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吉崎 麻子 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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吉崎 麻子 論文内容の要旨

主 論 文

The Differential Role of L-Selectin and ICAM-1 in Th1-Type and Th2-Type Contact Hypersensitivity

邦題; Th1,Th2 型接触過敏反応における L-selectin と ICAM-1 の 異なる役割

小川麻子、吉崎歩、簗場広一、小川文秀、原肇秀、室井栄治、竹中基、

清水和宏、長谷川稔、藤本学、Thomas F.Tedder、佐藤伸一

Journal of Investigative Dermatology.2010 Feb 25; 130: 1558-1570

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 皮膚病態学分野

(主任指導教員:宇谷厚志教授)

緒 言

炎症部位への白血球浸潤は細胞接着分子により制御されている。細胞接着分子のひ とつである L-selectin は大多数の白血球において恒常的に発現し、他の selectin フ ァミリーである E-selectin、P-selectin と協調的に血管内皮細胞上への白血球の捕 捉に関わっている。一方、Intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)は血管内 皮細胞において恒常的に発現している。炎症が生じると ICAM-1 の発現は急速に亢進 し、白血球上の lymphocyte function associated antigen-1(LFA-1)などのβ2 イ ンテグリンと結合することによって、白血球の血管内皮細胞への固着に関与する。こ れらの反応の結果、炎症局所において白血球の血管外への浸潤が誘導される。皮膚接 触過敏反応(contact hypersensitivity;CHS)はハプテンに対する T 細胞を介した皮 膚の炎症反応であり、真皮を中心とした浮腫や、リンパ球などの炎症細胞浸潤を呈す る 。 2,4-dinitrofluorobenzene(DNFB) に よ る CHS は Th1 優 位 、 fluorescein isothiocyanate (FITC) による CHS は Th2 優位の反応が誘導されることが知られてい る。今回我々は、DNFB または FITC により誘導された CHS において、ヘルパーT 細胞

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の血管外浸潤に関して L-selectin と ICAM-1 がどのような役割を担っているかを検討 した。

対象と方法

L-selectin と ICAM-1 それぞれ、および両者の欠損マウスへ DNFB または FITC を腹 部に塗布し感作させ(day0,1)、その後耳介に再度塗布すること(day6)で CHS を誘 発した。それぞれのマウスについて耳介の腫脹を経時的に計測し、組織所見、サイト カイン産生量に関して検討した。野生型マウス、および抗 ICAM-1 抗体を投与した野 生型マウスに関しても同様の検討を行った。加えて、実際に血管外浸潤したリンパ球 に Th1,Th2 の偏りが認められるかを検討するため、野生型マウスからの脾臓抽出 T 細 胞を Th1, Th2 細胞へ分化させ、それぞれを蛍光色素でラベルしてマウスの尾静脈へ 注射した後、DNFB または FITC で CHS を誘導し、血管外浸潤したリンパ球の検討を行 った。

結 果

DNFB によって誘導される Th1 型 CHS では、L-selectin、ICAM-1 いずれのノックア ウトマウスにおいても耳介腫脹が抑制され、Th1 サイトカインである IFN-γの皮膚に おける発現も抑制されていた。FITC により誘導される Th2 型 CHS では、L-selectin ノックアウトマウスにおいて耳介腫脹が抑制され、IL-4 などの Th2 サイトカインの発 現も抑制されていた。一方、ICAM-1 ノックアウトマウスでは、野生型よりも耳介腫脹 が増悪し、IL-4 などの Th2 サイトカインの発現も亢進していた。抗 ICAM-1 抗体を投 与した野生型マウスでも、ICAM-1 ノックアウトマウスと同様の結果が得られた。

蛍光色素を用いた検討では、ICAM-1 ノックアウトマウスおよび抗 ICAM-1 抗体を投 与した野生型マウスでは、野生型と比べ Th1 型 CHS において Th1 細胞の浸潤は抑制さ れ、Th2 細胞の浸潤は著変なかった。一方、FITC による Th2 型 CHS においては、Th1 細胞の浸潤は抑制され、Th2 細胞の浸潤は亢進していた。

これらのことから L-selectin が Th1 および Th2 細胞両者の浸潤に関与するのに対 して、ICAM-1 は主に Th1 細胞の浸潤に関与していることが示唆された。

考 察

白血球と血管内皮細胞における細胞接着分子の発現は、炎症局所における白血球の 浸潤に密接に関わっている。CHS における Th1, Th2 細胞の浸潤と細胞接着分子の関わ りについて、Th1,Th2 型両方の CHS モデルを用いて検討した報告は未だない。今回の 研究にて、L-selectin は Th1 型 CHS では Th1 細胞の、Th2 型 CHS では Th2 細胞の浸潤 に関与しており、L-selectin は局所の炎症環境に応じた特定のエフェクターT 細胞の 浸潤を媒介していると示唆された。一方、ICAM-1 は Th1,Th2 型に関係なく CHS におけ る Th1 細胞の浸潤に関与すると考えられた。局所でのサイトカインやケモカインの発 現の変化が ICAM-1 と LFA-1 の親和性を調節している可能性などもあり、メカニズム の解明には今後の更なる研究が必要である。

参照

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