ルトン,チンマーマンの所説は,いみじくもこの課題に答えた一つの優れた 先駆的研究であるということができる。

(追記) A.C.リトルトン教授は,この1月13日に長逝された。このささやかな一編 を故高尾忠男教授の御霊前に献ずるに際して,両教授の御冥福をともに祈る ものである。

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