フローティングシステム出入口部の
ジェットカーテンの熱損失に関する実験的研究
第二報 非平衡ジェットカーテンの場合 道満劇団 ,安富善三郎軸,木田輝彦 **,倉田光雄榊帥
Experimental Research on Heat Loss through jet Curtain at the l nlet and Outlet of Floating System
一 2nd Report, ln the Non−Equilibrium Jet Flew 一
Masatada DOHMAN, Zensaburo YASUTOM I, Teruhiko K I DA and Mltuo KURATA
Experimental results concerning the equilibrium flow jet has been a}ready reported. In this report, heat loss from two ciifferent non−equilibrium flows, underfed and overfed flews, were det−
ermineci through temperature and enass flow measurement i n the floating system . Heat losg. frorn the overfed flow is lower than that froen underfed one. Taking i nto the eonsideration tha t two flovs are usuaIly occurred 七〇ge七her in 七he f}oa七ing system, however, it can be said 七hat larger pressure unbafance on the strip than the equilibrium flow conditien reduces much total loss thro−
ugh the jet,so that this unbalance is crucial probrem in the case of non−equi brium flow.
1。ま え が き
フローティングシステムを設計する上において、炉出入 口部のジェットカーテンを介する男体の熱損失は炉内温度 の管理のみならず省エネルギの見地より大変重要である。
前報では炉体出入目部のジェットカーテンが理想的な平 衡の場合の熱損失特性をしらべ、醜体設計に必要な資料を 提供した。しかし、実際のフローティングシステムは出入 口のジmットカーテンを各々完全な平衡状態にすることは 困難であり、多少の非平衡は避けられない。つまり、ジェ ットの全圧力、搬送材の上下の変位、あるいはジェットカ ーテンに作用する外気圧力やノズルの幾何学形状の設定等 を両ジxットともに完全に一致させることは不可能である。
例えば、片方のジxット全圧が他方に比べて強くなった とき、そのジェットカーテンは分岐ジェットとなりジエッ ト流の一部は炉内を横断して他方のジXットに合流したあ と外部へ流出する。この場合、横断する流れを設定温度に まで加熱するtaめには大きな熱量を要し、さらに搬送材の 局部的な温度低下を招き正常な熱処理を困難にする。また、
何等かの原因で、相当大きな非平衡になる場合もある。こ のように、非平衡ジェットカーテンの発生はフローーティン
グシステムとしては好ましくないが、その影響、つまり支 持力の変化と共に熱損失特性を正確に把握する必要がある。
非平衡ジェットカーテンの支持特性は、著者らは横断流 量の変化に対応さぜて分岐ジェットカーテン、合流ジXッ
ト亀山テンの支持力を実験および非粘性理論、運動量理論 より求めている。1)2)本報では前報と同様に非平衡ジエ ットカーテンに対してエネルギ平衡モデルを考え、一次元 的に解析し、横断流量の変化に対する熱損失特性の実験値 を用いて求めている。
*機械工学科 **近畿大学
*** 大阪府立大学
**** 摂南大学
(平成4年8月28日 受理)
2.非平衡ジェットカーテンの一次元モデル 炉出入口部の両ヅェットカーテンは、片方が非平衡の場 合は必ず他方も非平衡となる。つまり、片方が分岐ジェッ トカーテンとなったとき、そのジェット流の一部が炉内に 侵入し炉内を横断したあと他方のジェットカーテンと合流
し合流ジェットカーテンとなる。したがって、非平衡ジェ ットカーテンの場合にヅコ:ットが外気と同温度の場合は分 岐ジェット側の搬送材が低温となり、また横断流量を炉内 温度にまで加熱するための熱量は熱損失となる。しかし、
合流ジxットカーテン側では、炉内温度に加熱された横断 流れが合流するのであるから、平衡ジェットカーテンにお いて等価交換流量に基ずく熱損失を生じていたがこの場合 は減少すると考えられる。したがって、両ジェットカーテ ンの熱損失はそれらを加算した値で評価する必要がある。
以下において、分岐、合流の各非平衡ヅェットカーテン
の熱損失を一次元モデルによるエネルギ平衡の関係より求
津山高専紀要 第30号 (1992)』
める。
2.1分岐ジェットカーテン
ジェットカーテンを取り囲む両側の圧力差が、平衡ジェ ットカーテンの場合よりも少なくなると、ノズル部の流量 の一部は高圧側にも流れる。この状態が分岐ジェットカー テンであり、 Fig.1にその一次元モデルを示す。
Gn, in,Tn,Ptn
Cl G2
Noizie 1;1
iO,TO,PO
Strip ce
G
1
ヒ
一丁ゆσくGn in furllaじe
■ 「rD
G3 呼_ i3,T3,P3
、 ,,
5 i3,T3,P3
1 ㌧ l
l !Q4一琶耳=
1 ,! t 1 !
.・ 1
一→レ 「「曾1
(Q4−Q3ニ0)、.熱平衡モデルを考慮する必要はない。
本文で取り扱うジェットはA)の場合であり、一次元モ デルをFig.2に示す。
ジェットおよび炉内に関するエネルギ平衡式は
c
Gn,in,Tn,Pti
G o・iio,,1: ro)1>a!
v
M
Q3
dcn l
i3,T3しP3
C3 1f s
ll
ltir9
コ 一十eiG、
サ
1 i3,T3,P3
Q・ 一ξユ=
1
CIO,ile,TIO 1 C23,i23,T23 Dividing stream line
Fig・ 1 Model of pコ.ane for the overfed fユow regime
横断流量係数αはノズル部の流量Gnが炉内に侵入する
割合であり、G2=aGn.
ジェットカーテンはdividing stream lineを境に二領 域に分け、各々のエネルギ平衡式は次のようになる。
C3J,i31,T31 dividing
stream line
Fig. 2 Model of plane for the underfed flow regime
ctGn.i3+Gn.in+GO iO−GIO.ilO
+Gd(i3+i3星一(Gn・in+αGn・i3+GO・iO)/G10・i10)ノ2=0
(4)
(G3一 a Gn)(i3一 i31)
一Gd(i3+i31一(Gn. in+aGn.i3+GO.ie)/GIO−ilO)/2=O
(5)
Gl.in−GIO.i10+GO.iO
+Gd((G2.in+G3.i3)IG23+i23一(Gl.in+GO.iO)IGIO−iIO)/2=O
(1)
G3.i3+G2.in−G23.i23
+Gd((G1.in+GO.iO)IGIO+ile一(G2.in+G3.i3)IG23−i23)/2=O
(2)
となる。
ここに、Gio=GO+Gn+αGn、 G3>αGnのとき、炉内に対して
a Gn.i3+Q4−Q3−G3.i3+(G3一 ee dn)i31=e
(6)となり、分岐ジェットカーテンと同様の特性燈を求めるこ
とができる。ここにG、i、はそれぞれ重量流量、エンタルピを示す。
また、Gdはdividing stream lineに関する等価交換流
量である。横断流量は炉内の設定温度にまで加熱されるので点線で 示す領域におけるエネルギの平衡を考慮すると、
G23. i23 一G3. i 3一 a Gn.i3+Q4−Q3=O (3)
ここに、Q4、Q3はおのおのヒーターの熱量と軍体の損失 熱量を示す。炉内の温度が低くまたh/tが大きいときは 二次元等温ジェットの特性を使用できるものとする。
実験によりio,in,i3,Gn,αおよびQ4、Q3を測定すると等 価交換流量Gdとi10,i23が求められる。
2.2 合流ジェットカーテン
合流ジェットカーテンは横断流量αGnがエントレンメ ントによって炉内からジェット面に巻き込まれる流量G3 より A)少ない場合(αGn<G3)、 B)多い場合
(αGn>G3)に分けて考えることができる。
B)はジェットカーテン部の熱損失が無い場合であり、
3.実験装置
フロ・一ティングシステムは予熱部、熱処理部、冷却部と からなり搬送材に対して上下対称とみなせる6し彪がって 炉体の上下の一一方を取り扱えばよい。出入口両端のジェッ トカーテンは非平衡の場合は互に干渉し、各々のジェット の状態は横断流量によって決まる。この横断流量をオリフ
ィス等の抵抗を生じること無く正確に測定することは容易 でない潅め、本実験では回報Fig.3に添す一つのジエッ
トカーテン模型を使用する。なお、同図において、循環流 路のファン上部に横断流量系の配管を取りつけている。横 断流量系には、ファン、ヒーター、バルブ、オリフィスが
あり、また流れの方向を変換できるようになっている。
したがって、炉内に対して排気および加熱空気の供給を行 ない任意の分岐または合流ジェットカーテンの状態の設定
が可能である。非平衡時のジェット状態の設定および熱損失測定システ ムは前報Fig.4に、更に横断流量系を付加したものであ
る。
4.実験結果
一8一
4.1 分岐ジェットカーテン
ジェットカーテンの支持圧力特性CpはFig.3に示す ように、平衡ジェットカーテン(α=0)から分岐ジxット へαの増加とは逆に単調に減少している。α=0のとき、
ジxットは左右対称に分岐して流れることが知られており、
分岐ジxットカーテンはかなり激しく支持特性が低下して
いる。
a
ヨ
仙
0.
(O
R一口詞山︸\︵O山−自う甑︶陛ロリ
O.1
◇
◇ ロ ◇ ロムO▽ ◇ 口△O▽
ム O▽
ロ ム O▽
h/t O
05 7
1
◇ ロム 50
12
0マ
ロ ム0▽
o
が増加している。したがって、∠Qのαに対する増加の割 合はh/tが大きいときに少し減少していることが分る。
ジエットカーテンの炉内側の搬送面上の温度丁23を Fig.6に示す。平衡ジェットカーテン時にも多少低下して い遊が、横断流量が増加すると、ますます温度が低くなつ
O.8O.2 O.3
伍
口O︵O咽Ioつ唱V\σぐ
4 0
O−1
Oe2
ct
o o A O.1 ロ 0.2 V O.3
▽u△O・
▽ロムQ ▽ロム山
v
ロム
o v
O.4
a〈 :=G2/Gn
Fig. 3 Variation of oushion for the overfed flowregユme
分岐ヅエットカーテンのdMdmg s七ream lineに関す る等価交換流量GdをFig.4に示す。
O.3
2 0
誤O\℃OuOO
O.1
dO123 000
Q△口▽
呂 曾
vQaロ▽
号A o
O 5 10 15 20 25
h/t
Fig.4The equiv砥ent air excha㎎e ra七e for theoverfed regirne
平衡ジェットカーテンの場合よりもαが大きくなったとき Gdは逆に減少している。これは、ノズルの縁につながる ジェット内の流線付近は乱れが強いが、中心に向って乱れ の減少によるものと考えられる。特に、h/tが小さくな ると、ポテンシャルコアの占める割合が大きくなりGdの 減少が顕著となる。
次に、分岐ジェットカーテンの一部が炉内に侵入し、そ れを設定温度にまで上昇させるときに必要な熱量、つまり 分岐ジェットカーテンの熱損失∠Q(=Q4−Q3)をFig.5に
示す。熱損失はほぼαの増加に比例しており、αが熱損失の大 きな比重を占めていることが分る。更に詳細に観察すると、
ノズルの高さが低い場合は、Fig.4において等価交換流 量はαによる変化幅が少なく、h/tが大きくなると変化幅
o
Fig. 5
』
3
0
0謁
(O
P1ρりト︶\︵0臼−的Nト︶
O.4
O.2
5 10 15 20 25
h/t
Characteristics of heat ioss for the underfed £]ow regimeび 0
ー
0ロ
23 00
O 5 10 15 20 25
h/t
Fig. 6 Characteristics of external temperature of strip within furriace for the underfed flowregzme
Oo4
0
記0
口O︵○州Ioり刺︶\αぐ
O.2
Fig. 7
d=o.3 o.1 0r2
(h/t =10)
O.5 1oO
(Tn−TO) / (T3−TO)
1.5
Reユationship between temperature and heat loss at nozzle part
津山高専紀要第30号(1992)
ている。特に、ノズル高さが低い場合にはαが小さい時で さえ温度低下は大変激しく、搬送材の温度管理が困難にな
ることが分る。ノズル部の温度を上昇させると平衡ジェットカーテンの 場合に前言で示したようにジェットカーテン部の熱損失,
∠Q(=Q4−Q3)は直線的に減少していだ。横断流量があると き、ノズル温度Tnが低いと∠Qは大変大きい値になって いるが、Fig.7に示すように、ノズル温度が高くなると 熱損失の減少の割合は横断流量が多くなるほど大きくなり、
∠Qは著しく小さくなる。もちろん(1一α)Gnに相当する流 量は外気側に放出されるので、ジェットの加熱に要する熱 量を考慮した熱収支は改善されている訳ではない。
しかしながら、搬送材の温度管理の面から炉内設定温度に 近ずける必要がある時には有効である。
︵呂一︒︒臼︶\︵o臼!︒︒cq↑︶
1.2
1.0
O.8
oく二〇
〇.1
:2
(h/t= 10)
に侵入するジェット流が減るため熱負荷が減少する。∠Q はαに対して単調に減少している。∠Q=0になるとそれ以 上αが増加しても常に∠Q=0となる。また、搬送材の温度 丁23はαと共にほぼ直線的に増加し、∠Q=0になるとT23 は炉内温度になる。 (Fig.11)
分岐ジェットカーテンはαが増加すると熱損失が増し、
合流ジェットカーテンは逆に熱損失の減少がみられる。そ
4 0
3
0
0
2(O
R一肖↑氏︶\︵Oq−oり山︶閥qOO.1
Q O h/t:=5 Q O
Q e
ロ ロ
ロ 7
ロ ロ ロ
A 10 A A A A A
O.6
O.4
5012
0▽
O▽ O▽
O▽ O▽
O▽
O O.1 O.2 O.3 O.4
d = (e3−G31) /Gn Fig・ 9 Variation of cushion pressure for the underfed flow regime
o
.3
L一一.,一pt−L一一N一,
le5
8︵O咽一︒︒ご\αぐ O.2
O.5 1.0
(Tn−TO) / (T3−TO)
Fig. 8 7]emperatures variation at nozzle part and external strip within flユrnaGe
Fig.8はノズル部の温度Tnと炉内搬送材の温度丁23 との関係を示す。Tnが低いとき、αが大きくなるとT23
は大変低くなっていたが、Tnの上昇と共にT23は直線 的に増加し、またαが大きいときほどその勾配は強くなり、
T23の制御には有効であることが分る。
4.2合流ジェットカーテン
合流ジxットカーテンの支持圧力特性をFig.9に示す。
分岐ジXットカーテンの場合とは逆に横断流量の増加に対 し、支持圧力Cpは増えている。しかしながら、その値は 僅かであり支持特性の改善と言うほどではない。
合流ジェットカーテンのエネルギ平衡モデルより、(4)
〜(6)式を用いて推定したジェットカーテン部の熱損失
∠Qの値をFig.10に示す。横断流量αGnは炉内温度に 加熱されてジェットに供給されておりαが増加すると炉内
O.1
o
h/t=20 15 10 一7
O.1 O.2 O.3 O.4
〈)c
Fig. 10 CharacCeristics of hect t loss for theunderfed flow regime
1.0
8 6
0 0
(O ゥ一︒つ臼︶\︵O臼一︻pう﹄︶
h/t一一7 le 15 20
o
Fig. 11
O.1 O.2 O.3 O・4
d
Charaeteristies of temperature within furnaoe for the underfed flow regimeこで、フローティングシステムとして非平衡の時に口熱損 失を推定するためには、双方のジェットカーテンの熱損失
一10一
を加えて評価する必要があり、Fig.12にその一例を示 す。横断流量αGnが増と、システム全体の熱損失は増加し、
αGnがジェッ5のエントレンメント流量G3より多くなる と合流ジェットカーテンのそれ以上の熱損失特性の改善が ないため、αに対してほぼ直線的に増加している。結局、
分岐ジェットカーテンの熱損失の増加に比べて合流ジェッ トカーテンの熱損失の減少の方が少ないため、フローティ
O・5
4 0
ロ0の
8︵O刊1︒・屑︶\冒
O.2
O.1
h/t=15
10
7
(Tn=To)
O O.1 Ot2 O.3 O.4
cX
Fig. 12 Charaoteristies of total heat loss at inlet of system for the non−equilibriumfユow
ングシステム全体の熱損失は非平衡の状態が進むほど増大
している。D支持圧力がかなり低下するため非接触の点から好ま しくない。まta、支持圧力を回復させるためにジェ 5全圧力を大きくするとさらに非平衡が進み支持圧 力の増加を計ることは困難になる。
2)等価交換流量は減少する、ノズル高さが低い場合に 減少割合が大である。したがって、等価交換流量に 基ずく熱損失は減る。
3)しかしながら、横断流量を炉内温度に加熱するに要 する熱損失を生ずるため全熱損失は横断流量と共に 増加している。
4>炉内の搬送材上の温度は低下する。特にノズル高さ の低い場合に顕著にあらわれている。
5)そこで、加熱したジxットを用いると搬送材上の温 度低下を防ぐことができ、また横断流量に起因する 熱損失も減少させることができるが、ジェッ5の加 熱に大量の熱量を必要とするためそれらを加えると 熱損失は改善されたことにはならない。
5.結 論
フローティングシステム出入口部の両側のジェット P・一一