フローティングシステム出入口部の
ジェットカーテンの熱損失に関する実験的研究
一 第一報 平衡ジェットカーテンの場合 一
道満理正 ,安富善三郎榊,禾田輝彦申 ,倉田光雄一一
Experjmental Research on eat Loss through Jet Curtain at the l nlet and Outiet of FIoatjng System
一 lst Report, ln the Equilibrium Jet Flow 一
Masatada BOHMAN, Zensaburo YASUTOMi, Teruhiko K t DA and re l tuo KURATA
eat ioss through jet curtain in the floating system was experisuentalty estineated by applying the one−dimensional energy equations to the jet flow.
Fioa七ing sys七em was construc土ed in order 土haも the equ l i i brium je七 flow coud be realized ar】d the experiments were earried out by changing the nozzfe height from the strip. The results show that the
heat loss through jet curtain is proportional to the jet velocity and nozzle height. Further,the effeets of air temperature at no2zle and equivalent air exchang rate on heat loss were clarified.
1。ま え が き
裏面の光沢が厳しく要求される軟賀非鉄金属の薄膜スト リップは庄延によって製造され、脱脂、熱処理等の後処理 が必要であるが、ストリップの損傷を避けるため処理工程 中は完全な非接触が要求される。まta、紙、ウェッブの処 理ラインも非接触支持が必要である。1)2)ここで対象とし ているフローティングシステムはエアクッション技術を用 いてこれら薄膜搬送材を非接触で支持し、遮統的に熱処理 する炉に用いられるシステムである。搬送材は炉体の予熱 部入り口から入り熱処理部を経て冷却部出口から出る。も ちろん、炉の出入口部でも搬送材と炉体との接触を避ける 必要があり、搬送材は上下からジェットカーテンで支持さ れる。一方、炉内は高温である艶め、炉体出入口部におけ る熱損失の防止は省エネルギの見地から重要である。また、
搬送材の熱処理に影響するような外気の侵入も好ましくな い。ジェットカーテンは非接触の支持力を獲得しta代償と して、ジェットのエントレンメントによりヅェット流およ び外気の一部が炉内に侵入し、熱損失を生ずると共に搬送 材表面の温度を低下させる。したがってフローティングシ ステムを設計する上において、支持特性と共にジェットカ ーテンの熱損失特性を正しく評価する必要がある。 ジェ
ットカー・テンの支持特性については著者らはすでに理論及 び実験により検討しており、3}4)5)各状況下における搬送 材の支持力の推定が可能である。一方、熱損失については プッシュプル型エアカーテンの外気遮断特性を取扱っだも のが幾つか見られるが、6}7)ジコ:ットカーtテンの熱損失を 対象とし遊研究は見当らず、熱損失を推定する方法はまだ 確立されていない。
本研究は、ジェットカPtテンの熱損失が主にエントレン メントによるジェットと炉内流体との等価交換流量に支配 されるものと考え、ジェットカーテンを一次元的な熱平衡 のモデル化を行ない、エネルギ保存則を適用した。そして 炉体出入口のジェッFカーテンに関するモデル実験を行な い、交換流量、炉内の搬送材上の温度等熱損失の諸特性を 求めると共に、支持特性との総合的な評価を行ないフロー ティングシステムの設計時に必要な資料を提供する。
2.ジェットカ・一Eeンのモデルとエネルギ平衡式
フローティングシステムの概要はFig.1に示すように、
左右がほぼ対称であり、また上下も搬送材に対して対称で ある。炉体入口部から炉内を通過して出口へ横断する流れ
Preheat room Heat treatment roem Cooltng roem
*機械工学科 **近畿大学
*** 大阪府立大学
**** 摂南大学
(平成4年8月28日 受理)
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Air ou曲i㎝floator Heating Je亀
Fig. 1 The outline of fleat±ng system
O旭tlet
がない平衡ジェットカーテンのときは、各ジェットカーテ ンの作用はいずれも同様と考えられるので、本研究では一 つのジェットカーテンを取り扱う。また、ジェットは二次 元であり、搬送材の幅はノズルと同一とする。ジエットカ ーテンを介する炉内外の熱移動量はジェットカーテンのエ ントレンメントによる炉内とジェットとの等価交換流量に 基ずくものが主で、純粋な熱伝導および幅射は省略できる ものと仮定する。なお、搬送材を介する熱の移動は搬送材 の材質、搬送速度、処理温度によって決まり、本研究では 考慮していない。
主ジmットは搬送材に衝突しだあと大気側に流れ、炉内 側ではエントレンメントによって巻き込まれた流量は搬送 材に衝突後再び炉内に戻り、直ちに拡散し炉内温度に上昇 するものと仮定する。
Fig.2に平衡ジェ・ソトカーテンのモデルを示す。
Strip
Gl,il,Tl,PCI
Q3
工nfumace G2
G2d
i2,T2,P2 Q4 .
実験により、大気、ノズル、炉内の各値およびQ3,Q4 を測定すると(1)〜(3)より熱損失に関する諸特性が求めら れる。
GIO,UO,TIO,
Dividing stream line
G12,i12,T12
Mg. 2 Model of plane on equilibrium flow regime
dividing stream lineの大気側および炉内側に流れを分 けて考えることができるので、各々にエネルギ保存則を適 用すると次のようになる。
Gl.i1−GIO.i10+GO.iO−Gid(i1+ilO)/2+G2d(i2+i12)/2=O
(1)
G2.i2−G12.i12+Gld(il+iIO)/2−G2d(i2+i12)/2=O
(2)
3.実験装置
3.1 実験模型
フローティングシステムの炉内はFig.1に示すように、
綴送材を支持するフロータおよび加熱用ジェットが多数配 置されており、炉内の流れは吸引口に集められている。炉 内の流れを巨視的に見ると搬送材付近から対向壁面に向か って流れている。もちろん、その後は加温されて再びフロ ータ、ジエットに供給されている。従って、本実験におい ても1司様な強制循環の炉内流れにするtaめ、炉下壁および 上壁に多数の小穴を設け、下壁から上壁ヘー様に流れるよ うにしている。そのあとファン、ヒーターを経て再び下壁 に達する流路が構成されており、三体は炉心と循環流路と の二重構造になっている。また、二二の外面は断熱材で被 覆されている。
ノズルは炉体の入口部に固定してあり、上流部に整流用 の金網、ハニカムを設けている。搬送材とノズルとの間隔 を変えるために下壁は可動式になっている。捷だし、炉内 はジェットカーテン部を除いて気密構造に作られている。
Fig.3にフローティングシステム出入口部のジェットカ ーテン装置の実験模型と主要寸法を示す。
o鴫 湘 ● ■ 瞳 一 一
o師 騨 一一雪
o翰 勲
oo
【 Hn印》
o卜
o
07 口o
50 100 50
落oo
Heate
朧
轟li藷
Fig・ 3 De七aiユed floater and Gushion room
ean Heater
ここに、Gは重量流量、 iはエンタルピとする。また、速 度エネルギは無視できるものとする。構体の表面からの熱 損失をQ3、加熱ヒーターの出力をQ4とすると
G12.i12−G2. i2−Q3+Q4=O (3)
3.2 実験方法
フローティングシステム出入口部のジェットカーテンの 熱損失を調べる実験システムの概要をFig.4に示す。
Wa七t 皿eter
dividing stream line上における交換流量は相互に等しい のでGld=G2d=Gd。ノズルと搬送材との間隔がノズル幅に 比べて十分大きいとき、ジxットの曲率半径は大きくなり、
また炉内温度があまり高くないものとすると温度の影響が 無視できるので、二次元ジェットの特性が使用できる。し たがって、ジェット面に巻き込まれる流量GO、 G2が推定 できる。
P「es麗8
ewtezzie /L
t
lhekwo−e:e.otrtc F(
獄
Voltage eontroller
Thyristor electric pewer regul tor Thdnio−eleotrtrc
eouple
Fig・ 4 The arra㎎emen七 〇f七es七 equipmen七
炉内の温度制御は、炉の中央部に設けte白金測温体を用い
てデジタル温度計で測定し、サイリスタによるヒータの電 力制御にて行なっている。また、ジェットカーテンの温度 および流量はノズル系のファン、ヒータをスライダックで 設定している。熱損失特性を調べるためにFig.4の測定 システムにしたがって、各電力、温度、圧力を計測する。
3.3 実験条件
本実験では、実際のフローティングシステムを想定し、
幾何学および力学的要因について熱損失との関係を調べた。
設計時に最も重要な幾何学的要因はノズル高さとノズル 幅との比h/七であり、通常5以上が使用されており5〜
20について実験を行なつだ。また、炉体材料、モータの耐 熱性およびジェットの流体力学的特性の熱の影響を除.くた めに炉内の温度は比較的に低い温度を使用している。炉内、
ジェット共に10〜70。Cの範囲を設定傾としている。ジエッ トの流速は2〜7m/s、Re数では300〜1100の範囲の実 験を行なった。
4.実験結果.
フローティングシステムの熱損失は炉体表面とジェット カーテン部とからなり、本研究のジェットカーテン部の熱 損失を推定するためには、全熱損失から炉体裏面の熱損失
8
E6
舞
4
2
た場合の炉体表面からの熱損失に相当する電力WRと炉内 温度との関係をFig.5に示す。
いずれのノズル高さに対してもWRは炉内温度に比例して いる。つぎに、ジェットカーテンがない場合の開口部の熱 損失w(v=o)をFig.6に示す。
ここにW(V=0)謝丁一WR, WTはジェット流速Vが零の場合の 全電力である。もちろんジェットカーテンが無いので搬送 材を支持することは出来ないが炉体の基本特性の一つとし て示すものである。この損失は、主に炉内外の温度差によ って開口部に交換流が生じるためである。開口部が大きく なるほど熱損失は増加するが、後述のジェットカーテンの 交換流量に基ずく熱損失に比べると小さな値である。なお、
炉体の上下を置き換えた場合の影響はほとんど観察.されな い。 全消黄電力WTから炉体表面からの放熱量WRを差 引いたジュ:ッhカーデン部の熱損失に相当する電力WJを
Fig.7に示す。
3
0
(oロ夢︶
92@ 4
0 0
︵O臼IN臼︶\b≧ ▼▼0
曹▼⑤
▼▽O
△ 日
会
融
△ 哺◇︐
▼▼O△乙
回ロ◇ 口
△昌 ロー
口
A
七 5705 0/ 112
◇ロムO▽ h
h/t O s
cr 7 A 10 0 15 y 20
O 50 100
T2−TO Fig. 5 Heat loss through furnace wall
oo
Fig. 7
2 4 6 8 10 v(m/s)
Heat Zoss through jet ourtain in the floating system
熱損失はジェット流速にほぼ比例しておりまたノズル高さ が高くなるほど増加している。Fig.7の各値と式(1)〜〈3)
より求めたジェットと炉内との等価交換流量の平均値Gd の無次元量CGをFig.8に示す。
O.06
亨>
O.04
02
伍
(oP−自V\︵011>︶俸
o o o
o o
3
0
2 0
琶\呂118
O.1
o o o
o
o
O 5 10 15 20 25
h/t Fig. 6 Heat loss through jet curtain in the aper七ure
を差引く必要がある。実験模型の開口部を断熱材で密閉し
︒ 5 10 15 t20
^
h
Fig. 8 The equivalent air exohange rate on jet ourtain
25
ここに、CG=Gd/G1、 G五はノズル部の流量である。
hノ七》10では、GdはGlの10%以上であり、大きな熱損 失の原因になることが分る。Fig.9はRe数と等価交換 流量との関係の一例を示す。この範囲のRe数はいずれも 乱流ジェットであり、等価交換流量に影響を及ぼしていな
いことが分る。
次に、ジェットカーテンによって生じる無次元クッショ ン圧力CPつまり支持特性をFig・.10に示す。ここに、
CP=(P2−PO)/(Ptl−PO)。ノズル高さhが大きくなるほど クッション圧力は下がっており、 Fig.8の等価交換流量 O.36\8118
O.2
O.1
o
h/t=2e
一一Z一一P一一一一〇一一一一〇一一一〇一一一〇一
200 400 600 800 1000 1200 Re 工nf加ence of Reynolds n㎜ber七〇the equivalent air exchange rate
つまり、支持力を考慮したジXッ5カーテンの熱損失は CG〈師で表され、 Fig.11に示すようにh/tに対して
ほぼ直線的に増加している。従って、当然の事ながらh/t の低い値を設定値とする必要がある。
ジェットカーテンの等価交換流量Gdを用いて、ノズル 部の温度T1を変化させte場合の計算結果を以下に示す。
炉内の搬送材表面部に相当する位置の温度T12と炉内 およびノズル部の各温度との関係をFig.12に示す。
e 1・1
Fig. 9
傷6
ロ4 0
2 仙
∂島−一q︶\︵O自lcq戯︶π仙Q
工1.。
ミ。.9百
坐・,8 邑 0.7
h/t=5 7 10 15
o o
o
o o
O 5 10 15 20 25
h/t Fig. 10 Variation of eushion pressure with height/jet thiokness at the floating sys七em
は逆に増加している。従って、 hが小さい場合ほどCG、
CP共に優れていることは当然であるが、支持特性を考慮し たジェットカーテンの熱損失の表示法を検討する必要があ る。クッション圧力が一定の場合の等価交換流量Cdは、
ノズル部の流量がGl=γS 2/ρ(P七レPO)であるから、
CG、CPの定義より
O O.5
1.0 1.3(Tl 一TO) / (T2−TO)Fig. 12 ]]he exeernal temperature of strip within furnaoe for the ehange of the jet air temperature
ノズル部の温度が低いほど、またノズルが高いほどT12 は低くなっており、この図から搬送材表面の温度の設定が 可能である。Fig.13にノズル部の温度を変化させた場 合のジェットカーテン部の熱損失∠Q(・Q4−Q3)を示す。
O・8
6
コ
0
ξ8
O.4
GdFCGIiEeP; r svr27−5一(IS2:iSO
o
o
O.2
ら4
0
d
O
一〇︹O咽一N唄︶\σぐ
O.05
1
10
7︑5
/t=20
O.2
O O.5 1.e 1.3
(Tl 一TO) / (T2−TO)
Fig. 13 Hgat ]pss of jet air eurtain £or the ehange of one急 七empera七ure
ノズル部の温度を増加させると炉体側から見た熱損失は直 線的に低下する。ノズル部の温度を上昇させるためには大 きな熱量が必要であるため、 Fig.12に示した搬送材の 温度を管理する場合を除いて熱損失の見地からはノズル部 の温度を制御することは意味をもたない。
o o
o
Fig. 11
5 10 15 20
h/t Special eharacteristic the equivalent air exohange rate a eurtain eushion pressure,
5.結 論
フローティングシステムにおいてジェットカーテン部を 介する熱損失はジェットカーテンにおける内外の等価交換 流量を推定することによって求められる。したがって、ジ ェットカーテンの熱平衡モデルを考慮して平衡ジェットカ ーテンを形成する実験装置で得られta主な結果および計算
値を以下に示す。
(1)エネルギー収支から一次元モデルを提示し、等価交 換流量の概念を導入した。
(2)実験によって、この等価交換流量を求め、ジエット カーテン部の熱損失についての評価を試みた。
(3)ジェットカーテン部の熱損失はジエットの流速にほ ぼ比例し、ノズルの高さhが高くなるほど増加す る。
(4)ジェットカーテン部の等価交換流量はh/tと共に 増加し、 h/七>10ではノズル部の流量G1の10%
以上であり大きな熱損失の原因になっている。
(5)ジェットカーテンの支持力を考慮した等価交換流量 特性を求めた。その結果は、 h/tと共にほぼ直線 的に増加しており出来るかぎりh〆tを低く設定す べきである。
(6)ジェットカーテンの炉内側の搬送秘表面の温度はノ ズル部の温度が低いほど、またh/tが大きいほど 低下している。
(7)ノズル部の温度を上昇させると、ジェットカーテン 部の熱損失は直線的に減少する。
参考文献
(1)芋瀬・能勢,中外技術,75WALIO77(昭50)
(2)芋瀬・ほか2名,中外技術,81WALi177(昭56)
(3)安富・宮井,空調学会論文集,No.3 (昭52),1
(4)木田・ほか2名,機論,50495,B(昭59),2744
(5)木田・ほか2名,機論,52−479,B(昭61),2535
(6)山崎・ほか2名,冷凍,50−574,(昭50),616
(7>古藤・山中,機論,