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形成条件(自由端の場合)

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(1)

長野工業高等専門学校紀要 ・第

27

(1993) 15

多重解 テイラー渦におけるモー ドの 形成条件 (自由端の場合)

戸谷順信 中村育雄

Configurational condition of the multiple Taylor vortex flow (

I n   t h e   c a s e   o f   a n   a s y m m e t r i c   c o n d i t i o n )

Yorinobu TOYA and Ikuo NAKAMURA

Taylorvortex月owhassevralflOwpatterns(modes)inthesameconditionatsmall aspectratio.TheprimarymodethatisformedbyincreasingReynoldsnumber(Re) graduallyfrom zerohasa uniquePattem withtwonormalcellshavingmwardflOw directiononthebottomendplateandtheothercell'shavingoutwardflowdirectionin theupperposition.AndthesecondarymodesthatareformedbyincreasingRerapidly havesevralaowpatternswiththenorm alcellorwithananomalouscell.Ananomalous cellhasoutward月ow directiononthebottom endplate.Thenumberofthemodes apperarlngaccordingtothevariouswaysofincreasingReiscountered.TheentropylS calculatedandclearsthecomplicationofthebifurcationofthemodes.Theprocessesof thefom ationofmodesareillustratedanddiscussed.Finallycomparisonoftheresults withthesymmetricandtheasymmetricconditionsisdiscussed.

1

.

同軸回転二重円筒間のテイラー渦流れは流体安定問題のパ ラダイムの一つ として活発 に研 究 されている.多数の理論 は無限円筒を仮定 し,実験 もアスペク ト比 rを大 き くとって端 面の影響を小 さくした ものがほとんどであるが

,

Tの小 さい場合を理論,実験 の双方か ら調 べ,テイラー渦の研究 に新 しい展開を もた らしたのが

Benjamin

である( 1 ) ( 2 ) .その後,多 く の研究が rの小 さい場合についてなされてきた( 3 ) .著者 らは

Benjamin

によって提唱 された, Fの小 さい場合のテイラー渦の主モー ド

, 2

次モー ド,正規 モー ド,変異モー ド状態を上面 が自由表面やある自由端 と固定端の場合に,その発生条件,渦の構造の観点か ら詳細 に調べ てきた ( 4) ・ ( 5 ) , ( 6 ) .変異モー ドの存在 については議論 がなされてきたが( 3 ) ,著者 らの可視化写真 によれば端面上 における外向 き流れを持つ変異セルが疑 う余地な く存在す る

(6).

2

次モー ドの発生は興味ある問題であるが,その発生状態を

Re

の上昇のさせ方を変 えて 系統的に調べた例 は少 な く,固定端 の場合 においてのみ,東 らの数値計算( 7 ) I ( 8

),Bielek

Koschmieder

の実験結果があるようである

(9)

.東 らは主モー ドと

2

次 モー ドの一つの発生を

♯機械工学科 講師 H 名古屋大学 教授

原稿受付 平成

5

9

22

(2)

16

戸谷 順信 ・中村 育雄

計算 し注 目され るが,同条件下 で実験的には確 かめ られている他のモー ドには言及 していな い.

Bielek

らは多数回の実験 を行 ってい るが, モー ド発生 の確率や渦の形成過程の詳細 は 述べ られてお らず, また,著者 らの確認 したの とは異 な り奇数個 の渦 はない としているが, それは数値計算の結果をそのまま認めた もので十分 なもの とはいえない ( 9) .一般 に報告 され ている研究には固定端 の場合が多 く, 自由端 におけ る研究 は古 くは

Cole(1

0

),Snyder(l

l

)

の研 究があるが, アスペク ト比 が非常に大 きく

Beq'amin

以後 の端面 の影響 につ いて考慮 してい

るとい う意味では自由端 の場合 の研究 は見当た らない.

本研究 は自由端 の場合 において,多様 なパ ターンが生 じ

,Re

減少時 の分岐 は比較的単純 な ことが分 かってい る

r‑4.9

の場合 ( 図

3)

に問題 を絞 って,最終

Re

と回転数の直線的 増加率を変 えて各 モー ドの発生頻度や, 、渦の形成過程 を調べて, この流れの複雑 な分岐過程 の一端 を明 らかにしよ うとした ものである.著者 らは従来 よりアスペ ク ト比 が小 さいテイラ ー渦流れに関す る実験 をすべて固定端 と自由端 について行 ってお り,二つの境界条件 におけ る違 いを明 らかにして きた.固定端 については既に報告 してあ りレイノルズ数の増加 の仕方 に よってモ ー ドの発生頻 度,形成過程 の違 いにつ いて調 べ,分 岐過程 の一端 明 らか に し た

(12)

.本報 も前報 の固定端 の場 合における実験 に続 くものであ り,最後 に固定端 と自由端 における分岐関係,形成過程の比較 も行 う.

本間題 は広 く見れば外的条件 が非定常 なテイラー渦 の問題 であ る.関連 した

r

の大 きい テイラー渦の変調

(modulation)

の研究( 1 3 ) につ いてはい くつかの条件 で行われ てい るが, その内容 については既報 ( 12) を参照 されたい.

本論文で用いる記号 は次 のよ うである.

Rl,R2 :

それぞれ内外円筒半径 ( 本装置では

2R1‑79±0.1mm,2R2‑119.1±0.1mm) D:

内外円筒の隙間

(D‑Rl‑R2‑20±0.1mm)

L:

作動流体 の円筒軸方向高 さ

r:

アスペク ト

比‑L/D

a

),

uo:内円筒角速度

,

叫 は最終角速度

LJ:

作動流体 の動粘度

Re:

最終 レイノルズ数

,Re‑

6 0 o RI D/V,回転数変化時には G7 RI D/Vを意味する.

T:

内円筒が静止 か ら G 7 。に一定加速で達す るまでの時間

St:

無次元加速パ ラメータ

,St‑ 1/

a

)oT

その他 の記号 はその都度定める.

2.

実験装置 と方法

実験装置を図

1

に示 し,主要寸法は記号表 に記 した,内円筒 はステンレス製,外円筒 は透 明 アク リル製で,その外側 にアク リルの四角い槽がある. この四角い槽 は透明液体が満た さ れ可視化像の屈折を補正 し,また作動流体 の温度管理の役割をす る.内円筒 はサーボモータ にタイ ミングベル トで連結 されて回転す る.本装置 は渦の可視化を容易 にす るため従来 の も の より大 きい

(4).

作動流体 は体積比約

1:1

の水 とグ リセ リンの混合液であ り, トレーサ としてアル ミ粉 を

混入 し可視化 した.

Re

を任意 に変化 させ る方法 は内円筒 の回転数で行 う. よって作動流体

(3)

多重解テイラー渦におけるモー ドの形成条件 (自由端の場合)

1.InnerCylinder 2.OuterCylinder 3.WorkingFluid 4.Transparentliquid 5.Bath

6.Ther皿OJneteJ 7.Synchroyell

図 1 実験装置

0 3

D=

ll

>

2

内 円筒 回転速度 の履歴

17

A 1 4 A I 6

N3‑ \ /

N

5 ‑ N 7

l

C

N5:PrimaryNom a15cellMode N3:SecondaryNormal3cellMode N7:SecondaryNom a17cellMode A 14:SecondaryAnomalous4cellMode

(withanomalouscellonthelowerendplate) A 16:SecondaryAnomalous6cellMode

(withanomalouscellonthelowerendplate) C:CouetteFlow

3

流れのモー ドと

Re

減少時の分岐関係

(r‑4.9)

の動粘度 は一定 になるよ うに作動流体 の温度 を25±0.

5oC

に保持 す る. サーボモ ータ (山洋 電気社製

BL820BMO60BXT)

は回転数 とその回転数 に達す るまでの時間 をデ ィタル位置 決め装置 ( 同社製

PDC‑FI112)

で デ ィジタル制御 で きる.回転速度 の変 化 の様 子 を図

2

に示 す. この回転数 と時定数 は

Re

St

の値 を決定す る. 回転 数 はパ ルス列 に比 例 してお り,本装置のI t‑タ軸 における回転数制御 の精度 は最小移動量 が360×(

1/4000)皮/パ ル ス

に設定 されてい る.

本 実験 は自由端 の場合 を行 ない

,r

4.9

に設 定 した.流れの断面観察 にはス ライ ドプ ロ

ジ ェクタを使用 し

,5mm

幅 の ス リッ ト光 を方位角方向 に垂直 に照射 した.流 れ の断面 の

(4)

18

戸谷 順信 ・中村 育雄

様子 は ビデオカメラで撮影,記録 した. ビデオカメラは

1

コマの撮影を

1/30

秒で行 ない,読 れの形成過程を解析す るために適当な時間 における流れの画像を ビデオプ リンタで出力 した.

本実験条件で ある自由端 の場合で

,r‑4.9

において安定 に存在す るモー ドは既 に報告 さ れ てお り( 5

),Re

が除々に減少 した ときの流れの分岐図を図

3

に示す. ここで

N 5

は主 モ ー ドで,その他のモ‑ ドは

2

次 モ ー ドを表わす.特 に

,A14,A16

は変異 セルが下端面 に存在 す るモー ドを意味す る.

実験 は以下の方法で行 った .r が大 きい場合の直線加速 の研究 には速度ゼ ロか らの もの と, ク

ット流状態で一定回転 しているところか らの もの と

2

種類 ある. ここでは初速度 ゼ . )か ら行 った.す なわち,流れの初期状態 を目視 で静止 と認め られ る状態か ら,設定 した G J 。ま で,設定 した

T

で図

2

のよ うに増加 させ,発生 した渦モー ドを観察す る.図

2

の よ うに円筒 を静止 させ,同 じ実験 を繰 り返す. このよ うな流れの特性時間は作動流体 の高 さ方向に対 し,

L2/

I , ,隙間方向 に対 し

D2/

U, ス ピンア ップ時間 として

L2/)

, a, .な どが ある

(ll)

.有限長 テ イ

ラー渦の場合 には

Jti7

Jが重要 とされ

,Snyder

は渦状態が定常 になるまでに

0.15L2/

Vが必 要 としている.本実験 では

0.15L2/IJ‑177.8see.(zJ=5.4)

となるので

4

分 間を流状 態を安 定化 させ る時間 にとった∴本実験では

T‑0.01‑4.00sec.

であ り

,L2

に比べかな り早 い.

このよ うな加速で どのモー ドが発生す るかは, これまでの実験 か ら一意的でないことが分 かっているので実験 は一組 の条件,す なわち

(Re,St)

?一組 に対 して

100

回行 った

.Re

6

,St

6

種 で以下 に示 した ものだ けで も

3600

回の実験 であ る.ちなみ に

Bielek

らは

976

回実験 した と述べ てい る

(9).

なお,固定端 の場合 で

2

種 の

Re, 6

種 の

St

について,各

300

回観察 したが

,100

回の場合 と基本的な差 はなかった.今回自由端 においては行 ってない が,同様 であると考 える.

3.

実験結果 と考察

3.1

各モ‑ ドの発生頻度について

Re

St

を変化 させた ときの

2

次モー ド (図

3

参照)の発生回数の頻度分布 を図

4

に示す.

各 グ ラフは

Re

の値 を変 えた ものであ る.図 にお いて

(100‑(2

次 モー ド発生頻度))が 主 モ ー ド ( 図

3

,の

N5)

の発生頻度 を示す

.100

回の実験 なので頻度 は発生確率をパ ーセ ン トで示 した ことになる.図 よ り

Re

St

の値 によ り主モー ドの発生頻度 がか な り異 な る ことが分 かる.図は略すが

,Re‑650

では

St

の値 にかかわ らず

100%

主 モ ー ドであ り

,Re

が小 さい場合 は

St

の影響 は見 られない

.Re‑1250

では主モー ドの発生頻度 が減少 し,それ は

St

の値 によって異 なる. しか し

,St‑36×1012

では

60%

程度 に主 モー ドは減少す る.特 に

Re‑3780

では主モ‑ ドの発生頻度 は

St

2×102

では

500

/ .以下 と非常 に小 さい

.Re

1900,2540

3140

では主モー ドの発生 がほ とんどである. よって

Re

が低 いある範囲で

2

モー ドが発生 し

,Re

が増加す ると 一 旦主 モー ドの発生 が増加す るが, さらに

Re

が増加 す

るとまた

, 2

次 モー ドが発生す るよ うになるとい える

.Re‑3780

では主 モ ー ドは波動 テ イ

ラー渦にホ ップ分岐 しているので, これ以上 の

Re

につ いては実験 を行わ なか った. また,

Re

St

の値 が揃 っていないの も波動渦発生条件が違い,それ以前 の分岐 を調べ たため

であ る.

(5)

多重解テイラー渦におけるモードの形成条件 ( 自由端の場合)

旦互

等「 一O Re=619060 ..

こ I . :

0 5 rOSt15 20 25xlOJ

0 ・ 2

2 0

1

0

S608

0

100

I

X I O

‑'

Re̲‑25

4 0

R〇三3110

:「.二・

・ . i l l . ・ . r

l0r一一

1

‑‑‑T一一・

5 10st15 20 25xl0' 0 2 1st6 8xl01JI0

0 . 2

Re=3780

4 6 8 10 St xlO

l

2 0 1 0 S t 6 0 8 x O 1 0 r ‑ I o e

・ 童 : .

'

董 0 E 3 5 1 0 S t 1 5 2 O x H r 2 I 5 :

田 四 国 百 . . 0

r 13 N7 AI 4 Al 6 0 0 . . 8 6

N・Nulber o= hc rIIT

r C

d Af)dcs

= 0 0 ・ . 4 2 … 二 ≡ ≡ = こ .= =

l . 0 0 8 0 . 6 0 . 4 0 . 2

19

o E a, , L D

0 . 8 0 0 . . 6 1

0 . 2 0 二■ 2 1 S t 6 8 ‥ x l O 三 J I O J

H ‑ ∑ (‑p.logp

.)

図 4 各モードの発生頻度 図

5

各場合の情報エソ トロビー

2

次 モー ドの発生頻度 は図

4

中に印分 けして示 した.

Re‑1250

では

3

セルモ ー ドが発 生 している.

Re‑1900

2540

で は主 モー ドの発生頻度が高いため

2

次 モ‑ ドはあま り発生 していないが,発生 している内訳を見 ると

Re‑1900

では最 もモー ドの種類 が多 く

,St

に も よるが全種類 が発生 してい る. この ことは固定端 において

Re‑2000

2

次 モー ドの発生 が 多か ったが

,Re‑3000

では主モ ー ドの発 生頻 度 が増加 した ことと類似 して い る

(12).Re‑

3140,3780

では変異

4

セルモー ドの頻度が高い.特 に変異

4

セルモー ドが

Re‑3780

でか な り発生 している.

3

セルモー ドは

Re‑650

を除 く全 ての

Re

で ほ とん どの

St

で発生 して い る.

3

セルモー ドは固定端 における変異

3

セルモー ドと対応 してい る.

同 じアスペク ト比で存在す る

2

7

セルモー ドがほとんど発生 していないが, これ は以下 の理 由による.即 ち

Re‑650

の場合 に

一旦 7

セルモー ドが発生す ることがあるが,その後 主 モー ドに分岐す る.本実験 は

Re

を変化 させて最終的 に安定 して存在す るモー ドを調べたた め

, 2

7

セルモー ドは発生 しない とい う結果 になった.

2

7

セルモー ドを発生 させ るに は一旦発生 した

7

セルモ‑ ドの状態で崩壊する前 に

Re

を適 当に変化 させて安定化 させ なけ ればならない. このことは固定端 において

6

セルモー ドが発生 しに くか った結果 と対応 して いる.

3.2

各場合の情報エ ン トロピー

固定端 の場合

(12)

で述べた よ うに, マク ロには同一条件 とみ なされ る実験 で発生 渦パ ター

ンが確率的にしか定 まらぬ ことは,分岐が複雑 で,流れがその点近傍で不安定であ ることに

ょると考 えられ る. このよ うな系の挙動を明 らかにす るには実験的 にも数値的にも困難で あ

り,流れの力学 に立ち入 ることな く現象 として表現す ることを考 えてみ ると,図

4

の各場合

のパ ターンの分類 に情報エ ソ ト。ピーを利用す ることが考 えられる.情報エソ トp‑ビーが現

(6)

20

戸谷 頂信 ・中村 育雄

象を観測することによってもた らされ る情報量 とい う直観的解釈を持つ ことによる( 1 3 ) . 情報エン トロピ

Hは今の場合,ある

Re

で,ある

St

対 し,

H‑∑(1‑pllogpl)

で定義 される (13) . ここに

p

lはその

(Re,St)

の場合の各モー ドの発生確率を示す.

5

は各

Re

についての情報エ ン トロピーを示 した ものである.

Re‑650

の場合は上述の よ うになっているので図示 してない.

Re‑1250

では全体的に

H

は大 きく

0

. 4 以上 になってい る. よって比較的その分岐関係は複雑である.

Re‑2540

では

St

全体 にわた って

H

は低 く,

Re‑1900,3140

では

St

が小 さい範囲では H が小 さいが

,St

が大 きいと H も増加 している.

よって,同 じ

Re

で も

St

が大 きい場合,分岐関係 も複雑 さを増す と思われ る.さ らに,

Re‑3780

では

St

が小 さいときは主モー ドがほとんど発生す るため

,

Hは小 さいが

,St

が増 加す ると

,

Hは大 きいので全体 にわた り分岐関係 は複雑であると思われる.情報エン トロピ ーの値そのものは定性的 な意味が強 く,既報( 1 2 ) で述べた よ うに

300

回の実験 で基本的な差 は なかったので,図

5

の各値の相対関係は意味あるもの と思われる.定量的な判断はしに くい が, もし情報 エ ソ トロビーが分岐の複雑 さをある程度表わす ものであるならは,固定端 と自 由端 の場合の複雑 さを比較す ると,全体的に固定端の方が情報エン トロピーが大 きく複雑 な 分岐関係であるといえる.

ここで,このよ うな分岐現象で どの分枝が選択 され るかについては固定端 の場合 と同様で あると考 えられる.

2

次 モー ドの解はいずれ も主 モー ドの解 とは切 り離 された分枝上 にある と考 えられている( 3 ) .本実験のようにい くつ もの解が同一 と考 えられ る条件で ランダムに生 ず ることはこれ らの分枝が近接 して存在す ることを示 している.その どれかが選択 され るか は装置に起因す る不完全分岐 によるものか,完全静止 にはできないための流体力学的ゆ らぎ によるのか明 らかではない.装置の不完全 さも回転同筒のガタ,振れ回 りとか,モータの回 転数の不均一 によるのか様々である. 自由端 の場合 と固定端の場合を比較す ると自由端の場 合の方が情報エン トロピーは全体的に小 さかった.よって解の分岐関係は固定端に比較 して 自由端の方が複雑ではないといえる.装置の幾何学的条件からいえば,自由端 の場合,上面 が自由表面であ り非対称であるのに対 し,固定端 の場合,上下端 の対称性が完全であるとは 考 えない.そのために分岐の複雑 さが大 きくなった と考 えることはできる. しか し, どちら の場合にも分岐の複雑 さが存在す るので,その複雑 さは,渦モー ド発生のバ ラツキか らみ る と,装置の不完全性 よりもむ しろ,初期の流れが完全静止でないこと,特に僅かな対流など の初期状態によると考 えるのが妥当と予想 される.

しかし,再度 ここで強調 したいのは,現実 には初期状態 は無限に存在 し

,Re

の増加の仕 方は幾つかあるにもかかわ らず,最終的に落着 く安定 した流れの状態,すなわちア トラクタ は

4

(N5,.N3,A14,A16

の各モー ド)存在す るのであ り,我々の従来の実験結果か ら

r‑4.9

で実際に存在す るア トラクタは

5

つ ( 上記 のモー ドに

N7

を加 えた もの) しかな い とい うことである.

3.3

モー ドの形成過程について

Re

St

の値によって発生す るモー ドの種類及 び頻度が異なることが明 らかになったが,

その具体的なモー ドの形成過程は複雑であ り一様 でない.本実験では形成過程の異なる様子

(7)

l

T i 解 テイラー渦におけるモー ドの形成 泉作 ( 自 E h端の場合)

(a

)

N5:Re=650,St

1 0 0×1 02

(b

)

N3:Re‑1250,St=26.

1 02 図 6 テ イ ラー渦 の形 成 過 程 の断面 画 像

21

(8)

l ・ [ 谷 船 伯 ・中小J TT雌

)

(C) A ll:lic 3780, St 2.9× 10 2

図 6 イ ラ ー 渦 の 形 成 過 松 の 断 面 画 像

きft';.,I:;.;.,,;I.

(

(I(I;)1j.('7.7."A."

l

L:..M.,:;i).

((.:,Si:闘.:〜I:I:I;;I:.:,,.).

J,),

(C)

N 3

hJt hecaseorsmall erRe

.SL

N 5 1 n t hecaseof l ar gerJ t e.SL ( d) A 14 図

7

ティラ‑渦の形成過程 の模式図

22

(9)

多重解テイラー渦におけるモー ドの形成条件 (自由端 の場合)

23

を ビデオカメラで撮影 し,その画像を ビデオプ リンタに出力 し確認 した.その各 モー ドの形 成過程は一通 りではないので,各 モー ドの代表的な形成過程を図

6

に示す.

ビデオ画像を詳細 に観察す ることにより,以下のことが判明 した.

( 1 ) テイラー渦は回転 による遠心力により内円筒表面から発生す る半径方向の流れ と,端面 の影響により内円筒 と端面の角に発生す るプラン トルの第

1

種の流れである

2

次流れ との 時間的な差がモー ドの形成過程に影響す る.

(2) 2

次流れは半径方向流れが発生す る前 に発生す る. しか し

,2

次流れ は

Re

650

程度 の小 さい値でない限 りモー ドの決定に影響 しない.

(3) 2

次流れ と半径方向の流れは

Re

が大 きいほど, また

,St

が大 きいほどその時間的差 は 小 さい.

( 4) 半径方向の流れは

Re

が小 さい場合,端面上に発生す る

2

次流れの影響 で下端面側か ら 発生 し,順次,上面 よ りに発生す る.

Re

が大 きい場合,下端面か ら

2

次流れが発生 し, 続いて自由表面 における半径方向の流れが発生 し,最後 に円筒の中央部分で半径方向の流 れが発生する.

( 5 ) 2 次流れに比較 して半径方向の流れは運動量が大 きく,発生場所が中央 によるほ どその 傾向が強い.

以上の内容か らモー ド別 に発生の内容をまとめ,テイラー渦流れの形成過程の様子 を主モ

‑ ドである

N5

について

Re

の増加条件が異なる場合 と

2

次 モ‑ ドの代表 として

N 3

A14

を模式図にして図

7(a)〜(d)

に示す.各図は順次,時間の経過による流脈の変化の様子 を表わ

している.内円筒は矢印の方向に回転 している.主モー ドは

Re

が準静的に増加す る場合 と 急加速の場合で異な り

,(a)

の主 5セルモー ドは

Re

が小 さい と下端面上 における 2次流れが 発生 し,次第に上の方へ向かって半径方向の流れが発生す る.最上部の渦対 の発生 と表面 に おいて外円筒方向の流れのセルは同時に発生す る.本実験で行 った

r‑4.9

の場合,初 め

7

セルの状態が形成 され るが

, 3

対のセルの うち上の

2

対の渦が次第に不安定 にな り

1

対 にな り,最終的に

5

セルを形成す る. ( b) は

Re

が大 きくなると上下端面上で

2

次流れおよび半径 方向の流れが発生す る. また,半径方向の流れは比較的早 く発生 し,多 くの渦が形成 され る.

その後,運動量の大 きい流れが次第に他の流れを吸収 し

5

セルになる.既に述べた よ うに回 転円筒中央付近 に発生 した渦の方が運動量 は大 きいが,最終的にどの渦が残 るかは初期状態 に依存す る.主モー ドに対 して

2

次モー ドである変異

4

セルモー ドの

(d)

Re

St

が大 き い場合,半径方向の流れから発展す る渦の数が多 く

,N 5

の場合 と比較 し,各渦が発生す る 時間にほとんど差がない. よって中央 よりの運動量の大 きい流れが発展 してできた渦が端面 よ りの渦を下端面血へ押 しや り,他の渦に吸収 させてしま う.通常なら対を成 して存在す る 渦対の うち一つの渦だけが吸収崩壊 し,下端面上 に変異セルのみが残 ることになる.

3.4

固定端 と自由端における比較

二重円筒間の上端面の境界条件の違いはそこで発生す るテイラー渦流れの安定構造 を異 な

ったものにしている.テイラー渦がその形成過程か ら各々主モー ドと

2

次モー ドに,渦構造

か ら正規 モー ドと変異 モー ドに分類 されることは既 に報告 している.その分類の詳細 は文献

を参照 されたい

(4)I(5).

固定端 と自由端 において構造安定 に存在す るモー ドについて

Re

を減

少 させた ときの分岐関係を固定端の場合は

r‑4.0

, 自由端の場合 は

r‑4.9

について図

8

(10)

24

A 4

戸谷 順信 ・中村 育雄

A 5 A I 4 A J 6 / \ /

N 2 ‑N 4 1 ‑N 6 N 3 ‑ N 5 ‑N 7

1 1

c c

固定端

(r‑4.0)

自由端

(r‑4.9)

8

流れの分岐図

示す.自由端 の図は図

3

と同 じものである.各

r

において これ以外のモー ドは存在 しない.

固定端の場合に安定 して存在す るモー ドの方が

1

つ多 く存在す る. これは固定端において存 在す るモー ドの一つが自由端では波動テイラー渦状態で しか存在 しないことか ら除いてある ためである.

2

つの場合 において,実験 では

Re

の増加 の加速時間は

T‑0.01‑4.0

秒 と同一である.

6

つの種類で行 った最終

Re

は各 rにおける主モー ドがホ ップ分岐 して波動テイラー渦にな る臨界

Re

の値が異なるため,二つの場合で異なっている.既報 と本報の結果 から二つの場 合 において以下のことが明 らかになった.

(1

) 固定端の場合で,主モー ドの発生頻度がかな り小 さく,最低で

4%

であった.自由端で は主モー ドの発生頻度は最低で

47%

であった.

( 2) 固定端の方が一つの

Re

で発生す るモー ドの種類が多 く存在す る. これ は

St

の値が変 化 して もいえることである. このことは固定端 の方が自由端 よ り情報エソ トロピーが大 き い ことに通 じる.

( 3) 情報‑γ トロビーが定性的な意味だけでな く,定量的な見方ができるとすれば,エン ト ロピーは固定端の方が全体 に大 きい値を持つ. これは分岐関係が固定端 の方が複雑である ことを意味す ることになる.

(4

) 固定端 も自由端 の場合 もReの値によ り情報 エ ン トロピーが変化す る.特 に,Reが小 さい場合エ ソ ト。ビーは大 き く ,Reが増加す ると一旦 は減少す るが さらに Reが増加す ると再 び増加す る傾向にある.

( 5) 固定端 も自由端 の場合 も

St

が小さいとエン トロピ‑は小 さいが

,St

が増大す ると

Re

に依存 して変化す る.

4.

結 論

アスペ ク ト比が小 さいテイラー渦において, 自由端 の場合で特 に

,㍗‑4.9

の条件 におい

て Reと

St

の変化 に対す る各 モー ドの発生頻度を実験的に調べた ものである.主な結論 は

以下のよ うである.

(11)

多重解テイラー渦におけるモードの形成条件 ( 自由端の場合)

25

(1) Re

St

の値 によって主モー ドと

2

次 モー ドの発生頻度が異 なることがわか った.特 に

Re

によ. って発生頻度が大 きく変わ り,同 じ

Re

の値 で も

St

によって変わ ることがわ か っ た.

( 2) 2 次 モー ドは

Re

によって発生す るモー ドの種類 が異 な り, さらにその発生頻度 が異 な ることがわか った. また,同 じ

Re

で も

St

に よってモ ー ドの発生頻度 が異 な ることがわ かった.

(3)Re

St

の変化によ り発生す るモー ドが異 なる現象,す なわち,多重解 を持つ テイラー 渦の分岐関係の複雑 さを情報 エ ソ トロビーで表現す ることで定性的に明 らかに した.

( 4) 各 モー ドの形成過程はそれぞれ特徴が あることがわ か った. モー ドの選択決定 は

Re

St

の値 に よ り半径方向の流れ と上下端面上の

2

次流れの発生 の時間差 と運動量 の大 きさ

によるものであると思われ る.

( 5) 固定端 と自由端 において, どち らの場合 も

Re

St

の値 に よって発生す るモ‑ ドが決 定 され,モー ドの発生頻度 の

Re

St

の影響 は定性的 に類似 してい るところが あ った.

また,その分岐 の複雑 さはどち らか とい うと自由端の方が小 さかった.

参 考 文 献

( 1 )

Benjami n,T.

B

リProc.R.Soc.Lond.Ser.A,359,(1973),1. (2) Benjamin,T.B.,Proc.R.Soc.Lond.Ser.A,359,(1978),27. (3)

最近の展望は,Mul

l

i

n,T.IMA∫.Appl,Mat九s.46

,

(199

1

),109.

( 4 ) 中村 ・ほか3 名,機論,5

6.522,B (1989).307.

(5)

戸谷 ・ほか3 名,機論,5

6,532,B (1990),3617.

(6)

戸谷 ・ほか3 名,機論,5

8,546,B (1992),305.

(7)

東 ・ほか

2

名 ,概論,5

71535,B (1991),905.

(8)

東 ・ほか

2

名 ,機論,5

8,555,B (1992).324年.

(9) Bielek,C.A.andKoschmieder,E.L.,Phys.FluidsA,29(1990),1557.

00 )

Cole

,J.A. ,

J

.

FluidMech.,7511(1976),1.

的 Snyder,H.

A. ,

J.FluidMech.,352(1969),273.

8 2 ) 中村 ・戸谷.機論,投稿中

(13) Donnel

l

y,R.J.,Proc.R.Soc.London,Ser.A,281,(1964),130.

n4 ) 数理科学辞典 ( 広中縮),韓

ⅩⅠ

Ⅴ情報理論,大阪書店 (

199

1 )

,768.

参照

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