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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

Redefining definitive endoderm subtypes by robust induction of human induced pluripotent stem cells

ヒト

iPS

細胞の誘導法による胚体内胚葉の細分類

日本医科大学大学院医学研究科 外科系消化器外科学分野 大学院生 松野 邦彦

Differentiation 2016.4.14 オンライン公開

胚体内胚葉は、全ての内胚葉系細胞となる能力を持つ細胞であり、胚体内胚葉より様々な誘導因子を 用いて肺、肝臓、膵臓、胃、小腸や大腸などへ分化誘導されている。胚体内胚葉を誘導する方法は複数 あり、それぞれの方法で胚体内胚葉マーカーであるSOX17, FOXA2を指標とした胚体内胚葉の誘導効 率について評価されている。しかし、異なる誘導方法で作製される胚体内胚葉細胞の性質、分化指向性 の差異については不明であった。そこで、申請者等は異なる方法で誘導した胚体内胚葉の分化能力を検 証した。同一の方法で誘導した前方原始線条よりActivin A(誘導因子の一つ)のみで誘導した胚体内 胚葉A およびActivin ABMP(bone morphogenetic protein; 骨形成因子)阻害剤の両者で誘導し た胚体内胚葉Bは、いずれも胚体内胚葉マーカーである SOX17、FOXA2 が共陽性であることを確認 した。両者に既報の肝臓への誘導法を付加したところ、胚体内胚葉Aでは肝芽細胞マーカーである AFPの発現を認めたが、胚体内胚葉BではAFPの発現を認めなかった。さらに、誘導因子なしで胚体 内胚葉ABを培養すると胚体内胚葉Aでは後方前腸マーカーを、胚体内胚葉Bでは前方前腸マーカ ーを自発的に発現した。この結果は、異なる分化誘導法で作製される胚体内胚葉ABは分化能力が 異なり、現在胚体内胚葉と定義されている細胞にはサブタイプがあることを示している。本研究では前 方前腸と後方前腸に自発的に分化する能力を持つ胚体内胚葉BAの誘導法を新規に確立した。次 に、中後腸となる胚体内胚葉は後期の前方原始線条より発生することが考えられたため、その誘導法を 検討した。Activin Aと高濃度のCHIR99021の両者による新規の分化誘導法を開発し原始線条を作製 したところ、原始線条マーカーであるBRACHYURY 、前方原始線条マーカーであるEOMES、後期 の原始線条マーカーであるCDX2の発現を認め、後期の前方原始線条を誘導できることを見出した。さ らに、後期の前方原始線条よりActivin Aのみで胚体内胚葉 Cを誘導したところ、SOX17、FOXA2 が共に陽性であることを確認した。胚体内胚葉Cの分化能力を調べるために誘導因子なしで原腸の時期 まで培養したところ中後腸マーカーであるCDX2の発現を認めた。本研究で中後腸に自発的に分化する 能力を持つ胚体内胚葉Cの誘導法を新規に確立した。現在SOX17FOXA2 の2つのマーカーで定義 されている胚体内胚葉の細胞集団は同一のものと考えられている。発生学的には胚体内胚葉には複数の 種類があることが示唆されていたが、これを分化誘導系で再現された報告はなかった。本研究では、そ の胚体内胚葉の中に3つのサブタイプがあることを示し、それらを作り分ける方法を新規に開発した。

また、今回誘導された胚体内胚葉A, B, C は、それぞれ自発的に後方前腸、前方前腸、中後腸へ分化す る能力を有することが示された。第二次審査では、SOX2遺伝子のレギュレーションの機構、iPS細胞 から誘導した細胞を移植することについての免疫応答の可能性、移植した細胞の腫瘍化の可能性、発生 学との関連等幅広い質疑が行われたが、いずれも適切な応答がなされた。本研究によって作成された胚 体内胚葉を既存の誘導法に応用することにより、現在より質の良い内胚葉系の細胞の作製が期待され る。今回の結果は、iPS細胞から内胚葉系細胞への誘導法に関する新知見であり、それぞれの誘導法を 確立したことは今後の再生医療に貢献しうる研究であるという結論がなされた。以上より、本論文は学 位論文として価値のあるものと認定した。

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