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論文 高強度コンクリートのポンプ圧送性に関する実験的研究

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(1)

論文 高強度コンクリートのポンプ圧送性に関する実験的研究

要旨:Fc=50 から 120N/mm2の高強度コンクリートを対象とし,ポンプ圧送実験を行い,ポン プ圧送によるコンクリートの品質の変化及びポンプ圧力損失を確認した。その結果,ポンプ 圧送によりスランプフローは低下するが,コンクリートの粘性は小さくなる傾向であった。ま た,空気量は若干増加するものの,圧縮強度はほとんど変わらず,静弾性係数は若干低下し た。水セメント比が小さいほど,圧力損失は吐出量の増加に伴い大きくなり,ジルコニア起 源シリカフュームを混入した場合,圧送による流動性の低下は小さく,圧力損失も低減し,ポ ンプ圧送性の改善に効果があることが分かった。

キーワード:高強度コンクリート,ポンプ圧送性,圧力損失,シリカフューム

1. はじめに

 近年,高強度コンクリートの普及により,現 場において高強度コンクリートをポンプで圧送 する機会が多くなってきた。高強度コンクリー トは通常強度のコンクリートに比べて,圧力損 失(配管1mあたりの圧力損失)が大きくなる ことから,打設に際しては,ポンプ圧送性の確 認が必要となる。特に,Fc=100N/mm2を超えるコ ンクリートのポンプ圧送性に関する報告事例1) はあるが,極めて少ないのが現状である。今回,

中庸熱セメント及びジルコニア起源シリカフュ ームをプレミックスしたセメントを用い,Fc=50 から120N/mm2に対応する高強度コンクリートを 対象として,ポンプ圧送実験を行った。本報で は,ポンプ圧送によるコンクリートの品質の変 化及びポンプ圧力損失の測定結果を述べるとと もに,圧力損失に及ぼす影響要因について考 察・検討を行った。

2. 実験概要 2.1 実施概要

 ポンプ圧送実験は,Fc=50 から 120N/mm2に対 応する6種類の高強度コンクリートについて行 い,吐出量はそれぞれ4水準とした。実施時期

は,圧送条件として厳しくなる夏期とした。

2.2 コンクリートの使用材料及び調合

 Fc=50から80N/mm2に対応する高強度コンクリ ートについては,中庸熱ポルトランドセメント を用い,建築基準法第 37 条 2 項に基づく国土交 通大臣の認定を取得した調合とした。

 Fc=80 から 120N/mm2については,ジルコニア 起源シリカフューム2)を事前に混入した中庸熱 セメントベースのプレミックスセメント(ZFC) を用いた。使用材料を表−1に,コンクリート の調合を表−2に示す。

 コンクリートの練混ぜは市中のレディーミク ストコンクリート工場において行い,1バッチ 2.5m3とし,モルタル先練り方式とした。W/C が 小さくなるほど練り混ぜ時間を長くした。

神代泰道*1・一瀬賢一*2・都築正則*3

* 1  (株)大林組 技術研究所 建築材料研究室 構造材料グループ 副主査 工博 (正会員)

*2 同 グループ長 工博 (正会員)

*3 同 研究員 工修 (正会員)

表−1 コンクリートの使用材料

分  類  記号  概  要 

セメント  中庸熱セメント,密度 3.21g /cm3  (C)  ZFC  ジルコニア起源シリカフューム混入セメント 

密度 3.08g /cm3,置換率 13% 

細骨材  山砂,表乾密度 2.59 g/cm3  吸水率 2.21%,FM2.62  粗骨材  G1  石灰岩砕石,表乾密度 2.70 g/cm

吸水率 0.61%,実績率 60.0% 

(G)  G2  硬質砂岩,表乾密度 2.70 g/cm3  吸水率 0.57%,実績率 60.7% 

混和剤  SP1  高性能 AE 減水剤(K 社製),ポリカルボン酸系  (SP)  SP2  高性能減水剤(S 社製),ポリカルボン酸系  コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,2006

(2)

2.3 圧送条件

 配管図を図−1に示す。

配管は 5 インチ管を用い,

配管長は110mとした。配管 種類は,ポンプ車の根元か ら 60m までを ZX 配管,80m までを高圧(H)配管,それ 以降を中圧(M)配管および 一般(S)配管とし,ポンプ

図−1 配管図 表−2 コンクリートの調合

表−3 ポンプ車諸元

図−2 圧力計設置状況

コンクリート  セメント  G   SP  Air  W/C  s/a  単位量(kg/m3 SP 

記号  種類  種類  種類  (%)  (%)  (%)  S   (%) 

M50  G1  SP1  3.0  35.6  52.0  170  478  878  842  1.30  M60  G1  SP1  3.0  31.7  50.5  170  536  831  842  1.35  M80  G1  SP1  3.0  25.5  47.0   170  667  725  842  1.55   Z80  ZFC  G2  SP2  2.0  25.0  50.0  155  620  808  842  1.05  Z100  ZFC  G2  SP2  2.0  20.0  45.6  155  775  678  842  1.075  Z120  ZFC  G2  SP2  2.0  17.0  41.0  155  912  563  842  1.10 

M 5 0 ,M 6 0 :スランプフロー 6 5 ± 5 c m ,空気量 3 . 0 ± 1 . 5 % M 8 0 :スランプフロー 6 5 ± 7 . 5 c m ,空気量 3 . 0 ± 1 . 5 %

Z 8 0 ,Z 1 0 0 ,Z 1 2 0 :スランプフロー 6 5 ± 7 . 5 c m ,空気量 2 . 0 ± 1 . 5 %

車に近いほど高圧に耐えられるようにした。

 ポンプ車の諸元を表−3に示す。ポンプ車はP 社製のピストン式高圧ポンプ車とし,標準モー ド(最大吐出圧 15MPa)で実施した。吐出量は 15

〜 50m3/h の間の4水準とし,1回あたりのスト ローク間隔で調整した。各吐出量の水準におい ては 10 ストロークずつ圧送した。

2.4 試験項目

 試験項目を表−4に示す。荷卸しおよび筒先 でコンクリートを採取して試験を行い,それぞ れ圧送前後のコンクリートの性状を比較した。

3. 実験結果

3.1 フレッシュコンクリートの試験結果  フレッシュコンクリートの試験結果を表−5 に示す。圧送前の試験は練混ぜ開始から約 6 0 分後,圧送後の試験は 80 〜 90 分後に実施した。

当日の外気温は 2 8 ℃であり,コンクリート温 度はいずれも 3 0 ℃を超えた。圧送前後のコン クリートのスランプフロー,Oロート流下時 間および空気量を比較して図−3に示す。

 中庸熱セメント(Mセメント)単体として用い た F c = 5 0 〜 8 0 N / m m2に対応するコンクリート

(M50 〜 M80)では,圧送後で 20cm 程度の比較的 表−4 試験項目

フレッシュコンクリートに ついては,スランプフロー,

Oロート流下時間,空気量,

コンクリート温度を測定し た。硬化コンクリートにつ いては,標準水中養生を行 った供試体について,材齢 28 日及び 91 日において圧縮 強度,静弾性係数を測定した。

 管内圧力の測定は,フラッシュダイアフラム 型圧力計を用い,圧送管には図−2に示すよう に取り付けた。圧力計の受圧面は,圧送管の管 壁より 1mm 程度内側とし,ここにシリコーン樹 脂を充填して,受圧面をコーティングした。な お,コーティングによる感度低下がないことを 事前に確認した。圧力計は配管内に計 6 点設置 した。ポンプ主油圧は,各吐出量の水準におい て,定常状態になった時のポンプ車の主油圧を 油圧ゲージから読み取った。

コンクリートシリンダ  圧送 

モード  最大  吐出圧 (MPa) 

最大  吐出量  (m3/h)  直径 

(mm) 

長さ  (mm) 

吐出量  (m3

シリンダ 比  標準  15  68  200  2100  0.066  0.438  

測定用圧送管 パッキン

シリコーン樹脂 フラッシュダイアフラム 項  目  内  容  型圧力計

スランプフロー,空気量 

Oロート流下試験,コンクリート温度  圧送前後の 

コンクリート  標準水中養生を行った供試体による圧縮強 度,静弾性係数(材齢28日,材齢91日) 

管内圧力  吐出量15〜50 m3/hの4水準において,配管に 設置した6点の圧力計により測定  ポンプ主油圧  各吐出量の定常状態になった時点の最大主

油圧をゲージから読み取る 

P1 P2

P4 P3 P5

P6 5.4 27.5

15.9 16.2

16.6 6.6

21.6

ポンプ車

排出

配管距離(m) 配管長:全110m(5インチ管)

ZX管 H管

M管

S管 垂直管 垂直管

(3)

表−5 フレッシュコンクリート試験結果 図−3 圧送前後のフレッシュ性状

で圧送後の方が短くなっており,スランプフロ ーは低下するものの,コンクリートの粘性は小 さくなる傾向を示した。特に,ZFC を用いたコ ンクリートでは,その傾向が強かった。空気量 については,M セメントではポンプ圧送により 0.8% 程度増加する傾向であったが,ZFC を用い たコンクリートではほぼ横ばいか若干低下し た。

3.2 硬化コンクリートの試験結果

 圧送前後で採取したコンクリートの圧縮強度 および静弾性係数の試験結果を図−4及び図−

5に示す。圧縮強度については圧送前後では 大きな差異は見られなかった。圧送後にフレ ッシュコンクリートの空気量が増加するもの もあったが,圧縮強度には影響はない範囲で あった。一方,静弾性係数は圧送後の方が 5%

程度小さくなった。これは空気量が増大したこ とにより,単位容積質量が小さくなったためと 考えられる。

図−4 圧送前後の圧縮強度(材齢 28,91 日)

図−5 圧送前後の静弾性係数(材齢 28,91 日)

記号  測定  場所 

スランプフロー  (cm) 

Oロート  流下時間 

(sec) 

空気量 

(%) 

コンクリート  温度 

(℃) 

単位容積  質量  (kg/m3 M50  荷卸  63.0×62.5   8.8   2.1   31.0  2,415 

    筒先  44.0×43.0   7.3   3.0   31.5  2,391  M60  荷卸  68.0×66.0   10.6   2.2   32.0  2,445      筒先  50.0×48.0   7.9   3.0   33.0  2,417  M80  荷卸  71.0×71.0   15.6   1.6   32.5  2,487      筒先  52.0×50.0   12.7   2.4   32.5  2,454  Z80  荷卸  67.0×66.0   16.5   2.0   31.0  2,476      筒先  65.0×64.0   7.2   1.5   32.0  2,471  Z100  荷卸  63.0×63.0   25.4   1.7  32.0  2,493      筒先  62.0×61.0   11.7   1.5  32.0  2,491  Z120  荷卸  66.0×65.0   37.2   1.9   32.5   2,502      筒先  54.5×53.5   27.5   2.0   34.0  2,492 

大きなスランプフローのロスが見られた。

これはコンクリート温度として30℃を超え る条件であったこと,最終的な吐出量が 50m3/hとかなり早い速度で圧送した後の試 料であったことが影響していると考える。

一方,ZFC を用いた Fc=80 〜 120N/mm2に対 応するコンクリート(Z80 〜 Z120)につい ては,同じ条件であったが,Z80 及び Z100 で 2 〜 3cm 程度,Z120 で 10cm 程度のロス であり,比較的小さかった。Oロート流下 時間については,ほとんどのコンクリート

40 50 60 70 80

40 50 60 70 80

圧送前のスランプフロー(cm)

圧送後のスランプフロー(cm)

M50 M60 M80 Z80 Z100 Z120

0 10 20 30 40

0 10 20 30 40

圧送前のOロート流下時間(秒)

圧送後のOロート流下時間(秒)

M50 M60 M80 Z80 Z100 Z120

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 圧送前の空気量(%)

圧送後の空気量(%)

M50 M60 M80 Z80 Z100 Z120

60 80 100 120 140 160

60 80 100 120 140 160 圧送前の圧縮強度(N/mm2)

圧送後の圧縮強度(N/mm2 ) M50

M60 M80 Z80 Z100 Z120

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 圧送前の静弾性係数(104N/mm2)

圧送後の静弾性係数(104N/mm2) M50

M60 M80 Z80 Z100 Z120

(4)

図−6 圧縮強度と静弾性係数の関係  図−6に圧縮強度と静弾性係数の関係を示

す。ZFCを用いたコンクリートの静弾性係数は,

M セメント単体としたコンクリートに比べて,

圧縮強度に対する比率が小さめであった。ま た,圧送前後を比較すると,圧送後の方が圧縮 強度に対する比率が小さくなる傾向であった。

3.3 管内圧力の測定結果 (1)測定波形 

 圧力の測定波形の一例を図−7に示す。圧力 波形は,シリンダー切り替え時に発生するサー ジ圧がなく,1ストローク間ではほぼ一定の圧 力となった。これは今回使用したポンプ車の油 圧回路システムによるものである。各吐出量に おける圧力値は,定常状態での測定値を読み取 った。また,実際の吐出量は,定常状態におけ る 1 ストロークあたりの時間間隔を求め,これ に1ストロークあたりの実吐出量を乗じた。1 ストロークあたりの実吐出量は,表−3に示し たコンクリートシリンダ容積に容積効率(これ

図−7 圧力波形の一例(Z120)

図−8 管内圧力測定結果

(1)M50 (2)M80

(3)Z80 (4)Z120

‑0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

550 570 590 610 630 650

時間(秒)

測定圧力(MPa)

1ストローク間隔 定常状態

読み取り

吐出量切り替え

0 1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80 100 120

配管距離(m)

測定圧力(MPa)

18  26  41  49 

実吐出量(m3/h)

P1

P3 P4

P5 P6 P0

0 2 4 6 8 10 12

0 20 40 60 80 100 120

配管距離(m)

測定圧力(MPa)

18 

27  39  45 

P1

P3 P4

P5 P6 P0

実吐出量(m3/h)

0 1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80 100 120

配管距離(m)

測定圧力(MPa)

19  29  39  44 

P1

P3 P4

P5 P6

P0 実吐出量(m3/h)

0 2 4 6 8 10 12

0 20 40 60 80 100 120

配管距離(m)

測定圧力(MPa)

18  25  34  37 

P1

P3 P4

P5 P6

P0 実吐出量(m3/h)

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

60 80 100 120 140 160

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(104 N/mm2)

Mセメント(圧送前)

Mセメント(圧送後)

ZFC(圧送前)

ZFC(圧送後)

圧送前

圧送後

圧送前

圧送後

累乗回帰曲線

(5)

図−9 吐出量と圧力損失の関係

までの実績値 0.85 を採用)を乗じ,56 リット ルとした。コンクリートシリンダーの前面圧 (P0)は,ポンプ車の主油圧ゲージから読み取っ た値に,表−3に示したシリンダ比(0.438)を 乗じて算定した。

(2)管内圧力

 各コンクリートの管内圧力の測定結果の一例 として,M50,M80,Z80 及び Z120 の場合を図−

8に示す。配管距離は実長で示した。P0 はコン クリートシリンダーの前面圧とした。測定点P2 に設置した圧力計に不具合があったため,P2を 除いた。圧力測定結果は,緩やかな下に凸の曲 線となり,ポンプ車根元に近づくほど勾配は急 となった。本研究では,測定点 P1 から P6 まで の圧力に対する最小2乗法による直線の傾きを 圧力損失として算定した。

(3)圧力損失

 各コンクリートの圧力損失と吐出量の関係 を図−9に示す。全てのコンクリートで吐出 量に対して圧力損失は直線的に大きくなり,

その傾向は,水セメント比の小さいコンクリ ートほど吐出量に対する圧力損失の増加の割合 が大きくなる傾向であった。Fc=80N/mm2に対応 する M80 と Z80 について比較すると,M80 に対 する Z80 の圧力損失は,吐出量 20m3/h で 30%,

吐出量 30m3/h で 40% 程度の低減がみられ,吐出 量が大きいほど,低減効果は大きくなった。こ れは ZFC を用いた場合,ポンプ圧送後のスラン プフローの低下が小さく,Oロート流下時間も

図− 11 スランプフローと圧力損失の関係

図− 12 Oロート流下時間と圧力損失の関係 図− 10 C/W と圧力損失の関係

M セメント ZFC

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

10 20 30 40 50

吐出量(m

3

/h)

(KPa/m)

M50 M60 M80

回帰直線

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

10 20 30 40 50

吐出量(m

3

/h)

圧力損失(KPa/m)

Z80 Z100 Z120

回帰直線

0 20 40 60 80 100

2 3 4 5 6 7

C/W

圧力損失(KPa/m)

白抜き:Mセメント 黒塗り:ZFC

20m3/h 40m3/h 30m3/h 回帰直線

40m3/h

20m3/h 30m3/h

0 20 40 60 80 100

60 65 70 75

スランプフロー(cm)

圧力損失(KPa/m)

白抜き:Mセメント 黒塗り:ZFC

回帰直線 40m3/h 30m3/h 20m3/h

0 20 40 60 80 100

0 10 20 30 40

Oロート流下時間(秒)

圧力損失(KPa/m)

白抜き:Mセメント 黒塗り:ZFC

回帰直線 30m3/h

40m3/h

40m3/h

30m3/h 20m3/h

20m3/h

(6)

短いためと考えられる。このようにジルコニア 起源シリカフュームを混入することによりポン プ圧送性が改善されることを確認した。

3.4 圧力損失に影響を及ぼす要因

 図−9に示した各コンクリートの圧力損失と 吐出量の関係から,吐出量 20,30,40m3/h にお ける圧力損失を求め,圧力損失に及ぼす影響要 因を考察した。影響要因はセメント水比(C/W),

Oロート流下時間およびスランプフローとした。

スランプフローとOロート流下時間は圧送前の ものとした。圧力損失と C/W の関係を図− 10に 示す。コンクリートのC/Wが大きくなるほど圧力 損失は増加し,吐出量が大きいほどその傾向は 強くなった。また,セメント種類で比較すると,

M セメントを用いた W/C=25% 及び 30% の高強度コ ンクリートの圧力損失は,ZFC を用いた W/C=20%

及び 25% の高強度コンクリートの圧力損失に相 当するようであった。スランプフローと圧力損 失の関係を図− 11に示す。スランプフローが大 きいほど,圧力損失は小さくなると考えられる が,今回の範囲(フロー 61 〜 71cm)においては,

スランプフローの大きさが圧力損失に及ぼす影 響は認められなかった。Oロート流下時間と圧 力損失の関係を図− 12に示す。高強度コンクリ ートの塑性粘度と圧力損失の相関は高い3)とされ るが,Oロート流下時間についてもかなり相関 が高いことを確認した。これはOロート流下時 間が主としてコンクリートの塑性粘度を評価し ているためであり,今後,比較的簡便なOロート 流下試験によってポンプ圧送性の評価ができる 可能性が得られた。 

4. まとめ

 中庸熱セメント及びジルコニア起源シリカフ ュームをプレミックスしたセメントを用いた Fc=50 から 120N/mm2に対応する高強度コンクリ ートを対象とし,ポンプ圧送実験を行った。そ の結果,以下のことが分かった。

(1)ポンプ圧送によりスランプフローは低下す るものの,Oロート流下時間は短くなり,コ

ンクリートの粘性は小さくなる傾向であっ た。

(2)ポンプ圧送により空気量は若干増加するが,

圧縮強度に影響を及ぼすものではなかった。

圧送後の静弾性係数は,圧送前に比べて若 干低下する傾向であった。

(3)吐出量が多くなるほど圧力損失は増加し,

その傾向は水セメント比が小さいほど増加 の割合が大きかった。

(4)Oロート流下時間と圧力損失はかなり相関 が高いことを確認した。

(5)ジルコニア起源シリカフュームを混入する ことで圧送後におけるコンクリートの流動 性の低下も小さくなり,また圧力損失も低 減し,ポンプ圧送性の改善に効果があるこ とが分かった。

参考文献

1)鳴瀬浩康,藤井和俊,石中正人ほか:150N/mm2 級超高強度コンクリートに関する実験的研究

(その2 ポンプ圧送による実大柱の施工試 験),日本建築学会大会学術梗概集,p.p.541‑

542,2004

2)神代泰道,一瀬賢一,都築正則,齋藤賢:ジル コニア起源シリカ質微粉末を用いた超高強度 コンクリートの性状,コンクリート工学年次 論文集,Vol.27,No.1,p.p.1057‑1062, 2005 3)和美廣喜,桜本文敏,柳田克巳:高強度コンク

リートのポンプ圧送性に関する実験研究:日本 建築学会構造系論文集,No.466,p.p.11‑20,

1994

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