修 士論文
頭部連携視点による
身振 り誘導情報表示 システム
指導教員 野 村 由司彦教 授
平成21年度
三重大学大学院工学研究科 機械工学専攻
408M151
芳村 友起
目次
第 1章 は じめに………..…….………‥…..………‥.………..……1
第2章 既存 の動作教示 システム….….…..…….….…..….……….……….…..…‥…‥…...… 3
2.1 既存の動作教示 システ ム.………..………..…….….……..…….………...……….……….3
2.2 人体動作計測装置について..……….…..….……‥……..…….….……….….………4
第3章 教示 システムの開発………..….…….…...……….………….………・6
3.1 動作計測装置..….….……‥….……‥.….……….…….…..……‥….………..6
3.2 教示情報表示装置………..……….………….…….…….…...………..…..….………..8
3.3 シス テムフロー…...….......…......…...…....…........…..............…….....…...……......8
3.4 教示プ ログラム.…………‥………….……..…‥.….…….……….…….……..…….….…… 9
3.4.1 開発環境….………..…‥……‥……….……..……….….…….…‥……….…‥9
3.4.2 教示プログラムの各機能概要……‥….………‥………….…….….…….…‥…‥… 9
3.4.3 3D人体モデル……….….…‥….…‥….…….………...…‥……….……….……11
3.4.4 頭部連携視点……....….………‥‥…….…..…….……‥………..….…..……… 13
3.4.5 教示情報……….……‥…‥…‥………‥.…‥‥…..……….…..…‥…..………‥… 15
第4章 静止姿勢の教示実験.…………‥….…..………...………..….………‥.………….…… 17
4.1 評価実験 と教示す る姿勢 の設定‥…….…….…………..……‥…..…‥…….….…‥.… 17
4.2 頭部連携視点の教示 に対す る有効性の確認 ….… ……..……….…..… ‥………… … 18
4.3 実験結果 と考察‥….……....…….……..…….…‥………..….………..…‥…..…‥….…..19
4.4 教示情報の提示方法 に関す る評価実験………….….…..…….……..‥.….….………20
4.5 実験結果 と考察……….………….…….….……..……‥…………..………..….…‥‥….…21
第5章 ま とめ ………….….………….….….………‥…..….…...‥…….….……..….……….….22
参考文献….……….…….…….…‥…‥…………‥…………‥………‥..…‥….……….….23
謝辞.…………...………….………‥….…...….………‥……….‥.….…….…‥24 付録……‥……….……….……..……….…….…..……….……‥……..……‥.….…… 25
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
第
1章 は じめに
スポーツや踊 りな どの高度な動作を行 うには,身体の各部位 を動かすため多数の筋肉 を同時にタイ ミング良 く制御す る必要がある.また,高度な動作の例 としてはスポーツ や踊 り以外にも,字 を書 く時の運筆動作やお辞儀,ピアノといった楽器 の演奏な ど,文 化的な動作 もある.このよ うな高度な動作を個人で修得す るためには,熟練者の動 きを 見本 とし,それ を真似 しなが ら何度 も何度 も試行錯誤 を繰 り返すな ど,多大な努力 を重 ねなけれ ばな らない.また,そのよ うな高度な動作だけでな く,"歩 く","走 る","投 げる"な ど,誰 もが行 う基本的な動作であって も,すべての人が理想的な動作 を修得 し ているとは限 らない.これ らの動作には "型"があ り,その動作を理想的なものにす る ためにはこの "型" を修得す ることが重要である.
このよ うに,理想的な動作の "型"を修得す ることは,様 々な場面において有用であ るが,当人だけでその "型"を修得す ることは困難である.そのため,一般的には,動 作の習得 にはイ ンス トラクターの "手取 り足取 り"による直接指導が有効であるといわ れてい る[1].っま り "イ ンス トラクターの 目"によって生徒の動作の良 し悪 Lを判断 し,"イ ンス トラクターの手足や言葉"によって生徒の動作の矯正 を行 う学習法が有効 であるとい うことである.
しか し,イ ンス トラクターによる "手取 り足取 り"の指導は,常にイ ンス トラクター が傍 に居なけれ ば行 うことができない.さらにイ ンス トラクターが実際に動作の見本 を 見せた り,口頭でポイ ン トを伝 えた りす ることが一般的な指導方法であるが,その場合 には,せいぜい手や足な どの‑箇所の動 きをゆっくり伝 えるのが精一杯であ り,身体各 部の動か し方 を同時に教示す ることな どは困難である.
このよ うな背景の下,筆者 らは,イ ンス トラクターによる "手取 り足取 り"をロボ ッ トシステ ムにより再現 し,スポーツのフォームや,文化的な身振 り動作な ど,熟練者の 理想的な動作 を教示できる,直感的で理解 しやすい体験型学習システム,すなわち 「控 えめに手取 り足取 りして,身振 りの学習を支援す るヒューマ ン ・イ ンター フェース」の 開発 を 目的 として研究 を行 ってきた【21.
そのよ うな研究の中で実現可能性の高いシステムとして,視覚的な情報 によって教示 を行 うシステムがある.例 えば,仮想空間内で 目標 となるCGモデル を追いかけるよ う に して学習 を行 うシステム[3][4]な どが提案 されてい るが,奥行 き方向のずれの提示が 困難なことや,教示の際には どのよ うな視点が適切かな ど,三次元的な位置情報の最適 な教示方法はまだ確立 されているとは言 えない.
そ こで本研究では,モーシ ョンキャプチャ装置で計測 された動作 を,3D人体モデル
想 空間内において効率的に姿勢教示が行 えるシステムを提案す る.動作の計測 には計測 環境 を選 ばない慣性セ ンサを用いたモーシ ョンキャプチャスーツ MVN (Ⅹsens社製)
を使用 し,目標 となる動作モデル と現在の 自分の動作モデル をHMD上で重ねて表示 さ せ,そ こに リアル タイ ムに矢印等の教示情報 を付加す ることによ り,教示 を行 うシステ
ムを開発 した.
さらに教示 の際の視点 として,頭部の動 きに連動 して視点が動 く視線 の提示方法であ る頭部連携視点や,表示 され る教示情報 として矢印やその表示条件な ど様 々な手法 を提 案 し,どのよ うな情報 をどのよ うに提示すれば,動作の学習 を効率的に支援す ることが で きるか,調査 を行 った.そ して,実際に本 システムを用いて静止 した姿勢 を教示す る 実験 を行 い,本論文で提案す る頭部連携視点 と矢印等 による教示情報が静止姿勢の教示 に対 し有効であることを確認す る.
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第 2 章 既存の動作教示 システム
2.1 既存の動作教示システム
仮想 空間内で動作教示 を行 う既存 の教示 システムとしては,HMD上で図2.1に示す よ うな "ゴース ト (メッシュ表示)"と呼ばれ る目標動作モデル を追いかけなが ら学習 を行 うシステム[3]や,図2.2に示す よ うな仮想空間内で ゴル フスイ ングの学習 を行 うシ ステ ム[4]な どが提案 されてい る. しか し,前者では表示 され る目標 をただ追いかける だ けであ り,後者では各関節 のずれ を球体の大きさや色の変化で当該の各関節 に重ねて 提示 してい るものであった.このよ うに,学習者の体 を正 しい姿勢に導 くための適切な 教示情報や,その提示方法はまだ確 立 されているとは言 えない.
そ こで本研究では,学習者がよ り効率的に姿勢 を把握できるよ うに し,学習者 を正 し い姿勢 に導 くためには,どのよ うな視点か らの画像情報 をどのよ うな形で教示すれ ば効 果的であるかについて検討 を行 う.
図2.1:"JustFollowMe門VR‑BasedMotion‑TrainingSysteml3]
システム構成
義Oy¢r5cmfront +Less・han5cm IOverScJ:tlback.
映像提示
2.2 人体動作計測装置 について
仮想 空間内で教示 を行 うには,まず学習者や教示者の動作 を計測す る必要がある.そ のために使用できる人体動作計測装置 としては様々な方式が開発 されてい る.それぞれ の方式 について表2.1にその特徴 を簡単にま とめた.また,図2.3にそれぞれの外観 を 示す .
各方式 にはそれぞれ長所 と短所があるが,本研究では,教育用途での使用 を想 定 して い るので,様 々な場所で使用す ることとなる.そのため,外部 にカメラや トランス ミッ タ といった装置が必要な光学式,磁気式のシステムは不向きである.したがって,外部 に装置が不要で使用環境 を選 ばず,セ ッテ ィングも簡単な慣性セ ンサ を使用 したⅩsens 社製MVNモーシ ョンキャプチャスー ツを用いた.
表2.1:各方式の特徴比較
動作計測装置 長所 短所 代表例
光学式 カメラ ・精確な計測が可能 ・オ クル ー ジ ョンの Ⅵ CON MX
・人体 にはマーカを貼 発生 System るだけなので,動作 ・外部 にカ メ ラな ど (Ⅵ CON)
が制限されない ・計測場所,範囲に制の大掛 か りな装置が必軍限
磁気式 磁気センサ ・光学式 とは違い,オ ・磁性 体 の近 くで は MotionStar クルージ ョンが生 じ 計測精度が低下 (Ascension
ない ・・計測範囲が狭い磁 場 を発 生 させ る装置が外部に必要. Technology) 機械式 ポテ ンシ ヨメ ・計 測 環 境 を選 ば な ・外骨格 の構 造 に よ Gypsy6
一夕(外骨格) ・応答性が良いい . る動作範囲の制限 (A山mazoo) 慣性センサ ・計測環境を選ばない ・位置,姿勢算出の計 MW
(加速度,ジヤ ・小型かつ軽量 算が複雑 (Ⅹsens
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図 2.3:既存 の動作計測 システ ム
第
3章 教示システムの開発
3.1 動作計測装置
本研 究で は,学習者お よび 目標 とな る動作 の計測 には Ⅹsens社製モー シ ョンキャプ チ ャスー ツ 「MVN」を導入 した.
これ は図3.1に示す よ うに,MTxと呼ばれ る,3軸加速度セ ンサ,3軸 ジャイ ロセ ン サ,3D地磁気セ ンサ を組 み合 わせて6自由度 の姿勢計測 が可能 な慣性セ ンサ を身体上 に 17個取 り付 け,その値 か ら全身 の動作 を計測す ることがで きる.動作 の計測 ,記録 にはスー ツ付属 ソフ トウェアのMW Studioを使用 し,計測 されたデー タは リアル タ イ ムに今 回開発 した教示 プ ログラムに送信 され る.
MW Studioでは人体 を図3.2に示す よ うな23個 のセ グメン トに分かれ た生体力学 モデル をもち,セ ンサの姿勢データ とこの生体力学モデル の幾何学的 な構 造か ら装着者 の全身 の姿勢 が推 定 され る[61.本研究で もこのモデル に基づいて3Dモデル を生成 し, 各セ グメ ン トの位置,角度情報な どを利用 して評価 を行 う.
この計測 システ ムは,光学式や磁気式等,他 のモー シ ョンキャプチ ャシステ ムに比べ て,外部 にカ メラや トランス ミッタな どの装置 が不要であ ることや,動作環境 に制 限が 少 ない こ と,セ ッ トア ップが簡単で準備 に10分程度 しか時間がかか らない こ とな どの 特徴 があ り,本研究 に とって も効果的な動作計測装置であ るとい える.
以下 にMTxとMVNの仕様 とその外観 を示す .
表3.1:MTx仕様 3D方位精度 0.5deg未満
分解能 0.05deg
加速度幅 ±1800m/S2
ジャイ ロスコープ幅 1200deg/S
表3.2:MVN 仕様
MTX慣性セ ンサ 17個
サ ンプル レー ト 最大120Hz
スーツ全重量 1.930kg
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図3.1:MTxとMVNモー シ ョンキャプチャスーツ
ll:Righthard
∠ニユ ?
8二Rightshou一der
RightuF)Perarm 10:Rightforearm
16:Rightupperleg
17:Rightbwer一eg
18:RiJthtfoot 19:Righttoe
ヽ
7:Head 6二Neck
12:Leftshoulder L、..l
・1t,i
13 :Leftupperarm 十 j ‑3 Le 14:Leftforearm
15:Lefthard L‑‑‑ー
‑n 一I」 一鴨 f 5:T8
4:T12 芸芦 3二L3
2:L5 1:Pe一vis
20:LeftupperlQg
21:Leftk}werIcg
」
車 22二Left一わot 23:LQfttoe
図3.2:生体力学モデル
3.2 教示情報表示装置
学習者の現時点での動作 (以下,現在動作 とよぶ),お よび同 じ時点での教示者のモ デル動作 (以下, 目標動作 とい う)の二つの動作の3Dモデルや教示情報 を学習者 に提 示す るためのデバイス として VUZIX社製の‑ ツ ドマ ウ
ン トデ ィスプ レイ 「iWearVR920」を使用す る. この HMDには左右 の 目で独 立 した2枚 の液晶画面が搭載 さ れてお り,左右それぞれ に異な る映像 を表示 させ ること が可能である.そ して nⅥdia社製ステ レオ ドライバ に よって左右 の 目の位置 に合 わせて少 し視点のずれた映像
をそれぞれの液晶画面 に映 し出す ことによって立体視表 図3.3:iWearVR920 示 を行 う. これ によ り奥行 き方 向の距離感 が知覚 しやす
くなってお り,平面のデ ィスプ レイ上の映像 を見なが らの動作学習な どに比べ よ り直感 的 に姿勢 を把握す ることが可能 とな ることが期待 され る.
3.3 システムフロー
図3.4に本 システ ムの処理 の流れ を示す.まず,MVNの各セ ンサの値 か ら学習者の 動作が動作計測用 PC上のMW Studioによって計測 され る.そのデー タは教示 グラ フィック作成用PC‑UDP (UserDatagram Protocol)通信 で送信 され,今回開発 し た教示 プ ログラムによってHMD上に リアル タイムに現在動作の3Dモデルが表示 され る.そ こに 目標 となる動作モデルや,その姿勢に学習者 を導 くための様 々な教示情報 を 付加 して学習者 に提示す ることで教示 を行 う.
Sensordata (Bluetooth2.0)
‑ m suits
̲...̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲「\
■■■■■■■■■l
TeachingGraphic
MeasurementPC MVNStudio
Motiondata (UDP) PCfbrGraphic
仁 DeVelopedprogram 図3.4:システムフロー
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3.4 教示 プログラム
3.4.1 開発環境
MW Studioによって計測 された動作データか ら教示 のためのグラフィックを作成 し,HMDを通 して学習者 に映像 を提示 して教示 を行 うためのプ ログラムをMicroso氏
ⅥsualC#2008で作成 した.表示 され るグラフィックに関 してはManagedDirect3D を使用 し,高速 な描画 を実現 してい る.
3.4.2 教示 プログラムの各機能概要
目標動作モデル と現在動作モデル,さらに様 々な教示情報 を リアルタイムに重ね合 わ せてHMD上 に立体視で表示 させ ることが可能 となってい る.
目標 となる姿勢,動作 はMW Studioによって記録 されたモー シ ョンデー タMW X ファイル を読み込む ことで生成でき,記録 されたデー タのフ レー ム レー トに合 わせ任意 の速度で動作 を再生す ることで これ を 目標動作 として使用す ることがきる.
現在動作 は,動作計測用PC上のMW Studioによって計測 された リアル タイム動 作デー タを MVN Studioのネ ッ トス トリー ミング機 能 を利用 して取得す る.これ は UDP通信 で現在 の装着者 の動作デー タを動作教示用 PC‑送信 し,その動作データを 教示 プ ログラムで受信 して利用す ることで,ほぼ遅延無 くHMD上 に現在動作 を3Dモ デル によって再現す ることができる.さらに受信 したデー タか ら現在 の姿勢 と目標 とな る姿勢 との誤差 を リアル タイムに計算 し,その誤差デー タか ら教示情報 を作成す る.ま た,誤差デー タや教示結果な どを記録 しCSVファイル形式で出力す ることもでき,敬 示実験後 の結果 の解析等 に利用す ることができる.
また,視点の切 り替 え,モデルの表示/非表示切 り替 え,各教示情報,教示方法の切 り替 えな ど,様 々な設定は操作パネル によ り動作中にも一括 して行 えるよ うになってい る.
図3.5にプ ログラム操作パネルの外観 を示す.
0.3
図3.5プ ログラム操作パネル外観
1. 目標動作用MW Xファイル を開 く 2.各種設定ツール
3.視点 の切 り替 え
4.モデル の表示/非表示切 り替 え 5. 目標 モデル基準位置の切 り替 え
6.教示情報 の選択,設定 7.デー タ記録操作部
8. 目標動作 フ レー ム レー ト 9.総 フ レーム数
10.メ ッセー ジ ウイ ン ドウ
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3.4.3 3D人体モデル
目標 とな る姿勢や現在の学習者の姿勢 はHMD上に図 3.6に示す よ うな簡単な 3D 人体モデルで表示 され る.人体モデル に関 しては,現実に近い リアルなモデル よ りも単 純 なモデル の方 が動作 を把握 しやすい場合 もある[5]とい うことや,モデル の扱 いやす
さな どの観点か ら, このよ うな単純 なモデル を使用す る.
また, 目標動作モデル は青色,現在動作モデル は黄色 とし, どち らも半透過色 にす るこ とで,重なる部分があっても,ある程度その位置 を把握す ることがで きるよ うにな ってい る.
図3.6:3D人体モデル
現在動作モデルの各部位 の寸法 はMW Xファイル に含 まれ る体型データか ら決定 さ れ る.これ はMVNスーツを学習者 が装着 した際,キャ リブ レーシ ョンを行 うが,その 時 に入力 した身長な どの値 か ら生成 された ものであ り,目標動作モデル も現在動作モデ ル と同 じくこの体型データか ら生成 され る.そ して 目標動作,姿勢 にお ける各 関節 の角 度 のみ をモデル に与 えることで学習者 の体型に合わせた 目標動作,姿勢 を再現す る.た だ し,単純 に角度 のみ を与 えた時,学習者 と教示者 とで各部位 の長 さが違 ってい る場合 には正確 に動作が再現 され ない とい う問題 がある【8].今回のシステムでは学習者 と教 示者 でそれ ほ ど体型 に差がない とし, この間題 については考慮 していない.
また,目標動作モデル を,その 目標動作モデルが記録 された際の絶対位置に表示 した 場合,学習者の位置がずれていれ ば,学習者 も同 じ位置‑移動 しなけれ ばな らない こと にな る.しか し,位置 自体は重要でな く,姿勢のみが重要な場合 には,絶対位置のずれ を補償 して,目標モデル を現在モデル と同 じ位置に移動 させて表示す ることで姿勢のみ を教示す ることができる.その際 に基準 とす る点は以下の図3.7に示す よ うに右足,左 足,腰 のいずれか とし,常にその部位 の水平面上の位置が一致す るよ うに 目標動作モデ ルが表示 され る.
右足基準 左足基準
図3.7:目標動作モデル基準位置
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腰基準
3.4.4 頭部連携視点
教示 の際の視点 としては,図3.8に示す よ うに,1人称視点,可動性 の高い3人称視 点,可動性 が低い固定的な外部視点な どが選択できるよ うになってい る.
1人称視点 3人称視点 図3.8:教示の際の視点
外部視点
従来の教示 システムにおける視点では,後方や側面か らな どの外部に固定 された外部 視点や,現在動作モデル と目標動作モデルの頭 の位置が一致 している1人称視点のもの が多い.しか し,外部か ら目標 となる姿勢や現在の 自分の姿勢全体を見下ろす よ うな視 点では,全体的な姿勢 は把握 Lやすいが,手先な どの細かい部分が見 えに くい ことがあ る.また,視線 の向きが一致 していないことにより,頭 の中で 目標姿勢 との向きを変換 して考 えなけれ ばな らず,姿勢の把握が困難な場合がある[7].また,1人称視点では実 際 に 自分が見ているの と同 じ視点であるため,手先,足先 といった特定の部位 の動 きに 関 して は把握 Lやすいが,全体的な姿勢 は把握 しに くい ことや,一般的 に入手できる HMDでは視野角が狭す ぎるといった問題 がある.
そ こで,本研究では,従来の枠組みでは3人称視点 と呼ばれ るものであるが,特に頭 の動 きに合わせて頭 を中心 としてカメラが回るよ うな視点 を用いる.これ によ り,全体 の姿勢 を把握 でき,かつ一人称視点 と同 じよ うに,常に視線 の方向が学習者 と一致 した 視点 を用い ることができる.これ を頭部連携視点 と呼ぶ.これは,例 えば図3.9に示す よ うに(a)か ら(b)のよ うに学習者が首を左 に回す と,仮想空間上では(C)のよ うにカメラ が動 き,動いたカメラか らの映像がHMD上に表示 され る.この視点によ り学習者 は 自 らが見たい方向か ら自身の動作モデル を見 ることができ,その際に表示 され る映像は常 に実際の視線 の向きと一致 してお り直感的に自らの姿勢 を把握す ることができる.
図3.9:頭部連携視点にお けるカメラの動 き
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3.4.5 教示情報
目標 とな る姿勢 に近づ くために各 関節 の位置 を どのよ うに動 かせ ばいいかを示すた めに,教示情報 として現在動作 のモデル か ら目標動作の対応す る各関節 に向かって図 3.10の よ うに赤い矢印を表示す る.
角度 の提示 には図 3.ll(a)の よ うに各関節 を回転角度で表示す る方法 もあるが,人体の 関節 は肘や膝 な どを除 き多 くが球体 関節 で あ り,3次元的な回転 を画面上 において回転 角で提示す ることは困難である.そ こで今回 提案す る教示矢印では図 3.ll(b)に示す よ う
に,現在モデル と目標モデルの教示 を行いた い 関節 の一つ先 にあ る関節 同士 を結ぶ よ う に矢 印 を表示 し,その位 置 を合わせ るよ うに 動 かす ことで3次元的な姿勢 を提示す る.
(a)回転角度 による提示
図3.10:教示矢印
(b)矢印による提示 図3.ll:関節角の提示方法
また,各 関節 の位置が 目標 姿勢 と一致 した こ とを示すため, 目標モデル と現在モデルの 対応す る各関節位置の誤差が事前に設定 した 閉値以内になると図3.12に示す よ うにその関 節部分の球体の色が黄か ら緑 に変化す る.
ところで,図 3.10か ら分かるよ うに,すべての関節 に対 して教示矢印が表示 されて しま うと非常に見に くくなって しま う問題がある.そこで,以下のよ うに矢印の表示数 を制限す る手法 を 2通 り提案す る.
・ 角度制限
これは教示す る関節 の角度のずれが設定 した閉値 よ り大 きかった場合のみ,その 関節 に対応 した矢印を表示す る方法である.これによ り動かす必要のない関節 に対 応す る矢印は表示 されな くな り,動かす必要のある関節 をのみを動かす よ う誘導で きる.しか し,このままでは 目標姿勢に近づ くにつれ全ての矢印が表示 されな くな って しま うため,各関節閉位置の誤差が事前に設定 した閉値以内になった場合はそ の関節 に対応す る矢印は表示す るもの とす る.
・ 順次教示
これは足先か ら順に矢印を表示 してい く方法で,まず は足先のみ矢印が表示 され てお り,矢印の表示 されている関節の位置が一致す ると,その親 関節の矢印が表示 され るよ うになる.これ を繰 り返 して,足先か ら手先 に向かって順に位置 を合わせ てい くものである.これによ り同時に多 くの矢印が出現す ることを防 ぐ方法 ことが できる.
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第
4章 静止姿勢の教示実験
4.1 評価実験 と教示す る姿勢の設定
前章までで説明 したシステムを用い,実際に どのよ うな教示情報 をどのよ うに提示す ることが最 も効率 よく姿勢 を教示できるかを調べ る.
今回,目標姿勢 として教示す る姿勢には,ヨガのポーズを参考 としてMW スーツに よって記録 された全24種類 の姿勢 を用いる.これ らはそれぞれ姿勢 によって難易度 が 変わ らない よ うにす るため,あま りにも簡単す ぎる姿勢 は採用せず,ある程度,全身の 各部位 を動 か さなけれ ば とれない姿勢 とした.以下,図 4.1に実際の実験風景 を,図 4.2に 目標姿勢一覧 を示す.
また,被験者 は男子大学生4名.評価方法は 目標姿勢 を提示 されてか ら,学習者が 自 身で 「目標姿勢 に到達 した」と判断す るまでの時間を計測す る.そ して,その姿勢 のまま 2秒間静止 して もらい,2秒間にわた る各関節の位置の 目標姿勢か らの誤差の平均値 を 衷 める.これ らの 目標 姿勢 に対す る到達時間 と位置のずれの平均値 を評価値 とす る.
図4.1:実験風景
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ー ●; 零 へ
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/・・・∴十・‑ノ
‑乍卑f 率あー苛も耳ゝI‑.・・]l ノ\k.
′.㌔‑一h.∴ノ.\\ヽ.:・・・.〜::.I.2[・...:A..:. ヽ一ナ11、、■/̲...JP...I̲.,II‑1ILrtー.. /fL.「・〜一.J,r/
÷\>・.J,.・・・・・47:iI...../.ill ノ\ p・ri I‑・二.(.r j'.・・(・.:‑.,I.'//・・・・・・‑・・・・・・・:.j・‑・Wl i.1/
図4.2:目標姿勢一覧 4.2 頭部連携視点の教示に対する有効性の確認
まず,仮想空間内において姿勢 を教示す る際に,今回提案す る頭部連携視点が有効で あることを確認す るため,以下の3つの条件 について静止姿勢 を教示す る実験 を行 った.
実験条件
1.液晶画面‑の表示
これ は机 な どの上に置かれた固定画面上に表示 された教示映像 を見 なが ら学習 を 行 う方法で, ビデオ映像な どを使 った一般的な学習方法である.
2. HMD上での提示 (視点の変化な し)
HMD上に立体視で教示情報が表示 され る.ただ し,視点は固定 とし,表示 され る 教示映像 も条件1の場合 と同 じとす る.
3.頭部連携視点 (提案手法)
2の条件 に加 え,頭 の動 きに合わせて視点が動 く頭部連携視点 を用いて教示映像 を 提示す る.
試行 回数 は,それぞれの条件 につ き4回ずつ とし,図4.2の 目標姿勢群か らランダム に選択 して教示 を行 う.条件 1,2においては,表示 され る映像の視点は後方か らの視 点 に固定 し,1‑3の全ての条件 において表示 され る教示情報 は 目標モデル と現在モデル のみであ り,矢印や関節位置の一致 を示す色の変化 な どは一切表示 されない もの とす る.
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4.3 実族結果 と考察
各実験条件 において,各被験者が 目標姿勢 をとるまでにかかった時間 とその時の各関節 の誤差の平均値 のグラフを図4.3,4.4に示す.
60.時間【S]‑‑一一‑ ‑‑m ‑‑‑‑一一.‑‑ ‑‑‑‑‑ 一一‑ ‑‑
m‑‑ …
■ 1層 面のみ≡+ 2.HMDのみ 4
50 l ‑ い1 3.頭部連携視点
」 . l
T中r
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図4.3:姿勢 を取 るまでにかかった時間
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図4.4:最終的な姿勢 にお ける各関節の誤差の平均値
図4.3よ り, 目標姿勢 を取 るまでにかかった時間は,画面のみの場合 に比べHMD を使用 した場合の方が早 くなってい ることが分かる.これ は立体視 による奥行 き感の向 上のため と考 え られ るが, HMDのみ と頭部連携視点ではそれ ほ ど差がない結果 とな った.これ は頭部連携視点では頭の動 きで視線 を操作 しなが ら学習動作 を行 うため条件 1,2に比べ余分に時間がか るためであると考え られ る.
しか し,最終的な姿勢 にお ける誤差については,すべての被験者で頭部連携視点が最 も小 さい結果 となった.特に,被験者1以外では画面のみに比べほぼ半分の値 となって お り固定視点では把握 しに くい姿勢で も,頭 の動きで角度 を変 えて 自分の姿勢が見 られ ることによって,よ り効果的 に姿勢の学習が行 えていることが分かる.以上によ り,特 に位置決 め精度の観点で,頭部連携視点は姿勢の教示 に対 し非常に有効であることが示
4.4 教示情報の提示方法に関する評価実敦
矢印による誘導は有効であると期待 され るが,全関節 について,矢印が一斉 に表示 さ れ ると,目標モデル,現在モデル,矢印の3つのオブジェク トが重なって表示 され,非 常に見に くくなるとい う問題 がある.
そ こで,本論文では,前章で説明 した回転角度のズ レの大 きい関節に関す る矢印だけ を表示す る 「角度制限」と足先か ら順番 に教示 を行 う 「順次教示」の手法 を用いること で,矢印の見やす さが姿勢の教示性能に影響す るかを調べ る.そのために,以下の3つ の条件について静止姿勢 を教示す る実験 を行い,提示 された姿勢 を取 るまでにかかった 時間 と最終的な姿勢 にお ける目標姿勢 との各関節 の位置のずれの平均値 を求 め評価 を 行 った.
試行回数 はそれぞれの条件 につき4回ずつ とし,全ての条件において視点は頭部連携 視点 とし,目標モデル,現在モデル,教示情報や関節位置の一致 を示す色の変化全てが 表示 され る.
実験条件
1.全ての矢印を一度に表示 2.角度制限
3.順番教示
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4.5 実験結果 と考察
図 4.5,4.6に各被験者 の各実験条件 にお ける姿勢 を とるまで にかかった時間 とその時 の各 関節 の誤差 の平均値 のグラフを示す .
図4.5:姿勢 を取 るまでにかかった時間
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図4.6:最終的な姿勢 にお ける各 関節 の誤差 の平均値
図4.5よ り,矢印がすべて表示 されてい る条件 1に比べ,表示 され る矢印の数 を制 限 した条件 2,お よび条件 3は,よ り素早 く目標姿勢 を とれ てい るこ とが分か る.また,最 終的 な姿勢 にお ける誤差 については,それぞれ の被験者 において各条件で ト2cm程度 しか,差 のない結果 となったが,これ は最終的 には全ての矢印が表示 されてい るた めで あ る と考 え られ る.
しか し,誤差 が大 きい関節部 が多 く,大量 の矢印が表示 され るよ うな状況で は,動 か す 必要 のあ る部位 の矢 印 のみ が表示 され るこ とで迷 うこ とな く素早 く目標 姿勢 を取 る
こ とがで きる結果 となった.
以上 の結果 か ら,表示 され る矢印の数 を減 らす こ とで学習者 の混乱 を減 らす ことがで き,姿勢 をよ り効率的 に教示できるこ とが示 された.
第
5章 まとめ
本論文では,視覚的な情報に基づいて動作学習 を支援す るためのシステム として,姿 勢計測 にモー シ ョンキャプチャスーツを,姿勢教示 にHMDを利用す るハー ドウェア構 成 の下で,仮想空間内で 目標 となる動作モデル と現在の動作モデルを重ね合 わせて表示 す ることで姿勢 を教示す る姿勢表示 ソフ トウェアを製作 した.そ して,その際の視点 と
して,頭 の動 きに合わせて,頭 を中心に してカメラが動 く頭部連携視点や,学習者 の各 部位 を 目標姿勢‑誘導す るための矢印等の提示方法な どを提案 した.この頭部連携視点 によ り,学習者が 自分の見たい方向か ら自分の姿勢 を見 ることができるよ うになった.
そ して,提案 したシステムを用いて,実際に静止 した姿勢 を教示す る実験 を行 った.
その結果,固定 された画面な どによる従来の教示方法に比べ,今回提案 した頭部連携視 点が姿勢 の教示 に有効であることを示 した.また,教示情報 において も,ただ表示す る だ けではな く,状況に合わせて表示す る情報 を制限す ることで,学習者 は提示 された情 報 をよ り的確 に把握 しやす くな り,姿勢 を効率的に学習できることが示 された.今後 の 課題 としては,静止 した姿勢だけではな く動的な動作の教示 も行 えるよ うにす ることな
どがあげ られ る.
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参考文献
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謝辞
本研究の機会 を与えて くだ さり,終始適切な御指導,御討論頂いた野村 由司彦教授 , お よび杉浦徳宏准教授 ,また学位論文の審査委員 として御指導いただいた加藤典彦准教 授、早川聡一郎准教授 に深 く感謝いた します.また,本研究 を進 めるにあた り,熱 心に 討論頂 き,協力 して下 さった三重大学メカ トロニクス研究室の皆様 に心 よ りお礼 申 し上
げます .
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