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藤 本 征 司

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静岡大学農学部演習林報告 17号

,pp.1〜 64(1993)

北海道の高木類の生育・ 更新様式に関する 比較形態・ 生態学的研究

藤 本 征 司

Comparative Morphological and Ecological Studies on Growth and Regeneration Patterns of Tall Trees in Hokkaido,  」 apan

Selshi FuJIMoTO申

Surnrnary

From the view―point of tree―form development, tall trees can be classified into two types in

Hokkaido: tree sleCies showing excurrent tree forFn and tree species showing decurrent tree

form. The two types exhibited different responSes tO shade suppression and disturbance caused

by the eruption of Mt.Usu. A few remarkable difference were also recognized in shoot growth

patterns and branching oneso These Suggest that the difference in tree―

form development should

result in the difference in ecological characteristics. According to such a way of thinking, a new classification was proposed on tall trees in Hokkaidoo ln this classification, the tall trees are classified into the Poρ Jじs type(io eo excurrent growth species exhibiting noncompetitive and no―

madic strategies)and the 

ι「ιz慶〕type(i.e. decurrent growth species exhibiting competitive and sedentary strategies)。  This classification is useful for systematic understandig of structure and successional changes of forest vegetations as well as ecQlogical characteristics of tall trees in Hokkaido. In addition, the classification likely makes it easy to interprete the origin of bbreal forests or subarctic forest trees. According to this interpretation, subarctic forest trees likely originated in a competition―

avoidance which excurreit growth species had shown autonomically

to some extent against decurrent growth species.

In conclusion, the classification proposed hё re likely produce a new synthetic theory of knowl―

edge for cool―temperate and subarctic trees and forests.

ら必 須 で あ る こ と は言 うまで もな い。 森 林 を

1.序  

地 域 社 会 や人 類 の生 存 環 境 と考 え る立 場 もま

1.研究 の 背 景 と 目的       た、 そ の効 果 的 制 御 の前 提 と して、 この よ う 今 後 の実 りあ る森 林 文 化 (林 業 や 森 林 と人   な分 析 的 か つ 総 合 的 な 自然認識 を必 要 とす る。

間 との 関 係

)の

創 造 の た め に は、 そ れ ぞ れ の   さ らに近 年 、 森 林 を含 む 自然 の荒 廃 を契 機 と 地 域 の森 林 に関 わ る諸 知 見 の集 積 が 前 提 条 件   して 、 森 林 を含 む 自然 を単 な る生 産 や 制 御 の と な る。 ま た、 諸 知 見 を 包 括 す る と同 時 に 、   対 象 と して の み 捉 え る思 考 様 式 へ の批 判 が 盛 今 後 の この分 野 に お け る諸 研 究 を方 向 付 け得   ん とな り、 新 た な森 林 (自

)と

人 間 と の 関 る包 括 的 認 識 枠 組 み の 吟 味 とい った知 見 の総   係 論 (森 林 文 化 論・ 森 林 社 会 学)の模 索 が 数 合 化 も重 要 な課 題 と な る。 森 林 を 資 源 と考 え   多 く試 み られ 始 め た

1 7)。

この立 場 も、 も し

る立 場 か ら見 た場 合 に、 この よ うな知 見 の集   そ の 前 提 に森 林 (自

)に

対 す る深 い 認 識 が 積 や そ の総 合 化 が 、 資 源 の 有 効 利 用 の 視 点 か   な け れ ば、 単 な る主 観 的 な主 張 に終 わ った り、

*静

岡大学農学部附属演習林  University Forests,Faculty of Agriculture,Shizuoka University.

‑1‑

(2)

時代 錯誤 的 な風 土 論 や文 明論 に至 りつ き、 こ の立場 の本 来 的意義 が消失 す る。

林 学領 域 にお いて は古 くか ら野 外調 査 や生 態学 的研 究 が推 し進 め られ、 また近年 の資 源 問題 や環 境 問題 の浮上 を背 景 と して、 森林 の 重要 性 が これ まで以上 に強 調 され る に至 り、

多 くの知 見 が集積 され るよ うにな って きた こ とは疑 い得 な い。 得 られ た諸知見 が生 態学 的 諸理 論 の積極 的導 入 な どを通 して、 総 合化 さ れつつ あ る こと もまた確 か で あ る。

 

しか し、

総 合化 へ の道 は長 く、 当面 は様 々 な生 態学 の 理論 や手 法 を導入 した試行 錯誤 的 な諸 研 究 の 積 み重 ね を通 し、 総 合化 の理論 的枠組 み を模 索 す べ き段 階 にあ る といえ る。

本 研究 もまた この よ うな模索 の試 み の び と つ で あ る。 す なわ ち本研 究 の 目的 は、 以上 の よ うな認識 に立 ち、 北 海道

(冷

温帯 以 北

)の

高 木 類 の生育・ 更新 様 式 を形 態学 的・ 生 態学 的 に分析 し、 そ の包括 的認識 枠組 み を模 索 す る ことにあ る。

2.方

法論

本研 究 で は個 生 態 学

(autecology)・

種 生 態 学 的方 法 を重 視 した。 造林学 的 に は種特 性 問 題 の重 視 といえ る。 生 態学 的方法 に は個 生 態 学 的 方 法 と群 生 態 学

(sinecology)的

方 法 とが あ る。 これ らは と もに有 効 な方 法 で あ るが、

群生 態学 の本 格 的 な展 開 は、 個 生 態 学

(種

生 態学

)的

研 究 の充 分 な積 み重 ね を前 提 と して のみ可 能 とな る。 その意 味 で個生 態学 的方 法

の方 が よ り基 本 的 な方 法 といえ る。

また、 渋谷

8)に

従 い、 樹木 の生 活 を よ り現 象 的・ 顕 在 的事項 か らよ り本質 的・ 潜 在 的 な 事 項 へ と向 う、生 活 史 一生 活 様 式 一形 態

(ま

た は生活 場所

)一

進 化 の 図 式 に従 い包 括 的 に 理 解 す るよ う努 めた。 これが本研 究 の方 法論 上 の第 2の 特 色 で あ る。個生 態学 的方 法 に従 うと、森 林研究 はそれ を構成 す る各個 体 や個 体 群

(種 )の

生 活 史

(life history、

樹 木 の生 活 の最 も現 象 的 な形 態

)の

研 究 に還 元 され る。

生 活史 は生活様式

(生

育・更新 様 式 、 life style)

と してパ ター ン化 され、 さ らに生活様 式 はそ の生 活 場 所

(habitat、

立 地

)の

違 い や 主 体 側 の形態 に よ って その基 本 構 造 が 把 握 され る。

この二 つ の把握法 は、 今西

9)の

「 生 活 形 のす みわ け原理」 と「 生 活形 の形 態原理」 に対応 す る。 この よ うな概 略 的・ 原 理 的 把 握 法 は、

それ のみ に終 始 す れ ば空理空論 におちいるが、

適切 な活 用 に よ り包括 的認識法 とな る。 また 生活様式 や形 態・ 生活場 所 の違 い は進 化 の産 物 で あ る。 そ の た め進 化

(歴

)の

問題 に帰 着 させ る ことで、 それ らの よ り本質 的 な理 解 が 可能 とな る。 生態 と進 化 の関連 は、 近 年 まで はあま り実証 的研究 の対象 とはな り得 なか っ たが、 進化 生 態学 的諸理論 Ю Dの

発 達 な どを 契機 と して、 現在 で は適 応戦 略 や生 活 史 戦 略 の問題 に還 元 され、実証 的研究 の対 象 とな る に至 って い る。 本研究 にお いて も、 樹木 の生 活現 象 が、結 果 的 に適 応戦 略 の問題 と して捉 え られ、 進化 の視点 か ら理解 されて い る。

3点 目は形 態学 的方 法 の重 視 で あ る。 確 か に、生活 場所 も生活様式 を強 く規定 して いる。

しか し生活場 所 の特性 は生活様 式 の中 に含 め 得 るので、 その意 味 で は形 態 の方 が よ り基 本 的 といえ る。 渋谷

3)は

、「 生 活 様 式 の基 本 を 規 定 す る もの は体制 で あ る」 と指摘 し、 生活 様 式 を把 握 す る うえで の形 態 の重 要 性 を強調 した。 環境 条 件 によ って変化 しに くい形 態 で あ る体 制

(organization、

個 体 の有機 的 構 成 状 態

)に

着 目す る ことで、 生 活 様 式 の 大 枠 の理 解 が可 能 とな る。 近 年、生 活様 式 や進 化 の方 向 が発 生 上 の制約

(developmental constraints)

を強 く受 け る とみ る見 方の や構 造 上 の 制 約

(structural constraints)を

受 け る と み る 見 方

Dな

ど、 形 態 によ る生 活様式 や進 化 の方 向 の制約 問題 の再 提起 が盛 ん とな った。 また こ の よ うな考 え方 に従 い、 現 在 で は

Morpho―

logical ecology(Dynamic morphology)の 名 で呼 ばれ るよ うな、形 態 を重視 した生 態 研究 が積極 的 に展 開 され る に至 って い る馬 。 本 研究 もまた、 この よ うな方 向性 を もつ研 究 の ひ とつ で あ る。

4点 目 は樹 木 へ の環 境 圧 を、 一 応 Grim♂ D に従 い、 ス トレス

(恒

常 的 環 境 圧 、 stress)、

競 合 圧

(competition)お

よ び撹 乱

(disturbance)

の二 つ に区分 して、樹木 と環境 との関係 の分 析 を行 な った こ とで あ る。 この 3区 分 は万 全 な もので はな く、本論文 で は結 果 的 に は否定 され る。 しか し環境圧 を当面 この二 つ に分 け る ことは有効 な方法 で あ る。特 に競 合圧 を ス トレスか ら明確 に区分 す る見方 は、被 陰 につ いて分 析 す る場 合 に極 めて重要 で あ る。 彼陰 は

shade stressと

呼 ば れ る通 リ ス トレス で あ る と同時 に、競 合 の問題 で もあ る とされ て き た。 しか し競 合圧 は勝 敗 が決 す る と即 座 に解

‑2‑

(3)

消 され る環境 圧 なので、 恒常 的環境圧 で あ る ス トレスに は相 当 しな い。 す なわ ち被 陰 はス トレス と競 合圧 に は っき りと区別 した上 で解 析 を進 め る必 要 が あ り、 その意 味 で この 3区 分 法 は有効 な分 析視点 を提 供 す る。

第 5の 特色 は類型 区分 の妥 当性 の検 証法 に 係 わ る もので あ る。 本研究 で は幾 つ か の具体 的課題 の解 析 を前提 と して、北 海道 の高木 の 類型 区分 が試 み られて い る。 しか し類型 区分 で あ る以上 は、 い くら自然認識 に裏 打 ち され た もので も、 本来 的 に恣意的な もの といえ る。

形 態 的特 性 か らの推 定 とい った原 理 的方 法 を 重 視 した区分 で はなお さ らで あ る。 その ため 類型 区分 の妥 当性 の検討 に際 して は、 実証 的 検証 と と もに、 その 自然認 識 の ための包括 的 な認識 枠組 み と して の有効 性 の検討 も重要 な 意 味 を持 って くる。 す なわ ち本 研究 で は求 め られ た類 型 区分 に よ って、 北海道 の樹木 や森 林 に係 わ る諸 問題 が どれ だ け包括 的 に説 明可 能 とな るか につ いて の理論的検討 を加 えたが、

それ は本 研究 の 目的 で あ る と同時 に方 法論上 の特色 の ひ とつ で もあ る。

3.仮

説 の呈 示

認識 枠組 み の構築 とい った包括 的課題 を効 果 的 に展 開 す るに は、 それ に先立 ち、認 識枠 組 み に繋 が るよ うな仮説 の設定が必要 となる。

また この よ うな仮説 の証 明 に向 けた諸 作業仮 説 の設定 も不可欠 で あ る。 本 節 で は、本 研究 を進 め るに当 た って設定 した諸 仮説 を呈 示 し た。

第 1の 仮説 は冷温帯 以北 の森 林 に関 す るひ とつ の事実 か ら導 かれ た。 冷温帯以 北 の高木 類 は、 樹形

(特

に生長 良好 な若 齢 時 の樹 形

)に

着 目す る と、 針葉樹 や カ ンバ類 (Iセ ι 況の な ど の よ うな、 突 出型 樹 形

(excurrent tree― form、

主 幹 が 明瞭 で幅 の狭 い円錐形 また は長 楕 円形 の樹冠 を示 す樹形

)を

呈 す る樹種

(以

下 、 突 出 型樹種 と呼 ぶ こ とにす る

)と

ヽ多 くの落 葉 広 葉 樹 の よ うな、 沿 下 型 樹 形

(decuttent tree―

form、

主 幹 が不 明 瞭 で 幅 の広 い逆 円錐 形 に 近 い樹 冠 を示 す樹形

)を

呈 す る樹 種

(以

下 、沿 下型 樹 種 と呼 ぶ

)に

区分 で き る。 と こ ろが こ れ ら両 樹 種 間 で は主 要分 布域 が異 な り、 前者 は主 に亜 寒帯・ 亜 高 山帯 に分布 し、 後者 は冷 温帯 や山地・ 低地帯 に分布 して い る。 これが 第 1の 仮説 の前提 とな った事実 で あ る。

それで は何故樹形 と分布域 はお よそ対応 じ

て い るのか。 生 活形 のす み わ け原理

9)に

従 う と、 樹形 の違 い は分布域 の違 い に帰 着 す る。

確 か に、 同 じ分 類群 の もので も高緯 度 に分布 す る もの ほ ど、 よ り突 出 した樹形 を示 すめ の で、 この考 え方 に も一 理 はあ る。 しか し突 出 型樹 種 で あれば低緯度・ 低海 抜域 に分 布 す る もので も程度 の差 はあれ突 出型樹形 を示 す こ とを重視 す る と、 む しろ逆 に樹形 が違 って い たか ら分布域 が違 って きた と も考 え られ る。

す な わ ち第 1の 仮 説 は、 前 節 で触 れ た形 態

(特

に体制)重 視 の考 え方 に従 って、 分布域 の 違 いを樹形 の違 いに求 め、 亜寒帯・ 亜 高 山帯 性 高木類

(亜

寒帯・ 亜 高 山帯 林

)の

起 源 を説 明 しよ うとす る仮説 で あ る。 よ り具 体 的 に は、

突 出型・ 沿 下型 樹形 には もと もと何 らか の極 めて重要 な生 態 的意 味 の違 いが あ った た め、

この よ うな違 い に規制 され て突 出型樹種 と沿 下型 樹種 の分 布域 が歴史 的 に変化 し、結 果 的 に現在 の亜 寒帯・ 亜 高 山帯 林 と冷温帯・ 山地 帯 林 の構造分化 が成立 した とみ る考 え方 で あ

る。

通 常仮説 は帰 納法 や演繹 法 によ り導 か れ る が、第 1の 仮 説 は、その どち らで もな く、いわ ゆ るパ ー ス Dや

竹 内・上 山 9の 言 うAbduction

(推

定 法 )に よ り導 かれ た仮説 といえ る。 Ab―

ductionは ひ とつ の事 実 か ら大 前 提 を踏 まえ つ つ小前 提 を仮説 と して導 く推論 で あ る。第 1の 仮 説 は、突 出型樹 種 と沿下型樹 種 の分布 域 が亜 寒 帯・ 亜 高 山帯 と冷温帯・ 低地帯 にそ れ ぞ れお よそ対 応 して い る と言 うひ とつ の事 実 か ら、 生活様式 の基 本 は体 制 によ り規制 さ れ る とみ る大前提 を踏 まえつつ、上 述 した よ うな仮説 を、突 出型・ 沿下型 樹形 の場 合 に限 られ た小前 提 的命題 と して導 き出 して い るた め、 Abductionに よ り導 か れ た仮説 といえ る。

帰 納 法 も演繹 法 も仮説 を導 く上 で重 要 な方 法 で あ る。 しか

t帰

納 法 で は、包括 的 な認 識枠 組 み とな るよ うな大 きな仮説 を導 くためには、

極 めて多 くの事 実 の集積 を前 提 と しな けれ ば な らな い。 その ため、帰納 法 は大 きな仮説 の 定 立 に は向か な い。 また演 繹 的推論 は、 大前 提 とな る理 論体系 が完成 されて い る場 合 にの み、正 しい推論 が可能 とな るので、試行錯誤 的 に包 括 的 な認識枠組 み を構成 すべ き段 階 に あ る場 合 に は、 有効 な仮説 発想 の手段 とはな らな い。 それ に対 して、 Abductionで は、 仮 説 の発想 に際 して、 ただ ひ とつ の事 実 しか必

‑3‑

(4)

要 と しな い うえ に、 仮説 が小前提 であるため、

大前提 となる理論体系の完成を待つ ことな く、 比 較的大 きな仮説が立て られ る。つ ま りAbduction

は、試 行錯 誤 的 に包括 的 な認 識 枠組 み を仮説 と して発想 す る うえで非常 に有 効 な仮説 定立 法 といえ る。 また、 第 1の 仮説 の よ うな「 起 源論」 を導 くた め に は、 Abductionが 有 効 な 唯一 の方 法 と考 え られ て い る。。

た だ し、 Abductionに よ る仮 説 の定 立 は、

ただ ひ とつ の事実 か ら導 か れ るため、得 られ た仮 説 の妥 当性 は想 定 され た時点 で は殆 ど保 障 され て い な い。 その た め、 そ の後 の検証 過 程 が重 要 とな る。 まず導 か れ た仮説 (1ヽ 前 提 ) が要請 す る諸 事実 が実 際 に認 め られ るか の検 討 が必 要 で あ る。 この よ うな仮 説 を想 定 す る

ことで、推論 の前 提 とな った事 実以外 の様 々 な個別事 象 の包 括 的説 明が可能 とな るか を理 論 的 に検討 し、仮説 の妥 当性 0有 効性 を検証 す る こ と も必要 とな る。 後述 す る諸仮 設 や次 項 の具 体 的解 析課題 は これ らの点 に留意 して 設定 され た もので あ る。

もし第 1の 仮説 が正 しければ、 まず突 出型・

沿 下型樹 形相 互 間 に は分布域 の分 化 まで引 き 起 こす よ うな決 定 的 な形 態 的差 異 が認 め られ な けれ ばな らな くな る。 言 い換 え る と、 ふ た つ の樹形 の差異 が「 体 制」 の違 い と して把握 で きるはず で あ る。 同 じ樹形 を示 す樹 種 の形 態 に は、 単 な る外形 の一 致 を超 え た決 定 的 な 類似点

(体

制 の一 致)が 見 出 され な けれ ば な ら な い。 この よ うな考 え方 が第 2の 仮説で ある。

突 出型 樹種 に は ト ドマ ツな どの よ うに枝 条 が 長 枝 と短 枝 に分 化 して いな い もの と、 カ ンバ 類 や カ ラマ ツ類 な どの よ うに分 化 して い る も のが含 まれて い る。 そ して通常 前者 は常緑樹 で あ り、後者 は落葉樹 で あ る。 この よ うな差 異 が決 定 的 な相違 で あれ ば、 この仮説 は成 り 立 た な い。 この よ うな差異 が二 義 的 で あ る こ

とが証 明 されね ばな らな い。

1、 第 2の 仮説 が正 しい な ら、 突 出型樹 形 と沿下 型樹 形 には分 布域 の差 異 化 に結 びつ くよ うな潜在 的 な機能 的意 味 の違 いが あ る こ とにな る。 す る と この よ うな機能 的意 味 に規 定 され て、 突 出型樹 種 と沿下 型樹 種相 互 間 に は実 際 的 に も生活様 式 の諸 局面 に様 々 な違 い が見 いだ され るはず で あ る。 この よ うな考 え 方 が第 3の 仮説 で あ る。 よ り具 体 的 に は、 突 出型 樹 種 と沿下 型樹 種 で は被 陰 や様 々 な ス ト

レス、 また様 々 な撹 乱

(disturbance)に

対 す る 対 応 パ ター ンの中 に も、 基 本 的 な差異 が み い だ され な けれ ば な らな い。 また この よ うな相 違点 が分布 域 の差異化 に結 びつ く性質 の もの で な けれ ばな らな い、 逆 に言 えば、 同 じ樹形 を示 す樹 種 の生活 様式 の中 に は、 多 くの類似 点 が あ る とみ る考 え方 とな る。 す な わ ち、 陰 樹 0後 発樹 種 的性質 が顕 著 とされ る常 緑 針葉 樹 と陽樹・ 先駆 樹 種 的性 質 が顕 著 と され るカ ンバ類 や カ ラマ ツ類 な どの亜寒帯性落葉樹 を、

む しろ互 い に よ く似 た生育・ 更新様 式 を持 つ もの と見 る見方 とな る。 この よ うな一 見非常 識 な見方 が ど こまで妥 当 か の検討 が極 めて重 要 とな る。

また第 1〜 3の 仮 説 が正 しい とす る と、 冷 温帯以 北 の高木類 が樹形 と生活様 式 の違 いに よ り、 大 き く二 つ の類 型 に区分 で きるはず で あ る。 これが第 4の 仮 説 で あ る。 これ は これ まで の仮説 の取 りま とめ の意 味 を持 つ仮説 で あ り、 冷温帯 以北 の高 木類 の包 括 的認 識 枠組 み と して の意 味 を持 つ仮 説 とな る。 通常 樹 木 の生活形 は高木 と低木 に分 け られ る。 そ して 高 木 は常 緑樹 と落葉樹 に区分 され た り、 針 葉 樹 と広 葉 樹 に区分 され た り して い る。 しか し 落 葉樹 に も広葉 樹 に も冷 温 帯 性 の樹 種 と亜寒 帯 性 の樹 種 が あ るの で、 この よ うな区分 で は 分 布域 との関係 が見 出せ な い。 また常 緑 針 葉 樹 、常 緑 広葉樹 、 落葉 針葉 樹、 落葉 広 葉 樹 に 区分 され る場 合 もあ るが、 落 葉広葉 樹 に冷 温 帯 性 樹 種 と亜 寒 帯 性 樹 種 が含 まれ るた め、 や は り分 布域 との対応 が不 明瞭 で あ る。 それ に 対 して、 突 出型 樹 形 を示 す か沿 下 型 樹 形 を示 す かで高 木 と低木 の区分 の次 に位 置 す るよ う、

な生活 形 の区分 が で きれ ば大気候 的 な分布 域 との対 応 が明瞭 とな り、 森林帯論 的 に も包 括 的 な認 識 枠組 み と して極 めて都合が よ くな る。

次 に第 4の 仮 説 の よ うな類 型 区分 が可 能 で あ り、 樹形 の違 いが生活形 の違 いだ とす ると、

この よ うな考 え方 に従 って、 天然林 の構造 や 動 態 に関 す る諸 問題 な ど も包 括 的 に説 明 で き るよ うにな るはず で あ る。 この よ うな見方 が 第 5の 仮 説 で あ る。 2〜 4ま で の仮説 が個体 や個体 群

(種 )レ

ベルの作業仮設 で あ ったの に 対 して、 第 5の 仮説 は群 集 レベ ル の仮 説 で あ

る。

なお以上 の仮説 の概 略 は、 す で に藤 本 " 2)

な どで呈示 済 みで あ る。 た だ し、 用語 に多少

‑4:一

(5)

問題 が あ った ので、 本 論文 で は以下 の通 り訂 正 した 。 これ ま で は

excurrent tree―

formと

decurrent tree―

fromを それ ぞれ ポ プ ラ型樹形、

ハ ル ニ レ型樹形 と呼ん だがで よ り原義 に忠実 な表現 が望 ま しい と考 え、 本論文 で は多少 直 訳 的 で あ るが、 そ れ ぞ れ、「 突 出型 樹 形 」、

「 沿 下 型 樹 形 」 と呼 ぶ こ と に したり。 また藤 本ので は、樹 木 にお け る頂 部 優勢 を「 分 岐 率 にお け る頂 部 優勢」 と表現 したが、 本論文 で は Brown  ο ι   αι 。 つ の指摘 に従 い、

apical control

と考 え、 頂 部 支 配 と訳 した。

apical control

の訳 と して は頂部 調節のや頂 芽支 配り もあ る が、 藤本

"に

従 い頂 部 支配 と した。

4.具

体 的解 析 課題

前 節 で呈示 した諸仮説 の検証 の ため設 定 さ れ た具体 的検討 課題 は以 下 の 四 つ で あ る。

〈課題 01〉 天 然 生 林 にお け る高木 類稚 幼樹 の被 陰対 応 パ ター ンの解析

〈課題 02〉 有 珠 山噴火 に伴 う高木 類 の対応 パ タ‐ ンの解析

〈課題 03〉 枝条・ 冬 芽 形成様 式 、 特 にカ ラ マ ツの長・ 短枝分 枝 に関す る発 生解剖・ 比較形態学 的解 析

〈課 題・

4〉

北海 道 の高木類 の適 応戦 略 の一 類型区分 の提案 と、その妥当性・

有 効性 の理論 的検討

課 題

01で

は北海道 の天然生 林 にお け る高 木類 の被 陰 に対 す る対 応 パ ター ンの解 析 を通 して、突 出型 0沿 下 型 樹 種相 互 間 の体 制 的差 異 を抽 出 し、 突 出型 樹 種 と沿 下型 樹 種 の被 陰 対応 パ ター ンが如 何 に この よ うな体 制 的差 異 に よ って規 制 されて い るのか を検討 した。 こ れ は前 節 の第 2〜 3の 仮 説 の検証 過 程 に相 当 す る。 本論 文 の Iで 取 りあ げ られ る。

課題

02で

は有珠 山噴火 に伴 う高木類 の樹 種 間 で個 体・ 個 体群 レベルで の対 応 パ ター ン の違 いや群 落 レベルでの推移 の解析 を通 して、

突 出型 樹 種 と沿 下型 樹種 の撹 乱 に対 す る対 応 パ ター ンの違 いや、 その体制 によ る規制 問題 を検討 した。 また課題・ 1の 結 果 も参 考 に し て、樹 形 の違 い に規制 され た突 出型 樹種 と沿 下 型樹 種 の適応 戦 略 の基本 的差異 につ いて総 括 的論 議 を加 え た。 第 2〜 5の 仮 説 の実 証 的 検証 で あ る。 本 論文 の Ⅲで取上 げ られ る。

課 題

03で

は突 出型樹種 に見 られ る常 緑針 葉樹 類 と亜寒帯 性 落葉 樹

(カ

ンバ 類 や カ ラマ ツ類

)の

体 制 の一 致 の よ り詳 細 な抽 出 を 目的

と して、両 者 の中間的 な位 置 を 占め る落葉針 葉 樹 、 特 に カ ラマ ツの長・ 短 枝 分 枝 パ タ ー ンの冬芽形 成 レベ ルで の発生 解剖・ 比較形 態 学 的解 析 な どを行 な った。 これ は第 2の 仮 説 の よ り詳細 な検証 で あ る と同時 に、 それ を通 した その他 の仮 説 の実証 的検証 で もあ る。 Ⅳ で取 上 げ られ る。

課 題

04は

理論 的検証 で あ る。 まず課題・

3ま で の解 析結 果 を前提 と して、 北海道 の高 木類 の適 応戦 略 の類 型 区分 を試 み た。 これ は 第 4の 仮 説 の よ り具体 的 な呈 示 といえ る。 そ して呈示 した類型 区分 の妥 当性・ 有 効性 につ いて理 論 的 な検討 を加 え た。 す なわ ち、既 存 の様 々 な類 型 区分 との比 較 や提案 した類型 区 分 で北海 道 の樹 木 や森 林 に係 わ る諸 問題 が ど れ だ け包 括 的 に説 明可能 とな るか な どにつ い て検討 す る ことを通 して、 提 案 した類型 区分 の妥 当性 や有 効性 を吟味 した。 これ は第 2か ら第 5の 仮 説 の理論 的検 証 過 程 に相 当 す る。

そ して最 後 に、提案 した類型 区分 に従 うこと で亜 寒帯林 0亜 寒帯 性高 木 類 の歴 史 的成 立 が どれだ け矛 盾 な く説 明 で きるよ うにな るか に つ いて理論 的検討 を加 え た。 これ は第 1の 説 の包 括 的 な理 論 的検証 で あ る と同時 に、 そ れ を通 した第 4の 仮 説 の包 括 的認 識 枠 組 み と して の妥 当性・ 有効性 の検証 で もあ る。 これ は、 本論 文 の Vで 取 上 げ られ る。

5。 研 究 史 の概 略

特 に重 要 な樹 形 問題 な ど三 つ の事項 に焦点 を絞 り、 その研 究史 を略述 して お く。

5‑1 

樹 形 と樹 形 形 成

樹形 につ いて考 え る場 合 は、 まず 、「 か た ち」 の本 性 を ど う捉 え るか が 問 題 とな る。

「 か た ち」 の本性 論 の先駆 け は、「 か た ち」 の 不 変 的側 面 を原 型 (Urtypus)と して捉 え る一 方 で、 「 か た ち」 を静 的 な Gestalt(shape)と 見 る よ り、 形 成 過 程 も含 む 動 的 な

Bildung

(form)と 見 て い こ う とす る Goethe"に 求 め られ る。 この よ うな考 え方 は、 今 日にお け る dynamic morphologyb)へ と繋 が って い る。

樹 形 の 類 型 区 分 と して は、 Wardの に よ る

drooping, fastigiate, spreading and terraced,

piramidal formsに 分 け る区分、

Raunkier29)に

よ る

geotropicな

樹 形 と

fastigiateな

樹 形 に分 け る区分 、 鈴 木鋤 によ る タブ型 、 シイ型、 ブ ナ型 、 ヒノキ型 、 ツガ型 に分 け る区分 な どが 提 案 されて きた。しか し上述 の よ うな Goethe

‑5‑

(6)

的 な考 え方 に従 うと、樹 形 とい う「 か た ち」

も単 な る外 形

(輪

郭 )的 な もの と して で は な く、 遺伝 的 に不変 的 な原型 的 0体 制 的 な もの とて捉 え られ るとと もに可変 的 な樹形形成様 式 の問題 と して捉 え る必要 が あ る。 そ の意 味 で は、以 上 の よ うな樹 形 を樹冠形 な どの外形 によ って 区分 す る類 型区分 は不充分 といえる。

これ まで に多 数 の研 究 者 " 2'認 ― め に よ って採 用 されて きた

excurrentな

樹 形

(突

出型 樹 形 )

decurrentな

樹 形

(沿

下 型 樹 形

)に

分 け る 区 分 も、 元 来 は樹 冠形 とい う外 形 に よ る区分 で あ った と考 え られ る。

 

しか し Brown  θ ι

 

α′

P

によ って、 これ ら二 つ の樹形 の違 いが分 枝 レ ベルでの樹形形成様式 の違 い と して明確化 さ れ た こ とで、 この区分 は重要 とな った と考 え られ る。 様 々 な類型 区分 の うち、 この区分 が よ く用 い られ るよ うにな った理 由のひ とつ も、

これが単 な る外形 によ る区分 で はな い ことが 大 きい と推 察 され る。

樹 形 の生 態 的 0機 能 的 意 味 に関 して は、

Goethe的 な考 え方 の延 長 と考 え られ る、 形 態 を行動 と して捉 え る観点→や、既 に触 れ た よ うな生 態 や進化 を制約 す る もの と して形 態 を見 よ うとす る渋谷

3)の

「 生 活 様 式 の基 本 を 規定 す る もの は体 制 で あ る」 とす る見 方 や、

Gouldlの

に よ る developmental constraints(発 生上 の制約 )な どが重 要 で あ る。 ま た「 か た ち」 を行動 と して捉 え る ことに関連 して、 そ れ を さ らに population的 な も の と見 る考 え 方 " ③ も提 案 され て い る。 この考 え方 に従 う と、 個体 を構 成 す る何 らか の単位 が個体 的 な もの とな る。 この よ うな個体 に代 わ る単位 と して は、

Module",4‑②

ゃ Metamer43mな どが 考 え られ て きた。 この よ うな考 え方 は、 樹木 や 植物一 般 にお け る個体 の個体性 や そ の重 層 的 在 り方 の認識 につ なが る考 え方 と して重 要 で あ る。 また樹 木 の生育パ ター ジを考 え る場合、

単 な るサ イ ズの増 加 過程 と見 るの で は な く、

population dynamics的 な、 何 らか の 単 位 の dynamicsと して捉 えて い く考 え方 で もあ り、

樹 木 の生 育 パ ター ンを検 討 す る うえ で重要 と な る。

また樹 形 の生態学 的意 味 の具体 的指摘 と し て は、

WiesneP,HornO,四

手 井 め

,Bormann

&Likens37D, A/1aillete9, Niklas & Kerchnerつ ,

Iwasa  ο ι

 

α J.48D,  ニ ク ラス 49Dな どが あ り、

 

そ れ

ぞれ重 要 な指摘 を含 む。 しか しこれ らの指摘

で は、 樹形 の動 的側面 や 可 変 性 が殆 ど考 慮 されて い な い。 それ に対 して Hallё

 

ο ι  αι .42pは 、 熱 帯性 樹 木 の樹 形 を

23の

遺 伝 的樹 形 に類 型 区 分 した上 で、 それ らの機 会 的変 形 も考慮 に入 れ て生 態 的意 味 を論議 した。 彼 らの研究 は樹 形の不変性 と可変性を考慮に入れた包括的研究 の 最初の ものといえる。 郡 場 m̲"ゃ

corner認

研究 は、 その先駆 的研 究 と して 重 要 で あ る。

針葉樹 の傘型樹形 に係 わ る研究 と して、武藤・

信 岡⑮、 Kohyamaり 、 中村・ 小 幡め、 田 中 Dな どが あ るが、 これ らも樹 形 の可変 性 に着 目 し た研究 で あ る。 これ らは物 質生 産 レベ ルか ら 樹形 の生 態学 的意 味 を検 討 した研 究 と して も 重要 で あ る。

樹 形 の分 枝 レベ ルで の解 析 と して は、 api―

cal dominance(頂 部 優勢

)と apical cOntrol(頂

部 支配 )の 区 別 を 明 確 に した

Brown 

ο ι

 

αι 。 ゆ や、 HortonDの 分 岐規則 を導 入 した分 岐 比 に 関 す る解 析 ∞ な どが重 要 で あ る。 ま た近 年 コ ンピュー タに よ る樹形 研 究 が盛 ん とな って きたが、 その うち生産物 の配分量 の頂基的差 異 を仮 定 して、

excurrentな

樹 形 か ら

decurrent

な樹 形 へ の移 行 を シ ミュ レー ト した Honda ο ι   α J。 の、本多⑬の研究 は、頂部支配 の度合 い

と樹形 との関係 を知 る上 で重要 で あ る。

突 出型 樹 形 の形 成 との関連 が深 い とい う意 味 で、 長 枝 と短 枝 の形 成 に係 わ る冬 芽 や枝条 レベ ル で の研 究 も重要 な意 味 が あ る。 この よ うな研 究 と して は、

 Gunckel&Thimann 67D,

Titman&WetmorcP, Flanptonめ , Kupila&

Gifford70D,Hanawa・

),Clausen&Kozlowski2 731, 藤本 74b,Owens&Modler75p,Remphery&Powel176D, 熊 田 7 0,熊 田・ 藤本の ,MailletteO,茂 田井・

藤 本ゆ ,Macdonald&Mothersilla)な ど が あ る。 また長 枝 と短 枝 を持 た な い樹 種 につ いて も、比 較 対 象 の うえ で、 Parkem,船 越 2 Dな どに よ る亜寒 帯性常緑 針 葉樹 の発生 解剖学 的 研 究 が 重 要 と な る 。

Busgen&Munchめ ,

Kozlowskia̲35p,zimmermann&Brown36bに よ る総論 も樹 形 を理解 す る上 で参 考 とな る見解 を含 む。

5‑2 

適応 戦 略

す で に触 れ た よ うに、 適 応戦 略 につ いて考 え る場 合 は、 渋谷 8)が 指摘 した、 形 態 に よ ― る 生 態 の規 制 問題 を根底 に据 え る必 要 が あ る。

しか しこれ まで に提案 され て きた様 々 な具体 的戦 略理 論 もまた極 めて 重 要 な意 味 を持 つ。

‑6‑

(7)

このような戦略理論 としては、 まずその先駆 けと なった

A/1acArthur&Wilson85pに

よる

r―selectioヘ

K―

selectionの

考 え方 や、 そ れ を 基 礎 と した

Piankalの

r―strategyとk―strategy、

すなわち r・

k理 論を最初に挙げる必要がある。 それ に先立つ

fugitive species86Dも

戦略理論 に繋が る。   古 くか ら指摘 されている先駆樹種

(Early successional species)と

後発樹種

 (Late successional species)

の区分 や陽樹

(Shade―intolerant trees)と

陰 樹

(Shade̲tOlerant trees)の

区分 も戦略理論 と無関 係 で はない。

Exploitive strategyと Conserva―

tive strategyめ

は広葉樹の樹形問題 も考慮に入れ た戦略区分 と して重要 である。Kikuzawa" ③ 、 菊沢 田 に よ る葉 の生存戦 略 に関 す る研究 は、

北 海道 の広葉樹 に関 す る形 態 によ る生 態 の制 約 問題 を重視 した最 初 の包括 的 な適 応戦 略研 究 とい え る。

ま たGrim♂ Dに よ る三 つ の 戦 略

(Ruderal, Stress tolerantお

よ び Competitive strategy) に区分 す る考 え方 や、 伊藤のによ る比較 生 態 学 的論議 は、 rO K理 論 批 判 の意 味 を持 ち、

研究史 的 に重要 で あ る。 また後 者 の K的 能 力 も考慮 に入 れ た移動 の考 え方 は、 移動 の問題 を考 え る上 で極 めて重 要 で あ る。 また移動 を 重 視 して適 応戦 略 を考 え る場 合 は、 ゲ ー ム理 論 を 生 物 学 に適 応 した Maynttd Smith&

Price91)、 Maynard SmithDに よ る ESS(進 化 的 に安定 な戦 略

)理

論 も重 要 とな る。 そ して移 動 的 な戦 略 や最適化理 論 を超 え た戦 略 を考 え る場 合 は、 人 間 の行 動 に係 わ る Deleuze&

Guattari" "や ドゥル ー ズ

9め

に よ る 遊 牧 者 (nomad)的 ・ 非定 着 的 な もの と定 住 者 (sed¨

entary)的 ・ 定 着 的 な もの を 区分 す る考 え方 や、遊牧 者 的・ 非定着 的 な もの と移 動 的

(移

住 的、 migratory)な もの を異質 な もの と見 る 考 え方 も研 究史 的位 置付 けが与 え られ るべ き 重要 な理論 とな る。

5‑3 

亜寒 帯林 の成 立史

亜 寒帯 性高木類 の成立史 に関 して は、 まず そ の起 源 を極 地 第二 紀 植物 群 の中 に求 め、 そ れ らの一 部 が第二紀 末以 降 の地 球 レベ ルで の 寒 冷化 によ って生 じた北方 寒冷地 の生 態 的空 白 に適 応 進化 す る こ とに よ って亜 寒帯林 が成 立 した と見 る考 え方 % り が最 も一般 的 な仮 説 と して重 要 で あ る。 また この よ うな考 え方 の 前 提条 件 とな る、 現生 の亜 寒帯 性 高木類 の北 方 寒 冷地 に対 す る適 応 性 に関 す る Wiesner44)、

館脇 り、 四手井 め、 吉良

m、

Eyle101D、 柴 田

l②

ら の指摘 も重要 な意 味 を持 つ。 亜寒帯 林 の主要 構成 要素 とな った針葉樹 全体 や その よ り低次 の分類群 の系統進 化・ 系統形 態学上 の位 置付 け に 関 す る諸 見 解 (早 田 10,Chanberlain10, Scagel  θι

 

α′ 。 105D Florin106p spOne107D B。 ld108b 

西 田 10 MillerO)ゃ

、 亜寒 帯 性 高 木 類 の起 源 の 前 史 を構成 す る白亜 紀 以 降 の広 葉 樹

(被

子 植 物

)の

進 化 や、 それ に伴 って 生 じた針 葉 樹 の 後退 に関する古植物学的・ 古生態学的諸研究や諸 見解

(Takhtajianlll)Hickey&DoylelV),Doylel13p, TiffneylM),CranellD Thomas&Spicerl10)も

 

亜 寒帯 性高木類 の成立 史 を包括 的 に把握 す る上 で大 きな意味を持 っている。 また 酒 井 H7,H9‑1が

,

SakainO,sakai&LarcherttDは 、 亜 寒 帯 性 高 木類 を北方 寒 冷 地適応型 の高木類 とみ る考 え 方 を樹木 の寒 冷・ 耐 凍性 の面 か ら検 討 し、亜 寒帯 性高木類 の起 源 に関 す る理 解 を深 め た。

これ らの一連 の研 究 に は、 亜寒帯 性 高木類 の 起 源 とい う歴 史 的対象 を実 証研究 の レベ ルに 持 ち込 ん だ もの と して研 究史 的 に極 めて重要 な位 置 が与 え られ る。

な お、 本 論 文 は北 海 道 大 学 学 位 審 査 論 文

「 北 海道 の高木 類 の生 育・ 更 新 様 式 に関 す る 比 較 形態・ 生 態学 的研究」 の大要 で あ る。 審 査 論文 の具体 的研 究結果 の多 くは、 す で に個 別 に公 表 され て い る " 2,お

,■

,協 ‑10。 ょ って 、 公 表済 み の部分 を大 幅 に削 除・ 要 約 し、取 り ま とめ たのが本論 文 で あ る。前 節 で示 した課 題・ 2と 課 題 03に 相 当す る部 分 は比較 的 ま と ま ったか た ちで公表 され て い るた め 2,■

)、

そ の結果 の記 載 をす べて削 除 した。 また未発 表 で はあ るが、 全 体 の論 旨や結論 に ほ とん ど 影 響 を及 ぼ さな い、課題

01の

一 部 に相 当す

る林 分単 位 で の予 備 的調 査結 果 や、課 題・

4

の結 論 を補 強 す る数理 的解 析 の部 分 も削 除・

略述 した。 その他 の部分 も出来 る限 り略述 し たが、論文 の核 とな る総 合 考 察

(課

04に

相 当 )で は、 な るべ く詳細 な論述 を残 した。

.突

出型・ 沿下 型樹 種 の体制上 の差 異 と その被 陰対応 パ ター ン

本章 で は稚 幼樹 の生育 パ ター ン、特 に被 陰 対 応 パ ター ンの解析 を通 して、突 出型樹 種 と 沿 下型 樹 種 の体 制上 の差 異 や それ に規 定 され て い る と考 え られ る被 陰対 応 パ ター ンの相違 につ いて検討 した。 課題 01の 検討 を通 した、

‑7‑

(8)

仮説 2、 3の 検証 に相 当す る。 なお、 被 陰 は 強度 で あれ ば ス トレス

(恒

常的環境圧、

stress)

とな り、 そ れ ほ ど強 度 で な い場 合 は競 合 圧

(competitive pressure)と

な る。 この ふ たつ は Iで 触 れ た通 り、 区分 す る必要 が あ る。 そ の た め被 陰対 応 パ ター ンの検討 はス トレスに対 す る対 応 と競 合圧 に対 す る対 応 の検討 のふ た つ の意 味 を持 つ。

1.調

査 地、供試 木 お よび解析 方 法

1‑1 

調 査地 の概 要 と供試 木 の選定 まず、供 試木 の生 育環境 の把握 と供試 木 の 解 析 に際 して の問題点 の整 理 を 目的 と して 、 林 分単位 で の調 査 を行 な った。 調 査地 は、 北 海 道営林 局 直轄 岩見 沢営 林 署 、 定 山 渓

(現

札 幌)営 林 署、 夕張営 林 署 管 内 お よ び北 海 道 大 学 農 学部 附属 中川地 方 演習林 内 の針 広 混 交 林 と、 同苫 小牧地方 演 習 林 内 の落 葉 広 葉 樹 2 次林 の 5箇 所 である。 そ こに合計 8個 の プロ ッ

トを設定 し、 プ ロ ッ ト内の高木種個体 の樹種、

樹 高 、齢 、林 床 植生 な どを調 べ、 プ ロ ッ ト内 外 の稚 幼樹 か ら供 試 木 を選定・ 採 取 した。 調 査 した順 に、調査地 の概 略 を記 す。

a)岩

見沢 営 林署管 内 の調査 0供 試 木 選定 地 317林 班

(標

高 360m)に プ ロ ッ トー 1(10m

× 10m)を 設定 した。 プ ロ ッ ト周 辺 は、 上 層 を ミ

 

ズナ ラ、 トドマ ツな どが 占 め、 下 層 に

トドマツ、 イタヤカエデ、ハ リギ リなどの稚

0

幼樹 が多 い、 典 型 的 な複 相 林型 を呈 す る針 広 混交 林 で あ った。 林 床 植物 は、 同一 箇所 を調 査 した鮫 島・ 佐 藤 (1981)に よ る と、 クマ イ ザサの被 度 が 5と 極 めて高 く、 ヤ マ ブ ドウ、

イ ワガ ラ ミが被 度 1〜 2、 ミヤ マ ス ミレな ど が

+で

認 め られ た。 林 内相 対 照 度

(地

上 高 約 1.8m)は

10地

点 で平 均

7.1%、

最 高

10.8%、

最 低 5.0%で あ った。 プ ロ ッ トは、

 

ミズ ナ ラ

と ト ドマ ツ大 径木 各 1本 に よ り林冠 閉鎖 が進 ん で いたが、 多 くの稚 幼樹 が認 め られ た。 プ ロ ッ トー 1内 外 か ら

40本

の稚幼樹 を供 試 木 と して選 定・ 採 取 した。 供試 木 と した主 な樹 種 はハ リギ リ、 イ タヤ カエデな どで あ る。

b)北

大 中川地方 演 習林 '内 の調査 0供 試 木選 定地

銅 蘭川 流域 の80林 班 に プ ロ ッ トー

2(3m

× 4m)、 プ ロ ッ トー

3(3m×

4m)お よ び プ ロ ッ トー

4(5m×

40m)を 設 け た。

 3プ

ロ ッ

トと も、過 去 に択 伐 の入 った幾 分疎 な針 広混 交林 内 に位 置 し、 標 高 は プ ロ ッ トー 2と 4が

80〜 100m、

プ ロ ッ トー 3が

100〜

120mで あ る。

プ ロ ッ トー 2の 上 層林 冠 は閉鎖 して お り、 サ サ の被 度 は 4、 それ以 外 に ツ タウル シが 十で 認 め られ た。 また、 林 内 相 対 照 度

(地

上 高 約

lm)は 5地

点 で平 均 14.2%と 必 ず し も高 い 値 で はなか った。 しか し林 床 に は、 イ タヤ カ エデ、 トドマ ツな どの稚 幼樹 が多数認 め られ た。 また、 1本 で はあ るが陽樹性 が顕 著 とさ れ るダケ カ ンバ の幼樹 も存在 して いた。 確 か に この個 体 は梢 頭枯 れが進 行 して い るた め、

いず れ は枯死 す る と思 われ る。 しか し、齢 は

37と

高 く、 また プ ロ ッ トの上 0下 層 の様 子 か ら、林 内 の光 環 境 の悪 化 はか な り以前 か らで あ った と推 察 され るので、 この個体 は しば ら くの間 は劣悪 な光環境 下 で生存 し続 けて いた こ とにな る。

プ ロ ッ トー 3に は伐 採 によ る根株 が認 め ら れ たが、林 冠 ギ ャ ップは周辺 の上層 木樹 冠 の 張 り出 しによ り、 す で に修復 され て い た。 そ の ため林床 の光 条件 は不 良 で、相対 照度 は

5

〜 10%で あ った。 しか しこの よ うな被 陰 下 に も、 ダケ カ ンバ陽樹 が根 株 上 に認 め られ た。

樹 齢 はそれ ぞ れ 11,16,23,26で あ った。 ダケ カ ンバ の被 陰下 で の存 在 は、 陽樹 性 が顕 著 な 樹 種 で も、 あ る程 度 ま で被 陰 に耐 え る こ と を示 唆 して い る。

プ ロ ッ トー 4は 、 過去 の伐採 の影 響 で上 層 が か な り疎 とな った林 分 で あ る。 サ サの被度 は高 く、 8箇 所 中、 被 度 5が 5箇 所 、被 度

4

が 2箇 所、被 度 3が 1箇 所 で あ った。 また オ オ カ メ ノキ も多 く、被 度 3が 1箇 所、 被 度

2

が 2箇 所 、 被度 1が 2箇 所、被 度 十が 3箇 所 で あ った。 地 表面 の相対 照度 は

24箇

所 の平 均 で

3.7%、

最 高

8.3%、

最 低 1.0%で あ っ た。

そ れ に対 しサ サ上

(地

上 高

2m)で

は 平 均 で

18.0%、

最 高

29。4%、

最 低 9.9%と 、 これ まで の プロッ トと比 べて高 い値 を示 していた。中・

下 層 に多 くの稚 幼樹 が生 育 して い た (ha当 た り、DBH 6 cll未 満 で、

12450本

)が 、 サ サ上 に もか な り多 くの個体 が認 め られ たのが特徴 的 で あ った。 これ は上 層 が比 較 的疎 で あ った ことに よ る と推 察 され る。 この よ うな多少光 条件 の良 い場 に生育 して いた個体 の生育 パ ター ンを解 析 す る こと も、 比較 の ため必 要 と思 わ れ た。

この調査地 で も、以上 のよ うな 3つ のプロッ ト内 とその周 辺 か ら、 ダケ カ ンバ、 イ タヤ カ

‑8‑

(9)

エデ、 トドマ ツな どの稚 幼 樹

100本

を選 定・

採 取 し、 供試 木 と した。

C)定

山渓

(現

札 幌)営 林署管 内 の調 査・ 供試 木選 定地

ここで は、

1125林

班 、 標 高

400〜

450mの 点 に、小 プ ロ ッ ト 1個

(プ

ロ ッ トー

5、 2m

×

3m)を

設 け た。 プ ロ ッ ト周 辺 は上 層 に ト ドマ ツ、 ミズナ ラ、 エ ゾマ ツが優 占 し、 アカ エ ゾマ ツの大径木 も点 在 す る針 広 混 交 林 で あ った。 プ ロ ッ トー 5は 、 プ ロ ッ ト外 の ミズ ナ ラ中・ 大 径木 2本 と、 プ ロ ッ ト内 の トドマ ツの中径木 1本 が上層 林冠 を構 成 し、 林冠 は 閉鎖 され て い た。 林床 にササ はな く、 オ オバ ス ノキ、 エ ゾイ ソッッ ジが被度 2〜 3、 ハ イ イ ヌツゲ、 イ ヮガ ラ ミ、 ッ タウル シな どが

+

で認 め られ た。 林 内照度 は、

4地

点 の平均 で

4。

1%と 低 か ったが、

 

ト ドマ ツ、 エ ゾマ ツ、

アカ エ ゾマ ツな ど針葉 樹 の稚幼樹 が数 多 く侵 入・ 定着 して いた。 しか しこれ らの稚幼 樹 は すべ て典型 的 な傘型樹形 を示 して お り、樹 高 成長 は著 しく抑制 され て いた。

この プ ロ ッ ト内お よび プ ロ ッ ト周 辺 か ら稚 幼樹

66本

を選定・ 採取 し、 供試木 の一部 と し た。 供試 木 と した主 な樹種 は ト ドマ ツ、 ダケ カ ンバ、 エ ゾマ ツ、 アカエ ゾマ ツで あ る。

d)北

大 苫小牧地方演 習林内 の調 査・ 供試木 選 定地

本 調 査地 で は、 山 の神 319林 班 、 標 高

10〜

20mの 地 点 に小 プ ● ッ ト

(プ

ロ ッ トー

6、 3

5m)を

設 けた。 プ ロ ッ ト周 辺 は昭和

29年

15号

台風跡 の広葉樹 2次 林 と考 え られ る。

大 径木 は少 なか ったが、 中・ 小 径 の ミズナ ラ が上層 で優 占 し、 イ タヤカ エデな どの中・ 小 径木 も多 く、 林冠 は閉鎖 して いた。 林 床 にサ サ はな く草 本・ 低木類 も少 な く、 クサ ソテ ッ が被度 2、 ッル ア ジサ イ、チ ョウセ ンゴ ミシ、

スゲ類 が 1、 その他 ツ タウル シ、 フ ッキ ソウ、

オオアマ ドコ ロな どが

+で

認 め られ たの みで あ った。 林 内照度 は 6地 点

(地

上 高 約 lm)の

平 均 で 11.6%で あ った。 この よ うな生 育 環 境 下 に、 耐 陰性 が あ る程度 高 い とされ るイ タヤ カエデ、 ヤマ モ ミジ、 シナノキ、 アズキナシ、

ミズナ ラな ど とと もに、 陽樹性・ 先駆 性 が高 く、少 な くと も若齢 期 に は典型 的 な突 出型樹 形 を示 す ミヤマザ ク ラの稚 幼樹 が数 多 く認 め られ た。 プ ロ ッ トー 4や 後述 す るプ ロ ッ トー 8で も、被 陰下 で ミヤマザ ク ラ稚 幼樹 が認 め

られ た ことか ら、本種 は実 際的 に も耐 陰性 が 高 い と考 え られ る。 プ ロ ッ トー 2や 3の 閉鎖 林 冠 下 で、 や は り先駆性 が顕 著 で典 型 的 な突 出型 樹形 を呈 す ダケ カ ンバ が生 存 して いた こ とな どを考 え併 せ ると、 先駆 性・ 陽樹 性 が顕 著 な突 出型 樹種 が必 ず しも耐 陰力 が低 い とは 限 らな い と思 わ れ る。 そ の ため、 突 出型樹形 の被 陰対 応 パ ター ンを検討 す る場合 には、陽 樹 性 が顕 著 とされ る突 出型 樹 種 の耐 陰性 につ

いて も検討 を要 す る と判 断 した。

この プ ロ ッ ト内お よびプロッ ト周辺か らも、

供 試木 を選定・ 採取 した。 また本調 査地 で は 北海道大学農学部造林学講座 のメ ンバ ーによっ て継 続 調 査 が 行 な わ れ て い る

Hめ

風 害 跡 試 験 地

(山

の 神 304林 班 、 標 高

35〜

45m)の 周 辺 に お いて も供試木 を選 定・ 採取 した。 供試木 の 総 本 数 は

221本

で 、 そ の 内62本 を採 取 した。

主 な対象 樹 種 はイ タヤ カエデ、 ミズナ ラ、 シ ナ ノキ、 ハ リギ リ、 シラカ ンバ な どで あ る。

e)夕

張 営林 署 内 の調査・ 供試 木選 定地 こ こで は

1245林

班 、標 高約 620mの 地 点 に プ ロ ッ トー

7(2m×

15m)を 、 同 じく

1321林

班、

標 高約 500mの 地 点 にプ ロ ッ トー

8(5m× 10

m)を 設定 した。 プ ロ ッ トー 7周 辺 は伐 採 跡 の 2次 林 的様相 を示 す林 分 で あ る。 上層 に大 径 木 は少 な く、 ケヤ マハ ンノキや カ ンバ類 な どの先駆 性樹 種 が混交 して いた。 プ ロ ッ ト外 よ り張 り出 して きたケヤマハ ンノキ中径木

2

本 とゥ ダイカ ンバ大 径木 1本 の樹冠 によ って、

林 冠 が 閉鎖 されて いた。 しか し、下層 に は倒 木上 を中心 に して、 稚樹 段 階 か ら最 大樹 高

9

mの 小 径 木 まで の針葉樹 が数 多 く生 育 して い た。 これ らの針 葉樹 の内、樹 高 2〜

3m以

下 の個体 はおお むね生 育状 態 の悪 い傘型樹形 を 呈 して いた。 プ ロ ッ トー 8は 急 傾 斜 地

(傾

斜 角約

30度

)に 位 置す る針広 混 交 林 の な か に設 けた。 プ ロ ッ ト内 には 2本 が存在 し、 その上 に多数 の針葉 樹稚幼樹 が更新 して いた。 その 生 育状 態 はプ ロ ッ トー 7よ り悪 く、 すべ ての 個 体 が典 型 的 な傘型樹形 を示 して いた。 傘型 樹 形化 は一般 に「 頂部優勢」 が破 れ た結 果形 成 され る樹 形 と考 え られ て きた

"‑0。 

しか し

も しそ うな ら、 傘型樹形 化 は非突 出型 樹形化

・ で あ り、 ひいて は沿下型樹形 化 だ とい うこと にな る。 その ため、 傘型 化 問題 の解 明が突 出 型 樹種 の体制 的特性 とその生 態 的意 味 を抽 出 す る上 で重要 と考 え られ た。

‑9‑

(10)

この調 査地 で も、 2つ の プ ロ ッ ト内 や その

  

は、草 本 のそれ の よ うな、 頂芽 の存 在 に よ っ 周 辺 か ら稚 幼 樹

33本

を採取 し、 供試 木 の一 部

  

て腋 芽 の開芽 や伸長 が抑 制 され る とい った枝 と した。 主 な樹 種 は ト ドマ ツ、 エ ゾマ ツ、 ア

  

条 レベ ルで の現 象 を指 す ので はな く、 樹 体 の カ エ ゾマ ツで あ る。

f)供

試木を解析するに際 しての問題点の整理

よ り広 い範 囲 で見 た場 合 に、樹体 の相対 的上 部 の成 長 が相 対 的基 部 に比 べ て優勢 な状 態 に 林 内 に は、 ダケカ ンバ、 ミヤ マザ ク ラな ど

  

あ る現 象 を指 す ことは重 要 で あ る。 その ため 先駆 性・ 陽樹 性 が顕著 とされ る突 出型 広葉樹

  

樹 木 にお いて「 頂部 優勢 」 が顕著 で あ る場合 の被圧 稚 幼樹 も少 なか らず認 め られ た。 その

  

は、 主 軸 や樹 体 の相 対 的上 部 の枝先 で は、 む た め、 突 出型樹 種 の被 陰対 応 パ ター ンや耐 陰

  

しろ腋 芽 の 開 芽 や伸 長 が極 め て 盛 ん で あ る 性 につ いて検討 す る場 合 は、 これ ら先 駆 性 が

 (つ

ま り草本 で い うと こ ろ の頂 部 優 勢 が 破 れ 顕著 な突 出型広 葉樹 につ いて も検 討 を要 す と

  

て い る )場 合 が多 い。 つ ま り草 本 と木 本 の頂 判 断 した。 また常緑 針 葉 樹 で は、 被 陰下 で傘

  

部 優勢 は全 く別 の現象 といえ、 Brown  θ ι  αι

.?

型 化 して いた。 傘型化 は外 見 的 に は沿下 型樹

  

は草本 に お け る頂 部 優 勢 (apical dominance) 形 化 的変 化 で あ るため、 傘 型 化 問題 の解 明 も

  

と区別 し、木 本 にお け る「 頂 部優勢 」を

apical

突 出型 樹 種 の体 制 的特 性 とその生 態 的意 味 を

  control(頂

部 支 配

)と

呼 ぶ よ うに提 案 した。

抽 出す る上 で重 要 と思 われ た。 以上 の よ うな

  

この よ うに、樹 木 の「 頂 部 優勢」 を頂 部 支配 諸 点 に留 意 して、 供 試 木 の解 析 が な され る こ

  

とみ なす こと も、解 析 を進 め るに当 って留意

と と な る。

す べ き重 要 な事項 といえ る。

なお ト ドマ ツを対 象 に した予 備 的解 析 "や

  1‑2 

供 試 木 と解 析 方 法

前章 において指摘 したように、 突 出型樹形 上述 した供試木以外 に、比較 のため天然生

と沿 下 型 樹 形 の違 い や 傘 型 樹 形 につ い て 考 え   林 (苫 小 牧 と夕 張

)に

隣 接 す る造 林 地 の 植 栽 る場 合 、「 頂 部 優 勢 」 概 念 の 明 確 化 が 前 提 と   木 や 北 海 道 大 学 農 学 部 附 属 演 習 林 札 幌 苗 畑 の な る。 す な わ ち、

Brown 

οι α

J。

の が 指 摘 した   苗 木 も供 試 木 の 一 部 に加 え た。 供 試 木 の総 本 よ うに、 樹 木 に お け る「 頂 部 優 勢 」 (つ ま り、   数 は478本 とな っ た 。 そ の 一 覧 を 表‑1に

突 出型 樹 形 に み られ る よ う な 頂 部 優 勢 状 態 した。

‑1  樹種別供試木一覧 Tablo l Sample saplings

供試木   樹     高

(m)

総本数   平   均

(Range)

育 地・

478    1.22 (0.03‑3.50)

 調査 した個体の多い1頂に示 した。苫、中定、岩、夕、苗 はそれぞれ、苫小牧、中り

lk定

山渓、

岩見沢、夕張、札幌苗畑を指す。

均 m > 高 平 樹 木 数 取 採 樹 本

46

33

50

38

︲1

82

︲0

54

77

57

43

74

70

17

46

︲5

00 55

︲7 86 43 37 23

︲2

苫         一 苗   苫     一 岩     中 中 苫 夕     一 定 苫 中 中 岩     定 夕 定 定   定 一 中 定 岩 岩 定     中         定 岩   岩 定 夕 苗 苫 苫 苫 一 中 苫 苫 苫 苫 苫 苫 苫 苫 苫 苫 苫 定 苫 中 中 苫 苫 苫 中

<0・09.3.00>

<0・︲6.︲.60>

<0・︲0・︲・20>

<0・29.︲.34>

<0・︲8.0.58>一

<0・08.8.2︲>

<0・︲2.3.9︲>

<0・03.8.50>

<0・06¨5.80> <0・32.5︒︲5> <0・27.2.28> <0・45¨2.33> <0・︲2.2.55>¨ <︲・263.. 3> <0・32.3.83> <0・95.︲.85> <︲・70¨5.︲0> <0・36.2.78> <︲・2︲.3.︲0> <0・27.2.65> <︲・︲4︺︲.︲5>

53

49

34

73

35

︲8

89

53

5︲

67

89

︲2

38

66

84

98

48

75

︲7

︲6

46

︲5

60

50

52

00 63 20 20

・00 45 4︲

34 26 26 24

︲7

・2

︲0

エゾマ 時 カラマ 竹 物 ″ 翡 一 ザ ︺ 勁 齋 ︶

な 一 オヒョ 一

′ヾツコ キ′ヽダ

301

‑10‑

Fig, 7 Tree age and number of terrninal shoots

参照

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