• 検索結果がありません。

溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカソー ド側 セパ レータの腐食機構 の解析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカソー ド側 セパ レータの腐食機構 の解析"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

素材物性学雑誌 第1 0巻 第

2

18‑26 (1997)

論 文

溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカソー ド側 セパ レータの腐食機構 の解析

朴 桐 鏑, *後 藤 正 治,**麻 生 節 夫,**

李 圭 揮, *小 松 芳 成 **

InterpretationofCorrosionMechanism onCathodeSideSeparatorfor MoltenCarbonateFuelCell

by

Hyeoung‑HoPARKI,ShojiGoTOT†,SetsuoAso

,Kyu‑TaekLEE†andYosinariKoMATSU†I AbstFact

Thisstudywascarriedoutforthepurposeofinvestigatingthecorrosion behaviorandmechanism onaseparatorforamoltencarbonatefuelcellunder boththeelectrolyteandcathodesideenvironment.A SUS310Sausteniticstain‑

1esssteelwasusedastheseparatormateriaL Corrosionproceededviathree steps;aformationstepofcorrosionproductinwhichrapidcorrosiontakeplaces untilastablecorrosionproductisformed afterthebeginning ofcorrosion;

secondly,aprotectionstepagainstcorrosionuntilbreakawayoccursafterthe formationstepofthestablecorrosionproduct;finally,anadvancestepofcor rosionafterbreakaway. From thestandpointofthebehavioroftheelements intheseparator,Fe,CrandNiwereformedrichlylntheregionOfthecorroslOn product,inthereglOnOrCOrrOSionprotection,andattheCrdepletedzonere spectively. Withrespecttothecorrosionmechanism,directreactionwithelec trolyteandelementsoftheseparatoratthecathodesidewasthemaincorrosion mechanism,andthefinalcorrosionproductwasLiFeO2. Thecorrosionrateof theseparatoratthecathodesidewasrapidattheinitialstageofcorrosion.

However,thecorrosionratewasdecreasedduetotheresistanteffectofchromi um oxide.

KeyWolds:Separator,MoltenCarbonateFuelCe

l

l,CorrosionMechanism

,

CorrosionRate,SUS310SAusteniticStainlessSteel

平成9

5

月1

6

日受付

*韓E q 全北大学校工科大学金属工学科

561‑756

韓E g全北全州市徳律区徳律洞

664‑14

* * 秋田大学鉱山学部物質工学科

010

秋 田市手形学園町

1‑1

千MetallurgicalDepartment,EnglneeringCollege,ChonbukNationalUmiverslty,ChonJuCity,561‑756,Korea.

千千DepartmentofMaterialsEnglneeringandApplledChemlStry,MiningCollege,AkitaUnlVerSlty

,1 ‑1

TegataGakuencho

,

Aklta010,Japan.

18

(2)

10 2

(199

7 )

溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカ ソー ド側 セパ レー タの腐食機構 の解析

Ⅰ. 緒

緊迫 したエネルギー問題 と環境破壊問題が台頭す る 中で,各国では,代替 エネルギーの開発や環境汚染防 止など,多方面 においていろいろな努力が はらわれて いる。その中で も特 に,代替 エネルギー開発の一種 で ある燃料電池 は化学的エネルギーを直接,電気 エネル ギーに変換す る電気化学発電装置であって,エネルギー 変換効率が高 く,かっ環境汚染がないとい う長所を有

している。

一般 に燃料電池 は,電解質 の種類 によって,アルカ リ燃料電池 (AlkalineFuelCell:AFC), リン酸燃 料電池 (PhosphoricAcidFuelCell:PAFC),溶融 炭 酸 塩 燃 料 電 池 (Molten CarbonateFuelCell:

MCFC)および,固体酸化物燃料電池 (SolidOxide FuelCell:SOFC)に分類 され る 〔1㌦ この中でMCF C900‑950Kの高温で作動す るので,白金触媒を使 用す る必要がな く,高温の排熱を利用で きる長所を有 す るはかに,燃料 には水素,一酸化炭素,メタ ンな ど を使用で きるので,燃料 の前処理工程が簡単で,燃料 の多様化 といった側面か らも,次世代燃料電池 として 位置づけ られている (2日3)0

しか し,MCFCは高温 で作動 す る上 に,腐食性 の 強い炭酸塩電解質を使用す るので,電池の寿命や性能 向上 のためには,電池作動時に安定性 のある電池構成 材料を開発す ることが必須の条件 となる。特 に,本研 究 において とりあげたセパ レー タは,MCFCを実用 化す るときに,各単位電池間に挿入 され る電池構成要 素であって,高温の溶融塩電解質やアノー ドの還元性 ガスおよびカソー ドの酸化性 ガス雰囲気中に長時間 さ らされ る。そのため,電池作動時 に激 しい腐食現象 が

生 じ(3日 4), これに対応で きる材料 の開発および腐食機

構の解明が重要 な課題 とな っている。

従来、セパ レ‑夕材の研究 は、Pigeaud(5),Maru '6'

Sing(7)およびその他の研究者 (8)(9)によ って広 く行 わ れて きた。 しか し,セパ レータ材料 の開発 に必要 な腐 食挙動の解析や腐食機構 の解析の はかに微量元素 の影 響 などといった基本的に解決 しなければな らない問題 についての系統的な報告 は少ないのが現状である。 こ のために, これ らの問題が解決 されないままいまだ に オーステナイ ト系 ステ ンレス鋼 をMCFCセパ レー タ として考え られているのが現状である。

19 以上述べたように,MCFCの実用化 には,セパ レー タ用の耐食性材料の開発が必須条件であ り, このため にはまずMCFCに使用 され るべ き溶融塩電解質 中 に おいて,さらにはカソー ドおよびアノー ド側 において セパ レータ材がどのよ うな腐食を され るか につ いて, その挙動 と機構 に関す る研究を行 うことが急務である と考え られる。

そこで,本研究では,現在 セパ レータ材 として広 く 採用 されて い るSUS310S鋼 を用 いてMCFCの溶融 塩電解質単独条件のみならず,作動時に相当するカソー ドの酸化性雰囲気下での腐食挙動 とその機構 について 調べた。 これ らの結果を今後のセパ レータ材開発への 基礎資料 とす るのが本研究の目的である。

Ⅱ.実験方法

本実験 に使用 した試験片 は厚 さ1mmのオーステ ナイ ト系 ステイ ンレス鋼 で あ るSUS310S (C:0.04, Sl:1.23,Mn:1.16,P:0.014,S:0.006,Ni:18.34, Cr:24.14,Fe:hal,単位mass%) の板状鋼板で, これを10mmxlOmmに切断 した後 に,アセ トンで超 音波洗浄 した。

一方、電解質 と して は、Li2CO3粉 末 (直 径 約10

〃m)K2CO2粉末 (直径約100〟m)Li2CO。:

K2CO2‑62:38のモル比 に配合 して, ボール ミルを 用 いて混合粉砕 した。 これ を るつ ぼに入 れ,923K 加熱 したところで試験片を挿入 し,実験初期の状態で, 電解質の量が試験片の表面積 に対 して400mg/cm2 なるように電解質 の量を調整 して,その後所定の実験 を行 った。

腐食の実験では,試験片を単 に空気 にさらされた上 記組成の電解質 に直接浸漬 した場合 (EE (Electro‑

lyteEnvironment)の条件) と電解質存在下 でかつ カ ソー ドの酸化 ガス (Air:CO皇‑70:30vo1%) 185cc/min注入 させて,カソー ド側雰囲気を想定 した 条件 の場合 fEOE (Electrolyteand Oxidantgas Environment)の条件) とに区別 して行 った。 なお, 本実験の条件 として,上述 のように電解質量 を400mg /cm2,カソー ドの酸化 ガス注入量 を185cc/minとし たのはMCFCの実用 に最 も近 い条件 を想定 して採用 した ものである。 また,腐食量の算出は次 の方法 にて 行 った。すなわち,まず実験が終了 した試験片 を18%

NaOH3% KMn04の混合溶液で約4時間煮沸 し

(3)

20

朴 銅鏡 ・後藤正治 ・麻生節夫 ・李 圭揮 ・小松芳成

た後,蒸留水で洗浄 し,その後10%クエ ン酸 ア ンモニ ウム溶液に浸漬 した。その後,水洗およびアセ トン洗 浄をほどこして,電解質および腐食生成物を完全に除 去 した後,試験片の重 さを3回繰 り返 し測定 して, そ の平均値か らこの時の質量減少量を決定 した。腐食 の 進行速度および腐食生成物を観察す るために,試験片 に残 っている塩 だ けを除去す るために,5%H2SO。

水溶液に数秒間浸漬 して,走査電 子顕微鏡 お よび Ⅹ 線回折分析用試験片 とした。腐食層 における各元素 の 挙動および化学組成 の決定 に はSEMお よびEPMA を用 いて行 った。また,腐食生成物の形成過程を明 ら かにす るために,腐食層 の表面 および腐食生成物 の

ⅩRD分析 も行 った。

. 実 験結果 3.1腐食速度

Fig.1EEEOEの条件で行 った試験 片単位面 積当 りの腐食減量を時間に対 してプロッ トした もので ある。腐食 は3つの段階を経て進行す ることがわかる。

すなわち,第1段階では腐食生成物の形成段階で, 高

〜‑M.SSOfSS

e

M 1000

温溶融塩電解質 と試験片 との速 い腐食反応 に よ り, EEEOEの場合 とも放物線別 で予測 され る以上 の 速度を示すが (放物線別の場合 は,図の縦軸 (腐食減 量の対数) と横軸 (時間の対数)の関係か ら明 らかな ように直線の勾配 は0.5とな る。),第2段 階で は腐食 速度の勾配 は約0.27程度 に低下 した。第 1段階 で形成 された腐食生成物が通常の高温酸化挙動の場合 におけ るように,安定な腐食層 に変わ り,腐食 に対す る保護 皮膜 として作用 した ものと考え られ る。 しか し, この ような安定な腐食層の保護皮膜作用 も,高温溶融塩 中 に長時間露 出 され ると,240h以 降 の第3段階 で は, 図中 のA,B点 で示 す よ うに保護被膜破壊 (break away)が起 こり,腐食速度 は,再 び急激 に増加 す る 傾向が認め られ る。 この保護被膜破壊 の現象 は,酸化 性雰囲気下でオーステナイ ト系 ステ ンレス鋼 について 得 られたEvans10)Stott(1)らの研究結果 で も確認 されているので,本実験の結果 もそれ と同一 の もので あろうと類推 される。

一方,EEEOEの条件 にお け る腐食速度 を比較 してみ ると,腐食初期 の第1段階 で は,EOEEE

lⅠstep l s

t

e

p

l Ⅲ step

(EO●:0:EsEEloEOpeE)

かJ

0.

J O

6s2tep

′ ‑ イ コ

0.27 0.69

Breakaw ay

\ 隼0 ,

3

̲ ̲ 0 ‑ B ‑ 0 reak a w 7 a y B

Ⅰstep Ⅱ step

10‑1 100 101 10Z

Ti me,f /h

Fig.1 Themasslossperunitareaofseparatorasafunctionoftimeattheelectrolyte environmentalcondition (EE)andtheelectrolyte/(air+CO2)condition (EOE).

(4)

第1

0

巻 第

2

(1997)

溶融炭酸塩燃料電池におけるカソー ド側 セパ レータの腐食機構の解析

に比べ腐食速度 ははるかに速 い。 しか し,安定腐食層 が形成 された第2段階以降 になると,腐食速度 の勾配 の第1段 階か ら第2段階へ の変化 か ら推察 して逆 に EOEの場合の方が試験片 に耐食性 が増 して来 るよ う に思われ る。 この ことはEvans

C l D )や

Stott(ll)らが酸 化性雰囲気下でオーステナイ ト系 ステイ ンレス鋼 につ いて研究 した結果か らもわか るように,試験片内に含 まれているCrが酸化 ガス中の酸素 と結合 して,Cr 化物層を形成 し,それによって腐食が効果的に抑制 さ れた ものと思われ る。 したが って,一見腐食量 のみか ら推察す ると,たとえカソ‑ ド側に露出されるセパ レ‑

夕の場合の腐食量が溶融塩電解質単独の場合 よ りも多 くな ってはいるが,酸化物層および安定腐食層が形成 される第2段階に入 ってか らは,カソー ド側セパ レー タの条件の方の腐食速度の減少 の方が急速である。 ま た,保護被膜破壊 された後の第3段階においてもカソー ド側 セパ レータ条件での腐食速度の勾配 は0.69で あ る のに対 し,溶融塩電解質単独の条件では0.86で あ った ので, この材料 はEE条件 よ りもむ しろEOEの条件 の もとで時間の経過 とともに腐食速度が低下 して くる 傾向が認 め られる。

3.2腐食挙動および元素分析

Flg.23EEの条件で時間にともな う試験片 内 の腐食の程度 と各元素 の挙動 について示 した ものであ る。腐食の初期段階 に相当す るFig.2 (a)で は,読 験片が電解質 と接触す る部分でFe,Cr,Niなどの元 素が拡散移動 したことが観察 される。 しか し,時間が たっにつれてFig.2(b)にみ られ るよ うに,試験片 と電解質 との接触郡 には図中に示 したαの領域では腐 食生成物の形成領域 としてFeが濃縮 され る反面,Cr はむ しろ腐食生成物 とマ トリックスとの界面 のところ βの領域で多 く形成 されていることが確認 され る。

この ことは初期段階では試験片 と電解質 との接触郡 に 拡散 したFe,Cr,Niなどの元素 の中でFeが電解質 と優先的に反応す ることによって、αの領域で は、Fe を含有 している腐食生成物を形成 し,CrNiは相対 的にマ トリックス内にとり残 されたことを意味す るも のである。

Fig.3EE条件で480h行 った後 (3段階) の 試験片内における各元素の拡散挙動 と存在分布を示 し た ものである。腐食生成物が形成 され るαの領域で は Feが,腐食防御領域であるβの領域ではCrが,また

21

+ surface + surface

Fig.2 SEM,EPMA andschematicdrawlngOf thelineprofileofseparatorattheelectro‑

1yteenvironmentalcondition (EE).

l A m

Fig.3 SEM andEPMA ofseparatorattheelec

trolyteenvironmentalcondition(EE)for 480hinⅢstep.

(a)imageandlineanalysis(b)Femap (C)Crmap (a)Nimap

(5)

22

朴 桐鏑 ・後藤正治 ・麻生節夫 ・李 圭津 ・小松芳成

(a)lh(Istep)

( b)240h(‡s t ep)

一 Surface 一 surfaCe

Fig・4 SEM,EPMA and schematicdrawlng Of thelineprofileorseparatorattheelectro‑

1yte/air+CO∃COndition(EOE)・

l LPi m

Fig・5 SEM andEPMA ofseparatorattheelec trolyte/air+CO2COndition (EOE)for48 0hinⅢstep.

(a)imageandlineanalysis (b)Femap (C)Crmap (d)Nimap

試験片のマ トリックス内部 とCrが欠乏 した γの領域 ではNiが増加 していることがわか る。

Fig.45EOEの条件の場合 にお け る各元素 の 挙動 を示 した ものである。試験片内,Fe,Cr,Ni 元素の挙動 はEEの条件の場合 と似ているが,腐食 の 初期段階で はCrが電解質 と試験片 との接触部位 で相 対的に多 く拡散 された ことが,Fig.4 (a)で証 明 さ れる。試験片 と電解質 との接触部 に腐食生成物が形成 され るとともにカソー ド側 に相当す る場合の酸化性雰 囲気下 (EOE)で はより多 くの酸素 とCrが結合す る ことによって,溶融塩電解質 のみ の条件下 (EE) 場合 よりもよ り多 くのCr酸化物層が形成 された こと が予測 され る。EOE雰囲気下 で は この よ うに して形 成 されたCr酸化物層が効果的な腐食防御性 を見せ る ようになるものと思われ る。 しか し,実際 にはこの よ うな腐食を抑制す る酸化物層 も時間が進行す るにつれ て,電解質 と試験 片 との接触部 で あ るαの領域 で は Feを含有す る腐食生成物 が成長 す る ことによ って, cr酸化物層 はマ トリックス内 に とり残 され る ことが Fig.4(b)か ら確認 され る。 したが って,EOE条件 の場合 は,EE条件 に比 べCrの枯渇領域 が,広 く形 成 された ことがFig.5(C)に現れている。

3.3 腐食生成物の相変化

Fig.6Fig.7はそれぞれEEEOEの条件 の も とで,時間 に対 す る腐食生成物 の形成過程 を示す Ⅹ 線回折 の結果である。腐食の初期段階で あ る1hの試 験を行 った場合 には,EEの場合 オーステナイ ト系 ス テ ンレス鋼 の腐食生成物 として典型的な回折相である cr19Fe7NillとLiFe508およびLiFeOZの3相が共存 す るのに対 し,EOEの条件 で はCr,Feの酸化物相 が さらに共存 している。 このようなCr,Fe酸化物相 は前節 において言及 したよ うに,EOE雰囲気 に存在 している酸素 と,試験片 と電解質 との接触部 に拡散 さ れたCr,Fe元素が結合 され るためで あ る。一方,E EおよびEOEの条件の場合 とも,時間が良 くな るに

したが って,LiFe508の腐食生成物 は酸素分率 が少 ないLiFe02の腐食生成物 に変わ り, この時 に発生 す る過剰酸素が継続的に腐食生成物の形成領域でマ トリッ クスの側 に拡散 されなが ら腐食を進行 させ るものと考 え られ る。

したが って,EEお よびEOEの場合 と も最終腐食 生成物 はFig.6(d),Fig.7(d)に示 され るよ うに

(6)

第10 2

(1997)

Lt311Su

2

3ut

溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカ ソー ド側 セパ レー タの腐食機構 の解析

20

Fig・6 Ⅹ‑raydiffractionanalysISOfseparatorat theelectrolyteenvironmentalcondition (EE).

(a)1h (Istep) (b)96h (Ⅱstep) (C) 240h (Ⅱstep) (d)480h (Ⅲstep) LiFe02であるので, このような Ⅹ 回折結果 は上述 し SEM

EPMA結果か ら電解質 と試験片 の接触部 の腐食生成物 の形成領域が Feとして構成 され た結果 ともよ く一致 している。

Ⅳ.考察

4.1 耐食性および腐食速度

溶融塩電解質およびカソー ド側に露出されたセパ レー タの腐食過程を観察 した結果,セパ レータの腐食 は腐 食反応以降か ら安定腐食生成物が形成 され るまでの腐 食生成物の形成段階 と安定腐食生成物形成以後,保護 被膜破壊 までの腐食抑制段階および保護被膜破壊以後 か らの腐食進行段階の3段階を経 由 しなが ら進行す る

ことがわか った。

溶融塩電解質 の単独条件下でのセパ レータの腐食速 度 は一般的な高温酸化挙動の形態 として,初期では急

Lt3'Sua)uI

23

20

Fig・7 X‑raydiffractionanalysISOfseparatorat theelectrolyte/air+CO皇COndition(EOE).

(a)1h (Istep) (b)96h(Ⅱstep) (C) 240h (Ⅱstep) (d)480h(Ⅲstep) 激であるが,安定腐食層が形成 された後 は腐食生成物 の保護皮膜作用のために腐食速度が緩和す ると,腐食 減量の対数 と時間の対数の間 に直線関係が成 り立っい わゆる対数関数型の腐食速度を示 した。 しか し, この ような腐食を抑え る安定腐食層 も高温溶融塩の腐食環 境下 に長時間露出されることにより,保護被膜破壊が 起 きた後,腐食速度 は急激 に増加 した。その反面, カ ソー ド側 に露出され るセパ レータの腐食速度 はたとえ ば初期段階では,溶融塩電解質 の単独条件の場合 よ り 大 きいが,酸化物層および安定腐食層が形成 された以 後 は急激 に鈍化 した。

4.2 腐食生成物の形成機構

MCFCでセパ レータとして使用 したSUS310S鋼 の 腐食生成物の形成機構 を総合す ると,腐食生成物の形 成 は溶融塩電解質 とセパ レ‑夕であるマ トリックスの 反応 によって進行 され, とくにマ トリックス内にある 各元素中,電解質 と試験片 との接触部位 に拡散 した

(7)

朴 桐鏑 ・後藤正治 ・麻生節夫 ・李 圭揮 ・小松芳成

Fe,Cr,Niの元素 との反応 として説明で きる。一方, 電解質 と して使用 したLi2CO。とK2C03を比較 して み るとLi2CO。の方がK2C03よ りもこれ らの金属 元 素 との反応性が大 きいので,腐 食生成 物 はLiと結 合 した化合物であろ うと予測 され る。 また,カ ソー ド側 でセパ レータの腐食生成物 の形成機構 につ いて調べて み ると,カ ソー ド側 に接す るセパ レータは電池作動時, 強 い酸化性雰EEE気下 に露 出 され ることによって,次 の 二つの経路 によ って腐食生成物が形成 され ると予測 さ れ る。

第一 に電解質 と試験片 との直接反応 による腐食機構 第二 に酸化 ガスの雰囲気下 に存在す る酸素 と試験片 内の各元素 との反応 によ り形成 された酸化物 と電解質 との反応 による腐食機構

4.2.1電解質 と試験片の直接反応 による腐食機

電解質 と試験片内の各元素が直接反応 し,腐食生 成 物 を形成す る機構 は試験片内の元素 の中で もっとも大 きいモル分率を占め,Liと速 く反応 で きるFeとLi2 C03との反応で,次 の反応式で示 され る。

Li2CO∃+2Fe+3/202‑2LiFeO2+CO2

△Gf0‑‑642.0(KJ) K‑e8366 (1) Li2CO S+lope+15/202‑2LiFe508+Co告

△GfOニー3162.9(KJ) K‑e41217 (2) 5Li2COβ+2Fe+3/202‑2Li5FeO+5CO2

△Gf0‑‑347.0(KJ) K‑e4522 (3) Li2COB+3Fe+202‑LizFe305+CO2

△Gf0‑‑898.2(KJ) K‑el1704 (4) 上 の(1)式か ら(4)式 までの反応式 を見 ると,熱力学 的 に最 も安定 な腐食生成物 は(2)式 に従 うLiFe508で あ ることがわか る。 しか し,腐食 の初期段階で形成 され LiFe508の腐食生成物 は時間 の経過 と共 に酸 素分 率が低 いLiFe02の腐食生成物 に変 わ り, この とき発 生す る過剰酸素 は酸素 の活動度が低 いマ トリックス側 に拡散 され,腐食 は次第 にセパ レータのマ トリックス 側 に も進行 され るもの と思 われ る。

4.2.2電解質 と酸化物 の反応 による腐食機構 カ ソー ド側 に露 出 され るセパ レータは強い酸化性雰 囲気 に接す るので,電解質 と試験片 との接触部でマ ト

リックスの各元素 と酸素 との結合 による酸化物 の形成 が予見で き, このよ うな生成酸化物が電解質 と反応 し て二次的 に腐食生成物 を形成す ることも考慮 しなけれ

ばな らない。 したが って,カ ソー ド雰囲気下で形 成 で きる酸化物 は次 のよ うにな ると思 われ る。

i)Fe‑0

Fe+1/202‑FeO △Gf0‑‑212.0(KJ) K‑e2761 (5) 2Fe+3/202‑Fe203△Gf0‑‑581.1(KJ)

K‑e7573 (6) 3Fe+202‑Fe30

△Gf0‑1816.0(KJ)

K‑elO634 (7) 止)Cr0

Cr+02‑CrO2 △Gf0‑‑434.0(KJ) K‑e5654 (8) Cr+3/202‑CrO。 △Gf0‑‑351.3(KJ)

K‑e4578 (9) 2Cr+3/202‑Cr203△Gf0‑‑884.0(KJ)

K‑el1520 (10) ii)Ni0

Ni+1/202‑NiO △Gf0‑‑156.7(KJ) K‑e2043 (ll) 上 の(5)式 か ら(ll)式 までの反応式 を見 ると,熱力学 的 に もっとも早 く安定 に形成 され る酸 化物 はCr203 あるが,電解質 と試験片 にお け る接 触部 でFeの高 い モル分率 を考慮す るときにFe30。も形成可能で あ る。

一方,Cr20。の酸化物 は非常に安定であるので,カソー ドの酸化性雰囲気 中で もまだCr20。の酸 化 物 と して 存在 で きるが,Fe304の酸化物 は電 解 質 と反応 して, 前の4.2.1で言 及 した よ うにLiFe02の腐食 生 成物 を形成す るもの と予測 され る。

4.3腐食機構

Fig.8は溶融塩 電 解質 と酸 化性 ガ スが 同時 に存 在 す るカ ソー ド側でのセパ レー タ内の元素 の挙動 と腐食 機構 をモデル化 した図である。第 1段階の腐食過 程 は 元素 の拡散段階 (a),腐食生成物 および酸化物 の形成 段階 (b),第2段階の腐食過程 は腐食生成物 の成長 段 (C)および腐食 の安定段階 (d)に分 け られ る。

すなわち, 腐 食 の初期段 階 で はマ トリックス内 に Fe,Cr,Niな どの元素がFig.8 (a)に示 され て い るように,電解質 と試験片 との接触部 に拡散す る。 拡 散 した各元素 はFig.8(b)で見 られ るよ うに電 解質 と反応 して腐食生成物 を形成す ると同時 にカ ソー ドの 酸化性 ガスの雰囲気下 で酸素 と反応 して硬化物を形成 す る。 したが って,電解質 と試験片 における接触部 で

(8)

10 2

(1997)

溶融炭酸塩燃料電池 にお けるカ ソー ド側 セパ レー タの腐食機構 の解析

は腐食生成物 ばか りでな く,酸化物相 も共存 し,酸化 物 とマ トリックスの界面ではCrの枯渇領域 が形成 さ れ る。腐食生成物 はマ トリックス内で もっとも高いモ ル分率を占め,IJiと熱力学的 に早 く反応で きるLiFe 系の化合物中,LiFe508が まず形成 され るが,時間 の経過 と共 に酸素分率が低いLiFe02に変わ り, この とき発生す る過剰酸素を酸素 の活動度が低 いマ トリッ クス側 に拡散 させなが ら腐食 は継続的にマ トリックス 内に進行す る。一方,電解質 と試験片 における接触部 に拡散 した各元素の一部 は,カソー ドの強 い酸化性雰

(a) Air,CO2 electrolyte

separator IF,r,Ni

separator .

̀1 t壷 生 垣

Fe Cr Ni

Fig.8 TheschematlCImageOfcorroslOnmeCha‑

nlSm,theformatlOnOfcorrosionproducts andthebehavlOrOfelementsinseparator plateoncathodeside.

(a)Dlffusionstageofelements(Istep) (b)FormatlOnStageOfcorroslOnprOd‑

uctsandoxides(Istep)

(C)Progressingstageofcorrosionprod‑

ucts(Ⅱstep)

(d)Stablestage(Ⅱstep)

25

Bfl気下で酸素 と反応 して酸化物を形成することになる。

酸化物 の形成 と して はマ トリックス内か ら拡散 した Fe,Cr,Niなどの元素の中でCr20。が もっとも早 く 形成 されるが,マ トリックスのモル分率を考慮すれば, Fe30。の酸化物の生成 もまた予測 され る。腐食 は時 間の経過 とともに第2段階に入 り,マ トリックス内か ら継続的に拡散 されて くる各元素 と電解質および腐食 生成物 との反応 により, さらに進行す る。生成 された 酸化物の中で,一部 は腐食環境下で電解質 と反応 して 2次の腐食生成物を形成す ることになる。 したが っ て,電解質 と試験片 における接触部 には腐食生成物層 が成長す ることにな り, この ときCr203の酸化物相 は非常 に安定で,腐食反応 に関 与す ることよりもFig.

8(C)に見 られ るように腐食生成物 に占有 された,腐 食生成物層の生長 によってとり残される結果,マ トリッ

クスの界面 に存在す る。

Cr203酸化物 はFig.8(a)で示す よ うに,第2 階の終期では,腐食生成物 とマ トリックス界面で均一 な層を形成 し,マ トリックス内で腐食生成物の形成領 域 に向 う各元素の拡散を抑制す ることによ り,腐食生 成物の形成を防 ぐ障壁の役割をす ることになるものと 考え られ る。

以上 の実験結果 お よび考察 か ら明 らか な よ うに, SUS310S鋼 は主要添加元素 としてNi,Crを含有す る ために腐食 の進行過程 でCr203酸化物層 を形成 し, これがその後の腐食の進行を抑制す る効果を示すので 軟鋼 のようなFeC系の鋼 に比べて過酷な腐食条件で あるEOEでさえ もす ぐれた耐食性を示すで あろ うこ とは容易 に推察 で きる。 しか し,SUS310S鋼 で は安 定腐食生成物形成後に保護被膜破壊が起 こることによっ て再 び腐食速度が増 して くることが知 られた。したがっ て,今後 はSUS310S鋼 にさらに保護被膜破壊 を防止 す る方策を考 える必要があるものと思われ る。たとえ ば添加元素等の検討 なども今後 の研究課題であろう。

Ⅴ.結論

SUS310S鋼を溶融炭酸塩燃料電池 のセパ レー タに 応用 し,溶融塩電解質 およびカソー ド側雰BfI気下の条 件で実験を した結果,次の ことが明 らか とな った。

すなわち,セパ レータの腐食過程 は安定腐食生成物 が形成 され るまでの速 い速度で進行 される腐食生成物 の形成段階 と,安定な腐食生成物が形成 された後 に保

参照

関連したドキュメント

15 49 フェキソフェナジン塩酸塩錠 30mg「CEO」は「後発医薬 品の生物学的同等性試験ガイドライン」及び「含量が 異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライ ン」 (平成 18

;J<長エネルギ←システム

諒 純 。 。 。 濃縮 CO2 図-7MCFCを用いたCO2回収システム

U.D.C 624.01 発錆機構の違いが鉄筋の腐食生成物に及ぼす影響 前原 聡 * 早川 健司 * 伊藤 正憲 *

  CaCI :などの塩化物を主成分とする凍結融解剤は自動車の車体を腐食させ、深刻な ダ メー ジを もた らす 。著 者は 自動 車の構 造材 料と して 用い られ るAl

腐食膨張圧モデルの概念図を 図 -3 に示す. 同図 (a) に示

1.剤形 (1)剤形の区別、外観及び性状 (2)製剤の物性 (3)識別コード (4)pH、浸透圧比、粘度、比重、 無菌の旨及び安定な pH 域等 2.製剤の組成

15 ドネペジル塩酸塩錠 3mg「杏林」は、 「含量が異なる経