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齋藤巨樹 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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齋藤巨樹 論文内容の要旨

主 論 文

Regulation of Graves’ Hyperthyroidism with Naturally Occurring CD4+CD25+ Regulatory T cells in a Mouse Model

(CD4+CD25+調節性 T 細胞によるマウスバセドウ病モデルの発症調節)

齋藤巨樹、永山雄二

(Endocrinology 147 巻 5 号 2417-2422, 2006 年)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻

(主任指導教員:永山雄二教授)

緒 言

CD4+CD25+制御性 T 細胞(Treg)は末梢の CD4T細胞の 5~10%を占め、エフェクター CD4+T 細胞の抑制に働くことが知られている細胞集団である。これまでに、様々な自 己免疫疾患モデルにおいて疾患抑制に Treg が関与している事が報告されている。本 研究では、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)Aサブユニットをコードしたアデノウ イルスベクター(Ad-TSHR289)によるバセドウ病モデルマウスにおいて、抗 CD25 抗 体を用いて Treg の除去を行い、Treg のバセドウ病への関与を検討した。

対象と方法

疾患好発系の BALB/c マウスと疾患非好発系 C57BL/6 マウスに、0.5 ㎎の抗 CD25 抗 体を投与し 4 日後に 108 pfu の Ad-TSHR289 で免疫を行なった。免疫は 3 週間間隔で 2 回繰り返した。2 回目の免疫から 2 週間後に採血を行い、甲状腺組織を摘出した。抗 CD25 抗体による Treg の除去は、フローサイトメトリーにより確認した。血清 thyroxine (T4) を radioimmunoassay により測定し、コントロール群の平均値+3 SD 以上をバセドウ病発症とした。血清 thyroid stimulating antibody (TSAb)は血清を 添加したラット正常甲状腺細胞 FRTL-5 から放出される cAMP を指標に測定した。血清 thyroid blocking antibody(TBAb)は TSH による FRTL-5 からの cAMP 産生の血清添 加による阻害率を指標に測定した。血清抗 TSHR 抗体価は、TSH-binding inhibiting antibody assay、抗体のサブクラスは enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)

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により測定した。TSHR 特異的な免疫反応は、免疫後 10 日後にマウスの脾細胞を採取 して、TSHR タンパクで 4 日間刺激し産生される IFN-γを ELISA によって測定して検 討した。甲状腺組織は H&E 染色を行い検討した。

結 果

抗 CD25 抗体 0.5 ㎎投与による Treg の除去がフローサイトメトリーにより確認され た(6.0%→1.7%)。非好発系の C57BL/6 マウスは、Ad-TSHR289 の免疫のみでは発症 が認められなかったが、抗 CD25 抗体で予め Treg を除去すると、10 匹中 3 匹のマウス で発症が認められた。好発系の BALB/c マウスでは、抗 CD25 抗体の投与群と非投与群 の間で発症率に差は認められなかった。しかし、抗 CD25 抗体投与群では血清 T4値の 有意な増加が認められた(22.2±13.2 vs. 11.9±5.2 μg/dl;p<0.05)。抗 TSHR 抗 体価は抗 CD25 抗体投与群で上昇した。さらに BALB/c マウスでは TSAb は上昇し TBAb は減少した。しかし、抗体の IgG サブクラスには影響を与えなかった。脾細胞による TSHR 特異的な IFN-γ産生にはいずれのマウスの系統でも Treg の除去は影響を与えな かった。甲状腺組織を H&E 染色したところバセドウ病発症マウスの組織には濾胞上皮 の肥厚などの甲状腺過剰刺激の所見が得られた。さらに C57BL/6 の甲状腺では発症し た 3 匹中 2 匹でリンパ球の浸潤が認められた。

考 察

抗 CD25 抗体により Treg を除去する事で、Ad-TSHR289 バセドウ病モデルマウスの非 好発系 C57BL/6 マウスにおいて発症率を増加させ、好発系の BALB/c マウスにおいて はバセドウ病の発症率には影響を与えなかったが、重症度を増加させた。このように Treg は、このマウスバセドウ病モデルにおいて、好発系と非好発系の両系統のマウス で、疾患の抑制に重要な役割を果たしている事が明らかとなった。さらに、好発系と 非好発系のマウスの間で Treg を除去しても疾患感受性に違いが認められた事から、

本モデルにおける疾患感受性の違いは、Treg の機能の違いによるものではないことが 示唆された。このように、エフェクターT 細胞と制御性 T 細胞のバランスが、崩れる ことがバセドウ病の発症に関係するメカニズムの 1 つである可能性が示された。

参照

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