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日本における中小企業会計基準の開発に関する一考察

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Academic year: 2021

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神奈川大学大学院経営学研究科『研究年報』第21号 2017年3月  25

 中小企業は必要な資金を調達して事業経営を 行っている。このような中小企業は事業活動の成 果とその効率性を明確にすることが求められる。

従って、中小企業の経営活動の実態を正確に把握 するために、中小企業会計基準が欠かせない。現 存の中小企業会計基準について、日本の中小会計 指針も、中小企業版国際会計基準も共に、大企業 会計基準を簡略され、策定された。この状況を踏 まえ、「中小会計要領」は国際会計基準の影響が 懸念される中で日本独自の重要な中小企業会計基 準として生まれた。

 本論文では、日本における中小企業と中小企業 会計基準の現状について紹介したうえで、上述の 2つの中小企業会計基準を併存する現状に対して それぞれの特徴と問題点を指摘した。また、日本 における国際会計基準の導入の問題点を何かを 探って、中小企業に対する国際会計基準は適合し うるものであるかを検討し、「中小会計要領」の 制定と普及を考察することによって、日本の会計 制度における中小企業の会計のあり方を明らかに することとした。

 本論文における研究方法では、中小企業会計基 準と国際会計基準に関する資料を収集して、中小

企業版IFRSの問題について検討した。そして、「中 小会計指針」と「中小会計要領」の体系を分析し、

日本における中小企業会計基準の適用のあり方を 考察した。

 本論文は四章十二節で構成されている。

 まず第1章では、中小企業会計基準の機能と開 発について解明した。本章は中小企業の概念と人 手不足、設備老朽化、高齢化などの現状及び今後 の課題を検討し、中小企業財務諸表の目的と中小 企業会計の必要性を説明した。ここでは中小企業 独自の会計基準の機能と会計基準設定の重要性を 明らかにしたうえで、日本における中小企業の会 計をめぐる動きと中小企業の会計に関する3つの 研究会報告書の違いを明らかにし、中小企業会計 基準の発展を詳述した。

 次に第2章では中小会社会計指針策定と内容に ついて述べた。本章では第1節に中小指針の背景、

公表経緯と作成方針を説明したうえで、中小会計 指針は三つの研究報告書からどのような影響を受 けたのかを明らかにした。第2節は中小会計指針 の適用対象、「シングルスタンダードの立場をとっ ている」、「税法基準に拠った処理が限定的に認め

■ 修士論文要旨

日本における中小企業会計基準の開発に関する一考察

A Study of the Development of Accounting Standards for Small and Medium-Sized Enterprises in Japan

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

刘     念

LIU, Nian

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26  神奈川大学大学院経営学研究科『研究年報』第21号 2017年3月

られている」、「会計基準を強制していない」の特 徴、中小会計指針の構成と2006-2015年毎年の 改訂内容について紹介した。第3節の中小会計指 針適用と課題では、中小会計指針の「拠ることが 望ましい」と「一定の水準を保ったもの」の目的 を示し、それのもたらす影響と棚卸資産、税効果 会計、有価証券及び優遇措置などの問題点を考察 した。

 そして、第3章では、中小企業版IFRSの公表 経緯とその性格について論じた。ここでは、第1 節で、国際会計基準形成背景、経緯、特質と最近 の動向について調べ、日本の会計基準との比較 を行った上で、国際会計基準の課題を検討した。

第2節で中小企業版IFRSの策定経緯(討議資料、

公開草案)の内容を検討し、第3節で中小企業版 IFRSの認識・測定における簡素化と除外、IFRS との相違を検討したうえで、中小企業版IFRSの 導入実態を分析した。そして、中小企業会計の 国際動向を考察し、中小企業版IFRSが公正妥当 と認められる会計基準として承認されないと、

IFRS自身の高いハードルの原因で日本への適用 が困難なことを明らかにした。

 最後に第4章では、中小会計要領の普及と展望 について考察した。第1節で中小会計要領の策定 経緯を説明し、総論、各論、様式集を構成された 要領の体系を述べた。第2節で中小会計要領の適 用対象、中小会計指針と検討アプローチの方法、

目的、税法との関係、国際会計基準との関係など の項目から比較、考察し、中小会計要領の特徴を 明確にした。また、中小会計要領、中小会計指針、

中小企業版IFRSとの関係と適用状況を明らかに した。さらに第3節に中小会計要領について先行 研究において提起されたいくつの課題を検討し、

中小企業会計のあり方について考察した。そこで は、今後の日本の中小企業会計がどのような方向 へ向かうのかを展望する中で、中小会計要領の普 及と活用の必要性を明らかにした。

参照

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