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お日さまの光は、あなたたちのごはんなの

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Academic year: 2022

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(1)

文 ・ た け う ち す み と

絵・うえもと いさむ

(2)

「おきなさい、おきなさい。春ですよ。 J

やさしい声が聞こえてきます。

ブナのお母さんがブナの赤ちゃんを

かあ

お乙しているのです。

その這によばれて、さいしょに目をさましたのは、ブーナンでした

O

「うーん、よーいしょ。」

ひ か り す こ おお

ブーナンは、お日さまの光を少しでも多くあびようと、

一生けんめい、せのびをしています。

ひろ ひかり

「そうよ、ブーナン。はつばを広げなさい。お日さまの光は、あなたたちのごはんなの。

いっぱいあびて、早く大きくなりなさい。」

ぉ議さんにはげまされて、ブーナンは、ますますがんばります。

(3)

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春 の 森 は 、 と て も に ぎ や か

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冬みんしていたと うぶったちが、おき出してきます。

とう

山さいをとりに、ふもとの村人もやってきます。

「お話さん、森がにぎやかで、なんだかうれしいね。 」

「ほんとね。ここには、みんながあつまってくるの。

人もどうぶつも虫も。

コケやきのこやいろんなしょくぶつもよ。 j

「ヘぇ 。どうして ? J

「そのうち、あなたにも分かるわ

。 ほら、だれか来たみたいよ 。 」

(4)

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5 5  

ほんとうだ!

おや

豆みんかうさめたばかりのクマの親子が、こっちにやってきます。

「きみは、だれ ? J

ブーナンは、聞きました。

「そうか。ぼくも今年うまれたばっかりなんだ。

おな

同じだね。 J

おな

同い年の二人は、すぐになかよくなりました 。

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(5)

夏 。 ブーナンは、ちょっとだけ、せがのびました。

でも、まわりの草や木の方が、

す、っとす、っと早く大きくなります。

お日さまの光が、あびられなくて、

ひかり

ブーナンは、だんだん元気がなくなってきました。

げん

「ブーナン、がんばりなさい。

まわりの草のすき聞か 5 こぼれる お日さまの光をひろうのよ。 j

かあ こえ とお

お母さんのはげます声が、だんだん遠くなります 。

(6)

JO 

「おーい、ブーナン!どこだあ?リ

クータンの声です!

クータンが、草をかき分けてやってきました

「だいじようぶか?今、たすけてやるからなリ

かうだ たか たいあ

クータンは、小さい体で、せの高い草たちに体当たり

O

そして、ブーナンに日が当たるようにしてくれました 。

「ありがとう、クータン!ありがとうリ

おも

ブーナンは、思い切りせのびをしました。

(7)

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秋 。 森は赤や舗に道づいて、だれかが会のぐで絵をかいたみたい。

「お母さん、きれいだね 。 でも、何だか、みんないそがしそうだよ

なん

。 」

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「そうよ。冬が来る前に、たくさんごはんを 食べておかなければな 5 ないでしょ。

だか 5 、みんな、いそがしいのよ。」

(8)

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(9)

クータンが、走ってきました!

「だめだよ、だめだよ。

ぼくのともだちを食べないでリ

た い あ

クータンは、ズーに体当たり

O

ズーは、ぴょこぴょこにげていきました。

「ありがとう、クータン!ありがとうリ

ブーナンは、あぶないところでたすかりました 。

「でも、クータン、ぼくは、いつつもきみにたすけても 5 ってばっかりだね。

ぼくは、ともだちのきみに何もしてあげ 5 れないんだ。 j

ブーナンは、しょんぼりして言いました 。 すると、クータンは、

「なに言ってるんだい。

どうしてこの森にみんなあつまってくるのか、知 5 ないのかい ? J

(10)

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クータンは、お母さんに教えてもらった話を ブーナンに教えてあげました 。

「あと 200 年くらいたって、

ブーナンが、ブーナンのお母さんく 5 い 大きくなったらね、

森のまもりがみつて、

言われるようになるんだって

O

ほう、この森の地めんはふか J 3 ¥ かだよね

O

それは、きみたちがおとしてくれたおちぱが、

つもっているからなんだって。

おちぱが、スポンジのように水を ためてくれるか 5 、

大雨がふっても、土がながれないし、

あちとちにわき水がわいてくるんだよ。 J

(11)

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「まだあるよ。

との森では、

空気がひんやりして、

しんこきゅうすると 気もちいい!

それは、きみたちが

お日さまの力をも 5 って、

よごれた空気を

きれいにしてくれてる か 5 なんだって。」

(12)

「まだまだ、あるよ。

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干 、 守 、

きみたちは、川を通してえいようたっぷりの 水を田んぼやはたけにおくってるんだって。

この前、山さいをとりにきたふもとの 村のおじさんが、そう話してた。

おいしいお米ができるのも、

きみたちのおかげなんだってさ。 j

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ブーナンは、びっくりしましたが、

うれしくなって言いました。

「そうか。じゃあ、ぼく、早く大きくなるよ。

それで、クータンにおんがえしする!

それまで楽しみにまっててよリ

クータンは、にっこりわ 5 いました。

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(14)

森に、はつ雪がふりました。

これからさむくてきびしいきせつが、はじまります 。 クータンが、やってきて言いました。

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「これか 5 冬の問、ぼく 5 はおうちか 5 出 5 れないんだ。」

とう あいだ

「そうか、冬みんするんだね。 し l まうくの問、おわかれだね。 」

げん

「ブーナン、元気でね。 J

「うん、がんばるよ 。クータンも元気でね。

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冬の森は、しんしんと、基がふりつもり、

つめたい風が、びゅーぴゅーと、ふきあれます。

でも、ブーナンは、じっとがまんして、

ふんぱっています。

(15)

ひかり

お日さまの光が、だんだんあたたかくなって、

やっと森に春が来ました。

「ブーナン、よくがんばったわね。

春が来たわよ。」

お母さんの声が、聞こえてきます

かあ

そこに、ねぼけた顔をして、クータンが、

やってきて言いました 。

げん 13¥

「元気だったかい?冬はつ 5 かっただろう ? J

「へい気さ。

クータンは、まだねむそうだね。」

「うん。でもおなかがすいちゃったな 。 いっぱいごはんを食べるぞ一。 J

「ぼくもお日さまをたくさんあびるぞ一 。 」 冬をこして、

二人は、少したくましくなりました。

す こ

(16)

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何回も何回も、こうしていっしょに春をむかえて、

クータンは、おじいちゃんクマに、

ブーナンは、わか木になりました。

(17)

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そして、ある春。

クータンは、冬みんしたままおきてきませんでした 。

「お母さん、クータンがおきてこないよ。

どうしたんだろう ? J

かあ

ブーナンは、なきながらお母さんに聞きました。

「ブーナン、わたしたちは何百年も生きるのよ

なん

クータンたちは、どんなに長生きしても 20 年くらい。

いつかおわかれしなくちゃいけないの。 」 ブーナンは、なきじゃくりながう言いました 。

「だってぼく、おんがえしするってやくそくしたんだ 。 それなのに、まだ何にもしてないんだ。

なん

あんなにたすけてもうったのに 。 」

かあ

お母さんが、やさしく言いました 。

「じゃあ、クータンにおんがえしできなかった議は、

クータンの子どもや、またその子どもに してあげなさい。

お母さんもそうしてきたのよ。」

(18)

ブーナンは、もうなきませんでした 。

なん かい なん か い Z

そして、何十回も何百回も、番をむかえて、

とてもりっぱな木になりました。

みんなが、そのまわりにあつまってきて、こう 言います。

「ブナのじいじ!ブナのじいじ!

ブーナンじいじは、まもりがみリ

(19)

司園田園田園

ゆき

ほら。今年も雪がとけはじめると、

ブーナンじいじのあの声が聞とえてきますよ。

「おーい、春だぞ一。

おきろおきろー。 j

その量によばれて、またたくさんのブナの赤ちゃんが、

目をさまします。

そして、大きくなっていくよ、

森のなか閏たちといっしょにね。

すと

※金本ですので、フーナンやどうぶったちは、じつぶつとは少しちがいます。

(20)

監修のことば

いえ

も り か わ やすし

森 川 靖

あついから日かげに行とう、さむいから家に入ろう、

みなさんは体をうごかして、かんきょうのへんかに たいおうできますね。

でも、森の木ぎはどうでしょう。うごけませんね。

うごけないから、一生けんめい、その場で生きる知えを はたらかせているのです。

このようにして考えてみると、わたしたちが、ブナの木、

ブナの森をまもり、そしてそだててあげなければいけない ことが分かりますね。

発行日

2001

2

1

日 第

1

2010

7

15

日 第

7

竹内純子(たけうち・すみこ)東京電力(株)環境部 平成

6

年東京電力株式会社入社。

平成

1 1

7

月同社初の人材公募に応募し、東京電力の所有地 である尾瀬の自然保護活動を担当する。

平成

21

10

月より地球温暖化問題の国際交渉業務も担務 しつつ、永年尾瀬保護活動担当として、尾瀬をきっかけとした 環境教育等の活動に継続して取り組んでいる。

絵 植本勇(うえもと・いさむ)

1959

年広島県生まれ。

1987

年日本大学芸術学部美術 学科卒業。

広告制作会社を経てフリーのイラストレーターになる。

主に広告、主信志などのイラストをは

l

まひろいタッチで描く。

監 修 者 森 川 靖(もりかわ・やすし)早稲田大学人間科学部教授 発 行 者 東 京 電 力 株 式 会 社

100‑0011

東京都千代田区内幸町

1‑1

3

電 話

03‑6373‑1  1  1  1 

(代表)

編 集 東 京 電 力 株 式 会 社 環 境 部 印 刷 ・ 製 本 大 日 本 印 刷 株 式 会 社

2001TOKYO ELECTRIC POWER COMPANY  Printed in Japan  本書の全部または一部を無断で複写・転写することを禁じます。

この本は環境に配慮し、再生紙と大豆油インクを使っています。

... 園 田F

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